説明

容器

【課題】容器の変形を防ぐと共に、角部に隙間が生じることを防ぐことができる。
【解決手段】前面板2と、前面板2底部と第一の折線6を介して連接する後面板3と、前面板2の側部と第二の折線7を介して連接する糊代板4とを備え、後面板3が第一の折線6で折り返されて前面板2と接触し、糊代板4が第二の折線7で折り返されて後面板3に接着されて、第一の折線6と同一直線状で連続する第三の折線8を介して糊代板4の底部と連接すると共に、後面板3が折り返された状態で第二の折線7と重なる第四の折線9を介して後面板3の側部と連接する折込板5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関し、特に、調理済みの食品を収容し保温状態で陳列される容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどに調理済みの食品を保温した状態で陳列するショーケースが置かれている。これらのショーケースに陳列される例えばフライドポテトなどの食品は紙製の容器に収容されていて、紙製の容器には紙シートを箱状に組み立てたものや、紙シートを折りたたんで袋状にしたものなどがよく使用されている。
また、容器に収容された食品を加熱するための容器も提案されており、特許文献1によれば、少量の食品を電子レンジで加熱するためのパッケージが提案されている。このパッケージは水平表面に対して約0°から約90°の間の角度でパッケージを支持する手段を備えていて、食品を良好な状態に加熱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2002−537198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の容器では以下のような問題があった。
従来の、紙シートを組み立てたり折りたたんだりして形成された容器では、時間の経過と共に下部側が弛んでしまい容器が変形して倒れることがあった。また、紙シートを組み立てたり折りたたんだりした容器には隙間ができてしまい、特に容器の下部側に隙間がある場合には、食品から出た油分や液分がこの隙間から流出しショーケースや店内また使用者の衣類などを汚してしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述する事情に鑑みてなされたもので、変形を抑制できると共に、下部側に隙間がない容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る容器は、前面板と、前面板の底部と第一の折線を介して連接する後面板と、前面板の側部と第二の折線を介して連接する糊代板とを備え、第一の折線で後面板が前面板側に折り返されて、第二の折線で糊代板が後面板側に折り返されて後面板に接着され、前面板と後面板との間に収容物が収容される容器であって、第一の折線と同一直線状で連続する第三の折線を介して糊代板と連接すると共に、後面板が折り返された状態で第二の折線と重なる第四の折線を介して後面板と連接する折込板を備えることを特徴とする。
本発明では、第一の折線と同一直線状で連続する第三の折線を介して糊代板と連接すると共に、後面板が折り返された状態で第二の折線と重なる第四の折線を介して後面板と連接する折込板を備えている。そして、後面板および糊代板が折り返されると、折込板が前面板と後面板との間の下部側に重なって折り込まれるので、前面板と後面板との間の下部側の強度を高めることができると共に、前面板と後面板との間の下部側の隙間を無くすことができる。
【0007】
また、本発明に係る容器では、前記折込板は前記後面板に接着されることを特徴とする。
本発明では、折込板は後面板に接着されることにより、折込板と後面板との間の隙間をなくすことができる。
【0008】
また、本発明に係る容器では、前記前面板または前記後面板の上部には第五の折線を介して蓋板が連接されていてもよい。
本発明では、蓋板を設けることによって、容器の開口を覆うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、後面板および糊代板が折り返されると、折込板が前面板と後面板との間の下部側に糊代板と重なって折り込まれるので、前面板と後面板との間の下部側の強度が高まり容器の変形による転倒を防ぐと共に、前面板と後面板との間の下部側の隙間を無くして、収容物が前面板と後面板との間から流出することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施の形態による容器の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す容器の展開平面図である。
【図3】(a)、(b)は容器の形成方法を説明する図である。
【図4】第二の実施の形態による容器の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第一の実施の形態による容器について、図1乃至図3に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による容器1は、例えばフライドポテトなどの調理済みの食品(収容物)などを収容する容器で、図2に示すような形抜きされた一枚の紙シート10を折線で折り込み、所定の位置を接着して形成された折り込み容器である。
図1、2に示すように、容器1は、前側に位置する前面板2と、後側に位置する後面板3と、前面板2と連接する糊代板4と、後面板3および糊代板4と連接する折込板5とから概略構成されている。なお、本実施の形態では、容器1が形成された際に底部となる側を下側とし、開口を有する側を上側として以下説明する。
【0012】
図2に示すように、前面板2は、下側の辺が上側の辺よりも短い略台形をしている。前面板2は上端部に凹凸が設けられている。なお、この凹凸部は無くてもよい。
後面板3は、前面板2と同形の略台形が側部の上部側が切除された形状をしており、凹部3aが形成されている。後面板3は、その下側が前面板2の下側と第一の折線6を介して連接している。
後面板3は第一の折線6を介して前面板2側に折り返される。
【0013】
図3(a)に示すように、前面板2には、第一の折線6で折り返された後面板3が重なった際に、後面板3の凹部3aに対応する部分に、その上端部から下方に向かう曲線状の前面板折り曲げ線2aが型押しされている。前面板折り曲げ線2aの下端部は、後述する折込板5の上端部の高さか、この上端部のやや上方に位置している。前面板折り曲げ線2aは、その線上で前面板2を折り曲げやすくするためのものである。
【0014】
図2に示すように、糊代板4は、前面板2の側部と第二の折線7を介して連接していて、前面板2の幅寸法の、例えば約1/4ないし約1/2の幅に形成されている。
