説明

害虫駆除用噴霧装置

【課題】電池等の電源を一切用いることなく、常に良好に蚊等の害虫を駆除することができると共に、誤作動による薬剤の噴霧を防止して、安全性を高めることができる害虫駆除用噴霧装置を提供する。
【解決手段】害虫駆除用噴霧装置において、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定可能とする誤作動防止機構部30を備え、この誤作動防止機構部30にあっては、先端側にストッパー部34を有しかつ水平方向に回動自在になるロックレバー32を設けて、このロックレバー32を水平方向に回動することで、先端側のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側に入って、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定して、耐圧容器8のバルブステム12が押されないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤における害虫駆除効果が長時間にわたって持続するようにした蚊等の害虫を駆除する害虫駆除用噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蚊を長時間にわたって駆除する方法としては、殺虫成分を含浸したマットを加熱器具にて加熱して、殺虫成分を空中に揮散させるようにした、あるいは殺虫成分が入っている薬液に吸液芯を浸し、この吸液芯を加熱器具にて加熱して、殺虫成分を空中に揮散させるようにしたもの等が一般的であった。
【0003】
このようなものにあっては、加熱器具を作動させるための電気コードを用いており、この電気コードを家庭等のコンセントに差し込むことにより、これを電源として、加熱器具を作動して殺虫成分を空中に揮散させるようにしていたが、電気コードを用いているため、コンセントのある場所でしか使用することができないとった問題が生じる。
【0004】
そこで、近年、このような加熱器具及び電気コードを用いずに、コンセントのない場所でも使用することのできる方法が研究されてきた。これは例えば、電池を収納し、この電池を電源として、ファンを作動してファンの送風によって殺虫成分を空中に揮散させるようにしたものである。このような方法であると、電池を電源としているため、コンセントのない場所、要するに、どのような場所でも使用することができ、前述の問題を解消することができた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電池を電源として用いたものであっても、電池という電源がどうしても必要であり、このため、電源である電池が消耗してしまうと、使用することができない、要するに、蚊等の害虫を駆除することができないといった問題が生じるおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題が生じることなく、常に良好に蚊等の害虫を駆除することができる害虫駆除用噴霧装置を提供することを、その課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上部にバルブステムを設けた害虫駆除効果を有する薬剤を収容する耐圧容器を、装置本体の内部に収納し、この装置本体の上部に、上下動する噴霧用ボタンを備え、この噴霧用ボタンを押して下方に移動させることにより、装置本体の内部に収納した耐圧容器のバルブステムが押されて、このバルブステムの放出口から薬剤が放出される害虫駆除用噴霧装置において、この噴霧用ボタンの下方への移動を固定可能とする誤作動防止機構部を備え、この誤作動防止機構部にあっては、先端側にストッパー部を有しかつ水平方向に回動自在になるロックレバーを設けて、このロックレバーを水平方向に回動することで、先端側のストッパー部が噴霧用ボタンの嵌合部の下側に入って、噴霧用ボタンの下方への移動を固定して、耐圧容器のバルブステムが押されないようにした害虫駆除用噴霧装置である。
【発明の効果】
【0008】
害虫駆除効果が長時間にわたって持続するように薬剤を噴霧することにより、蚊等の害虫を長時間にわたって駆除することができ、例えば、一日に1回、噴霧用ボタンを押して薬剤を噴霧するだけでよく、装置における使用が極めて簡単でまた容易なものすることができる。しかも、電池等の電源を一切使用していないので、電源の消耗による害虫の駆除ができないといった問題も解消することができ、常に良好に蚊等の害虫を駆除することができる。
【0009】
