説明

容器の間隔形成装置

【課題】 単段で一対の高速ベルトによって先行する容器と後続の容器との間に間隔を形成する構成を採用することにより、容器の種類に影響されることなく容器間に大きな間隔を形成することができ、装置全長を短くできる容器の間隔形成装置を提供する。
【解決手段】 容器10の搬送方向に沿って設置され、複数の容器10を低速で搬送する上流側の低速コンベヤ1と複数の容器10を高速で搬送する下流側の高速コンベヤ2と、複数の容器10の胴部を挟持するとともに容器10を移送する一対の高速ベルト5と、一対の高速ベルト5の容器を挟持する面の背面側に設けられ、高速ベルト5の背面を支持して走行案内するための一対の支持プレート12とを備え、一対の高速ベルト5は、低速コンベヤ1の終端1eより上流側の位置から高速コンベヤ2の始端2sより下流側の位置まで延設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤで搬送される複数の容器に間隔を形成する容器の間隔形成装置に係り、特にペットボトル等の容器に好適な容器の間隔形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンベヤによって搬送される複数の容器に所定の間隔を形成した後に、容器の外観を撮像により検査することが行われている。この場合、複数の容器間に所定の間隔を形成した後にコンベヤ上で容器を撮像する場合もあるし、複数の容器間に所定の間隔を形成した後にスターホイール装置に供給し、このスターホイール装置によって円周上を搬送されている間に容器の外観を撮像する場合もある。いずれの場合も、複数の容器間に間隔を形成するためにスクリュー装置やスターホイール装置が検査装置の前段に配置されることが多い。
【0003】
上述したスクリュー装置やスターホイール装置を用いる場合には、容器の種類(丸形や角形等の容器形状、容器サイズ)の変更により部品の取り替えが必要となる。近年は容器の種類変更が多いので、部品の取り替えのない装置が要望されており、そのため、低速コンベヤと高速コンベヤとを相隣接して配置し、容器が低速コンベヤから高速コンベヤに乗り移る際に相隣接する容器間に間隔を形成する容器の間隔形成装置や、コンベヤ上で搬送される複数の容器の胴部を挟持する対向して配置された一対の低速ベルトと一対の高速ベルトとを2段に設け、低速ベルト側から高速ベルト側に容器が受け渡される際に容器間に間隔を形成する容器の間隔形成装置がある。
【0004】
図7および図8は低速コンベヤと高速コンベヤとを備えた容器の間隔形成装置を示す図であり、図7は平面図、図8は図7のVIII−VIII線矢視図である。図7および図8に示すように、低速コンベヤ101と高速コンベヤ102とが相隣接して並列して配設されている。低速コンベヤ101の上方には容器10を案内する低速側容器ガイド103が設けられ、高速コンベヤ102の上方には容器10を案内する高速側容器ガイド104が設けられている。そして、低速側容器ガイド103と高速側容器ガイド104とを連結するように、低速コンベヤ101と高速コンベヤ102とに跨って配置されるとともに容器10を低速コンベヤ101から高速コンベヤ102に導入するための並列した導入用ガイド105が設置されている。
【0005】
上述の構成において、容器10は低速コンベヤ101に導入された後に、導入用ガイド105に案内されつつ低速コンベヤ101から高速コンベヤ102に乗り移る。容器10が低速コンベヤ101から高速コンベヤ102に乗り移る際に、両コンベヤ間の速度差によって先行する容器10と後続の容器10との間に所定の間隔が形成される。そして、容器間に所定の間隔が形成された状態で、高速コンベヤ102によって検査装置に搬送される。
【0006】
図9および図10は一対の低速ベルトと一対の高速ベルトとを備えた容器の間隔形成装置を示す図であり、図9は平面図、図10は図9のX−X線矢視図である。図9および図10に示すように、容器10を搬送する定速のコンベヤ120のやや上方には、容器10の胴部を挟持する対向する一対の低速ベルト121,121と、一対の高速ベルト122,122とが2段に渡って設けられている。2段目の高速ベルト122は1段目の低速ベルト121よりも速い速度で走行するようになっており、また1段目の低速ベルト121の走行速度はコンベヤ120の速度よりも遅く設定されている。
【0007】
