説明

容器処理装置

【課題】薬液の充填、不活性ガス置換等を行う容器処理装置を、アンプル2とバイアル106に兼用可能にする。
【解決手段】搬送レーク6(6A)によって間欠的に容器(アンプル2またはバイアル106)を搬送する搬送経路22上に、充填ゾーンC、不活性ガス置換ゾーンD等を順次設置し、不活性ガス置換ノズル76または打栓ヘッド108が選択的に取り付けられる取付ブロック94を、充填ノズル66を昇降させるサーボモータ52とは別のサーボモータ86の駆動によって昇降させる。アンプル2の処理時には、取付ブロック94に不活性ガス置換ノズル76を取り付け、バイアル106の処理時には、ゴム栓114を打栓する打栓ヘッド108を取り付けることにより、アンプル2の処理とバイアル106の処理に兼用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器処理装置に係り、特に、アンプルやバイアル等の容器に医療用の薬液を充填し、容器上部の空間を不活性ガスに置換した後密封するようにした容器処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンプルやバイアル等の容器に薬液を充填する場合は、薬液の酸化を防止するため、容器上部の薬液の液面よりも上方の空間に、窒素ガス等の不活性ガスを吹き込んで、前記空間内の空気を不活性ガスに置換するようにしている。アンプルに薬液を充填する場合と、バイアルに薬液を充填する場合では、充填およびその他の処理を行う工程が異なっており、アンプルの場合には、薬液を充填し、不活性ガス置換を行った後、アンプルの先端部を加熱熔融して熔閉する。一方、バイアルの場合には、薬液を充填し、不活性ガス置換を行った後、開口部にゴム栓等を打栓するという工程を行う。
【0003】
また、特に、アンプルに充填を行う場合には、口部付近が小径で、かつ、くびれている部分があるため、不活性ガスの置換ノズルを口部の上方に位置させて不活性ガスを噴射しても、不活性ガスが容器内の液面近くまで届かないので、充分な置換ができない。そこでアンプルの内部に置換ノズルを挿入して不活性ガスを噴射することにより、容器内のガス置換を行うようにしている(容器内に置換ノズルを挿入する構成は、例えば、特許文献1または特許文献2に記載されている)。
【0004】
前記特許文献1には、昇降体48の上部にノズル支持体58が装着され、このノズル支持体58に12本のノズルを同時に装着しうるように12個の位置決め用の凹部59が形成されており、例えば、前方の4個の凹部59に窒素置換ノズル、中間の4個の凹部59に充填ノズル60、後方の4個の凹部59に窒素置換ノズルを設置し、前方の窒素置換作業、中間の充填作業および後方の窒素置換作業を同時に行うようにした構成が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、充填工程部20の上流側に充填前置換工程部10が、そして、下流側に充填後置換工程部30および封鎖工程部40がそれぞれ設置された充填装置が記載されている。この充填装置では、充填前置換工程部10、充填工程部20、充填後置換工程部30および封鎖工程部40の各工程部にそれぞれ置換用のガスノズル14、25、31、41を備えており、各工程部でアンプル11内にアルゴンガスの吹き込みを行っている。
【特許文献1】特開2000−142890号公報(第3−4頁、図2)
【特許文献2】特開2005−247325号公報(第6−9頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明では、置換ノズルを充填ノズルと一体にノズル支持体に取り付けてあり、充填ノズルと同じ駆動手段によって同一の動作を行うように制御される。従って、置換ノズルが充填ノズルと同じモーションで昇降するので、充填ノズルによる充填時間の制約を受けるため、充分な置換時間を確保することが難しく、置換率を達成するために充填の前後に不活性ガス置換を行わなければならないという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された発明では、複数の工程部にそれぞれガスノズルを配置して置換を行うようにしているので、多数のノズルが必要でありコスト高であった。しかも、前記各特許文献の構成では、アンプル用の充填装置とバイアル用の充填装置とに兼用することは困難であった。
【0008】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、アンプルへの薬液の充填とバイアルへの薬液の充填とに兼用可能な容器処理装置を提供することを目的とするものである。また、充填後のガス置換だけで充分な置換率を得ることができる効率の良い置換ノズルを備えた容器処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、容器を搬送する搬送手段と、容器に液体を充填する充填ノズルと、この充填ノズルを昇降させる充填ノズル昇降手段と、記充填ノズルよりも下流側に配置された取付ブロックと、この取付ブロックを昇降させるブロック昇降手段と、ブロック昇降手段の動作を制御する制御手段とを備え、前記取付ブロックに、不活性ガスを噴射する置換ノズルとゴム栓を打栓する打栓ヘッドとを選択的に取付可能とし、アンプルを処理する場合には、前記取付ブロックに置換ノズルを取り付けて、充填ノズルによる充填が終了したアンプル内に置換ノズルを挿入して不活性ガスを噴射し、バイアルを処理する場合には、前記取付ブロックに打栓ヘッドを取り付けて、充填が終了したバイアルにゴム栓を打栓することにより、アンプルとバイアルとに兼用することを可能にしたものである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、処理されるバイアルの斜め上方位置に配置され、バイアル内に不活性ガスを噴射する固定噴射ノズルとを設け、前記不活性ガス供給手段を、前記取付ブロックに取り付けた置換ノズルと前記固定置換ノズルとに選択的に接続可能にしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
