説明

容器

【課題】部品点数や製造工程を簡素化し、構成の簡略化を図ると共に、圧力開放の安定した作動性を確保すること。
【解決手段】内容物が収容される容器本体2と、該容器本体の口部2bに装着された蓋体3と、を備え、蓋体が、容器本体の開口を覆う蓋本体20と、口部に外嵌可能とされ、容器軸O回りの回転によって口部に形成された係合部10に係合させられる被係合体21と、容器本体に対して蓋本体を上方移動可能に、蓋本体と被係合体とを互いに連結する弾性連結部22と、を備え、蓋本体と被係合体との間には、被係合体に対する蓋本体の上方移動量と、容器軸を中心とした被係合体に対する蓋本体の回転移動量と、をそれぞれ規制する規制部30が形成されている容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液状の食品や調味料等の内容物を容器に収容する場合、経時変化や温度等の環境変化に伴って、内容物から揮発成分が生じたり内容物の体積が膨張したりする等して、容器の内圧が上昇することがある。また、例えば2剤を混合して使用する毛染め液の場合、2剤混合後にガスが発生する場合があり、容器内で混合した混合液を使い切らずに保存した場合等に容器内の内圧が上昇することとなる。
このように容器の内圧が高まってしまった場合には、内容物が意図せずに容器の外部へ飛散したり、キャップ等が開いて容器が開封されたりすることがある。
【0003】
そこで、このような不具合を防止するためのものの1つとして、例えば特許文献1に記載されているような、容器本体の口部にキャップ(蓋体)が被着された容器が知られている。
この容器は、容器本体の口部に装着されるキャップ本体に透孔を形成し、キャップ本体の裏面において前記透孔に対向する位置に弁部材を嵌着して、容器の内圧が高まった場合に、弁部材とキャップ本体との間に隙間を生じさせると共に、前記隙間に連通する透孔からその圧力を容器の外部に開放するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−182425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の容器では、キャップ本体と弁部材とが別体とされていることから、部品点数が嵩むと共に、製造時にこれらの部材を組み立てる工程が必要となる。また、これらの部材の組み立て工程において、部材同士の相対位置に僅かな差が生じることがあり、作動圧力の精度を確保することが難しい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、部品点数や製造工程を簡素化し、構成の簡略化を図ると共に、圧力開放の安定した作動性を確保することができる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る容器は、内容物が収容される容器本体と、該容器本体の口部に被着された蓋体と、を備えた容器であって、前記蓋体が、前記容器本体の開口を覆う蓋本体と、容器軸回りの回転によって前記口部に形成された係合部に係合させられ、該口部に装着される被係合体と、前記容器本体に対して前記蓋本体を上方移動可能に、該蓋本体と前記被係合体とを互いに連結する弾性連結部と、を備え、前記蓋本体と前記被係合体との間には、前記被係合体に対する前記蓋本体の上方移動量と、前記容器軸を中心とした被係合体に対する蓋本体の回転移動量と、をそれぞれ規制する規制部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る容器によれば、容器の内圧が上昇した場合には、蓋体に作用した圧力によって弾性連結部が弾性変形するので、該弾性連結部を介して被係合体に連結された蓋本体が押し上げられ、容器本体に対して上方移動する。これにより、上方移動によって蓋本体と容器本体との間に画成された隙間等を利用して内圧を容器外に逃すことができるので、容器の内圧が高まった場合でも、不用意に内容物が容器外に飛散したり、蓋体が容器本体から離脱したりすることを抑制することができる。
特に、弾性連結部を利用して蓋本体と被係合体とを一体的に組み合わせて蓋体を構成しているので、部品点数を削減することができるうえ、蓋本体と被係合体とを製造段階で精度良く組み立てるといった手間が不要である。従って、製造工程を簡素化して構成の簡略化を図ることができると共に、圧力開放の安定した作動性を確保することができる。