上述の構成において、容器10は一定の速度で搬送されるコンベヤ120に導入された後に、容器胴部が一対の低速ベルト121,121により挟持される。そして、容器10は一対の低速ベルト121,121から一対の高速ベルト122,122に受け渡される。容器10が一対の低速ベルト121,121から一対の高速ベルト122,122に受け渡される際に、両ベルト間の速度差によって先行する容器と後続の容器との間に所定の間隔が形成される。そして、容器10は一対の高速ベルト122,122から開放された後に、容器間に所定の間隔が形成された状態でコンベヤ120によって検査装置に搬送される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図7および図8に示す低速コンベヤと高速コンベヤとを備えた容器の間隔形成装置においては、隣接する容器間に何ら機械的な力を作用させることなく、低速コンベヤから高速コンベヤへの乗り移り部分における速度差のみによって先行する容器と後続の容器との間に間隔を形成している。そのため、コンベヤの乗り移り部分の速度差のみによっては、容器のふらつき等があって形成できる容器間の間隔に限度があるという問題点がある。また、低速コンベヤと高速コンベヤとに跨って設置された導入用ガイドと容器との間に摩擦抵抗が作用して容器が導入用ガイドの箇処で詰まってしまい、コンベヤの乗り移り部分で容器間に間隔を形成することができない場合もある。
【0009】
一方、図9および図10に示す一対の低速ベルトと一対の高速ベルトとを備えた容器の間隔形成装置においては、一対の低速ベルトおよび一対の高速ベルトを前段と後段に設けているため、装置全長が長くなってしまうという問題点がある。一対の低速ベルトおよび一対の高速ベルトは、それぞれ圧力を加えて容器を挟持するようにしている。このため、容器がガラス壜のように剛性が高い場合には問題がなく容器を挟持することができるが、液体が充填されていない空ペットボトルのように容器自体が柔らかい場合には、一対のベルトにより加えられる圧力によって容器が局部的に変形すると、容器が一対のベルトからすり抜けてしまい、その結果、容器間に間隔を形成することができないという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、単段で一対の高速ベルトによって先行する容器と後続の容器との間に間隔を形成する構成を採用することにより、容器のふらつきを抑え容器間に大きな間隔を形成することができ、容器が詰まる原因となる導入用ガイドを廃することができ、ペットボトル等の比較的柔らかい容器であっても、またガラス壜等の比較的剛性が高い容器であっても、容器の種類に影響されることなく容器間に大きな間隔を形成することができ、かつ装置全長を短くできる容器の間隔形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明の容器の間隔形成装置の第1の態様は、コンベヤによって搬送される複数の容器間に間隔を形成する容器の間隔形成装置において、容器の搬送方向に沿って設置され、複数の容器を低速で搬送する上流側の低速コンベヤと複数の容器を高速で搬送する下流側の高速コンベヤと、複数の容器の胴部を挟持するとともに容器を移送する一対の高速ベルトと、前記一対の高速ベルトの容器を挟持する面の背面側に設けられ、高速ベルトの背面を支持して走行案内するための一対の支持プレートとを備え、前記一対の高速ベルトは、低速コンベヤの終端より上流側の位置から高速コンベヤの始端より下流側の位置まで延設されていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明によれば、容器は低速コンベヤに導入された後に、低速コンベヤから一対の高速ベルト間に導入される。そして、容器は一対の高速ベルトにより挟持されつつ低速コンベヤ側から高速コンベヤ側に搬送される。このように、容器が低速コンベヤから一対の高速ベルトに挟持されて移送される際に、低速コンベヤと一対の高速ベルトとの速度差によって先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。すなわち、低速コンベヤと一対の高速ベルトの速度差によるピッチ割出作用により、先行する容器と後続の容器との間に確実に所定の間隔が形成される。この場合、低速コンベヤと一対の高速ベルトの速度差を大きく取れるため、容器間に大きな割出ピッチを形成できる。
【0013】
本発明においては、一対の高速ベルトの背面には、ベルト支持プレートが設置されており、各高速ベルトのベルト面が各ベルト支持プレートにより支持されているため、弾力性のある高速ベルトが局部的に変形することなく均一に変形する。したがって、容器が空のペットボトルのように柔らかくて変形しやすいものであっても、一対の高速ベルトによって容器は局部的に変形することなく挟持されて移送され、この移送の間に、先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。
