説明

家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム

【課題】
家庭系一般廃棄物の収集現場作業及び関連諸作業を効率化すると共に、地域住民に家庭系一般廃棄物の収集情報をリアルタイムに公開する情報管理システムを提供する。
【解決手段】
インターネット通信網と、情報管理サーバと、家庭系一般廃棄物のゴミ収集車両と、ゴミ収集車両がゴミ集積場所で収集を完了する度に現場作業者が作業情報を入力する携帯端末と、インターネット経由でゴミ収集情報を管理する管理用パソコン端末と、ゴミ集積場所に掲示、及び/又は近隣に配布された個別識別情報二次元コードと、それからゴミ集積場所の収集情報に関する情報を読み取る携帯端末とからなる情報管理・配信システムを構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭系一般廃棄物の収集現場作業及び関連諸作業を効率化すると共に、地域住民に家庭系一般廃棄物の収集情報をリアルタイムに公開する情報管理システムの技術に関する。

【背景技術】
【0002】
家庭系一般廃棄物は、決められた曜日の決められた時間までに最寄のゴミ集積場所(ゴミステーションなど)に家庭から集積される。ゴミ収集事業者が巡回させるゴミ収集車両は、予め決められたスケジュール、径路に従ってそれらのゴミ集積場所にてゴミを収集し、焼却施設等の処分場に運搬する。
【0003】
しかしながら、ゴミ集積場所に集積されるゴミの量は常に一定ではなく、曜日や季節によって大きく増減する。従って家庭から出されたゴミがいつ収集されるのか、特にゴミ集積場所の清掃当番など管理作業を行う住民にとっては、ゴミ収集スケジュールの正確な情報取得が望まれていた。また、ゴミの出し忘れや後出しによる住民間の不都合を解消するためにもそうした正確な情報取得が期待されていた。
【0004】
一方、ゴミ収集事業者の現場作業者としても、作業グループで地域のゴミ集積場所の収集作業を行う場合、どの車両がどの集積場所を処理済であるのか未だなのかという情報を共有し、無駄な車両運行を減らす意味でもリアルタイムなゴミ収集情報の取得が好都合であった。
【0005】
従来、こうしたゴミ収集情報の開示を目的としたシステムとして、特許文献1のようなシステムが提案されている。この特許文献1のシステムは、ゴミ収集車両による家庭系一般廃棄物の収集重量の適正評価と、家庭系一般廃棄物への事業系一般廃棄物の混載排除と、ごみの収集忘れの根絶とを図るほか、一般家庭側に対しごみ回収情報の開示をもできる家庭系一般廃棄物収集システムおよび収集方法を提供することを目的としていた。
【特許文献1】特開2008−015991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されているシステムは、ゴミ収集の現場作業の効率化という視点からは十分なものではなく、地域の一般家庭側に対しごみの収集忘れの防止や、ごみ回収情報の開示を行うにしても、積極的な情報配信の体制が十分ではなく、本発明が提案するような広告事業と連携した新規な事業展開を有するものでもなかった。
【0007】
また、特許文献1に開示されているシステムにおいては、GPS車体端末等の高価な専用端末が必須であり、通常の携帯電話のWEBサービスのような、殆ど初期投資の要らない、廉価で便利なシステムが望まれていた。
【0008】
本発明の目的とするところは、ゴミステーション等ゴミ集積場所の収集情報管理システムを構築し、ゴミ収集業者の業務効率化に寄与することであり、地域住民への収集スケジュール情報サービスとゴミ減量化啓発、資源回収サイクルの向上を図ると共に、QRコード(登録商標)やメール配信サービスを活用した新規広告事業に展開し、地域産業の活性化に資することである。
【0009】
それらを3つの視点から記述すると以下のようになる。
1)現場情報共有: 各ゴミ収集車(パッカー車)は、各ゴミステーションや焼却場に到着する度に、携帯WEBによる簡単な操作で作業時刻や排出量をネット上のサーバに登録する。これにより、近隣パッカー車と収集進捗情報を共有することにより連携作業を合理化すると共に、業務日報の作成作業を省力化する。
2)管理情報: ゴミ収集事業者管理部門は、全パッカー車の作業状況をリアルタイムに把握出来るようになる。季節や曜日により、家庭ゴミ排出量は大きく変動するが、全体の収集進捗状況から大極的な作業分担やスケジュール見積を正確に把握可能となると共に、日報や月報の作成を省力化できる。
3)地域住民への情報サービス: ゴミステーション掲示や町内会配布したパンフから収集業者の携帯WEBサイトへ誘導し、収集状況の情報を公開する。希望者には携帯端末へ自動メール配信し、ゴミの出し忘れを予防すると共に、最寄のゴミステーションの収集状況(収集予定時刻、収集済/未収集)をお知らせする。このメールには近隣商店、企業の広告を掲示し、収益源とすることが出来る。メール受信者とゴミステーション住所が紐付けされた顧客情報となり得るものであり、ピンポイントで定期的に、廉価に広告情報を提供できるサービスである。また、行政と連携し、ゴミの排出抑制やリサイクル、リユースなどの社会活動にも適用可能であり、それらの一部も新規事業のシーズとなりうるものである。
【0010】
一般家庭ゴミ収集業界は、通常指名入札により業態が保護され、公共事業のような安定した側面があるが、行政の効率化・低コスト化が求められる昨今、近い将来に一般競争入札が導入される可能性がある。そうした状況においても、独自性のあるサービスによる競争力確保や低コスト化に耐えられる業務効率化、さらには新規事業の可能性を模索することは事業の継続性を図る上で重要な課題となる。本発明のシステムはこうしたニーズを持つ中小企業者に最適な基盤システムであり、立上げコストの低さ、システムの柔軟性を活かし、企業者と地域社会の双方に利益となるシステムとして提供可能である。

