説明

容器入り二層ゼリー及びその製造方法。

【課題】上層のゲルと下層のゲルとの界面にアントシアニン色素によるきれいなグラデーション構造を有する視覚的に楽しめる容器入り二層ゼリー、及び、そのような容器入り二層ゼリーを、簡単な方法で、安定して得ることができる、容器入り二層ゼリーの製造方法を提供すること。
【解決手段】アントシアニン色素を含むゲルと、アントシアニン色素を含まないゲルからなる二層ゼリーであって、双方のゲルのpHが略同一であることを特徴とする、グラデーション構造を有する容器入り二層ゼリー。第1のゼリー液又は第2のゼリー液のどちらか一方にのみアントシアニン色素を含有させ、第1のゼリー液をゼリー容器に充填した後ゲル化して第1のゲルを得た後、第2のゼリー液を充填しゲル化させた後、静置し、アントシアニン色素を移行させることを特徴とするグラデーション構造を有する容器入り二層ゼリーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上層のゲルと下層のゲルとの界面にアントシアニン色素によるきれいなグラデーション構造を有する視覚的に楽しめる容器入り二層ゼリー、及び、そのような容器入り二層ゼリーを、簡単な方法で、安定して得ることができる、容器入り二層ゼリーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼリーは水分含量が高いため、滑らかで清涼感のある食感を有し、特にデザートとして夏季における人気は大変高い。また、各種ピューレやクリームを混合することで、色や風味、透明感のあるゲルからムース状の不透明なゲルまで様々なバリエーションを生み出すことができるため視覚的に楽しめる点でも人気が高い。
【0003】
なかでも、2種の色や風味及び食感のゼリーを同時に楽しめる二層ゼリーは特に人気が高い。
【0004】
この二層ゼリーの製造方法は各種のものがあるが、大きく分けて、次の3つの方法が知られている。
【0005】
まず第1の方法としては、ゼリー容器に、ゲル化剤やゲル化素材を溶解した水溶液(以下ゼリー液と言う)を充填し、いったんゲル化させた後、その上面に別のゼリー液を積置し、ゲル化して、二層ゼリーを得る方法があげられる(例えば特許文献1参照)。
【0006】
また、第2の方法としては、比重の異なる2種のゼリー液を用意し、これを順次ゼリー容器に、静かにまじりあわないように流し込んだ後、ゲル化し、二層ゼリーを得る方法があげられ、下層となるゼリー液を先に充填する方法(例えば特許文献2参照)と、上層となるゼリー液を充填した後、そのゼリー液中を通るかたちで下層となるゼリー液を流し込む方法(例えば特許文献3及び4参照)がある。
【0007】
また、第3の方法としては、加熱により分離する水溶液をゼリー液に混合した後、加熱し、冷却して、ゲル化することで、自然に分離させて、二層ゼリーを得る方法があげられる(例えば特許文献5及び6参照)。
【0008】
ここで、最近は、2種の色や風味及び食感のゼリーを同時に楽しめる二層ゼリーであって、その界面にグラデーション構造を有する二層ゼリーが見られるようになってきている。
【0009】
そのような二層ゼリーの製造方法としては、通常はゼリー液の状態でグラデーション構造を作る方法、すなわち、上記第2の方法の変法が用いられ、例えば、比重が軽く且つ粘度が小さい方のゼリーミックスを充填し、次いで比重が重く且つ粘度が大きい方のゼリーミックスを充填する方法(例えば特許文献7参照)や、第1液を容器に充填した後、該第1液よりも比重の大きな第2液を前記容器に充填する充填工程を、特定の式を満足する条件下で行う方法(例えば特許文献8参照)等の方法が提案されている。
【0010】
しかし、これらの方法では、安定した製造ができないことに加え、得られるグラデーション構造の部分が、2種のゼリー層それぞれの呈色や呈味が完全に混合されたものになり、2種の風味のコントラストが楽しめない、あるいは、混合された風味が好ましくないものとなってしまう場合がある等の問題があった。
【0011】
ここで、近年の研究から生体内の活性酸素を除去したり、目の疲れを和らげる効果を有するなど、アントシアニン色素の効用が注目されており、カシス、ブルーベリー、紫イモ等のこれらの色素を多く含有する食品素材が注目されている。
【0012】
しかし、アントシアニン色素は中性域では鮮やかな紫色を呈するが、アルカリ性では青色系、酸性では燈色系へ変色してしまう問題がある。
