説明

家庭用薄葉紙収納容器

【課題】家庭用薄葉紙の取り出しを容易に行う。
【解決手段】内側に家庭用薄葉紙Pを収納すると共に、収納された家庭用薄葉紙を外側に取り出す取出口41が形成された容器本体20と、取出口を開閉するように容器本体に取り付けられた蓋体50とを備える家庭用薄葉紙収納容器10であって、容器本体に対して蓋体を同一線上とならない軸線回りに回動可能に支持する少なくとも二以上の支持部60を備え、各支持部は、いずれも、蓋体と容器本体との間を分離可能に連結するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットシートやウェットティッシュ等の家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の床やトイレ、或いは人体などを拭くための家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納容器は密閉性を備え、収納容器の上部には家庭用薄葉紙を取り出すための取出口と、当該取出口を開閉する蓋体が設けられ、使用時にのみ開放することにより内部の水分の漏れや乾燥の防止を図っていた。
そして、家庭用薄葉紙収納容器の蓋体を取り外し構造とすると、家庭用薄葉紙の使用のたびに蓋体を取り外した上にどこかに置いてから家庭用薄葉紙の取り出しを行わねばならなくなり、非常に煩雑であることから、一般には回動式の蓋体が採用されていた(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−247404号公報
【特許文献2】特開平11−75933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の家庭用薄葉紙収納容器は、いずれも、容器本体に対して一つの回動軸線回りに蓋体が回動可能に支持される構造であるため、家庭用薄葉紙収納容器の置かれた時の向きに応じて蓋体が一定の方向のみにしか開くことができないという問題があった。このため、例えば、家庭用薄葉紙収納容器の後にいる人が家庭用薄葉紙を使用しようとする場合には、一旦家庭用薄葉紙収納容器の向きを自分に向けてから蓋体を開ける必要があり、取出作業が繁雑なものとなっていた。
【0005】
本発明は、家庭用薄葉紙の取り出しを容易に行うことをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、内側に家庭用薄葉紙を収納すると共に、収納された前記家庭用薄葉紙を外側に取り出す取出口が形成された容器本体と、前記取出口を開閉するように前記容器本体に取り付けられた蓋体とを備える家庭用薄葉紙収納容器であって、前記容器本体に対して前記蓋体を同一線上とならない軸線回りに回動可能に支持する少なくとも二以上の支持部を備え、前記各支持部は、いずれも、前記蓋体と前記容器本体との間を分離可能に連結することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記各支持部に球面軸受を使用することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記各支持部の回動軸線の交点に前記球面軸受を配置することにより、前記各支持部で球面軸受を共用することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記各支持部は、前記蓋体と前記容器本体とを連結する部材の可撓性を利用して分離可能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、同一線上とならない軸線回りに蓋体を回動可能に支持する少なくとも二以上の支持部を備え、各支持部は蓋体と容器本体との分離を可能とすることから、ある支持部の回動軸線回りに蓋体を回動させる場合には他の支持部は連結を解くことで、複数の回動軸線回りで蓋体を回動させて開くことができ、回動軸線毎に蓋体を異なる向きで開くことが可能となる。
