説明

容器ストッパ

【課題】軟質又は変形し易い容器を搬送する搬送ラインにおいて、トラブルの発生により容器を一時停止させる際、水滴などの水分が付着した容器であっても、簡便な構造により確実に容器を停止させることのできる容器ストッパを提供する。
【解決手段】長手方向を容器tの搬送方向Wに沿わせて容器tの側面に対向して配置させるとともに、両面に貫通する開口部が長手方向に向けて形成された平板状の取付板2と、この取付板2の裏面側に積層されて開口部を塞ぐ基板3と、取付板2の開口部に配設され、外周縁部が取付板2と基板3との間で挟持されるとともに、容器tの側面に対して進退自在に設けられたダイヤフラム4とを備え、基板3にダイヤフラム4の裏面側に開口してダイヤフラム4に圧縮空気Fを供給する導入管3aが穿設され、かつダイヤフラム4の表面に、く字状に突出する突起部が、その2辺交差部を搬送方向Wの上流側に位置させて形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアー搬送により容器を搬送する搬送ラインにおいて、該容器に凹みや傷などの永久ひずみを与えることなく、該容器を確実に停止させることのできる容器ストッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、アルミニウム缶等の軟質または変形しやすい容器を搬送するための搬送ラインにおいては、搬送経路の上流側で容器不足が生じた場合や下流側で容器が満杯となった場合、または搬送ライン上や関連する機械にトラブルが生じた場合などには、搬送中の上記容器を一時的に停止させる必要があった。そのため、上記搬送ラインに搬送されている上記容器を適宜停止させるための容器ストッパを設けて、上記容器の流れを一時的に停止させていた。
【0003】
その際に用いられる従来の上記容器ストッパは、例えば図5に示すように、圧縮空気Fを供給することにより膨張するゴム製の弾性体7を、両面が開口する取付板8と、この取付板8に積層される基板9との間に挟持させる構造のもので、上記搬送ラインkの両側の対向する位置に、それぞれの上記ストッパ6を配設させて、トラブルなどにより停止動作が必要な場合には、対向するそれぞれの上記弾性体7に、圧縮空気Fを供給して膨張させることにより、円筒状の上記容器tの側面を両側から挟持して停止させていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来の容器ストッパ6は、上記搬送ラインkの両側に対向させて、それぞれの容器ストッパ6に圧縮空気Fを供給することにより、上記弾性体7を膨張させていたため、圧縮空気Fを入れるタイミングが合わなかったり、どちらか一方の上記容器ストッパ6に圧縮空気Fが入らなかった場合には、上記容器tを適宜停止されることができないという問題があった。
【0005】
また、上記容器tの側面に、水滴などの水分mが付着していた場合には、図6に示すように、上記弾性体7を圧縮空気Fにより膨張させ、上記容器tの側面に上記弾性体7の表面を接触させたときに、摩擦によって上記容器が搬送方向に回転するため、上記水分mが上記容器tの側面と上記弾性体7の表面との間に引き込まれて、上記容器tの側面と上記弾性体7の表面との間に薄膜rが発生する。すると、上記薄膜rが潤滑剤の役目を担い、上記容器tの側面と上記弾性体7の表面との接触面の摩擦係数を減少させてしまうため、上記容器tは上記弾性体7の表面上を滑走してしまうという問題もあった。
【0006】
そこで、上記薄膜rにより滑走してしまう現象の対処法として、上記搬送ラインkの両側に対向させている上記ストッパ6の数を増やす方法や、上記弾性体7に供給する圧縮空気Fの圧力を高める方法などにより、上記容器tの停止確度を向上させていた。しかし、いずれの方法においても、アルミニウム缶等の軟質または変形しやすい容器tの表面に、多数の上記弾性体7を接触させることや、より強い力で押さえることにより、上記容器tの側面に凹み傷などの発生の要因を与えてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、軟質または変形しやすい容器を搬送する搬送ラインにおいて、トラブルの発生により、上記容器を一時停止させる際に、水滴などの水分が付着した上記容器であっても、簡便な構造により、確実に上記容器を停止させることのできる容器ストッパを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、エアー搬送によって容器を搬送する搬送ラインの上記容器の側面に対向する位置に設けられて、上記容器を停止させる容器ストッパであって、長手方向を上記容器の搬送方向に沿わせて上記容器の側面に対向して配置させるとともに、両面に貫通する開口部が上記長手方向に向けて形成された平板状の取