昇降手段によって昇降される取付ブロックに、不活性ガスを噴射する置換ノズルとゴム栓を打栓する打栓ヘッドとを選択的に取付可能とし、アンプル処理時には置換ノズルを、バイアル処理時には打栓ヘッドを取り付けるようにしたことにより、簡単でローコストな、アンプルとバイアルとに兼用可能な容器処理装置を得ることができる。また、アンプルを処理する場合に、置換ノズルを充填ノズルと別の昇降手段によって昇降させるようにしたので、独立した制御が可能になり、充填後のガス置換だけで必要な置換率を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
容器搬送手段によって容器を搬送する経路上に、容器内に液体を充填する充填ノズルと、ブロック昇降手段によって昇降される取付ブロックを順に配置し、前記取付ブロックには、容器内に不活性ガスを吹き込む置換ノズルと容器にゴム栓を打栓する打栓ヘッドのいずれかを選択して取付可能とし、アンプルに薬液を充填する際には、置換ノズルによって液面上の空間に不活性ガスを吹き込み、バイアルに薬液を充填する際には、打栓ヘッドによってゴム栓を打栓するという構成により、コンパクトで低コストなアンプルとバイアルの兼用機を得るという目的を達成することができ、また、アンプルの処理時に、置換ノズルの作動時間を充分に確保して、不活性ガスの高置換率を達成することができるアンプル用容器処理装置を得るという目的を達成する。
【実施例1】
【0013】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る容器処理装置の平面図である。この容器処理装置は、容器であるアンプルとバイアルに兼用可能な構成を有しており、図1はアンプル2に薬液の充填を行う場合の構成を示す平面図である。この容器処理装置は、上流側の搬送手段(供給コンベヤ)1によって搬送されてきた容器(アンプル2)を、供給ホイール4によって受け取り、搬送レーク6と固定ガイド8により構成される直線搬送手段10に受け渡して間欠的に搬送する間に、充填ゾーンCで薬液等の液体の充填を行い、続いて不活性ガス置換ゾーンDで、容器のヘッドスペースを窒素ガス等の不活性ガスに置換した後、予熱ゾーンEでアンプル先端部2a(後に説明する図2および図3参照)の予備加熱を行い、さらに熔閉ゾーンFでアンプル先端部2aを加熱して熔融し密封する。その後、アンプル2は、搬送レーク6から排出ホイール12に引き渡され、下流側の搬送手段(排出コンベヤ)14に排出されて次の工程に送られる。
【0014】
この実施例では、前記各ゾーン(充填ゾーンC,不活性ガス置換ゾーンD、予熱ゾーンE、熔閉ゾーンF)は、それぞれアンプル8本ずつのスペースを有しており、搬送レーク6の1回の動作でアンプル2を8本ずつ移動させ、前記各ゾーンC、D、E、Fに停止させてそれぞれの処理を行う。なお、この容器処理装置の、図1に示すアンプル処理時には、前記各処理ゾーンC、D、E、Fの他に、最も上流側が供給コンベヤ1からの受け取りゾーンA、その次が処理を行わない中間ゾーンB、最も下流側が排出ホイール12への受け渡しゾーンGになっている。
【0015】
上流側(図1の左側)の供給コンベヤ1によって搬送されてきたアンプル2は、インフィードスクリュー(図示を省略)によって等間隔にピッチ切りされつつ、この容器処理装置内に1列で連続的に供給される。インフィードスクリューから供給されたアンプル2を受け取って直線搬送手段10の搬送レーク6に引き渡す供給ホイール4は、3枚のセグメントホイール16を備えており(図1では他の2枚の図示を省略してある)、これら各セグメントホイール16がそれぞれ独立して回転制御できるようになっている。各セグメントホイール16の外周面には、アンプル2を一つずつ受け入れる凹部16aが等間隔で複数(この実施例では8個)形成されている。また、セグメントホイール16が、前記インフィードスクリューを介して受け取ったアンプル2を搬送レーク6へ引き渡すまでの区間の外周側に、円弧状の固定ガイド18が配置されている。
【0016】
搬送レーク6は、前記供給ホイール4からアンプル2を受け取る受け取りゾーンA、後に説明する各処理を順次行う各ゾーン、処理を行ったアンプル2を排出ホイール12に引き渡す受け渡しゾーンGまでのすべてのゾーンA〜Gに亘る長さを有している。搬送レーク6は、上流端6aが受け取りゾーンAの最も上流側に位置し、下流端6bが受け渡しゾーンGの最も下流側に位置する状態(図1に示す位置)と、この位置から一つのゾーン分(アンプル8本分)だけ下流側(図1の右側)に移動した位置との間で往復動する。
【0017】
この搬送レーク6は、図2および図3に示すように、断面がコ字状をしており、その開放側の先端面(図2および図3の右端面)に、前記セグメントホイール16の外周面に形成されている凹部16aと同じピッチで多数の凹部6cが形成されている。搬送レーク6はこの凹部6c内に1本ずつアンプル2を収容し、向かい側に配置されている直線固定ガイド8との間にアンプル2を保持して間欠的に搬送する。搬送レーク6と直線固定ガイド8との間にアンプル2を保持した位置の下方側に支持レール20が配置されており、この支持レール20上が容器(アンプル2または後に説明するバイアル)の搬送経路22になっている。なお、この支持レール20は、図2および図3に示すように、ベースプレート23上に設置された支持台24上に取付部材26を介して固定されている。また、前記直線固定ガイド8も同じ支持台24上に、別の取付部材28を介して固定されている。
【0018】
搬送レーク6は、背面が複数の駆動アーム30に連結され、搬送方向(図1中の矢印H参照)への往復動および、前記直線固定ガイド8との間にアンプル2を保持して搬送する搬送経路22上の位置(前記レール20上に容器を保持した前進位置)と、この搬送経路22から後退した退避位置(図示しないが、図1の上方側へ後退する)との間で進退動できるようになっている。この実施例では、搬送レーク6は、上流側(図1の左方)で、かつ、図1の上方へ後退した位置から、搬送経路22上に向かって前進し(図1の下方へ移動)、次に搬送経路22上で、アンプル2を保持して往動(図1の右方向へ移動)する。この往動により8本のアンプル2を1ゾーン分の距離(アンプル8本分)だけ搬送する。アンプル2を8本分の距離だけ送った搬送レーク6は、搬送経路22から離れる方向へ後退する(図1の上方への移動)。その後、搬送経路22から離れた位置のまま復動する(図1の左側への移動)。この動作を繰り返し行うことにより、アンプル2を8本ずつ間欠的に下流側へ搬送する。なお、セグメントホイール16によりアンプル2の受け渡しを行う数、および搬送レーク6の1回の動作によりアンプル2を搬送する数は、8個に限るものではなく、その他の数でも良いことはいうまでもない。
