説明

容器用治具

【課題】任意の口径を有する注液孔を形成することができる容器用治具の提供。
【解決手段】内部に任意の口径の注液孔1を設けてある筒体2を連結支持する支持部3と、筒体2の一端部に接当して液体収容容器4の先端部へ筒体2を押し込む押込操作部5とを設け、支持部3は、液体収容容器4の先端部を受入可能な開口部7に筒体2を位置させるように連結部材8にて連結支持し、かつ、液体収容容器4の先端部への筒体2の押込に伴って連結部材8による筒体2と支持部3との連結を切り離すようにして、凹部4bまたは注液孔4aが設けられている液体収容容器4の先端部に任意の口径を有する注液孔1を形成する容器用治具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹部または注液孔が設けられている液体収容容器の先端部に任意の口径を有する注液孔を形成する容器用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
前記液体収容容器として、例えば点眼液を収容する点眼容器では、その先端部に注液孔が設けられているが、この注液孔は眼表面に点眼液を点眼投与するのに重要な役割を有している。
【0003】
点眼容器の先端部に設けられている注液孔は、例えば密閉状態にある点眼容器の先端部に加熱した針状物を貫通させるなどの手段を用いて形成される。このように針状物を貫通させて注液孔を形成するものでは、一度に数滴の点眼液が点眼投与されることがないように、また、患者が点眼液の一滴を眼表面に正確に投与できるように、通常、注液孔の口径は小さめに設定されている。
【0004】
また、点眼容器のキャップに針状突起を形成し、そのキャップを点眼容器の先端部に装着することにより、その針状突起を点眼容器の先端部に差し込んで注液孔を形成するものもある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載された点眼容器では、点眼液を使用する直前まで点眼容器を密閉状態に維持できるので、長期にわたって点眼液を完全に無菌状態で保持することが可能となり、安全衛生面で優れている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−120638号公報(段落0016、図11参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの患者に点眼液を投与する眼科医の立場からすれば、患者自身が点眼液を自己の眼部に点眼する場合とは異なり、患者に所定量の点眼液を迅速に投与できる点眼容器を望むことがある。
したがって、眼科医の立場からは、小さめに形成されている注液孔の口径を大きくして、患者に対して所定量の点眼液を迅速に点眼できる注液孔を形成できる点眼容器用治具の開発が望まれている。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の如く、患者自身が針状突起を点眼容器に差し込んで注液孔を形成する場合には、針状突起の差込具合によって、例えば注液孔の口径が予定している口径よりも小さくなれば、点眼液を点眼投与するのに必要以上の時間を要し、また、形成される注液孔の向きが一定せず、ばらつきが生じることがある。
【0008】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、任意の口径の注液孔を的確に形成することができる容器用治具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明にかかる容器用治具の第1特徴構成は、凹部または注液孔が設けられている液体収容容器の先端部に任意の口径を有する注液孔を形成する容器用治具において、内部に任意の口径の注液孔を設けてある筒体を連結支持する支持部と、前記筒体の一端部に接当して前記液体収容容器の先端部へ前記筒体を押し込む押込操作部とを設け、前記支持部は、前記液体収容容器の先端部を受入可能な開口部に前記筒体を位置させるように連結部材にて連結支持し、かつ、前記液体収容容器の先端部への前記筒
体の押込に伴って前記連結部材による前記筒体と前記支持部との連結を切り離すようにした点にある。
【0010】
点眼容器などの液体収容容器の使用者が液体収納容器に対して押込操作部を筒体の押込方向へ押圧する押込操作を行うと、液体収容容器の先端部が開口部に受け入れられ、押込操作部が筒体を液体収容容器の先端部へ押し込み、その筒体の押込によって連結部材が筒体との連結を切り離し、筒体を液体収容容器に押込装着できる。
