説明

容器突き上げ装置

【課題】容器突き上げ装置における不良検出機構を簡略化し、メンテナンス性の向上を図る。
【解決手段】突き上げパンチ10は、載置台8に対応して設けられ、載置台8の上に載置されたボトルの反転部を反転させる。昇降機構11は、突き上げパンチ10を昇降させる。付勢部材15は、突き上げパンチ10を上方に付勢することによって、突き上げパンチ10の昇降位置を反転部の形状に追従させる。不良検出センサ5は、ターンテーブル2における所定の搬送位置に設けられており、所定の搬送位置を突き上げパンチ10が通過する毎に、この突き上げパンチ10の昇降位置を検出する。また、不良検出センサ5は、突き上げパンチ10の昇降位置として、増幅テコ12によって増幅された二次変位量を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の底部から外側に突出した反転部を突き上げて、容器の内側に反転させる容器突き上げ装置に係り、特に反転部の不良検出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等の液状内容物を収容する容器には様々な材質のものがあるが、その一種として、合成樹脂製ボトル、例えばポリエチレンテレフタレート製のブロー成形ボトル(PETボトル)が知られている。この種のボトルでは、加温封入された内容物が冷却すると、内容物の体積の減少等によってボトル内が減圧状態になり、容器胴部が若干萎んだ状態になってしまうことがある。このような外観上好ましくないボトルの変形を抑制するために、特許文献1には、ボトル底部の一部を下方に突出させた可撓性の反転部を有するボトルが開示されている。反転部付きボトル内への内容物の充填は、反転部がボトル底部より外側に突出した状態で行われる。そして、ボトル口部をキャップで封止した後に、外側に突出した反転部を押し込んでボトルの内側に反転させる。この反転による容積の減少によってボトル内が加圧され、内容物の冷却に伴う減圧分が相殺されるので、ボトルの変形が有効に抑制される。また、特許文献2には、このような反転部付きボトルの底部凹入装置が開示されている。
【0003】
また、反転部の反転不良を検出する不良検出機構も従来より知られている。図10は、従来の不良検出機構の説明図である。内容物が充填密封されたボトル30が保持されている状態で、可動式の突き上げパンチ31を用いて、ボトル30の底部に設けられた反転部30aを突き上げる。このアクチベート加工によって、ボトル30の底部から下方に突出した反転部30aが変形して反転し、ボトル30の内部に押し込まれる。スプリング等の追従機構32は、突き上げパンチ31を上方に常時付勢することによって、突き上げパンチ10の昇降位置を反転部30aの形状に追従させる。ここで、突き上げパンチ31の下端には、反転部30aの反転不良、すなわち押し込み不足を検出する機構として、不良検出センサ33が設けられている。同図(a)に示すように、反転部30aが適切に反転して、ボトル内に十分に押し込まれている場合、反転部30aの形状に追従して、突き上げパンチ31が適切に上方へ変位する。この場合、突き上げパンチ31の下端は、不良検出センサ33と接触しないか、接触したとしてもその程度は僅かである。図示しないスプリング等によって上方に常時付勢された不良検出センサ33のストローク量(下方への変位量)が所定のしきい値未満の場合には、反転部30aの反転が良(正常)と判定される。一方、同図(b)に示すように、反転部30aの反転が不十分で、ボトル内に十分に押し込まれていない場合、反転部30aの形状に追従して、突き上げパンチ31の上方への変位量も不十分となる。この場合、突き上げパンチ31の下端が不良検出センサ33と接触し、上方への付勢力に抗して不良検出センサ33を下方に押し下げられる。そして、不良検出センサ33のストローク量が所定のしきい値以上の場合には、反転部30aの反転が不良と判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2006−501109号公報
