害虫駆除用製品
【課題】害虫駆除用製品の容積(サイズ)に対し、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮可能な害虫駆除用製品を提供する。
【解決手段】昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる製品本体10を備え、製品本体10は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能であり、害虫駆除用製品1の容積(サイズ)に対し、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮可能な害虫駆除用製品である。
【解決手段】昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる製品本体10を備え、製品本体10は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能であり、害虫駆除用製品1の容積(サイズ)に対し、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮可能な害虫駆除用製品である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫を忌避又は殺虫して駆除する効果(以下、単に「害虫駆除効果」という)を有し、当該害虫の被害に対し保護すべき対象物に対して適用される害虫駆除用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、トランス装置や信号機の制御装置等のような外部設置型の電気機器、あるいは自動車、自動二輪車、トラクタ等、屋外で使用される機械類や家屋等に害虫が集まり付いたり、電気機器内や家屋等に侵入することがある。特に、前述したような電気機器等の内部に害虫が侵入して巣を作ったり、機器の内部で死亡し、死骸が蓄積されると、気づかないうちに制御回路が電気的にショートしたり、あるいは絶縁されて機器の故障に至ることがある。そこで、電気機器等の内部を定期的に点検し、害虫の巣が形成されていたり、死骸がある場合には、これらを取り除くことが行われている。
【0003】
特に、米国では、ファイアーアント(主に米国等で生息する赤蟻)等が、電気機器等の内部に侵入して巣を作ることがあるが、ファイヤーアントに噛まれると、噛まれた部分が火傷をしたようにふくれて激しい痛みと痒みを伴うため、電気機器等の内部を定期点検する際には注意が必要である。
【0004】
また、毒性を有する害虫はその他にも数多く存在し、クモ、ムカデ等の節足動物や、昆虫類(蚊、蝿、ゴキブリ、シロアリ、ダニ、蚤、線虫、スズメバチ等の特定害虫)にも毒性を有するものがある。そのため、自動車、自動二輪車、トラクタ等、人間が操作し且つ屋外に停車する機会が多い機械類の他、家屋等に害虫が侵入しないよう、何らかの措置が必要とされている。
【0005】
そこで、機器内に害虫が進入することを防止するため、種々の防御策が講じられている。例えば、2枚のテープ状シート基材に害虫駆除剤(防虫防除薬剤)を所定間隔で挟持固定し、テープシートの片面に粘着性をもたせて樹木等の植物に装着可能としたものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、害虫から保護すべき電気機器の内部に害虫が侵入するのを防止する害虫駆除用製品(害虫忌避用部品)が提案されている。この害虫駆除用製品は、害虫駆除成分が含有された樹脂からなり、電気機器のコネクタに接続された複数の配線に害虫駆除用製品を巻きつけるようにして束線させることで、複数の配線を1つにまとめることができると共に、前記樹脂から徐々に放出される害虫駆除成分の効果によって、前記配線を介して侵入してくる害虫から電気機器を保護するものである。(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
そしてまた、各種ケーブルを鳥虫獣類から保護するケーブル鳥虫獣害防止具も紹介されている。このようなケーブル鳥虫獣害防止具としては、弾性変形可能な弾性シートと金属製の保護部材とを積層してなる帯状シートを構成し、ケーブル等に螺旋状に巻きつけるもの等がある。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平3−10632号公報
【特許文献2】特開2004−357553号公報
【特許文献3】特開2003−199478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、害虫駆除用製品は、前述したように害虫駆除成分が含有された樹脂から形成されているが、この害虫駆除効果は、害虫駆除用製品、あるいはその周辺で効果的に発揮される。したがって、害虫駆除用製品の容積(サイズ)によって、害虫駆除効果が発揮される領域が決定することになる。このため、広い領域に亘って害虫駆除効果を発揮させたい場合は、複数の害虫駆除用製品を所定間隔で点在させる、あるいは、害虫駆除用製品の容積(サイズ)を大きくする等により対処している。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、害虫駆除用製品の容積(サイズ)に対し、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮可能な害虫駆除用製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため本発明は、害虫を駆除する害虫駆除用製品であって、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる製品本体を備え、前記製品本体は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能である害虫駆除用製品を提供するものである。
【0011】
この構成を備えた害虫駆除用製品は、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなるため、害虫駆除効果を発揮することができる。また、この害虫駆除用製品は、平面上で渦巻き形状を維持可能であるため、かさばらず、コンパクトに保管(収納)することができ、携帯にも便利である。また、輸送(搬送)時に最小容積で梱包できるため、搬送コストも低減できる。そしてまた、この害虫駆除用製品は、立体的な螺旋形状に変形可能であるため、害虫駆除用製品自身の容積は小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在させることができる。したがって、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0012】
なお、本発明にかかる害虫駆除用製品は、害虫駆除用製品の1箇所以上の所望位置を支持することで、当該害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状に維持する形態であってもよく、当該害虫駆除用製品を所望の立体的な螺旋形状にした後は、害虫駆除用製品の所望位置を支持する等、特別な力を付与しなくても、その形状を維持する形態(いわゆる形状記憶型)であってもよい。
【0013】