このため、家庭用薄葉紙収納容器に対して一定の向きにいる人に限らず、より多くの向きから蓋体を開くことを可能とし、蓋体を開ける際に家庭用薄葉紙収納容器の向きを変える作業をより低減することができ、より容易に家庭用薄葉紙の取り出しを行うことが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、例えば、各支持部がそれぞれ同一回動軸線上の二つ以上の支持構造により蓋体を回動可能に支持する場合、組みをなす二以上の支持構造はいずれもその軸線が同一線上となるように高い加工精度が要求されるが、球面軸受は当該軸受を通過するあらゆる軸線回りに回動可能に支持することを可能とするので、要求される加工精度を低減することができ、容器の加工コストを低減することが可能となる。或いは、従前と同程度の加工精度で製造した場合でも、蓋体の回動をより円滑に行うことを可能とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、各回動軸線の交点に球面軸受を配置することにより、各軸回りでの回動を可能とすると共に交点において共用される分だけ球面軸受の必要個体数を低減することができ、生産性の向上を図ることが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、各支持部における蓋体と容器本体との分離を、連結を行う部材の可撓性を利用して行うので、蓋体の引っ張り動作のみにより分離させることが可能となり、蓋体の任意の軸線回りでの回動を容易に行うことができ、家庭用薄葉紙の取り出しをより容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した実施形態として例示する家庭用薄葉紙収納容器を正面上方から見た斜視図である。
【図2】図1におけるW−W線に沿った家庭用薄葉紙収納容器の断面図であって、小蓋を閉じた状態を示す。
【図3】小蓋の一部を切り欠いた支持部の斜視図である。
【図4】支持部のX−Z平面に沿った断面図である。
【図5】図1におけるW−W線に沿った家庭用薄葉紙収納容器の断面図であって、小蓋を開いた状態を示す。
【図6】支持部の他の構造例を示す正面図である。
【図7】支持部に爪の保持穴を設けた例を示す断面図である。
【図8】第二の実施形態における他の支持部の例を示す斜視図である。
【図9】第三の実施形態における他の支持部の例を示す斜視図である。
【図10】支持部の他の構造例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一の実施形態)
図1は本発明の実施形態としての家庭用薄葉紙収納容器10を正面上方から見た斜視図であり、図2は図1におけるW−W線に沿った家庭用薄葉紙収納容器10の断面図である。なお、以下の説明において、鉛直上下方向をZ軸方向、所定の水平方向をX軸方向、水平であってX軸方向に直交する方向をY軸方向とし、X軸方向の一方を前方、他方を後方と定義し(図2参照)、Y軸方向の一方を左方、他方を右方と定義し(図1参照)、Z軸方向の一方を上方、他方を下方と定義する(図1参照)。また、以下に説明する家庭用薄葉紙収納容器10は水平面上に置かれた状態にあるものとして説明し、水平面に置かれた状態で家庭用薄葉紙収納容器10の上面は水平となるものとする。
【0016】
(家庭用薄葉紙収納容器の概略構成)
家庭用薄葉紙収納容器10は、図2に示すように、例えば、内側に、例えば、ロール状に巻かれたウェットシートやウェットティッシュ等のロールペーパーからなる家庭用薄葉紙Pを収納するとともに、収納された家庭用薄葉紙Pを外側に取り出す取出口としての取出部41が形成された容器本体20と、この容器本体20に回動により取出部41を開閉するように取り付けられた蓋体としての小蓋50と、小蓋50を容器本体20に対して回動可能に支持する二つの支持部60,60とを備えて構成されている。
この家庭用薄葉紙収納容器10に収納するロール状に巻かれた家庭用薄葉紙Pには、長さ方向に一定間隔をおいてミシン目P1が施されており、そのミシン目に沿って切り離したサイズの家庭用薄葉紙Pを、ユーザが使用するようになっている。
【0017】
(容器本体)
容器本体20は、容器本体20の下部をなす有底円筒形状のボトル30と、容器本体20の上部をなす蓋40とで構成されている。
【0018】
ボトル30は、図2に示すように、底部から上端部近傍までほぼ一定の円筒状であり、上端部31はやや小径に形成されると共に大きく開口している。また、このボトル30の上端部31の外周面には、周方向に沿って雄ネジ部が形成されている。なお、ボトル30の下部(底部)の図示は省略している。
ボトル30は、円筒状であることから、前述したロール状の家庭用薄葉紙Pをほぼ同心位置に配置して収納することを可能としている。また、家庭用薄葉紙Pは、ロールの中心側から紙片を繰り出すようになっている。
このボトル30は、例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)、或いはPET(ポリエチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、インジェクション成形、ブロー成形等の金型成型により一体的に形成されている。