【特許文献2】特開2009−096504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の不良検出機構では、不良検出の対象となるボトル毎に不良検出センサを設けているため、センサおよびこれに付帯するスプリングといった機械部品が多数必要となる。例えば、ターンテーブルに収容されるボトル数が20個の場合、センサおよび機械部品等が各20個必要になるといった如くである。また、センサ数が増えるほど、消耗品の交換に要する労力が増えるとともに、センサの誤動作や故障の頻度も増大するので、生産ラインの稼働停止による生産性の低下も懸念される。さらに、反転部の良/不良判定は、センサの微妙なストローク量(例えば0.5mm単位)で行うため、センサ数が増えるほど、その調整に要する労力も増大する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、容器突き上げ装置における不良検出機構を簡略化し、メンテナンス性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、複数の載置台と、複数の突き上げパンチと、昇降機構と、付勢部材と、不良検出センサとを有し、容器の底部から外側に突出した反転部を突き上げて、容器の内側に反転させる容器突き上げ装置を提供する。複数の載置台は、それぞれが搬送路上を移動し、それぞれに容器が載置される。複数の突き上げパンチは、載置台のそれぞれに対応して設けられ、載置台の上に載置された容器の反転部を個別に反転させる。昇降機構は、突き上げパンチのそれぞれを昇降させる。付勢部材は、突き上げパンチのそれぞれを上方に付勢することによって、突き上げパンチの昇降位置を反転部の形状に追従させる。不良検出センサは、搬送路における所定の搬送位置に設けられており、所定の搬送位置を突き上げパンチが通過する毎に、この突き上げパンチの昇降位置を検出する。
【0008】
第2の発明は、回転自在なターンテーブルと、複数の突き上げパンチと、昇降機構と、付勢部材と、不良検出センサとを有し、容器の底部から外側に突出した反転部を突き上げて、容器の内側に反転させる容器突き上げ装置を提供する。ターンテーブルには、容器が載置される載置台が周方向に複数設けられている。複数の突き上げパンチは、載置台のそれぞれに対応して設けられ、載置台の上に載置された容器の反転部を個別に反転させる。昇降機構は、突き上げパンチのそれぞれを昇降させる。付勢部材は、突き上げパンチのそれぞれを上方に付勢することによって、突き上げパンチの昇降位置を反転部の形状に追従させる。不良検出センサは、ターンテーブルにおける所定の搬送位置に設けられており、所定の搬送位置を突き上げパンチが通過する毎に、この突き上げパンチの昇降位置を検出する。
【0009】
ここで、第1または第2の発明において、載置台のそれぞれに対応して設けられ、突き上げパンチの変位を個別に増幅させる複数の増幅テコをさらに設けてもよい。この場合、不良検出センサは、昇降位置として、増幅テコによって変位が増幅された位置を検出することが好ましい。また、不良検出センサは、増幅テコによって変位が増幅された端部と対向しているか否かを検出する非接触センサであってもよい。さらに、不良検出センサは、反転部を反転させる前の搬送位置、および、反転部を反転させた後の搬送位置の少なくとも一方に設けられていることが好ましい。
【0010】
第3の発明は、複数の載置台と、複数の突き上げパンチと、昇降機構と、付勢部材と、複数の増幅テコと、少なくとも一つの不良検出センサとを有し、容器の底部から外側に突出した反転部を突き上げて、容器の内側に反転させる容器突き上げ装置を提供する。複数の載置台は、それぞれが搬送路上を移動し、それぞれに容器が載置される。複数の突き上げパンチは、載置台のそれぞれに対応して設けられ、載置台の上に載置された容器の反転部を個別に反転させる。昇降機構は、突き上げパンチのそれぞれを昇降させる。付勢部材は、突き上げパンチのそれぞれを上方に付勢することによって、突き上げパンチの昇降位置を反転部の形状に追従させる。不良検出センサは、搬送路における所定の搬送位置に設けられており、所定の搬送位置を突き上げパンチが通過する毎に、この突き上げパンチの昇降位置を検出する。複数の増幅テコは、突き上げパンチのそれぞれに対応して設けられており、突き上げパンチの変位を個別に増幅させる。少なくとも一つの不良検出センサは、増幅テコによって変位が増幅された位置を検出する。