【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は鋭意検討した結果、上記目的は、下記●1から●6の本発明により達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
●1 家庭系一般廃棄物の収集現場作業及び関連諸作業を効率化する情報管理システムであって、インターネット通信網と、インターネットに接続された情報管理サーバと、家庭系一般廃棄物の収集を行うゴミ収集車両と、ゴミ収集車両がゴミ集積場所で収集を完了する度に現場作業者が作業情報を入力する携帯端末と、インターネット経由でゴミ収集情報を管理する管理用パソコン端末と、ゴミ集積場所に掲示、及び/又は近隣に配布された個別識別情報記載済み二次元コードと、この二次元コードからゴミ集積場所の収集情報に関する情報を読み取る携帯端末とからなることを特徴とする、家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

●2 現場作業者が入力する作業情報が、日時と、集積場所コードと、収集量のいずれか又は全てであり、携帯WEB画面から入力することを特徴とする、請求項1記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

●3 現場作業者が入力する作業情報が、日時と、集積場所コードと、収集量のいずれか又は全てであり、ゴミ集積場所に設置された、または作業者が所持したICタグから入力することを特徴とする、請求項1記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

●4 ゴミ集積場所に掲示、及び/又は近隣に配布された二次元コードに記載された情報が、当該ゴミ集積場所の個別識別情報に基づき、インターネットに接続された情報管理サーバに携帯端末またはパソコン端末から接続することにより、ゴミ集積場所の最新収集情報を提供することを特徴とする、請求項1乃至3記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

●5 ゴミ集積場所の最新収集情報を提供する画面の中には、メール自動配信申込機能があり、これに申し込んだ利用者には、ゴミ収集車両が近隣のゴミ集積場所に収集に来た際に自動的に連絡メールを送信することを特徴とする、請求項1乃至4記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

●6 ゴミ集積場所の最新収集情報を提供する画面、及び/又は自動配信メールの文面の中には、広告情報提供機能があり、ゴミ集積場所の住所に紐付けされた企業・商品等の広告情報を提供することを特徴とする、請求項1乃至5記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。


