説明

家庭用電気機器のLED表示装置

【課題】LEDの点灯時には光を必要以上に拡散させずに必要な表示だけを明りょうに表示し、LEDの消灯時には表示が見えず周辺との色差を均一にすることができるLED表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも2つのLED17を設けた本体10と、LED17に対向するように本体10に取り付けたパネル2とを備える。パネル2は、LED17と対向する部分をLED光の透過方向に厚くした厚肉部23と、LED17と対向しない部分をLED光の透過方向に薄くした薄肉部25とからなるLEDの光を透過する光透過部材19と、光透過部材19とLED17との間に配置され、光透過部材19を保持するとともに、透過部材19の薄肉部25に位置するLED17の光を透過しない光非透過部27を有する保持部材20とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気清浄機、除湿機、加湿器などの空気調和機、炊飯器などの調理器を含む家庭用電気機器に使用されるLED表示器、詳しくはそのLEDの光を透過させる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1や特許文献2に記載されているように、空気清浄機などに使用されるLED表示器は、運転モード、メニュー、電源のオン、オフ等の表示するためのLEDを設け、これらのLEDを覆うパネルに孔を設け、該孔に拡散インキ等の透過性のあるインキを塗布したパネルシートを貼り付けたものが多い。
【0003】
しかし、従来の構造では、LEDが点灯していないときでも、拡散インキ部分がパネルシートから浮かび上がり、LEDの光が透過する部分とその周囲の部分との間に色差が生じ、見栄えが悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−356035号公報
【特許文献2】特開平11−195339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたもので、LEDの点灯時には光を必要以上に拡散させずに必要なLEDの光だけを明瞭に表示し、LEDの消灯時には表示が見えず周辺との色差を均一にすることができる家庭用電気機器のLED表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明(請求項1)は、
少なくとも2つのLEDを設けた本体と、
前記LEDに対向するように本体に取り付けたパネルとを備え、
前記パネルは、
前記LEDと対向する部分をLED光の透過方向に厚くした厚肉部と、前記LEDと対向しない部分をLED光の透過方向に薄くした薄肉部とからなる前記LEDの光を透過する光透過部材と、
前記光透過部材と前記LEDとの間に配置され、前記光透過部材を保持するとともに、前記光透過部材の薄肉部に位置する前記LEDの光を透過しない光非透過部を有する保持部材と、
からなるものである。
【0007】
本願発明(請求項2)では、前記光透過部材の外面は前記少なくとも2つのLEDが並ぶ方向に平坦であることが好ましい。
【0008】
本発明(請求項3)では、前記光透過部材の薄肉部と前記保持部材の光非透過部の間に隙間を設けることが好ましい。
【0009】
本発明(請求項4)では、前記保持部材の光非透過部の色は、前記光透過部材の色よりも濃い色であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明(請求項1)によれば、LEDを点灯すると、LEDから出た光は光透過部材の厚肉部を透過し、外部に放射される。この厚肉部を透過する光は薄肉部に位置する光非透過部により周囲への放散が防止されるので、LEDから出た光を明瞭に視認することができる。LEDを消灯すると、外部からは光透過部材の厚肉部の色が見えるが、薄肉部からは保持部材の光非透過部が見えるので、厚肉部を通して見える色と薄肉部を通して見える色に差が無くなり、LEDの全領域を均一に視認することができ、見栄えがよい。
【0011】
本発明(請求項2)によれば、光透過部材の外面は少なくとも2つのLEDが並ぶ方向に平坦であるので、LEDが点灯しているときには、光透過部材の凹凸の無い平坦な面からLEDの光が見え、LEDが消灯しているときには、光透過部材の凹凸の無い平坦な面しか見えないので、見栄えがよい。
【0012】
本発明(請求項3)によれば、光透過部材の薄肉部と保持部材の光非透過部の隙間に僅かの光が進入し、この僅かな光により、厚肉部を通して見える色と薄肉部を通して見える色との間の色差をより一層無くすることができ、LEDの全領域をさらに均一に視認することができ、見栄えがさらに向上する。
【0013】
本発明(請求項4)によれば、保持部材の光非透過部の色を光透過部材の色よりも濃い色としてので、厚肉部を通して見える消灯時のLEDの暗さと、乳白色の薄肉部を通して見える保持部材の光非透過部の暗さが同等に見えるので、LEDの全領域をさらに均一に視認することができ、見栄えがさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】空気清浄機の前面パネルの正面図(A)、平面図(B)、側面図(C)。
