説明

害虫防除エアゾール用組成物

【課題】優れた害虫防除効力を有するエアゾール用組成物を提供すること
【解決手段】式(I)


〔式中、Xは水素原子又はシアノ基を表し、Zは水素原子又はフッ素原子を表し、R1及びR2は各々、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基又はハロゲン原子を表す。〕で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、有機溶剤及び噴射剤を含有する害虫防除エアゾール用組成物は優れた害虫防除効力を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は害虫防除エアゾール用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートが害虫防除効力を有することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第6908945号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は優れた害虫防除効力を有するエアゾール用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、優れた害虫防除効力を有するエアゾール用組成物を見出すべく検討の結果、式(I)

〔式中、
Xは水素原子又はシアノ基を表し、Zは水素原子又はフッ素原子を表し、
1及びR2は各々、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基又はハロゲン原子を表す。〕
で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、有機溶剤及び噴射剤を含有する害虫防除エアゾール用組成物を含有するエアゾールが優れた害虫防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕式(I)

〔式中、
Xは水素原子又はシアノ基を表し、Zは水素原子又はフッ素原子を表し、
1及びR2は各々、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基又はハロゲン原子を表す。〕
で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物、
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
有機溶剤及び噴射剤を含有する害虫防除エアゾール用組成物。
〔2〕式(I)において、Zが水素原子である〔1〕記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔3〕式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物の含有割合が、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1重量部に対して0.5〜50重量部である〔1〕または〔2〕記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔4〕式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物及び4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの含有量が、合わせて0.001〜1重量パーセントであり、
有機溶剤の含有量が10〜79重量パーセントであり、
噴射剤の含有量が20〜80重量パーセントである〔1〕〜〔4〕いずれか記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔5〕式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物が、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン及びデルタメトリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である〔1〕〜〔4〕いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔6〕式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物が、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン及びデルタメトリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である〔1〕〜〔5〕いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔7〕有機溶剤が、飽和炭化水素系溶剤を含有成分とする有機溶剤である〔1〕〜〔6〕いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔8〕有機溶剤中の飽和炭化水素系溶剤の含有量が70〜100重量パーセントである〔7〕記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔9〕害虫がハエである〔1〕〜〔8〕いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔10〕〔1〕〜〔9〕いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物を含有する害虫防除エアゾール。
【発明の効果】
【0006】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物を用いることにより、害虫を防除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物とは、式(I)

〔式中、Xは水素原子又はシアノ基を表し、Zは水素原子又はフッ素原子を表し、R1及びR2は各々、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基又はハロゲン原子を表す。〕で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物(以下、本エステル化合物と記す場合もある。)、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下、本化合物Aと記す場合もある。)、有機溶剤及び噴射剤を含有するものである。
【0008】
本エステル化合物としては、式(Ia)

で示されるフェノトリン(X=H,R1=CH3,R2=CH3)、シフェノトリン(X=CN,R1=CH3,R2=CH3)、ペルメトリン(X=H,R1=Cl,R2=Cl)、シペルメトリン(X=CN,R1=Cl,R2=Cl)及びデルタメトリン(X=CN,R1=Br,R2=Br)等が挙げられ、式(Ib)