液体収容容器の先端部に予め設けられた凹部や注液孔は、本発明の容器用治具が液体収容容器の先端部の所定の部位に押込装着するのを容易にするためのものである。そして、予め注液孔が設けられた液体収容容器に対しては、その注液孔を押し広げながら、内部に任意の口径の注液孔を設けてある筒体を押込装着できる。また、前記凹部は容器用治具をその位置に固定できる程度に窪んでいれば足りる。また、凹部を肉薄にすれば筒体の押込操作がさらに容易となる。
【0011】
このように、本発明は、液体収容容器を使用する前に、液体収容容器に対して押込操作部を筒体の押込方向へ押圧するという簡易な操作を行うだけで、内部に任意の口径の注液孔を設けてある筒体を液体収容容器の先端部に押込装着することができる。
したがって、簡便に任意の口径の注液孔を的確に形成でき、特に、点眼容器では、常に所定量の点眼液を投与することができる注液孔を形成できる。
【0012】
本発明にかかる容器用治具の第2特徴構成は、前記押込操作部には、前記筒体の一端部を位置決めするための位置決め保持部を設けた点にある。
【0013】
前記押込操作を行うときに、位置決め保持部が筒体の一端部を位置決めするので、筒体がぐらつくなど筒体の動きを規制しながら、押込操作を行うことができる。
したがって、液体収容容器の先端部に対する筒体の押込を行い易くなり、それだけ作業の簡素化を図ることができる。
【0014】
本発明にかかる容器用治具の第3特徴構成は、前記連結部材は、前記筒体との連結を切り離したときに、前記液体収容容器の先端部の外周部に沿う形状にした点にある。
【0015】
前記連結部材は、筒体との連結を切り離したときに、液体収容容器の先端部の外周部と接当する。そこで、連結部材を液体収容容器の先端部の外周部に沿う形状にすることにより、筒体との連結を切り離した連結部材と液体収容容器の先端部の外周部との接当が大きな抵抗となるのを防止できる。
したがって、液体収容容器の先端部に対して筒体を適正な位置まで押し込み易く、押込操作の簡素化を図ることができる。
【0016】
本発明にかかる容器用治具の第4特徴構成は、前記押込操作部と前記支持部とが、前記押込操作部が前記支持部における前記筒体の押込方向とは反対側を覆うように折り畳み自在に連結されているとともに、前記押込操作部に対して折り畳み状態にある前記支持部における前記筒体の押込方向側を覆うように、前記押込操作部に折り畳み自在に連結した蓋部を設けた点にある。
【0017】
容器用治具を輸送するときや保管するときなどには、押込操作部に対して支持部を折り畳み、その押込操作部に対して蓋部を折り畳むことにより、押込操作部と蓋部とが、支持部における筒体の押込方向とは反対側および筒体の押込方向側を覆うことができる。
したがって、輸送するときや保管するときなどには、押込操作部と蓋部との協働により、支持部に連結支持された筒体の周囲を覆うことができ、筒体の損傷を防止できる。
【0018】
本発明にかかる容器用治具の第5特徴構成は、前記支持部は、間隔を隔てて複数の前記開口部を備えた点にある。
【0019】
前記開口部には、筒体が位置する状態で連結支持されており、この開口部を支持部に複数備えることにより、一つの支持部に複数の筒体を備えさせることができる。
したがって、複数の注液孔を形成可能な容器用治具を構成するに当り、一つの支持部にて複数の筒体を連結支持することができ、それだけ構成の簡素化やコストの低減を図ることができる。
【0020】
本発明にかかる容器用治具の第6特徴構成は、前記押込操作部に、前記支持部における前記開口部どうしの間隙部分に押し当て可能な押当部を設けた点にある。
【0021】
前記押込操作を行うときには、押当部が支持部における間隙部分に押し当てられ、押込操作部にて筒体を押し込むときの反力を押当部にて受けることができ、液体収容容器に対する筒体の押込を的確に行い易くなる。
しかも、押当部を押し当てる箇所が開口部どうしの間隙部分であるので、押込操作により支持部の全体が一体的に動くことを防止でき、他の筒体に対しても、押込操作部が液体収容容器に押し込むように作用することも防止できる。
【0022】
本発明にかかる容器用治具の第7特徴構成は、前記支持部は、前記筒体を内部に連結支持した筒状部分とその筒状部分の前記筒体の押込方向とは反対側端部から側方へ延びる一対の板状部分とからなり、前記筒状部分と前記板状部分とを前記一対の板状部分どうしが重なり合うように前記筒体の押込方向とは反対側へ折り畳んだ状態において、前記筒状部分と前記板状部分とが前記押込操作部および前記筒体の一端部を位置決めするための位置決め保持部を形成した点にある。
【0023】
前記支持部が、筒状部分と一対の板状部分とから形成でき、この筒状部分と板状部分とを一対の板状部分どうしが重なり合うように筒体の押込方向とは反対側へ一体的に折り畳むことにより、押込操作部と位置決め保持部とを現出できる。