【0019】
断面コ字状の搬送レーク6の内部にセンタリングガイド34が配置されている。このセンタリングガイド34は、アンプル2を搬送する区間全体に亘って配置されており、センタリングガイド移動用エアシリンダ36によって、搬送経路22上のアンプル2を直線固定ガイド8との間に保持してセンタリングを行う前進位置(図1に示す位置)と、アンプル2から離れた後退位置との間で進退動できるようになっている。後に説明するように、前記各ゾーンA〜Gにおいて薬液の充填や窒素ガス置換等の処理を行う際には、このセンタリングガイド34を前進させて直線固定ガイド8との間にアンプル2を保持してセンタリングをした状態で行い、搬送レーク6の往動によってアンプル2を下流側に送るときには、センタリングガイド34を後退させてアンプル2を解放する。
【0020】
この容器処理装置の下流端には、前記供給ホイール4と同様の構成を有する排出ホイール12と、前記円弧状固定ガイド18と同様の円弧状固定ガイド38が設けられている。排出ホイール12も外周部に8個の凹部40aが等間隔で形成された3枚のセグメントホイール40(他の2枚は図示を省略)を有している。これら各セグメントホイール40は独立して回転制御可能であり、このセグメントホイール40を前記搬送レーク6の往動と同期させて回転させることにより、搬送レーク6から各凹部40a内に処理済みの8本のアンプル2を受け取り排出コンベヤ14に引き渡す。
【0021】
図2は充填ゾーンCに設けられている充填装置42の縦断面図である。ベースプレート23を貫通して直立した支持筒44が固定されている。この支持筒44の上端内部に円筒状のガイド46が固定され、支持筒44内を貫通する充填ノズル昇降軸48が、この円筒状ガイド46によって昇降可能に支持されている。充填ノズル昇降軸48の下部側はねじ軸48aになっており、このねじ軸48aの下端寄りにナット50が螺合している。前記ベースプレート23の下面側にサーボモータ52が固定されている。このサーボモータ52の出力軸52aに固定したプーリ54と、前記ナット50の下面側に連結したプーリ56との間にタイミングベルト58が掛け回されており、サーボモーター52の駆動によりナット50を回転させることによって、前記ねじ軸48aが設けられた充填ノズル昇降軸48を昇降させることができる。
【0022】
充填ノズル昇降軸48の上端には、充填ノズル装着ブロック60が固定されている。充填ノズル装着ブロック60はL字状をしており、折り曲げられて前記搬送経路22と平行している部分60aに、充填ノズルユニット62が装着されている(図1では図示を省略している)。充填ノズルユニット62は、充填ノズル用プレート64と、この充填ノズル用プレート64に取り付けられた8本の充填ノズル66とから構成されている。これら8本の充填ノズル66は、前記搬送レーク6に形成されている凹部6cと同じピッチで、充填ノズル用プレート64に取り付けられている。なお、この実施例では、充填ノズル昇降軸48は充填ゾーンCの一つ上流側の中間ゾーンBに設置されており、L字状の充填ノズル装着ブロック60に充填ノズル用プレート64を介して固定された8本の充填ノズル66が、充填ゾーンC内に停止する8本のアンプル2の位置に一致している。これら各充填ノズル66は、それぞれ充填液供給チューブ68が接続され、図示しない充填液タンクから充填液が供給される。充填ノズル用プレート64に複数の充填ノズル66が取り付けられた充填ノズルユニット62は着脱可能になっており、後に説明するバイアルに充填を行うときには、このアンプル2用の充填ノズルユニット62を取り外して、バイアル用の充填ノズルユニットを取り付けるようになっている。
【0023】
前記充填ノズル昇降軸48の周囲の、充填ノズル装着ブロック60の下面側には、円筒状のカバー70が固定されている。この円筒状カバー70の下端部は、前記固定支持筒44の上端外周に嵌合しており、充填ノズル昇降軸48の昇降にともなって支持筒44の外周面を摺動する。円筒状カバー70の下端部の外周面と、支持筒44の下部寄りに形成された段部との間に蛇腹72が装着され、充填ノズル昇降軸48と円筒状ガイド46との摺動部、円筒状カバー70と支持筒44との摺動部を、薬液等の充填が行われる空間から隔離している。
【0024】
図3は、前記充填ゾーンCに続いて設置されている不活性ガス置換ゾーンDに設けられた不活性ガス置換装置74(後に説明するようにバイアル処理時には打栓装置になる)の縦断面図である。この不活性ガス置換ゾーンDには8本の置換ノズル76が配置されており、前記充填ノズル66を昇降させる構成と同様の構成によりこれら置換ノズル76が昇降される。ベースプレート23を貫通して直立した支持筒78が固定され、この支持筒78の上端内部に円筒状のガイド80が固定されており、支持筒78内を貫通するブロック昇降軸82(置換ノズル76または打栓ヘッドの昇降軸)が、この円筒状ガイド80によって昇降可能に支持されている。ブロック昇降軸82の下部側はねじ軸82aになっており、このねじ軸82aの下端寄りにナット84が螺合している。前記ベースプレート23の下面側にサーボモータ86が固定されている。このサーボモータ86の出力軸86aに固定したプーリ88と、前記ナット84の下面側に連結したプーリ90との間にタイミングベルト92が掛け回されており、サーボモーター86の駆動によりナット84を回転させることによって、前記ねじ軸82aが設けられたブロック昇降軸82を昇降させることができる。
【0025】