【0014】
本発明の1態様によれば、前記高速ベルトは駆動プーリと従動プーリとの間に架設され、駆動プーリと従動プーリの内側に、それぞれ中間プーリを設け、各中間プーリの外周面は駆動プーリおよび従動プーリの外周面よりコンベヤ側に突出し、一対の高速ベルトの入口側と出口側に、入口側が広がった入口テーパ部と出口側が広がった出口テーパ部とをそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0015】
本発明の容器の間隔形成装置の第2の態様は、コンベヤによって搬送される複数の容器間に間隔を形成する容器の間隔形成装置において、容器の搬送方向に沿って設置され、複数の容器を低速で搬送する上流側の低速コンベヤと複数の容器を高速で搬送する下流側の高速コンベヤと、複数の容器の胴部を挟持するとともに容器を移送する一対の高速ベルトと、前記一対の高速ベルトの容器を挟持する面の背面側に設けられ、高速ベルトの背面を支持して走行案内する列状に配置された複数のベルト支持ローラと、前記一対の高速ベルトは、低速コンベヤの終端より上流側の位置から高速コンベヤの始端より下流側の位置まで延設されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、容器は低速コンベヤに導入された後に、低速コンベヤから一対の高速ベルト間に導入される。そして、容器は一対の高速ベルトにより挟持されつつ低速コンベヤ側から高速コンベヤ側に搬送される。このように、容器が低速コンベヤから一対の高速ベルトに挟持されて移送される際に、低速コンベヤと一対の高速ベルトとの速度差によって先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。すなわち、低速コンベヤと一対の高速ベルトの速度差によるピッチ割出作用により、先行する容器と後続の容器との間に確実に所定の間隔が形成される。この場合、低速コンベヤと一対の高速ベルトの速度差を大きく取れるため、容器間に大きな割出ピッチを形成できる。
【0017】
本発明においては、一対の高速ベルトの背面には、一列に並んだ複数のベルト支持ローラが設置されており、各高速ベルトのベルト面が複数のベルト支持ローラにより支持されているため、弾力性のある高速ベルトが局部的に変形することなく均一に変形する。したがって、容器が空のペットボトルのように柔らかくて変形しやすいものであっても、一対の高速ベルトによって容器は局部的に変形することなく挟持されて移送され、この移送の間に、先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。
また、高速ベルトとベルト支持ローラとの摩擦抵抗が極めて小さいので、一対の高速ベルトをそれぞれ単独のモータで駆動しても速度差が発生せず容器を回転させてしまうことがない。これにより、容器間の割出ピッチは安定する。
【0018】
本発明の1態様によれば、前記高速ベルトの走行速度は前記高速コンベヤの搬送速度と略同一であることを特徴とする。
本発明の1態様によれば、前記ベルト支持ローラは回転可能なローラからなることを特徴とする。
本発明によれば、各ベルト支持ローラは回転するローラからなり、この回転するローラにより各高速ベルトは支持されているため、ベルト背面との摩擦係数が極めて小さい。したがって、発熱が少なくモータ容量も小さくでき、またベルト背面の摩耗がない。また高速ベルトの速度が変動することなく安定し、容器の高速搬送が可能となる。
【0019】
本発明の1態様によれば、前記ベルト支持ローラは上下2段で一対の回転可能なローラからなることを特徴とする。
本発明によれば、各ベルト支持ローラは上下2段で一対の回転可能なローラからなるため、高速ベルトの上端部及び下端部を均一に押さえることができ、容器を垂直に保持しやすくなる。これによって容器のふらつきや倒れを防止できる。
本発明の1態様によれば、前記ベルト支持ローラはボールベアリングからなることを特徴とする。
【0020】
本発明の1態様によれば、前記高速ベルトは駆動プーリと従動プーリとの間に架設され、前記ベルト支持ローラの外周面は駆動プーリおよび従動プーリの外周面よりコンベヤ側に突出し、一対の高速ベルトの入口側と出口側に、入口側が広がった入口テーパ部と出口側が広がった出口テーパ部とをそれぞれ形成したことを特徴とする。
本発明によれば、駆動プーリと従動プーリとの間に、複数のベルト支持ローラを設けているために中間プーリを設置する必要がないので、その分、装置の全長を短くすることができる。
