説明

害虫防除のための薬剤およびそれを用いる害虫の防除方法

【課題】本発明は、シロアリ等の工業材料食害害虫に対する殺虫剤の忌避作用を抑制し、該害虫の殺虫剤の取り込み量を向上させ、効果的な該害虫防除を可能とする薬剤と、それを含む食餌材と、該薬剤または該食餌材を用いる防除方法とを提供することにある。
【解決手段】本発明の、害虫防除のための薬剤は、環状オリゴ糖および殺虫剤を、溶媒を介して接触させる工程を経て製造されることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫防除のための薬剤、該薬剤を用いる該害虫の防除方法および該方法に用いる食餌材に関する。さらに詳しくは、本発明は、環状オリゴ糖および殺虫剤が、溶媒を介して接触させる工程を経て製造される害虫防除のための薬剤、該薬剤を用いる該工業材料食害害虫の防除方法および該方法に用いる食餌材に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅、橋梁、木製遊具等の建造物、資材(屋外資材および屋内資材を含む)等には、木質材料、合成樹脂などの工業材料が大量に使用されている。このような工業材料が、害虫(特にシロアリまたはキクイムシ)による食害を受ける結果、多大な経済的損失が生じ問題となっている。従来、上記害虫の防除を目的とする様々な殺虫剤および該殺虫剤を用いる防除方法が提案されており、例えば、特許文献1〜18等に開示されている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1〜18に開示されている殺虫剤およびそれを用いる防除方法には、シロアリ等の害虫が、殺虫剤の存在を感知し、殺虫剤との接触を避け、また、殺虫剤を含む食餌材(いわゆる「毒餌材」)の摂食を避けるため、殺虫剤が効果的に害虫に作用しないという課題が残されている。
【0004】
また、例えば、特許文献12に記載の昆虫成長制御剤を、殺シロアリ成分として含有する毒餌材を用いてシロアリの駆除を行う場合も、昆虫成長制御剤が遅効性の薬剤であるため、長期間にわたってシロアリの活動が継続し、その間に、工業材料によって構築された建造物、資材(屋外資材および屋内資材を含む)等のシロアリによる食害被害が拡大するという欠点がある。
【0005】
また、毒餌材を用いるシロアリ駆除において、より短期間で確実な駆除を行うために、高濃度の昆虫成長制御剤を含有する毒餌材を使用すると、毒餌材の摂食量の低下、つまり、薬剤成分のシロアリ体内への取り込み量の低下を招き、やはり同様に、長期間にわたってシロアリの活動が継続するという欠点がある。
【0006】
従来、農業用途あるいは医薬用途の分野では、薬剤の安定性の向上、薬剤の溶解性の向上、薬剤効果の向上等を目的とするシクロデキストリンの使用が提案されており、例えば、特許文献19〜29などに開示されている。また、殺菌剤の分野でも同様に、殺菌剤の安定性の向上、殺菌剤の溶解性の向上、殺菌効果の向上等を目的とするシクロデキストリンの使用が提案されており、例えば、特許文献30〜34などに開示されている。また、特許文献35においては、ピリプロキシフェンの安定性の向上を目的とするシクロデキストリンの使用が提案されている。
【0007】
しかしながら、これらの特許文献においても、工業材料を食害する害虫、特にシロアリおよびキクイムシの防除方法の開発は未解決のままである。
【特許文献1】国際公開WO93/23998号公報
【特許文献2】国際公開WO96/32009号公報
【特許文献3】国際公開WO97/42817号公報
【特許文献4】国際公開WO98/34481号公報
【特許文献5】国際公開WO2002/052940号公報
【特許文献6】国際公開WO2005/079572号公報
【特許文献7】国際公開WO2005/092092号公報
【特許文献8】国際公開WO2005/094578号公報
【特許文献9】米国特許第4,363,798号
【特許文献10】米国特許第4,833,158号
【特許文献11】米国特許第5,329,726号
【特許文献12】米国特許第5,556,883号
【特許文献13】米国特許第5,609,879号
【特許文献14】米国特許第5,802,779号
【特許文献15】米国特許第5,820,855号
【特許文献16】米国特許第5,937,571号
【特許文献17】特開平11−113470号公報
【特許文献18】特開平7−48212号公報
【特許文献19】特開昭63−79802号公報
【特許文献20】特開平5−65202号公報
【特許文献21】特開平5−238904号公報
【特許文献22】特開平5−331012号公報
【特許文献23】特開平6−219909号公報
【特許文献24】特開平7−215895号公報
【特許文献25】特開平7−291803号公報
【特許文献26】特開平8−225404号公報
【特許文献27】特開平8−295638号公報
【特許文献28】特開平10−1404号公報
【特許文献29】国際公開WO99/11596号公報
【特許文献30】特開平5−117105号公報
【特許文献31】特開平7−277908号公報
【特許文献32】特開平7−324007号公報
【特許文献33】特開平8−81309号公報
【特許文献34】特開平11−116410号公報
【特許文献35】特開平8−113504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、シロアリ等の工業材料食害害虫に対する殺虫剤の忌避作用を抑制し、該害虫の殺虫剤の取り込み量を向上させ、効果的な該害虫防除を可能とする薬剤と、それを含む食餌材と、該薬剤または該食餌材を用いる防除方法とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、シロアリ等の害虫に対する殺虫剤取り込みを鋭意検討した結果、環状オリゴ糖と殺虫剤とを接触させる工程を経て製造される薬剤を含む食餌材を使用することによって、工業材料食害害虫に対する殺虫剤の忌避作用が抑制されて、該食餌材に対する工業材料食害害虫の接触頻度および工業材料食害害虫の食餌材取り込み量が向上し、その結果、より短期間で、またより小さな毒餌材で、効果的に工業材料食害害虫が防除されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下に記載した事項により特定される。
本発明の、害虫防除のための薬剤は、環状オリゴ糖および殺虫剤を、溶媒を介して接触する工程を経て製造することを特徴とするものである。
【0011】
上記薬剤は、工業材料を害虫から保護するために用いることが好ましい。
本発明の害虫の防除方法は、上記薬剤を工業材料に含ませ、該工業材料を該害虫の通過経路に設置することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の食餌材は、上記薬剤、および木材、木材複合材、木質材料、セルロース系材料、天然系材料、合成系材料および合成樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の害虫の防除方法は、上記食餌材を、該害虫の生息場所および/または通過経路に設置することを特徴とするものである。
上記環状オリゴ糖は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の環状オリゴ糖であることが好ましい。
【0014】
上記殺虫剤は、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、シロマジン、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブ、フィプロニル、バニリプロール、エチプロール、アセトプロール、クロルフェナピルおよびヒドラメチルノンからなる群から選択される少なくとも1種の殺虫剤であることが好ましい。
【0015】
上記害虫は、シロアリまたはキクイムシであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、工業材料食害害虫に対する殺虫剤の忌避作用を抑制し、該害虫の殺虫剤の取り込み量を向上させ、効果的な該工業材料食害害虫防除を可能とする薬剤と、該薬剤を含む食餌材と、該薬剤または該食餌材を用いる防除方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の、害虫防除のための薬剤は、環状オリゴ糖および殺虫剤が、溶媒を介して接触する工程を経て製造されることを特徴とするものである。
〔工業材料〕
上記工業材料とは、木材、木材複合材、木質材料、セルロース系材料、天然系材料、合成系材料または合成樹脂であり、具体的には、製材、丸太材、板材、木材加工品、木粉、セルロース粉末、集成材、合板、LVL、チップボード、パーティクルボード、配向性ストランドボード(Oriented Strand Board)、ファイバーボード、ランバーコア、竹材、藺草、モミ、藁、絹、綿リンター、羊毛、羽毛、マニラ麻、亜麻、紙、バガス、ケナフ、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、レゾルシノール樹脂、変性ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクタム、セルロース含有樹脂、セルロース含有無機材料、天然ゴム、合成ゴム、皮革、合成系接着剤、漆、膠(ニカワ)、ペイント等;これらからなる資材;該資材からなる住宅、家屋、橋梁、遊具、フェンス、デッキ、桟橋、枕木、電柱、基礎杭、箱、コンテナ、パレット、窓、ドア、建具、家具、セルロース断熱材、発泡樹脂系断熱材、畳、織物、ロープ、板紙、書籍、紙箱、紙製品等の建造物が挙げられる。
【0018】