また、前記製品本体は、立体的な螺旋形状から平面的な渦巻き形状に弾性復元することができる。このようにすることで、害虫駆除用製品の1箇所以上の所望位置を支持することで、当該害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状に維持する形態の場合、前記支持を解除するだけで簡単に元の形状(平面的な渦巻き形状)に戻すことができる。
【0014】
さらに、前記製品本体が、前述したようないわゆる形状記憶型の場合は、さらに力が付与されることで、その形状を変形させることができ、変形した後は、特別な力を付与しなくても、その形状を維持することができる。
【0015】
そしてまた、本発明にかかる害虫駆除用製品は、前記製品本体に、前記害虫駆除用製品が取付けられる対象物に、害虫駆除用製品を取付けるための取付け部を設けてもよい。このようにすることで、害虫駆除用製品は、立体的な螺旋形状を維持した状態で、前記対象物に簡単に取付けることができる。
【0016】
前記製品本体に前記取付け部を設ける場合、この取付け部は、前記製品本体に形成された穴から形成することができ、この穴の外周部には、当該製品本体の厚さよりも厚い肉厚部を形成することができる。ここで、前記製品本体の厚さが一定の場合は、これらの穴が形成された部分において、穴の開放方向に沿って切った断面の面積が小さくなるが、前記肉厚部によって、前記小さくなった分の断面積を補充することができる。
【0017】
さらにこの構成の場合、前記製品本体は、1本の連続した帯状体を前記渦巻き形状に形成し、前記肉厚部の厚さは、前記帯状体の一端から他端に亘って、当該帯状体の長手方向に略垂直な断面積(穴の開放方向に沿って切った断面の面積)が略均一となるよう設定することが好ましい。このように構成することで、前記利点に加え、害虫駆除用製品全体に亘って、ほぼ均一な害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0018】
なお、前記取付け部は、少なくとも前記製品本体の両端部に形成することができる。
【0019】
そしてまた、本発明にかかる害虫駆除用製品は、前記製品本体を2つ備え、これら各々の製品本体は、1本の連続した帯状体からなり、前記一方の製品本体が平面上で渦巻き形状を維持した際に、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間に、他方の製品本体が配設されるよう構成することができる。このような構成を備えることで、前記利点に加え、害虫駆除用製品を経済的に効率よく製造することができる。例えば、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された1枚の樹脂シートを打ち抜くことで、渦巻き形状を有する製品本体製造する場合、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間となる部分を、もう一つの害虫駆除用製品の製品本体として利用することができる。さらにまた、害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする際には、2つの害虫駆除用製品を、一つの害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする場合とほぼ同様の空間で行うことができる。
【0020】
また、この構成の場合、前記製品本体の渦巻き形状が、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間と相補した形状となるよう構成することができる。
【0021】
なお、前記渦巻き形状の外形は、略円形、略三角形、略四角形、略五角形以上の多角形等、特に限定するものではないが、略四角形とすることが製造上、保管上、携帯上等の点でより有利である。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる害虫駆除用製品は、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなるため、害虫駆除効果を発揮することができる。また、この害虫駆除用製品は、平面上で渦巻き形状を維持可能であるため、かさばらず、コンパクトに保管(収納)することができ、携帯にも便利であり、輸送(搬送)時に最小容積で梱包できるため、搬送コストも低減できる。そしてまた、この害虫駆除用製品は、立体的な螺旋形状に変形可能であるため、害虫駆除用製品自身の容積は小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在させることができる。この結果、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる害虫駆除用製品について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図、図2は、図1に示す害虫駆除用製品の矢印X方向から見た側面図、図3は、図1に示す害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状にした状態を示す斜視図、図4は、図3に示す害虫駆除用製品を立体的でさらに複雑な螺旋形状にした状態を示す斜視図、図5は、図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した状態を示す模式図、図6は、図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した他の状態を示す模式図、図7は、図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設する際に使用する固定具の斜視図、図8は、図7に示す固定具をトランスの内壁に固定した状態を示す断面図、図9は、図7に示す固定具の使用状態を示す断面図である。
【0025】
図1〜図9に示すように、本発明の実施の形態にかかる害虫駆除用製品1は、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる1本の連続した帯状体を、平面上で渦巻き形状(図1及び図2参照)を備えると共に、立体的な螺旋形状(図3〜図6参照)に変形可能である製品本体10を備えている。
【0026】
製品本体10は、その両端部に、害虫駆除用製品1が取付けられる対象物としてのトランス100のハウジング110(図5及び図6参照)に、害虫駆除用製品1を取付けるための穴11及び12が各々形成されている。穴11及び12の外周部には、製品本体10の厚さよりも厚い肉厚部13が各々形成されている。また、製品本体10の一端部から他端部までの間にも、トランス100のハウジング110に、害虫駆除用製品1を取付けるための穴15が、互いに間隔をおいて2箇所成されている。穴15の外周部には、穴15を挟むように、製品本体10の厚さよりも厚い肉厚部16A及び16Bが形成されている。
【0027】
これらの肉厚部13、16A及び16Bは、以下の目的のために形成されている。すなわち、製品本体10に穴11、12及び15を形成すると、製品本体10の厚さが一定の場合は、これらの部分において、穴11、12及び15の開放方向に沿って切った断面の面積が、各々小さくなるが、肉厚部13、16A及び16Bによって、前記小さくなった分の断面積を補充することができる。したがって、製品本体10に穴11、12及び15が形成されていても、製品本体10の穴の開放方向に略平行な断面積をほぼ均一にすることができ、害虫駆除用製品1の全体に亘って、ほぼ均一な害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0028】