【0011】
第4の発明は、回転自在なターンテーブルと、複数の突き上げパンチと、昇降機構と、付勢部材と、複数の増幅テコと、少なくとも一つの不良検出センサとを有し、容器の底部から外側に突出した反転部を突き上げて、容器の内側に反転させる容器突き上げ装置を提供する。ターンテーブルには、容器が載置される載置台が周方向に複数設けられている。複数の突き上げパンチは、載置台のそれぞれに対応して設けられ、載置台の上に載置された容器の反転部を個別に反転させる。昇降機構は、突き上げパンチのそれぞれを昇降させる。付勢部材は、突き上げパンチのそれぞれを上方に付勢することによって、突き上げパンチの昇降位置を反転部の形状に追従させる。複数の増幅テコは、突き上げパンチのそれぞれに対応して設けられており、突き上げパンチの変位を個別に増幅させる。少なくとも一つの不良検出センサは、増幅テコによって変位が増幅された位置を検出する。
【0012】
ここで、第3または第4の発明において、上述した第1または第2の発明に係る下位概念的な構成を適用してもよい。
【発明の効果】
【0013】
第1または第2の発明によれば、所定の搬送位置に設けられた不良検出センサによって、所定の搬送位置を突き上げパンチが通過する毎に、この突き上げパンチの昇降位置が検出される。したがって、不良検出センサを載置台毎に設ける必要がなく共有化できるので、センサの個数、これに付帯する機械部品の点数、不良センサに接続される信号線の本数等が削減され、不良検出機構を簡略化できる。それとともに、消耗品の交換、センサの動作不良またはセンサの調整に関する労力を軽減できるので、メンテナンス性の向上も図れる。
【0014】
第3または第4の発明によれば、突き上げパンチの変位が増幅テコによって増幅されるので、突き上げパンチの変位自体が微小であっても不良検出センサで正確に検出することができる。これにより、高価なセンサを用いなくても、或いは、センサの調整に必要以上の労力を掛けなくても、反転部の不良を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】搬送機構の構成図
【図2】容器の一例であるボトルの外観図
【図3】容器突き上げ装置の構成図
【図4】容器突き上げ装置の要部拡大図
【図5】アクチベート加工のタイミングチャート
【図6】アクチベート加工前の正常状態を示す図
【図7】アクチベート加工前の不良状態を示す図
【図8】アクチベート加工後の正常状態を示す図
【図9】アクチベート加工後の不良状態を示す図
【図10】従来の不良検出機構の説明図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本実施形態に係る容器突き上げ装置が実装された搬送装置の上面図である。この搬送装置1は、回転自在なターンテーブル2を主体とし、これに容器を投入する投入機構3と、そこから容器を排出する排出機構4とを備えている。ターンテーブル2の外周には、複数の収容部2aが所定の間隔で設けられおり、それぞれの収容部2aに容器が収容される。そして、ターンテーブル2の回転によって容器が搬送される過程において、それぞれの収容部2aに対応して設けられた後述する容器突き上げ装置によって、収容部2aに収容された容器に対するアクチベート加工が連続的に行われる。投入機構3は、投入路3aと、スクリューコンベア3bと、投入ターレット3cとによって構成されている。上流(前工程)から搬送された投入路3a上の容器は、スクリューコンベア3bの回転によって投入ターレット3cに送り込まれ、投入ターレット3cを経てターンテーブル2の収容部2aに投入される。一方、排出機構4は、排出ターレット4aと、排出コンベア4bとによって構成されている。ターンテーブル2の収容部2aから排出された容器は、排出ターレット4aを経て排出コンベア4bに送り出され、排出コンベア4bによって下流(後工程)に搬送される。
