説明

家庭および自動車聴取のためのディスクリートサラウンド音響システム

【課題】好適な家庭および自動車聴取のためのディスクリートサラウンド音響システムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの第1入力信号に応答して、少なくとも1つの第1出力信号を生成するように動作可能な第1マトリックス130、150と、少なくとも1つの第2入力信号に応答して、少なくとも1つの第2出力信号を生成するように動作可能な第2マトリックス140、160と、該第1マトリックスおよび該第2マトリックスに接続された、少なくとも1つの加算器であって、該加算器が該第1出力信号および該第2出力信号に応答して、スピーカ信号を生成するように動作可能な加算器170とを含む、サウンド処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサウンドシステム、より詳細には家庭および自動車システムに適合されたサラウンドサウンドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
サウンドシステムは、音が感知され得る、ひとつまたはそれ以上のチャンネルを含み得る。シングルチャンネルサウンドシステムは、聞き手が音を局所化できない無次限音を生成する。音の2チャンネルの再生とともに、局所化が発生し得るが、スピーカの間の中央に聞き手がいない場合、水平方向の局所化が乏しくあり得る。たとえそうでも、音の2チャンネル再生とシングルチャンネル再生との間の相違は感知され得るし、部屋のいたるところで認識され得る。
【0003】
実際に、多くの聞き手が拡声器間の正確な中央にいるわけではない。局所化および部屋の音再生はともに、拡声器およびディスクリートチャンネルを増やすことによって高められるので、おそらく2つのチャンネルが用いられる。比較的残響しない部屋の2チャンネル拡声器システムは、聞き手が特定の方向に面している場合、現実的な空間場を生成し得る。一般的に音場は、聞き手が前を向いていたら、聞き手にとって広くみえ得る。逆に、音場は、聞き手がある側面を向いていたら、崩壊し得る。
【0004】
2つより多いディスクリートチャンネルを用いて、録音の実行および再生の共通基準は、5ディスクリートチャンネルおよび追加の帯域制限低周波チャンネルを用いることである。聞き手の前に3つのスピーカおよび聞き手の背後に2つのスピーカを配置し、聞き手が拡声器の配置の中心に位置することを前提にして、録音はミキシングされる。前スピーカを左前、中央および右前と呼ぶ。後方スピーカを左サラウンドおよび右サラウンドと呼ぶ。
【0005】
聞き手が、対称的な拡声器の配列の厳密に中央に位置している場合、そのような5.1サラウンドサウンドミキシングは適しているかもしれない。しかし,そのような位置は、
ほとんど為されない。普通の聞き手は動き回るし、平均的な家庭のサウンドシステムは厳密に望んだ通りにめったに配置されていない。最初の録音で、中央のスピーカを用いない場合、聞き手が、スピーカ配列の中央から離れると、例えば、聴取地点から離れると、前音像は崩壊し得る。2チャンネルステレオで、音像が崩壊するのと同じように、最も近い拡声器に対して、前音像は崩壊し得る。
【0006】
同様に、自動車環境において、聞き手は、対称的な拡声器の配列の厳密に中央に位置していない。自動車の中で、聞き手は空間の中央にいない。自動車の中では座る位置の制限があるので、それぞれの聞き手は拡声器の少なくともひとつに近い。自動車の中で音は聞き手に最も近いスピーカから来るようにみえ、空間的再生は乏しいかまたは存在しない。
【0007】
さらに、録音時に中央のチャンネルが用いられた場合、自動車の前および中央に配置されたスピーカからの出力である、中央チャンネルからの音が、運転者の右および同乗者の左から来るように思える。この聴取環境において、中央チャンネルからの音は自動車の後方に乗っている同乗者には聞こえない。
【0008】
さらに、過去、多くのサウンドミキサーは、2つの前チャンネルのみを用い、5.1サラウンドサウンドシステムの中央チャンネルを用いない。これらのミキサーは、音像の中央から音を発し、ディスクリート中央チャンネルを無視することを意図した重要な音を左前および右前チャンネルへ等しく配分することによって、基本的に、「4チャンネル」である録音を生成する傾向にある。1970年台および1980年台から、かなり多数そのような4チャンネル録音があり、徐々に5チャンネル録音が利用され始めたが、中央チャンネルのためのプログラミング情報が欠除している。
【0009】
それ故、聴取環境および製品、聴取位置および録音に関連する少なくとも上記理由のために、システムはより丈夫な音を生成するために音の局在化および空間的錯覚を高める必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
商業用マルチチャンネルの再生メディア(例えば、Dolby Digital、AC−3,DTS、MLP等)からくるディスクリートチャンネルならびにステレオ、4チャンネル等のような他のチャンネルを処理する、サウンドシステムが提供される。システムは、よりロバストなサウンドを生成するために、サウンドの局所化および空間的錯覚を改善し得る。このシステムは、家庭および自動車用途のように、さまざまな用途においても、よく機能する。
【0011】