付板と、この取付板の裏面側に積層されて上記開口部を塞ぐ基板と、上記取付板の開口部に配設され、外周縁部が上記取付板と上記基板との間で挟持されるとともに、上記容器の側面に対して進退自在に設けられたダイヤフラムとを備え、上記基板に、上記ダイヤフラムの裏面側に開口して当該ダイヤフラムに圧縮空気を供給する導入管が穿設され、かつ上記ダイヤフラムの表面に、く字状に突出する突起部が、その2辺交差部を上記搬送方向の上流側に位置させて形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の容器ストッパにおいて、上記く字状の突起部は、上記ダイヤフラムの長手方向に間隔をおいて複数形成されるとともに、上記複数のく字状の突起部は、上記ダイアフラムの上記搬送方向中央部に位置するものが、上記搬送方向上流側および下流側の端部に位置するものよりも厚さ寸法が大きく形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
さらに、請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の容器ストッパにおいて、上記ダイアフラムは、天然ゴムにより形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明によれば、上記容器ストッパは、上記搬送ラインの上記容器の側面と対向する位置に設けられ、両面に貫通する上記開口部が形成された平板状の上記取付板と、この取付板の裏面側に積層されて上記開口部を塞ぐ上記基板と、上記取付板の上記開口部に配設されて、外周縁部が上記取付板と上記基板との間で挟持される上記ダイヤフラムとを備え、上記基板には、上記ダイヤフラムの裏面側に開口して、当該ダイヤフラムに圧縮空気を供給するための上記導入管を穿設した構造で構成されている。そのため、上記容器ストッパを構成する部品点数が少なく、長期にわたり使用した場合でも、故障する度合いが少ない。また、長期の使用に際して、万が一故障や破損した場合であっても、その原因の特定や部品の交換をスムーズに行うことができるとともに、製造コストやランニングコストも抑えることができる。
【0012】
また、上記ダイヤフラムは、上記容器の側面に対して進退自在に設けられているため、上記基板に穿設された上記導入管から、圧縮空気を供給することにより、上記搬送ラインの搬送部の幅を簡単に狭化することができる。そのため、突発的なトラブルが発生した場合でも、瞬時に上記ダイヤフラムを膨張させて、上記容器を停止させることができるとともに、トラブルが解消して、再び上記搬送ラインを稼働させるときには、上記ダイヤフラム内の圧縮空気を抜くことにより、狭化されていた搬送部の幅を瞬時に、元に戻すことができる。
【0013】
さらに、上記ダイヤフラムの表面には、上記く字状に突出する突起部の上記2辺交差部が、上記搬送ラインの上記搬送方向に対して、上流側に位置するように形成されているため、何らかのトラブルで上記容器を一時的に停止させるときには、上記容器の側面に水滴などの水分が付着していた場合であっても、上記く字状の突起部の上記2辺交差部の漸次縮小部分から、順次上記容器の側面に接触するため、上記水分を効率良く排水することができるとともに、上記く字状の突起部が形成されていることにより、上記容器の側面との接触面積を小さくすることができる。したがって、上記水分が、上記容器の側面と上記ダイヤフラムの表面との間に引き込まれて起こる薄膜の発生が防止されるとともに、接触面の摩擦係数を減少させることなく、確実に上記容器を停止させることができる。
【0014】
請求項2に記載の本発明によれば、上記く字状の突起部を上記ダイヤフラムの長手方向に、間隔をおいて複数形成することによって、エアー搬送される上記容器を、上記ダイヤフラムの膨張により、上記搬送ラインの幅を狭化させて、上記容器の流れを一時的に停止させる際には、上記容器がどの位置にあっても、いずれかの突起部が、上記容器の側面を捉えるため、停止確度を向上させることができる。
【0015】
また、上記複数のく字状の突起部を、上記ダイヤフラムの上記搬送方向の上流側および下流側の端部に位置する上記突起部よりも、上記搬送方向の中央部に位置する上記突起部の厚さ寸法を大きくすることによって、上記搬送方向より搬送される上記容器が、上記ダイヤフラムの膨張により、該ダイヤフラムの上記中央部で停止するまでの過程において、上記ダイヤフラムの上記搬送方向の端部付近に形成されている上記く字状の突起部に引っ掛かることなく、上記搬送ラインの幅が最も狭まる中央部付近まで、厚みの小さい上記く字状の突起部から、順に接触していくため、上記容器の搬送スピードを減速させることができる。したがって、上記搬送ライン上で、上記容器を強制的に停止させた場合でも、上記容器の転倒を防止することができるとともに、上記ダイヤフラムに供給する圧縮空気の圧力を高めて、上記容器に押し当てる力を調整する必要もなく、確実に上記容器を停止させることができる。