【0017】
同図に示したように、ある収容部2aへの容器の投入は、この収容部2aの回転角θが90°よりも前の所定の投入位置(θ=θin)で行われる。また、収容部2aからの容器の排出は、回転角θが270°よりも後の所定の排出位置(θ=θout)で行われる。したがって、θin≦θ≦θoutの範囲内がターンテーブル2における実質的な搬送路となる。そして、この範囲内を容器が移動する過程において、それぞれの容器に対して一連のアクチベート加工が行われる。
【0018】
ターンテーブル2の外周と近接した所定の搬送位置には、不良検出センサ5a,5bが設けられている。一方の不良検出センサ5aは、アクチベート加工が行われる前の所定の搬送位置(θ=θ3)に設けられており、反転部6e(図2参照)を反転させる前の状態における容器の良/不良を判定する。また、他方の不良検出センサ5bは、アクチベート加工行われた後の所定の搬送位置(θ=θ8)に設けられており、反転部6eを反転させた後の状態における容器の良/不良を判定する。本実施形態の特徴の一つは、従来技術として言及したように収容部2a毎にセンサを個別に設けるのではなく、すべての収容部2aで不良検出センサ5a,5bを共有化し、収容部2aが搬送位置θ3,θ8を通過する毎に、その収容部2aに収容された容器の不良検査を随時行う点にある。不良検出センサ5a,5bとしては、例えば、検出対象となる部材(例えば金属部材)が近接するとオンになる非接触センサ(例えば、光電センサ、近接センサ、レーザセンサ等)を用いることができる。しかしながら、他の部材との接触による摩耗等を考慮しないのであれば、周知の接触型センサ(例えば、Metrol社製タッチセンサ等)を用いてもよい。また、本実施形態では、アクチベート加工の前後のそれぞれで不良検出を行うために、2つの不良検出センサ5a,5bを用いているが、不良検出の対象が加工前および加工後の一方だけの場合には、不良検出センサ5a,5bの一方のみを用いれば足りる。
【0019】
本実施形態では、アクチベート加工が施される容器の一例として、図2に示すようなボトルが用いられる。このボトル6は、例えばポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂をブロー成形したPETボトルであり、アクチベート加工に先立ち、飲料等の液状内容物が充填・密封される。ボトル6は、ボトル胴部6aと、ボトル肩部6bと、ボトル口部に取り付けられたキャップ6cと、ボトル底部6dの中央に形成された反転部6eとを有する。反転部6eは、ボトル6の材質に起因した可撓性より、ボトル底部6dから外側に突出した突出状態からボトル6の内側に陥没した陥没状態に反転可能であり、ターンテーブル2に投入される時点では突出状態になっている。反転部6eは、キャップ6cで密閉されたボトル6の内圧を高めるために設けられている。液状内容物が加温充填されている場合、密閉後の冷却によって内容物の体積が減少する。これにより、ボトル6の内部が減圧状態になるため、ボトル胴部6a等が若干萎んだ状態になってしまう。これを防ぐために、ボトル6の密閉後に、突出状態の反転部6eを陥没状態に反転させて、ボトル6内を加圧する。その結果、内容物の冷却に起因した減圧分が相殺されるので、ボトル6の変形が有効に抑制される。なお、内容物は加圧充填されたもののみならず、常温充填されたものであってもよい。反転部6eによってボトル6の内圧を高めることで、ボトル6の形状の保持等に寄与するからである。
【0020】
