説明

容器用口栓

【課題】キャップを開いた時に、一度の動作で閉鎖板も開封でき、それによって、バージン性が保持する事。キャップが完全に開かずに開封することで、内容物の液が跳ねる問題が抑えられるようにする事。スパウトリングを引かないで開封し、小口径用の小さなスパウトリングでも問題が発生しないようにする事。
【解決手段】円筒形状の注出口と融着する周縁部とを設けた口元と、固定部と天面部とからなり口元の注出口の他端に嵌合するキャップと、からなる容器用口栓であって、口元は、円筒形状の注出口の下部に注出口と薄肉脆弱線で繋がり、注出用口閉鎖部と、注出用口閉鎖面に垂直方向に連設された柱と、で設けられ、キャップは天面部に柱と係合する機構を有し、キャップを開口すると、薄肉脆弱線が破断され、注出用口閉鎖部が開口する構造であることを特徴とした容器用口栓。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュース、牛乳、酒、お茶、豆乳、てんぷら油などの液体や、砂糖、でんぷん、コーヒー粉末、茶葉などが入れられる容器等に使用される容器用口栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や非食品の液体内容物に使用される液体紙容器には、使用時の使い易さを考慮して、例えば、図11に示すように、容器本体3の胴部32が四角筒状で、切り妻屋根形の頂部の傾斜板31にキャップ1とスパウト2とからなる口栓を突設した液体紙容器が、広い用途範囲にわたって使用されていた。この口栓は、容器の口栓取付孔から突出するスパウトの注出筒にキャップを螺着したものであるが、通常では、流通時の密封性の完全さやバージン性の確保、または、使用時の易開封性を兼ね備えるために、例えば図12に示すように、スパウト2の注出筒内側の下方内面に注出用口閉鎖部4を設けて封止し、使用時に開口するため、この封鎖板の下面の所定位置に垂直断面逆V字状の環状切込み45を設けて、上面の開口予定位置に環状薄肉脆弱線43を形成し、この環状薄肉脆弱線の内側近傍の上面の所定の一側に、先端にスパウトリング44をもつ支柱を立設したものであり、容器を開封するために口栓を開口するときには、キャップ1を取り外し、スパウト2の注出筒の内側に収容されているスパウトリング44に指先を掛けて上方へ引っ張って、注出用口閉鎖部4の環状薄肉脆弱線43を引き裂いて開口していた。なお、開口したスパウトは、注出用口閉鎖部4を廃棄したのちに、キャップを注出筒に螺合して装着して再封止していた。
【0003】
しかし、このようなスパウトは、開封時にスクリューキャップを外し、スパウトリングを引張り、環状薄肉脆弱線を切って開封するものであり、キャップを回す、スパウトリングを引くの、二つの動作が必要であった。又、キャップを開栓してからスパウトリングを引くので、内容物の液が跳ねる問題があった。
【0004】
上記問題に対し、特許文献1では、キャップ基部体と、前記キャップ基部体の開口を塞ぐ中蓋と、外蓋とを具備してなり、キャップ基部体と中蓋とは、キャップ基部体の開口部内縁と中蓋の外周縁との間に設けられた薄肉部を介して一体的に構成されており、前記キャップ基部体と外蓋とは、その外周部と内周部とに形成された螺子溝構造により脱着できるように構成されており、前記外蓋と中蓋とは、外蓋を螺子溝に沿って回動して前記キャップ基部体にねじ込むにつれて、中蓋は、その外周壁部がキャップ基部体の開口部内壁に案内されてキャップ基部体の開口部内に押し込まれ、この押し込みによって前記薄肉部が切断されるように構成されると共に、前記薄肉部の切断後にあっては、外蓋と中蓋とが封止する封止構造が形成されてなるものである。
この方法は、閉鎖時に、キャップ基部体の開口部内縁と中蓋の外周縁との間に設けられた薄肉部が場合によるとねじ込み際、薄肉部もしくはその破片等が、キャップ基部体の開口部内縁と中蓋の外周縁の間にはさまったり、それが異物として、内容物に入り込む恐れがある。又、開封は非常に力が要り、容易に中蓋を開けにくい問題も発生する。この閉鎖時と開口時の状態は、個別管理が確実に行いがたく、品質管理しにくいものであり、多くのトラブルが発生しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2975670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャップ1を開いた時に、閉鎖板4のハーフカットを切って開封し、一度の動作で開封でき、それによって、バージン性が保持することが本発明の第1の課題である。