【0016】
請求項3に記載の本発明によれば、上記ダイヤフラムを軟質の天然ゴムにより形成することによって、上記基板に設けられた上記導入管より圧縮空気を供給する際に、高圧縮の空気を供給しなくても、瞬時に上記ダイヤフラムを膨張させて、上記容器を停止させることができるとともに、上記圧縮空気を抜いたときには、上記ダイヤフラムを瞬時に元に戻せるため、作業効率を向上させることができる。
【0017】
また、上記ダイヤフラムを軟質の天然ゴムにより形成することによって、該ダイヤフラムを膨張させて、上記容器の側面とを接触させる際に、上記容器の側面に凹みや傷のダメージを与えることなく、上記容器を停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1〜4は、本発明の容器ストッパ1の一実施形態を示すものである。
図1に示すように、エアー搬送によって容器tを搬送する搬送ラインkは、その搬送方向Wに延在するガイドレールsを、容器tの長手方向の上部と下部の位置に、容器tの側面の両側に対向させて、容器tの幅よりも広くなるようにして配設するとともに、容器tの下面に接する位置と、容器tの上面に隙間を設けた位置とに配設されている。そして、容器tの一側面側の上部と下部に配設されているガイドレールs間に、容器ストッパ1が取り付けられている。この容器ストッパは、長手方向を搬送方向Wに沿わせるとともに、容器tの側面に対向させ、取付部材gを介して、各ガイドレールsの外方に接して設けられた支持部材hに取付られている。
【0019】
図2に示すように、容器ストッパ1の取付板2は、長方形をなす平板状に形成され、容器tの側面と対向した平面部に貫通する開口部2aが形成されている。この開口部2aは、短手方向の長さが、取付板2の短手方向の約半分の長さに形成されているとともに、開口部2aの長手方向の両端が、開口部2aの短手方向の長さを直径とする半円に形成されている。その際に、上記半円の長手方向の頂部と取付板2の端部とが、上記半円の半径の長さと同じになるように形成される。また、取付板2の裏面側には、開口部2aの外方縁部に、ねじ山が形成されたねじ穴2bが、等間隔に複数(図では、28個)周設されている。
【0020】
また、取付板2の裏面側には、基板3が積層されている。この基板3は、平板状に形成され、取付板2と対向する面の中心に円形の貫通穴3cが穿設され、取付板2と対向する面の反対側に、圧縮空気Fが供給される導入管3aが、該貫通穴3cに螺合されるとともに、取付板2に形成されたねじ穴2bのそれぞれの中心と同位置に、ボルトpを挿通させる座ぐり穴3bが複数(図では、28個)穿設されている。
【0021】
そして、取付板2の開口部2aに配設されるダイヤフラム4は、図3に示すように、長方形をなす天然ゴムシートの長手方向に延在される凸状の突出部4cが、その短手方向の幅に取付板2の開口部2aが遊挿される長さにより、一体的に成形されているとともに、長手方向の両端が、突出部4cの短手方向の長さを直径とする半円に形成され、取付板2の開口部2aの端部に形成されている上記半円と遊挿されている。
【0022】
また、ダイヤフラム4の外周縁部4aには、取付板2と基板3との間に、外周縁部4aが挟持された際にボルトpが挿通される取付穴4bを、ねじ穴2bのそれぞれの中心と同位置に複数(図では、28個)穿設されている。
【0023】
さらに、ダイヤフラム4の長手方向に延在する凸状の突出部4cの頂部の表面には、同一形状のく字状に突出する突起部5が、全長に渡り間隔をおいて複数(図では、29個)形成されている。また、く字状の突起部5の2辺交差部5aが、長手方向の同一の方向に向けて形成されているとともに、ダイアフラム4の搬送方向Wの中央部に位置されているく字状の突起部5が、搬送方向Wの上流側および下流側の端部に位置するく字状の突起部5よりも、厚さ寸法が大きく形成されている。
【0024】
そして、容器ストッパ1は、図2に示すように、取付板2の開口部2aに、ダイヤフラム4の突出部4cを配設させて、取付板2の裏面側に基板3を、この基板3に設けられた導入管3aが外方に向けて積層させるとともに、基板3に形成された各座ぐり穴3bにボルトpを挿入して、取付板2に形成されているねじ穴2bに、それぞれが螺着されて構成されている。
【0025】
以上の構成からなる容器ストッパ1を用いて、エアー搬送により搬送される容器tを搬送ラインk上で停止させるためには、まず図1に示すように、容器ストッパ1の長手方向を搬送ラインkの搬送方向Wに沿わせるとともに、ダイヤフラム4が、容器tの側面に対して進退自在になる位置に取り付ける。
【0026】