また、噴霧用ボタンの下方への移動を固定可能とする誤作動防止機構部を備えることにより、噴霧用ボタンに誤って触ったり、あるいは幼児が悪戯して、噴霧用ボタンに触れたりしても、この誤作動防止機構部においてロック状態に切り換えておくことで、噴霧用ボタンの下方への移動が固定されて、耐圧容器のバルブステムが押されて薬剤が噴霧されるのをなくすことができ、要するに、誤作動による薬剤の噴霧が起こらないようにして、安全面でも優れたものにする。
【0010】
さらに、この誤作動防止機構部において、耐圧容器のバルブステムの外側近傍に配置されるストッパー部を有し、このストッパー部によって、噴霧用ボタンの下方への移動を固定することにより、使用者が噴霧用ボタンを強く押したりして、この噴霧用ボタンにおいて多少の変形等が起こっても、耐圧容器のバルブステムが押されないようにしており、これによって、誤作動による薬剤の噴霧を確実に防止することで、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による害虫駆除用噴霧装置の正面図である。
【図2】本発明による害虫駆除用噴霧装置の一部を断面した平面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】本発明による害虫駆除用噴霧装置の分解斜視図である。
【図5】(a)誤作動防止機構部におけるロック状態の説明図である。(b)誤作動防止機構部におけるロックオフ状態の説明図である。
【図6】誤作動防止機構部の別の例を示す説明図である。
【図7】誤作動防止機構部の別の例におけるロックオフ状態の説明図である。
【図8】誤作動防止機構部の別の例を示す説明図である。
【図9】誤作動防止機構部の別の例におけるロックオフ状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による害虫駆除用噴霧装置の一実施形態について、図1、図2、図3、図4を用いて説明する。
【0013】
害虫駆除用噴霧装置は、装置本体1を備え、この装置本体1としては、内側のベース2と、このベース2の周囲を覆うようになる外側のカバー3とから構成している。
【0014】
装置本体1におけるベース2にあっては、底板4の一部に下側を開口する円筒状の容器収納部5を立設すると共に、その側方に十字状の補強板6を立設したもので、容器収納部5の下端部には底フタ7を着脱自在に取り付ける。
【0015】
また、装置本体1におけるカバー3にあっては、ベース2の周囲を覆うように、上下の両側全体が大きく開口した変形円錐台筒状としたもので、その下端においてベース2の底板4と嵌合するようにしている。
【0016】
そして、ベース2の容器収納部5には、害虫駆除効果を有する薬剤を収容する耐圧容器8を収納するようにしており、着脱自在となる底フタ7によって耐圧容器8を内部に収納した状態で保持するようになっている。この耐圧容器8には、その上部中央に、上方に向かう放出口11を有し、かつ上下動するバルブステム12を上方に突き出るように設ける。このバルブステム12は、図示してはいないが、下方よりスプリングにて上方に押し付けられ、通常、上方に押し付けられることで、バルブステム12の放出口11が塞がれた状態となり、内部に収容した薬剤が放出されないようになっているが、バルブステム12が下方に移動すると、この放出口11が開口して、放出口11より薬剤が放出されるようになっている。また、この耐圧容器に使用するバルブにあっては、1回押すと定量の内容物が噴出される定量バルブを用いるとよい。この定量バルブを用いることで、1回の使用で大気中に放出される薬剤量が、何回使用しても常に同じになり、その効果が安定する。定量バルブの定量値は、薬剤濃度によって決定されるが、0.05mlから0.3mlの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.1mlから0.2mlの範囲である。
【0017】
さらに、このベース2の容器収納部5の上面には、小穴13を形成し、この小穴13から耐圧容器8のバルブステム12が上方に飛び出るようにしている。
【0018】
一方、耐圧容器8の内部に収容する薬剤としては、例えばピレスロイド系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、有機リン系殺虫剤等が挙げられるが、安全面を考慮すると、一般的に安全性が高いピレスロイド系殺虫剤が好適である。そして、ピレスロイド系殺虫剤の中でも、良好な害虫駆除効果といったことで、トランスフルトリン(商品名:バイオスリン)、メトフルトリン(商品名:エミネンス)、エンペントリン(商品名:ペーパースリン)、テラレスリン、プロフルトリン等がよい。なお、薬剤は、これに限定されるものではなく、同様の害虫駆除効果を有するものなら他のものでもよい。また、薬剤は、薬剤のみ、薬剤を脂肪族炭化水素またはアルコールからなる有機溶剤に溶解して、これを原液として用いてもよい。