【0019】
蓋40は、ボトル30に比べて丈の短い円筒状であって、その上端側は天面部42により閉塞され、下端部は開口している。また、蓋40の外径はボトル30の外径とほぼ等しく、その内周面にはボトル30の雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が形成されている。この雌ネジ部により、蓋40は前述したボトル30の上端部31に対して着脱可能となっている。
蓋40は着脱可能であるため、ボトル30から取り外した状態では、ボトル30の内部に家庭用薄葉紙Pを充填することを可能とし、蓋40をボトル30に取り付けた状態では内部の家庭用薄葉紙Pのロールが外に出ないように保持することを可能とする。
この蓋40は、例えば、PEやPP或いはPET等の熱可塑性樹脂を用いて、インジェクション成形、ブロー成形等の金型成型により一体的に形成されている。
【0020】
また、容器本体20の一部を成す蓋40の天面部42の中央部は、前述した小蓋50の外形に対応した略正方形状の凹部43が形成されており、当該凹部43に嵌合するように小蓋50が天面部42に取り付けられている。
また、凹部43の中央部には、円筒部44が立設されており、その内側中央には家庭用薄葉紙Pを一枚ずつ取り出すための取出部41が設けられている。この円筒部44の上端には周外に向かって突出したフランジ状の係止部44aが形成され、小蓋50を閉じたときに係止することを可能としている。
【0021】
取出部41は、図1、図2に示すように、円筒部44の内側の内底面に貫通形成された取付穴に取り付けられている。かかる取出部41は、円筒と半球殻とを一体的につなぎ合わせ、上側となる半球殻部の頂部に開口を形成している。この取出部41は、例えば、シリコンゴムにより成型されてなる弾性変形可能な略ドーム状の部材である。そして、頂部の開口に家庭用薄葉紙Pを下方から通過させることで適度に摺動抵抗を与え、上方から家庭用薄葉紙Pを引っ張ることによりミシン目からの一枚ずつの分離を可能としている。また、この取出部41の開口における摺動抵抗は、分離された次の家庭用薄葉紙Pを取出部に保持し、次の取り出しを容易に行う機能をも併せ持っている。
なお、取出部41の下半分の円筒部には上下に並んで二つのフランジ部が形成されており、円筒部44の内底面の取付穴の上下にそれぞれのフランジ部が位置するように取り付けることにより、取出部41が取付穴に保持されるようにしている。
【0022】
(小蓋)
小蓋50は、蓋40の凹部43の内底面に二つの支持部60,60を介して回動可能に取り付けられており、Y軸回りの回動により取出部41の開閉を行うようになっている。
この小蓋50は、図1に示すように、略正方形の平板状に形成されており、蓋40の凹部43に嵌合させることが可能である。
また、小蓋50の裏面(閉じた状態で下側となる面)には、蓋40の凹部43内に形成された円筒部44よりも幾分内径の大きな円筒部53が形成されている。かかる円筒部53の下端部には内側に向かって凸となる係止部53aが全周に渡って形成されている。そして、小蓋50を閉じると、円筒部53の内側に蓋40の円筒部44が入り込み、互いの係止部44a、53aが噛み合って小蓋50の閉じた状態に保持するようになっている。
なお、小蓋50は、蓋40と同様に、PEやPP、或いはPET等の熱可塑性樹脂を用いて、インジェクション成形、ブロー成形等の金型成型により一体的に形成されている。従って、小蓋50、蓋40は互いに可撓性を有しているので、小蓋40の前端部を上方に引っ張る操作で簡単に噛み合いを解くことができるようなっている。
【0023】
(支持部)
図3は小蓋50の一部を切り欠いた支持部60の斜視図、図4は支持部60のX−Z平面に沿った断面図である。
二つの支持部60,60は、小蓋50の前端部下側と後端部下側にそれぞれ配設され、各々が同一線上とならないY軸方向に沿った回動軸線回りに小蓋50を回動可能に支持することを可能とすると共に、それぞれの支持部60,60が蓋40と小蓋50との連結を解除することも可能となっている。
即ち、前側の支持部60により小蓋50を回動させるときには後側の支持部60は連結を解除し、後側の支持部60により小蓋50を回動させるときには前側の支持部60は連結を解除することにより、小蓋50の前端部側を開放することも後端部側を開放することも可能としている。
【0024】