次いで、容器tをエアー搬送によって搬送ラインk上を搬送させて稼働させる。そのときに、搬送ラインkの上流側で容器tの不足が生じたり、下流側で容器tが満杯になったなどのトラブルが発生した場合に、容器ストッパ1の搬送ラインkと反対側の基板3に形成された導入管3aより、圧縮空気Fを供給する。
【0027】
そして、供給された圧縮空気Fは、取付板2と基板3との間に挟持されているダイヤフラム4に送られて、ダイヤフラム4内の内圧が、外圧より高くなると、取付板2の開口部2aよりダイヤフラム4が、搬送ラインk側に膨張する。
【0028】
このとき、容器tは膨張するダイヤフラム4の端部より、厚みの小さいく字状の突起部5に接触しながら、このダイヤフラム4と反対側のガイドレールsへと押し出され、速度を減速させながら、ダイヤフラム4の中央部の最も狭化された部分まで進行する。
【0029】
そして、ダイヤフラム4の中央部において、ガイドレールsとダイヤフラム4のく字状の突起部5との間に挟まれて停止する。このとき、容器tに水滴などの水分mが付着していた場合であっても、く字状の突起部5の排水作用によって、容器tの側面とダイヤフラム4の表面との間には、水分mによる薄膜rの発生が起きないため、確実に停止させることができる(図4参照)。
【0030】
また、搬送ラインkに係わる問題が解決されて、再度搬送ラインkを稼働させるときには、基板3の導入管3aより圧縮空気を抜くことにより、ダイヤフラム4内の内力が外圧まで下がるため、膨張していたダイヤフラム4は元に戻る。そして、エアー搬送により搬送される容器tは、搬送ラインkを搬送方向Wに沿って、再び搬送される。
【0031】
上述の実施形態の容器ストッパによれば、容器ストッパ1は、両面に貫通する開口部2aが形成された平板状の取付板2と、この取付板2の裏面側に積層される基板3と、取付板2の開口部2aに配設されて、外周縁部4aが取付板2と基板3との間で挟持されるダイヤフラム4とを備え、基板3には、ダイヤフラム4に圧縮空気Fを供給する導入管3aが穿設された構造で構成されている。そのため、容器ストッパ1を構成する部品点数が少なく、長期にわたり使用した場合でも、故障する度合いが少ない。また、長期の使用に際して、万が一故障や破損した場合であっても、その原因の特定や部品の交換をスムーズに行うことができるとともに、製造コストやランニングコストも抑えることができる。
【0032】
またダイヤフラム4は、容器tの側面に対して進退自在に設けられているため、基板3に設けられた導入管3aから、圧縮空気Fを供給することにより、搬送ラインkの搬送部の幅を簡単に狭化させることができる。そのため、突発的なトラブルが発生した場合でも、瞬時にダイヤフラム4を膨張させて、容器tを停止させることができるとともに、トラブルが解消して、再び搬送ラインkを稼働させるときには、ダイヤフラム4内の圧縮空気を抜くことにより、狭化されていた搬送部の幅を瞬時に、元に戻すことができる。
【0033】
さらに、ダイヤフラム4の表面には、く字状に突出する突起部5の2辺交差部5aが、搬送ラインkの搬送方向Wに対して、上流側に位置するように形成されているため、何らかのトラブルで容器tを一時的に停止させるときには、容器tの側面に水滴などの水分mが付着していた場合であっても、く字状の突起部5の2辺交差部5aの漸次縮小部分から、順次容器tの側面に接触するため、水分mを効率良く排水することができるとともに、く字状の突起部5が形成されることにより、上記容器の側面との接触面積を小さくすることができる。したがって、水分mが、容器tの側面とダイヤフラム4の表面との間に引き込まれて起こる薄膜rの発生を防止することができるとともに、接触面の摩擦係数を減少させることなく、確実に容器tを停止させることができるので、容器ストッパ1を複数設置する必要もない。
【0034】
そして、く字状の突起部5をダイヤフラム4の長手方向に、間隔をおいて複数形成することにより、エアー搬送される容器tを、ダイヤフラム4の膨張によって、搬送ラインkの幅を狭化させて、容器tの流れを一時的に停止させる際には、容器tがどの位置にあっても、いずれかの突起部5が、容器tの側面を捉えるため、停止確度を向上させることができる。
【0035】
また、複数のく字状の突起部5を、ダイヤフラム4の搬送方向Wの上流側および下流側の端部に位置する突起部5よりも、搬送方向Wの中央部に位置する突起部5の厚さ寸法を大きくすることによって、搬送方向Wより搬送される容器tが、ダイヤフラム4の膨張により、該ダイヤフラム4の上記中央部で停止するまでの過程において、ダイヤフラム4の搬送方向Wの端部付近に形成されているく字状の突起部5に引っ掛かることなく、搬送ラインkの幅が最も狭まる中央部付近まで、厚みの小さいく字状の突起部5から、順に接触していくため、容器tの搬送スピードを減速させることができる。したがって、搬送ラインk上で、容器tを強制的に停止させた場合でも、容器tの転倒を防止することができるとともに、ダイヤフラム4に供給する圧縮空気Fの圧力を高めて、押し当てる力を高める必要もなく、確実に容器tを停止させることができる。
