説明

容器

【課題】折り畳み可能部を折り畳むことにより、複数の形態で使用することができることに加え、折り畳み可能部を蓋体や底部として機能させることも可能な容器を提供する。
【解決手段】筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32は、折り畳んだとき、筒部3の端部を塞ぐ蓋部34や底部35として機能し、さらに、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32は、当該折り畳み可能部32を折り畳んだとき、その四隅に形成される耳部36のうち、少なくとも一つを差し込み状態で保持可能な差込口37を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材を用いて形成される容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シート材を用いて形成される容器としては、包装容器、梱包容器、保管容器、運搬容器など、様々な種類のものが知られている。この種の容器のなかには、折り畳み自在に構成され、必要に応じてコンパクトに折り畳むことができるようにしたものがある。例えば、特許文献1には、プラスチックシートを真空成形で容器に形成するとき、成形後の容器を上下方向に押え付けたときに内方に折り込み可能なリブを側壁に一体成形して、側壁を扁平に折り畳めるようにした容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−175541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、折り畳み可能な従来の容器は、不使用状態での減容を目的とし、所定の容量を有する第一形態(使用状態)と、折り畳まれた第二形態(不使用状態)との2つの形態に変更されるに過ぎず、容器として使用可能な状態では、容器形状が定形であり、複数の形態での使用は不可能であった。
また、折り畳み可能な従来の容器は、蓋部や底部を別途形成する必要があるので、容器形状が複雑になり、製造コストが上昇するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、折り畳み可能部を折り畳むことにより、複数の形態で使用することができることに加え、折り畳み可能部を蓋体や底部として機能させることも可能な容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の容器は、シート材を用いて形成され、断面正方形の筒部を備える容器であって、前記筒部の角部に形成される折り曲げ自在な四本の角部折り曲げラインと、前記角部折り曲げラインと直交するように前記筒部の面部に形成され、隣接する同種の折り曲げライン又は前記筒部の端縁ラインとの間に、前記筒部の周方向に並ぶ四つの正方形部を形成する折り曲げ自在な面部折り曲げラインと、前記正方形部の対角線に沿って形成される折り曲げ自在な対角折り曲げラインとを備え、前記筒部の周方向に並ぶ四つの前記正方形部は、当該正方形部を形成している前記角部折り曲げライン及び前記面部折り曲げラインを山折りとし、かつ、当該正方形部内の前記対角折り曲げラインを谷折りとすることにより、前記筒部の中空部側へ折り畳み可能な折り畳み可能部を構成するとともに、前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部は、折り畳んだとき、前記筒部の端部を塞ぐ蓋部又は底部として機能し、さらに、前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部は、当該折り畳み可能部を折り畳んだとき、その四隅に形成される耳部のうち、少なくとも一つを差し込み状態で保持可能な差込口を備える構成としてある。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、折り畳み可能部を折り畳むことにより、複数の形態で使用することができるだけでなく、筒部の端部を塞ぐ蓋部や底部として機能させることができ、しかも、蓋部や底部として機能する折り畳み可能部においては、耳部を差し込み状態で保持することにより、持ち運びに際して耳部が邪魔にならず、蓋部や底部の不測な開放も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第一実施形態に係る容器の斜視図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る容器の展開図である。
【図3】気泡シートの例を示す説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る容器の中間部に位置する折り畳み可能部が折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【図5】図4の矢印A方向から筒部内に形成された間仕切り部を見た説明図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る容器の端部に位置する折り畳み可能部が折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る容器の端部に位置する折り畳み可能部を折り畳んで、その耳部を差込口に差し込んだ状態を示す説明図である。