上記工業材料のうち、製材、丸太材、板材、木材加工品、木粉、セルロース粉末、集成材、合板、LVL、チップボード、パーティクルボード、配向性ストランドボード(Oriented Strand Board)、ファイバーボード、ランバーコア、紙、ポリウレタン、ポリスチレン、フェノール樹脂、ポリ乳酸、セルロース含有樹脂およびセルロース含有無機材料が好ましい。
【0019】
上記資材のうち、上記工業材料の好ましい態様からなる資材が好ましい。
上記建造物のうち、上記資材の好ましい態様からなる住宅、家屋、橋梁、遊具、フェンス、デッキ、桟橋、枕木、電柱、基礎杭、箱、コンテナ、パレット、窓、ドア、建具、家具、セルロース断熱材、発泡樹脂系断熱材、板紙、書籍および紙製品が好ましい。
【0020】
〔害虫〕
上記害虫として、シロアリ(termite)、キクイムシ(Wood Borer)、チョウ、ハサミムシ、ハチ、ダンゴムシ等の工業材料食害害虫が挙げられるが、これらのうち、シロアリおよびキクイムシが好ましい。
【0021】
上記シロアリは、シロアリ科(Termitidae)、オオシロアリ科(Termopsidae)、ゲンシロアリ科(Mastotermitidae)、シュウカクシロアリ科(Hodotermitidae)、レイビシロアリ科(Kalotermitidae)、ノコギリシロアリ科(Serritermitidae)、ミゾガシラシロアリ科(Rhinotermitidae)等を含む等翅目(Isoptera)に属する昆虫であり、具体的には、例えば、イエシロアリ(Coptotermes formosanus)、ヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor)、ダイコクシロアリ(Cryptotermes domesticus)、ニシインドカンザイシロアリ(Cryptotermes brevis)、タイワンシロアリ(Odontotermes formosanus)、コウシュンシロアリ(Neotermes koshunensis)、ナカジマシロアリ(Glyptotermes nakajimai)、カタンシロアリ(Glyptotermes fuscus)、コダマシロアリ(Glyptotermes kodamai)、クシモトシロアリ(Glyptotermes kushimensis)、サツマシロアリ(Glyptotermes satsumensis)、オオシロアリ(Hodotermopsis japonica)、コウシュウイエシロアリ(Coptotermes guangzhoensis)、カロテルメス・フラヴィコリス(Kalotermes flavicollis)、ミヤタケシロアリ(Reticulitermes miyatakei)、アマミシロアリ(Reticulitermes amamianus)、カンモンシロアリ(Reticulitermes kanmonensis)、キアシシロアリ(Reticulitermes flaviceps)、キイロマルガシラシロアリ(Globitermes sulphureus)、カンモンシロアリ(Reticulitermes sp.)、タカサゴシロアリ(Nasutitermes takasagoensis)、ニトベシロアリ(Pericapritermes nitobei)、ムシャシロアリ(Sinocapritermes mushae)、ハワイシロアリ(Incisitermes immigrans)、ネバダオオシロアリ(Zootermopsis nevadensis)、ムカシシロアリ(Mastotermes darwiniensis)、マクロテルメス・ギルブス(Macrotermes gilvus)、ミゾガシラシロアリ(Reticuliterumes flavipes)、レティキュリテルメス・ルシフグス(Reticulitermes lucifugus)、レティキュリテルメス・ヘスペルス(Reticulitermes hesperus)、レティキュリテルメス・ヴィルジニカス(Reticulitermes virginicus)、レティキュリテルメス・ティビアリス(Reticulitermes tibialis)、レティキュリテルメス・ハゲニ(Reticulitermes hageni)、レティキュリテルメス・サントネンシス(Reticulitermes santonensis)、レティキュリテルメス・チネンシス(Reticulitermes chinensis)、ヘテロテルメス・インディコラ(Heterotermes indicola)、レティキュリテルメス・グラセイ(Reticulitermes grassei)、ヘテロテルメス・オーレウス(Heterotermes aureus)等が挙げられる。これらのうち、イエシロアリ、ヤマトシロアリ、アメリカカンザイシロアリおよびダイコクシロアリが好ましく、イエシロアリおよびヤマトシロアリがより好ましい。
【0022】
上記シロアリは、階級(caste)を有し、女王・王、幼虫、職蟻、兵蟻、ニンフおよび有翅虫(羽アリ)に分けられるが、これら階級は限定されない。
上記キクイムシは、ヒラタキクイムシ科(Lyctidae)、ナガシンクイムシ科(Bostrichidae)、シバンムシ科(Anobiidae)、カミキリムシ科(Cerambycidae)等を含む甲虫目(Coleoptera)に属する昆虫であり、具体的には、例えば、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、アフリカヒラタキクイムシ(Lyctus africanus Lesne)、ナラヒラタキクイムシ(Lyctus linearis)、ケヤキヒラタキクイムシ(Lyctus sinensis Lesne)、リクツス・プラニコリス(Lyctus planicollis)、リクツス・プベセンス(Lyctus pubescens)、マツザイシバンムシ(Ernobius mollis)、チビタケナガシンクイ(Dinoderus minutus)、ケブカシバンムシ(Nicobium hirtum)、ホソナガシンクイムシ(Heterobostrychus brunneus)、ケブトヒラタキクイムシ(Minthea rugicollis)、ヒメカツオブシムシ(Attagenus japonicus)、ヒメマルカツオブシムシ(Anthrenus verbasci)、アノビウム・プンクタツム(Anobium punctatum)、アパテ・モナチュス(Apate monachus)、ボストリカス カプシンス(Bostrychus capucins)、クロロホレス ピロサス(Chlorophores pilosus)、デンドロビウム・パーチネックス(Dendrobium pertinex)、ヒロトルペス・バジュルス(Hylotrupes bajulus)、プリオビウム・カルピニ(Priobium carpini)、プチニヌル・ペクチコルニス(Ptilinus pecticornis)、シノキシロン種(Sinoxylon spec.)、トロゴキシロン・エクアーレ(Trogoxylon aequale)、トリプト デンドロン種(Trypto dendron spec.)、キセストビウム・ルフォビロスム(Xestobium rufovillosum)、クセストビウム ルホビロサム(Xestobium rufovillosum)、キシレボルス種(Xyleborus spec.)等が挙げられる。これらのうち、ヒラタキクイムシ、アフリカヒラタキクイムシ、ナラヒラタキクイムシ、ケヤキヒラタキクイムシ、マツザイシバンムシ、チビタケナガシンクイ、ケブカシバンムシ、ホソナガシンクイムシ、ケブトヒラタキクイムシ、ヒメカツオブシムシおよびヒメマルカツオブシムシが好ましく、ヒラタキクイムシ、アフリカヒラタキクイムシ、ナラヒラタキクイムシ、ケヤキヒラタキクイムシおよびケブトヒラタキクイムシがより好ましい。
【0023】
上記チョウは、ヒロズコガ科(Tineidae)等を含む鱗翅目(Lepidoptera)の昆虫であり、具体的には、例えば、イガ(Tinea translucens Meyrick)、コイガ(Tineola bisselliella)等が挙げられる。
【0024】
上記ハサミムシは、ハサミムシ類(Dermaptera)の昆虫であり、具体的には、例えば、ハマベハサミムシ(Anisolabis maritima)、キアシハサミムシ(Euborellia plebeja)、ヒゲジロハサミムシ(Gonolabis marginalis)、ミジンハサミムシ(Labia minor)が挙げられる。
【0025】
上記ハチとしては、膜翅目(Hymenoptera)に属するコルリキバチ(Sirex juvencus)、ノクチリオキバチ(Urocerus augur)、モミノオオキバチ(Urocerus gigas)、ウルセルス・ギガス・タイグナス(Urucerus gigas taignus)等が挙げられる。
【0026】
上記ダンゴムシとしては、等脚目(Isopoda)に属するオカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)等が挙げられる。
〔環状オリゴ糖〕
上記環状オリゴ糖とは、単糖が4〜10個程度環状につながった構造を有するオリゴ糖であり、具体的には、環状四糖(CMM)、環状五糖(CNT)、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、α−シクロアワオドリン、β−シクロアワオドリンおよびこれらのヒドロキシ基(OH基)をメチル化、モノクロロトリアジノ化、ヒドロキシプロピル化、アセチル化、トリアセチル化、スルホブチル化、グリコシル化またはマルトース付加等により修飾した誘導体が挙げられる。これらのうち、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、およびこれらをメチル化、モノクロロトリアジノ化、ヒドロキシプロピル化、アセチル化、トリアセチル化、スルホブチル化、グリコシル化またはマルトース付加等により修飾した誘導体がより好ましい。なお、このような環状オリゴ糖は、1種単独でも2種以上併用してもよい。