【発明の効果】
【0013】
第1発明にあっては、汎用的なインターネット通信網と、インターネットに接続された情報管理サーバと、家庭系一般廃棄物の収集を行うゴミ収集車両(パッカー車など)と、ゴミ収集車両がゴミ集積場所で収集を完了する度に現場作業者が作業情報を入力する携帯端末(一般的なi-mode(登録商標)等の携帯電話)と、インターネット経由でゴミ収集情報を管理する管理用パソコン端末と、ゴミ集積場所に掲示、及び/又は近隣(町内会など)に配布された個別識別情報記載済み二次元コード(QRコード(登録商標)など)と、この二次元コードからゴミ集積場所の収集情報に関する情報(インターネット上のURL情報)を読み取る携帯端末とからなる情報管理システムを構築することによって、家庭系一般廃棄物の収集現場作業及び関連諸作業を大幅に効率化することが出来る。
【0014】
第2および第3発明にあっては、第1発明の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システムにおいて、現場作業者が入力する作業情報が、日時と、集積場所コードと、収集量のいずれか又は全てであり、携帯WEB画面から入力するか、あるいはゴミ集積場所に設置された、または作業者が所持したICタグから入力することによって、極めて簡単な操作で集約処理されている。
【0015】
第4発明にあっては、第1発明の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システムにおいて、地域住民が利用する最寄のゴミ集積場所に掲示、及び/又は近隣に配布された二次元コードに記載された情報が、当該ゴミ集積場所の個別識別情報に基づき、インターネットに接続された情報管理サーバに、地域住民自身が所有する、携帯端末またはパソコン端末から接続することにより、ゴミ集積場所の最新収集情報(収集済みか否か、いつ頃収集車両が来そうか)を提供することが出来る。
【0016】
第5発明にあっては、第1発明の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システムにおいて、ゴミ集積場所の最新収集情報を提供する画面の中に、メール自動配信申込機能があり、これに申し込んだ利用者には、ゴミ収集車両が近隣のゴミ集積場所に収集に来た際に自動的に連絡メールを送信することにより、地域住民にゴミの出し忘れ防止や集積場所の清掃管理に利便性を提供することが出来る。
【0017】
第6発明にあっては、第1発明の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システムにおいて、ゴミ集積場所の最新収集情報を提供する画面、及び/又は自動配信メールの文面の中に、広告情報提供機能があり、ゴミ集積場所の住所に紐付けされた企業・商品等の広告情報を配信することが出来、各種生活情報や商品情報として地域住民に利便性を提供するとともに地域産業活性化に寄与することが出来る。

【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システムの内容について説明する。図1は、家庭系一般廃棄物収集を行う現場作業者の業務手順の概要である。ゴミ収集車両(パッカー車等)10は、ゴミ収集事業者0を出発する。この時、携帯電話(i-mode(登録商標)等)の入力画面を呼び出し、出発時刻を記録する。ゴミを収集すべきゴミ集積場所(ゴミステーション1,2,3,・・・)を順次回り、各集積場所で収集作業が完了する度に携帯電話(i-mode(登録商標)等)30aの入力画面を呼び出し、作業完了時刻を記録する。情報を記録する際は、ゴミステーション番号を選択し(事業者0を出発する時は0)、出発か到着かのいずれかを選択可能であるが、規定値として出発が選択されており、当該画面を呼び出した瞬間の時間が規定値として入力済みであるため、通常操作としては記録ボタンを押すだけでよい。
【0019】
本発明のシステムにおいては、既にゴミ収集が完了したゴミステーション番号は30aの画面の選択対象候補には表示されず、地理的に最寄りのゴミステーション番号が優先的に表示されることにしているため、作業者のメニュー選択操作は最低限で済むことになる。
【0020】
ゴミ収集車両の積載量が満杯となった場合は、焼却場20に向かい、同様な操作で(ただしゴミステーション番号(記号)として「CC」など予め定めた特殊コードを選択し)記録するが、そこで排出したゴミの重量を記録することが出来る。途中で昼休み等を取得した場合も、ゴミステーション番号(記号)として「BR」など予め定めた特殊コードを選択し、記録することにより業務管理記録として利用することも可能である。
【0021】
こうして入力された情報は、インターネット回線40を経由して、データベースサーバ50に登録されるため、複数のゴミ収集車両が同一地区を共同で作業している場合にも、互いの作業状況を容易に参照・反映することが可能となり、ゴミ集積場所の収集忘れや無駄な車両運行を最低限とすることが可能となる。
【0022】
図2は、家庭系一般廃棄物収集を行う業務管理者の業務手順の概要である。業務管理者の使用するパソコン端末の管理用画面には図のような一覧表31が表示され、インターネット回線40を経由して登録された、データベースサーバ50内の情報を総括的に見ることが可能となる。ゴミ収集車両(パッカー車)の作業状況が車両ごとに一覧することが可能であり、どの車両が何時にどこの集積場所で作業を行い、何時にどれくらいの重量を焼却場20で排出したか等、リアルタイムに作業状況を把握することが出来る。
【0023】
本機能を活用すれば、曜日ごと季節ごと地域ごとのゴミ排出量に応じたゴミ収集車両の配車計画や随時の応援計画等を、速やかに策定・連絡可能であり、全体の業務効率の向上が期待できる。
【0024】
図3は、家庭系一般廃棄物収集サービスを利用する地域住民の使用手順である。ゴミ収集業者0を出たゴミ収集車両(パッカー車)10は、地域住民の最寄のゴミ集積場所(ゴミステーション、この場合は「3」)にも回ってくる。各ゴミステーションには、図のような「お知らせ」が掲示されており(掲示スペースのないゴミ集積場所の場合は、町内会の回覧物などで予め周知してもらう)、ゴミ収集車両10の最新収集状況をお知らせするインターネット上のサイト(URL)情報が記載されている。二次元コード(QRコード(登録商標))を携帯電話30bのバーコードリーダー機能で読み取れば、簡単にインターネット回線40を経由して、データベースサーバ50に接続し、このサイトの閲覧が可能であり、WEB画面から当該ゴミステーションの収集状況(収集済みか未だか)が分かる仕組みとなっている。
【0025】
地域住民が携帯電話30bのWEB画面から当該ゴミステーションの収集状況を見ると、図のように現在のゴミ収集車両(パッカー車)10の収集状況が分かる(収集済みの場合は、「本日の収集は終わりました」等の表示がなされる)他に、収集事業者や行政機関からの「お知らせ事項」も適宜表示することが出来る。これによって、分別ゴミや特殊ゴミの収集スケジュールや特別な連絡事項を伝えることが出来たり、ゴミの出し方やゴミの減らし方などのモラル向上を計ることも可能となり、ゴミ行政円滑推進に有益な情報配信手段ともなり得る。
【0026】
携帯電話30bのWEB画面には、当該ゴミステーションの住所にデータ的に紐付けされた広告情報を掲示することも出来る。これにより、最寄の商店や企業の製品広告やセールス特売情報などを地域住民に連絡可能であり、広告事業としてのビジネスモデルとしても有効な手法である。