なお、害虫駆除用製品1は、後に詳述するが、穴11、12及び15に、トランス100のハウジング110の内壁113〜116に固定される固定具200(図7〜図9参照)のベルト部206を挿入することで、ベルト部206を介してハウジング110の内壁113〜116に支持されて、所望の立体的な螺旋形状(図3〜図6参照)を維持し、この状態でハウジング110内に配設される。このように、害虫駆除用製品1は、所望の立体的な螺旋形状となることで、害虫駆除用製品1自身の容積が小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在可能となる。したがって、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0029】
そして、穴11、12及び15からベルト部206を取り外すことで、害虫駆除用製品1の製品本体10が解放されて、製品本体10は、前記立体的な螺旋形状から平面的な渦巻き形状に弾性復元する。このため、保管したり、携帯に便利である。
【0030】
次に、害虫駆除用製品1を形成する樹脂に含有される昆虫忌避剤又は殺虫剤について説明する。昆虫忌避剤又は殺虫剤としては、昆虫の除去活性を有する薬剤であり、昆虫忌避活性を有する化合物、殺傷昆虫活性を有する化合物、昆虫の摂食阻害活性、昆虫の成長コントロール活性を有する化合物等を挙げることができる。
【0031】
具体的には、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、有機リン系化合物及びこれらの異性体、誘導体、類縁体その他昆虫の成長をコントロールする活性を有する化合物等を挙げることができる。
【0032】
また、前記昆虫忌避剤又は殺虫剤が含有される部品を構成する樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂の少なくとも1種の樹脂が選択される。
【0033】
さらに、この樹脂には、当該樹脂に対して昆虫忌避剤又は殺虫剤を溶解保持し、徐放性を付与する化合物を含めることがより好ましい。この昆虫忌避剤又は殺虫剤を溶解保持し、徐放性を付与する化合物としては、例えば、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0034】
このように、徐放性を付与する化合物を樹脂に含有させることにより、害虫駆除用製品1から前記昆虫忌避剤又は殺虫剤を長期間にわたり放出することが可能となる。なお、本実施形態にかかる害虫駆除用製品1の害虫の忌避又は殺虫効果は、約10年間持続させることが可能である。
【0035】
本実施の形態にかかる害虫駆除用製品1は、射出成形等の公知の成形方法により成形することができる。
【0036】
次に、害虫駆除用製品1をトランス100のハウジング110の内壁に固定するための固定具200の構成について説明する。
【0037】
固定具200は、図7〜図9に示すように、ベース201と、ベース201の表面210の一端部から立設したベルト部206と、ベース201の表面210の他端部に形成され、ベルト部206の自由端側を係止して固定する係止部212と、係止部212の前記一端部側近傍に形成され、ベルト部206の自由端側をガイドするガイド部213A及び213Bと、を備えている。
【0038】
ベース201は、平面視が略長方形の板状部材からなり、その裏面には、粘着層218が形成されており、この粘着層218の表面は、離型紙219によって覆われている。この粘着層218は、離型紙219を剥がすことで、露出され、固定具200を、ハウジング110の内壁等、所望の対象物に固定するためのものである。また、ベース201の略中央部には、ピンやねじ等が挿入される穴217が形成されており、所望により、この穴217に挿入したピンやねじ等によって、固定具200をハウジング110の内壁等に固定する。
【0039】
ベルト部206は、所望の長さを有し、図9に示すように湾曲可能となっている。このベルト部206には、その長手方向に沿って、複数の係止穴204が、互いに所望の間隔をおいて形成されている。
【0040】
係止部212は、フック状を有し、ベルト部206の係止穴204に係合することで、ベルト部206を固定するよう形成されている。
【0041】
ガイド部213A及び213Bは、ベース201の表面210と間隔をおいて配設され且つ表面210に対し平行な平行面214A及び214Bと、平行面214A及び214Bに連続形成され且つ平行面214A及び214Bから略垂直に延出してベース201の表面210に固定される垂直面215A及び215Bを各々有した略L字状を備え、互いに対象的に向かい合った状態で、互いに間隔をおいて配設されている。
【0042】
次に、本実施の形態にかかる害虫駆除用製品1を、トランス100のハウジング110内に配設する方法について説明する。
【0043】
図5及び図6に示すように、トランス100は、ハウジング110内に複数の配線120や、その他所望の図示しない機器が配設されている。ハウジング110は、地面に載置される下部ボックス111と、下部ボックス111に設けられた蓋112とを有している。
【0044】
先ず、害虫駆除用製品1を、設置すべきトランス100まで携帯する。この時、害虫駆除用製品1は、図1に示すように、平面上で渦巻き形状を維持しているため、携帯に便利であると共に、保管場所を取ることもない。
【0045】
次に、害虫駆除用製品1の製品本体10の両端部に形成された穴11及び12に、固定具200のベルト部206を挿入し、その後、ベルト部206の自由端を、図9に示すように、ガイド部213A及び213Bの平行面214A及び214Bと、ベース201の表面210との間を通過させる。次いで、ベルト部206に形成されている複数の係止穴204のいずれかを係止部212に係合させて、ベルト部206を係止部212に固定することで、製品本体10の両端部に固定具200を固定する。
【0046】
次に、図5に示すように、害虫駆除用製品1の穴11に固定した固定具200を、下部ボックス111の下部に配設されている内壁113の所望位置に固定する。この時、固定具200の離型紙219を剥がし、粘着層218を内壁113に押し付けることで、固定具200は簡単に内壁113に固定される。なお、所望により、固定具200に形成された穴217にピンやねじ等を挿入し、これらによって固定具200を内壁113に、さらに強固に固定させてもよい。
【0047】
次に、害虫駆除用製品1の穴12に固定した固定具200を、前記と同様の方法で、下部ボックス111の正面壁115の上部角部に固定する。この時、害虫駆除用製品1は、立体的な螺旋形状に変形され、下部ボックス111の内壁113と、下部ボックス111の正面壁115の上部角部に支持されて、この立体的な螺旋形状を維持することになる。
【0048】
下部ボックス111の内壁113と対向配置された内壁114、及び正面壁115のもう一方の上部角部にも同様の方法で、害虫駆除用製品1を配設する。
【0049】
このように、トランス100のハウジング110内に害虫駆除用製品1を配設することで、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮することができ、ハウジング110内に害虫が侵入し、巣を形成することを防止することができる。
【0050】
また、固定具200は、前記の他、害虫駆除用製品1の製品本体10に形成された穴15にも取付けてもよい。この場合、穴15に取付けられた固定具200は、図6に示すように、配線120に固定してもよい。