そして、キャップが完全に開かない状態で、開封することで、内容物の液が跳ねる問題が最小限に抑えられるようにすることが本発明の第2の課題である。
スパウトリングを引かないで開封し、小口径の小さなスパウトリングの時でも、引っ張る為の指を入れ難い問題も発生しないようにする事が本発明の第3の課題である。
次に、外装のシュリンクフィルムなどを使用せずに、改ざん防止が出来、改ざん防止が必要な場合には、ピールバンドを付与できる事が本発明の第4の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る口栓は、円筒形状の注出口とその一端に容器本体の注出用口の周囲に溶着する周縁部とを設けた口元と、固定部とヒンジで繋がった天面部とからなり口元の注出口の他端に嵌合するキャップと、からなる容器用口栓であって、口元は、円筒形状の注出口の下部に注出口と薄肉脆弱線で繋がり、容器本体の注出口開口部を閉鎖する注出用口閉鎖部と、注出用口閉鎖部の閉鎖面にほぼ垂直方向に連設された柱と、で設けられ、キャップは天面部に柱と係合する機構を有し、キャップを開口すると、薄肉脆弱線が破断され、注出用口閉鎖部が開口する構造であることを特徴とした容器用口栓である。
【0008】
また、請求項2に係る口栓は、キャップの内側に、注出口と嵌合するインナーリングを設けたことを特徴とする容器用口栓である。
【0009】
さらに請求項3に係る口栓は、注出用口閉鎖部の柱とキャップの天面部とが係合する機構が、柱の先端をT字形とし、天面部の係合部として上記T字形の両側より引っ掛けるJ字形のフックを設けたことを特徴とした容器用口栓である。
【0010】
次に請求項4に係る口栓は、注出用口閉鎖部の柱とキャップ天面部とが係合する機構が、柱の先端をほぞ形状とし、天面部の係合部として上記ほぞ形状に嵌合する蟻溝形状のフックを設けたことを特徴とした容器用口栓である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の口元を使用するとキャップ1を開いた時に、閉鎖板4のハーフカットを切って開封し、一度の動作で開封でき、それによって、バージン性が保持することができる。
そして、キャップが完全に開かない状態で、開封することで、内容物の液が跳ねる問題が最小限に抑えられるようにすることができる。
また、スパウトリングを引かないで開封できるので、小径の場合の小さなスパウトリングの時でも、引っ張る為の指を入れ難い問題も発生しないで開封できる。
さらに、外装のシュリンクフィルムなどを使用せずに、改ざん防止が出来、改ざん防止が必要な場合には、ピールバンドを付与できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の口栓を使用した全体図で、本発明の口栓キャップ1と口元2と、内面ポリエチレン被覆した基材で構成された本体3で構成されている。
【図2】図1の口栓近傍を側面から見た図である。キャップ1は、キャップ固定部11とキャップ天面12と、それらをつなぐヒンジ6と、逆にそれらの間にあって開封する時に薄肉部51、52を破断して、バージン性を担保する封緘バンド5からなっている。この封緘バンドは、バージン性を特に必要としない場合は、無くてもかまわない。
【図3】本発明による第1の実施形態である口栓の断面図で、キャップ1のヒンジ6側から離れた方向に、口元2の注出用口閉鎖部4の柱41が設けられ、口元2とキャップ1が注出用口閉鎖部の柱41の先端部にある嵌合部42とキャップ内爪14によって嵌合している状態を示している。
【図4】本発明による第1の実施形態である口栓の断面図で、口元2からキャップ1が開いて、注出用口閉鎖部4の柱41が引き上げられ、それに付随して、上記注出用口閉鎖部の薄肉脆弱線43が破断し、注出用口閉鎖部4も開口している状態を示している。
【図5】本発明による第2の実施形態である口栓の断面図で、キャップ1のヒンジ6側に、口元2の注出用口閉鎖部4の柱41が設けられ、口元2とキャップ1が注出用口閉鎖部の柱41の先端部にある嵌合部42とキャップ内爪14によって嵌合している状態を示している。
【図6】本発明による第2の実施形態である口栓の断面図で、口元2からキャップ1が開いて、注出用口閉鎖部4の柱41が引き上げられ、それに付随して、上記注出用口閉鎖部の薄肉脆弱線43が破断し、注出用口閉鎖部4も開口している状態を示している。
【図7】本発明による第3の実施形態である口栓の断面図で、第1の実施形態である口栓のキャップ内爪14がインナーリングと一体になっている例である。