で示されるシフルトリン(X=CN,R1=Cl,R2=Cl)等が挙げられる。
本エステル化合物には、シクロプロパン環上に存在する2つの不斉炭素原子、並びに、Xがシアノ基を表す場合には該シアノ基と結合する位置の不斉炭素原子、更にR1及びR2が相異なる基を表す場合には二重結合に由来する異性体が存在するが、本発明にはその各々及び任意の異性体比率である化合物を用いることができる。
【0009】
本化合物Aとは、例えば米国特許第6908945号明細書に記載される化合物であり、該公報に記載される方法により製造することができる。
本化合物Aには、シクロプロパン環上に存在する2つの不斉炭素原子及び二重結合に由来する異性体が存在するが、本発明にはその各々および任意の異性体比率である化合物を用いることができる。
【0010】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物に含有される本エステル化合物及び本化合物Aの含有量は、これらの化合物の合計で通常0.001〜50重量パーセント、好ましくは0.01〜1重量パーセントである。また、本発明の害虫防除エアゾール用組成物に含有される本エステル化合物及び本化合物Aの含有割合は、本化合物A 1重量部に対して、本エステル化合物が通常0.5〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合である。
【0011】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物に含有される有機溶剤としては、例えばネオチオゾール(中央化成株式会社製)、ノルパー13(エクソンモービル有限会社製)、ノルパー15(エクソンモービル有限会社製)等のノルマルパラフィン系溶剤、アイソパーG(エクソンモービル有限会社製)、アイソパーL(エクソンモービル有限会社製)、アイソパーH(エクソンモービル有限会社製)、アイソパーM(エクソンモービル有限会社製)等のイソパラフィン系溶剤、及びこれらの混合物、並びに、エクソールD40(エクソンモービル有限会社製)、エクソールD60(エクソンモービル有限会社製)、エクソールD80(エクソンモービル有限会社製)等の鎖状飽和炭化水素とナフテン(シクロパラフィン)との混合溶剤等の飽和炭化水素系溶剤が挙げられ、有機溶剤として飽和炭化水素系溶剤を含有する場合としては、例えば、有機溶剤中の飽和炭化水素系溶剤の含有量が70〜100重量パーセント程度となるように含有させる場合が挙げられる。
本発明の害虫防除エアゾール用組成物に含有される有機溶剤の含有量は、通常10〜79重量パーセント、好ましくは20〜70重量パーセントである。
【0012】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物に含有される噴射剤とは、沸点が−50℃〜0℃である液化ガスであって、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、プロパン、n−ブタン及びイソブタンが挙げられる。本発明の害虫防除エアゾール用組成物に含有される噴射剤の含有量は、通常20〜80重量パーセント、好ましくは25〜75重量パーセントである。
【0013】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物には、必要により、他の害虫防除成分、忌避剤、共力剤、香料等の1種以上を適宜配合することができる。
他の害虫防除成分としては、例えば、ジクロルボス、フェニトロチオン、テトラクロロビンホス、フェンチオン、クロルピリホス、ダイアジノン等の有機燐化合物、プロポキサー、カルバリル、メトキサジアゾン、フェノブカルブ等のカーバメート化合物、ルフェヌロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、シロマジン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア等のキチン形成阻害物質、ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブ等の幼若ホルモン様物質、ネオニコチノイド系化合物、N−フェニルピラゾール系化合物が挙げられる。
【0014】
忌避剤としては、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、インドキサカルブ、カラン−3,4−ジオール、MGK−R−326、MGK−R−874及びBAY−KBR−3023が挙げられる。
共力剤としては、例えば、5−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシメチル〕−6−プロピル−1,3−ベンゾジオキソール、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、オクタクロロジプロピルエーテル、チオシアノ酢酸イソボルニル、N−(2−エチルへキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドが挙げられる。
安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル等のフェノ−ル系酸化防止剤等が挙げられる。
【0015】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物は、例えば、本エステル化合物、本化合物A及び有機溶剤、並びに、必要に応じて適宜配合される他の害虫防除成分、忌避剤、共力剤、安定剤等をエアゾール容器に充填し、該容器にエアゾールバルブを装着し、噴射剤をステムを通して該容器中に充填し、振とうした後、アクチュエーターを装着することにより本発明の害虫防除エアゾール用組成物を含有する害虫防除エアゾールとして製造することができる。アクチュエーターとしては、例えば、ボタン式、トリガー式のものが挙げられる。
【0016】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物は、例えば、害虫、害虫の通り道及び/又は害虫の生息場所で、害虫防除のために有効量の本発明の害虫防除エアゾール用組成物を含有する害虫防除エアゾールを噴霧することにより施用される。その際の施用量は、面上に処理する場合は、処理面積1m2当たり、本エステル化合物及び本化合物Aの合計量として通常0.001〜1000mg程度であり、空間に処理する場合は、適用空間1m3当たり、本エステル化合物及び本化合物Aの合計量として通常0.001〜1000mg程度である。
【0017】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物は、以下のハエ類及びゴキブリ類等の昆虫、並びにダニ類などの害虫の防除に有効である。
チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ等のゴキブリ類; イエバエ、オオイエバエ等のハエ類; アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイイエカ、ヒトスジシマカ等のカ類; ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、クワガタツメダニ、ミナミツメダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニ、オウシマダニ等のダニ類; コロモジラミ、ウシジラミ等のシラミ類; ヤマトシロアリ、イエシロアリ等のシロアリ類; キクイムシ類; ユスリカ類; チョウバエ類; アリ類; ハチ類; ネコノミ、イヌノミ、ヒトノミ、ケオプスネズミノミ等のノミ類。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を製剤例及び試験例等の実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0019】
まず、本発明の害虫防除エアゾール用組成物を含有するエアゾールの製剤例を示す。なお、部は重量部を表す。
製剤例1
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、ペルメトリン 0.15部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.84部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填して害虫防除エアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、本エアゾール(1)と記す。)を得た。
【0020】
製剤例2
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、フェノトリン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.89部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填して害虫防除エアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、本エアゾール(2)と記す。)を得た。
【0021】
製剤例3
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、シフェノトリン 0.05部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.94部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填して害虫防除エアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、本エアゾール(3)と記す。)を得た。
【0022】
製剤例4
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、シペルメトリン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.89部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填して害虫防除エアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、本エアゾール(4)と記す。)を得た。