ブロック昇降軸82の上端には、L字状の取付ブロック94(置換ノズルまたは打栓ヘッドの装着アーム)が固定されている。L字状の取付ブロック94の、折り曲げられて前記搬送経路22と平行している部分94a(図4参照)に、前記不活性ガス置換ノズル76を備えた置換ノズルユニット96が固定されている。この置換ノズルユニット96は、ほぼ2つ分のゾーンと同じ長さを有する置換ノズル装着用プレート98と、この装着用プレート98にクランプ100を介して装着された8本の不活性ガス置換ノズル76とを備えている。これら8本の置換ノズル76は、前記搬送レーク6に形成されている凹部6aと同じピッチで取り付けられている。この実施例では、置換ノズル装着プレート98のブロック昇降軸82寄りの1/2の部分(図4の左半分)に置換ノズル76が取り付けられるようになっており、ブロック昇降軸82と同じ不活性ガス置換ゾーンDに配置されている。これら8本の置換ノズル76も、不活性ガス置換ゾーンD内に停止する8本のアンプル2の位置に一致している。これら各置換ノズル76は、それぞれ不活性ガス供給チューブ102が接続され、図示しない不活性ガス(この実施例では窒素ガス)供給源からフィルタ104を介して窒素ガスが供給される。サーボモータ86の駆動によりブロック昇降軸82を昇降させることによる置換ノズル76の昇降高さ、およびアンプル2内部での不活性ガス吹き出しを行う時間等は図示しない制御装置によって制御される。なお、不活性ガス供給チューブ102から不活性ガス供給源までが、請求項2に記載した不活性ガス供給手段を構成している。
【0026】
この実施例に係る容器処理装置は、アンプル2への薬液の充填、窒素ガス等の不活性ガス置換および加熱による熔閉等の工程を行うアンプル処理と、バイアル106への薬液の充填等の工程を行うバイアル処理とに兼用できるようになっており、図5は、この容器処理装置のバイアル処理時の状態を示す平面図である。バイアル処理時には、供給ホイール4Aに設けられているセグメントホイール(図示を省略)をバイアル106用のものに交換する。バイアル106はアンプル2よりも大径なので、この実施例では、一つのセグメントホイールが4個のバイアル106を保持する凹部を有している(供給ホイール4Aでは図示を省略しているが、排出ホイール12Aのセグメントホイール40Aと同様の構成になっている)。従って、供給ホイール4Aのセグメントホイールからバイアル106を受け取って搬送する搬送レーク6Aも、セグメントホイールの凹部と同じピッチで、アンプル2用よりも大きい凹部6Aaが形成されている。バイアル処理時には、搬送レーク6Aがアンプル処理時と同じ距離(一つのゾーン分の長さ)ずつ往復動するようになっており、1回の往動でバイアル106を4個分ずつ搬送し、各処理ゾーンに停止させる。なお、セグメントホイールによりバイアル106の受け渡しを行う数、および搬送レーク6Aの1回の動作によりバイアル106を搬送する数は、4個に限るものではなく、その他の数でも良いことはいうまでもない。
【0027】
前記搬送レーク6Aの内部に配置されて、移動用シリンダ36によって進退動されるセンタリングガイド34Aも、前記搬送レーク6Aに形成された凹部6Aaと同じピッチでセンタリング用の保持部34Aaが形成されている。なお、アンプル処理時とバイアル処理時とで交換する部材および異なる処理を行う処理ゾーンに関しては、図1に示すアンプル処理時の符号にAを付して区別している。また、その他の同一部材および同一の処理ゾーンには同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
前記アンプル2の処理時には、図1の最も上流側のゾーンが、この容器処理装置に供給されてきたアンプル2をセグメントホイール16によって受け取って搬送レーク6に引き渡す受け取りゾーンA、その次のゾーンが、充填ノズル昇降軸48が設置され、アンプル2に対する処理は行わない中間ゾーンB、続いての各ゾーンが、アンプル2内に薬液の充填を行う充填ゾーンC、アンプル2の液面上の空間に不活性ガス(窒素ガス)を吹き込む不活性ガス置換ゾーンD、アンプル2の先端部2aを予備加熱するための予熱ゾーンE、アンプル2の先端部2aを密封する熔閉ゾーンF、そして、各処理が済んだアンプル2を、排出ホイール12のセグメントホイール40が搬送レーク6から受け取って排出コンベヤ14に引き渡す受け渡しゾーンGになっている。この容器処理装置は、アンプル2の処理とバイアル106の処理に兼用できるようになっており、図5に示すバイアル処理時には、上流側から順に、受け取りゾーンA、中間ゾーンB、充填ゾーンCまでは共通である。そして、次のブロック昇降軸82が設置されているゾーンが、処理を行わない中間ゾーンDAであり、その次に、薬液充填後のバイアル106の口部を密封する打栓ゾーンEAが設けられている。打栓ゾーンEAに続いて、処理を行わない中間ゾーンFAを経て受け渡しゾーンGが設置されている。
【0029】
充填ゾーンCに設けられている充填装置42の、充填ノズル昇降軸48(図2参照)には、充填ノズル装着ブロック60を介してバイアル用の充填ノズルユニット(図示せず)が取り付けられている。この充填ノズルユニットに4本の充填ノズルが取り付けられている。アンプル2とバイアル106では充填ノズルの形状が異なっており、しかも、この実施例では、アンプル2は8本ずつ充填を行い、バイアル106は4本ずつの充填であるため、充填ノズルユニットをアンプル2の充填用のものからバイアル106の充填用に交換する。
【0030】
図6は打栓装置74Aの縦断面図であり、アンプル処理時に不活性ガス置換ノズル76(図3参照)が取り付けられていたブロック昇降軸82に、打栓ヘッド108を有する打栓ヘッドユニット110を取り付けた状態を示す図である。アンプル処理時には、不活性ガス置換ノズル76を備えた不活性ガス置換装置74として構成されていたものが、このバイアル処理時には、打栓ヘッド108を取り付けることにより打栓装置74Aとして使用される(アンプル処理時の不活性ガス置換装置74と駆動部の構成は共通である)。前述のようにブロック昇降軸82の上端にはL字状の取付ブロック94(置換ノズル76または打栓ヘッド108の装着アーム)が固定されており、このL字状の取付ブロック94に、前記不活性ガス置換ノズル76と打栓ヘッド108のいずれかを選択して取り付けることができる。そこでバイアル処理時には、アンプル処理時に取り付けられていた不活性ガス置換ノズル76を取り外して、バイアル106の口部を密封するゴム栓を装着する打栓ヘッド108を取り付けている。