【0009】
また、規制部が被係合体に対する蓋本体の上方移動量を規制しているので、蓋本体が過度に上方移動してしまうことを抑制でき、弾性連結部に破損等が生じ難い。
また、容器の開封や、開封した容器を密封する場合には、容器本体と蓋体とを容器軸回りに相対的に回転させ、被係合体を係合部に係合させたり該係合を解除したりするが、この場合であっても、規制部が被係合体に対する蓋本体の回転移動量を規制する。そのため、蓋本体と被係合体とが周方向に過度に回転ずれしてしまうことを抑制でき、やはり弾性連結部に破損等が生じ難い。
【0010】
(2)また、上記本発明に係る容器において、前記規制部が、前記蓋本体の上方移動量及び回転移動量を前記弾性連結部の弾性変形量以下に規制しても良い。
【0011】
この場合には、規制部が被係合体に対する蓋本体の上方移動量及び回転移動量を弾性連結部の弾性変形量以下に規制するので、弾性連結部にかかる負荷を抑えて該弾性連結部に不正変形が生じたり、弾性特性が変化したりすることを防ぐことができる。従って、弾性連結部の品質を維持することができ、蓋本体を滑らかに上方移動させて、圧力開放の安定した作動性をより確実なものにすることができる。
【0012】
(3)また、上記本発明に係る容器において、前記被係合体が、前記口部の全周を径方向外側から囲繞するように環状に形成されていても良い。
【0013】
この場合には、被係合体が環状に形成されているので、該被係合体自体の剛性を高めることができ、容器の開封や密封を行う際の操作性を向上することができる。
また、容器の内圧の上昇により、仮に容器本体の口部に該口部を拡径させるような力が作用したとしても、それに伴って被係合体の形状が変形し難い。従って、被係合体と係合部との係合が解除され難く、蓋本体が容器本体から離脱してしまうことを抑制することができる。
【0014】
(4)また、上記本発明に係る容器において、前記蓋体には、前記被係合体を径方向外側から支持するカバー体が設けられていても良い。
【0015】
この場合には、カバー体により、被係合体が径方向外側に移動したり膨らんだりしてしまうことを抑制することができ、被係合体と係合部との係合がより解除され難く、蓋本体が容器本体から離脱してしまうことをより効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る容器によれば、部品点数や製造工程を簡素化して構成の簡略化を図ることができると共に圧力開放の安定した作動性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る容器の実施形態を示す半縦断面図である。
【図2】図1に示す容器本体の半縦断面図である。
【図3】図1に示す状態から内圧が上昇し、蓋本体の上方移動により圧力を逃がしている状態を示す図である。
【図4】本発明に係る容器の変形例を示す半縦断面図である。
【図5】本発明に係る容器の別の変形例を示す半縦断面図である。
【図6】図5に示す状態から内圧が上昇し、蓋本体の上方移動により圧力を逃がしている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る容器の実施形態について、図1から図6を参照して説明する。
本実施形態の容器1は、図1に示すように、図示しない内容物が収容される容器本体2と、該容器本体2の口部2bに着脱自在に装着された蓋体3と、を備えている。
【0019】
なお本実施形態では、容器本体2は有底筒状に形成されると共に、蓋体3は有頂筒状に形成され、容器本体2及び蓋体3は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿った蓋体3側を上側といい、容器本体2側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
容器本体2は、図2に示すように、円筒状の胴部2aと、胴部2aの上端部に連設された口部2bと、胴部2aの下端部を閉塞する底部2cと、を備えている。
口部2bには、蓋体3の被係合体21が着脱自在に係合される係合部10が、周方向に間隔を開けて複数形成されている。具体的には、容器軸O回りに90度の間隔を開けて4つ形成されている。
