説明

容器

【課題】注出口の内部に逆止弁を設けた容器において,内容物の充填の容易性を損なうことなく,逆止弁の設計の自由性を向上させる。
【解決手段】容器本体1は袋であり,袋1に注出口2を溶着している。逆止弁6の外周にはフランジ8を一体に設けており,フランジ8は,注出口2に設けた支持用突起10で落下不能に支持され,シールリング13で上から押さえられている。シールリング13は,注出口2に設けた抜け止め用突起12で抜け不能に保持されている。逆止弁6とシールリング13とは,上から(外側から)の挿入によって注出口2に取り付けられる。従って,内容物の充填後に装着することが可能であり,その結果,内容物の充填の容易性が確保される。逆止弁6は注出口2の内部に全体を隠すことが可能であるため,例えば人が内容物を口で吸引するにおいて逆止弁6が舌先に触れて違和感を感じることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば,容器本体を合成樹脂フィルム製袋に注出口を取り付けた構造としたり,容器本体を樹脂のブロー成形で製造してスクイズ性を持たせたりした容器に関し,詳しくは,容器本体の注出口に逆止弁(或いは弁装置)を装着して成る容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記したように,容器本体の注出口に逆止弁を取付けることは,例えば特許文献1〜3等に記載されているとおり,従来から良く知られている。
【0003】
この場合,逆止弁は軟質弾性体製であり,容器本体の収容部が加圧されると内圧が高くなって逆止弁は内容物(流体)で押し拡げられる一方,前記容器に対する加圧を解除すると逆止弁は弾性にて元の状態に閉じて逆流を阻止すると共に,内容物が自然に流れ出ることとが防止される。
【0004】
従来のこの種の注出装置において,逆止弁を注出口に取付ける手段としては,容器本体がブロー成形されたボトルである場合は,逆止弁の上端部に一体に設けたフランジを注出口の先端面に重ねて,強制的に嵌着することで注出口から離脱不能にしたり(特許文献1,2),注出口に外から重なる押さえ部材で押さえ保持している。他方,容器本体が袋に注出口を取り付けたパウチタイプである場合は,逆止弁は注出口の下部に配置していることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58−073738号公報
【特許文献2】特開昭61−033927号公報
【特許文献3】特開平07−132979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のパウチタイプのように逆止弁を注出口の下部に装着すると,逆止弁の上側には上向きに開口した大きな空間が存在するため,袋の加圧を解除すると注出口の内部に内容物が残ってしまう可能性がある。また,逆止弁は注出口に下方からしか嵌めることができず,注出口を袋にセットする前の段階で注出口に逆止弁を取り付けておかねばならないため,注出口を袋に溶着する工程で不良が発生すると逆止弁が無駄になってしまう問題や,内容物の充填工程では逆止弁に挿入可能な特殊な細い注入管を使用せねばならない問題があった。
【0007】
他方,特許文献1〜3のように逆止弁を注出口に外側から嵌め込む構成を採用すると,逆止弁をできるだけ注出口の上端(開口面)に寄せることができるため,加圧停止後に内容物が注出口に残ることを防止できる。また,逆止弁は注出口に外側から嵌め込み装着できるため,パウチ容器に適用した場合,逆止弁は注出口を袋に溶着してから取り付け可能であるため,溶着不良が発生しても逆止弁が無駄になることはなくて材料のロスを抑制できる利点があり,また,逆止弁は内容物を充填してから取り付けることが可能であるため,充填工程では一般的な注入管を使用可能になる利点がある。
【0008】
しかし,特許文献1〜3の構成では,逆止弁は容器本体の内部に落ち込まないようにフランジを注出口の先端面に重ねなければならないため,逆止弁の位置や形状が規制されてしまい,設計の自由性が損なわれるという問題がある。
【0009】