【0051】
なお、本実施の形態では、害虫駆除用製品1の製品本体10に4つの穴11、12及び15を形成した場合について説明したが、これに限らず、製品本体10に形成する穴の設置箇所、設置数等は、所望により決定することができる。
【0052】
例えば、害虫駆除用製品1の一方の端部を正面壁115の上部角部に配設する変わりに、蓋112の内壁に配設してもよい。この場合、蓋112が閉じられた場合、害虫駆除用製品1は、蓋112が開けられている状態の時とは立体的な螺旋形状が異なる立体的な螺旋形状を維持した状態で、ハウジング110内に配置されることになる。
【0053】
また、本実施の形態では、対象物(本実施の形態では、ハウジング110)に取付けられるための取付け部として、製品本体10に穴を形成した場合について説明したが、これに限らず、前記取付け部は、製品本体10にフック等、他の形状を有する取付け部を形成しておいてもよい。あるいは、図10に示すように、取付け部を形成しなくてもよい。この場合は、例えば、図11に示すように、配線120にフック211付きの固定具200を取付けて、フック211に製品本体10を引っ掛けることで、害虫駆除用製品1を配線120に配設してもよい。
【0054】
さらにまた、本実施の形態では、害虫駆除用製品1をトランス100のハウジング110内に配設した場合について説明したが、これに限らず、害虫駆除用製品1は、害虫が侵入したり、集まり付くことを防止したい対象物全般亘って広く使用することができることは勿論である。例えば、ハウジングや屋内に限らず、スズメバチ等の巣が作られそうな空間に、本発明にかかる害虫駆除用製品を配置しておくことにより、スズメバチ等の巣が形成されることを防止することもできる。また、害虫駆除用製品1の設置数は、所望により決定することができるが、本発明にかかる害虫駆除用製品1は、害虫駆除用製品1自身の容積は小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在させることができるため、従来の害虫駆除用製品に比べ、少ない設置数であっても、十分な害虫駆除効果を発揮することができる。
【0055】
そしてまた、本実施の形態では、害虫駆除用製品1の製品本体10の長さ、幅、厚さ等は、所望により決定することができる。
【0056】
また、本発明にかかる害虫駆除用製品は、図12に示すように、製品本体を2つ備えていてもよい。すなわち、図12に示す害虫駆除用製品2は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能である製品本体10A(図12及び図13参照)及び製品本体10B(図12及び図14参照)を備えている。そして、製品本体10Aの渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間に、製品本体10Bが嵌められた状態で配設されている。なお、製品本体10A及び10Bの形状は、製品本体10とほぼ同様の部材であるため、その詳細な説明は省略するが、これらの製品本体10A及び10Bには、取付け部として、複数の穴15が形成されており、その外周部には、穴15を挟むように、製品本体10の厚さよりも厚い肉厚部16A及び16Bが形成されている。
【0057】
このように、図12〜14に示す製品本体10A及び10Bは、肉厚部16A及び16Bが、その幅から外部に突出していないため、図12に示すように組み合わせることができる。この構成を備えた害虫駆除用製品2は、例えば、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された1枚の樹脂シートを打ち抜く等の方法で簡単に形成することができ、材料に無駄が無く、経済的に効率よく製造することができる。さらにまた、害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする際には、2つの害虫駆除用製品を、一つの害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする場合とほぼ同様の空間で行うことができ、スペースを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図である。
【図2】図1に示す害虫駆除用製品の矢印X方向から見た側面図である。
【図3】図1に示す害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状にした状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す害虫駆除用製品を立体的でさらに複雑な螺旋形状にした状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した状態を示す模式図である。
【図6】図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した他の状態を示す模式図である。
【図7】図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設する際に使用する固定具の斜視図である。
【図8】図7に示す固定具をトランスの内壁に固定した状態を示す断面図である。
【図9】図7に示す固定具の使用状態を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の取付け方法を示す模式図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図である。
【図13】図12に示す一方の製品本体を示す平面図である。
【図14】図12に示す他方の製品本体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0059】
1、2 害虫駆除用製品
10、10A、10B 製品本体
11、12、15 穴
13、16A 肉厚部
100 トランス
110 ハウジング
200 固定具
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫を忌避又は殺虫して駆除する効果(以下、単に「害虫駆除効果」という)を有し、当該害虫の被害に対し保護すべき対象物に対して適用される害虫駆除用製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、トランス装置や信号機の制御装置等のような外部設置型の電気機器、あるいは自動車、自動二輪車、トラクタ等、屋外で使用される機械類や家屋等に害虫が集まり付いたり、電気機器内や家屋等に侵入することがある。特に、前述したような電気機器等の内部に害虫が侵入して巣を作ったり、機器の内部で死亡し、死骸が蓄積されると、気づかないうちに制御回路が電気的にショートしたり、あるいは絶縁されて機器の故障に至ることがある。そこで、電気機器等の内部を定期的に点検し、害虫の巣が形成されていたり、死骸がある場合には、これらを取り除くことが行われている。
【0003】
特に、米国では、ファイアーアント(主に米国等で生息する赤蟻)等が、電気機器等の内部に侵入して巣を作ることがあるが、ファイヤーアントに噛まれると、噛まれた部分が火傷をしたようにふくれて激しい痛みと痒みを伴うため、電気機器等の内部を定期点検する際には注意が必要である。
【0004】