これら係合部10は、口部2bの下端部から上方に向かって伸びた第1凸部10aと、この第1凸部10aの上端部から周方向の一方に向かって斜め上方に延びた第2凸部10bと、で構成され、図1に示すように、第1凸部10aと第2凸部10bとの間に画成された溝部11に被係合体21の係合凸部25が入り込むことで、該被係合体21が係合されている。
【0021】
蓋体3は、容器本体2の開口を覆って内容物を密封する部材であり、容器本体2の開口を覆う蓋本体20と、容器軸O回りの回転によって上記係合部10に係合させられて、容器本体2の口部2bに外嵌される被係合体21と、容器本体2に対して蓋本体20を上方移動可能に、該蓋本体20と被係合体21とを互いに連結する弾性連結部22と、を備えている。
【0022】
蓋本体20は、容器本体2の口部2bの上端部に外嵌された外筒部20aと、該外筒部20aよりも小径とされると共に上方に向けてドーム状に膨らんだ頂壁部20bと、これら頂壁部20bと外筒部20aとを連結し、且つ口部2bの上端開口縁上に配置された段部20cと、を備えている。
頂壁部20bの下端には、容器本体2の口部2b内に液密に嵌合するシール筒部20dが下方に向けて延設されており、シール筒部20dの外周面が口部2bの内周面に全周に亘って密接している。また、段部20cの下面は、口部2bの全周に亘って該口部2bの上端開口縁に当接している。
【0023】
被係合体21は、容器本体2の口部2bの全周を径方向外側から囲繞するように環状に形成されていると共に、上記蓋本体20の外筒部20aの下方に間隔を開けて配設されている。そして、この被係合体21には、口部2bに形成された複数の係合部10に各別に係合される係合凸部25が径方向内側に向けて複数突設されている。
これら係合凸部25は、係合部10の数に対応して容器軸O回りに90度の間隔を開けて4つ形成されており、各係合凸部25はそれぞれ第2凸部10bに対して平行に傾斜した状態で延在している。これにより、蓋体3の容器軸O回りの回転によって、係合部10の第1凸部10aと第2凸部10bとの間に画成された溝部11に係合凸部25が入り込んだ状態で係合されている。
【0024】
上記弾性連結部22は、被係合体21と蓋本体20の外筒部20aとの間に配設されて、被係合体21と蓋本体20とを互いに連結している。本実施形態の弾性連結部22は、容器軸O回りに90度の間隔を開けて4箇所に配設され、この4箇所で被係合体21と蓋本体20とを連結している。また、この弾性連結部22は、この容器1の側面視で周方向に長いリング状に形成されており、その上側の一部が蓋本体20の外筒部20aの下端に連結され、下側の一部が被係合体21の上端に連結されている。
また、弾性連結部22は、周方向において係合凸部25と同じ位置に形成することが好ましい。
これにより、蓋本体20は、弾性連結部22の弾性変形を利用して、被係合体21に対して上方移動及び周方向移動が可能とされている。
【0025】
ところで、蓋本体20と被係合体21との間には、被係合体21に対する蓋本体20の上方移動量と、容器軸Oを中心とした被係合体21に対する蓋本体20の回転移動量と、を弾性連結部22の弾性変形量以下に規制する規制部30が形成されている。
詳細に説明すると、蓋本体20の外筒部20aの下端には、各弾性連結部22の周方向の両側に間隔を開けてそれぞれ配設され、且つ下方に向けて突設された第1ストッパ爪31と、これら第1ストッパ爪31と弾性連結部22との間にそれぞれ配設され、且つ下方に向けて突設された第2ストッパ爪32と、が連設されている。
【0026】
また、被係合体21の上端には、第1ストッパ爪31と第2ストッパ爪32との間にそれぞれ配設され、且つ上方に向けて突設された第3ストッパ爪33と、周方向に互いに隣り合う第1ストッパ爪31同士間に配設され、且つ上方に向けて突設された第4ストッパ爪34と、が連設されている。
【0027】
そして、上記各ストッパ爪31、32、33、34間、及び各ストッパ爪31、32、33、34と外筒部20aの下端又は被係合体21の上端との間には、隙間が確保されている。
また、上記第2ストッパ爪32の下端部には、第3ストッパ爪33に向けて突出した突起部32aが形成されている。また、第3ストッパ爪33の上端部には、第2ストッパ爪32に向けて突出した突起部33aが形成されている。そして、これら第2ストッパ爪32の突起部32aと第3ストッパ爪33の突起部33aとは、上下方向に対向するように配置され、蓋本体20の上方移動時に互いに接触して、それ以上の蓋本体20の上方移動を規制する上下ストッパとして機能している。