【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】家庭系一般廃棄物収集を行う現場作業者の業務手順
【図2】家庭系一般廃棄物収集を行う業務管理者の業務手順
【図3】家庭系一般廃棄物収集サービスを利用する地域住民の使用手順

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭系一般廃棄物の収集現場作業及び関連諸作業を効率化する情報管理システムであって、インターネット通信網と、インターネットに接続された情報管理サーバと、家庭系一般廃棄物の収集を行うゴミ収集車両と、ゴミ収集車両がゴミ集積場所で収集を完了する度に現場作業者が作業情報を入力する携帯端末と、インターネット経由でゴミ収集情報を管理する管理用パソコン端末と、ゴミ集積場所に掲示、及び/又は近隣に配布された個別識別情報記載済み二次元コードと、この二次元コードからゴミ集積場所の収集情報に関する情報を読み取る携帯端末とからなることを特徴とする、家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

【請求項2】
現場作業者が入力する作業情報が、日時と、集積場所コードと、収集量のいずれか又は全てであり、携帯WEB画面から入力することを特徴とする、請求項1記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

【請求項3】
現場作業者が入力する作業情報が、日時と、集積場所コードと、収集量のいずれか又は全てであり、ゴミ集積場所に設置された、または作業者が所持したICタグから入力することを特徴とする、請求項1記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

【請求項4】
ゴミ集積場所に掲示、及び/又は近隣に配布された二次元コードに記載された情報が、当該ゴミ集積場所の個別識別情報に基づき、インターネットに接続された情報管理サーバに携帯端末またはパソコン端末から接続することにより、ゴミ集積場所の最新収集情報を提供することを特徴とする、請求項1乃至3記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

【請求項5】
ゴミ集積場所の最新収集情報を提供する画面の中には、メール自動配信申込機能があり、これに申し込んだ利用者には、ゴミ収集車両が近隣のゴミ集積場所に収集に来た際に自動的に連絡メールを送信することを特徴とする、請求項1乃至4記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。

【請求項6】
ゴミ集積場所の最新収集情報を提供する画面、及び/又は自動配信メールの文面の中には、広告情報提供機能があり、ゴミ集積場所の住所に紐付けされた企業・商品等の広告情報を提供することを特徴とする、請求項1乃至5記載の家庭系一般廃棄物収集管理・情報配信システム。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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