したがって、筒状部分と一対の板状部分とから支持部を形成するだけで、押込操作部および位置決め保持部も一体的に形成することができ、構成の簡素化およびコストの低減を図ることができる。
しかも、筒状部分と板状部分とを折り畳むという容易な作業により、押込操作部と位置決め保持部とを現出できるので、作業の簡素化も図ることができる。
【0024】
本発明にかかる容器用治具の第8特徴構成は、前記板状部分が、前記筒体の押込方向とは反対側に傾斜するように設けてある点にある。
【0025】
本構成であれば、筒状部分と板状部分との折り畳みが行い易くなり、それだけ作業の簡素化を図ることができる。
【0026】
本発明にかかる容器用治具の第9特徴構成は、前記支持部の複数が、切り離し可能に一体的に形成した点にある。
【0027】
前記複数の支持部を一体的に形成したものを一つの部材として扱うことができ、複数の支持部を各別に形成するものと比べて、複数の支持部の管理を容易に行うことができる。
そして、単に、複数の支持部から一つの支持部を切り離すだけで、その切り離した支持部を用いて液体収容容器に注液孔を形成することができ、複数の支持部を一体的に形成したことによる作業の煩雑化を招くことなく、液体収容容器に注液孔を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明にかかる容器用治具を、医療用の点眼液を収容した液体収容容器に適応した実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この第1実施形態における容器用治具P1は、平面図である図1(a)および縦断側面図である図1(b)に示すように、内部に任意の口径の注液孔1を設けてある筒体としてのノズル2を連結支持する支持部3と、ノズル2の一端部に接当して液体収容容器の先端部にノズル2を押込する押込操作部5と、支持部3におけるノズル2の押込方向側を覆う蓋部6とから構成されている。
【0029】
前記押込操作部5と支持部3とは、図1および図2に示すように、押込操作部5が支持部3におけるノズル2の押込方向側(図2中下方側)とは反対側を覆うように折り畳み自在に連結してある。
前記押込操作部5と蓋部6とは、蓋部6が押込操作部5に対して折り畳み状態にある支持部3におけるノズル2の押込方向側を覆うように折り畳み自在に連結してある。
【0030】
そして、容器用治具P1を輸送するときや保管するときには、図2に示すように、押込操作部5に対して支持部3を折り畳み、その押込操作部5に対して蓋部6を折り畳むことにより、押込操作部5と蓋部6との協働によりノズル2の周囲を囲んでノズル2の損傷を防止するように構成してある。
また、容器用治具P1を使用するときには、図3に示すように、押込操作部5に対して支持部3を折り畳んだ状態で用いて、ノズル2を液体収容容器4の先端部に押し込むように構成してある。
【0031】
前記支持部3は、液体収容容器4の先端部を受入可能な円形状の開口部7にノズル2を位置させるように一対の連結部材8にてノズル2を連結支持してある。
前記液体収容容器4は、一体ものの容器本体を成形したのち直ちに点眼液を収容する成形同時充填式の点眼容器であり、図3(a)に示すように、液体収容容器4の先端部に予め口径が小さめの注液孔4aが形成されている。この注液孔4aは、例えば密閉状態にある液体収容容器4の先端部に加熱した針状物を貫通させるなどの手段を用いて形成する。
また、液体収容容器4については、図3(b)に示すように、密閉状態の容器の先端部に予め凹部4bが設けられた成形同時充填式の点眼容器を適応することも可能である。この場合、凹部4bは容器用治具P1をその位置に固定できる程度に窪んでいれば足りる。また、凹部4bを肉薄にすればノズル2の押込操作が容易になる。
【0032】
そして、支持部3には、間隔を隔てて複数の開口部7を備え、開口部7の中心位置またはほぼ中心位置に一つのノズル2を連結支持してある。複数の開口部7は、複数のものを並べた一つの列を平行に複数設け、間隔を隔てて複数列状に並ぶように配置してある。
また、連結部材8は、ノズル2側の端部が幅狭に形成されており、支持部3は、液体収容容器4の先端部へのノズル2の押込に伴って連結部材8によるノズル2と支持部3との連結を切り離すように構成してある。
【0033】
すなわち、作業者が液体収納容器4に対して押込操作部5をノズル2の押込方向へ押圧する押込操作を行うと、図4(b)に示すように、予め形成された注液孔4aを押し広げながら、ノズル2が液体収容容器4に押し込まれ、連結部材8によるノズル2と支持部3との連結が切り離される。