その際、第2ストッパ爪32の突起部32aと第3ストッパ爪33の突起部33aとは、弾性連結部22が弾性変形限界を超える前に接触するように設計されている。
【0028】
また、第1ストッパ爪31と第3ストッパ爪33との間の隙間、及び第1ストッパ爪31と第4ストッパ爪34との間の隙間は、第2ストッパ爪32と第3ストッパ爪33との間の隙間よりも小さく形成されている。そのため、第1ストッパ爪31は、被係合体21に対して蓋本体20が周方向に回転した際に、第2ストッパ爪32と第3ストッパ爪33とが接触するよりも先に第3ストッパ爪33又は第4ストッパ爪34に接触して、それ以上の蓋本体20の回転移動を規制する回転ストッパとして機能している。
その際、第1ストッパ爪31は、弾性連結部22が弾性変形限界を超える前に第3ストッパ爪33又は第4ストッパ爪34に接触するように設計されている。
【0029】
このように本実施形態では、上下ストッパとして機能する第2ストッパ爪32の突起部32a及び第3ストッパ爪33の突起部33aと、回転ストッパとして機能する第1ストッパ爪31と、が上記規制部30として機能する。
【0030】
次に、以上のように構成された容器1の作用について説明する。
はじめに、この容器1では、蓋体3の段部20cの下面が容器本体2の口部2bの上端開口縁に密接し、且つ蓋体3のシール筒部20dの外周面が口部2bの内周面に全周に亘って密接することで、蓋体3と口部2bとの間のシール性が確保され、容器1の内部が密封されている。
【0031】
ここで、容器1の内圧が上昇した場合には、蓋本体20に該蓋本体20を押し上げるような力が作用すると共に、この力が弾性連結部20に伝わって該弾性連結部が弾性変形する。これにより、図3に示すように弾性連結部22を介して被係合体21に連結された蓋本体20が押し上げられ、容器本体2に対して上方移動する。すると、この上方移動によって、蓋体3の段部20cの下面と容器本体2の口部2bの上端開口縁とが離間し、この両者の間の隙間を利用して容器1の内部と外部とを連通させることができるので、図3に示す矢印のように内圧を容器1の外部に逃すことができる。
そのため、容器1の内圧が高まった場合でも、不用意に内容物が容器1外に飛散したり、蓋体3が容器本体2から離脱したりすることを抑制することができる。
【0032】
特に、弾性連結部22を利用して蓋本体20と被係合体21とを一体的に組み合わせて蓋体3を構成しているので、部品点数を削減することができるうえ、蓋本体20と被係合体21とを製造段階で精度良く組み立てるといった手間が不要である。従って、製造工程を簡素化して構成の簡略化を図ることができると共に、圧力開放の安定した作動性を確保することができる。
【0033】
また、弾性連結部22が弾性変形することで蓋本体20が上方移動可能とされるが、規制部30によって被係合体21に対する蓋本体20の上方移動量を弾性連結部22の弾性変形量以下に規制することができる。つまり、蓋本体20の上方移動時に、図3に示すように、第2ストッパ爪32の突起部32aと第3ストッパ爪33の突起部33aとが、弾性連結部22が弾性変形限界を超える前に互いに接触して、それ以上の蓋本体20の上方移動を規制する。
【0034】
これにより、蓋本体20が過度に上方移動してしまうことを抑制でき、弾性連結部22にかかる負荷を抑えて該弾性連結部22に不正変形や破損等が生じたり、弾性特性が変化(劣化)したりすることを防ぐことができる。
従って、弾性連結部22の品質を維持することができ、蓋本体20を滑らかに上方移動させて、圧力開放の安定した作動性を確保することができる。
【0035】
ところで、本実施形態の容器1を開封する場合や、開封した容器1を再度密封する場合には、容器本体2と蓋体3とを容器軸O回りに相対的に回転させ、係合凸部25を利用して被係合体21を係合部10に係合させたり、該係合を解除したりするが、この場合であっても、規制部30が被係合体21に対する蓋本体20の回転移動量を弾性連結部22の弾性変形量以下に規制することができる。
つまり、第1ストッパ爪31が、第3ストッパ爪33又は第4ストッパ爪34に接触するので、それ以上の蓋本体20の回転移動を規制する。そのため、蓋本体20と被係合体21とが周方向に過度に回転ずれしてしまうことを抑制でき、やはり弾性連結部22に不正変形等が生じてしまうことを防ぐことができる。この点においても、弾性連結部22の品質を維持することができ、上述した圧力開放の安定した作動性の確保に繋げることができる。