また、毒性を有する害虫はその他にも数多く存在し、クモ、ムカデ等の節足動物や、昆虫類(蚊、蝿、ゴキブリ、シロアリ、ダニ、蚤、線虫、スズメバチ等の特定害虫)にも毒性を有するものがある。そのため、自動車、自動二輪車、トラクタ等、人間が操作し且つ屋外に停車する機会が多い機械類の他、家屋等に害虫が侵入しないよう、何らかの措置が必要とされている。
【0005】
そこで、機器内に害虫が進入することを防止するため、種々の防御策が講じられている。例えば、2枚のテープ状シート基材に害虫駆除剤(防虫防除薬剤)を所定間隔で挟持固定し、テープシートの片面に粘着性をもたせて樹木等の植物に装着可能としたものがある。(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、害虫から保護すべき電気機器の内部に害虫が侵入するのを防止する害虫駆除用製品(害虫忌避用部品)が提案されている。この害虫駆除用製品は、害虫駆除成分が含有された樹脂からなり、電気機器のコネクタに接続された複数の配線に害虫駆除用製品を巻きつけるようにして束線させることで、複数の配線を1つにまとめることができると共に、前記樹脂から徐々に放出される害虫駆除成分の効果によって、前記配線を介して侵入してくる害虫から電気機器を保護するものである。(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
そしてまた、各種ケーブルを鳥虫獣類から保護するケーブル鳥虫獣害防止具も紹介されている。このようなケーブル鳥虫獣害防止具としては、弾性変形可能な弾性シートと金属製の保護部材とを積層してなる帯状シートを構成し、ケーブル等に螺旋状に巻きつけるもの等がある。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平3−10632号公報
【特許文献2】特開2004−357553号公報
【特許文献3】特開2003−199478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、害虫駆除用製品は、前述したように害虫駆除成分が含有された樹脂から形成されているが、この害虫駆除効果は、害虫駆除用製品、あるいはその周辺で効果的に発揮される。したがって、害虫駆除用製品の容積(サイズ)によって、害虫駆除効果が発揮される領域が決定することになる。このため、広い領域に亘って害虫駆除効果を発揮させたい場合は、複数の害虫駆除用製品を所定間隔で点在させる、あるいは、害虫駆除用製品の容積(サイズ)を大きくする等により対処している。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、害虫駆除用製品の容積(サイズ)に対し、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮可能な害虫駆除用製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため本発明は、害虫を駆除する害虫駆除用製品であって、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる製品本体を備え、前記製品本体は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能である害虫駆除用製品を提供するものである。
【0011】
この構成を備えた害虫駆除用製品は、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなるため、害虫駆除効果を発揮することができる。また、この害虫駆除用製品は、平面上で渦巻き形状を維持可能であるため、かさばらず、コンパクトに保管(収納)することができ、携帯にも便利である。また、輸送(搬送)時に最小容積で梱包できるため、搬送コストも低減できる。そしてまた、この害虫駆除用製品は、立体的な螺旋形状に変形可能であるため、害虫駆除用製品自身の容積は小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在させることができる。したがって、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0012】
なお、本発明にかかる害虫駆除用製品は、害虫駆除用製品の1箇所以上の所望位置を支持することで、当該害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状に維持する形態であってもよく、当該害虫駆除用製品を所望の立体的な螺旋形状にした後は、害虫駆除用製品の所望位置を支持する等、特別な力を付与しなくても、その形状を維持する形態(いわゆる形状記憶型)であってもよい。
【0013】
また、前記製品本体は、立体的な螺旋形状から平面的な渦巻き形状に弾性復元することができる。このようにすることで、害虫駆除用製品の1箇所以上の所望位置を支持することで、当該害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状に維持する形態の場合、前記支持を解除するだけで簡単に元の形状(平面的な渦巻き形状)に戻すことができる。
【0014】
さらに、前記製品本体が、前述したようないわゆる形状記憶型の場合は、さらに力が付与されることで、その形状を変形させることができ、変形した後は、特別な力を付与しなくても、その形状を維持することができる。
【0015】
そしてまた、本発明にかかる害虫駆除用製品は、前記製品本体に、前記害虫駆除用製品が取付けられる対象物に、害虫駆除用製品を取付けるための取付け部を設けてもよい。このようにすることで、害虫駆除用製品は、立体的な螺旋形状を維持した状態で、前記対象物に簡単に取付けることができる。
【0016】
前記製品本体に前記取付け部を設ける場合、この取付け部は、前記製品本体に形成された穴から形成することができ、この穴の外周部には、当該製品本体の厚さよりも厚い肉厚部を形成することができる。ここで、前記製品本体の厚さが一定の場合は、これらの穴が形成された部分において、穴の開放方向に沿って切った断面の面積が小さくなるが、前記肉厚部によって、前記小さくなった分の断面積を補充することができる。
【0017】
さらにこの構成の場合、前記製品本体は、1本の連続した帯状体を前記渦巻き形状に形成し、前記肉厚部の厚さは、前記帯状体の一端から他端に亘って、当該帯状体の長手方向に略垂直な断面積(穴の開放方向に沿って切った断面の面積)が略均一となるよう設定することが好ましい。このように構成することで、前記利点に加え、害虫駆除用製品全体に亘って、ほぼ均一な害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0018】
なお、前記取付け部は、少なくとも前記製品本体の両端部に形成することができる。
【0019】
そしてまた、本発明にかかる害虫駆除用製品は、前記製品本体を2つ備え、これら各々の製品本体は、1本の連続した帯状体からなり、前記一方の製品本体が平面上で渦巻き形状を維持した際に、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間に、他方の製品本体が配設されるよう構成することができる。このような構成を備えることで、前記利点に加え、害虫駆除用製品を経済的に効率よく製造することができる。例えば、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された1枚の樹脂シートを打ち抜くことで、渦巻き形状を有する製品本体製造する場合、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間となる部分を、もう一つの害虫駆除用製品の製品本体として利用することができる。さらにまた、害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする際には、2つの害虫駆除用製品を、一つの害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする場合とほぼ同様の空間で行うことができる。