サウンドシステムは、マルチチャンネル出力信号を生成するように入力を処理する。システムは1以上のマトリックスを利用し得る。例えば、2チャンネル入力−7チャンネル出力マトリックスからの出力信号は、7出力チャンネルを生成するために、2チャンネル入力−4チャンネル出力マトリックスの出力信号とともに、ミキシングされ得る。第1の2チャンネル−マルチチャンネルマトリックスは、入力前左信号および入力前右信号を実行し得る。他の2チャンネル−マルチチャンネルマトリックスは、入力サラウンド左信号および入力サラウンド右信号を実行し得る。多くの入力チャンネルおよび出力チャンネルの他の組み合わせが、使用され得る。遅延回路は、1以上の当初のチャンネルの遅延されたミキシングを生成するために含まれ得る。
【0012】
これらのマトリックスを組み合わすと、増加した局所化のロバストさおよび増加した空間的効果とともに、複数のチャンネル化された出力サウンドが生成され得る。システムは、拡張された聴取範囲を提供し得る。システムは、理想的でないスピーカの配置に対する耐性を提供し得る。システムは、増大された空間的錯覚および音像、ならびに、当初に録音された材料において弱点を克服する性能も提供し得る。
【0013】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図および詳細な説明を検討する当業者に明らかであるか、なりつつある。このようなさらなるシステム、方法、特徴および利点の全てが、この記載された内に含まれ、本発明の範囲内であり、請求項によって保護されていることが意図される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
少なくとも1つの第1入力信号に応答して、少なくとも1つの第1出力信号を生成するように動作可能な第1マトリックスと、
少なくとも1つの第2入力信号に応答して、少なくとも1つの第2出力信号を生成するように動作可能な第2マトリックスと、
該第1マトリックスおよび該第2マトリックスに接続された、少なくとも1つの加算器であって、該加算器が該第1出力信号および該第2出力信号に応答して、スピーカ信号を生成するように動作可能な加算器と
を含む、サウンド処理システム。
(項目2)
前記第1入力信号および前記第2入力信号が同じ信号を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目3)
前記第1入力信号および前記第2入力信号の少なくとも1つがデコード信号を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目4)
前記第1入力信号および前記第2入力信号の少なくとも1つが録音信号を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目5)
前記少なくとも1つの第1入力信号が左前信号および右前信号を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目6)
前記少なくとも1つの第2入力信号がサラウンド左信号およびサラウンド右信号を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目7)
第1セットの出力が、前左信号、前右信号、左側面信号、右側面信号、左後方信号および右後方信号を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目8)
第2セットの出力が、左側面信号、右側面信号、左後方信号および右後方信号を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目9)
前記加算器が信号加算器を含む、項目1記載のサウンド処理システム。
(項目10)
第1セットの出力を生成するために、入力左前信号および入力右前信号に動作する、第1マトリックスと、
第2セットの出力を生成するために、入力サラウンド左信号および入力サラウンド右信号に動作する、第2マトリックスと
を含む、サウンド処理システムであって、
該第1セットの出力および該第2セットの出力が、第3セットの出力を提供するように組み合わされる、サウンド処理システム。
(項目11)
前記第3セットの出力が、該出力に基づいて音を生成するために少なくとも1つのスピーカと接続している、項目10記載のシステム。
(項目12)
前記第1セットの出力が第1サラウンド左信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド左信号を含み、加算器が、左側面スピーカ信号を生成するために、該第1サラウンド左信号および該第2サラウンド左信号を組み合わせる、項目10記載のシステム。
(項目13)
前記第1セットの出力が第1サラウンド右信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド右信号を含み、加算器が、右側面スピーカ信号を生成するために、該第1サラウンド右信号および該第2サラウンド右信号を組み合わせる、項目10記載のシステム。
(項目14)
前記第1セットの出力が第1後方左信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方左信号を含み、加算器が、左後方スピーカ信号を生成するために、該第1後方左信号および該第2後方左信号を組み合わせる、項目10記載のシステム。
(項目15)
前記第1セットの出力が第1後方右信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方右信号を含み、加算器が、右後方スピーカ信号を生成するために、該第1後方右信号および該第2後方右信号を組み合わせる、項目10記載のシステム。
(項目16)
前記第1セットの出力が前左信号を含む、項目10記載のシステム。
(項目17)
入力中央信号を受け取るように動作可能な加算器をさらに含み、該加算器が、該入力中央信号と前記前左信号を組み合わせる、項目16記載のシステム。
(項目18)