【0027】
また、修飾される部位は環状オリゴ糖を構成する単糖のヒドロキシ基であるため、単糖がD-グルコースである場合はその2位、3位または6位のヒドロキシ基、単糖がL−ラムノースである場合はその2位または3位のヒドロキシ基における置換反応によって、様々な置換度の誘導体が得られ、これらを本発明の環状オリゴ糖として用いることができる。望ましい置換度は、本発明の薬剤における殺虫剤の溶解性あるいは分散性等を考慮して定められるため特に限定されるものではないが、20〜100%の置換度のものが誘導体として好適である。
【0028】
〔殺虫剤〕
本発明の薬剤は、殺虫剤を環状オリゴ糖と接触させる工程を経て製剤化した後に使用するものであり、該工程を経ることによって、薬剤は、殺虫剤による忌避作用が緩和され、防除効果が向上する。このような忌避作用が緩和された薬剤を、上記工業材料に含ませることによって、工業材料に含まれる殺虫剤と害虫との接触頻度が増大し、殺虫剤を含む工業材料の害虫による食害量も増大する。こうした効果は、害虫から工業材料を保護する目的に反するものではなく、接触頻度の増大は、害虫の体表から浸透によって害虫体内に取り込まれる殺虫剤量を増大させることになり、また、食害量の増大は、害虫の腸管内に入る殺虫剤量を増大させることになる。しかも、本発明に開示する方法を用いれば、従来の方法では害虫が忌避して、十分な殺虫効果が得られないような高い殺虫剤濃度にて、殺虫剤を使用することが可能となる。
【0029】
上記殺虫剤は、溶媒を介して環状オリゴ糖と併用することにより、殺虫剤に対する忌避作用が緩和される殺虫剤であれば、いずれも好適である。殺虫剤による害虫の忌避作用は、害虫に与える接触刺激、臭気の刺激、味覚的な刺激等が原因であると推測されるが、忌避作用は、殺虫剤を含む食餌材(いわゆる「毒餌材」)を害虫に与えるという方法によって駆除を行う場合に、特に大きな問題となる。そのため従来は、忌避作用による悪影響が生じないような低い殺虫剤濃度で食餌材を製造し、これを長期間、害虫に与える方法で、害虫駆除を実施してきた。しかしながら本発明の方法を用いれば、より高濃度の殺虫剤を含む毒餌材を製造し、害虫に与えることが可能となり、より短期間での駆除、より小さな毒餌による駆除が可能となる。
【0030】
上記殺虫剤としては、例えば、アジノフォス−エチル、アジノフォス−メチル、1−(4−クロロフェニル)−4−(O−エチル,S−プロピル)ホスホリルオキシピラゾル(TIA−230)、クロロピリフォス、テトラクロロピリフォス、クマフォス、デトメン−S−メチル、ジアジノン、ジクロルボス、ジメトエート、エトプロフォス、エトリムフォス、フェニトロチオン、ピリダフェンチオン、ヘプテノフォス、パラチオン、パラチオン−メチル、プロペタンホス、フォサロン、フォキシム、ピリミフォス−エチル、ピリミフォス−メチル、プロフェノフォス、プロチオフォース、スルプロフォス、トリアゾフォス、トリクロルフォン等のリン酸エステル類;
クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、ピリミホス−メチル、ピリミホス−エチル、フェニトロチオン、プロフェノホス、スルプロホス、アセファート、メチルパラチオン、キナルホス、アジンホス−メチル、デメトン−s−メチル、ヘプテノホス、チオメトン、ピラクロホス、エトプロホス、ホスチアゼート、フェナミホス、モノクロトホス、プロフェノホス、トリアゾホス、メタミドホス、ジメトアート、ホスファミドン、マラチオン、ホサロン、テルブホス、フェンスルホチオン、ホノホス、ホラート、ホキシム、メチダチオン、フェントロチオン、ダイアジノン等の有機リン類;
アルジカルブ、ベニオカルブ、2−(1−メチルプロピル)−フェニル−N−メチルカルバメート(BPMC)、2−(1−メチルプロピル)フェニルメチルカルバメート、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、イソプロカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロメカルブ、プロポクスル、トリアザマート、チオジカルブ、チオフロクス、ベンフラカルブ、フラチオカルブ、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ等のカルバメート類;
トルフェンピラド、ピリダベン、テブフェンピラド、フェンピロキシマート等のピラゾール類;
ハロフェノジド、テブフェノジド、クロマフェノジド、メトキシフェノジド等のジアシルヒドラジン類;
クロルジメホルム、アミトラズ等のアミジン類;
N−シアノ−N’−メチル−N’−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)アセトアミジン等のN−シアノアミジン類;
ジアフェンチウロン等のチオ尿素類;
ベンスルタップ等のネライストキシン類;
エンドスルファン、ベンゼンヘキサクロリド、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン(DDT)、ディルドリン、γ−ベンゼンヘキサクロライド(BHC)等の有機塩素類;
アバメクチン、エマメクチンベンゾアート、イベルメクチン、ミルベマイシン、スピノサド、アザジラクチン等のマクロリド類;
ブプロフェジン等のチアジアジン化合物;
エトキサゾール等のオキサゾリン化合物、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム等の第四級アンモニウム化合物;
デカン酸、オクタン酸等の脂肪酸およびこれらのエステル類;
トリデカノール、ヘキサデカノール等の高級アルコール類;
ヒバ油、ユーカリ油、ハーブ類等の精油;
ヒノキ抽出液、スギ抽出液、茶抽出液、竹抽出液等の植物抽出物およびその分画物;
アレトリン(allethrin)、ピレトリン(pyrethrin)、アルファメトリン(alphamethrin)、エンペントリン(empenthrin)、ビオレスメトリン(bioresmethrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、デカメトリン(decamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、λ−シハロトリン(λ-cyhalothrin)、γ−シハロトリン(γ-cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、α−シアノ−3−フェニル−2−メチルベンジル−2,2−ジメチル−2−(2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル)シクロプロパン−1−プロパンカルボキシレート、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フェンフルトリン(fenfluthrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、エスフェンバレラート(esfenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、ペルメトリン(permethrin)、テフルトリン(tefluthrin)、テトラメトリン(tetramethrin)、エスビオスリン(esbiothrin)、プラレトリン(prallethrin)、バイオアレスリン(bioalethrin)、ブラトリン(6-chloropiperonyl)、テラレスリン(terallethrin)、ジメフルトリン(dimefluthrin)、プロフルトリン(profluthrin)、メソスリン(methothrin)、サイパーメスリン(cypermethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、フタルスリン(phthalthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、フラメトリン(furamethrin)、フェノトリン(phenothrin)、イミプロトリン(imiprothrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、レスメトリン(resmethrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、シラフルオフェン(silafluofen)、ビフェントリン(bifenthrin)、5−ベンジル−3−フリルメチル−(E)−(1R,3S)−2,2−ジメチル−3−(2−オキソチオラン−3−イリデンメチル)シクロプロパンカルボキシラート等のピレスロイド類またはこれらの異性体;
アセタミプリド(acetamiprid)、イミダクロプリド(imidacloprid)、チアクロプリド(thiacloprid)ニテンピラム(nitenpyram)、クロチアニジン(clothanidin)、ジノテフラン(dinotefuran)、チアメトキサム(thiamethoxiam)、ニテンピラム(nitenpyram)、フロニカミド(flocamid)、ジオフェノラン(diofenolan)等のネオニコチノイド類;
ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)等のベンゾイルウレア系化合物;