【0020】
また、この構成の場合、前記製品本体の渦巻き形状が、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間と相補した形状となるよう構成することができる。
【0021】
なお、前記渦巻き形状の外形は、略円形、略三角形、略四角形、略五角形以上の多角形等、特に限定するものではないが、略四角形とすることが製造上、保管上、携帯上等の点でより有利である。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる害虫駆除用製品は、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなるため、害虫駆除効果を発揮することができる。また、この害虫駆除用製品は、平面上で渦巻き形状を維持可能であるため、かさばらず、コンパクトに保管(収納)することができ、携帯にも便利であり、輸送(搬送)時に最小容積で梱包できるため、搬送コストも低減できる。そしてまた、この害虫駆除用製品は、立体的な螺旋形状に変形可能であるため、害虫駆除用製品自身の容積は小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在させることができる。この結果、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる害虫駆除用製品について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0024】
図1は、本発明の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図、図2は、図1に示す害虫駆除用製品の矢印X方向から見た側面図、図3は、図1に示す害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状にした状態を示す斜視図、図4は、図3に示す害虫駆除用製品を立体的でさらに複雑な螺旋形状にした状態を示す斜視図、図5は、図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した状態を示す模式図、図6は、図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した他の状態を示す模式図、図7は、図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設する際に使用する固定具の斜視図、図8は、図7に示す固定具をトランスの内壁に固定した状態を示す断面図、図9は、図7に示す固定具の使用状態を示す断面図である。
【0025】
図1〜図9に示すように、本発明の実施の形態にかかる害虫駆除用製品1は、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる1本の連続した帯状体を、平面上で渦巻き形状(図1及び図2参照)を備えると共に、立体的な螺旋形状(図3〜図6参照)に変形可能である製品本体10を備えている。
【0026】
製品本体10は、その両端部に、害虫駆除用製品1が取付けられる対象物としてのトランス100のハウジング110(図5及び図6参照)に、害虫駆除用製品1を取付けるための穴11及び12が各々形成されている。穴11及び12の外周部には、製品本体10の厚さよりも厚い肉厚部13が各々形成されている。また、製品本体10の一端部から他端部までの間にも、トランス100のハウジング110に、害虫駆除用製品1を取付けるための穴15が、互いに間隔をおいて2箇所成されている。穴15の外周部には、穴15を挟むように、製品本体10の厚さよりも厚い肉厚部16A及び16Bが形成されている。
【0027】
これらの肉厚部13、16A及び16Bは、以下の目的のために形成されている。すなわち、製品本体10に穴11、12及び15を形成すると、製品本体10の厚さが一定の場合は、これらの部分において、穴11、12及び15の開放方向に沿って切った断面の面積が、各々小さくなるが、肉厚部13、16A及び16Bによって、前記小さくなった分の断面積を補充することができる。したがって、製品本体10に穴11、12及び15が形成されていても、製品本体10の穴の開放方向に略平行な断面積をほぼ均一にすることができ、害虫駆除用製品1の全体に亘って、ほぼ均一な害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0028】
なお、害虫駆除用製品1は、後に詳述するが、穴11、12及び15に、トランス100のハウジング110の内壁113〜116に固定される固定具200(図7〜図9参照)のベルト部206を挿入することで、ベルト部206を介してハウジング110の内壁113〜116に支持されて、所望の立体的な螺旋形状(図3〜図6参照)を維持し、この状態でハウジング110内に配設される。このように、害虫駆除用製品1は、所望の立体的な螺旋形状となることで、害虫駆除用製品1自身の容積が小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在可能となる。したがって、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮させることができる。
【0029】
そして、穴11、12及び15からベルト部206を取り外すことで、害虫駆除用製品1の製品本体10が解放されて、製品本体10は、前記立体的な螺旋形状から平面的な渦巻き形状に弾性復元する。このため、保管したり、携帯に便利である。
【0030】
次に、害虫駆除用製品1を形成する樹脂に含有される昆虫忌避剤又は殺虫剤について説明する。昆虫忌避剤又は殺虫剤としては、昆虫の除去活性を有する薬剤であり、昆虫忌避活性を有する化合物、殺傷昆虫活性を有する化合物、昆虫の摂食阻害活性、昆虫の成長コントロール活性を有する化合物等を挙げることができる。
【0031】
具体的には、ピレスロイド系化合物、カーバメート系化合物、有機リン系化合物及びこれらの異性体、誘導体、類縁体その他昆虫の成長をコントロールする活性を有する化合物等を挙げることができる。
【0032】
また、前記昆虫忌避剤又は殺虫剤が含有される部品を構成する樹脂としては、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂の少なくとも1種の樹脂が選択される。
【0033】
さらに、この樹脂には、当該樹脂に対して昆虫忌避剤又は殺虫剤を溶解保持し、徐放性を付与する化合物を含めることがより好ましい。この昆虫忌避剤又は殺虫剤を溶解保持し、徐放性を付与する化合物としては、例えば、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物を挙げることができる。
【0034】
このように、徐放性を付与する化合物を樹脂に含有させることにより、害虫駆除用製品1から前記昆虫忌避剤又は殺虫剤を長期間にわたり放出することが可能となる。なお、本実施形態にかかる害虫駆除用製品1の害虫の忌避又は殺虫効果は、約10年間持続させることが可能である。