また、駆動プーリおよび従動プーリと、これらに隣接するベルト支持ローラとの距離を小さくすることができ、従動プーリと容器搬送方向の先端側のベルト支持ローラで形成される入口テーパ部および駆動プーリと容器搬送方向の後端側のベルト支持ローラで形成される出口テーパ部のテーパ部区間距離を短くすることができるため、移動する容器を徐々に挟持し、かつ移動する容器を徐々に離脱させるという不安定な距離を小さくできるので、容器の倒れ防止に効果がある。
さらに、一対の高速ベルトの出入口のテーパ部は、駆動プーリおよび従動プーリの位置を動かすことなくベルト支持ローラの位置にて自由に調整できるので、搬送される容器の形状や硬度の違いに柔軟に対応できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、以下に列挙する効果を奏することができる。
1)低速コンベヤと一対の高速ベルトの速度差によるピッチ割出作用により、先行する容器と後続の容器との間に確実に所定の間隔が形成される。この場合、低速コンベヤと一対の高速ベルトの速度差を大きく取れるため、容器間に大きな割出ピッチを形成できる。
2)一対の高速ベルトの背面には、ベルト支持プレートまたは一列に並んだ複数のベルト支持ローラが設置されており、各高速ベルトのベルト面がベルト支持プレートまたはベルト支持ローラにより支持されているため、弾力性のある高速ベルトが局部的に変形することなく均一に変形する。したがって、容器が空のペットボトルのように柔らかくて変形しやすいものであっても、一対の高速ベルトによって容器は局部的に変形することなく挟持されて移送され、この移送の間に、先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。すなわち、容器がガラス壜のように剛性が高いものであっても、また容器が空ペットボトルのように柔らかくて変形しやすいものであっても、容器の種類に影響されることなく容器間に間隔を形成することができる。
【0022】
3)低速コンベヤと高速コンベヤとに跨って相対向する一対の導入用ガイドを設ける構成を採用していないため、容器と導入用ガイドとの間の摩擦抵抗に起因する容器間の詰まりを防ぐことができる。
4)対向する一対の高速ベルトにより容器が挟持されて移送されるために、容器のふらつきを抑え、かつ相隣接する容器間に引き離す力が加わるので、容器間に確実に大きな間隔を形成することができる。
5)高速ベルトとベルト支持ローラとの摩擦抵抗が極めて小さいので、発熱が少なくモータ容量も小さくでき、またベルト背面の摩耗がない。また高速ベルトの速度が変動することなく安定し、容器の高速搬送が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る容器の間隔形成装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3は容器の間隔形成装置の第1の実施形態を示す図であり、図1は容器の間隔形成装置の平面図、図2は図1のII−II線矢視図、図3は高速ベルトの一部を示す平面図である。
【0024】
図1に示すように、容器の搬送方向に沿って上流側の低速コンベヤ1と下流側の高速コンベヤ2とが列状に配置されている。低速コンベヤ1と高速コンベヤ2に沿って対向する一対の高速ベルト5,5が設けられており、これら一対の高速ベルト5,5により、低速コンベヤ1上の所定位置にある容器10を挟持して高速コンベヤ2の所定位置まで高速で移送するようになっている。一対の高速ベルト5,5が容器10を挟持する面5f,5fは低速コンベヤ側から高速コンベヤ側まで延びている。すなわち、ベルト面5f,5fは、低速コンベヤ1の終端1eの上流側の所定位置から高速コンベヤ2の始端2sより下流側の所定位置まで延びている。
【0025】
一対の高速ベルト5,5は、それぞれ駆動プーリ6、従動プーリ7、テンションプーリ8の回りに巻回されている。駆動プーリ6はタイミングベルト9によりモータ11に連結されている。また、駆動プーリ6および従動プーリ7の内側には、中間プーリ9A,9Bが配置されている。中間プーリ9Aの外周面は従動プーリ7の外周面より低速コンベヤ1側にわずかに突出し、中間プーリ9Bの外周面は駆動プーリ6の外周面より高速コンベヤ2側にわずかに突出している。これにより、高速ベルト5,5の入口側と出口側にそれぞれ末広がり状の入口テーパ部TINと出口テーパ部TOUTとが形成されており、容器10の高速ベルト5,5への搬入および容器10の高速ベルト5,5からの搬出がスムーズ(円滑)に行えるようになっている。