【0013】
ここで、これらのアントシアニン色素を多く含有する食品素材をゼリーに使用した場合、透明度を上げるために加水量を多くしたり、食感や風味を良くするため、ムースやババロア等のクリーム等の乳製品を多く使用するなど、その呈色が本来の呈色と異なるものとなってしまう場合がある。
【0014】
とくに、上記の特許文献7、8等の方法で製造したグラデーション構造を有する二層ゼリーは、その混合部分のみが異なる呈色になり、視覚的にきれいなグラデーション構造が得られないことがあった。
【0015】
【特許文献1】特開昭48−72362号公報
【特許文献2】特開昭61−128846号公報
【特許文献3】特開昭50−36652号公報
【特許文献4】特開昭47−39565号公報
【特許文献5】特開平8−242786号公報
【特許文献6】特開2004−229531号公報
【特許文献7】特開2003−319751号公報
【特許文献8】特開2006−223146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、本発明の目的は、上層のゲルと下層のゲルとの界面にアントシアニン色素によるきれいなグラデーション構造を有する視覚的に楽しめる容器入り二層ゼリー、及び、そのような容器入り二層ゼリーを、簡単な方法で、安定して得ることができる、容器入り二層ゼリーの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、従来の発想とは全く異なり、グラデーション構造を有する二層ゼリー製造の際に、第1のゼリー液をゼリー容器に充填した後ゲル化して第1のゲルを得た後、第2のゼリー液を充填しゲル化させた後静置することにより、第1のゲル又は第2のゲルのどちらか一方に含まれるアントシアニン色素成分を移行させる方法を採り、その際に、アントシアニン色素を含むゲルと、アントシアニン色素を含まないゲル双方のゲルのpHを略同一とすることにより解決可能であることを見出した。
【0018】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、アントシアニン色素を含むゲルと、アントシアニン色素を含まないゲルからなる二層ゼリーであって、双方のゲルのpHが略同一であることを特徴とする、グラデーション構造を有する容器入り二層ゼリーを提供するものである。
【0019】
また、本発明は、pHが略同一である第1のゼリー液又は第2のゼリー液のどちらか一方にのみアントシアニン色素を含有させ、第1のゼリー液をゼリー容器に充填した後ゲル化して第1のゲルを得た後、第2のゼリー液を充填しゲル化させた後、静置し、アントシアニン色素を移行させることを特徴とするグラデーション構造を有する容器入り二層ゼリーの製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の容器入り二層ゼリーは、上層のゲルと下層のゲルとの界面にアントシアニン色素によるきれいなグラデーション構造を有し、視覚的に楽しめるものである。
【0021】
また、本発明の容器入り二層ゼリーの製造方法によれば、上記特徴を有する容器入り二層ゼリーを、簡単に、安定して得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明のグラデーション構造を有する容器入り二層ゼリー及びその製造方法について詳述する。
【0023】
本発明におけるゼリーとは、ゲル化剤やゲル化素材を使用して得られたゲルのことであり、各種の呈味や呈色成分を含有した、例えば、ゼリー、ムース、ババロア、パンナコッタ、プディング、羊羹、外郎、にこごり、ヨーグルトなどを含むものである。
【0024】
また、本発明におけるグラデーション構造を有する二層ゼリーとは、呈味や呈色の異なる2種のゲルが、グラデーション構造を介し、一つの界面をもって接しているものである。
【0025】
また、本発明において、下層のゲルとは、ゼリー容器の内底面に接しているゲルのことを指し、上層のゲルとは、もう一方のゲルを指す。
【0026】
本発明で用いるアントシアニン色素は、色素そのものを使用することもできるが、一般的にはアントシアニン色素を多く含有する食品素材を使用する。
【0027】