シロマジン(cyromazine)等のトリアジン化合物;
ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)等のビスアシルヒドラジン化合物;
メトプレン(methoprene)、ハイドロプレン(hydroprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)等の幼若ホルモン類;
フィプロニル(fipronil)、バニリプロール(vaniliprole)、エチプロール(ethiprole)、アセトプロール(acetoprole)等のフェニルピラゾール類;
クロルフェナピル(chlorfenapyr)等のピロール類;
ヒドラメチルノン(hydramethylnon)等のヒドラゾン類等の化合物などが挙げられる。これらのうち、ピレスロイド類またはこれらの異性体、ネオニコチノイド類、ベンゾイルウレア系化合物、オキサゾリン化合物、トリアジン化合物、ビスアシルヒドラジン化合物、幼若ホルモン類、フェニルピラゾール類、ピロール類およびヒドラゾン類に属する化合物が好ましい。これらは1種単独でも2種以上併用してもよい。また、上記化合物を含有する市販品も好適である。
【0031】
また、食餌材を摂食したシロアリ、あるいは、忌避作用が緩和された殺虫剤を含む工業材料に接触したシロアリが、該殺虫剤をその営巣内に持ち帰り、営巣内の他のシロアリに該殺虫剤を与えることができるように、昆虫成長制御剤等の遅効性殺虫剤を使用することが好ましい。このような目的で使用される殺虫剤の好適な例として、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)等のベンゾイルウレア系化合物、シロマジン(cyromazine)等のトリアジン化合物、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)等のビスアシルヒドラジン化合物、メトプレン(methoprene)、ハイドロプレン(hydroprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)等の幼若ホルモン類、フィプロニル(fipronil)、バニリプロール(vaniliprole)、エチプロール(ethiprole)、アセトプロール(acetoprole)等のフェニルピラゾール類、クロルフェナピル(chlorfenapyr)等のピロール類、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)等のヒドラゾン類の化合物、およびこれらの化合物を含有する殺虫剤製品が挙げられる。なお、このような殺虫剤は、1種単独でも2種併用してもよい。
【0032】
<薬剤>
以下、本明細書にて、配合量を示すために%と表記したものは、重量%の意味で用いる。
【0033】
本発明に係る上記薬剤は、上記環状オリゴ糖および上記殺虫剤が、溶媒を介して接触させる工程を経て製造される。すなわち、薬剤は、環状オリゴ糖の少なくとも一部および殺虫剤の少なくとも一部が、溶媒中に溶解し混合されている状態にあり、環状オリゴ糖の少なくとも一部および殺虫剤の少なくとも一部が溶媒中で接触することを要件とする。環状オリゴ糖の溶媒に溶解しない一部および殺虫剤の溶媒に溶解しない一部は、溶媒中で混合、撹拌、混練および/または粉砕を行う工程を経ることによって、懸濁状態、乳濁状態またはペースト状態の均一な薬剤を得ることが可能である。
【0034】
このような混合、撹拌、混練および/または粉砕の工程において、溶媒の沸点以下の温度範囲での加熱は、より短時間で、より均一な製剤化のために有用である。また、用いる溶媒を少量とする場合、または薬剤調製後に乾燥させる場合、薬剤を粉剤として調製することも可能である。このように、薬剤は、様々な剤型で製造可能であるため、様々な工業材料に対して適切な剤型を選択することが可能であり、極めて有用である。また、薬剤は、希釈をせず、工業材料への処理および食餌材の製造に用いることも可能であり、また、水または適当な有機溶媒を用いて希釈してから、工業材料への処理および食餌材の製造に用いることも可能である。
【0035】
本発明の薬剤に含まれる環状オリゴ糖および殺虫剤の濃度は、環状オリゴ糖による殺虫剤の忌避作用緩和の効率、環状オリゴ糖の溶解性、殺虫剤の溶解性または分散性、殺虫剤の殺虫活性の強度、求められる殺虫効果の程度等を考慮して定められるため、特に限定されるべきものではないが、薬剤使用時の濃度(すなわち、工業材料への処理および食餌材の製造を行う際の濃度)としては、環状オリゴ糖では、例えば、β−シクロデキストリンは0.0001〜5%、γ−シクロデキストリンは0.0001〜30%、メチル化−β−シクロデキストリンは0.0001〜80%が好ましい濃度である。また、殺虫剤では、例えば、ピレスロイド類またはこれらの異性体は0.0001〜20%、ネオニコチノイド類は0.001〜30%、ベンゾイルウレア系化合物は0.0001〜10%、トリアジン化合物は0.0001〜10%、幼若ホルモン類は0.0001〜5%、フェニルピラゾール類は0.001〜10%、ピロール類は0.0001〜10%、ヒドラゾン類は0.001〜40%が好ましい濃度である。
【0036】
薬剤を調製する際に用いられる溶媒は、水および/または有機溶剤である。該有機溶剤は、環状オリゴ糖および殺虫剤を0.0001%以上、好ましくは0.01%以上の濃度で溶解させるものが望ましく、用いる環状オリゴ糖および殺虫剤の種類に応じて適宜選択され得る。このような有機溶剤は、ヒドロキシル基、エステル基、エーテル基等の官能基を含有する有機溶剤であって、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系化合物;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリコール系化合物およびこれらのアルキルエーテル等の誘導体;
アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系化合物;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系化合物;
テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル等のエーテル系化合物などが挙げられる。また、ジクロロメタン等の塩素系化合物、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N,−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の非プロトン性極性溶媒;
植物油脂、植物精油等の天然系物質なども好適な例として挙げられる。これらの有機溶媒は、1種単独または2種以上併用してもよく、水との混合物を用いてもよい。
【0037】
より均一な薬剤を調製する目的で、界面活性剤または分散剤を助剤として、薬剤に配合することもできる。このような界面活性剤または分散剤は、既知の化合物から選択することができるが、工業材料食害害虫に対して忌避作用を生じない化合物が好ましく、また忌避作用を生じない濃度範囲での使用が好ましい。
【0038】
上記界面活性剤は、例えば、非イオン界面活性剤および陰イオン性界面活性剤であって、具体的には、脂肪酸ナトリウム、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフチルメタンスルホン酸、アルキルモノグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウムが好ましい。
【0039】
上記分散剤は、例えば、分散または乳化が可能な、天然または合成ポリマーであって、具体的には、アクリレート樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、炭化水素樹脂、シリコーン樹脂、これらの樹脂の変性物、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、リグニンスルホン酸塩、メチルセルロースが好ましい。
【0040】
工業材料食害害虫の摂食性を刺激する目的で、食品系の成分を助剤として薬剤に配合することもできる。このような食品系の成分として、具体的には、グルコース、ショ糖、デンプン、コーンシロップ等の糖類;グリセリン等の多価アルコール;穀物粉、アミノ酸、テルペン類が挙げられる。対象とする工業材料食害害虫の性質に合わせて適宜その濃度を調整して使用することができる。
【0041】
また、殺虫剤の効果を増量する共力剤を助剤として薬剤に配合することもできる。このような共力剤として、具体的には、MGK−264(N−octyl bicycloheptene dicarboximide)、S−421(piperonyl butoxide)、ピペロニルサイクロネン、プロピルアイソーム、スルホオキサイド(イソサフロールのオクチルスルホオキシド)トロピタル、セゾキサン、サイネピリン類が挙げられる。共力剤の配合量は、殺虫活性成分の重量の0.1〜10倍が好ましい。
【0042】
また、薬剤に、増量剤、結合剤、凍結防止剤、撥水剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、香料を、助剤として適宜配合することができる。これらの助剤は、殺虫剤とともに通常用いられる公知のものを用いることができる。
【0043】
上記増量剤として、具体的には、珪藻土、タルク、モンモリロナイト、カオリン、クレー、チョーク、石英、アタパルガイド、ベントナイト、酸性白土、雲母粉、ラジオライト、ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩、酸化チタン、岩石粉砕物、重曹、炭酸カルシウム、活性炭、無機物および有機物の合成粒、木粉等の有機物粉砕物などが挙げられる。