図3は、容器突き上げ装置の構成図である。この容器突き上げ装置7は、ターンテーブル2の収容部2a毎に個別に取り付けられている。容器突き上げ装置7は、載置台8と、保持機構9と、突き上げパンチ10と、昇降機構11と、増幅テコ12と、付勢部材15とを主体に構成されている。載置台8は、ターンテーブル2に形成された開口部内に昇降自在に取り付けられている。載置台8の内部には、スプリング等の付勢部材13が設けられており、この付勢部材13によって、載置台8が上方に常時付勢される。載置台8が上昇している状態では、載置台8の上面がターンテーブル2のそれと略面一になる。載置台3は、ボトル6の外径に対応した略円形状を有する。載置台8へのボトル6の投入、および、載置台8からのボトル7の排出は、載置台3が上昇位置にある状態で行われる。
【0021】
保持機構9は、それぞれの載置台8に対応してターンテーブル2に固定されており、載置台8上に載置されたボトル6を保持する。この保持機構9は、上下方向に延在する昇降棒9aと、これを昇降させる油圧シリンダ等の駆動部9bと、昇降棒9aの先端に取り付けられた押さえ部材9cと、保持アーム9dとを有する。押さえ部材9cは、載置台8の中央直上に配置されており、駆動部9bの駆動によって昇降する。押さえ部材9cは、その先端形状に応じて、ボトル6のキャップ6cまたはボトル肩部6bと係合する。押さえ部材9cが下降すると、付勢部材13による上方への付勢力に抗して、載置台8がボトル6と共に押し下げられる。載置台8が下降位置に下降した状態では、ボトル底部6dがターンテーブル2内に嵌り込むとともに、側方に延在する保持アーム9dによってボトル胴部6aも把持される。この把持によって、下降状態のボトル6が安定的に保持される。ボトル6に対するアクチベート加工は、このようにしてボトル6が安定的に保持された状態で行われる。押さえ部材9cを上昇させると、付勢部材13の上方への付勢力(復帰力)によって、載置台8が上昇位置に復帰する。
【0022】
突き上げパンチ10は、それぞれの載置台8に対応して設けられており、載置台8の中央直下に位置する。この突き上げパンチ10は、載置台8を上下に貫通する貫通孔に挿入自在であり、上下方向、すなわちボトル6の高さ方向に直線状に延在している。突き上げパンチ10の先端は、載置台8上に載置されたボトル6の底部に設けられた反転部6eと対向する。突き上げパンチ10は、載置台8の下方に配置された基部14に取り付けられており、所定の可動範囲内を可動自在である。突き上げパンチ10の長さは、載置台8上におけるボトル6のスライドを阻害しないように、上昇位置にある載置台8の上面から突出しない長さに抑えられている。基部14は、剛性の高い金属部材を単独または複数組み合わせて構成されており、上下に延在するスライド棒16に摺動自在に取り付けられている。また、突き上げパンチ10の外周と基部14の内周との隙間には、スプリング等の付勢部材15が介装されており、これによって、突き上げパンチ10が上方に常時付勢される。この付勢力によって、突き上げパンチ10の昇降位置は、ボトル6の反転部6eの形状に追従する。すなわち、反転部6eの下方への突出量が小さくなるほど突き上げパンチ10は上昇する一方、突出量が大きくなるほど突き上げパンチ10は下降する。突き上げパンチ10が上昇して可動範囲の上限に到達すると、突き上げパンチ10は反転部6eと離間する。載置台8上に載置されたボトル6の反転部6eは、載置台8に対して相対変位する突き上げパンチ10によって突き上げられる。
【0023】
昇降機構11は、ターンテーブル2の回転にともない、収容部2a毎に設けられた突き上げパンチ10を昇降させる。本実施形態では、ガイドレール11aと、ローラ11bとによって、昇降機構11が実現される。ガイドレール11aは、ターンテーブル2と隣接して配置され、ターンテーブル2の周方向に延在している。また、ガイドレール11aは、突き上げパンチ10の昇降位置を規定するための起伏を有する。一方、ローラ11bは、基部14に取り付けられているとともに、ガイドレール11aと係合している。ガイドレール11aに沿ってローラ11bが移動すると、ガイドレール11aの起伏に応じてローラ11bが変位する。これによって、基部14に取り付けられた突き上げパンチ10が昇降する。なお、このようなガイドレール11aおよびローラ11bの機械的なリンクに代えて、油圧シリンダ等で昇降制御を行ってもよい。
【0024】