【0026】
各高速ベルト5は、図2に示すように、上側高速ベルト5aと下側高速ベルト5bとから構成されており、上側高速ベルト5aは容器10の胴部上部に接触し、下側高速ベルト5bは容器10の胴部下部に接触するようになっている。したがって、対向する一対の高速ベルト5,5は、容器10を低速コンベヤ1の所定位置から高速コンベヤ2の所定位置まで挟持するようになっている。高速コンベヤ2は、下流の検査装置で必要とされる容器間隔に応じて、低速コンベヤ1の速度よりも大きな任意の速度に設定される。例えば、容器1ピッチ分(一容器分)の間隔を形成させる必要がある場合には、高速コンベヤ2は低速コンベヤ1の2倍の搬送速度で容器10を搬送するように設定される。例えば、容器10が45m/min(分)で搬送されていれば、高速コンベヤ2は90m/min(分)に設定される。そして、一対の高速ベルト5,5の走行速度は高速コンベヤ2の搬送速度と略同一または同一に設定されている。このように、低速コンベヤ1と高速ベルト5,5の速度比を2倍程度にしておけば、低速コンベヤ1において容器10が密着した状態で搬送されてきても、容器間に容器1ピッチ分(一容器分)の間隔を形成することができる。低速コンベヤ1で既にある程度の間隔が形成されていれば、さらに条件はよく、容器間に容器1ピッチ分(一容器分)以上の間隔が形成される。
【0027】
また、図1に示すように、高速ベルト5,5の容器10を挟持するベルト面5fの背面には、高速ベルト5,5を支持して走行案内するためのベルト支持プレート12,12が設置されている。上述したように、各高速ベルト5は上側高速ベルト5aおよび下側高速ベルト5bからなり、図2に示すように、各高速ベルト5の上側高速ベルト5aおよび下側高速ベルト5bは、装置フレーム16に固定されたベルト支持プレート12により支持されて走行案内されるようになっている。ベルト支持プレート12は、摩擦係数が小さい樹脂材からなり、例えば、超高分子ポリエチレン(ニューライト(商品名))からなっている。
【0028】
ベルト支持プレート12はコンベヤ1,2に対して前進または後退させた後に装置フレーム16に固定できるように、ベルト支持プレート12を支持する支持ブラケット17と装置フレーム16の固定位置とは長孔等を介して調整可能になっている。これにより、容器の種類変更があっても、高速ベルト5,5は容器10を最適な位置で挟持できるようになっている。
【0029】
図3は高速ベルトの一部を示す平面図である。図3に示すように、高速ベルト5は、駆動プーリ6、従動プーリ7、テンションプーリ8に係合するタイミングベルト20と、タイミングベルト20に接着等によって固着されたスポンジ21とから構成されている。スポンジ21には所定間隔毎に切り込み22が形成されており、ベルト全体が曲がりやすいようになっている。容器10は弾力性のあるスポンジ21によって挟持されるため、容器の種類(丸形、角形)変更があっても支障なく挟持できる。
【0030】
上述の構成において、容器10は低速コンベヤ1に導入された後に、低速コンベヤ1の所定位置から一対の高速ベルト5,5間に導入される。そして、容器10は一対の高速ベルト5,5により挟持されつつ低速コンベヤ1側から高速コンベヤ2側に搬送される。このように、容器10が低速コンベヤ1から一対の高速ベルト5,5に挟持されて移送される際に、低速コンベヤ1と一対の高速ベルト5,5との速度差によって先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。すなわち、高速ベルト5,5の移送によるピッチ割出作用により、先行する容器と後続の容器との間に確実に所定の間隔が形成される。この際、低速コンベヤ1の搬送速度と高速ベルト5,5の走行速度には、大きな速度差があるため、先行する容器と後続の容器との間に大きな間隔が形成される。
【0031】
本発明においては、一対の高速ベルト5,5の背面には、ベルト支持プレート12,12が設置されており、各高速ベルト5のベルト面5fが各ベルト支持プレート12により支持されているため、弾力性のある高速ベルト5,5が局部的に変形することなく均一に変形する。したがって、容器10が空のペットボトルのように柔らかくて変形しやすいものであっても、一対の高速ベルト5,5によって容器10は変形することなく挟持されて移送され、この移送の間に、先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。
【0032】