【図8】粘着テープによる封緘の例を示す説明図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る容器の斜視図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る容器の展開図である。
【図11】本発明の第二実施形態に係る容器の端部に位置する折り畳み可能部を折り畳んで、その耳部を差込口に差し込んだ状態を示す説明図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る容器の端部に位置する折り畳み可能部を折り畳んで、その耳部を差込口に差し込む手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態に係る容器について、図1〜図8を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の第一実施形態に係る容器の斜視図、図2は、本発明の第一実施形態に係る容器の展開図であり、容器1Aは、シート材2を用いて形成され、断面正方形の筒部3を備える。このような容器1Aは、例えば、平板状のシート材2の所定の部位を折り曲げ可能に加工するとともに、図2に示すような形状となるように抜き加工などによって切り出し、所定部位をヒートシール(熱融着)などで接合することにより形成することができる。
なお、本実施形態の容器1Aは、全体が断面正方形の筒部3であるが、筒部3を一部に有する容器であってもよい。
【0012】
容器1Aを形成するシート材2は、図3(a)に示すように、中空状に膨出する多数の突起21が形成されたキャップフィルム22と、突起21の開口側に積層されるバックフィルム23と、突起21の頂部側に積層されるライナーフィルム24とからなる三層気泡シートとすることが好ましい。このようなシート材2は、梱包容器などに要求されるクッション性や断熱効果が得られる。
なお、図3は、気泡シートの例を示す説明図であり、図3(a)は、三層気泡シートの例を示す一部切り欠き斜視図、図3(b)は、二層気泡シートの例を示す一部切り欠き斜視図である。
【0013】
また、三層気泡シートからなるシート材2は、容器1Aに要求される剛性の確保が容易である。容器1Aの剛性は、物品を収容した状態で保管、輸送する際に、容器形状が容易に崩れないようにするために必要であり、上記の三層気泡シートによれば、図3(b)に示す二層気泡シートに比べて、必要な剛性を容易に確保できるだけでなく、表裏両面を略フラットにすることができる。
【0014】
また、三層気泡シートからなるシート材2は、単層のシート材に比べて剛性の調整が容易である。つまり、三層気泡シートの剛性は、各フィルム22〜24の材料組成や厚さによって決まるので、各フィルム22〜24の材料組成や厚さを個別に設定することにより、任意の剛性が得られる。例えば、本実施形態のシート材2を構成するキャップフィルム22、バックフィルム23及びライナーフィルム24は、いずれもポリエチレン:10〜30重量%、ポリプロピレン:90〜70重量%の合成樹脂を用いて成形することができるが、各フィルム22〜24の成形に用いる合成樹脂の種類や配合を個別に変更すれば、シート材2の剛性を任意に調整することが可能となる。
【0015】
また、三層気泡シートからなるシート材2は、シールラインLを形成するだけで、良好な折り曲げ性を確保することができる。シールラインLは、バンドシーラ、インパルスシーラなどのヒートシール装置を用いて容易に形成することができ、例えば、三層気泡シートを熱を加えながら線状に押し潰し、バックフィルム23とライナーフィルム24をヒートシールすることによりシールラインLが形成される。そして、このようなシールラインLが形成された部位では、シールラインLに沿ったシート材2の折り曲げが可能となる。
【0016】
容器1Aの筒部3は、その四つの角部に形成される折り曲げ自在な角部折り曲げラインとなる四本の角部シールラインL1と、角部シールラインL1と直交するように筒部3の面部に形成され、隣接する同種のシールラインL2又は筒部3の端縁ラインL4との間に、筒部3の周方向に並ぶ四つの正方形部31を形成する折り曲げ自在な面部折り曲げラインとなる面部シールラインL2と、正方形部31の対角線に沿って形成される折り曲げ自在な対角折り曲げラインとなる対角シールラインL3とを備える。対角シールラインL3は、正方形部31の二本の対角線のうち、いずれか一方に沿って形成されていればよいが、筒部3の周方向に並ぶ四つの正方形部31にそれぞれ形成された四本の対角シールラインL3は、図2に示すように、展開状態で同じ方向を向き、互に平行でなければならない。
【0017】
上記のようにシールラインL1〜L3を形成すると、筒部3の周方向に並ぶ四つの正方形部31は、図4に示すように、正方形部31を形成している角部シールラインL1及び面部シールラインL2を山折りとし、かつ、正方形部31内の対角シールラインL3を谷折りとすることにより、筒部3の中空部側へ折り畳み可能な折り畳み可能部32を構成することができる。そして、折り畳み可能部32を折り畳むことにより、筒部3の容量が変更される。このような容器1Aによれば、折り畳み可能部32を折り畳むことにより、複数の形態で使用することが可能になる。