糊代板4は、第一の折線6で折り返された状態の後面板3側に第二の折線7で折り返されて、後面板3に接着される。
糊代板4には、前面板折り曲げ線2aを第二の折線7を基準として反転させた位置に糊代板折り曲げ線4aが型押しされている。糊代板折り曲げ線4aは、その線上で糊代板4を折り曲げやすくするためのものである。
【0015】
折込板5は、糊代板4と第三の折線8を介して連接する共に、後面板3と第四の折線9を介して連接している。
第三の折線8は、第一の折線6と同一直線状で連続している。後面板3が第一の折線6で折り返されると、折込板5も第三の折線8で糊代板4側に折り返されて糊代板4と折込板5とは重なった状態となる。
第四の折線9は、後面板3および折込板5が第一および第三の折線6、8で折り返された状態で、第二の折線7と重なる位置に設けられている。
折込板5が第三の折線8で折り返されて、重なった状態となった折込板5と糊代板4とが第二および第四の折線7、9で後面板3側に折り返される。
第四の折線9は、上側の先端部が5mm程切り込まれていてスリット9aが形成されている。
【0016】
次に、上述した紙シート10から容器1を形成する方法を説明する。
まず、図3(a)に示すように、第一の折線6で後面板3を折り返し、後面板3が前面板2と重なった状態とする。このとき折込板5も第三の折線8で折り返されて、折込板5が糊代板4に重なった状態となる。
次に、重なる位置に設けられた第二および第四の折線7、9で糊代板4および折込板5を図3(b)に示すように後面板3側に折り返す。このとき、第四の折線9にスリット9a(図3(a)参照)が形成されていることにより、第四の折線9での折込板5の折り返し時の抵抗が軽減される。
そして、糊代板4および折込板5と後面板3とが接触する部分を接着剤などで接着する。このとき、糊代板4のみを後面板3に接着してもよい。
そして、前面板2と後面板3との間を上側から広げ、前面板2および糊代板4を前面板折り曲げ線2aおよび糊代板折り曲げ線4aで折り曲げることにより、前面板2と後面板3との間に間隔ができて、図1に示すような容器1が形成される。
このとき、後面板3と糊代板4とが折り返されると折込板5も折り込まれて、前面板2と後面板3との間の底部側には、糊代板4と折込板5とが重なって設置された状態となる。
【0017】
次に、上述した第一の実施の形態による容器1の作用効果について図面を用いて説明する。
本実施の形態の容器1によれば、容器1は、前面板2と後面板3との間の底部側に糊代板4と折込板5とが重なって設置されていることにより、底部側が補強されて損傷や変形を抑制が抑制され、変形による転倒を防ぐことができる作用効果を奏する。
また、容器1の底部は、折り込んだ前面板2と後面板3で仕切られて、その両端は糊代板4と折込板5とで折り込んで仕切られているので、前面板2と後面板3との間に隙間ができず、容器1の内部に収容された食品などの油分や液分が流出することを防ぐことができる。
【0018】
次に、他の実施の形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図4に示すように、第二の実施の形態による容器11は、後面板13の上端部に第五の折線20を介して蓋板21が連接されている。蓋板21は、第五の折線20を介して前方へ折り曲げることで、容器11の開口部11aを覆うことができる。蓋板21は端部に差込部21aを備えており、この差込部21aを前面板12に設けられた切込み部12aに挿入することによって固定される。
第二の実施の形態による容器11では、第一の実施の形態と同様の作用効果を奏すると共に、容器11の開口部11aを覆うことができる。
【0019】
以上、本発明による容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施の形態では、容器1を紙シートで形成されているが、紙シートに代わって、樹脂製のシートなどで形成されてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、後面板3は、前面板2と同形の略台形の側部の上部側が切除された形状をしているが、前面板2と同形の略台形としてもよく、糊代板4の折り曲げ線4aと重なる位置に折り曲げ線を設けてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、第四の折線9は上側の先端部が5mm程切り込まれていてスリット9aが形成されているが、切り込みの長さは任意に設定してよく、スリット9aが形成されていなくてもよい。
また、例えば、上記の第二の実施の形態では、蓋板21は後面板13に連接されているが、後面板13に代わって前面板12に連接して蓋板21を設けて、後面板13に切り込み部を設けてもよい。
また、例えば、上記の第二の実施の形態において、第五の折線20をミシン目としてもよく、後面板13と蓋板21とが容易に分離できる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0020】
1、11 容器
2、12 前面板
3、13 後面板
4 糊代板
5 折込板
6 第一の折線
7 第二の折線
8 第三の折線
9 第四の折線
20 第五の折線
21 蓋板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板と、
前記前面板の底部と第一の折線を介して連接する後面板と、
前記前面板の側部と第二の折線を介して連接する糊代板とを備え、前記第一の折線で前記後面板が前記前面板側に折り返されて、前記第二の折線で前記糊代板が前記後面板側に折り返されて前記後面板に接着され、前記前面板と前記後面板との間に収容物が収容される容器であって、
前記第一の折線と同一直線状で連続する第三の折線を介して前記糊代板と連接すると共に、前記後面板が折り返された状態で前記第二の折線と重なる第四の折線を介して前記後面板と連接する折込板を備えることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記折込板は前記後面板に接着されることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記前面板または前記後面板の上部には第五の折線を介して蓋板が連接されていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−31924(P2011−31924A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179160(P2009−179160)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(593074857)北越パッケージ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】