【0031】
図7に示すように、L字状の取付ブロック94の装着用プレート取付部94bは、L字状に折り曲げられた部分94aの先端寄りに設けられており、不活性ガス置換ノズル76の装着用プレート98では、その取付部94bに取り付けた部分の上流側(図4の左側)に不活性ガス置換ノズル76が取り付けられていたが、打栓ヘッド装着用プレート112の場合には、L字状の取付ブロック94の先端部寄りに、この装着プレート112を介して打栓ヘッド108が取り付けられている。この実施例では、アンプル2は8本ずつ処理を行うが、バイアル106は4本ずつ処理を行うようになっており、前記打栓ヘッド用プレート112に4本の打栓ヘッド108が取り付けられる。
【0032】
打栓ゾーンEAの側部(図5の上方側)に、前記打栓ヘッド108にゴム栓114(図8参照)を供給するゴム栓供給機構116が設けられている。ゴム栓供給機構116は、ゴム栓114を送り出す4列のシュート118と、これらシュート118から送られてきたゴム栓114を受け取って前記打栓ヘッド108に供給するゴム栓供給アーム120を備えている。このゴム栓供給アーム120は、ゴム栓供給アーム駆動機構122によって、シュート118からゴム栓114を取り出す位置と打栓ヘッド108にゴム栓114を引き渡す位置との間でほぼ180度回転するとともに、シュート118側の位置で僅かに昇降できるようになっている。
【0033】
シュート118は、4本の打栓ヘッド108にゴム栓114を供給するために4列でゴム栓114を送り出す。これら4本のシュート118の間隔は、前記搬送レーク6Aによって搬送されるバイアル106の間隔に一致している。各シュート118は図示しない振動フィーダーによって振動を与えられてゴム栓114を搬送する。4列のシュート118の先端側に、4本のシュート118を横断してゴム栓受け取りプレート124が配置されている。ゴム栓受け取りプレート124には、各シュート118の出口に対応して、ゴム栓114が嵌入するポケット124aが形成されている。また、これら各ポケット124aの周囲を囲むようにして4箇所の穴124bが設けられている。これらの穴124bは、後に説明するゴム栓供給アーム120に設けられている4本の爪120aがそれぞれ干渉しないように形成されている。
【0034】
さらに、各シュート118の先端部に、図示しないシリンダによって昇降する2本のストッパピン118aが設けられている。シュート118から送られてくるゴム栓114は、通常はそのままシュート118の先端を通過して、前記ゴム栓受け取りプレート124のポケット124a内に嵌入するようになっており、前記ストッパピン118aは下降した位置で、通過するゴム栓114に干渉しないようになっている。例えば、前記搬送レーク6Aによって搬送されてくるバイアル106が抜けていて供給されない場合、いわゆる歯抜け状態の場合等に、前記ストッパピン118aを上昇させてシュート118の搬送面上に突出させることにより、ゴム栓114をシュート118の先端部に停止させ、受け取りプレート124上に送り出さないようにする。
【0035】
ゴム栓供給アーム120は、ゴム栓供給アーム駆動機構122の駆動軸122aに連結されたL字状のプレートであり、外面側(回転中心から遠い側)の前記4本のシュート118に対応する位置に、4箇所のゴム栓受け取り穴120bが形成されている。前記駆動軸122aは、図6に示すように、搬送レーク6Aによる容器搬送経路22と平行しており、この駆動軸122aに連結されたゴム栓供給アーム120は、容器搬送経路22側に回転したときには(図8に示す位置)、各ゴム栓受け取り穴120bが、搬送経路22上に停止している4本のバイアル106の上方に位置し、シュート118側に反転したときには、各ゴム栓受け取り穴120bが、ゴム栓受け取りプレート124の各ポケット124aの上方にそれぞれ位置する。
【0036】
ゴム栓供給アーム120は、ゴム栓受け取り穴120bの周囲4箇所にゴム栓保持爪120aが形成されている(図8(a)のIIX方向矢示図である図8(b)参照)。これらのゴム栓保持爪120aは、前記ゴム栓受け取りプレート124の各ポケット124aの周囲に形成されている4箇所の穴124bの位置に対応しており、ゴム栓供給アーム120がゴム栓受け取りプレート124のゴム栓114を受け取りに行く際に、ゴム栓保持爪120aがゴム栓受け取りプレート124に干渉しないようになっている。このゴム栓供給アーム120は、図8(a)に示す位置からシュート118側に反転し(図6のシュート118側に実線で示す位置参照)、その後、その位置で下降することにより(図6に想像線で示す位置参照)、ゴム栓受け取りプレート124のポケット124a内に嵌合している各ゴム栓114に、それぞれ4本の保持爪120aを係合させてゴム栓114を保持する。
【0037】
前記打栓ヘッド108が設けられた打栓装置74Aによって、搬送経路22上に停止したバイアル106に打栓を行う位置の側部(ゴム栓供給機構116が設けられた側と逆の側部)に、固定の不活性ガス噴射ノズル126が配置されている。前述のようにアンプル2に充填した薬液の液面上の空間を不活性ガス置換する場合には、置換ノズル76をアンプル2の内部に挿入しなければならないので、前記ブロック昇降軸82に取り付けて昇降できるようにしたが、バイアル106の場合には、開口が大きいので打栓をする位置で側方から斜め下方に向けて不活性ガス(この実施例では窒素ガス)を吹き付けることにより置換を行うようにしている。そのため、この打栓ゾーンEAのブロック昇降軸82に打栓ヘッド108を取り付けるとともに、打栓されるバイアル106の側部に固定の不活性ガス置換ノズル126を設置している。
【0038】