【0036】
なお、内圧が外部に逃された後には、弾性連結部22の弾性復元力によって蓋本体20が復元移動(下方移動)させられて、蓋本体20の段部20cの下面が口部2bの上端開口縁に対して密接する。これにより、再度シール性が確保され、容器1が密封される。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の容器1によれば、部品点数や製造工程を簡素化して構成の簡略化を図ることができると共に、弾性連結部22の品質を維持しながら圧力開放の安定した作動性を確保することができる。
また、本実施形態の被係合体21は環状に形成されているので、被係合体21自体の剛性を高めることができ、容器1の開封や密封を行う際の操作性を向上することができる。また、容器1の内圧の上昇により、仮に容器本体2の口部2bに該口部2bを拡径させるような力が作用したとしても、それに伴って被係合体21の形状が変形し難い。従って、被係合体21の係合凸部25と係合部10との係合が解除され難く、蓋本体20が容器本体2から離脱してしまうことを抑制することができる。
【0038】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0039】
例えば、上記実施形態において、容器本体2を円筒状としたが、有底筒状であれば断面楕円状や、断面角形状にしても構わない。この場合には、容器本体2の形状にあわせて、蓋体3の形状を適宜変更すれば良い。また、蓋本体20の頂壁部20bをドーム状としたが、この形状に限定されるものではない。
【0040】
また、係合部10、係合凸部25及び弾性連結部22を容器軸O回りに90度毎4つ形成したが、この数に限定されるものではなく、自由に設計して構わない。特に、容器軸Oを挟んで径方向に互いに向かい合うように係合部10、係合凸部25及び弾性連結部22をそれぞれ2つずつ配設した場合には、製造時に使用する成形用金型の構成の簡略化を図り易いので、好ましい。
また、係合部10の第2凸部10bを、第1凸部10aの上端部から周方向の一方に向かって斜め上方に延びるように形成したが、第1凸部10aの上端部から周方向の一方に向かって水平に延びるように形成しても構わない。
【0041】
また、弾性連結部22の形状は、側面視リング状に限られるものではなく、蓋本体20と被係合体21とを弾性変形自在に連結できればどのような形状であっても構わない。例えば、蛇腹状に湾曲が繰り返された形状でも構わない。
【0042】
また、上記実施形態では、第2ストッパ爪32の突起部32aと第3ストッパ爪33の突起部33aとを上下ストッパとして機能させ、第1ストッパ爪31を回転ストッパとして機能させたが、上下ストッパと回転ストッパとを各別に機能させるのではなく、同時に機能するように構成しても構わない。
【0043】
例えば、図4に示すように、第2ストッパ爪32の突起部32aと第3ストッパ爪33との間の隙間、及び第3ストッパ爪33の突起部33aと第2ストッパ爪32との間の隙間を狭くして、蓋本体20の周方向への回転時に、弾性連結部22が弾性変形限界を超える前に、第2ストッパ爪32と第3ストッパ爪33とが接触するように設計すれば良い。
こうすることで、第2ストッパ爪32及び第3ストッパ爪33に、上下ストッパ及び回転ストッパとしての機能を兼用させることができるので、第1ストッパ爪31及び第4ストッパ爪34を省略することができ、規制部30としての構成の簡略化を図ることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、被係合体21を環状に形成したが、口部2bに形成された係合部10に係合されるのであれば、環状でなくても構わない。
例えば、図5に示すように、被係合体21を周方向に長い帯状に形成し、容器軸O回りに90度毎に4つ配設しても構わない。この際、それぞれの被係合体21には係合凸部25が形成されており、該係合凸部25を利用して口部2bに形成された係合部10に係合されている。
【0045】
また、この場合、容器本体2の外筒部20aの下端には、各被係合体21を収容する4つの収容開口40aが形成された環状のストッパ筒40が連結されている。