また、本発明によれば、低速コンベヤ1と高速コンベヤ2との乗り移り部分における速度差のみによって先行する容器と後続の容器との間に間隔を形成しているのではなく、一対の高速ベルト5,5により強制的に容器間に間隔を形成することができる。したがって、一対の高速ベルト5,5によって容器が挟持される際に容器のふらつきを抑えるとともに容器間に引き離す力が加わるので、容器間に確実に間隔を形成することができる。なお、図2においては、各高速ベルト5が上側高速ベルト5aと下側高速ベルト5bから構成される例を説明したが、各高速ベルト5が単一のベルトからなり、一対の高速ベルト5,5が容器10の胴部中央部のみを挟持する場合もある。この場合には、ベルト支持プレート12も高速ベルト5に対応して単一のプレートのみからなる。
【0033】
図4乃至図6は容器の間隔形成装置の第2の実施形態を示す図であり、図4は容器の間隔形成装置の平面図、図5は容器の間隔形成装置の側面図、図6は図4のVI−VI線矢視図である。
【0034】
図4乃至図6において、図1乃至図3に示す構成要素と同一の作用または機能を有する構成要素は同一の符号を用いて説明する。図4および図5に示すように、容器の搬送方向に沿って上流側の低速コンベヤ1と下流側の高速コンベヤ2とが列状に配置されている。低速コンベヤ1と高速コンベヤ2に沿って対向する一対の高速ベルト5,5が設けられており、これら一対の高速ベルト5,5により、低速コンベヤ1上の所定位置にある容器10を挟持して高速コンベヤ2の所定位置まで高速で移送するようになっている。一対の高速ベルト5,5が容器10を挟持する面5f,5fは低速コンベヤ側から高速コンベヤ側まで延びている。すなわち、ベルト面5f,5fは、低速コンベヤ1の終端1eの上流側の所定位置から高速コンベヤ2の始端2sより下流側の所定位置まで延びている。
【0035】
一対の高速ベルト5,5は、それぞれ駆動プーリ6、従動プーリ7、テンションプーリ8の回りに巻回されている。駆動プーリ6はタイミングベルト9によりモータ11に連結されている。一対の高速ベルト5,5の容器10を挟持するベルト面5f,5fの背面側には、一対の高速ベルト5,5の背面を支持して走行案内する列状に配置された複数のベルト支持ローラ15,15,・・・が設置されている。列状に配置されたベルト支持ローラ15の外周面は、従動プーリ7の外周面より低速コンベヤ1側にわずかに突出し、また、駆動プーリ6の外周面より高速コンベヤ2側にわずかに突出している。これにより、高速ベルト5,5の入口側と出口側にそれぞれ末広がり状の入口テーパ部TINと出口テーパ部TOUTとが形成されており、容器10の高速ベルト5,5への搬入および容器10の高速ベルト5,5からの搬出がスムーズ(円滑)に行えるようになっている。本実施形態においては、各ベルト支持ローラ15はボールベアリングからなっている。
【0036】
各高速ベルト5は、図6に示すように、上側高速ベルト5aと下側高速ベルト5bとから構成されており、上側高速ベルト5aは容器10の胴部上部に接触し、下側高速ベルト5bは容器10の胴部下部に接触するようになっている。したがって、対向する一対の高速ベルト5,5は、容器10を低速コンベヤ1の所定位置から高速コンベヤ2の所定位置まで挟持するようになっている。高速コンベヤ2は、下流の検査装置で必要とされる容器間隔に応じて、低速コンベヤ1の速度よりも大きな任意の速度に設定される。例えば、容器1ピッチ分(一容器分)の間隔を形成させる必要がある場合には、高速コンベヤ2は低速コンベヤ1の2倍の搬送速度で容器10を搬送するように設定される。例えば、容器10が45m/min(分)で搬送されていれば、高速コンベヤ2は90m/min(分)に設定される。そして、一対の高速ベルト5,5の走行速度は高速コンベヤ2の搬送速度と略同一または同一に設定されている。このように、低速コンベヤ1と高速ベルト5,5の速度比を2倍程度にしておけば、低速コンベヤ1において容器10が密着した状態で搬送されてきても、容器間に容器1ピッチ分(一容器分)の間隔を形成することができる。低速コンベヤ1で既にある程度の間隔が形成されていれば、さらに条件はよく、容器間に容器1ピッチ分(一容器分)以上の間隔が形成される。
【0037】
上述したように、各高速ベルト5は上側高速ベルト5aおよび下側高速ベルト5bからなり、図6に示すように、各高速ベルト5の上側高速ベルト5aおよび下側高速ベルト5bは、装置フレーム16に固定されたベルト支持ローラ15により支持されて走行案内されるようになっている。図6に示すように、ベルト支持ローラ15は上下2段で一対の回転可能なローラからなるため、各高速ベルト5a,5bの上端部及び下端部を均一に押さえることができ、容器10を垂直に保持しやすくなる。これによって容器10のふらつきや倒れを防止できる。