前記第1セットの出力が前右信号を含む、項目10記載のシステム。
(項目19)
入力中央信号を受け取るように動作可能な加算器をさらに含み、該加算器が、該入力中央信号と前記前右信号を組み合わせる、項目18記載のシステム。
(項目20)
前記第1セットの出力が中央信号を含む、項目19記載のシステム。
(項目21)
入力中央信号を受け取るように動作可能な加算器をさらに含み、該加算器が、前記第1セットの出力からの前記中央信号と該入力中央信号を組み合わせる、項目20記載のシステム。
(項目22)
第1セットの出力を生成するために、入力左前信号および入力右前信号に動作する、第1の2チャンネル−マルチチャンネルマトリックスと、
第2セットの出力を生成するために、入力サラウンド左信号および入力サラウンド右信号に動作する、第2の2チャンネル−マルチチャンネルマトリックスと、
第3セットの出力を生成するために、該第2セットの出力と該第1セットの出力を組み合わすように動作可能な、少なくとも1つの加算器と
を含む、サウンド処理システム。
(項目23)
遅延された入力中央信号を生成するために第1遅延回路をさらに含む、項目22記載のシステム。
(項目24)
フィルタリングされ、遅延された入力中央信号を生成するために、前記第1遅延回路に接続されたローパスフィルタをさらに含む、項目23記載のシステム。
(項目25)
前記第1セットの出力が第1サラウンド左信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド左信号を含む、項目24記載のシステム。
(項目26)
前記加算器が、前記第1サラウンド左信号および前記第2サラウンド左信号と、前記フィルタリングされ、遅延された入力中央信号を組み合わせる、項目25記載のシステム。
(項目27)
前記第1セットの出力が第1サラウンド右信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド右信号を含む、項目24記載のシステム。
(項目28)
前記加算器が、前記第1サラウンド右信号および前記第2サラウンド右信号と、前記フィルタリングされ、遅延された入力中央信号を組み合わせる、項目27記載のシステム。
(項目29)
2度遅延され、フィルタリングされた入力中央信号を生成するために、前記ローパスフィルタに接続された第2遅延回路をさらに含む、項目24記載のシステム。
(項目30)
前記第1セットの出力が第1後方左信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方左信号を含む、項目29記載のシステム。
(項目31)
前記加算器が、前記第1後方左信号および前記第2後方左信号と、前記2度遅延され、フィルタリングされた入力中央信号を組み合わせる、項目30記載のシステム。
(項目32)
前記第1セットの出力が第1後方右信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方右信号を含む、項目31記載のシステム。
(項目33)
前記加算器が、前記第1後方右信号および前記第2後方右信号と、前記2度遅延され、フィルタリングされた入力中央信号を組み合わせる、項目32記載のシステム。
(項目34)
前記第1セットの出力が中央信号を含む、項目22記載のシステム。
(項目35)
前記加算器は入力中央信号を受け取るように動作可能であり、該加算器が、前記第1セットの出力の中央信号と該入力中央信号を組み合わせる、項目24記載のシステム。
(項目36)
前記第1セットの出力が前左信号を含む、項目22記載のシステム。
(項目37)
前記加算器は入力中央信号を受け取るように動作可能であり、該加算器が前記前左信号と該入力中央信号を組み合わせる、項目36記載のシステム。
(項目38)
前記第1セットの出力が前右信号を含む、項目22記載のシステム。
(項目39)
前記加算器は入力中央信号を受け取るように動作可能であり、該加算器が前記前右信号と該入力中央信号を組み合わせる、項目38記載のシステム。
(項目40)
前記第1の2チャンネル−マルチチャンネルマトリックスが2チャンネル−7チャンネルマトリックスを含む、項目22記載のシステム。
(項目41)
前記第2の2チャンネル−マルチチャンネルマトリックスが2チャンネル−4チャンネルマトリックスを含む、項目40記載のシステム。
(項目42)
入力前左信号および入力前右信号に応答して、第1セットの出力を生成するステップと、
入力サラウンド左信号および入力サラウンド右信号に応答して、第2セットの出力を生成するステップと、
第3セットの出力を生成するために、該第1セットの出力および該第2セットの出力を組み合わせるステップと
を含む、音響出力信号を提供するための方法。
(項目43)
前記第1セットの出力が第1サラウンド左信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド左信号を含む、項目42記載の方法。
(項目44)
中央信号を遅延するステップと、
前記入力中央信号をフィルタリングするステップと、
第1サラウンド左信号および第2サラウンド左信号と該中央信号を加算するステップと
をさらに含む、項目43記載の方法。
(項目45)
前記第1セットの出力が第1サラウンド右信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド右信号を含む、項目42記載の方法。
(項目46)
中央信号を遅延するステップと、
該中央信号をフィルタリングするステップと、
第1サラウンド右信号および第2サラウンド右信号と該中央信号を加算するステップと
をさらに含む、項目45記載の方法。
(項目47)