各支持部60は、蓋40の凹部43の内底面において円筒部44を挟んで前側と後側とにそれぞれY軸方向に沿って固定装備された支軸61と、小蓋50の裏面(下面)における前側と後側とにそれぞれY軸方向に沿って固定装備された軸抱き62とから構成される。
【0025】
二つの支軸61はY軸方向に沿って平行に形成された丸棒状であり、各支軸61の下側には脚柱部61aが形成されている。この脚柱部61aにより支軸61が凹部43の内底面より幾分上方に位置することとなり、小蓋50の回動時に軸抱き62と凹部43の内底面とが干渉することを回避している。なお、軸部61と脚柱部61aとは蓋40に対して同じ素材で一体的に形成されている。
なお、小蓋50の回動範囲が十分に確保される場合には、脚柱部61aは形成しなくとも良い。
【0026】
各軸抱き62は小蓋50の下面において下方に突出すると共にY軸方向に沿って形成された二つの爪61aにより支軸61を挟むように抱いて回動可能に保持する構造となっており、二つの爪62aの間がY軸方向に沿った溝状の凹部となっている。そして、二つの爪62aは小蓋50に対して同じ素材で一体的に形成されている。
そして、二つの爪62aの間の凹部の内側には支軸61の外周に摺接する内周面が形成されている。
これら二つの爪62aは、図4に示すように、少なくとも支軸61の外周面の180°より広い範囲を包持するよう形成されている。この軸抱き62は、支軸61に対して当該支軸61回りに回動可能に連結可能であると共に、二つの爪62aの素材による可撓性を利用して分離することも可能となっている。例えば、小蓋50の前端部或いは後端部を片手で引っ張るとその端部に近い方の支持部60の軸抱き62が支軸61から容易に外れる程度の保持力で連結されていれば良い。このため、二つの爪62aは、図4に示すように、支軸61の外周面の180°を大きく超えない範囲で包持するよう形成されている。
【0027】
また、二つの軸抱き62は、X軸方向について、二つの支軸61間の距離と等しくなるように小蓋50の下面に設けられており、これにより、二つの支持部60が同時に支軸61と軸抱き62とを連結した状態(小蓋50を閉じた状態)とすることを可能としている。
【0028】
(家庭用薄葉紙収納容器の使用時の効果説明)
次に、上述した家庭用薄葉紙収納容器10の使用時の取り扱いについて説明する。図5は小蓋50の開いた状態を示す動作説明図である。
まず、図1,2に示す小蓋50が閉じられた状態からその前端部を引き上げる。なお、蓋40の天面部42には凹部43に前側と後側それぞれ隣接して半円状の窪み45,45が形成されており、小蓋50の前端部と後端部に対する回動操作を容易にしている。
かかる回動操作により、前端部側の支持部60では、軸抱き62の各爪62aの間隔が広げられて支軸61が外れ、小蓋50の前端部側と蓋40の連結状態が解かれる。そして、後端部側の支持部60の支軸61を中心としてY軸回りで小蓋50が回動を行い、小蓋50側の円筒部53から蓋40の円筒部44が外れ、図5に示すように、小蓋50の前側が開放される。
そして、内部の家庭用薄葉紙Pを取出部41から引き出して使用した後には、小蓋50の前端部を押し下げると、後端部側の支持部60の支軸61を中心にY軸回りで回動を行い、円筒部44が円筒部53内に入り込むと共に前端部側の支持部60の軸抱き62内に支軸61が押し込まれて再び連結が行われ、小蓋50が閉じられる。
また、家庭用薄葉紙収納容器10に対して、後方から開く場合には、小蓋50の後端部を引き上げ、前端部側の支持部60の支軸61中心で小蓋50が回動すると共に後端部側の支持部60の軸抱き62が支軸61から外れ、小蓋50の後側が開放される。家庭用薄葉紙Pの使用後は、小蓋50の後端部を押し下げ、後端部側の支持部60の支軸61回りで回動すると共に前端部側の支持部60の軸抱き62内に支軸61が押し込まれて再び連結が行われ、小蓋50が閉じられる。
【0029】
上記のように、家庭用薄葉紙収納容器10は、小蓋50の回動支軸61,61がその前端部側と後端部側とに配設され、各支持部60は支軸61と軸抱き62の着脱が可能であるため、小蓋を後端部側中心と前端部側中心とでそれぞれ回動させることができ、小蓋50を前側と後側とに開くことが可能となる。このため、家庭用薄葉紙収納容器10に対して前側にいる人に限らず、後側にいる人も家庭用薄葉紙収納容器10の向きを変えることなく小蓋50を開くことができ、より容易に家庭用薄葉紙の取り出しを行うことが可能となる。
また、各支持部60を構成する素材の可撓性を利用して支軸61と軸抱き62との着脱を可能とするので、蓋体50の引っ張り動作のみにより分離させることが可能となり、小蓋50の任意の軸線回りでの回動を容易に行うことができ、家庭用薄葉紙Pの取り出しをより容易に行うことが可能となる。