【0038】
ベルト支持ローラ15はコンベヤ1,2に対して前進または後退させた後に装置フレーム16に固定できるように、ベルト支持ローラ15を支持する支持ブラケット17と装置フレーム16の固定位置とは長孔等を介して調整可能になっている。これにより、容器の種類変更があっても、高速ベルト5,5は容器10を最適な位置で挟持できるようになっている。
【0039】
上述の構成において、容器10は低速コンベヤ1に導入された後に、低速コンベヤ1の所定位置から一対の高速ベルト5,5間に導入される。そして、容器10は一対の高速ベルト5,5により挟持されつつ低速コンベヤ1側から高速コンベヤ2側に搬送される。このように、容器10が低速コンベヤ1から一対の高速ベルト5,5に挟持されて移送される際に、低速コンベヤ1と一対の高速ベルト5,5との速度差によって先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。すなわち、高速ベルト5,5の移送によるピッチ割出作用により、先行する容器と後続の容器との間に確実に所定の間隔が形成される。この際、低速コンベヤ1の搬送速度と高速ベルト5,5の走行速度には、大きな速度差があるため、先行する容器と後続の容器との間に大きな間隔が形成される。
【0040】
本発明においては、一対の高速ベルト5,5の背面には、一列に並んだ複数のベルト支持ローラ15,15,・・・が設置されており、各高速ベルト5のベルト面5fが複数のベルト支持ローラ15により支持されているため、弾力性のある高速ベルト5,5が局部的に変形することなく均一に変形する。したがって、容器10が空のペットボトルのように柔らかくて変形しやすいものであっても、一対の高速ベルト5,5によって容器10は変形することなく挟持されて移送され、この移送の間に、先行する容器と後続の容器との間に間隔が形成される。また、各ベルト支持ローラ15は回転するローラからなり、この回転するローラにより各高速ベルト5は支持されているため、ベルト背面との摩擦係数が極めて小さい。したがって、発熱が少なくモータ容量も小さくでき、またベルト背面の摩耗がない。また高速ベルト5の速度が変動することなく安定し、容器の高速搬送が可能となる。
【0041】
図4乃至図6に示す第2の実施形態においては、駆動プーリ6と従動プーリ7との間に、複数のベルト支持ローラ15を設けているために中間プーリを設置する必要がないので、その分、装置の全長を短くすることができる。すなわち、駆動プーリ6および従動プーリ7と、これらに隣接するベルト支持ローラ15との距離を小さくすることができ、従動プーリ7と容器搬送方向の先端側のベルト支持ローラ15で形成される入口テーパ部TINおよび駆動プーリ6と容器搬送方向の後端側のベルト支持ローラ15で形成される出口テーパ部TOUTのテーパ部区間距離を短くすることができる。したがって、移動する容器10を徐々に挟持し、かつ移動する容器10を徐々に離脱させるという不安定な距離を小さくできるので、容器10の倒れ防止に効果がある。
【0042】
また、第2の実施形態においては、高速ベルト5とベルト支持ローラ15との摩擦抵抗が極めて小さいので、一対の高速ベルト5,5をそれぞれ単独のモータ11で駆動しても速度差が発生せず容器10を回転させてしまうことがない。これにより、容器間の割出ピッチは安定する。
さらに、第2の実施形態においては、一対の高速ベルト5,5の出入口のテーパ部TIN,TOUTは、駆動プーリ6および従動プーリ7の位置を動かすことなくベルト支持ローラ15の位置にて自由に調整できるので、搬送される容器の形状や硬度の違いに柔軟に対応できる。
なお、図6においては、各高速ベルト5が上側高速ベルト5aと下側高速ベルト5bから構成される例を説明したが、各高速ベルト5が単一のベルトからなり、一対の高速ベルト5,5が容器10の胴部中央部のみを挟持する場合もある。この場合には、ベルト支持ローラ15も高速ベルト5に対応して単一列のみの配列からなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る容器の間隔形成装置の第1の実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線矢視図である。
【図3】高速ベルトの一部を示す平面図である。
【図4】本発明に係る容器の間隔形成装置の第2の実施形態を示す平面図である。
【図5】本発明に係る容器の間隔形成装置の第2の実施形態を示す側面図である。
【図6】図4のVI−VI線矢視図である。