該アントシアニン色素を多く含有する食品素材とは、カシス、ブルーベリーを始めとするベリー類、赤ワイン、紫さつまいも等が挙げられ、これらは液状、ピューレ、ジャム、果汁、ペースト、固形の他、乾燥噴霧してパウダー状としたもの等、ゼリー液に混合が可能であれば形状は問わない。
本発明では、これらの中でも、ゼリー製造に適した色と風味を有し、アントシアニン色素含有量が特に多いことから、カシスまたはブルーベリーの果汁由来のものであることが好ましい。
【0028】
本発明における、上記アントシアニン色素の使用量は、その求める呈色や呈味によって異なり、とくに制限はない。
【0029】
なお、アントシアニン色素を多く含有する食品として、カシスまたはブルーベリーの果汁由来の食品素材を使用する場合、その食品素材が果汁である場合は、ゼリー液中5〜95質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
【0030】
また、カシスまたはブルーベリーの果汁由来の食品素材を使用する場合、その食品素材がピューレや濃縮果汁、あるいは濃縮ペーストである場合は、果汁に換算して上記の含量となるように換算して使用する。
【0031】
本発明の二層ゼリーに使用するその他の原料については、通常のゼリー製造に使用するものであればよく、水、牛乳、煉乳、果汁、クリームなどの水性原料と、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、澱粉などのゲル化剤や全卵、卵白などのゲル化素材を主原料とし、さらに必要により、乳化剤、酸化防止剤、糖類及び糖アルコール、澱粉、小麦粉、無機塩及び有機酸塩、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他の各種食品素材全般、着香料、調味料などの呈味成分、着色料、保存料、pH調整剤などのその他の成分を適宜使用することができる。
【0032】
なお、本発明の二層ゼリーではゲル化素材としては、アントシアニン色素の移行が容易に行なわれることから、その双方のゲルにゼラチンを使用することが好ましい。
【0033】
本発明の二層ゼリーに使用するゼリー容器は、通常のゼリー製造に使用するものであればよい。
【0034】
上記ゼリー容器の素材は、通常のゼリー製造に使用するものであればよく、ガラス、プラスティック、陶器、シリコ−ン、ゴム、金属など、特に限定なく使用することが可能であるが、ゼリー容器を通してグラデーション構造を視認可能な点で、ガラス、プラスティックなどの透明性の高い素材を使用することが好ましい。また、ゲルが熱凝固性のものである場合には、耐熱性の高い素材を使用するのはもちろんである。
【0035】
本発明の二層ゼリーは、アントシアニン色素を含むゲルと、アントシアニン色素を含まないゲルのpHが略同一であることが必要である。ここで、略同一である、とは、本発明においては、そのpHの差が2以内、好ましくは1.5以内であることを言う。
【0036】
ここで、pHの差が略同一でないと、きれいなグラデーション構造が得られず、例えば、アントシアニン色素の呈色が得られずに薄い呈色のグラデーション構造となってしまったり、2つのゲルを混合した呈色以外の、例えば、灰色や濃茶色等の好ましくない呈色のグラデーション構造になってしまう。
【0037】
ここで、pHを略同一にする方法としては、レモン果汁や有機酸や重曹などの酸性あるいはアルカリ性成分を添加して調整する方法が挙げられるが、それ以外に、緩衝能を有する食品素材を添加する方法によっても可能である。
【0038】
とくに、本発明で使用することが好ましい、カシスまたはブルーベリー等の果汁はpHが2〜4と極めて低いため、pHを略同一とするには、アントシアニン色素を含有しないゲルのpHも同様に下げる必要があり、そのために、アントシアニン色素を含有しないゲルの風味成分によっては、好ましくない呈味となってしまったり、2層のゲルの風味バランスが崩れてしまうおそれがある。
【0039】
このため、アントシアニン色素を含有するゲルは、ムースであることが好ましい。これはムースには乳蛋白を多く含まれることから緩衝能が高いため、pHの低い食品素材であるカシスまたはブルーベリー等の果汁を使用した場合であってもゲル自体のpHは3〜5とすることができ、アントシアニン色素を含有しないゲルとの呈味のバランスのとれた二層ゼリーを得ることができるためである。
【0040】