増幅テコ12は、載置台8のそれぞれに設けられており、テコの原理によって突き上げパンチ10の変位を増幅させる。図4は、容器突き上げ装置7の要部拡大図である。増幅テコ12の支点12aは、基部14に取り付けられている。また、増幅テコ12の一端12b(左端)は、突き上げパンチ10と近接しており、突き上げパンチ10の下降によって押し下げられる。また、増幅テコ12の他端12c(右端)は、不良検出センサ5(上述した5a,5bの総称)と近接している。支点12aから他端12cに至る増幅テコ12の長さは、支点12aから一端12bに至るそれよりも長くなっている。これにより、突き上げパンチ10の昇降に起因した一端12b側の一次変位よりも、他端12c側の二次変位の方が大きくなる。また、増幅テコ12の他端12c側には、スプリング等の付勢部材17が取り付けられており、増幅テコ12が水平になるように常時付勢される。
【0025】
なお、本実施形態では、突き上げパンチ10の昇降位置をボトル6の反転部6eの形状に追従させるための手段として、突き上げパンチ10そのものを直接付勢する付勢部材15を用いているが、これに代えて、或いは、これと併用して、増幅テコ12に取り付けられた付勢部材17を用いてもよい。なぜなら、付勢部材17も増幅テコ12を介して突き上げパンチ10を間接的に付勢しているからである。
【0026】
同図に示したように、2つの不良検出センサ5a,5bの配置は異なっている。アクチベート加工前の不良判定のための不良検出センサ5aは、右上がりになった増幅テコ12の他端12cと対向するように取り付けられている。アクチベート加工前は、反転部6eが下方に突出した状態が正常である。この場合、反転部6eの突出によって突き上げパンチ10が下降して、増幅テコ12が十分に押し下げられた状態になると、不良検出センサ5aがオンする。これに対して、アクチベート加工後の不良判定のための不良検出センサ5bは、水平になった増幅テコ12の他端12cと対向するように取り付けられている。この場合、反転部6eの陥没によって突き上げパンチ10が上昇して、増幅テコ12が殆ど押し下げられていない状態になると、不良検出センサ5bがオンする。
【0027】
図5は、ある一つの収容部2aに着目したアクチベート加工のタイミングチャートである。まず、ターンテーブル2の回転にともない収容部2aが投入位置(θ=θin)に到達すると、図1に示した投入ターレット3cから収容部2a内にボトル6が投入される。投入されたボトル6は、この収容部2aにおける載置台8上にセットされる。上述したように、この時点では、ボトル6には内容物が充填済であり、かつ、反転部6eがボトル底部6dから下方に突出した状態になっている。その後、ターンテーブル2が更に回転して、収容部2aの回転角θ(搬送位置)がθ1に到達すると、この収容部2aの押さえ部材9cが下降して、載置台8上のボトル6が押し下げられる。これによって、ターンテーブル2の上面から陥没した載置台8の周囲と、保持アーム9dの把持とによって、ボトル6が保持される。
【0028】
収容部2aの回転角θがθ2に到達すると、ガイドレール11aが徐々に隆起し始める。これによって、ガイドレール11aと係合したローラ11bと連動して基部14および突き上げパンチ10が上方に変位し、アクチベート加工の準備状態になる。この準備状態において、突き上げパンチ10の先端は反転部6eの極近傍まで上昇するが、反転部6eの突き上げるまでには至らない。
【0029】
収容部2aの回転角θがθ3に到達すると、この位置θ3に設けられた不良検出センサ5aを用いて、アクチベート加工前の不良検査(ボトム検査)が行われる。図6に示すように、ボトル6の反転部6eが適切に突出している正常状態では、反転部6eと接触した突き上げパンチ10が付勢部材15の付勢力に抗して下降し、増幅テコ12の一端12bを押し下げる。これによって、水平だった増幅テコ12は右上がりの状態に変化する。増幅テコ12が右上がりになると、増幅テコ12の他端12cが不良検出センサ5aと対向する。これにより、不良検出センサ5aがオンになる。不良検出センサ5aがオンの場合には、ボトム検査の判定結果が良(正常)とされる。