【0044】
上記結合剤として、具体的には、カルボキシメチルセルロース、デンプン、リグニンスルホン酸ナトリウム、デキストリンポリビニルアルコールなどが挙げられる。
上記凍結防止剤として、具体的には、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0045】
これら助剤は、1種単独でも2種以上併用してもよく、また助剤としてこれらに限定されない。
工業材料において本発明の薬剤が含まれている部分を視覚的に判りやすくする目的、または薬剤により工業材料を処理する際に処理した部分を視覚的に区別する目的で、着色剤を助剤として薬剤に配合することもできる。このような着色剤として、具体的には、アリザリン染料、アゾ染料、金属フタロシアニン染料等の有機染料;酸化鉄、酸化チタン、プルシアンブルー等の無機顔料などが挙げられる。着色剤を用いる場合の好適な濃度は、薬剤使用時の濃度(すなわち、工業材料への処理および食餌材の製造を行う際の濃度)として、0.0001〜1%である。
【0046】
工業材料は、工業材料食害害虫による食害のみならず、菌類または細菌による汚染または破壊、あるいは藻類による汚染を受けるため、工業材料の適切な保護の目的で、または工業材料食害害虫の防除のための食餌材の保護の目的で、抗菌性化合物を本発明の薬剤に配合することもできる。このような目的で用いられる抗菌性化合物として、従来公知の様々な殺菌性化合物を用いることができ、具体的には、アザコナゾール、エタコナゾール、プロピコナゾール、ブロモコナゾール、ジフェノコナゾール、イトラコナゾール、フルトリアホール、ミクロブタニル、フェネタミル、ペンコナゾール、テトラコナゾール、ヘキサコナゾール、テブコナゾール、イミベンコナゾール、フルシラゾール、リバビリン、トリアミホス、イサゾホス、トリアゾホス、イジンホス、フルオトリマゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、ジクロブトラゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、ビテルタノール、エポキシコナゾール、トリチコナゾール、マトコナゾール、イプコナゾール、フルコナゾール、フルコナゾール・シス、シプロコナゾール等のトリアゾール類;
アゾキシストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン等のストロビン類;
ジクロロフルアニド(エウパレン)、トリフルアニド(メチルレウパレン)、シクロフルアニド、フォルペット、フルオロフォルペット等のスルオンアミド類;
カルベンダジム(MBC)、ベノミル、フベリタゾール、チアベンダゾールまたはこれらの塩類等のべンズイミダゾール類;
チオシアナトメチルチオベンゾチアゾール(TCMTB)、メチレンビスチオシアネート(MBT)等のチオシアネート類;
ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ベンジル−ジメチル−ドデシル−アンモニウムクロライド、ジデシル−ジメチル−アンモニウムクロライド、N−アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;
11〜C14−4−アルキル−2,6−ジメチルモルホリン同族体(トリデモルフ)、(±)−シス−4−[3−(t−ブチルフェニル)−2−メチルプロピル]−2,6−ジメチルモルホリン(フェンプロピモルフ,ファリモルフ)等のモルホリン誘導体;
o−フェニルフェノール、トリブロモフェノール、テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、3−メチル−4−クロロフェノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール、N’−(4−クロロフェニル)−N−(3、4ジクロロフェニル)尿素、ジクロロフェノール、クロロフェンおよびこれらの塩類等のフェノール類;
3−ヨード−2−プロピニル−n−ブチルカルバメート(IPBC)、3−ヨード−2−プロピニル−n−ヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニルシクロヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニルフェニルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル−n−ブチルカルバメート、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール(IF−1000)、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカルボナート(サンプラス)、1−[(ジヨードメチル)スルホニル]−4−メチルベンゼン(アミカル)等の有機ヨード化合物;
ブロノポル等の有機ブロモ誘導体;
N−メチルイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−N−メチルイソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−N−オクチルイソチアゾリン−3−オン、N−オクチルイソチアゾリン−3−オン(オクチリノン)等のイソチアゾリン類;
シクロペンタイソチアゾリン等のベンズイソチアゾリン類;
1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン(またはそのナトリウム塩、鉄塩、マンガン塩、亜鉛塩等)、テトラクロロ−4−メチルスルホニルピリジン等のピリジン類;
スズ、銅、亜鉛のナフテート、オクトエート、2−エチルヘキサノエート、オレエート、ホスフェート、ベンゾエート等の金属石鹸類;
Cu2O、CuO、ZnO等のオキシド類;
トリブチルスズナフテネート、t−ブチルスズオキシド等の有機スズ誘導体;
トリス−N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシン)−トリブチルスズまたはそのカリウム塩類;
ビス−(N−シクロヘキシル)ジアゾニウム−ジオキシン銅またはアルミニウム等の金属化合物;
ジアルキルジチオカルバメートのナトリウム塩または亜鉛塩、テトラメチルジウラムジサルファイド(TMTD)等のカルバメート類;
2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(クロロタロニル)等のニトリル類、塩化アセチル(Cl−Ac)、テクタマー、ブロノポル等の活性ハロゲン原子を有する微生物剤;
2−メルカプトベンゾチゾール類、ダゾメット等のベンズチアゾール類;
8−ヒドロキシキノリン等のキノリン類;
ベトキサジン等のベンゾチオフェン類;
ベンジルアルコールモノ(ポリ)ヘミフォルマール、オキサゾリジン、ヘキサヒドローs−トリアジン、N−メチロールクロロアセトアミド等のホルムアルデヒドを生成する化合物;
八ホウ酸ナトリウム四水和物、ホウ酸、ホウ砂等のホウ素化合物;
フッ化ナトリウム、ケイフッ化ナトリウム等のフッ素化合物;
ヒノキチオール等のトロポロン類、銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の抗菌性金属イオン含有化合物;
銀、白金等の金属微粒子;
トリス−N−(シクロヘキシルジアゼニウムジオキシン)−トリブチル錫、またはカリウム塩、ビス−(N−シクロヘキシル)ジアジニウム−ジオキシン銅などが挙げられる。このような抗菌性化合物は、1種単独でも用いることができるが、2種以上併用する方が、相乗的な抗菌効果を得る場合があることから好ましい。
【0047】
抗菌性化合物の濃度は、製剤における抗菌性化合物の溶解性あるいは分散性、抗菌活性の強度、求められる抗菌活性の程度等を考慮して定められるため、特に限定されるものではないが、薬剤使用時の濃度(すなわち、工業材料への処理および毒餌材の製造を行う際の濃度)としては、例えば、トリアゾール類は0.001〜20%、ベンズイソチアゾリン類は0.01〜50%、金属微粒子は0.001〜10%が好ましく、工業材料食害害虫に対する忌避作用が生じない濃度範囲での使用が望ましい。
【0048】
本発明の薬剤を用いて工業材料を保護する場合、希釈しない、あるいは水および/または適当な有機溶媒を用いて希釈し、工業材料の処理に用いられる。
対象となる工業材料は上述のとおりであり、このような工業材料に対して薬剤を塗布、吹き付け、浸漬、加圧、穿孔注入等によって添加することで、工業材料が工業材料食害害虫に対して保護処理される。
【0049】
薬剤を希釈して用いる場合の希釈剤は、例えば、水、または、エステル基、エーテル基、ヒドロキシル基、ケトン基あるいはこれらの複数種類の官能基を含有する有機溶剤などである。このような有機溶剤として、具体的には、メタノール、エタノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等のアルコール類またはグリコールエーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類が挙げられる。
【0050】
薬剤を固体剤と混合して使用することができ、使用可能な固体剤としては、例えば、珪藻土、タルク、モンモリロナイト、カオリン、クレー、チョーク、石英、アタパルガイド、ベントナイト、酸性白土、雲母粉、ラジオライト等の天然鉱物;高分散ケイ酸、アルミナ、ケイ酸塩、酸化チタン等の合成鉱物;方解石、大理石、軽石、海泡石、白雲石等の岩石を粉砕した物;無機物および有機物の合成粒;木材、椰子の実の殻、コーヒー豆等の有機物質を粉砕した物;重曹、炭酸カルシウム、活性炭などが挙げられる。