ここで、図4は、本発明の第一実施形態に係る容器の中間部に位置する折り畳み可能部が折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【0018】
本実施形態の折り畳み可能部32は、筒部3の両端側を両手で持ち、所定方向に90°捻ることにより容易に折り畳むことができる。折り畳み可能部32を折り畳むと、各正方形部31が対角シールラインL3を谷折として半分に折り畳まれ、直角二等辺三角形となる。そして、四つの直角二等辺三角形は、隣接する直角二等辺三角形に順次重なり、図5に示すような間仕切り部33を構成することができる。
ここで、図5は、図4の矢印A方向から筒部3内に形成された間仕切り部33を見た説明図である。
【0019】
このように、筒部3の中間部に位置する折り畳み可能部32は、折り畳むと、筒部3の中空部を複数の空間に仕切る間仕切り部33を形成することができる。したがって、本実施形態の容器1Aによれば、筒部3の中間部に位置する折り畳み可能部32を折り畳むことにより、容量を変更できるだけでなく、筒部3の中空部を複数の空間に仕切って、複数種類の物品を別々に収容することが可能になる。
また、本実施形態では、角部折り曲げライン、面部折り曲げライン、及び対角折り曲げラインのそれぞれを、当該部位をヒートシールしてなる折り曲げ自在なシールラインLとして形成するが、これらの折り曲げラインは、その一部又は全部をミシン目などによって形成することもできる。この場合、少なくとも面部折り曲げラインの一つをミシン目で形成すれば、このミシン目で切り離して筒部3の長さを調整することができる。
【0020】
一方、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32は、図6に示すように折り畳むと、筒部3の端部を塞ぐ蓋部34や底部35として機能させることができる。このような容器1Aによれば、別形状の蓋部や底部を別途形成する必要がないので、容器形状を単純化してコストダウンが図れる。
ここで、図6は、本発明の第一実施形態に係る容器の端部に位置する折り畳み可能部が折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【0021】
ところで、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32を折り畳むと、その四隅には、筒部本体から少し浮き上がった耳部36が形成されることになる。これらの耳部36は、持ち運びに際して邪魔になる可能性があり、また、これらの耳部36を何ら保持しない状態では、蓋部34や底部35が不測に開放し、筒部3の収容物がこぼれ出るおそれがある。
【0022】
そこで、本実施形態に係る容器1Aでは、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32に、当該折り畳み可能部32を折り畳んだとき、その四隅に形成される耳部36のうち、少なくとも一つを差し込み状態で保持可能な差込口37を形成してある。このような容器1Aによれば、蓋部34や底部35として機能する折り畳み可能部32においては、耳部36を差込口37に差し込んで保持することにより、持ち運びに際して耳部36が邪魔にならず、蓋部34や底部35の不測な開放も抑制することができる。
ここで、図7は、筒部の端部に位置する折り畳み可能部を折り畳んで、その耳部を差込口に差し込んだ状態を示す説明図であり、蓋部34又は底部35として機能させた折り畳み可能部32の四つの耳部36が、それぞれに対応する差込口37に差し込まれて保持されている。
【0023】
差込口37は、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32の正方形部31において、角部シールラインL1と面部シールラインL2とがなす角部に、対角シールラインL3と平行に形成された切り込みラインとすることができる。このようにすると、シート材2に切り込みラインを加工するだけで、差込口37を形成することができるので、製造コストを上昇させることなく、本発明の実施が可能となる。
【0024】
また、差込口37は、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32の正方形部31において、角部シールラインL1と面部シールラインL2とがなす角部に、対角シールラインL3と平行に形成されたミシン目ラインとしてもよく、この場合には、必要に応じてミシン目ラインを手で開くことにより、耳部36を差し込むことが可能になる。
【0025】
本実施形態の容器1Aは、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32の四つの正方形部31にそれぞれ差込口37を有し、折り畳まれた折り畳み可能部32の四つの耳部36をそれぞれ別々の差込口37に差し込んで保持するように構成されている。このような容器1Aによれば、四つの耳部36を全て差し込み状態で保持することにより、持ち運びに際して耳部36が邪魔になることを確実に防止できるとともに、蓋部34や底部35の開放抑制効果も高めることができる。