なお、2種のゲルとの比重については特に制限されず、また、その比重差についても制限されない。
【0041】
続いて、本発明の容器入り二層ゼリーの製造方法について述べる。
上記本発明の二層ゼリーは、例えば、アントシアニン色素を含有するゼリー液とアントシアニン色素を含有しないゼリー液を注意深く積層し、次いでゲル化させ、静置し、アントシアニン色素を移行させる方法によっても得ることができるが、より安定して製造可能な点から、以下の方法で製造することが好ましい。
【0042】
すなわち、本発明の容器入り二層ゼリーの製造方法は、pHが略同一である第1のゼリー液又は第2のゼリー液のどちらか一方にのみアントシアニン色素を含有させ、第1のゼリー液をゼリー容器に充填した後ゲル化して第1のゲルを得た後、第2のゼリー液を充填しゲル化させた後、静置し、アントシアニン色素を移行させるものである。
【0043】
また、本発明の容器入り二層ゼリーの製造方法では、第1のゼリー液又は第2のゼリー液のどちらがアントシアニン色素を含むものであってもよい。
【0044】
すなわち、本発明の容器入り二層ゼリーの製造方法では、どちらか一方のゲルにのみアントシアニン色素を含有させ、双方のゲルのpHを略同一とする以外は一般的な二層ゼリーの製造方法を踏襲すればよく、そのため、得られる二層ゼリーの上層のゲルと下層のゲルとの界面は、製造当初はきれいな界面となっている。
【0045】
ここで、アントシアニン色素は、その分子量が比較的小であることから、2つのゲル中をほぼ自由に移動することができるため、拡散により、徐々にアントシアニン色素を含有しないゲル中へ移行していく。そして、第2のゲルを充填してから、24時間で界面から約7mm、72時間で約20mmの厚さまでアントシアニン色素が浸潤し、界面付近ほどアントシアニン色素濃度が高い、きれいなグラデーション構造が得られるのである。
【0046】
ここで、アントシアニン色素を含まないゲルのpHがアントシアニン色素を含むゲルのpHと大きく異なると、移行した相手方、すなわち、アントシアニン色素を含有しないゲルのpHでの呈色となってしまうことから、呈色の質が大きく変わってしまったり、呈色が薄くなってしまうものである。
【0047】
ここで、アントシアニン色素を含まないゲルが透明なゲルであった場合は、アントシアニン色素がきれいな濃淡のグラデーション構造となり、アントシアニン色素を含まないゲルが他の呈味・呈色素材を使用していた場合であると、その色と交じり合ったきれいなグラデーション構造となる。
【0048】
ここで静置させる時間は24時間以上であることが好ましく、より好ましくは36時間以上である。
【0049】
なお、上限については、その容器入り二層ゼリーの消費期限にもよるが、通常120時間程度である。これ以上であると全体の呈色が均質化してしまい、きれいなグラデーション構造が得られないおそれがある。
【0050】
なお、移行を留めるために冷凍することが有効な手段である。これは、アントシアニン色素の移行は凍結した水の中では起こらないためである。
【0051】
ここで、第1のゼリー液に使用するゲル化剤やゲル化素材、及び第2のゼリー液に使用するゲル化剤やゲル化素材は、求める食感により適宜選択可能であるが、第2のゼリー液に、全卵、卵白などの加熱凝固性のゲル化剤やゲル化素材を使用する場合は、そのゲル化の際に第1のゲルが溶解しないことが必要であるため、第1のゼリー液に使用するゲル化剤やゲル化素材として、熱不可逆性のゲル化剤を選定するか、第2のゼリー液のゲル化の温度を第1のゲルの融解温度未満に設定することが必要である。
【0052】
本発明の容器入り二層ゼリーは、この二層だけで十分変化のあるものであるが、さらに上面や下面に第三あるいはそれ以上の層のゲル層を積層してもよい。また、二層ゼリーの上面にカラメルやピューレなどのソース類、ホイップドクリームやカスタードクリームなどのクリーム類、果実や板チョコなどの固形物を積置してもよい。
【0053】
本発明の容器入り二層ゼリーは、そのままカップチルドデザートとして、また、ゼリー容器から外して皿に載せてディッシュチルドデザートとして、また、ゲルが溶解しない程度に加温して温製デザートとすることもでき、また、トヨ型などの大きな型で製造してからスライスしてもよく、洋菓子、惣菜分野に広く使用することができる。
【実施例】
【0054】
〔実施例1〕
<カシスムース液>