【図8】本発明による第4の実施形態である口栓の断面図で、第2の実施形態である口栓のキャップ内爪14がインナーリングと一体になっている例である。
【図9】本発明による口栓の口元2の注出用口閉鎖部4の柱41先端の嵌合部42形状がTの字形状嵌合部421であり、キャップ1内部の爪14が上記Tの字に合わせたJ字形のフック141である例である。
【図10】本発明による口栓の口元2の注出用口閉鎖部4の柱41先端の嵌合部42形状がホゾ形状嵌合部422であり、キャップ1内部の爪14が上記ホゾ形状に合わせた蟻溝形状を有するフック142である例である。
【図11】従来のネジ式キャップとスパウトにスパウトリングを使用した容器の外観図である。
【図12】従来のネジ式キャップとスパウトにスパウトリングを使用した容器の口部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の口栓について、図面を用いて説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の口栓は、液体紙容器の上部平坦部に設けるもので、口栓自体はポリオレフィン樹脂などのプラスチックで成形し、液体紙容器に開けた孔の周囲と融着させ、固定したものである。
本発明は、紙をベースにした容器が主に使われるが、その場合、紙の内面又は内・外面にポリエチレンなどの融着可能なプラスチック樹脂層を設けたシートを使用した容器を用いる。もちろん、酸素などに対するガスバリア性や、水分の透過を抑える為に、アルミニウムなどの金属層や酸化珪素などのガラス薄膜などを含有した多層構成であってもかまわないし、紙を使用しないで、プラスチックシートをベースにしてもかまわない。
口栓は、口元2とキャップ1で構成され、口元2は容器本体3と融着し、キャップ1は口元2と嵌合している。
【0015】
基本的に口元2は低密度ポリエチレンのように、容器本体3の最内層又は最外層に融着させる熱融着性のある材質にする。容器本体3の融着する層の材質と同じ種類で、分子量をアップし、耐ストレスクラッキング性の優れたものが好ましい。例えば直鎖状低密度ポリエチレンがあるが、中密度ポリエチレンなどや汎用の低密度ポリエチレンや、高密度ポリエチレンでもかまわない。
キャップ1の材質は、ポリプロピレンのように、成形で結晶性の分子が並びやすい材料が好ましい。ポリエチレンで変性したポリプロピレンのブロック型が好ましいが、ランダム型
のポリプロピレンでもかまわない。以上のようにキャップの材質は、基本的には口元2と異なった材質を選択する。
【0016】
図2は、図1の口栓を側面から見た図で、図3は、口栓の断面図である。口元2と嵌合しているキャップ1は、キャップ固定部11とキャップ天面12と、それらをつなぐヒンジ6と、逆にそれらの間にあって開封する時に薄肉部51、52を破断して、バージン性を担保する封緘バンド5からなっている。
キャップ固定部11は、内面に口元の外周にある嵌合リブ24と嵌合するリブ16を有していて、キャップを開けた時に、口元にキャップを固定し、脱落するのを防止する役目を負っている。
【0017】
キャップ天面12は、口元2の注出口21内面に外接するインナーリング13と、注出口21上部の先端面に接するコンタクトリング15、キャップを閉める時に口元と嵌合する嵌合突起17と、キャップを開ける時に口元から嵌合部を外す為にキャップを持ち上げる鍔18を有する。インナーリング13とコンタクトリング15は、それぞれ口元と一定の圧力をかけて嵌合し、内容液が漏れ出ることを防止する。
【0018】
ヒンジ6は、キャップの固定部11とキャップ天面12を数ミリメートルの幅でつなぎ、一箇所薄肉になっている場所を支点に回転可能なヒンジである。主にポリプロピレン樹脂でキャップを成形する時にも、キャップ天面側にゲートを設け、一定の方向から樹脂を流すことで、分子の向きを成形時にも揃いやすくする。本発明の液体紙容器用の口栓において、このヒンジが注出用口閉鎖部を開封するテコの支点にもなる。
【0019】
封緘バンド5は、未開封時に、キャップ固定部11とキャップ天面12とを、薄肉部51、52でつないで、固定している。従って、この封緘バンド5が切らずにある場合は、この容器は未開封であり、バージン性を担保する役目を負っている。尚、外観でバージン性確認の必要が無い場合や、外装するシュリンクフィルムが施してあるなど他のバージン性確認手段がある場合等は、前記封緘バンド5は設けなくてもよい。
【0020】
キャップ1のヒンジ6側から離れた方向に、口元2の注出用口閉鎖部4の柱41が設けられている。