【0019】
また、この耐圧容器8には、薬剤と共に噴射剤も収容しており、この噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、ハロゲン化炭化水素、圧縮窒素、圧縮炭酸ガスからなる群より選ばれた少なくとも1つである。なお、噴射剤は、これに限定されるものではなく、同様の機能を有するものなら他のものでもよい。さらに、この耐圧容器8には、薬剤や噴射剤と共に溶液等も収容するようにしてもよい。
【0020】
そして、この耐圧容器8の内部への薬剤と噴射剤等の収容にあっては、耐圧容器8のバルブステム12において、放出された薬剤が非常に細かな霧状の粒子径とするために、放出口11の口径を小さくするのがよく、その範囲としては、直径1.5mm相当の開口面積以下が好ましく、さらに好ましくは直径0.3mm相当から直径0.7mm相当の開口面積の範囲である。また、液ガス比は、放出された薬剤が非常に細かな霧状の粒子径とするために、ガスリッチのほうがよく、その液比率としては、40%以下、さらに好ましくは、15%以下である。
【0021】
このように放出口11の口径を小さくすることによって、耐圧容器8のバルブステム12から薬剤が放出する際、内容物である薬剤が細孔を速い速度で通過することで、放出された薬剤が非常に細かな霧状になり、要するに粒子径が60μm以下、最も良好な値として5〜15μmといった極めて小さなものにすることができ、これにより、薬剤が室内等の空間を長時間にわたって漂うようになり、また、薬剤が床や壁等に付着しても室温程度の熱エネルギーで、再び薬剤が蒸散し、空間を漂うようになる。これらのことで、薬剤における害虫駆除効果を長時間にわたって持続させることができる。そして、このとき、1回の薬剤の放出すなわち噴霧によって、四畳半〜八畳程度の部屋の場合、薬剤における害虫駆除効果は約12時間持続する。また、八畳以上の大きな部屋の場合、薬剤の噴霧を2回以上の複数回行なうことで、同様の効果を得ることができる。なお、薬剤を噴霧する量にあっては、前述した量に限定されるものではなく、四畳半〜八畳程度の部屋の場合、例えば、1回の薬剤の噴霧する量を、前述の半分として、これを2回の噴霧によって薬剤における害虫駆除効果を約12時間持続するようにしてもよいし、また、1回の薬剤の噴霧する量を、前述の四分の一として、これを4回の噴霧によって薬剤における害虫駆除効果を約12時間持続するようにしてもよい。
【0022】
そして、このベース2とカバー3とから構成する装置本体1の上部には、上下動する噴霧用ボタン15を備える。これは、装置本体1におけるカバー3の上側の開口箇所全体にわたって噴霧用ボタン15を備えることで、装置本体1の上部に噴霧用ボタン15が大きくあらわれるようにしている。この噴霧用ボタン15は、その一端側の下部に軸受け部16を設け、この軸受け部16が装置本体1におけるベース2の容器収納部5の上面に設けた横向きの軸体21に軸着することで、当該噴霧用ボタン15が軸受け部16を中心に回動すなわち上下動するようにしている。
【0023】
また、この噴霧用ボタン15は、軸受け部16を設けた一端側の反対である他端側の上面を押しボタン部17として、使用者はこの押しボタン部17を押すようになる。また、押しボタン部17とした他端側の反対である一端側には噴霧口18を設けており、この噴霧口18は他端側に形成した押しボタン部17と反対方向の斜め上方に向かうようにしている。このように噴霧口18を押しボタン部17と反対方向の斜め上方に向けることで、使用者が噴霧用ボタン15の押しボタン部17を押した際、使用者に万が一にも薬剤がかからないような構造にしている。また、噴霧口18の下側には、この噴霧口18に連通する通路を有する嵌合部19を設け、この嵌合部19がベース2の容器収納部5の上面より上方に飛び出た耐圧容器8のバルブステム12に嵌合する。これにより、噴霧用ボタン15の押しボタン部17を押すと、噴霧用ボタン15が下方に移動して、この噴霧用ボタン15の嵌合部19も下方に移動することで、嵌合部19が耐圧容器8のバルブステム12に嵌合しつつこれを押すようになり、バルブステム12の放出口11から嵌合部19の通路を経て噴霧口18より薬剤が噴霧される。
【0024】