【0051】
薬剤をエアゾール剤として用いることができ、その場合、液化ガス剤の使用が有用である。液化ガス剤として、具体的には、ブタン、プロパン、窒素、二酸化炭素、ジメチルエーテル(DME)、液化石油ガス(LPG)、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。
【0052】
また、工業材料が木材、木質材料である場合、工業的含浸法、例えば、真空、二重真空または加圧法を用いることによって、本発明の薬剤による処理を工業的な規模で行うことができる。
【0053】
薬剤を塗料、接着剤等に混和し、工業材料を製造する工程で同時に防虫処理を施すこともできる。
<防除方法>
本発明の防除方法として、下記(A)および下記(B)の2種類の防除方法が挙げられる。
【0054】
(A):工業材料が、本発明の薬剤を含み、工業材料食害害虫の通過経路に設置されることを特徴とする、該工業材料食害害虫の防除方法。
(B):食餌材が、本発明の薬剤を含み、工業材料食害害虫の生息場所または通過経路に設置されることを特徴とする、該工業材料食害害虫の防除方法。
【0055】
上記防除方法(A)は、すなわち、本発明の薬剤を含む工業材料を、工業材料食害害虫の通過経路に設置する方法であって、忌避性が緩和された殺虫剤を含む工業材料に工業材料食害害虫が接触することによって、工業材料食害害虫の体表に殺虫剤が高濃度で付着するため、工業材料食害害虫の効果的な防除が達成される。このような防除方法(A)は、忌避性が緩和された殺虫剤を含む工業材料を新たに工業材料食害害虫の通過経路に設置する方法であってもよく、また工業材料食害害虫の通過経路になっている既設の工業材料に対して、本発明の薬剤を塗布、吹き付け、穿孔注入等によって添加する方法であってもよい。後者の方法を行う場合、薬剤を添加される工業材料は、上述の工業材料に加えて、コンクリート、鉄筋、無機系断熱材等の工業材料食害害虫の食害をほとんど被らない工業材料であっても、該材料が工業材料食害害虫の通過経路であれば同様の防除効果をもたらすことになる。両者の方法において用いられる殺虫剤の量は、使用する殺虫剤の殺虫活性の強度、防除する害虫の種類、求められる殺虫効果の程度、殺虫剤を含む工業材料の種類等を考慮して定められるため、特に限定されるべきものではないが、例えば、既設の工業材料に対して、本発明の薬剤を塗布する場合には、工業材料の表面に殺虫剤の有効成分が0.001〜500g/m2の濃度で存在するように、薬剤を塗布することが好ましい。なお、薬剤による工業材料の処理において、殺虫剤による処理と環状オリゴ糖による処理とを別々に行い、工業材料の内部または表面において、環状オリゴ糖と殺虫剤とを溶媒を介して接触させる方法で工業材料を処理する方法も好ましい。
【0056】
一方、上記防除方法(B)は、すなわち、本発明の薬剤を含む食餌材(いわゆる「毒餌材」)を、工業材料食害害虫の生息場所および/または通過経路に設置する方法であって、忌避性が緩和された殺虫剤を含む食餌材を害虫が摂取し、害虫の腸管から殺虫剤が吸収されることによって、害虫の効果的な防除が達成される。このような食餌材は、下記の製造方法に従って準備される。また、住宅、橋梁、木製遊具等の建造物に使用されている木材、木質材料、セルロース系材料および/または天然系材料の部分に、本発明の薬剤を塗布、吹き付けまたは穿孔注入する方法でも毒餌材を準備することができる。こうした防除方法(B)は工業材料食害害虫がシロアリである場合に特に有効であり、殺虫剤として上述の遅効性の殺虫剤を用いて、高濃度の殺虫剤成分をコロニーに持ち帰らせ、コロニー内の他のシロアリに食餌材を与えることができる。防除方法(B)によって、一匹のシロアリがコロニーに持ち込む殺虫剤の量を増大させることが可能となるため、より短期間でのシロアリの駆除が可能となるばかりでなく、より少ない食餌による駆除も可能となる。これによって、食餌の設置や交換の作業が省力化され、駆除を確認するための期間も短縮されるため、防除方法(B)は極めて有用である。
【0057】
防除方法(B)で用いられるべき殺虫剤の量は、使用する殺虫剤の殺虫活性の強度、防除する工業材料食害害虫の種類、求められる殺虫効果の程度、殺虫剤を含む工業材料の種類等を考慮して定められるため、特に限定されるべきものではない。
【0058】
防除方法(B)で用いられるべき殺虫剤は、遅効性のものが好ましく、具体的には、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)等のベンゾイルウレア系化合物;
シロマジン(cyromazine)等のトリアジン化合物;
ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)等のビスアシルヒドラジン化合物;
メトプレン(methoprene)、ハイドロプレン(hydroprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)等の幼若ホルモン類;
フィプロニル(fipronil)、バニリプロール(vaniliprole)、エチプロール(ethiprole)、アセトプロール(acetoprole)等のフェニルピラゾール類;
クロルフェナピル(chlorfenapyr)等のピロール類;
ヒドラメチルノン(hydramethylnon)等のヒドラゾン類などが挙げられる。このような殺虫剤を含む薬剤を、例えば、ペーパータオル、紙、木材、木質材料等またはペーパータオルあるいは紙をロール上に巻いたもの等の資材に、塗布、吹き付け、浸漬等によって添加して製造したシロアリ用食餌材において、殺虫剤の有効成分が、該資材の重量に対して、0.001〜10%となるよう調製することが好ましい。
【0059】
なお、上記食餌材の製造において、殺虫剤による処理と、環状オリゴ糖による処理とを別々に行い、食餌材の内部または表面において、環状オリゴ糖と殺虫剤とを溶媒を介して接触させてもよい。
【0060】
上記の防除方法(A)および(B)において、どちらを選択するかは、害虫の通過経路の状態、通過経路およびその周辺の既設の工業材料の状態、被害の進行状況等によって判断する。例えば、工業材料食害害虫が好ましくはシロアリである場合、被害部や蟻道が認められ、その場所で防除方法を適用することができるとき、その場所に食餌材を設置するか、または薬剤を塗布、吹き付け、あるいは穿孔注入等によって添加する方法が有用である。また、一般家屋でのシロアリを防除するためには、家屋の床下またはその周辺土壌に食餌材を設置することができ、この場合の食餌材の使用量はシロアリ被害の進行状況、家屋の床下および周辺の状況により適宜設定し得るものであるが、通常1箇所あたり5〜200g程度の食餌材を使用し、食餌材の設置個数は家屋の面積50m2当り2〜30個である。また、通常用いられるシロアリ用のベイト・ステーション(Termite Station)を用いて、シロアリ活動をモニターリングし、シロアリ活動を認めた場合に、ベイト・ステーションの内部資材や周辺を本発明の薬剤で処理する方法、あるいはベイト・ステーションの内部に本発明の毒餌材を設置する方法も、シロアリ防除のための具体的な施工方法として有用である。
【0061】
シロアリ以外の工業材料食害害虫としては、キクイムシが好ましく、上記防除方法(A)および(B)を適用できる。また、これら以外の工業材料食害害虫を防除する場合も、防除方法(A)および(B)を適用することができる。また、例えば、ヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)、チビタケナガシンクイ(Dinoderus minutus)の防除においては、本発明の薬剤を含有するエアゾール剤あるいは液剤を、被害を受けた木材、竹材での、虫害によって生じた穴から注入する方法、または、被害箇所に穿孔注入する方法も有用である。なお、このような防除方法は、アメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor)の防除方法としても有用である。また、例えば、イガ(Tinea translucens Meyrick)の防除の場合は、本発明の食餌材を生育場所に設置する方法も有用である。また、例えば、ハサミムシ類(Dermaptera)、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)の防除の場合は、本発明の薬剤を家屋基礎部分等に家屋を取り囲むように散布し、殺虫剤によるバリアを形成することで、家屋内への害虫の侵入阻止と防除を行う方法も有用である。
【0062】
<食餌材>
本発明の食餌材は、本発明の薬剤を含み、木材、木材複合材、木質材料、セルロース系材料、天然系材料、合成系材料および合成樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の材料を、さらに含むことが好ましい。該材料は、工業材料食害害虫によって食害を受け易いものから選択されたものであり、木材、木材複合材、木質材料、セルロース系材料、または天然系材料の好適な例として、製材、丸太材、板材、木材加工品、木粉、セルロース粉末、紙、皮革からなる資材が挙げられる。また、天然系材料、合成系材料または合成樹脂に属する材料の好適な例として、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、レゾルシノール樹脂、変性ポリビニルアルコール、ポリエステル樹脂、ポリ乳酸、ポリカプロラクタム、セルロース含有樹脂、セルロース含有無機材料、天然ゴム、合成ゴムおよびこれらの材料から製造される発泡体、粉末、シート等の資材が挙げられる。
【0063】