この口元は、融着片23と容器本体3とを融着させる為、熱融着可能なポリエチレンなどで製造する。また、口元2と注出用口閉鎖部4は一体で成形される。この口元2と注出用口閉鎖部4は薄肉脆弱線43でつながっている。薄肉脆弱線43は薄肉であるが、内容物の液体が漏れ出ないように、密封性が求められる。そこで、樹脂流れでピンホールが出来ない様にゲートは注出用口閉鎖部4の中に設ける必要がある。
【0021】
図3における第1の実施形態では、注出用口閉鎖部4の中にあり、キャップ天面12に設けたキャップ内爪14と嵌合する柱41先端の嵌合部42は、T字型をしている。この嵌合部42は、アンダーカットになっているので、この部分は2つの駒にして、多段で金型から抜く金型にし、金型から抜けやすく製品の形状も調整する。
【0022】
口元2は、容器本体3の内面と、融着片23の外面側が溶融して融着している。容器本体3の内面と口元2は同じ材質が好ましいが、容器本体3の内面側熱融着樹脂層は50μm以上、できれば100μm程度あると、容器の落下に対する強度を保てる。口元2の融着片23の厚みは400μm以上、好ましくは600μmから1200μm程度がよい。
【0023】
キャップ天面12は、口元2の注出口21内面に外接するインナーリング13と、注出口21の先端面に接するコンタクトリング15、注出用口閉鎖部4と嵌合するキャップ内爪14、キャップを閉める時に口元と嵌合する嵌合突起17と、キャップを開ける時に口
元から嵌合部を外す為にキャップを持ち上げる鍔18を有する。インナーリング13とコンタクトリング15は、それぞれ口元と一定の圧力をかけて嵌合し、内容液が漏れ出ることを防止する。
【0024】
キャップ内爪14の向きは、図3のように外側向きが好ましいが、金型製作上、やむをえない場合は、内側向きでもかまわない。内側向きであると、注出用口閉鎖部4が開口し始めるきっかけはしやすいが、開口途中で外れやすい問題がある。但し、この向きは嵌合シロの大きさや爪の強度、柔らかさにも関係する。
図3の状態から、封緘バンド5を外し、キャップ天面12の鍔18を引き上げることで、注出用口閉鎖部4は開口するが、開口開始時状態では、インナーリング13などで口元の先端が開放しない状態で、開口できるので、内容物の漏れなどが起きにくい。
なお、インナーリング13とキャップ内爪14が独立して図示しているが、液漏れに問題ない程度に嵌合調整でれば、一体にしてもかまわない。
【0025】
図4は、図3の封緘バンド5を外し、キャップ天面12を開くことで、キャップ内爪14と嵌合している注出用口閉鎖部4の嵌合部42が、引っ張られ、その根元の柱41近傍の薄肉脆弱線43から破断して開口した状態である。
開口に際して除去した注出用口閉鎖部4は、手で取り外すなどして使用する。
【0026】
図5は、本発明による第2の実施形態である口栓の断面図で、図3とは違って、キャップ1のヒンジ9側に、口元2の注出用口閉鎖部4の柱41が設けられたものである。
キャップ内爪14の向きは、内側を向いている点も、第1の実施形態と違っている。
この第2の実施形態は、第1の実施形態に比べ、小さな力で注出用口閉鎖部4周囲の薄肉脆弱線43が破断して、開口する特徴がある。金型上では、キャップ内爪14の外側の部品の肉が付けにくいので、駒を分けて独立させ、倒れピン方式で突き出し後、アンダーカットを逃がすか、キャビティとコアを逆にして、多段突き出しするなどの対応をとる。
【0027】
図6は、図5の封緘バンド5を外し、キャップ天面12を開くことで、キャップ内爪14と嵌合している注出用口閉鎖部4の嵌合部42が、引っ張られ、その根元の柱41近傍の薄肉脆弱線43から破断して開口した状態である。
開口に際して除去した注出用口閉鎖部4は、手で取り外すなどして使用する。
【0028】
図7には、第1の実施例におけるインナーリング13とキャップ内爪14が一体化した第3の例を示した。この方法の場合、爪の強度を出そうとして厚く出来ない事、爪が逃げやすいので、リブを使用するなどして、爪の逃げ防止と、強度を出す。
【0029】
図8には、第2の実施例におけるインナーリング13とキャップ内爪14が一体化した第4の例を示した。この方法の場合も、爪の強度を出そうとして厚く出来ないので、リブを使用して、強度を出すなどの対策をとる。
【0030】
図9は、キャップ内爪141と注出用口閉鎖部4の嵌合部421の形状の一例で、嵌合部421がT字形をしており、キャップ内爪141はJ字形をしている。J字の爪は二つ設け、嵌合部421を引っ張って薄肉脆弱線43を破断させる。
第1の実施例は上記嵌合になるが、第2の実施例の場合は、キャップ内爪141の向きが内側になり、嵌合部421の位置が180度回転する。