そして、このようなものにおいて、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定可能とする、要するに噴霧用ボタン15が押せないようにする誤作動防止機構部30を備える。この誤作動防止機構部30は、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定するロック状態と、この固定を解除するロックオフ状態とで切り換わるものであって、この切り換えによって、ロック状態では、噴霧用ボタン15の下方への移動が固定されるので、耐圧容器8のバルブステム12も押せなくなり、薬剤の噴霧ができないようにしている。また、ロックオフ状態では、噴霧用ボタン15の下方への移動の固定が解除されるので、耐圧容器8のバルブステム12が押せるようになり、薬剤の噴霧ができるようにしている。
【0025】
この誤作動防止機構部30としては、装置本体1におけるベース2の容器収納部5の上面に縦向きの軸体31を設けると共に、この軸体31に、その略中央において軸着するロックレバー32を設け、これにより、ロックレバー32が水平方向に回動自在になり、このロックレバー32の回動はベース2の容器収納部5の上面に設けた一対の突起片33により規制される。
【0026】
そして、このロックレバー32は、先端側に半円筒状のストッパー部34を有し、このストッパー部34を耐圧容器8のバルブステム12の外側近傍に配置可能にし、噴霧用ボタン15の嵌合部19の下端に直に当るようにしている。また、このロックレバー32の先端側と反対の手前側には爪部35を立設し、この爪部35は、装置本体1におけるカバー3に形成した穴部36より少し上方に飛び出すようにしている。
【0027】
この誤作動防止機構部30にあっては、使用者が、カバー3の穴部36より飛び出したロックレバー32の爪部35を操作し、ロックレバー32を水平方向に回動することで、このロックレバー32の先端側のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側に入ったり外れたりするようになっている。したがって、誤作動防止機構部30において、薬剤の噴霧ができないようにするロック状態の場合、図5(a)に示すように、ロックレバー32のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側に入って、このストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下端に当ることで、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定して、噴霧用ボタン15を押せなくして、これにより、耐圧容器8のバルブステム12も押せなくなり、薬剤の噴霧ができないようにしている。また、薬剤の噴霧ができるロックオフ状態の場合、図5(b)に示すように、ロックレバー32のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側より外れて、このストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下端に当らなくなることで、噴霧用ボタン15の下方への移動の固定を解除して、噴霧用ボタン15を押せるようにして、これにより、耐圧容器8のバルブステム12も押せるようになり、薬剤の噴霧ができるようにしている。
【0028】
次に、このようになる害虫駆除用噴霧装置の実際の使用について説明する。なお、対象害虫としては蚊の場合を次に示す。まず、当該害虫駆除用噴霧装置を、室内の所定の場所に載置しておく。そして、使用者が誤作動防止機構部30のロックレバー32の爪部35を操作して、噴霧用ボタン15の下方への移動を解除する、要するに、誤作動防止機構部30においてロックオフ状態に切り換える。切り換え後、使用者が装置本体1の上部に備えた噴霧用ボタン15の押しボタン部17を1回押して、噴霧用ボタン15の噴霧口18より薬剤を噴霧する。これによって、噴霧した薬剤が室内に漂い、かつ床や壁等に付着した薬剤が再蒸散して、室内を漂うようになり、この薬剤における害虫駆除効果は約12時間持続する。このことから、例えば、夕方に1回噴霧しておくことで、翌日の朝まで害虫駆除効果が得られ、蚊を駆除することができる。なお、使用者が噴霧用ボタン15の押しボタン部17を押した後は、誤作動防止機構部30のロックレバー32の爪部35を操作して、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定する、要するに、誤作動防止機構部30においてロック状態に切り換えておくことで、誤作動による薬剤の噴霧が起こらず安全である。