【0026】
なお、容器1Aを用いた物品の発送に際しては、蓋部34や底部35を、必要に応じて、接着剤、粘着テープ、面ファスナー、ホックなどの適宜手段によって封緘することができる。
例えば、図8に示すように、蓋部34や底部35の対角線に沿って幅広な粘着テープ4を貼り、蓋部34や底部35を封緘することができる。このような封緘によれば、粘着テープ4によって差込口37や中央開口部38を塞ぐことができるので、容器1Aの密封性を向上させることができる。また、蓋部34や底部35と筒部本体との間に生じる隙間39(図6参照)が気になる場合は、蓋部34や底部35の周囲に沿って粘着テープ4を貼れば、隙間39を塞ぐことができる。
ここで、図8は、粘着テープによる封緘の例を示す説明図である。
【0027】
折り畳み可能部32は、筒部3の長さ方向に複数形成することができる。このような容器1Aによれば、折り畳み可能部32の数をnとした場合、容器1Aを2通りの形態で使用することが可能になる。例えば、本実施形態では、筒部3の長さ方向に5つの折り畳み可能部32を形成しているので、各折り畳み可能部32を選択的に折り畳むことにより、2=32通りの形態で使用することができる。
【0028】
折り畳み可能部32は、筒部3の長さ方向に複数形成するにあたり、筒部3の長さ方向に間隔をあけずに連続的に形成することができる。例えば、本実施形態の容器1Aでは、筒部3の長さ方向に間隔をあけずに5つの折り畳み可能部32が連続的に形成される。このような容器1Aによれば、長さが限られた筒部3に最大限の折り畳み可能部32を形成し、容器1Aを様々な形態で使用することができる。
【0029】
また、複数の折り畳み可能部32は、筒部3の全領域に形成することができる。このような容器1Aによれば、シート材2に対するシールラインLの加工が容易になるだけでなく、すべての折り畳み可能部32を折り畳むことにより、筒部全体を正方形状にコンパクトに折り畳むことが可能になる。
【0030】
以上のように構成された第一実施形態によれば、シート材2を用いて形成され、断面正方形の筒部3を備える容器1Aであって、筒部3の角部に形成される折り曲げ自在な四本の角部シールラインL1と、角部シールラインL1と直交するように筒部3の面部に形成され、隣接する同種のシールラインL2又は筒部3の端縁ラインL4との間に、筒部3の周方向に並ぶ四つの正方形部31を形成する折り曲げ自在な面部シールラインL2と、正方形部31の対角線に沿って形成される折り曲げ自在な対角シールラインL3と、を備え、筒部3の周方向に並ぶ四つの正方形部31が、当該正方形部31を形成している角部シールラインL1及び面部シールラインL2を山折りとし、かつ、当該正方形部31内の対角シールラインL3を谷折りとすることにより、筒部の中空部側へ折り畳み可能な折り畳み可能部32を構成し、当該折り畳み可能部32を折り畳むことにより、筒部3の容量が変更される構成としてあるので、折り畳み可能部32を折り畳むことにより、複数の形態で使用することができる。
【0031】
また、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32は、折り畳んだとき、筒部3の端部を塞ぐ蓋部34や底部35として機能するので、別形状の蓋部や底部を別途形成する必要がないので、容器形状を単純化してコストダウンが図れる。
【0032】
さらに、筒部3の端部に位置する前記折り畳み可能部32は、当該折り畳み可能部32を折り畳んだとき、その四隅に形成される耳部36のうち、少なくとも一つを差し込み状態で保持可能な差込口37を備えるので、持ち運びに際して耳部36が邪魔にならず、蓋部34や底部35の不測な開放も抑制することができる。
【0033】
また、差込口37は、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32の正方形部31において、角部シールラインL1と面部シールラインL2とがなす角部に、対角シールラインL3と平行に形成された切り込みラインやミシン目ラインからなるので、シート材2に切り込みラインやミシン目ラインを加工するだけで、差込口37を形成することができ、その結果、製造コストを上昇させることなく、本発明の実施が可能となる。
【0034】
また、差込口37は、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32の四つの正方形部31にそれぞれ形成され、折り畳まれた折り畳み可能部32の四つの耳部36がそれぞれ差し込まれるので、四つの耳部36を全て差し込み状態で保持することができ、その結果、持ち運びに際して耳部36が邪魔になることを確実に防止できるとともに、蓋部34や底部35の開放抑制効果も高めることができる。
【0035】
また、シート材2は、中空状に膨出する多数の突起21が形成されたキャップフィルム22と、突起21の開口側に積層されるバックフィルム23と、突起21の頂部側に積層されるライナーフィルム24とからなる三層気泡シートであるため、剛性の調整や折り曲げ性の確保が容易にできるとともに、梱包容器などに求められるクッション性や断熱効果を得ることができる。