【0035】
本実施の形態にかかる害虫駆除用製品1は、射出成形等の公知の成形方法により成形することができる。
【0036】
次に、害虫駆除用製品1をトランス100のハウジング110の内壁に固定するための固定具200の構成について説明する。
【0037】
固定具200は、図7〜図9に示すように、ベース201と、ベース201の表面210の一端部から立設したベルト部206と、ベース201の表面210の他端部に形成され、ベルト部206の自由端側を係止して固定する係止部212と、係止部212の前記一端部側近傍に形成され、ベルト部206の自由端側をガイドするガイド部213A及び213Bと、を備えている。
【0038】
ベース201は、平面視が略長方形の板状部材からなり、その裏面には、粘着層218が形成されており、この粘着層218の表面は、離型紙219によって覆われている。この粘着層218は、離型紙219を剥がすことで、露出され、固定具200を、ハウジング110の内壁等、所望の対象物に固定するためのものである。また、ベース201の略中央部には、ピンやねじ等が挿入される穴217が形成されており、所望により、この穴217に挿入したピンやねじ等によって、固定具200をハウジング110の内壁等に固定する。
【0039】
ベルト部206は、所望の長さを有し、図9に示すように湾曲可能となっている。このベルト部206には、その長手方向に沿って、複数の係止穴204が、互いに所望の間隔をおいて形成されている。
【0040】
係止部212は、フック状を有し、ベルト部206の係止穴204に係合することで、ベルト部206を固定するよう形成されている。
【0041】
ガイド部213A及び213Bは、ベース201の表面210と間隔をおいて配設され且つ表面210に対し平行な平行面214A及び214Bと、平行面214A及び214Bに連続形成され且つ平行面214A及び214Bから略垂直に延出してベース201の表面210に固定される垂直面215A及び215Bを各々有した略L字状を備え、互いに対象的に向かい合った状態で、互いに間隔をおいて配設されている。
【0042】
次に、本実施の形態にかかる害虫駆除用製品1を、トランス100のハウジング110内に配設する方法について説明する。
【0043】
図5及び図6に示すように、トランス100は、ハウジング110内に複数の配線120や、その他所望の図示しない機器が配設されている。ハウジング110は、地面に載置される下部ボックス111と、下部ボックス111に設けられた蓋112とを有している。
【0044】
先ず、害虫駆除用製品1を、設置すべきトランス100まで携帯する。この時、害虫駆除用製品1は、図1に示すように、平面上で渦巻き形状を維持しているため、携帯に便利であると共に、保管場所を取ることもない。
【0045】
次に、害虫駆除用製品1の製品本体10の両端部に形成された穴11及び12に、固定具200のベルト部206を挿入し、その後、ベルト部206の自由端を、図9に示すように、ガイド部213A及び213Bの平行面214A及び214Bと、ベース201の表面210との間を通過させる。次いで、ベルト部206に形成されている複数の係止穴204のいずれかを係止部212に係合させて、ベルト部206を係止部212に固定することで、製品本体10の両端部に固定具200を固定する。
【0046】
次に、図5に示すように、害虫駆除用製品1の穴11に固定した固定具200を、下部ボックス111の下部に配設されている内壁113の所望位置に固定する。この時、固定具200の離型紙219を剥がし、粘着層218を内壁113に押し付けることで、固定具200は簡単に内壁113に固定される。なお、所望により、固定具200に形成された穴217にピンやねじ等を挿入し、これらによって固定具200を内壁113に、さらに強固に固定させてもよい。
【0047】
次に、害虫駆除用製品1の穴12に固定した固定具200を、前記と同様の方法で、下部ボックス111の正面壁115の上部角部に固定する。この時、害虫駆除用製品1は、立体的な螺旋形状に変形され、下部ボックス111の内壁113と、下部ボックス111の正面壁115の上部角部に支持されて、この立体的な螺旋形状を維持することになる。
【0048】
下部ボックス111の内壁113と対向配置された内壁114、及び正面壁115のもう一方の上部角部にも同様の方法で、害虫駆除用製品1を配設する。
【0049】
このように、トランス100のハウジング110内に害虫駆除用製品1を配設することで、広範囲に亘って害虫駆除効果を発揮することができ、ハウジング110内に害虫が侵入し、巣を形成することを防止することができる。
【0050】
また、固定具200は、前記の他、害虫駆除用製品1の製品本体10に形成された穴15にも取付けてもよい。この場合、穴15に取付けられた固定具200は、図6に示すように、配線120に固定してもよい。
【0051】
なお、本実施の形態では、害虫駆除用製品1の製品本体10に4つの穴11、12及び15を形成した場合について説明したが、これに限らず、製品本体10に形成する穴の設置箇所、設置数等は、所望により決定することができる。
【0052】
例えば、害虫駆除用製品1の一方の端部を正面壁115の上部角部に配設する変わりに、蓋112の内壁に配設してもよい。この場合、蓋112が閉じられた場合、害虫駆除用製品1は、蓋112が開けられている状態の時とは立体的な螺旋形状が異なる立体的な螺旋形状を維持した状態で、ハウジング110内に配置されることになる。
【0053】
また、本実施の形態では、対象物(本実施の形態では、ハウジング110)に取付けられるための取付け部として、製品本体10に穴を形成した場合について説明したが、これに限らず、前記取付け部は、製品本体10にフック等、他の形状を有する取付け部を形成しておいてもよい。あるいは、図10に示すように、取付け部を形成しなくてもよい。この場合は、例えば、図11に示すように、配線120にフック211付きの固定具200を取付けて、フック211に製品本体10を引っ掛けることで、害虫駆除用製品1を配線120に配設してもよい。
【0054】
さらにまた、本実施の形態では、害虫駆除用製品1をトランス100のハウジング110内に配設した場合について説明したが、これに限らず、害虫駆除用製品1は、害虫が侵入したり、集まり付くことを防止したい対象物全般亘って広く使用することができることは勿論である。例えば、ハウジングや屋内に限らず、スズメバチ等の巣が作られそうな空間に、本発明にかかる害虫駆除用製品を配置しておくことにより、スズメバチ等の巣が形成されることを防止することもできる。また、害虫駆除用製品1の設置数は、所望により決定することができるが、本発明にかかる害虫駆除用製品1は、害虫駆除用製品1自身の容積は小さくても、三次元空間の広範囲に亘って存在させることができるため、従来の害虫駆除用製品に比べ、少ない設置数であっても、十分な害虫駆除効果を発揮することができる。
【0055】
そしてまた、本実施の形態では、害虫駆除用製品1の製品本体10の長さ、幅、厚さ等は、所望により決定することができる。
【0056】