【0034】
前記ノズル2は、例えば、円筒状のパイプの形態をとり、その口径は任意の大きさに形成することができる。そして、ノズル2は、例えば、金属の型を用いて射出成形により容
易に形成でき、ポリプロプレン、アクリル、ポリカーボネートなどの硬質樹脂で形成してある。
また、注液孔1の口径や形状は、型を変更するなどにより容易に変更することができ、使用用途に応じた任意の大きさの口径や形状の注液孔1を形成できる。
【0035】
前記押込操作部5は、ノズル2の押込方向とは反対側に膨出する板状に形成され、作業者がその外側面部を押圧してノズル2の押込方向へ押込操作すると、その内側面部がノズル2の一端部に接当してノズル2を液体収容容器4の先端部に押し込むように構成してある。
そして、押込操作部5には、ノズル2の一端部が嵌り込む凹状の位置決め保持部9を設け、押込操作を行うときに、この位置決め保持部9がノズル2の一端部を位置決めするように構成してある。
【0036】
また、押込操作部5には、図4に示すように、支持部3における開口部7どうしの平坦状の間隙部分3aに押し当て可能な押当部10を設け、押込操作を行うときに、押当部10などがノズル2を押し込むときの反力を受けるように構成してある。
前記押当部10は、複数の開口部7どうしの間隙部分のすべてに対応して設けているのではなく、図1に示すように、複数を並べた列を平行に複数列設けた複数の開口部7において、同じ列にある隣接する開口部7どうしの間隙部分に対応して設けている。
【0037】
以下、容器用治具P1にてノズル2を液体収容容器4の先端部に押込装着するときの動作を説明する。
まず、図4(a)に示すように、押込操作部5に対して支持部3を折り畳み、開口部7に液体収容容器4の先端部を受入できるように、支持部3と液体収納容器4との相対位置を調整する。
この位置調整を行い易くするために、押込操作部5と支持部3とは透明に構成してある。また、押込操作部5には、押込操作部5に対して支持部3を折り畳んだときに、ノズル2の配設位置を外した位置に図1中XXXで示したロゴを形成してあり、支持部3と液体収納容器4との相対位置を確認し易くしている。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、押込操作部5をノズル2の押込方向に押圧する押込操作を行い、位置決め保持部9がノズル2の一端部を位置決めした状態でノズル2を液体収容容器4の先端部に押し込み、このノズル2の押込に伴って連結部材8によるノズル2と支持部3との連結を切り離す。
前記連結部材8は、ノズル2の押込方向側部分を傾斜状にするなどして、ノズル2との連結を切り離したときに、液体収容容器4の先端部の外周部に沿う形状に形成してある。
このようにして、押込操作により液体収容容器4の先端部に対してノズル2を適正な位置まで押し込み、液体収容容器4の先端部に任意の口径の注液孔1を形成する。
【0039】
この容器用治具P1にて注液孔1を形成する対象の容器は、図3(a)に示すように、先端部に予め口径が小さめの注液孔4aが形成されている成形同時充填式の液体収容容器4である。この成形同時充填式の液体収容容器4では、密閉状態にある液体収容容器4の先端部に加熱した針状物を貫通させるなどの手段を用いて注液孔4aを形成するので、針状物の加熱具合や針状物の差し込み方などによって、注液孔4aの向きや形状などにばらつきが生じる虞がある。
【0040】
そこで、上述した容器用治具P1を用いて、成形同時充填式の液体収容容器4に注液孔1を形成することにより、予め形成されている注液孔4aの向きや形状などにばらつきがあっても、任意の口径を有する注液孔1を的確に形成することができる。このように、本発明の成形同時充填式の液体収容容器4では、常に所定量の点眼液を投与できる注液孔1
を形成できるので、その効果が大きい。
【0041】
〔第2実施形態〕
この第2実施形態における容器用治具P2は、斜視図である図5および縦断側面図である図6に示すように、液体注出量を制御する注液孔1を内部に形成してある筒体としてのノズル2を連結支持する支持部11から構成している。
ちなみに、この第2実施形態における容器用治具P2にて注液孔1を形成する対象の容器は、図3(a)に示すように、先端部に予め口径が小さめの注液孔4aが形成されている成形同時充填式の液体収容容器4である。
【0042】
前記支持部11は、ノズル2を内部に連結支持した筒状部分11aとその筒状部分11aのノズル2の押込方向とは反対側端部から側方へ延びる一対の板状部分11bとから構成してある。
そして、筒状部分11aと板状部分11bとは、図7に示すように、一対の板状部分11bどうしが重なり合うようにノズル2の押込方向とは反対側へ折り畳み可能に連結してある。