上記工業材料食害害虫としては、具体的には、上述の工業材料食害害虫が挙げられ、これらのうち、シロアリまたはキクイムシが好ましい。
上記食餌材の製造方法は、上述したとおりであり、木材、木材複合材、木質材料、セルロース系材料、天然系材料、合成系材料および合成樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の材料に、本発明の薬剤を塗布、吹き付け、浸漬、加圧、穿孔注入等によって添加する方法である。また、該合成樹脂の材料を用いる場合には、環状オリゴ糖および殺虫剤をマスターバッチに加工してから使用する方法であってもよい。
【0064】
本発明の食餌材は、環状オリゴ糖および殺虫剤を、木材、木材複合材、木質材料、セルロース系材料、天然系材料、合成系材料および合成樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の材料に直接添加する方法によっても製造することができ、例えば、環状オリゴ糖および殺虫剤を、カルボキシメチルセルロース、デンプン、リグニンスルホン酸ナトリウム、デキストリンポリビニルアルコール等の結合剤とともに、木粉あるいはセルロース系材料粉末に混合し、圧縮等によって成形したものが好ましい。
【0065】
また、食餌材を、菌類または細菌による汚染または破壊、藻類による汚染から保護する目的で、食餌材に抗菌性化合物をさらに含ませることも好ましく、このような抗菌性化合物として、上述の抗菌性化合物が挙げられる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例にてより詳細に説明するが、本発明は下記の特定の様態に制限されるものではない。
[調製例1]
50℃に加温した2%のγ−シクロデキストリン((株)シクロケム製)水溶液50gに、アセトン10gとジフルベンズロン(和光純薬工業(株)から購入)0.2gとの混合溶液を投入し、4時間撹拌しながら徐々に室温まで冷却した後で、40℃の乾燥室で乾燥させて白色粉末0.95gを得、これを薬剤Aとした。
【0067】
[調製例2]
50℃に加温したイソエリートL(日研化成(株) 製)の8倍希釈水溶液20gに、エタノール2gとクロルフェナピル(和光純薬工業(株)から購入)0.2gとの混合溶液を投入し、4時間撹拌しながら徐々に室温まで冷却した後で、40℃の乾燥室で乾燥し、得られた白色粉末を薬剤Bとした。なお、イソエリートLは、市販の液状の分岐シクロデキストリン製品であり、イソエリートLの固形分は70%以上、固形分当りのマルトシルシクロデキストリン含有量は50%以上、固形分当りの全シクロデキストリン含有量は80%以上である。
【0068】
[調製例3]
50℃に加温した5%のメチル化−β−シクロデキストリン((株)シクロケム製)水溶液9.99gに、ヒドラメチルノン(和光純薬工業(株)から購入)を10mg投入し、4時間撹拌しながら徐々に室温まで冷却し、得られた溶液を薬剤Cとした。
【0069】
[製造例1]
上記薬剤Aを水で各濃度に希釈して懸濁液を得、この懸濁液をペーパータオル(商品名;キムタオル、十条キンバリー社製、30mm×30mmに裁断して使用した)に浸み込ませ、乾燥することで、ペーパータオルの乾燥重量(0.25g)に対してジフルベンズロンを、それぞれ0.2%、0.4%または1%の濃度で含有する食餌材を調製した。ジフルベンズロンの各濃度に応じて、それぞれ食餌材a、食餌材bおよび食餌材cとする。
【0070】
[製造例2]
上記薬剤Bを水で各濃度に希釈して懸濁液を得、上記食餌材a〜cと同様の調製方法によって、クロルフェナピルをそれぞれ0.01%、0.02%または0.05%の濃度で含有する食餌材d〜f(クロルフェナピルの各濃度に応じて順に食餌材d、食餌材eおよび食餌材fとする)を調製した。
【0071】
[製造例3]
上記薬剤Cを水で各濃度に希釈し、上記食餌材a〜cと同様の調製方法によって、ヒドラメチルノンをそれぞれ0.2%、0.4%または1%の濃度で含有する食餌材g〜i(ジフルベンズロンの各濃度に応じて順に食餌材g、食餌材hおよび食餌材iとする)を調製した。
【0072】
[製造例4]
ジフルベンズロンを、エタノールに各濃度で溶解させた後、この溶液を、上記ペーパータオルに浸み込ませ、乾燥することで、ペーパータオルの乾燥重量に対してジフルベンズロンをそれぞれ0.2%、0.4%または1%の濃度で含有する比較材a〜c(ジフルベンズロンの各濃度に応じて順に比較材a、比較材bおよび比較材cとする)を調製した。
【0073】
[製造例5]
上記ジフルベンズロンの代わりにクロルフェナピルを用いる以外は上記比較材a〜cと同様の調製方法によって、クロルフェナピルをそれぞれ0.01%、0.02%または0.05%の濃度で含有する食餌材d〜f(クロルフェナピルの各濃度に応じて順に比較材d、比較材eおよび比較材fとする)を調製した。
【0074】
[製造例6]
上記ジフルベンズロンの代わりにヒドラメチルノンを用いる以外は上記比較材a〜cと同様の調製方法によって、ヒドラメチルノンをそれぞれ0.2%、0.4%または1%の濃度で含有する比較材g〜i(ヒドラメチルノンの各濃度に応じて順に比較材g、比較材hおよび比較材iとする)を調製した。
【0075】
[製造例7]
β−シクロデキストリンを、水で各濃度に溶解し、この溶液を上記ペーパータオルに浸み込ませ、乾燥することで、ペーパータオルの乾燥重量に対してβ−シクロデキストリンを0.75%、1.5%または3.75%の濃度で含有する比較材j〜l(β−シクロデキストリンの各濃度に応じて順に比較材j、比較材kおよび比較材lとする)を調製した。
【0076】
[実施例1]
イエシロアリ(Coptotermes formosanus)に対する効果を確認するため、水で湿らせた上記ペーパータオル約2gを敷いたガラスシャーレの中に、プラスチック製の小皿を置き、その小皿の上に、製造例1の食餌材a、bまたはcを乾燥重量として1.000gとなる量で設置して試験容器を準備した。この試験容器に、イエシロアリ職蟻150頭およびイエシロアリ兵蟻15頭を投入して25℃、相対湿度(RH)85%の暗室に14日間置き、食餌材a〜cの乾燥重量の測定による食害量(mg)およびシロアリの死虫率(%)の算出を行った。結果を表1に示す。
【0077】
[実施例2]
食餌材a〜cの代わりに食餌材d〜fを用いる以外は実施例1と同様に、イエシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0078】
[実施例3]
食餌材a〜cの代わりに食餌材g〜iを用いる以外は実施例1と同様に、イエシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0079】
[実施例4]
イエシロアリの代わりにヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)を用いた以外は実施例1と同様の方法で、ヤマトシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0080】
[実施例5]
食餌材a〜cの代わりに食餌材d〜fを用いる以外は実施例4と同様に、ヤマトシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0081】
[実施例6]
食餌材a〜cの代わりに食餌材g〜iを用いる以外は実施例4と同様に、ヤマトシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0082】
[比較例1]
食餌材a〜cの代わりに比較材a〜cを用いる以外は実施例1と同様に、イエシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0083】
[比較例2]
食餌材a〜cの代わりに比較材d〜fを用いる以外は実施例1と同様に、イエシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0084】
[比較例3]
食餌材a〜cの代わりに比較材g〜iを用いる以外は実施例1と同様に、イエシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0085】
[比較例4]
食餌材a〜cの代わりに比較材j〜lを用いる以外は実施例1と同様に、イエシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0086】
[比較例5]
イエシロアリの代わりにヤマトシロアリ(Reticulitermes speratus)を用いた以外は比較例1と同様の方法で、ヤマトシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0087】
[比較例6]
食餌材a〜cの代わりに食餌材d〜fを用いる以外は比較例5と同様に、ヤマトシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0088】
[比較例7]
食餌材a〜cの代わりに食餌材g〜iを用いる以外は比較例5と同様に、ヤマトシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0089】
[比較例8]
食餌材a〜cの代わりに食餌材j〜lを用いる以外は比較例5と同様に、ヤマトシロアリに対する効果を確認した。結果を表1に示す。
【0090】
【表1】

【0091】
ただし、表中の「CD」は、シクロデキストリンを表す。
表1から、比較材a〜iを用いた場合は、殺虫剤のシロアリに対する忌避作用のため、シロアリによる食餌材の食害が進まず、低い死虫率であったが、環状オリゴ糖と殺虫剤とを含有する薬剤で処理された食餌材では、高い食害量と高い死虫率が認められ、本発明の薬剤及び食餌材の優れたシロアリ防除効果が示された。