また、本発明にかかる害虫駆除用製品は、図12に示すように、製品本体を2つ備えていてもよい。すなわち、図12に示す害虫駆除用製品2は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能である製品本体10A(図12及び図13参照)及び製品本体10B(図12及び図14参照)を備えている。そして、製品本体10Aの渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間に、製品本体10Bが嵌められた状態で配設されている。なお、製品本体10A及び10Bの形状は、製品本体10とほぼ同様の部材であるため、その詳細な説明は省略するが、これらの製品本体10A及び10Bには、取付け部として、複数の穴15が形成されており、その外周部には、穴15を挟むように、製品本体10の厚さよりも厚い肉厚部16A及び16Bが形成されている。
【0057】
このように、図12〜14に示す製品本体10A及び10Bは、肉厚部16A及び16Bが、その幅から外部に突出していないため、図12に示すように組み合わせることができる。この構成を備えた害虫駆除用製品2は、例えば、昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された1枚の樹脂シートを打ち抜く等の方法で簡単に形成することができ、材料に無駄が無く、経済的に効率よく製造することができる。さらにまた、害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする際には、2つの害虫駆除用製品を、一つの害虫駆除用製品を保管したり、携帯したりする場合とほぼ同様の空間で行うことができ、スペースを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図である。
【図2】図1に示す害虫駆除用製品の矢印X方向から見た側面図である。
【図3】図1に示す害虫駆除用製品を立体的な螺旋形状にした状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示す害虫駆除用製品を立体的でさらに複雑な螺旋形状にした状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した状態を示す模式図である。
【図6】図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設した他の状態を示す模式図である。
【図7】図4に示す害虫駆除用製品をトランスの内部に配設する際に使用する固定具の斜視図である。
【図8】図7に示す固定具をトランスの内壁に固定した状態を示す断面図である。
【図9】図7に示す固定具の使用状態を示す断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図である。
【図11】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の取付け方法を示す模式図である。
【図12】本発明の他の実施の形態にかかる害虫駆除用製品の平面図である。
【図13】図12に示す一方の製品本体を示す平面図である。
【図14】図12に示す他方の製品本体を示す平面図である。
【符号の説明】
【0059】
1、2 害虫駆除用製品
10、10A、10B 製品本体
11、12、15 穴
13、16A 肉厚部
100 トランス
110 ハウジング
200 固定具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫を駆除する害虫駆除用製品であって、
昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる製品本体を備え、
前記製品本体は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能である害虫駆除用製品。
【請求項2】
前記製品本体は、立体的な螺旋形状から平面的な渦巻き形状に弾性復元する請求項1記載の害虫駆除用製品。
【請求項3】
前記製品本体に、前記害虫駆除用製品が取付けられる対象物に取付けられるための取付け部を設けた請求項1または請求項2記載の害虫駆除用製品。
【請求項4】
前記取付け部が、前記製品本体に形成された穴からなり、穴の外周部に、当該製品本体の厚さよりも厚い肉厚部を形成してなる請求項3記載の害虫駆除用製品。
【請求項5】
前記製品本体は、1本の連続した帯状体が前記渦巻き形状に形成されてなり、
前記肉厚部の厚さは、前記帯状体の一端から他端に亘って、当該帯状体の長手方向に略垂直な断面積が略均一となるよう設定されてなる請求項4記載の害虫駆除用製品。
【請求項6】
前記取付け部は、少なくとも前記製品本体の両端部に形成されてなる請求項3記載の害虫駆除用製品。
【請求項7】
前記製品本体を2つ備え、
前記各々の製品本体は、1本の連続した帯状体からなり、
前記一方の製品本体が平面上で渦巻き形状を維持した際に、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間に、他方の製品本体が配設されてなる請求項1または請求項2記載の害虫駆除用製品。
【請求項8】
前記製品本体の渦巻き形状が、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間と相補した形状である請求項7記載の害虫駆除用製品。
【請求項9】
前記渦巻き形状の外形が、略四角形である請求項1または請求項2記載の害虫駆除用製品。
【請求項1】
害虫を駆除する害虫駆除用製品であって、
昆虫忌避剤又は殺虫剤の少なくとも一方が含有された樹脂からなる製品本体を備え、
前記製品本体は、平面上で渦巻き形状を維持可能であると共に、立体的な螺旋形状に変形可能である害虫駆除用製品。
【請求項2】
前記製品本体は、立体的な螺旋形状から平面的な渦巻き形状に弾性復元する請求項1記載の害虫駆除用製品。
【請求項3】
前記製品本体に、前記害虫駆除用製品が取付けられる対象物に取付けられるための取付け部を設けた請求項1または請求項2記載の害虫駆除用製品。
【請求項4】
前記取付け部が、前記製品本体に形成された穴からなり、穴の外周部に、当該製品本体の厚さよりも厚い肉厚部を形成してなる請求項3記載の害虫駆除用製品。
【請求項5】
前記製品本体は、1本の連続した帯状体が前記渦巻き形状に形成されてなり、
前記肉厚部の厚さは、前記帯状体の一端から他端に亘って、当該帯状体の長手方向に略垂直な断面積が略均一となるよう設定されてなる請求項4記載の害虫駆除用製品。
【請求項6】
前記取付け部は、少なくとも前記製品本体の両端部に形成されてなる請求項3記載の害虫駆除用製品。
【請求項7】
前記製品本体を2つ備え、
前記各々の製品本体は、1本の連続した帯状体からなり、
前記一方の製品本体が平面上で渦巻き形状を維持した際に、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間に、他方の製品本体が配設されてなる請求項1または請求項2記載の害虫駆除用製品。
【請求項8】
前記製品本体の渦巻き形状が、当該渦巻き形状によって画定される渦巻き形状の空間と相補した形状である請求項7記載の害虫駆除用製品。
【請求項9】
前記渦巻き形状の外形が、略四角形である請求項1または請求項2記載の害虫駆除用製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−306921(P2007−306921A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130846(P2007−130846)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】
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