【0031】
図10は、キャップ内爪142と注出用口閉鎖部4の嵌合部422の形状の別の例で、嵌合部422がホゾ形状をしており、キャップ内爪142は蟻溝形状をしている。キャップを閉めて嵌合する時は無理嵌合となるので、キャップ内爪142の先端にはRを設けて、嵌合しやすくする。
このキャップ内爪14の形状や嵌合部42の形状は、上記T字形とJ字形の組み合わせや、ほぞ形状、蟻溝形状の組み合わせに限ることは無く、単純に輪と嵌合楔の組み合わせや、楔同士の組み合わせなどでも可能である。
【0032】
本発明の口栓を使用すると、バージン性を示す封緘バンドを引き抜いて、単にキャップを開くだけで、注出口閉鎖部を開口し、内容物を注出できる。従来の口元に融着したフィルムを融着した容器に比べ、口元が融着・剥離での荒れが無いので、内容物の液止め効果を確実に発揮できて漏れが無く、狭い場所に融着した融着フィルムを剥がす行為も必要が無い。また、その為、フィルム剥離における内容物がこぼれるなどの問題も発生しない。
【0033】
この他、本発明の口栓を使用すると、プルトップ式の容器に比べ、インナーリングが嵌まった状態で注出用口閉鎖部4の薄肉脆弱線43が破断しながら開口するので、内容物がこぼれるなどの問題も発生しにくい。プルトップの様に直に薄肉脆弱線43を引っ張って破断させる場合は大きな力が必要であったが、本発明の口栓ではキャップを開ける時、てこの原理で開けるので、そのような力は必要ではなく、小さな力で開けることが可能である。
この為、高齢者や子供など、力の小さな人でも容易に開口できる。とかく、小さな口元のプルトップ方式の場合、指がプルリングの中に入れにくくて、大人でも開口しにくい問題があったが、この問題も解消された。
また、本発明は、口元、キャップそれぞれが単純な射出成形で成形できるので、製造ラインが単純で、コスト面でもメリットが大きい。
【符号の説明】
【0034】
1・・・・・・キャップ
11・・・・・キャップ固定部
12・・・・・キャップ天面
13・・・・・インナーリング
14・・・・・キャップ内爪
141・・・・J字形のフック
142・・・・蟻溝形状を有するフック
15・・・・・コンタクトリング
16・・・・・リブ
17・・・・・嵌合突起
18・・・・・鍔
2・・・・・・口元
21・・・・・注出口
22・・・・・注出口開口部
23・・・・・融着片
24・・・・・嵌合リブ
3・・・・・・容器本体
31・・・・・キャップ装着面
32・・・・・胴部
4・・・・・・注出用口閉鎖部
41・・・・・柱
42・・・・・嵌合部
421・・・・T字形状嵌合部
422・・・・ほぞ形状嵌合部
43・・・・・薄肉脆弱線
44・・・・・スパウトリング
45・・・・・環状切込み
5・・・・・・封緘バンド
51・・・・・薄肉部
52・・・・・薄肉部
6・・・・・・ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状の注出口とその一端に容器本体の注出用口の周囲に溶着する周縁部とを設けた口元と、固定部とヒンジで繋がった天面部とからなり口元の注出口の他端に嵌合するキャップと、からなる容器用口栓であって、口元は、円筒形状の注出口の下部に注出口と薄肉脆弱線で繋がり、容器本体の注出口開口部を閉鎖する注出用口閉鎖部と、注出用口閉鎖部の閉鎖面にほぼ垂直方向に連設された柱と、で設けられ、キャップは天面部に柱と係合する機構を有し、キャップを開口すると、薄肉脆弱線が破断され、注出用口閉鎖部が開口する構造であることを特徴とした容器用口栓。
【請求項2】
キャップの天面部内側に、注出口と嵌合するインナーリングを設けたことを特徴とする請求項1に記載の容器用口栓。
【請求項3】
注出用口閉鎖部の柱とキャップ天面部とが係合する機構が、柱の先端をT字形とし、天面部の係合部として上記T字形の両側より引っ掛けるJ字形のフックを設けたことを特徴とした請求項1または2に記載の容器用口栓。
【請求項4】
注出用口閉鎖部の柱とキャップ天面部とが係合する機構が、柱の先端をほぞ形状とし、天面部の係合部として上記ほぞ形状に嵌合する蟻溝形状のフックを設けたことを特徴とした請求項1または2に記載の容器用口栓。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107673(P2013−107673A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253660(P2011−253660)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】