【0030】
(その他)
なお、上記家庭用薄葉紙収納容器10の例では、小蓋50の二本の回動支軸61,61を互いに平行とし、小蓋の前端部側と後端部側とに配設したが、支軸の配置は前後の端部に限定されるものではなく、また、各支軸は互いに平行である場合に限られるものではない。また、支持部60は三以上設けても良い。
例えば、小蓋の左端部と右端部とにも支持部60を設け、四方に小蓋50が開放可能としても良い。その場合、小蓋50を開きたい方向の逆側に位置する支持部60の支軸61を中心に小蓋50は回動を行い、他の支持部60は全て連結状態を解除される。
また、小蓋50についても、その形状は正方形状に限らず、円形、多角形その他の種々の図形形状としても良い。
なお、小蓋50に対する支持部60の配置としては、小蓋50の外縁部近傍とすることが望ましい。例えば小蓋50の外縁部から遠い内側に配置すると、小蓋50を回動させたときに開く側と逆側の端部が蓋体40の上面と干渉を生じる場合があるためである。
【0031】
また、各支持部60において、軸抱き62が支軸61に対し周面により面接触する例を示したが、面全体ではなく、例えば二つのく字状の爪部を対向させて支軸61を挟むようにするなど、複数の点或いは複数の線で接触するような構造としても良い。
さらに、各支持部60については、蓋40側に支軸61を配置し、小蓋50側に軸抱き62を配置したが、蓋40側に軸抱き62を設け、小蓋50側に支軸61を設けても良い。
【0032】
さらに、支持部60は回動と着脱を可能とする構造であれば上記構造に限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、軸状の部材を使用せず、小蓋50の前後の各端部において、略半球状の突起61a,61aを回動軸線となるY軸方向に沿って互いに外側に凸となるよう向けて配置し、突起61a、61aが嵌合する凹部を有する二つの受け部62a,62aを蓋40の凹部43の内底面に設け、これらで挟むように保持する構成としても良い。かかる構成の場合、小蓋50の端部を上方に引っ張ると、各受け部62aが両外側に押し広げられて各突起61a,61aが外れるようになっている。また、この構造の場合も、蓋40側に突起61a,61aを互いに対向するように配置し、小蓋50側に受け部としての凹部を設けても良い。
【0033】
また各支持部60については、図7に示すように、爪62aを円弧状に形成し(図7では二つの爪62aの両方を円弧状に図示したが、小蓋50を開く際に回動により蓋40側に移動する片方の爪62a(図示右側の爪)のみを円弧状にすればよい)、小蓋50を開く方向に回動することにより蓋40側に近接移動する方向に移動する一方の爪62aが進入する保持穴63を蓋40の凹部43の内底面に設けても良い。
即ち、小蓋50の開放回動持に、回動軸側となる支持部60の一方の爪62aが保持穴63内に入り込むことで、小蓋50を開いている際に、支持部60の軸抱き62と支軸61との不慮の外れを防止することが可能となる。
【0034】
また、上記家庭用薄葉紙収納容器10ではロール状の家庭用薄葉紙Pを収納する場合を例示したが、例えば、一枚ずつカットされた家庭用薄葉紙Pを略二つ折りにして、互い違いに重ねて収納する場合にも、上記家庭用薄葉紙収納容器10は適用可能である。なお、その場合、容器本体20は直方体形状とすることがより望ましい。
【0035】
(第二の実施形態)
支持部について第二の実施形態を図8に基づいて説明する。
前述した支持部60は、一つの回動軸線につき、一つの支軸61及び軸抱き62を設ける構成としたが、第二の実施形態では、図8に示すように、一つの回動軸線につき二つ(或いはそれ以上としても良い)の支軸61A及び軸抱き62Aを設ける構成とした。
その場合、各保持部60Aは、蓋40の凹部43の内底面に同一軸上となるようにY軸方向の長さを短くした二つの支軸61Aを配置し(例えば、凹部43の角位置)、小蓋50の下面側の対応する各位置に同様にY軸方向の長さを短くした軸抱き62Aを配置する。つまり、この例では、小蓋50の四方の角に支軸61Aと軸抱き62Aの組みが配置されることとなる。
かかる構成の支持部60A場合も、前述した支持部60と同様に機能し、同様の効果を得ることができる。
なお、この例でも、蓋40側に軸抱き62Aを設け、小蓋50側に支軸61Aを設けても良い。
【0036】
(第三の実施形態)
支持部について第三の実施形態を図9に基づいて説明する。