【0029】
また、装置本体1の内部に収納する耐圧容器8にあっては、その内部の薬剤がなくなった場合、装置本体1の下部の底フタ7を取り外して、ここより新しい耐圧容器8を入れ替えることで、当該害虫駆除用噴霧装置を繰り返し何回も使用することができる。
【0030】
以上のように、1回の噴霧で長時間にわたって蚊を駆除することができるので、例えば、一日に1回、噴霧用ボタン15の押しボタン部17を押して薬剤を噴霧するだけでよく、装置における使用が極めて簡単でまた容易であると共に、電池等の電源を一切使用していないので、電源の消耗による害虫の駆除ができないといった問題も解消することができ、常に良好に蚊等の害虫を駆除することができる。これらのことから、今までにはない極めて画期的な害虫駆除用噴霧装置を提供することができる。
【0031】
また、噴霧用ボタン15においても、装置本体1の上部に大きくあらわれるので、その操作性が非常によく、子供からお年寄りまでどのような人でも簡単に操作することができる。
【0032】
一方、当該害虫駆除用噴霧装置にあっては、通常、一日に1回、噴霧用ボタン15の押しボタン部17を押して薬剤を噴霧し、蚊等の害虫を駆除するものであるため、それ以外のときは薬剤を噴霧する必要は全くなかった。このことから、害虫駆除用噴霧装置において、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定可能とする誤作動防止機構部30を備えるようにし、この誤作動防止機構部30を備えることにより、噴霧用ボタン15に誤って触ったり、あるいは幼児が悪戯して、噴霧用ボタン15に触れたりしても、誤作動防止機構部30においてロック状態に切り換えておくことで、噴霧用ボタン15の下方への移動が固定されて、耐圧容器8のバルブステム12が押されて薬剤が噴霧されるのをなくすことができ、要するに、誤作動による薬剤の噴霧が起こらないようにしており、安全面でも優れたものにすることができる。
【0033】
また、この誤作動防止機構部30において、ロック状態のときにあっては、ロックレバー32の先端側のストッパー部34が耐圧容器8のバルブステム12の外側近傍に配置されて、噴霧用ボタン15の嵌合部19の下端に直に当るようになっているので、使用者が噴霧用ボタン15の押しボタン部17を強く押しり、あるいは押しボタン部17以外の部分を押したとき、噴霧用ボタン15において多少の変形等が起こっても、確実に耐圧容器8のバルブステム12が押されないようにしており、これにより、極めて安全なものにすることができる。
【0034】
次に、誤作動防止機構部30の別の例について述べる。誤作動防止機構部30としては、前述したものに限定されるものではなく、その他のものでもよい。これは例えば、図6、図7に示すように、装置本体1におけるベース2の容器収納部5の上面を水平にスライドする横向きのロックプレート37を設け、このロックプレート37の中央にはスライド用の長穴部38を形成し、この長穴部38に耐圧容器8のバルブステム12が嵌め込まれる。また、ロックプレート37は、その長穴部38の一端に半円筒状のストッパー部34を有し、このストッパー部34を耐圧容器8のバルブステム12の外側近傍に配置可能にし、噴霧用ボタン15の嵌合部19の下端に当るようにしている。また、このロックプレート37の両端は、装置本体1におけるカバー3の側面両側に形成した穴部39より側方に飛び出すようにしている。
【0035】
このロックプレート37にあっては、飛び出したロックプレート37の両端を使用者が操作して、ロックプレート37をスライドさせることにより、ロックプレート37のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側に入って、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定して薬剤の噴霧ができないようにするロック状態と、また、図7のように、ロックプレート37のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側より外れて、噴霧用ボタン15の下方への移動の固定を解除して薬剤の噴霧ができるようにするロックオフ状態とに切り換えるようにしている。これにより、前述したものと同様、誤作動による薬剤の噴霧が起こらないようにすることができる。
【0036】