本発明は,このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の容器は,人が手で加圧して変形させ得る収容部に注出口を設けた容器本体と,前記容器本体の注出口を塞ぐ蓋体とを備え,前記注出口の内部に,前記収容部が加圧して内圧が高くなると内容物を注出させる軟質弾性体の逆止弁を配置した構成において,前記逆止弁は,前記収容部と反対の外側からの挿入によって前記注出口の内部に完全に隠れた状態で配置されており,前記注出口の内周に,前記逆止弁が収容部の側に抜け落ちるのを阻止する支持部を一体に設けている。
【0011】
請求項2の発明は,請求項1において,前記注出口に設けた支持部は内向きの支持用突起である一方,前記逆止弁には,前記支持用突起で支持される外向きフランジが形成されている。請求項3の発明は,請求項2において,前記逆止弁のフランジは前記収容部に向いて開口した筒状に形成されている一方,前記注出口の支持用突起には,逆止弁の筒状フランジが嵌まる溝が周方向に延びるように形成されている。
【0012】
請求項4の発明は,請求項1〜3のうちのいずれかにおいて,前記逆止弁は,前記注出口に外側から嵌め込まれた筒状のシールリングによって前記支持部に押さえ保持されており,かつ,前記蓋体には,前記シールリングに内周側から密嵌する筒状の中足を設けているか又は設けていない。なお,シールリングは押さえ部材と呼ぶことも可能である。
【0013】
請求項5の発明は,請求項4において,前記シールリングのうち前記注出口の内周面に対向した外周面に環状溝を形成している一方,前記注出口の内周には前記シールリングの環状溝に嵌まり係合する抜け止め用突起が形成されており,前記抜け止め用突起と支持用突起とは,それぞれ周方向に分断した状態で複数個ずつ形成されていると共に,前記注出口の軸線方向から見て互いに重ならないように周方向に位置ずれしている。
【0014】
請求項6の発明は,請求項5において,前記逆止弁におけるフランジの外周面には,当該逆止弁を前記注出口内に装填するときに前記抜け止め用突起を通過させるための縦溝が設けられ,前記縦溝は前記シールリングで塞がれている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1によると,逆止弁は注出口の内部に設けた支持用突起で落下不能に保持されているため,逆止弁の上端は必ずしも注出口の端面から露出させる必要はなく,このため,逆止弁の位置や形状の設計の自由性を向上できる。例えば逆止弁は注出口の先端よりも若干下側に配置することも簡単に実現できるため,人が注出口を口に含んて内容物を吸引する容器に適用した場合,逆止弁が舌先に当たることを防止して違和感を無くすといったことが可能になる。
【0016】
請求項2のように逆止弁に外向きフランジを設けてこれを支持用突起で支持すると,逆止弁をしっかりと支持できて好適である。特に,請求項3のように構成すると,逆止弁のフランジは変形することなくしっかりと保持されるため,特に好適である。
【0017】
また,請求項4によると,逆止弁は弁機能をしっかりと保持するようにエラストマー製とする一方,シールリングは押さえ機能をしっかりと保持するようにPP等で製造することができるため,逆止弁は脱落不能にしっかりと保持された状態で弁機能を向上できる。また,前記逆止弁のフランジと注出口の内面との間の部分をシールリングで密封できるため,内容物の漏れ出しを確実に阻止できる利点もある。請求項3の場合,蓋体の中足をシールリングに密嵌すると,注出口と蓋体との間のシール性も向上できる。
【0018】
シールリングは例えば注出口の内面に溶着することも可能であるが,請求項5のように抜け止め用突起に係合させると,パンチのような押し込み部材を使用してシールリングを抜け不能に保持できるため,取り付けの手間も抑制できる利点がある。また,シールリングと抜け止め用突起とを請求項5のように周方向にずらすと,金型を使用した射出成形方で製造するにおいて,金型は単に密着・離反する構造でよいため,製造コストを抑制できる利点がある。
【0019】
更に,この請求項5においては請求項6の構成にすると,逆止弁は過度に変形させることなく所定の位置にセットできるため,組み付けを簡単に行うことができる。この場合は,縦溝はシールリングで塞がれているためシール性も確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態を示す縦断正面図である。
【図2】前記注出装置の分解図である。
【図3】図2のIII −III 視平面図である。
【図4】図2のIV−IV視平面図である。