これに対して、図7に示すように、反転部6eが適切に突出していない異常状態(完全または不完全な陥没状態)では、付勢部材15の付勢力によって突き上げパンチ10が正常状態よりも上昇し、増幅テコ12は正常状態よりも水平に近い状態に留まる。この場合、増幅テコ12の他端12cが不良検出センサ5aと対向しないので、不良検出センサ5aがオフになる。不良検出センサ5aがオフの場合には、ボトム検査の判定結果が不良とされる。このように、増幅テコ12を用いることによって、その一端12b側の一次変位量a1が微小であっても、不良検出センサ5aの検出対象となる他端12c側の二次変位量a2が十分に大きくなる。例えば、テコの長さ比が1:5の場合、2mm程度の一次変位量a1は10mm程度の二次変位量a2に増幅される。増幅された二次変位量a2を検出対象とすることで、アクチベート加工前におけるボトム検査を精度よく行うことができる。
【0030】
その後、θ4からθ5までの範囲において、突き上げパンチ10を例えば10mm程度上昇させるとともに、θ6からθ7までの範囲において、突き上げパンチ10を数mm程度下降させる。これにより、アクチベート加工が行われ、ボトル6の反転部6eが突き上げパンチ10によって突き上げられる。
【0031】
その後、収容部2aの回転角θがθ8に到達すると、この位置θ8に設けられた不良検出センサ5bを用いて、アクチベート加工後の不良検査(反転検査)が行われる。図8に示すように、ボトル6の反転部6eが適切に陥没している正常状態では、付勢部材15の付勢力によって突き上げパンチ10が上昇し、増幅テコ12が水平になる。この場合、増幅テコ12の他端12cは不良検出センサ5bと対向するので、不良検出センサ5bがオンになる。不良検出センサ5bがオンの場合には、判定結果が良(正常)とされる。これに対して、図9に示すように、反転部6eが適切に陥没していない異常状態では、反転部6eと接触した突き上げパンチ10が付勢部材15の付勢力に抗して下降し、増幅テコ12の一端12bを押し下げる。これによって、増幅テコ12は右上がりの状態になる。この場合、増幅テコ12の他端12cは不良検出センサ5bと対向しないので、不良検出センサ5bがオフになる。不良検出センサ5bがオフの場合には、判定結果が不良とされる。上述したボトム検査と同様、増幅テコ12によって増幅された二次変位量a2を検出対象とすることで、アクチベート加工後の反転検査を精度よく行うことができる。
【0032】
そして、収容部2aの回転角θ(搬送位置)がθ9に到達すると、この収容部2aにおける押さえ部材9cが上昇して、載置台8が上昇位置に復帰する。最後に、収容部2aが排出位置(θ=θout)に到達すると、収容部2a内のボトル6が図1に示した排出ターレット3cに送り出され、これによって一連のアクチベート加工が終了する。
【0033】
このように、本実施形態によれば、反転部6eの状態不良を検出するための不良検出センサ5a,5bを突き上げパンチ10毎に個別に設けるのではなく、すべての突き上げパンチ10で共有化し、突き上げパンチ10が所定の搬送位置θ3,θ8を通過する毎に、突き上げパンチ10の昇降位置がその都度検出される。不良検出センサ5a,5bの検出タイミングは、ターンテーブル2の回転速度と、収容部2aの間隔とが既知であることを前提に、制御上一義的に特定される。したがって、不良検出センサ5a,5bによる不良検出は、ターンテーブル2の回転と同期したタイミングで連続して行うことができる。不良検出センサ5a,5bの共有化を図ることで、センサやこれに付帯するスプリング等の機械部品の点数、センサに接続される信号線の本数等が削減され、これにより不良検出機構を簡略化できる。それとともに、消耗品の交換、センサの動作不良またはセンサの調整に関する労力を軽減できるので、メンテナンス性の向上も図れる。
【0034】