【図2】図1の前面パネルの一部拡大図。
【図3】空気清浄機の本体の正面図。
【図4】空気清浄機の表示部の垂直断面図。
【図5】空気清浄機の表示部の図4のV−V線水平断面図。
【図6】LEDの光透過部材(A)及び保持部材(B)の斜視図、光透過部材の側面図(C)。
【図7】図5の一部拡大図。
【図8】LED表示部の拡大図で、各部材を透視して見た正面図。
【図9】LED表示部の拡大図で、LED点灯状態の正面図(A)、光非透過部材が無い場合のLED消灯状態の正面図(B)、LED消灯状態の正面図(C)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。
【0016】
図1は、本発明にかかるLED表示装置を設けた空気清浄機1の前面パネル2を示す。前面パネル2は、矩形の鉛直な面の両端縁が後方に向かって湾曲した前面部3と、前面部3の上端縁から水平に延びる天面部4とからなっている。前面部3の中央には、空気を取り入れるルーバー5が形成されている。前面部3とこれに連続する天面部4とが形成する稜部6の右側部分には、第1スイッチ(切タイマー)と第2スイッチ(入/切選択スイッチ)のスイッチ操作部7a、7bが設けられている。スイッチ操作部7a、7bの下方の前面部3には、各種選択コースをLEDで表示するための横方向に延びるLED表示窓8が設けられている。図2は、LED表示窓8の上部に設けられた表示の一例であり、左から順に、「タイマー」、「きれいモニター」、自動コースの「おまかせ」、「花粉」、「エコ」の各モード、連続コースの「静音」、「標準」、「急速」の各モードが表示されている。前面パネル2の前面部3と天面部4とが形成する稜部6の中央の内面には、位置決め部として1対の突片9が形成されている。
【0017】
図3は、前面パネル2を取り外した状態の空気清浄機1の正面から見た本体10を示す。本体10には、前面パネル2のルーバー5を通過した空気をフィルタ11を介して内部のファン(不図示)に吸い込むための吸込み口12が形成されている。図3に示すように、本体10の正面の右上には、第1スイッチと第2スイッチ用の2つのスイッチ孔13a、13bが形成され、該スイッチ孔13a、13bの下方には、空気清浄機1の複数のLED孔14が水平方向に1列に形成されている。スイッチ孔13a、13b及びLED孔14を覆うようにシート15が貼り付けられ、LED孔14の部分は透明な窓になっている。
本体10の前面と天面の稜部の中央には、前記前面パネル2の1対の突片9が係合する凹部16が形成されている。
【0018】
本体1の内部には、図4,5に示すように、図示しない第1と第2のスイッチ及び複数のLED17を実装した基板18が鉛直方向に平行に配設されている。各LED17は、本体10の前面のLED穴14に対向している。
【0019】
図6は、LED17の光を透過する光透過部材19と、該光透過部材19を保持する保持部材20とを示す。光透過部材19は、アクリル樹脂などの乳白色の材料からなり、保持部材20は、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)樹脂などの光透過部材19よりも暗い、例えば灰色や黒色の材料からなる。
【0020】
光透過部材19は、矩形の平坦な基部21と、該基部21の前面に前面パネル2のLED表示窓8に内側から嵌入する突条部22と、前記基部21の裏面に一定間隔で併設した複数の厚肉突部23と、基部21の一部に上方へ突出する摘み片24とからなっている。隣接する厚肉突部23の間は薄肉凹部25となっている。光透過部材19の外面となる突条部22の外面は、複数のLED17が並ぶ方向すなわち、実施例では水平方向に平坦な面になっている。また、突条部22の外面の上下方向は僅かに湾曲している。
【0021】
保持部材20は、前面パネル2を本体10に取り付けたときに、光透過部材19とLED17との間に配置されるものである。保持部材20は、光透過部材19の複数の厚肉突部23が嵌入する複数の孔26が形成されている。孔26の周囲の壁は光非透過部27となっている。
【0022】
図7に示すように、厚肉突部23と光非透過部27の側面との間の隙間Gは0.2mm程度、薄肉凹部25と光非透過部27の先端面との間の隙間Gは、1.2mm程度の隙間になっている。これらの隙間は、実施例の数値のものに限定されない。
【0023】
次に、以上の構成からなる本発明のLED表示装置の動作について説明する。
【0024】
まず、前面パネル2を本体10に取り付けると、前面パネル2の一対の突片9が本体10の凹部16に係合する。このため、簡単な構成と動作により、前面パネル2と本体10の正確な位置決めができ、前面パネル2のLED表示部窓8や光透過部材19と、本体10のLED17との位置関係を維持することができる。
【0025】