【図7】低速コンベヤと高速コンベヤとを備えた従来の容器の間隔形成装置を示す平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線矢視図である。
【図9】一対の低速ベルトと一対の高速ベルトとを備えた従来の容器の間隔形成装置を示す平面図である。
【図10】図9のX−X線矢視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 低速コンベヤ
1e 終端
2 高速コンベヤ
2s 始端
5 高速ベルト
5a 上側高速ベルト
5b 下側高速ベルト
5f ベルト面
6 駆動プーリ
7 従動プーリ
8 テンションプーリ
9 タイミングベルト
9A,9B 中間プーリ
10 容器
11 モータ
12 ベルト支持プレート
15 ベルト支持ローラ
16 装置フレーム
17 支持ブラケット
20 タイミングベルト
21 スポンジ
22 切り込み
IN 入口テーパ部
OUT 出口テーパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤによって搬送される複数の容器間に間隔を形成する容器の間隔形成装置において、
容器の搬送方向に沿って設置され、複数の容器を低速で搬送する上流側の低速コンベヤと複数の容器を高速で搬送する下流側の高速コンベヤと、
複数の容器の胴部を挟持するとともに容器を移送する一対の高速ベルトと、
前記一対の高速ベルトの容器を挟持する面の背面側に設けられ、高速ベルトの背面を支持して走行案内するための一対の支持プレートとを備え、
前記一対の高速ベルトは、低速コンベヤの終端より上流側の位置から高速コンベヤの始端より下流側の位置まで延設されていることを特徴とする容器の間隔形成装置。
【請求項2】
前記高速ベルトの走行速度は前記高速コンベヤの搬送速度と略同一であることを特徴とする請求項1記載の容器の間隔形成装置。
【請求項3】
前記高速ベルトは駆動プーリと従動プーリとの間に架設され、駆動プーリと従動プーリの内側に、それぞれ中間プーリを設け、各中間プーリの外周面は駆動プーリおよび従動プーリの外周面よりコンベヤ側に突出し、一対の高速ベルトの入口側と出口側に、入口側が広がった入口テーパ部と出口側が広がった出口テーパ部とをそれぞれ形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の容器の間隔形成装置。
【請求項4】
コンベヤによって搬送される複数の容器間に間隔を形成する容器の間隔形成装置において、
容器の搬送方向に沿って設置され、複数の容器を低速で搬送する上流側の低速コンベヤと複数の容器を高速で搬送する下流側の高速コンベヤと、
複数の容器の胴部を挟持するとともに容器を移送する一対の高速ベルトと、
前記一対の高速ベルトの容器を挟持する面の背面側に設けられ、高速ベルトの背面を支持して走行案内する列状に配置された複数のベルト支持ローラと、
前記一対の高速ベルトは、低速コンベヤの終端より上流側の位置から高速コンベヤの始端より下流側の位置まで延設されていることを特徴とする容器の間隔形成装置。
【請求項5】
前記ベルト支持ローラは回転可能なローラからなることを特徴とする請求項4記載の容器の間隔形成装置。
【請求項6】
前記ベルト支持ローラは上下2段で一対の回転可能なローラからなることを特徴とする請求項4または5記載の容器の間隔形成装置。
【請求項7】
前記ベルト支持ローラはボールベアリングからなることを特徴とする請求項5または6記載の容器の間隔形成装置。
【請求項8】
前記高速ベルトの走行速度は前記高速コンベヤの搬送速度と略同一であることを特徴とする請求項4乃至7のいずれか1項に記載の容器の間隔形成装置。
【請求項9】
前記高速ベルトは駆動プーリと従動プーリとの間に架設され、前記ベルト支持ローラの外周面は駆動プーリおよび従動プーリの外周面よりコンベヤ側に突出し、一対の高速ベルトの入口側と出口側に、入口側が広がった入口テーパ部と出口側が広がった出口テーパ部とをそれぞれ形成したことを特徴とする請求項項4乃至8のいずれか1項に記載の容器の間隔形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−76723(P2006−76723A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−262971(P2004−262971)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(390014661)株式会社キリンテクノシステム (126)
【Fターム(参考)】