前記第1セットの出力が第1後方左信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方左信号を含む、項目42記載の方法。
(項目48)
中央信号を遅延するステップと、
該中央信号をフィルタリングするステップと、
該フィルタリングされた中央信号を遅延するステップと、
第1後方左信号および第2後方左信号と該中央信号を加算するステップと
をさらに含む、項目47記載の方法。
(項目49)
前記第1セットの出力が第1後方右信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方右信号を含む、項目42記載の方法。
(項目50)
中央信号を遅延するステップと、
該中央信号をフィルタリングするステップと、
該フィルタリングされた中央信号を遅延するステップと、
第1後方右信号および第2後方右信号と該中央信号を加算するステップと
をさらに含む、項目49記載の方法。
(項目51)
前記第1セットの出力がサラウンド中央信号を含む、項目42記載の方法。
(項目52)
出力信号を生成するため、前記サラウンド中央信号と入力中央信号をミキシングするステップをさらに含む、項目51記載の方法。
(項目53)
前記第1セットの出力が前左信号および前右信号を含む、項目42記載の方法。
(項目54)
前記前左信号および前記前右信号と入力中央信号をミキシングするステップをさらに含む、項目53記載の方法。
(項目55)
少なくとも1つのマトリックスであって、該マトリックスは、入力前左信号および入力前左信号を受け取り、第1セットの出力信号を出力するように、動作可能で、かつ入力側面左信号および入力側面右信号を受け取り、第2セットの出力信号を出力するように、動作可能な、少なくとも1つのマトリックスと、
該第2セットの出力信号と該第1セットの出力信号を組み合わすように動作可能な、少なくとも1つの加算器と
を含む、サウンド処理システム。
(項目56)
前記第1セットの出力が第1サラウンド左信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド左信号を含み、前記加算器が、左側面スピーカ信号を生成するために、該第1サラウンド左信号および該第2サラウンド左信号を組み合わせる、項目55記載のサウンド処理システム。
(項目57)
前記第1セットの出力が第1サラウンド右信号を含み、前記第2セットの出力が第2サラウンド右信号を含み、前記加算器が、右側面スピーカ信号を生成するために、該第1サラウンド右信号および該第2サラウンド右信号を組み合わせる、項目55記載のサウンド処理システム。
(項目58)
前記第1セットの出力が第1後方左信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方左信号を含み、前記加算器が、左後方スピーカ信号を生成するために、該第1後方左信号および該第2後方左信号を組み合わせる、項目55記載のサウンド処理システム。
(項目59)
前記第1セットの出力が第1後方右信号を含み、前記第2セットの出力が第2後方右信号を含み、前記加算器が、右後方スピーカ信号を生成するために、該第1後方右信号および該第2後方右信号を組み合わせる、項目55記載のサウンド処理システム。
(項目60)
前記第1セットの出力が前左信号を含む、項目59記載のサウンド処理システム。
(項目61)
前記加算器は入力中央信号を受け取るように動作可能であり、該加算器が該入力中央信号と前記前左信号を組み合わせる、項目60記載のサウンド処理システム。
(項目62)
前記第1セットの出力が前右信号を含む、項目65記載のサウンド処理システム。
(項目63)
前記加算器は入力中央信号を受け取るように動作可能であり、該加算器が該入力中央信号と前記前右信号を組み合わせる、項目62記載のサウンド処理システム。
(項目64)
前記第1セットの出力が中央信号を含む、項目55記載のサウンド処理システム。
(項目65)
前記加算器は入力中央信号を受け取るように動作可能であり、該加算器が前記第1セットの出力からの前記中央信号と該入力中央信号を組み合わせる、項目65記載のサウンド処理システム。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明は、次の図面および説明を参照して、一層理解され得る。図の部材は必ずしも正確に縮尺されているとは限らず、本発明の原理を図示する上で、強調されている。その上、図中で同様の参照符号が、異なる図を通じて、対応する部品を示す。
【図1】図1は、入来信号をサウンド処理するための方法を図示した流れ図である。
【図2】図2は、例示的なサウンドシステムを図示したブロック線図である。
【図3】図3は、5チャンネル音響システムのための音響レイアウトを示したブロック線図である。
【図4】図4は、7チャンネル家庭用音響システムのためのレイアウトの平面図を示したブロック線図である。
【図5】図5は、7チャンネル自動車用音響システムのためのレイアウトの平面図を示したブロック線図である。
【図6】図6は、5チャンネル入力信号−7チャンネル音響出力信号のミキシングのための回路のブロック線図である。
【図7】図7は、音響入力信号−7チャンネル音響出力信号のミキシングのための他の回路のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(詳細な説明)
図1は、入来信号(例えば、音響信号)をサウンド処理して、聞き手への音出力の認知を増進させるための方法の流れ図100である。特定の構成および動作を示すが、他の構成が、より少ない、もしくは、さらなる構成部品または動作で、用いられ得る。ブロック110では、サウンド処理システムは、1つのまたは複数の入来信号を受け取り、処理する。