【0036】
そして、ダイヤフラム4を軟質の天然ゴムにより形成することによって、基板3に設けられた導入管3aより圧縮空気Fを供給する際に、高圧縮の空気を供給しなくても、瞬時にダイヤフラム4を膨張させて、容器tを停止させることができるとともに、圧縮空気Fを抜いたときには、ダイヤフラム4を瞬時に元に戻せるため、作業効率を高めることができる。
【0037】
また、ダイヤフラム4を軟質の天然ゴムにより形成することによって、該ダイヤフラム4を膨張させて、容器tの側面とを接触させた際に、容器tの側面に凹みや傷のダメージを与えることなく、容器tを停止させることができる。
【0038】
なお、上記実施の形態において、ダイヤフラム4の表面に、く字状に突出する突起部5を用いた場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、W字状に突出する突起部を用いても対応可能である。その場合には、W字状に突出する突起部のそれぞれの2辺交差部が、搬送方向Wの上流側に位置させて形成される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の容器ストッパの一実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【図2】本発明の容器ストッパの一実施形態を示し、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
【図3】本発明の容器ストッパのダイヤフラムの一実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はA−A断面図、(c)はく字状の突起部の拡大平面図である。
【図4】本発明の容器ストッパのく字状の突起部と容器の側面とが接触した状態を示し、(a)は平面図と部分拡大図の断面、(b)は右側面図の断面である。
【図5】従来の容器ストッパの実施形態を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図である。
【図6】従来の容器ストッパの弾性体と容器の側面とが接触した状態を示し、(a)は平面図と部分拡大図の断面、(b)は右側面図の断面である。
【符号の説明】
【0040】
1 容器ストッパ
2 取付板
2a 開口部
3 基板
3a 導入管
4 ダイヤフラム
4a 外周縁部
5 く字状の突起部
5a 2辺交差部
W 搬送方向
k 搬送ライン
t 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアー搬送によって容器を搬送する搬送ラインの上記容器の側面に対向する位置に設けられて、上記容器を停止させる容器ストッパであって、
長手方向を上記容器の搬送方向に沿わせて上記容器の側面に対向して配置させるとともに、両面に貫通する開口部が上記長手方向に向けて形成された平板状の取付板と、
この取付板の裏面側に積層されて上記開口部を塞ぐ基板と、
上記取付板の開口部に配設され、外周縁部が上記取付板と上記基板との間で挟持されるとともに、上記容器の側面に対して進退自在に設けられたダイヤフラムとを備え、
上記基板に、上記ダイヤフラムの裏面側に開口して当該ダイヤフラムに圧縮空気を供給する導入管が穿設され、かつ上記ダイヤフラムの表面に、く字状に突出する突起部が、その2辺交差部を上記搬送方向の上流側に位置させて形成されていることを特徴とする容器ストッパ。
【請求項2】
上記く字状の突起部は、上記ダイヤフラムの長手方向に間隔をおいて複数形成されるとともに、上記複数のく字状の突起部は、上記ダイアフラムの上記搬送方向中央部に位置するものが、上記搬送方向上流側および下流側の端部に位置するものよりも厚さ寸法が大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の容器ストッパ。
【請求項3】
上記ダイアフラムは、天然ゴムにより形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器ストッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−202973(P2009−202973A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44786(P2008−44786)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】