そして、このストッパ筒40の4つの収容開口40a内に、被係合体21がそれぞれ隙間を開けた状態で収容されている。これにより、収容開口40aの開口縁部は、被係合体21の周方向両端部21aに対して周方向から対向すると共に、被係合体21の下端部21bに対して下方向から対向している。
【0046】
よって、収容開口40aの開口縁部と、被係合体21の周方向両端部21a及び下端部21bとは、被係合体21に対する蓋本体20の上方移動量と、容器軸Oを中心とした被係合体21に対する蓋本体20の回転移動量と、を規制する規制部30として機能する。
【0047】
また、蓋本体20には、環状のリングカバー(カバー体)41が装着されている。詳細には、このリングカバー41は、蓋本体20の外筒部20a及びストッパ筒40を径方向外側から囲むように被着されており、上端部が蓋本体20の段部20c上に係合し、且つ下端部がストッパ筒40の下端部にアンダーカット嵌合されている。
そのためリングカバー41は、被係合体21を径方向外側から支持し、該被係合体21が径方向外側に移動したり、膨らんだりしてしまうことを抑制している。
【0048】
このように構成されている場合であっても、図6に示すように、容器本体2に対して蓋本体20を上方移動させて、図中の矢印のように容器1の内圧を外部に逃すことができる。また、蓋本体20と共にストッパ筒40も上方移動するので、収容開口40aの開口縁部が被係合体21の下端部21bに接触して蓋本体20の上方移動量を規制することができる。
また、リングカバー41で段部20cとストッパ筒40の下端部とを挟持することによっても、蓋本体20の上方移動量を規制することができる。
なお、被係合体21に対して蓋本体20が周方向に回転した場合であっても、被係合体21の周方向両端部21aに収容開口40aの開口縁部が接触するので、被係合体21に対する蓋本体20の回転移動量を規制することができる。
【0049】
更に、内圧の上昇によって、容器本体2の口部2bに該口部2b拡径させるような力が作用したとしても、被係合体21が径方向外側に移動したり膨らんだりしてしまうことをリングカバー41によって抑制することができる。
従って、被係合体21が環状に形成されていない場合であっても、被係合体21の係合凸部25と係合部10との係合が解除され難く、蓋本体20が容器本体2から離脱してしまうことを抑制することができる。
【符号の説明】
【0050】
O…容器軸
1…容器
2…容器本体
2b…容器本体の口部
3…蓋体
10…係合部
20…蓋本体
21…被係合体
22…弾性連結部
30…規制部
41…リングカバー(カバー体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
該容器本体の口部に被着された蓋体と、を備えた容器であって、
前記蓋体は、
前記容器本体の開口を覆う蓋本体と、
容器軸回りの回転によって前記口部に形成された係合部に係合させられ、該口部に装着される被係合体と、
前記容器本体に対して前記蓋本体を上方移動可能に、該蓋本体と前記被係合体とを互いに連結する弾性連結部と、を備え、
前記蓋本体と前記被係合体との間には、前記被係合体に対する前記蓋本体の上方移動量と、前記容器軸を中心とした被係合体に対する蓋本体の回転移動量と、をそれぞれ規制する規制部が形成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器において、
前記規制部は、前記蓋本体の上方移動量及び回転移動量を前記弾性連結部の弾性変形量以下に規制していることを特徴とする容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容器において、
前記被係合体は、前記口部の全周を径方向外側から囲繞するように環状に形成されていることを特徴とする容器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の容器において、
前記蓋体には、前記被係合体を径方向外側から支持するカバー体が設けられていることを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−251696(P2011−251696A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124816(P2010−124816)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】