固定の不活性ガス噴射ノズル126は、前記搬送レーク6Aによって搬送されるバイアル106の向かい側を支持する直線固定ガイド8が取り付けられた取付部材28上に固定されている。打栓ゾーンEAにおいて同時に打栓される4本のバイアル106にそれぞれ不活性ガス噴射ノズル126が設けられており、これら4本の不活性ガス噴射ノズル126は、図9(a)、(b)に示すように、前記取付部材28上に固定されたブラケット128に取り付けられている通路部材130に設けられている。この通路部材130の前面側に、前記搬送レーク6Aによって搬送されるバイアル106のピッチと等間隔で4本の不活性ガス噴射ノズル126が取り付けられ、背面側に2本のガス供給口132が設けられており、これらガス供給口132に、前記不活性ガス供給手段の不活性ガス供給チューブ102が接続されている。通路部材130の内部には、1本のガス供給口132と2本の不活性ガス噴射ノズル126とを接続する2本の内部通路130aが形成されており、不活性ガス供給源(図示せず)から供給された不活性ガス(窒素ガス)が、フィルター104を通った後、不活性ガス供給チューブ102から各不活性ガス噴射ノズル126に供給される。
【0039】
以上の構成に係る容器処理装置の作動について説明する。先ず、アンプル2に薬液を充填する場合の作動について説明する。アンプル2に薬液の充填、不活性ガス置換、先端部2aの熔閉等の処理を行う場合には、図1に示すように、供給ホイール4に、外周部に等間隔で8箇所の凹部16aが形成されている3枚のセグメントホイール16を取り付ける。また、搬送レーク6およびセンタリングガイド34を、各ゾーン内に位置する部分の長さにそれぞれ8個の凹部6aが形成されているアンプル用のものを取り付ける。さらに充填装置42では、図2に示すように、充填ノズル装着ブロック60に、アンプル用の充填ノズルユニット62を取り付ける。また、不活性ガス置換装置74(バイアル処理時には打栓装置74A)の、ブロック昇降軸82(置換ノズルまたは打栓ヘッドの昇降軸)のL字状の取付ブロック94には、図3に示すように、アンプル用の不活性ガス置換ノズル76を備えた置換ノズルユニット96を固定し、各置換ノズル76に不活性ガス供給チューブ102を接続する。また、予熱ゾーンE(バイアル処理時には打栓ゾーンEA)に配置されているゴム栓供給機構116のゴム栓供給アーム120をゴム栓供給シュート118側に位置させてアンプル2の搬送の邪魔にならないようにしておく。なお、ゴム栓供給アーム120や供給アーム駆動機構122を脱着可能として、アンプル2を処理する際には取り外すことも可能である。
【0040】
前記状態にしてこの容器処理装置を運転する。上流側の供給コンベヤ1によって搬送されてきたアンプル2が、図示しないインフィードスクリューで所定の間隔にピッチ切りされつつ連続的に供給され、セグメントホイール16の各凹部16a内に順次受け渡されて保持される。これら各アンプル2は外側を円弧状固定ガイド18に案内されて回転搬送される。アンプル2は供給ホイール4に連続的に供給されており、一つのセグメントホイール16が8本のアンプル2を受け取った時点では、後続のセグメントホイール16が追従して回転移動してきており、続けて次に供給されるアンプル2を受け取る。
【0041】
8本のアンプル2を保持した前記セグメントホイール16は、復動(図1の左側に移動)し前進(図1の下方側へ移動)している搬送レーク6の往動(図1の右方向へ移動してアンプル2を搬送する)と同期して回転し、保持していたアンプル2を搬送レーク6の各凹部6aに引き渡す。搬送レーク6に引き渡されたアンプル2は、搬送レーク6とその向かい側に配置されている直線固定ガイド8の間に保持されて搬送される。容器(アンプル2またはバイアル106)の搬送経路22には、レール20が設置されており、アンプル2はこのレール20上を滑って前進する。また、搬送レーク6が往動してアンプル2を搬送する際には、センタリングガイド34は移動用シリンダ36によって後退している。
【0042】
搬送レーク6は間欠的に往動するようになっており、前記セグメントホイール16から受け取ったアンプル2を、受け取りゾーンAの下流部に一旦停止させる。搬送レーク6は、停止した後、搬送経路22上から後退してアンプル2を離し、後退位置で復動する。再び、前進、往動して、アンプル2を8本ずつ受け取って1ゾーン分だけ前進させる。この動作を繰り返してアンプル2を搬送する。
【0043】
搬送レーク6によって8本のアンプル2が1ゾーンずつ搬送されて、充填ゾーンCに到達すると、センタリングガイド駆動用シリンダ36の作動によってセンタリングガイド34が前進し、搬送経路22上のアンプル2を直線固定ガイド8との間に挟んでセンタリングを行う。図2に示すように、充填ゾーンCでセンタリングされた8本のアンプル2上には、各アンプル2に対応して8本の充填ノズル66が位置しており、サーボモータ52の駆動によってナット50が回転し、ねじ軸48aが形成されている充填ノズル昇降軸48が下降する。充填ノズル昇降軸48の下降によって充填ノズル装着ブロック60に固定された充填ノズルユニット62が下降し、充填ノズル66の先端がアンプル2の先端部2a内に挿入され、充填液供給チューブ68を介して図示しない充填液タンクから送られた充填液が充填ノズル66に供給されてアンプル2内への充填が行われる。充填が行われている間に、搬送レーク6は、後退、復動、前進の動作を行って次の8本のアンプル2を保持するとともに、充填ゾーンCで充填が終了した、または終了直前のアンプル2を保持する。そして、充填ゾーンCのアンプル2の充填が終了し、充填ノズル昇降軸48を上昇させて充填ノズル66をアンプル2内から抜き出した後、搬送レーク6が往動して、保持しているアンプル2を1ゾーン分前進させる。搬送レーク6が往動してアンプル2を搬送する際には、センタリングガイド34はセンタリングガイド移動用シリンダ36によって後退している。
【0044】
充填ゾーンCにおいて充填が終了した8本のアンプル2は、次に、不活性ガス置換ゾーンDに停止する。センタリングガイド34が前進してこれら8本のアンプル2がセンタリングされるとともに、搬送レーク6が後退して次の8本のアンプル2の搬送に向かう。なお、センタリングガイド34は、この容器処理装置のほぼ全長に亘って設けられており、前進してセンタリングを行う際には、各ゾーンに停止しているアンプル2をすべて位置決めする。
【0045】