【0036】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る容器について、図9〜図12を参照して説明する。ただし、第一実施形態と共通の部分については、第一実施形態と同じ符号を用いることにより、第一実施形態の説明を援用する。
【0037】
図9は、本発明の第二実施形態に係る容器の斜視図、図10は、本発明の第二実施形態に係る容器の展開図、図11は、容器の端部に位置する折り畳み可能部を折り畳んで、その耳部を差込口に差し込んだ状態を示す説明図、図12は、容器の端部に位置する折り畳み可能部を折り畳んで、その耳部を差込口に差し込む手順を示す説明図である。
これらの図に示すように、本発明の第二実施形態に係る容器1Bは、差込口37が、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32の四つの正方形部31のうち、いずれか一つに形成され、折り畳まれた折り畳み可能部32の四つの耳部36のうち、対角に位置する二つの耳部36が重ね合わせた状態で差し込まれる点が第一実施形態の容器1Aと相違している。
【0038】
第二実施形態の容器1Bにおいて、図12の(a)に示すように、筒部3の端部に位置する折り畳み可能部32を折り畳み、その後、耳部36を差込口37に差し込む場合は、図12の(b)に示すように、差込口37の上方に重なっている耳部36を起すとともに、図12の(c)に示すように、差込口37の対角に位置する耳部36を起こす。そして、図12の(d)に示すように、二つの耳部36を重ね合わせた状態で差込口37に差し込む。
【0039】
このような容器1Bによれば、第一実施形態の容器1Aに比べ、差込口37の数を減らすことができる。また、二つの耳部36を重ね合わせた状態で差込口37に差し込むことにより、中央開口部38を塞ぐことができるので、容器1Bの密封性が高められるという利点もある。
【0040】
本実施形態の容器1Bが備える差込口37は、正方形部31における角部シールラインL1と面部シールラインL2のそれぞれをa:b=2:3〜3:2に内分する点どうしを結ぶライン上に形成されるのが好ましく、各シールラインL1,L2の二等分位置(a=bとなる位置)どうしを結ぶライン上に形成されるのが特に好ましい。このようにすると、差込口37に適度な差込深さが確保されるので、耳部36の差し込み操作を難しくすることなく、差し込まれた耳部36を確実に保持することができる。つまり、差込口37の差込深さがそれよりも浅いと、重ね合わせた二つの耳部36を確実に保持できなくなる可能性があり、また、差込口37の差込深さがそれよりも深いと、重ね合わせた二つの耳部36を差し込むことが難しくなる可能性がある。
【0041】
ところで、二つの耳部36を重ねた状態で差し込むと、蓋部34又は底部35の厚さに偏りが生じることが考えられる。この厚さの偏りは、容器としての使用状態では、あまり問題とはならないが、全体を折り畳んだ収納状態では、厚さの偏りが目立ち、好ましくない場合もある。
【0042】
そこで、本実施形態の容器1Bは、筒部3の全領域に長さ方向に並ぶ複数の折り畳み可能部32を形成し、これらの折り畳み可能部32を全て折り畳むことにより、筒部全体を正方形状に折り畳み可能にするとともに、筒部3の両端部に位置する折り畳み可能部32に差込口37を形成するにあたり、筒部3の一方の端部に位置する折り曲げ可能部32の差込口37と、筒部3の他方の端部に位置する折り曲げ可能部32の差込口37とが、筒部全体を折り畳んだときに、筒部全体がなす正方形の対角に位置するようにしてある。このようにすると、全体を折り畳んだとき、厚さの偏りが均等化されるので、好ましい収納状態とすることができる。
【0043】
以上、本発明の容器について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0044】
例えば、前述した実施形態では、一つの折り畳み可能部における差込口の数を、四つにする例と、一つにする例を示したが、差込口の数は、二つ又は三つであってもよい。
【0045】
また、前述した実施形態では、シート材として三層気泡シートをそのまま使用しているが、三層気泡シートの表裏に装飾フィルムなどをさらに積層してもよい。この場合、シート材は、実質的に五層構造となるが、三層気泡シートをベースとするため、本発明の範囲内での変更実施となる。また、シート材2は、適度な剛性と曲げこわさを備えるとともに、シール加工が容易であれば、合成樹脂フィルム以外の別の素材が両面又は片面に積層されたものであってもよい。例えば、シート材を裂け難くしたり、容器の内外面の両方又は一方の面を滑りにくくしたりするために、織布、不織布などを積層することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、包装容器、梱包容器、保管容器、運搬容器など、様々な用途の容器に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 容器
2 シート材
3 筒部
4 粘着テープ