【0043】
前記ノズル2は、筒状部分11aの中心位置またはほぼ中心位置に連結部材12にて連結支持してあり、筒状部分11aと板状部分11bとは、ノズル2の配設位置に対応する部分を幅狭にするなどして、ノズル2の配設位置を中心に折り畳み可能に連結してある。
【0044】
前記支持部11は、筒状部分11aと板状部分11bとを一対の板状部分11bどうしが重なり合うようにノズル2の押込方向とは反対側へ折り畳んだ状態において、筒状部分11aと板状部分11bとが押込操作部13およびノズル2の一端部を位置決めする位置決め保持部14を形成するように構成してある。
【0045】
前記押込操作部13は、筒状部分11aと板状部分11bとを折り畳むことにより、ノズル2の押込方向とは反対側でノズル2の配設位置と重複する位置に位置する一対の板状部分11bどうしが重なり合った部分や筒状部分11aの内壁部分などから形成されている。
そして、作業者が一対の板状部分11bどうしが重なり合った部分を持って押込操作を行うと、筒状部分11aの内壁部分がノズル2の一端部に接当して液体収容容器4の先端部へノズル2を押し込むようにしている。
【0046】
前記位置決め保持部14は、筒状部分11aと板状部分11bとを折り畳むことにより、ノズル2の押込方向とは反対側から押込方向側へと傾斜する筒状部分11aの内壁部分から形成されている。
また、筒状部分11aと板状部分11bとを折り畳むことにより、筒状部分11aの内部空間を液体収容容器4の先端部を受入可能な開口部としている。
【0047】
前記板状部分11bは、ノズル2の押込方向とは反対側に傾斜するように設けてあり、筒状部分11aと板状部分11bとの折り畳みを行い易いようにしている。
また、板状部分11bは、その先端部がノズル2の押込方向と反端側端部よりも外側に位置するように設けている。
【0048】
前記支持部11の複数が、図8に示すように、切り離し可能に一体的に形成してあり、容器用治具P2を輸送するときや保管するときには、一体的に形成した複数の支持部11を袋などにより覆うように構成してある。
【0049】
以下、容器用治具P2にてノズル2を液体収容容器4の先端部に押込装着するときの動
作を説明する。
まず、図8に示す一体的に形成した複数の支持部11から使用する一つの支持部11を切り離す。その支持部11の筒状部分11aと板状部分11bとを一対の板状部分11bどうしが重なり合うようにノズル2の押込方向とは反対側へ一体的に折り畳み、図7(a)に示すように、筒状部分11aの内部空間に液体収容容器4の先端部を受入できるように位置調整を行う。
【0050】
次に、図7(b)に示すように、押込操作部13をノズル2の押込方向に押圧する押込操作を行い、ノズル2を液体収容容器4の先端部に押し込み、このノズル2の押込に伴って連結部材12によるノズル2と支持部11との連結を切り離し、液体収容容器4の先端部に対してノズル2を適正な位置まで押し込み装着する。
前記連結部材12は、ノズル2の押込方向側部分に傾斜する部分を形成するなどして、ノズル2との連結を切り離したときに、液体収容容器4の先端部の外周部に沿う形状に形成してある。
【0051】
〔別実施形態〕
(1)上記第1実施形態では、一つの支持部3に複数の開口部7を設けて複数のノズル2を備えるようにしているが、一つの支持部3に一つの開口部7のみを設けて一つのノズル2を備えて実施することも可能である。
【0052】
(2)上記第1実施形態では、複数の開口部7どうしの間隙部分の一部に対応して押当部10を設けているが、複数の開口部7どうしの間隙部分のすべてに対応して押当部10を設けることも可能であり、押当部10の配設箇所は適宜変更が可能である。
また、このような押当部10を設けずに実施することも可能である。
【0053】
(3)上記第2実施形態では、板状部分11bが、ノズル2の押込方向とは反対側に傾斜する状態で筒状部分11aから側方へ延びるように設けているが、板状部分11bが、水平方向に沿う状態で筒状部分11aから側方へ延びるように設けて実施することも可能である。
【0054】
(4)上記第2実施形態では、支持部11の複数が、支持部11どうしが切り離し可能に一体的に形成してあるが、支持部11を一つずつ各別に形成することも可能である。
【0055】
(5)上記第1および2実施形態では、液体収容容器として、成形同時充填式の液体収容容器4を例示したが、例えば、底面部などが成形された容器本体と、先端部などが成形された中栓部材とが別体に設けられ、容器本体の筒状口部に、中栓部材を内嵌固定する中栓別部材式の液体収容容器などに適応することも可能である。
【0056】