カシスピューレ(ボワロン社製)100質量部、水400質量部をあわせ、70℃まで加温し、上白糖120質量部、ゼラチン10質量部を添加し溶解させ、粗熱をとった後、レモン果汁10質量部を加え、さらに七部立てした純植物性ホイップクリーム360質量部を混合し、ムース生地を得た。このムース液のpHは4.1であった。
【0055】
<ピュアレモンゼリーA液>
レモン果汁40質量部、水825質量部をあわせ、70℃まで加温し、上白糖120質量部、ゼラチン15質量部を添加し溶解させ、ピュアレモンゼリーA液を得た。このピュアレモンゼリーA液のpHは4.1であった。
【0056】
<ピュアレモンゼリーB液>
水865質量部を70℃まで加温し、上白糖120質量部、ゼラチン15質量部を添加し溶解させ、ピュアレモンゼリーB液を得た。このピュアレモンゼリーB液のpHは6.0であった。
【0057】
<オレンジゼリー液>
100%オレンジ果汁840質量部を70℃まで加温し、上白糖140質量部、ゼラチン20質量部を添加し溶解させ、オレンジゼリー液を得た。このオレンジゼリー液のpHは5.4であった。
【0058】
〔実施例1〕
アントシアニン色素を含む第1のゼリー液として、上記<カシスムース液>を、アントシアニン色素を含まない第2のゼリー液として<ピュアレモンゼリーA液>を使用した。
【0059】
第1のゼリー40gを、開口部が直径55mm、全高が70mmで、内底面が直径48mmである、ゼリー容器に充填し、5℃の冷蔵庫で2時間冷却してゲル化させ、第1のゲルを形成させた。
【0060】
次いで、冷蔵庫より、先ほど製造した第1のゲルを形成してなるゼリー容器を取り出し、該第1のゲルの上面に、上記第2のゼリー液を90g流し込んだ後、再び5℃の冷蔵庫で3時間冷却し、該第2のゼリー液をゲル化させ、5℃の冷蔵庫で24時間静置したところ、アントシアニン色素は界面から7mmの部分まで第2のゲルの内部に浸潤し、きれいなグラデーション構造となった本発明の容器入り二層ゼリーが得られた。
なお、72時間そのまま静置したところ、20mmまで浸潤し、また、より界面付近の呈色が強くきれいなグラデーション構造となった。
【0061】
〔比較例2〕
アントシアニン色素を含む第1のゼリー液として、上記<カシスムース液>を、アントシアニン色素を含まない第2のゼリー液として<ピュアレモンゼリーB液>を使用した以外は実施例1の製法に従い、比較例1の容器入り二層ゼリーが得た。24時間後の移行状態は、界面から7mmであったが呈色は淡く、グラデーション構造を有しているとはいえないものであった。また、ムース層の界面が変色し、呈色のバランスの悪い容器入り二層ゼリーであった。
なお、72時間そのまま静置したところ、10mmまでしか浸潤部分が認められず、呈色がほとんどない、淡いものになってしまっていた。
【0062】
〔実施例2〕
アントシアニン色素を含む第1のゼリー液として、上記<カシスムース液>を、アントシアニン色素を含まない第2のゼリー液として<オレンジゼリー液>を使用した以外は実施例1の製法に従い、実施例2の容器入り二層ゼリーが得た。24時間後の移行状態は、界面から7mmであり、赤紫色〜茶色〜黄色のきれいなグラデーション構造となった。
なお、72時間そのまま静置したところ、20mmまで浸潤し、また、より界面付近の呈色が強くきれいなグラデーション構造となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アントシアニン色素を含むゲルと、アントシアニン色素を含まないゲルからなる二層ゼリーであって、双方のゲルのpHが略同一であることを特徴とする、グラデーション構造を有する容器入り二層ゼリー。
【請求項2】
アントシアニン色素がカシスまたはブルーベリー果汁由来のものであることを特徴とする請求項1記載のグラデーション構造を有する容器入り二層ゼリー。
【請求項3】
アントシアニン色素を含むゲルがムースであることを特徴とする請求項1又は2記載のグラデーション構造を有する容器入り二層ゼリー。
【請求項4】
pHが略同一である第1のゼリー液又は第2のゼリー液のどちらか一方にのみアントシアニン色素を含有させ、第1のゼリー液をゼリー容器に充填した後ゲル化して第1のゲルを得た後、第2のゼリー液を充填しゲル化させた後、静置し、アントシアニン色素を移行させることを特徴とするグラデーション構造を有する容器入り二層ゼリーの製造方法。