さらに、別の例としては、図8、図9に示すように、装置本体1におけるベース2の容器収納部5の上面に縦向きの柱体41を設けると共に、この柱体41に、その略中央に形成した長穴部42によりスライド自在に取り付けるロックレバー43を設け、これにより、ロックレバー43が水平方向にスライド自在にする。そして、このロックレバー43は、先端側に半円筒状のストッパー部34を有し、このストッパー部34を耐圧容器8のバルブステム12の外側近傍に配置可能にし、噴霧用ボタン15の嵌合部19の下端に当るようにしている。また、このロックレバー43の先端側と反対の手前側には爪部35を立設すると共に、この爪部35を含むロックレバー43の手前側が、装置本体1におけるカバー3に形成した穴部44より手前側に飛び出すようにしている。
【0037】
このロックレバー43にあっても、飛び出したロックレバー43の手前側の爪部35を使用者が操作して、ロックレバー43をスライドさせることにより、ロックレバー43のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側に入って、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定して薬剤の噴霧ができないようにするロック状態と、また、図9のように、ロックレバー43のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側より外れて、噴霧用ボタン15の下方への移動の固定を解除して薬剤の噴霧ができるようにするロックオフ状態とに切り換えるようしている。これにより、前述したものと同様、誤作動による薬剤の噴霧が起こらないようにすることができる。
【0038】
なお、前述した装置本体1にあっては、前述したものに限定されるものでなく、ベース2やカバー3の形状も、その他のものでもよく、特に、外側のカバー3については、デザイン化されたいろいろな形状のものが考えられる。また、装置本体1もベース2とカバー3とから構成するのではなく、その他のものから構成するようにしてもよい。さらに、噴霧用ボタン15も、前述したものに限定されるものでなく、同様に機能を有するものならその他のものでもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…装置本体、2…ベース、3…カバー、4…底板、5…容器収納部、6…補強板、7…底フタ、8…耐圧容器、11…放出口、12…バルブステム、13…小穴、15…噴霧用ボタン、16…軸受け部、17…押しボタン部、18…噴霧口、19…嵌合部、21…軸体、30…誤作動防止機構部、31…軸体、32…ロックレバー、33…突起片、34…ストッパー部、35…爪部、36…穴部、37…ロックプレート、38…長穴部、39…穴部、41…柱体、42…長穴部、43…ロックレバー、44…穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にバルブステム12を設けた害虫駆除効果を有する薬剤を収容する耐圧容器8を、装置本体1の内部に収納し、この装置本体1の上部に、上下動する噴霧用ボタン15を備え、この噴霧用ボタン15を押して下方に移動させることにより、装置本体1の内部に収納した耐圧容器8のバルブステム12が押されて、このバルブステム12の放出口11から薬剤が放出される害虫駆除用噴霧装置において、
この噴霧用ボタン15の下方への移動を固定可能とする誤作動防止機構部30を備え、この誤作動防止機構部30にあっては、先端側にストッパー部34を有しかつ水平方向に回動自在になるロックレバー32を設けて、このロックレバー32を水平方向に回動することで、先端側のストッパー部34が噴霧用ボタン15の嵌合部19の下側に入って、噴霧用ボタン15の下方への移動を固定して、耐圧容器8のバルブステム12が押されないようにしたことを特徴とする害虫駆除用噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−205603(P2012−205603A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−173072(P2012−173072)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2008−106814(P2008−106814)の分割
【原出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000112853)フマキラー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】