【0016】
入来信号は、入力中央、入力前左、入力前右、入力左サラウンド、入力右サラウンドチャンネルを持つ、サラウンドサウンド信号のような、5チャンネルを含み得る。5チャンネル入来信号は、あらかじめ、5チャンネルとして録音されてもよいし、または、デコード信号であってもよい。5チャンネル録音はコンパクトディスク(CD)またはテープのような媒体に格納され得る。商業用5チャンネル信号は、Dolby Digital、AC−3、DTSおよびMLPを含む。5チャンネル入来信号を考察するが、サウンド処理システムは、また、2チャンネルステレオ信号および4チャンネル信号のような、他の量の入力信号および/またはチャンネルを処理し得る。
【0017】
音の空間的特性は、聞き手の満足にとって重要であり得る。一般に、再生音の空間的特徴に関する聞き手の知覚には、2タイプある。局所化と呼ばれている音の方向の知覚および録音が生成された空間のタイプの知覚である。
【0018】
ブロック120において、入来信号はひとつまたはそれ以上のサウンドマトリックスで処理される。サウンドマトリックス1−nは、ハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアアルゴリズムを含み得るサウンドプロセッサであり、ミキシング、デコード、フィルタリングおよび/またはゲイン増進のような機能を実行する。例示的なサウンドマトリックスは、Logic7(登録商標)マトリックスおよび5.1Logic7(登録商標)マトリックスを含み、これは両方ともMassachusetts、BedfordのLexiconで、製造されている。Dolby Digital サウンドマトリックスのように他のサウンドマトリックスが用いられ得る。説明の目的のため、2つのサウンドマトリックスは、下記に記載された入来信号を処理するために、用いられる。しかし、マトリックスの他の構成を用いてもよい。
【0019】
ブロック130において、マトリックス1は、入来信号の選択されたチャンネルを受け取り、ブロック140において、マトリックス2は入来信号の選択されたチャンネルを受け取る。1より多いマトリックス1−nが使用され得、マトリックス1−nは、入来信号の同じまたは異なったチャンネルを受け取り得る。例えば、マトリックス1は、左前チャンネルおよび右前チャンネルを受け取り得、マトリックス2は、左サラウンドチャンネルおよび右サラウンドチャンネルを受け取り得る。マトリックス1−nは、同じまたは異なったサウンド処理アルゴリズムを有し得る。例えば、マトリックス1はLogic7(登録商標)マトリックスを利用し得、マトリックス2は5.1Logic7を利用し得る。Dolby Digitalなどの他のサウンドマトリックスおよびマトリックスの他の組み合わせが使用され得る。例えば、2つの同じマトリックスが使用され得る。
【0020】
ブロック150において、サウンドマトリックス1は、1つまたはそれ以上の出力信号を生成するために入来信号を処理する。ブロック160において、サウンドマトリックス2は、1つまたはそれ以上の出力信号を生成するために入来信号を処理する。信号を処理するためにサウンドマトリックスを使用する代わりまたは関連して、入来信号は、聞き手に対する音の知覚を増進させるための出力を提供する、Dolby Digitalのようなさまざまな他のアルゴリズムによって、ミキシングまたは増進され得る。例えば、入力中央チャンネルは、前左および右、ならびに、後方左および右チャンネルを用いて、多かれ少なかれ、ミキシングされ得る。
【0021】
ブロック170および180において、出力信号は、スピーカに送られる前に組み合わされるかまたはミキシングされ得る。例えば、マトリックス1の左側面出力は、マトリックス2の左側面出力を用いて、組み合わされ得、マトリックス1の後方左出力は、マトリックス2の左後方出力を用いて、組み合わされ得る、等々。さらに、入力中央チャンネルは、マトリックス1の中央出力信号を用いて、組み合わされ得る。代替的に、出力信号は、スピーカでミキシングされてもよいし、または、全くミキシングされなくてもよい。ミキシングが完了した後、1つまたはそれ以上の出力信号が生じ得る。7つの出力信号が生じ得るが、他の複数の出力信号も生じ得る。ブロック180において、ミキシングされた出力信号は、聞き手へ出力されるために、スピーカに送られる。
【0022】
図2は、例示的なサウンドシステムを図示したブロック線図である。聞き手202、204は、2つのスピーカサウンドシステム内で前を向いているので、左スピーカ206は、聞き手202、204の左に位置し、右スピーカ208は、聞き手202、204の右に位置している。「スピーカ」および「拡声器」という用語は、互換性があり、同じもの、音を生成するためのデバイスを意味している。4チャンネルシステムは、左前スピーカ210、右前スピーカ220、左後方スピーカ230および右後方スピーカ240を含み得る。4スピーカ210、220、230および240は、4つのスピーカを用いて部屋の中での音が全ての方向で一様になり得るので、2チャンネルシステムの対称制限を破壊し得る。
【0023】
図3は、5チャンネルサウンドシステムのためのスピーカレイアウト300および聴取点310を示したブロック線図である。ここに記載されているサウンド処理システムは、家庭および自動車音響システムを含むさまざまなサウンドシステムに適用可能である。ここに記載されているシステムは、例示のみの目的である。5チャンネルシステムは、左前スピーカ320、右前スピーカ330、左後方スピーカ340、右後方スピーカ350および中央スピーカ360を含み得る。基準配列の中心すなわち聴取点310におけるサラウンドサウンドの聞き手202に対する、局所化が改善され得る。聞き手202は、聞き手202の背後からのディスクリートサウンドを局所化し得る。2チャンネルサウンドミキシングを用いるかまたは中央チャンネルスピーカ360を含むことによって、聞き手202の前の音は聞き手202に与えられ得る。空間感覚も、よりよく再生され得る。なぜなら、聞き手202の背後の左後方スピーカ340および右後方スピーカ350を加えることで、聞き手202がどのように回転するかにかかわらず空間的に広がりのある音を発する音場を生じ得るからである。