また、本実施形態によれば、突き上げパンチ10自身の一次変位量a1が増幅テコ12によって増幅されるので、突き上げパンチ10の変位が微小であっても不良検出センサ5a,5bで正確に検出することができる。これにより、高価なセンサを用いなくても、或いは、センサの調整に必要以上の労力を掛けなくても、反転部6eの不良検出を精度よく行うことができる。なお、この効果に着目する場合には、不良検出センサ5a,5bを共有化することは必須ではなく、従来技術で述べたような収容部毎(突き上げパンチ毎)に設けられたセンサであっても適用することができる。
【0035】
なお、上述した実施形態では、搬送路としてターンテーブル2を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、直線状を含む任意の搬送路であっても同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように、本発明に係る不良検出機構は、上述したボトルに限定されるものではなく、反転部が設けられた様々な形状の容器に対して広く適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 搬送装置
2 ターンテーブル
3 投入機構
4 排出機構
5,5a,5b 不良検出センサ
6 ボトル
7 容器突き上げ装置
8 載置台
9 保持機構
10 突き上げパンチ
11 昇降機構
12 増幅テコ
13,15,17 付勢部材
14 基部
16 スライド棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の底部から外側に突出した反転部を突き上げて、前記容器の内側に反転させる容器突き上げ装置において、
それぞれが搬送路上を移動し、それぞれに前記容器が載置される複数の載置台と、
前記載置台のそれぞれに対応して設けられ、前記載置台の上に載置された前記容器の前記反転部を個別に反転させる複数の突き上げパンチと、
前記突き上げパンチのそれぞれを昇降させる昇降機構と、
前記突き上げパンチのそれぞれを上方に付勢することによって、前記突き上げパンチの昇降位置を前記反転部の形状に追従させる付勢部材と、
前記搬送路における所定の搬送位置に設けられており、当該所定の搬送位置を前記突き上げパンチが通過する毎に、当該突き上げパンチの昇降位置を検出する不良検出センサと
を有することを特徴とする容器突き上げ装置。
【請求項2】
容器の底部から外側に突出した反転部を突き上げて、前記容器の内側に反転させる容器突き上げ装置において、
前記容器が載置される載置台が周方向に複数設けられた回転自在なターンテーブルと、
前記載置台のそれぞれに対応して設けられ、前記載置台の上に載置された前記容器の前記反転部を個別に反転させる複数の突き上げパンチと、
前記突き上げパンチのそれぞれを昇降させる昇降機構と、
前記突き上げパンチのそれぞれを上方に付勢することによって、前記突き上げパンチの昇降位置を前記反転部の形状に追従させる付勢部材と、
前記ターンテーブルにおける所定の搬送位置に設けられており、当該所定の搬送位置を前記突き上げパンチが通過する毎に、当該突き上げパンチの昇降位置を検出する不良検出センサと
を有することを特徴とする容器突き上げ装置。
【請求項3】
前記載置台のそれぞれに対応して設けられ、前記突き上げパンチの変位を個別に増幅させる複数の増幅テコをさらに有し、
前記不良検出センサは、前記昇降位置として、前記増幅テコによって変位が増幅された位置を検出することを特徴とする請求項1または2に記載された容器突き上げ装置。
【請求項4】
前記不良検出センサは、前記増幅テコによって変位が増幅された端部と対向しているか否かを検出する非接触センサであることを特徴とする請求項3に記載された容器突き上げ装置。
【請求項5】
前記不良検出センサは、前記反転部を反転させる前の搬送位置、および、前記反転部を反転させた後の搬送位置の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載された容器突き上げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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