【0092】
[実施例9]
10%のメチル化−β−シクロデキストリンおよび2%のγ−シクロデキストリンを含む水溶液1000gに、界面活性剤としてDKエステルF−10(市販のショ糖脂肪酸エステル製品、第一工業製薬(株) 製)を1g、殺虫剤としてノバルロン(マクテシムアガン産業製)4gおよびピリプロキシフェン(和光純薬工業(株)製)0.1g、さらに、抗菌性化合物としてシプロコナゾールを0.1g添加し、4時間攪拌することで、防除用の薬剤を調製した。
【0093】
宅地面積10m×8mを有する一般住宅に接した5m×10mの庭において、その庭の中央部にある切り株に営巣したヤマトシロアリを防除するため、その庭を囲むようにして設置された木製フェンスに上記薬剤の全量を噴霧し、2ケ月後に切り株を掘り起こして巣の状態を確認した結果、ヤマトシロアリの死滅が認められ、本発明は優れたシロアリ防除方法を与えることが示された。
【0094】
[実施例10]
1.5%のβ−シクロデキストリン水溶液400gに、殺虫剤としてノバルロン1.6gを投入し、30℃で12時間撹拌した後で、40℃の乾燥室で乾燥して得られた白色粉末に、100メッシュの篩を通過した木材(アスペン材)の木粉を30.4g、結合剤としてカルボキシメチルセルロース(ナトリウム塩)を2g加えて混合し、水を添加して混練してから10cm×6cm×(厚さ)1cmの大きさの板状に圧縮成形し、さらに60℃で熱風乾燥して、食餌材を製造した。
【0095】
宅地面積12m×8mを有する一般住宅の床下に進入したイエシロアリを防除するため、上記の食餌材をシロアリの蟻道に接するように設置して経過を観察したところ、2ケ月後には毒餌材の重量は食害によって70%減少していたが、もはやシロアリの進入は認められず、毒餌材によって効果的にシロアリ駆除された。
【0096】
[実施例11]
50gのジメチルエーテル(DME)に、メチル化−β−シクロデキストリンを5g、殺虫剤としてエトフェンプロックスを0.1g、抗菌性化合物として5−クロロ−N−メチルイソチアゾリン−3−オンを0.01g添加し、1時間攪拌することで、防除用のエアゾール系の薬剤を調製した。また、対照としてメチル化−β−シクロデキストリンを含まない薬剤を調製した。
【0097】
レッドラワン辺材から切り出した木片(2cm×1cm×10cm、木口面が2cm×1cm)にて、両木口をあらかじめエポキシ系接着剤でシールして試験材を準備し、次に、試験材の長さ方向の半分の部位に、上記薬剤を1m2当り100gに相当する量で塗布し、室温で16時間乾燥させ、処理材を調製した。なお、上記薬剤は有機溶媒であるジメチルエーテルを含むエアゾール系の薬剤ではあるが、噴霧処理では処理量の算出が困難なため、試験として、塗布により処理材を調製したものである。
【0098】
次に、ミズナラ辺材で2世代累代飼育したヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)を用いて、成虫発生後1〜2日以内のヒラタキクイムシ成虫の雌雄各5頭を、処理材を設置したガラス容器に投入し、20℃、65%RHの恒温恒湿室内での飼育と観察を行ったところ、20日間の飼育後において、対照のメチル化−β−シクロデキストリンを含まない薬剤を使用した側は5頭のヒラタキクイムシ生存していたが、メチル化−β−シクロデキストリンを含む薬剤を使用した側はすべてのヒラタキクイムシが死滅しており、本発明は優れたキクイムシ防除方法を与えることが示された。
【0099】
[実施例12]
60gのエチレングリコール、12gの水(イオン交換水)、8gのγ−シクロデキストリン、0.4gのイミダクロプリド、0.001gのローズベンガル(rose bengal)・ナトリウム塩(赤色の色素)を混合し、1時間攪拌することで、防除用の塗布・注入用の薬剤を調製した。また、対照としてβ−シクロデキストリンを含まない薬剤を調製した。
【0100】
レッドラワン辺材から切り出した木片(2cm×1cm×10cm、木口面が2cm×1cm)にて、両木口をあらかじめエポキシ系接着剤でシールして試験材を準備し、次に、試験材の長さ方向の半分の部位に、上記薬剤を1m2当り100gに相当する量で塗布し、室温で16時間乾燥させ、処理材を調製した。
【0101】
次に、ミズナラ辺材で2世代累代飼育したヒラタキクイムシ(Lyctus brunneus)を用いて、成虫発生後1〜2日以内のヒラタキクイムシ成虫の雌雄各5頭を、処理材を設置したガラス容器に投入し、20℃、65%RHの恒温恒湿室内での飼育と観察を行ったところ、β−シクロデキストリンを含まない薬剤を使用した側は28日目にすべてのヒラタキクイムシが死滅したが、β−シクロデキストリンを含む薬剤を使用した側は12日目にすべてのヒラタキクイムシが死滅し、本発明は優れたキクイムシ防除方法を与えることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オリゴ糖および殺虫剤を、溶媒を介して接触させる工程を経て製造することを特徴とする害虫防除のための薬剤。
【請求項2】
上記薬剤が、工業材料を害虫から保護するために用いることを特徴とする請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
上記環状オリゴ糖が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の環状オリゴ糖であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤。
【請求項4】
上記殺虫剤が、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、シロマジン、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブ、フィプロニル、バニリプロール、エチプロール、アセトプロール、クロルフェナピルおよびヒドラメチルノンからなる群から選択される少なくとも1種の殺虫剤であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤。
【請求項5】
上記害虫が、シロアリまたはキクイムシであることを特徴とする請求項1に記載の薬剤。
【請求項6】
環状オリゴ糖および殺虫剤を、溶媒を介して接触させる工程を経て製造する害虫防除のための薬剤を、工業材料に含ませ、
該工業材料を、該害虫の通過経路に設置することを特徴とする、該害虫の防除方法。
【請求項7】
上記環状オリゴ糖が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の環状オリゴ糖であることを特徴とする請求項6に記載の防除方法。
【請求項8】
上記殺虫剤が、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、シロマジン、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブ、フィプロニル、バニリプロール、エチプロール、アセトプロール、クロルフェナピルおよびヒドラメチルノンからなる群から選択される少なくとも1種の殺虫剤であることを特徴とする請求項6に記載の防除方法。
【請求項9】
請求項6に記載の害虫が、シロアリまたはキクイムシであることを特徴とする請求項6に記載の防除方法。
【請求項10】
環状オリゴ糖および殺虫剤を、溶媒を介して接触させる工程を経て製造する害虫防除のための薬剤、および
木材、木材複合材、木質材料、セルロース系材料、天然系材料、合成系材料および合成樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の材料
を含むことを特徴とする食餌材。
【請求項11】
上記環状オリゴ糖が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンおよびこれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の環状オリゴ糖であることを特徴とする請求項10に記載の食餌材。
【請求項12】
上記殺虫剤が、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、ジフルベンズロン、トリフルムロン、ヘキサフルムロン、フルフェノクスロン、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、シロマジン、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、メトプレン、ハイドロプレン、ピリプロキシフェン、フェノキシカルブ、フィプロニル、バニリプロール、エチプロール、アセトプロール、クロルフェナピルおよびヒドラメチルノンからなる群から選択される少なくとも1種の殺虫剤であることを特徴とする請求項10に記載の食餌材。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれかに記載の食餌材を、害虫の生息場所および/または通過経路に設置することを特徴とする該害虫の防除方法。
【請求項14】
請求項13に記載の害虫が、シロアリまたはキクイムシであることを特徴とする請求項13に記載の防除方法。

【公開番号】特開2009−161471(P2009−161471A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341241(P2007−341241)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000127879)株式会社エス・ディー・エス バイオテック (23)
【Fターム(参考)】