【0024】
7チャンネル音響システムも提供され得る。図4は、7チャンネル家庭音響システム400のためのレイアウトの平面図を示すブロック線図である。局所化および空間的な音の錯覚は、より少ないチャンネルを用いたサウンドシステムよりも7チャンネルサウンドシステム400においてロバストであるようにみえ得る。当初の録音が、4つの左/右チャンネル全ての中で「相関せず」または異なる残響を含む場合、複数のチャンネルシステムを用いると空間感覚は部屋中にわたって、なおさらロバストになり得る。300Hz未満の周波数を含む全ての周波数において、この非相関は高くなり得る。
【0025】
家庭用7チャンネルサウンドシステム400は、左前スピーカ410、右前スピーカ420、左側面スピーカ430、右側面スピーカ440、左後方スピーカ450、右後方スピーカ460および中央スピーカ470を含み得る。左側面スピーカ430および右側面スピーカ440は、聞き手202および204の実質的に左および右に位置し得る。左前スピーカ410、右前スピーカ420および中央スピーカ470は聞き手202、204の前に位置し得る。左後方スピーカ450および右後方スピーカ460は聞き手202、204の背後に位置し得る。
【0026】
図5は、7チャンネル自動車音響システム500のためのレイアウトの平面図を示すブロック線図である。7出力チャンネルは、左前スピーカ510、右前スピーカ520、左側面スピーカ530、右側面スピーカ540、左後方スピーカ550、右後方スピーカ560および中央スピーカ570に送られ得る。左前スピーカ510および右前スピーカ520は、運転者572および前の同乗者574の左および右の方の、前方ドアの前方部分に位置し得る。中央スピーカ570は、ダッシュボード580の中央に位置し得る。左側面スピーカ530および右側面スピーカ240は後方のドアの前方部分に位置し得る。左後方スピーカ550および右後方スピーカ560は、後ろの同乗車592、594の頭の後ろに位置しているパネル590に位置し得る。
【0027】
図6は、7チャンネル音響出力信号を生成するために5チャンネル入力信号をミキシングするためのサウンド処理システム600のブロック線図である。5チャンネル−7チャンネル変換システムは、2つのアクティブなサラウンドマトリックス、第1マトリックス610および第2マトリックス620を利用し得る。例示的な第1マトリックスは、下に詳細に記載されているように、2つの信号(例えば、左前入力および右前入力)を受け取り、7つの出力信号(例えば、中央、左前、右前、左側面、右側面、左後方および右後方)を出力する。例示的な第2マトリックスは、2つの信号(例えば、左サラウンド入力および右サラウンド入力)を受け取り、5つの出力信号(例えば、左側面、右側面、中央、左後方、右後方)ならびにサブウーファー信号を出力する。音の知覚を増進するために他のマトリックスまたはミキサーが使用され得る。
【0028】
システム600は、ファームウェア、ハードウェアまたはソフトウェア、あるいは、ファームウェア、ハードウェアまたはソフトウェアの任意組み合わせを用いて、実装される。5入力チャンネルおよび7出力チャンネルを含む構成が示されるが、他の複数の入力チャンネルおよび出力チャンネルが使用されてもよい。回路600を使用すると、Dolby Digital、AC−3、DTS、MLP等の商業用の5チャンネル再生メディアは7チャンネル出力に変換され得る。5チャンネル−7チャンネル変換は、出力音の局所化および空間的錯覚をよりロバストにし得る。このシステムは、拡張された聴取範囲、理想的でないスピーカの配置に対する耐性、増大された空間的錯覚および当初に録音された材料における弱点を克服する性能を可能にし得る。
【0029】
2つのマリックスの組み合わせは、自動車または家庭環境に対して、最適化され得る。また、他の量のチャンネルは、変換され得、それにより、単一または複数チャンネル信号が、少なくとも1つのサウンドマトリックスを使用して、別の1つまたは複数のチャンネル信号へ変換され得る。マトリックス610および620は、1つ以上のマトリックスを用いて実装され得る。例えば、第1および第2マトリックスのアルゴリズムを組み合わせた単一マトリックスが使用されてもよい。マトリックスは、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアを用いて実装され得、マルチプレクサ、論理素子などを含み得る。マトリックスは1つ以上のチップに含まれてもよい。
【0030】
図6に示したように、変換された当初の入力信号は、入力前左(IFL)630、入力前右(IFR)632、入力中央(IC)634、入力サラウンド左(ISL)636および入力サラウンド右(ISR)368のような1つ以上の入力を含み得る。当初の形式から7チャンネルシステムへ変換するために、5入力チャンネル程度を含む入力信号の任意の組み合わせも使用され得る。
【0031】