21 突起
22 キャップフィルム
23 バックフィルム
24 ライナーフィルム
31 正方形部
32 折り畳み可能部
33 間仕切り部
34 蓋部
35 底部
36 耳部
37 差込口
38 中央開口部
39 隙間
L1 角部シールライン(角部折り曲げライン)
L2 面部シールライン(面部折り曲げライン)
L3 対角シールライン(対角折り曲げライン)
L4 端縁ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を用いて形成され、断面正方形の筒部を備える容器であって、
前記筒部の角部に形成される折り曲げ自在な四本の角部折り曲げラインと、前記角部折り曲げラインと直交するように前記筒部の面部に形成され、隣接する同種の折り曲げライン又は前記筒部の端縁ラインとの間に、前記筒部の周方向に並ぶ四つの正方形部を形成する折り曲げ自在な面部折り曲げラインと、前記正方形部の対角線に沿って形成される折り曲げ自在な対角折り曲げラインとを備え、
前記筒部の周方向に並ぶ四つの前記正方形部は、当該正方形部を形成している前記角部折り曲げライン及び前記面部折り曲げラインを山折りとし、かつ、当該正方形部内の前記対角折り曲げラインを谷折りとすることにより、前記筒部の中空部側へ折り畳み可能な折り畳み可能部を構成するとともに、
前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部は、折り畳んだとき、前記筒部の端部を塞ぐ蓋部又は底部として機能し、
さらに、前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部は、当該折り畳み可能部を折り畳んだとき、その四隅に形成される耳部のうち、少なくとも一つを差し込み状態で保持可能な差込口を備えることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記差込口は、前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部の前記正方形部において、前記角部折り曲げラインと前記面部折り曲げラインとがなす角部に、前記対角折り曲げラインと平行に形成された切り込みラインとして形成される請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記差込口は、前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部の前記正方形部において、前記角部折り曲げラインと前記面部折り曲げラインとがなす角部に、前記対角折り曲げラインと平行に形成されたミシン目ラインとして形成される請求項1記載の容器。
【請求項4】
前記差込口は、前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部の四つの前記正方形部にそれぞれ形成され、折り畳まれた前記折り畳み可能部の四つの耳部がそれぞれ差し込まれる請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記差込口は、前記筒部の端部に位置する前記折り畳み可能部の四つの前記正方形部のうち、いずれか一つに形成され、折り畳まれた前記折り畳み可能部の四つの耳部のうち、対角に位置する二つの耳部が重ね合わせた状態で差し込まれる請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記差込口は、前記正方形部における前記角部折り曲げラインと前記面部折り曲げラインのそれぞれを2:3〜3:2に内分する点どうしを結ぶライン上に形成される請求項5記載の容器。
【請求項7】
前記筒部の全領域に長さ方向に並ぶ複数の前記折り畳み可能部を形成し、これらの折り畳み可能部を全て折り畳むことにより、筒部全体を正方形状に折り畳み可能にするとともに、前記筒部の両端部に位置する前記折り畳み可能部に前記差込口を形成するにあたり、前記筒部の一方の端部に位置する前記折り曲げ可能部の前記差込口と、前記筒部の他方の端部に位置する前記折り曲げ可能部の前記差込口とが、筒部全体を折り畳んだとき、筒部全体がなす正方形の対角に位置する請求項5又は6記載の容器。
【請求項8】
少なくとも前記面部折り曲げラインの一つが、ミシン目により形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の容器。
【請求項9】
前記シート材は、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップフィルムと、前記突起の開口側に積層されるバックフィルムと、前記突起の頂部側に積層されるライナーフィルムとからなる三層気泡シートである請求項1〜8のいずれかに記載の容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−57278(P2011−57278A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211682(P2009−211682)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】