前述した支持部60は、支持部60は一定方向(Y軸方向)に沿った軸線回りの回動を可能とする構成としたが、この第三の実施形態では、図9に示すように、各支持部60Bを球面軸受構造とし、個々の支持部60Bが全方位を軸として回動可能に構成した。
図9は支持部60BのX−Z平面に沿った断面図である。支持部60Bは、蓋40の凹部43の内底面上から脚柱部63Bを介して立設された球体部61Bと、蓋体50の下面に設けられた球体保持部62Bとから構成されている。
【0037】
球体部61Bはなめらかな球面を備えた球体である。
また球体保持部62Bは全体がZ軸方向に沿った円筒状であり、その内部には球面に面接触する球体受け面が形成されている。また、この球体保持部62Bは、前述した軸抱き62のように、球体部61Bの上半分以上の範囲を内包するように保持を行う。そして、球体保持部62Bは、その下端部から上方に向かって切り込み64Bが形成されている。これにより、円筒状の球体保持部62Bは半径方向外側に向かって拡径することが可能となっており、これにより球体保持部62Bから球体部62Bを引き抜くことを可能としている。
【0038】
また、上記支持部60Bは、二本のX軸方向に平行な回動軸線S,Sと二本のY軸方向に平行な回動軸線S,Sとの四つの交点となる位置にそれぞれ設けられており、これにより、二本のX軸方向に平行な回動軸線S,Sと二本のY軸方向に平行な回動軸線S,Sのそれぞれについて小蓋50を回動させることを可能としている。四本の軸線のいずれかの軸線回りに回動させる時には、当該軸線上の二つの支持部60B以外の他の支持部60Bについては球体部61Bと球体保持部62Bとを分離させ、軸線上の二つの支持部60Bにより小蓋50を回動させる。
【0039】
かかる構成の支持部60B場合も、前述した支持部60と同様に機能し、同様の効果を得ることができる。
さらに、一本の回動軸線につきその両端部に支持部60Bを設ける場合に比べて二本の軸線で支持部60Bが共用されるので、必要個体数を低減し、家庭用薄葉紙収納容器の生産コストを低減して生産性を向上させることが可能となる。
また、球面軸受はあらゆる方向を軸として回動可能とするので、一つの回動軸線につき、二つの支持部60Bを設ける場合でも、回動軸線を揃えるための加工精度が高く要求されず、容器の加工コストを低減することが可能となる。或いは、従前と同程度の加工精度で製造した場合でも、小蓋50の回動をより円滑に行うことを可能とする。
なお、この例でも、蓋40側に球体保持部62Bを設け、小蓋50側に球体部61Bを設けても良い。
【符号の説明】
【0040】
10 家庭用薄葉紙収納容器
20 容器本体
30 ボトル
40 蓋
41 取出部(取出口)
50 小蓋(蓋体)
60,60A,60B 支持部
61,61A 支軸
61B 球体部
62,62A 軸抱き
62B 球体保持部
64 開口部(ガイド構造)
P 家庭用薄葉紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に家庭用薄葉紙を収納すると共に、収納された前記家庭用薄葉紙を外側に取り出す取出口が形成された容器本体と、前記取出口を開閉するように前記容器本体に取り付けられた蓋体とを備える家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体に対して前記蓋体を同一線上とならない軸線回りに回動可能に支持する少なくとも二以上の支持部を備え、
前記各支持部は、いずれも、前記蓋体と前記容器本体との間を分離可能に連結することを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
前記各支持部に球面軸受を使用することを特徴とする請求項1記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記各支持部の回動軸線の交点に前記球面軸受を配置することにより、前記各支持部で球面軸受を共用することを特徴とする請求項2記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記各支持部は、前記蓋体と前記容器本体とを連結する部材の可撓性を利用して分離可能とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−173633(P2011−173633A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40298(P2010−40298)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】