図6を参照して、第1マトリックスは、2チャンネル−7チャンネル変換を達成する。例えば、第1マトリックスは、サラウンドサウンドミキサーの入力前左630および入力前右632ディスクリートチャンネルに適用され得る。第1マトリックスは、入力前左630および入力前右632の2入力チャンネルから7出力チャンネルを導出する。出力チャンネルは、左前出力(M1FL)640、前右出力(M1FR)642、中央出力(M1C)644、側面左出力(M1SL)646、側面右出力(M1SR)648、後方左出力(M1RL)650および後方右出力(652)を含む。
【0032】
第1マトリックスは、入力IFLおよびIFLの位相が一致しない条件を無視し、あたかも前2チャンネルが非相関であるようにこの条件を処理するように、変更され得る。このように、2チャンネル−7チャンネルマトリックスは、アクティブに前の音像へ音を導き得る。入力内に位相が一致しない情報が存在する場合、音は、出力(例えば、全ての出力)に等しい程度に導かれ得る。位相が一致しない構成部品にも、あまり重きを置かなくてもよい。
【0033】
2チャンネル−7チャンネル変換に加えて、第2マトリックス620は、2チャンネル入力−4チャンネル出力変換を達成するために、入力サラウンド左(ISL)636および入力サラウンド右(ISR)638入来信号に適用され得る。第2マトリックス620出力チャンネルは、側面左出力(M2SL)660、側面右出力(M2SR)662、後方左出力(M2RL)664および後方右出力(M2RR)666を含み得る。
【0034】
入力ISLが、入力ISRより、かなり強い(かつ同位相の)場合、出力は、ほとんど全部左側面出力からであり得る。右チャンネルのレベルが増加するにつれて、左後方出力のレベルが増大し、左側面出力のレベルが減少する。2入力が(0.91)/(0.38)の比を含む場合、出力は、左後方出力に完全に存在し得る。2つの入力が等しく、左後方および右後方出力も等しくなる時まで、右入力のレベルが上がり続けるにつれて、左側面出力の出力は低いままで、右後方出力の出力は上がる。入力は位相が相関してなくてもよい(共通要素でない)。左入力は、側面および後方出力の間で遅延を伴ない、左側面および左後方に等しく送られ得る。シェルビングフィルタまたはロールオフも使用され得る。マトリックスもプログラミングされ得、それ故、入力信号の位相が一致しない場合、マトリックスは、信号が無相関であるように、反応する。
【0035】
第2マトリックスおよび第1マトリックスの両方は、プレビュー遅延および他の遅延(図示せず)を含み得る。第2マトリックスおよび第1マトリックスの出力信号は、内部遅延を使用することで、遅れずに同期化され得る。例えば、第1マトリックスは、約2〜10msのプレビュー遅延を使用し得る。従って、第2マトリックスは同様の遅延を含み得る。プレビュー遅延は、マトリックス設定および値が出力に前もって計算され得るように、使用され得る。プレビュー遅延は、平均化されるべき入力信号が、正しく導かれる方向および出力を決定することを可能にする。
【0036】
第1マトリックスからの出力、第2マトリックスからの出力および入力信号630,632、634は、7出力チャンネル676a−gを形成するために、加算器670a−gを用いて、組み合わされる。加算器670a−gも、他の方法で、信号(例えば入力信号636、638を含むことによって)を組み合わせるように使用され得る。
【0037】
MIC644は、IC634とミキシングされ、中央拡声器680へ送られる。M1FL640はIFL630とミキシングされ、前左スピーカ682へ送られる。M1FR642はIFR632とミキシングされ、前右スピーカ684へ送られる。M1SL646はM2SL660とミキシングされ、側面左スピーカ686へ送られる。M1SR648はM2SR662とミキシングされ、側面右スピーカ688へ送られる。M1RL650はM2RL664とミキシングされ、後方左拡声器690へ送られる。M1RR652はM2RR666とミキシングされ、後方右拡声器692へ送られる。それぞれのミキシングポイントで、信号のおのおののために、調整可能ゲインがあり得る。従って、相対レベルは、聞き手、および/または、システムの実装者によって調整され得る。
【0038】
図7は、7チャンネル音響出力信号710a−gを生成するために、ミキシング音響入力信号のための、他のサウンド処理システム700のブロック線図である。システム700は自動車用途において使用され得るが、自動車用途だけに限らない。第1マトリックス610は、側面出力M1SL、M1SRおよび前出力M1FL、M1FR間の第1遅延720と、前出力M1FL、M1FRおよび後方出力M1RL、M1RR間の他の遅延730とを含む。
【0039】
それ故、システム700に関して、IC634は、M1SLおよびM1SRの遅延を整合させるために第1遅延素子720を用いて、遅延され得る。次いで、側面左拡声器686および側面右拡声器688に送られる信号へ加えられ得る。M1SLおよびM1SRの遅延は、一般的に10msでもよい。第1遅延信号722がミキシングされる前に、第1遅延信号722が、遅延されたローパスフィルタ信号726を生成するためにローパスフィルタ724を通して処理され得る。調整可能な市販のフィルタは、超短波の少なくともある部分を除去するために、使用され得る。ローパスフィルタ値は、オクターブあたり6dBを含む、約6kHzの単極ローパスフィルタを含み得る。
【0040】