不活性ガス置換装置74が設けられた不活性ガス置換ゾーンDでは、停止してセンタリングされた8本のアンプル2の上方に、それぞれ対応して8本の不活性ガス置換ノズル76が配置されており、サーボモータ86の駆動によってブロック昇降軸82を下降させることにより不活性ガス置換ノズル76を下降させて、不活性ガス置換ノズル76をアンプル2内に挿入する。図示しない不活性ガス供給源から供給された不活性ガス(この実施例では窒素ガス)が、フィルタ104、不活性ガス供給チューブ102を介して不活性ガス置換ノズル76に送られて、アンプル2内に充填された薬液の上方の空間内に吹き込まれる。不活性ガスが吹き込まれてアンプル2のヘッドスペースのエアが不活性ガスに置換される。この実施例の装置では、不活性ガス置換ノズル76が充填ノズル66とは完全に切り離されて別の駆動により作動するようになっており、充填ノズル66の作動時間に影響されず必要な時間不活性ガスの吹き込みを行うことができ、高置換率を達成することができる。
【0046】
不活性ガス置換が終了すると、アンプル2は再び搬送レーク6によって搬送され、次の予熱ゾーンEに停止する。この予熱ゾーンEには図示しないヒータ等の加熱手段が設けられており、アンプル2の先端部2aが予備加熱される。さらに、これらのアンプル2は、次の熔閉ゾーンFに送られて停止する。この熔閉ゾーンFでは、アンプル2の先端部2aが加熱溶融され、閉鎖される。
【0047】
薬液の充填、不活性ガス置換および熔閉が行われてこの容器処理装置での処理が終了したアンプル2は、次の搬送レーク6の往動によって受け渡しゾーンGに送られる。そして、その次の搬送レーク6の往動により、8本のアンプル2は、この搬送レーク6と同期して回転する排出ホイール12のセグメントホイール40に形成されている8個の凹部40aに順次引き渡される。セグメントホイール40に保持された8本のアンプル2は、セグメントホイール40とその外周に配置された円弧状の固定ガイド38に保持されて回転搬送され、排出コンベヤ14に引き渡されて次の工程に送られる。
【0048】
この容器処理装置での処理サイクルの一例について説明すると、例えば、1サイクルの処理が1.6secとし、搬送レーク6の往動によるアンプル2の移動時間が0.6sec、各ゾーンB〜Gでの停止時間が1.0secとする。充填ノズル66および置換ノズル76の上昇、および下降に0.2secかかる。置換ノズル76は0.2secかけて所定の高さまで下降してアンプル2内に挿入され、その高さを0.6sec維持し、その後、0.2secかけて上昇する。置換ノズル76は不活性ガスを吹き続けており、前記時間の間にアンプル2内のガス置換を行う。置換ノズル76のアンプル2内への挿入時間、あるいは挿入高さは図示しない制御装置によって制御されており、必要なガス置換率を確実に達成することができる。
【0049】
前記容器処理装置でバイアル106に薬液等の充填を行う場合には、供給ホイールおよび排出ホイールに取り付けられているセグメントホイールを、アンプル2用のもの(図1に示すように、供給ホイール4とセグメントホイール16および排出ホイール12とセグメントホイール40からなる)からバイアル106用のもの(供給ホイール4A、排出ホイール12A、セグメントホイール40A)に交換する。この実施例では、バイアル106は1回の動作で4本ずつ搬送されるようになっており、搬送レークを、図1に示すアンプル2用のもの6から図5に示すバイアル106用のもの6Aに交換する。また、センタリングガイドも搬送レーク6Aと同じピッチで凹部34Aaが形成されたバイアル用のもの34Aに交換する。充填装置42でも、アンプル用の充填ノズルユニット62をバイアル用の充填ノズルユニット(図示せず)に交換する。
【0050】
さらに、図3および図4に示すように、ブロック昇降軸82(不活性ガス置換ノズルと打栓ヘッドの昇降軸)の上端に固定された取付ブロック94に取り付けられていたアンプル用の不活性ガス置換ユニット96を取り外して、図6および図7に示すように、打栓ヘッドユニット110を取り付ける。また、アンプル用の不活性ガス置換ノズル76に接続されていた不活性ガス供給チューブ102を、固定の不活性ガス噴射ノズル126に接続する。
【0051】
以上の状態で運転を開始する。上流側の供給コンベヤ1によって搬送されてくるバイアル106は、図示しないインフィードスクリューで所定の間隔にピッチ切りされて連続的に供給され、供給ホイール4Aのセグメントホイール(図示せず)に引き渡される。バイアル106を受け取ったセグメントホイールと搬送レーク6Aとが同期して移動し、セグメントホイールから搬送レーク6Aの凹部6Aaに引き渡される。前述のアンプル処理時と同様に搬送レーク6Aが間欠的に往動して、バイアル106を4本ずつ間欠的に搬送する。
【0052】
充填ゾーンCに停止した4本のバイアル106は、センタリングガイド駆動シリンダ36の作動によって前進したセンタリングガイド34Aによって位置決めされた状態で、充填ノズル(図示せず)から薬液が充填された後、再度搬送レーク6Aによって搬送されて次の打栓ゾーンEAに送られる。
【0053】
打栓ゾーンEAには、ブロック昇降軸82によって昇降される打栓ヘッド108が配置されるとともに、この打栓ヘッド108にゴム栓114を供給するゴム栓供給機構116が配置されている。4本のシュート118では、図示しない振動フィーダーによって振動が与えられてゴム栓114が連続的に搬送されており、先頭のゴム栓114が、ジュート118の前方に配置されているゴム栓受け取りプレート124のポケット124a内に嵌入して停止する。
【0054】
シュート118から供給されたゴム栓114を前記打栓ヘッド108に受け渡すゴム栓供給アーム120は、ゴム栓供給アーム駆動機構122によって、シュート118からゴム栓114を取り出す位置と打栓ヘッド108にゴム栓114を引き渡す位置との間で往復回転するようになっており、図8(a)に示す位置から、駆動軸122aを中心に180度回転してシュート118側へ移動する。ゴム栓供給アーム120に形成された4個のゴム栓受け取り穴120bがゴム栓受け取りプレート124のポケット124a内に収容されている各ゴム栓114の上方に位置する。その後、このゴム栓供給アーム120を下降させる。ゴム栓供給アーム120が下降すると、ゴム栓供給アーム120の各ゴム栓受け取り穴120bの周囲に設けられている4本のゴム栓保持爪120aがゴム栓114の周囲4箇所に係合してこのゴム栓114を保持する。なお、ゴム栓受け取りプレート124のポケット124aの周囲の4箇所の穴124bは、ゴム栓供給アーム120が下降してゴム栓114を保持する際にゴム栓保持爪120aがゴム栓受け取りプレート124に干渉しないように設けられている。