【0023】
製剤例5
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、デルタメトリン 0.05部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.94部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填して害虫防除エアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、本エアゾール(5)と記す。)を得た。
【0024】
製剤例6
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、シフルトリン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.89部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填して害虫防除エアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、本エアゾール(6)と記す。)を得る。
【0025】
製剤例7
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、ペルメトリン 0.15部、アイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 59.84部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 40部を充填して害虫防除エアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、本エアゾール(7)と記す。)を得た。
【0026】
参考製造例1
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.99部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(1)と記す。)を得た。
【0027】
参考製造例2
ペルメトリン 0.15部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.85部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(2)と記す。)を得た。
【0028】
参考製造例3
フェノトリン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.9部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(3)と記す。)を得た。
【0029】
参考製造例4
シフェノトリン 0.05部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.95部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(4)と記す。)を得た。
【0030】
参考製造例5
シペルメトリン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.9部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(5)と記す。)を得た。
【0031】
参考製造例6
デルタメトリン 0.05部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.95部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(6)と記す。)を得た。
【0032】
参考製造例7
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、フェニトロチオン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.89部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(7)と記す。)を得た。
【0033】
参考製造例8
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、エトフェンプロックス 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.89部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(8)と記す。)を得た。
【0034】
参考製造例9
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2−シアノ−1−プロペニル(E/Z=1/5))−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート 0.01部、ビフェンスリン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.89部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(9)と記す。)を得た。
【0035】
参考製造例10
フェニトロチオン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.9部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(10)と記す。)を得た。
【0036】
参考製造例11
エトフェンプロックス 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.9部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(11)と記す。)を得た。
【0037】
参考製造例12
ビフェンスリン 0.1部、ジクロロメタン 5部及びアイソパーM(エクソンモービル有限会社製) 34.9部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス) 60部を充填してエアゾール用組成物 100部を含有するエアゾール(以下、対照エアゾール(12)と記す。)を得た。
【0038】
次に、本発明の害虫防除エアゾール用組成物を含有するエアゾールが優れた害虫防除効力を有することを試験例に示す。
【0039】
試験例1
ポリエチレンカップ(下部直径10.6cm、上部直径12cm、高さ7cm)にイエバエ成虫10頭(雄雌各5頭)を放飼し、16メッシュのナイロンゴースで蓋をした。また、イエバエを放飼していない同様のカップを用意した。一辺 70cmの立方体のチャンバー内の底面中央にイエバエの入ったカップを設置し、またその底面奥にイエバエを放飼していないカップを設置した。
該チャンバーの手前側面の中央部に設けられた小窓から、エアゾール用組成物量が300mgとなる量の本エアゾール(1)をチャンバー内に散布した。その後、10分後まで経時的にノックダウンした虫数をカウントした。散布後7分経過後のノックダウン率(KD率)を求めた。
【0040】
試験例2〜5
本エアゾール(1)の代わりに、本エアゾール(2)〜(5)を用いた以外は各々試験例1と同様の操作を行った。
【0041】
参考試験例1〜6
本エアゾール(1)の代わりに、対照エアゾール(1)〜(6)を用いた以外は各々試験例1と同様の操作を行った。
【0042】
試験例1〜5及び参考試験例1〜6の結果を、〔表1〕に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
参考試験例7〜12
本エアゾール(1)の代わりに、対照エアゾール(7)〜(12)を用いた以外は各々試験例1と同様の操作を行った。
それらの結果を〔表2〕に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
本化合物Aと本エステル化合物とを含有する害虫防除エアゾール用組成物を含有するエアゾールは、各々を単独で含有するエアゾール組成物を含有するエアゾールと比較して、顕著な防除効力の向上を示した。
一方、本化合物Aと、本エステル化合物以外の他の害虫防除化合物とを含有するエアゾール用組成物を含有するエアゾールには、各々を単独で含有するエアゾール組成物を含有するエアゾールと比較して防除効力の向上が確認できなかった。
【0047】
試験例6
チャバネゴキブリ10頭(雄雌各5頭)を内壁にバターを塗った試験用コンテナー(直径8.75cm、高さ7.5cm、底面16メッシュ金網張り)内に放した。内径16.5cm、高さ60cmの円筒形チャンバー内底部に該コンテナーを置いた。円筒形チャンバー上部から該カップに向けて本エアゾール(7)を400mg噴霧した。その後、5分後まで経時的にノックダウンした虫数をカウントした。得られた結果から供試虫の50パーセントがノックダウンするのに要した時間(KT50値)を算出した(各2反復)。その結果、KT50値は1.5minであった。
【0048】
試験例7
クロゴキブリ6頭(雄雌各3頭)を内壁にバターを塗った試験用コンテナー(直径12.5cm、高さ10cm、底面43メッシュ金網張り)内に放した。内径16.5cm、高さ60cmの円筒形チャンバー内底部に該コンテナーを置いた。円筒形チャンバー上部から該カップに向けて本エアゾール(7)を1000mg噴霧した。その後、20分後まで経時的にノックダウンした虫数をカウントした。得られた結果から供試虫の50パーセントがノックダウンするのに要した時間(KT50値)を算出した(各2反復)。その結果、KT50値は16minであった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の害虫防除エアゾール用組成物を用いることにより、害虫を防除することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