調整可能ゲインは、任意加算器(例えば加算器670dおよび670e)に対して、提供され得る。遅延されたローパスフィルタ信号726は、遅延素子730を用いて、さらに遅延され得、M1RLおよびM1RR信号の遅延を整合する。遅延素子730は、第1遅延素子720からの第1遅延に加えて、10〜20msの一般的な遅延を含み得る。第2遅延素子730の出力信号740は加算器670fおよび670gに加えられ得る。加算器出力710fおよび710gは、後方左スピーカ690および後方右スピーカ692に接続される。さらなるミキシングポイントは、後方同乗者592,594(図5)へ、いくつかの中央チャンネルサウンドを供給し得る。後方同乗者は、同乗者の周り全てのスピーカからIC634の信号を聞くが、主に中央スピーカから聞く。さらに、運転者572および前同乗者574は、後ろから遅延された中央サウンドを聞くので、前の聞き手への効果は、中央像に対して見かけの距離を加えることであり得る。このようなサウンドが前から到着する錯覚が生じ得、この錯覚は、望ましいものであり得る。
【0041】
IC634は、また前左スピーカ682および前右スピーカ684(例えば、約−4dBから−6dBのようなローレベルで)の入力に加えられ得る。IC634に存在する信号は、それ故、運転者572および同乗者574両方の前からもっと発せられているように聞こえ得る。
【0042】
入来信号が、幻の中央像を有する(例えば、中央サウンドがICチャンネル634に存在しない)場合、第1マトリックスは、自動的に中央チャンネル信号を導出するように設計され得、前左および右、側面左および右ならびに後方左および右へのミキシングは、第1マトリックスのデザインによって、自動的に処理される。それ故、上記のようにディスクリート信号を第1マトリックスと組み合わすと、ロバスト再生を提供し得る。中心信号は、当初の録音が中央チャンネルを使用していたかどうかに関わらず、自動車中にわたって局所化され得る。
【0043】
第2マトリックスは、さらに、4つの出口を導出するためにISL636およびISR638を動作し、これらの出力は聞き手の側面および後方に向けられ得る。後方同乗者592、594に対する空間的効果は、第2マトリックスによって後方チャンネルへ加えられる、さらなる遅延によって改善され得る。完全な左/右分離は、全ての残響または周囲の信号に対して、維持され得る。ISL636および/またはISR638にディスクリートサウンドが存在する場合、これらのサウンドは、後方同乗者592,594の後方へわずかに位置し得る。聞き手の後ろにこれらのサウンドを十分に発することを意図するので、たびたび、ミキサーはISL636およびISR638に等しい音を出す。第2マトリックスはこのような音を検知し、主に後方チャンネルに局所化された高周波を発するが、両チャンネル内に低周波を維持する。この結果は確証的かつ包囲的であり得、もし望めば、聞き手の後方で幾分さらに小さいスピーカが使用されることを可能にする。
【0044】
第1および第2マトリックスは、出力信号の空間的な効果を最大化するように設計され得る。信号の非相関量は全周波数で増大され得、ハイおよびローパスフィルタは、聞き手の周りのサラウンドの効果を最大化するように適用され得る。記載されている方法を用いての、当初の信号と第1および第2マトリックスの組み合わせは、局所化体験のロバストさおよび空間的経験の包囲を改善し得る。
【0045】
入力チャンネルは、マトリックスに付与される前にクロスオーバーネットワークを通して、通過され得る。クロスオーバーは、約150Hzのクロスオーバー周波数を用いて、オクターブあたり6dBのハイパスおよびローパスである。クロスオーバーのHF出力は、ステアリングが発生するマトリックスへ送られ得る。クロスオーバーのLF出力は、変更を除いて直接出力へ、通過され得る。デコーダへの左前入力のLFは、左前出力、左側面出力および左後方出力に、等しい程度に送られる。LFの各チャンネルの遅延は、HFの遅延に整合するように調節され得る。従って、LFおよびHFは干渉なしに再結合する。
【0046】
振幅比は、出力チャンネルで使用している特定のスピーカのパワ−ハンドリング能力を整合するように調整され得、原則としてエネルギー分割は等しい。右入力は、3右出力へ同様に送られる。左および右の間の分離はLFに維持され得る。さまざまなバスドライバー間の相関の度合いが可聴であるにもかかわらず、サウンドの方向は普通可聴でない。LFは、できるだけ多くの非相関を維持しながら、すべてのドライバーに送られる。さらに、マトリックスにおけるさまざまな信号をすばやくステアリングすることはHF信号のためだが、同じステアリングが同時にLFに付与される場合、可聴アーチファクトが生じ得る。従って、クロスオーバーの使用は、マルチバンドマトリックスを作る容易な技術であり、結果としてのサウンド出力は、単一バンドマトリックスより優位である。
【0047】
2つのサラウンド入力が等しいか、または、前チャンネルの2チャンネル〜7チャンネルマトリックスを通して導かれるサラウンド出力よりも強い場合、導かれたチャンネルは減衰され得る(例えば、3dBまで)。減衰は、後方スピーカで形成された残響を妨げ得る。当初の録音の入力サラウンドチャンネルが過度に脆弱ならば、デバイスの後方出力への導かれた後方チャンネルエネルギーは、録音の全体的な印象を改善し得る。
【0048】
本発明のさまざまな実施形態を記載したが、本発明の範囲内で、さらなる実施形態および実装が可能であることが当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−205684(P2011−205684A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−122610(P2011−122610)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【分割の表示】特願2004−502510(P2004−502510)の分割
【原出願日】平成15年5月2日(2003.5.2)
【出願人】(592051453)ハーマン インターナショナル インダストリーズ インコーポレイテッド (91)
【Fターム(参考)】