【図5】逆止弁の要部を示す拡大図である。
【図6】図5の平面図である。
【図7】注出口の内部を中子金型にて成形している状態を示す図である。
【図8】本発明における第2の実施の形態を示す縦断正面図である。
【図9】本発明における第3の実施の形態を示す縦断正面図である。
【図10】本発明における第4の実施の形態を示す縦断正面図である。
【図11】本発明における第5の実施の形態を示す縦断正面図である。
【図12】本発明における逆止弁の変形例を示す縦断正面図である。
【図13】図12の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1).第1実施形態
以下,本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図7に示す第1の実施の形態から説明する。これらの図において,符号1は,合成樹脂フィルム(一般にアルミ箔も重ねた積層フィルム)を2枚重ね合わせして周縁を溶着して成る袋体を示す。
【0022】
袋体1には,硬質合成樹脂にてパイプ状に構成した注出口2が取付けられており,これによって容器本体が構成されている。注出口2には,これを塞ぐための蓋体3が着脱可能に被せ装着されている。蓋体3はねじ蓋であり,その内周には雌ネジ部4が形成されている。注出口2の外周面には雄ネジ部5を形成している。また,この蓋体3の内部には,当該蓋体3を前記注出口2に被せ装着したときに,後述する押えリング体13の内周面に密嵌して注出口2を密封する中足3aが設けられている。
【0023】
袋1は注出口2の下部に溶着している。従って,注出口2はその半分以上が袋1の外側に露出している。なお,以下の説明では,便宜的に,図1の姿勢を基準状態として「上」「下」の文言を使用する。従って,注出口2の上端は開口端になり,下向きとは袋1の内部に向いた方向になる。なお,蓋体3の下端には,一般に,千切れ可能なブリッジ部を介してタッパーエビデンスバンド(或いは,ピルファープルーフバンド)が連結されているが,本実施形態では図示を省略している。
【0024】
前記注出口2の内部のうちその上端寄りの部位(概ね雄ネジ部5の内側)には,エラストマー等の軟質弾性体から成る逆止弁6が着脱可能に装填されている。この逆止弁6は,略平面板に形成した弁体部7と,この弁体部7の外周にこれを囲うように一体に設けたフランジ8とで構成されており,フランジ8は筒状(円筒形)である一方,前記弁体部7には,内容物が通過するための切線9が形成されている。切線9は,本実施形態では十字状になっているが,Y字状や一直線等の他の形態でもよい。
【0025】
袋体1にこれを潰すような外力が付与されると内部の圧力が高くなり,この圧力により,弁体部7のうち切線9の間の部分が図5及び図6に示すように弾性に抗して外向きに開く。これによって内容物が注出される。一方,袋体1に対する加圧を解除すると,弁体部7のうち切線9の間の部分がその弾性にて元の状態に閉じて,逆流を阻止するという構成になっている。
【0026】
前記注出口2の内周面には,支持部の具体例として,逆止弁6を下から支える支持用突起10が円周方向に延びるように一体に形成されている。支持用突起10は3つに分断された状態に形成されており,周方向に並んだ3箇所に飛び飛びかつ等間隔で形成されている。支持用突起10のうち前記逆止弁6側の部分には,前記注出口2の内周面に沿って円周方向に延びる環状溝11を設けて,この環状溝11内に,前記逆止弁6における筒体形状のフランジ8を嵌め込むことにより,前記逆止弁6を,その外周のフランジ8内周側から支持するように構成している。
【0027】
注出口2の内周面のうち逆止弁6より上側(開口面側)には,抜け止め用突起12が円周方向に延びるように一体に設けられている。抜け止め用突起12も3個に分断されており,等間隔で飛び飛びに配置されている。
【0028】
注出口2の内部のうち逆止弁6よりも上側の部位には,PPやポリエチレンのように若干の弾性を有する合成樹脂より成るシールリング13が嵌まっている。シールリング13の外周面には抜け止め用突起12に嵌まる環状溝14が形成されている。シールリング13の下面は逆止弁6の上面に当接又は密接している。シールリング13の上端には外向きフランジ13bが形成されており,この外向きフランジ13bは,注出口2の上端面に形成した段部2aに嵌まっている。外向きフランジ13bの上端面と注出口2の上端面とはほぼ同一面になっている。なお,注出口2の上面をシールリング13の外向きフランジ13bで完全に覆うことも可能である。