〔式中、
Xは水素原子又はシアノ基を表し、Zは水素原子又はフッ素原子を表し、
1及びR2は各々、水素原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1−C3アルキル基又はハロゲン原子を表す。〕
で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物、
4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、
有機溶剤及び噴射剤を含有する害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項2】
式(I)において、Zが水素原子である請求項1記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項3】
式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物の含有割合が、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート1重量部に対して0.5〜50重量部である請求項1又は2記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項4】
式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物及び4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル 3−(2−シアノ−1−プロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレートの含有量が、合わせて0.001〜1重量パーセントであり、
有機溶剤の含有量が10〜79重量パーセントであり、
噴射剤の含有量が20〜80重量パーセントである請求項1〜3のいずれか記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項5】
式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物が、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン及びデルタメトリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項6】
式(I)で示される3−フェノキシベンジルエステル化合物が、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン及びデルタメトリンからなる群より選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜4いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項7】
有機溶剤が、飽和炭化水素系溶剤を含有成分とする有機溶剤である請求項1〜6いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項8】
有機溶剤中の飽和炭化水素系溶剤の含有量が70〜100重量パーセントである請求項7記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項9】
害虫がハエである請求項1〜8いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物を含有する害虫防除エアゾール。

【公開番号】特開2008−273945(P2008−273945A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77972(P2008−77972)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】