本体10のLED17を点灯すると、LED17を出て直進する光aは、図7に1点鎖線で示すように、光透過部材19の厚肉突部23を透過し外部に放射される。またLED光透過部材19から斜めに進んだ光bは厚肉突部23の側面を透過して保持部材20の光非透過部27で反射して厚肉突部23に戻るので、外部への放散が防止される。このため、LED17から出た光は、全て厚肉突部23を通って外部に放射されるので、図9(A)に示すように、LED17の光を明瞭に視認することができる。
【0026】
本体10のLED17を消灯すると、光非透過部材27が無いと仮定した場合、厚肉突部23のほうが薄肉突部25より薄いので、外側からは、図9(B)に示すように、厚肉突部23のほうが薄肉突部25より暗く見えるので、ED17の全領域にわたって色むらが生じる。
しかし、本実施形態では、本体10のLED17を消灯すると、内部は暗くなるが、外部からは光透過部材19の厚肉突部23の色が見える。また、薄肉凹部25からは保持部材20の光非透過部27の色が見えるので、厚肉突部23を通して見える色と薄肉凹部25を通して見える色に差が無くなり、図9(C)に示すように、LED17の全領域を均一に視認することができ、見栄えがよい。
【0027】
また、光透過部材19の外面は複数のLED17が並ぶ方向、すなわち、水平方向に平坦であるので、LED17が点灯しているときには、光透過部材19の凹凸の無い平坦な面からLED17の光が見え、LED17が消灯しているときには、光透過部材19の凹凸の無い平坦な面しか見えないので、見栄えがよい。
【0028】
また、光透過部材19の薄肉凹部25と保持部材20の光非透過部27の隙間に僅かの光が進入し、この僅かな光により、厚肉突部23を通して見える色と薄肉凹部25を通して見える色との間の色差をより一層無くすることができ、LED17の全領域をさらに均一に視認することができ、見栄えがさらに向上する。
【0029】
なお、保持部材20の光非透過部27の色を黒色と乳白色の中間色とすれば、厚肉突部23を通して見える消灯時のLED17の暗さと、乳白色の薄肉凹部25を通して見える保持部材20の光非透過部27の暗さが同等に見えるので、LED17の全領域をさらに均一に視認することができ、見栄えがさらに向上する。
【0030】
前記実施形態は、種々変更することができる。例えば、厚肉部である厚肉突部23は、LED17と対向する部分の全面でもよいし、LED17と対向する部分の一部、すなわち、LED17よりも小さい形状でもよい。同様に、薄肉部である薄肉凹部25は、LED17と対向しない部分の全面でもよいし、一部でも構わない。
【0031】
前記実施形態は、空気清浄機で説明したが、LED表示部を有する除湿機、加湿器などの他の空気調和機、炊飯器などの調理器を含む家庭用電気機器にも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 空気清浄機
2 前面パネル(パネル)
10 本体
17 LED
19 光透過部材
20 保持部材
23 厚肉突部(厚肉部)
25 薄肉凹部(薄肉部)
27 光非透過部
、G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのLEDを設けた本体と、
前記LEDに対向するように本体に取り付けたパネルとを備え、
前記パネルは、
前記LEDと対向する部分をLED光の透過方向に厚くした厚肉部と、前記LEDと対向しない部分をLED光の透過方向に薄くした薄肉部とからなる前記LEDの光を透過する光透過部材と、
前記光透過部材と前記LEDとの間に配置され、前記光透過部材を保持するとともに、前記光透過部材の薄肉部に位置する前記LEDの光を透過しない光非透過部を有する保持部材と、
からなることを特徴とする家庭用電気機器のLED表示装置。
【請求項2】
前記光透過部材の外面は前記少なくとも2つのLEDが並ぶ方向に平坦であることを特徴とする請求項1に記載の家庭用電気機器のLED表示装置。
【請求項3】
前記光透過部材の薄肉部と前記保持部材の光非透過部の間に隙間を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の家庭用電気機器のLED表示装置。
【請求項4】
前記保持部材の光非透過部の色は、前記光透過部材の色よりも濃い色であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の家庭用電気機器のLED表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−242440(P2012−242440A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109540(P2011−109540)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000002473)象印マホービン株式会社 (440)
【Fターム(参考)】