(6)上記第1および2実施形態では、本発明にかかる容器用治具を医療用の点眼液を収容した液体収容容器に適応した例を示したが、点眼液以外の液体を収容した液体収容容器に適応することも可能であり、各種の液体収容容器に適応することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、凹部または注液孔が設けられている医療用の点眼液などを収容する液体収容容器の先端部に任意の口径を有する注液孔を形成する各種の容器用治具に適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】第1実施形態における容器用治具の平面図および縦断側面図
【図2】第1実施形態における容器用治具の縦断側面図
【図3】第1実施形態における容器用治具の使用状態を示す図
【図4】第1実施形態における容器用治具の使用状態を示す図
【図5】第2実施形態における容器用治具の斜視図
【図6】第2実施形態における容器用治具の縦断側面図
【図7】第2実施形態における容器用治具の使用状態を示す図
【図8】第2実施形態における容器用治具の複数を示す平面図
【符号の説明】
【0059】
1 注液孔
2 筒体(ノズル)
3,11 支持部
4 液体収容容器
4a 液体収容容器に設けられている注液孔
4b 液体収容容器に設けられている凹部
5,13 押込操作部
6 蓋部
7 開口部
8,12 連結部材
9,14 位置決め保持部
10 押当部
11a 筒状部分
11b 板状部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部または注液孔が設けられている液体収容容器の先端部に任意の口径を有する注液孔を形成する容器用治具であって、
内部に任意の口径の注液孔を設けてある筒体を連結支持する支持部と、前記筒体の一端部に接当して前記液体収容容器の先端部へ前記筒体を押し込む押込操作部とを設け、
前記支持部は、前記液体収容容器の先端部を受入可能な開口部に前記筒体を位置させるように連結部材にて連結支持し、かつ、前記液体収容容器の先端部への前記筒体の押込に伴って前記連結部材による前記筒体と前記支持部との連結を切り離すようにしてある容器用治具。
【請求項2】
前記押込操作部には、前記筒体の一端部を位置決めするための位置決め保持部を設けている請求項1に記載の容器用治具。
【請求項3】
前記連結部材は、前記筒体との連結を切り離したときに、前記液体収容容器の先端部の外周部に沿う形状にしてある請求項1または2に記載の容器用治具。
【請求項4】
前記押込操作部と前記支持部とが、前記押込操作部が前記支持部における前記筒体の押込方向とは反対側を覆うように折り畳み自在に連結されているとともに、
前記押込操作部に対して折り畳み状態にある前記支持部における前記筒体の押込方向側を覆うように、前記押込操作部に折り畳み自在に連結した蓋部を設けている請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器用治具。
【請求項5】
前記支持部は、間隔を隔てて複数の前記開口部を備えている請求項4に記載の容器用治具。
【請求項6】
前記押込操作部には、前記支持部における前記開口部どうしの間隙部分に押し当て可能な押当部を設けている請求項5に記載の容器用治具。
【請求項7】
前記支持部は、前記筒体を内部に連結支持した筒状部分とその筒状部分の前記筒体の押込方向とは反対側端部から側方へ延びる一対の板状部分とからなり、
前記筒状部分と前記板状部分とを前記一対の板状部分どうしが重なり合うように前記筒体の押込方向とは反対側へ折り畳んだ状態において、前記筒状部分と前記板状部分とが前記押込操作部および前記筒体の一端部を位置決めするための位置決め保持部を形成してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器用治具。
【請求項8】
前記板状部分が、前記筒体の押込方向とは反対側に傾斜するように設けてある請求項7に記載の容器用治具。
【請求項9】
前記支持部の複数が、切り離し可能に一体的に形成してある請求項7または8に記載の容器用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−198398(P2006−198398A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369262(P2005−369262)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【出願人】(000190068)伸晃化学株式会社 (55)
【Fターム(参考)】