【0055】
ゴム栓供給アーム120が4個のゴム栓114を保持すると、ゴム栓供給アーム駆動機構122の駆動によってやや上昇した後、打栓位置に停止しているバイアル106の方向へ回転する。ゴム栓供給アーム120がバイアル106の上方に停止すると、サーボモータ86の駆動によってブロック昇降軸82が下降し、4本の打栓ヘッド108がゴム栓供給アーム120に保持されている4個のゴム栓114を、各バイアル106の口部内に打ち込む。ゴム栓114が打ち込まれる各バイアル106の側部には、それぞれ固定の不活性ガス噴射ノズル126が配置されており、不活性ガス供給チューブ102から送られてきた不活性ガス(窒素ガス)を常時噴射している。不活性ガス噴射ノズル126はやや斜め下方を向いており、このノズル126から噴射された不活性ガスは、バイアル106の口部内に吹き込まれて、薬液充填後のバイアル106のヘッドスペースを不活性ガスに置換しており、この状態で打栓ヘッド108の下降によりバイアル106の口部にゴム栓114が打ち込まれる。打栓ヘッド108の下降によりバイアル106にゴム栓114を打ち込んだ後、ゴム栓供給アーム120がシュート118側に反転し、続いて打栓ヘッド108が上昇する。なお、ゴム栓供給アーム120の各ゴム栓受け取り穴120bには外方へ向けた切り欠きが形成されており、打栓ヘッド108がゴム栓114に当接した状態のまま、この打栓ヘッド108に干渉せずにゴム栓供給アーム120が反転することが可能である。
【0056】
打栓ゾーンEAに停止した4本のバイアル106にゴム栓114が打ち込まれると、センタリングガイド34Aが後退するとともに、搬送レーク6Aによってこれら4本のバイアル106は次の中間ゾーンFAに送られる。さらに、搬送レーク6Aの次の動作によって受け渡しゾーンGに送られ、その後、排出ホイール12Aのセグメントホイール40Aに引き渡されてこの容器処理装置から排出される。なお、この実施例では、アンプル2は8本ずつ、バイアル106は4本ずつ間欠的に搬送し、処理を行うようにしているが、一度に搬送、処理される容器の本数は、前記数に限定されるものではなく、その他の数であっても良い。また、この実施例では窒素ガスを容器内に噴射して置換を行うようにしているが、窒素ガスに限定されるものではなく、その他の不活性ガスによる置換を行うようにしても良い。
【0057】
この実施例に係る容器処理装置では、アンプル2の処理時には、不活性ガス置換ノズル76を充填ノズル66と独立した別の駆動によって動作させるようにしたので、それぞれが最適な動作を行えるようにすることができ、アンプル2の不活性ガス置換を効率的に行うことができる。また、置換ノズル76と打栓ヘッド108を選択して同じ取付ブロック94に取付られるようにしたので、置換ノズル76と打栓ヘッド108を同じ駆動手段で昇降させることができ、アンプル2とバイアル106との兼用機の構成全体をコンパクトにし、低コストにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】容器処理装置のアンプル処理時の構成を示す平面図である。(実施例1)
【図2】前記容器処理装置に設けられた充填装置の縦断面図である。
【図3】前記容器処理装置に設けられたアンプル用置換ノズルとバイアル用の打栓ヘッドを選択して装着可能な装置の構成を示す縦断面図であり、置換ノズルを装着した状態を示す。
【図4】取付ブロックへの置換ノズルの取り付け位置を示す平面図である。
【図5】容器処理装置のバイアル処理時の構成を示す平面図である。
【図6】図3の装置に打栓ヘッドを取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図7】取付ブロックへの打栓ノズルの取り付け位置を示す平面図である。
【図8】(a)図はゴム栓供給機構を示す平面図であり、(b)図はゴム栓供給アームの正面図であり、(a)図のIIX方向矢視図である。
【図9】(a)図は固定の不活性ガス噴射ノズルの平面図、(b)図はその背面図である。
【符号の説明】
【0059】
2 容器(アンプル)
6 搬送手段(搬送レーク)
22 容器搬送経路
52 充填ノズル昇降手段(サーボモータ)
66 充填ノズル
76 置換ノズル
86 ブロック昇降手段(サーボモータ)
94 取付ブロック
106 容器(バイアル)
108 打栓ヘッド
114 ゴム栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を搬送する搬送手段と、容器に液体を充填する充填ノズルと、この充填ノズルを昇降させる充填ノズル昇降手段と、前記充填ノズルよりも下流側に配置された取付ブロックと、この取付ブロックを昇降させるブロック昇降手段と、ブロック昇降手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記取付ブロックに、不活性ガスを噴射する置換ノズルとゴム栓を打栓する打栓ヘッドとを選択的に取付可能とし、
アンプルを処理する場合には、前記取付ブロックに置換ノズルを取り付けて、充填ノズルによる充填が終了したアンプル内に置換ノズルを挿入して不活性ガスを噴射し、バイアルを処理する場合には、前記取付ブロックに打栓ヘッドを取り付けて、充填が終了したバイアルにゴム栓を打栓することにより、アンプルとバイアルとに兼用することを可能にした容器処理装置。
【請求項2】
不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、処理されるバイアルの斜め上方位置に配置され、バイアル内に不活性ガスを噴射する固定噴射ノズルとを設け、
前記不活性ガス供給手段を、前記取付ブロックに取り付けた置換ノズルと前記固定置換ノズルとに選択的に接続可能にしたことを特徴とする請求項1に記載の容器処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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