【0029】
シールリング13を上からの打栓によって注出口2に密嵌させると,弾性変形により,環状溝14に抜け止め用突起12が嵌まり係合する。このため,逆止弁6は支持用突起10と抜け止め用突起12とで上下移動不能に保持され,かつ,シールリング13により,逆止弁6における外周のフランジ8と前記注出口2の内面との間の部分における気密が保持される。抜け止め用突起12の上面は側面視で傾斜したガイド面になっていると共に,シールリング13のうち環状溝11の片側の突条部13aはガイド面を有する台錘形になっており,このため,シールリング13の嵌め込みがスムースに行われる。
【0030】
逆止弁6は注出口2の内部に入り込んでいるため,例えば人が注出口2を口に含んで内容物を吸引するにおいて逆止弁6が舌先等に触れることはなく,人に違和感を与えることはない。また,逆止弁6は注出口2の内部のうち上端寄りに配置しているため,加圧解除後に内容物が注出口の内部に残ることもない。
【0031】
逆止弁6のフランジ8は筒状に形成されていて支持用突起10の環状溝11に嵌まっており,フランジ8は内外から抱持されているため,逆止弁6は注出口2の内部でしっかりと保持される。すなわち,高い支持強度を確保されている。また,逆止弁6のフランジ8と注出口2の内面との間の部分はシールリング13でシールされているため,内容物の漏れ出しや空気の流入を確実に阻止できる。
【0032】
既述のように,支持用突起10は円周方向に並んだ複数個(実施例では三個)に分断されていると共に,抜け止め用突起12も円周方向に並んだ複数個(実施例では三個)に分断されている。この場合,図3に示すように,抜け止め用突起12と支持用突起10とは,注出口2の軸線方向から見て,抜け止め用突起12と支持用突起10とが交互に並ぶと共に,全く重ならないよう位置ずれした状態に配置されている。
【0033】
この構成にすることにより,注出口2を射出成形法で製造するに際して,その内部を成形する中子金型Aを,図7に示すように,注出口2の軸方向に相対動して密着・離反する上下二つの中子型A1,A2で構成して,その一方の中子型A1にて支持用突起10及び抜け止め用突起12の下面を成形する一方,他方の中子型A2にて支持用突起10及び抜け止め用突起12の上面を成形することができる。これにより,単純な構造の中子型A1,A2で二つの突起体10,12を成形することができる。
【0034】
逆止弁6におけるフランジ8の外周面には,当該逆止弁6を注出口2内に装填するときに抜け止め用突起12に当たらずに通過するように縦溝15が設けられている。これにより,逆止弁6を上下2つの突起体10,12の間に装着することが,フランジ8の損傷等の問題を招来することなく容易にできる。縦溝15はシールリング13で密封される。
【0035】
(2).他の実施形態
図8は第2の実施の形態を示している。この第2の実施の形態は,逆止弁6における弁体部7を下向きに半球面体に構成する一方,シールリング13を,逆止弁6におけるフランジ8の上面と,抜け止め用突起12における各分断片12aの下面との間に,当該シールリング13の外周が注出口2の内面に密接するように介挿したものであり,その他の構成は前記第1の実施の形態と同様である。
【0036】
この第2の実施の形態によると,前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお,逆止弁6のフランジ8は単なるリング状でもよいし,第1実施形態と同様に縦溝(図示せず)を設けてもよい。また,抜け止め用突起12の上面,及びシールリング13の下面のうちいずれか一方又は両方に,図示したように,斜め下向きの傾斜面A,Bを設けることによって,シールリング13を抜け止め用突起12の下面側に嵌め込み装着することを容易ならしめている。
【0037】
図9は,第3の実施の形態を示している。この第3の実施の形態は,シールリング13を断面逆U字状にして,これを逆止弁6におけるフランジ8に上側から下向きに被せ装着し,この状態で注出口2内に嵌め込み装填するという構成にしたものであり,これにより,各実施の形態と同様の効果を得ることができるほか,シールリング13が逆止弁6のフランジ8を被嵌しているので,当該シールリング13による気密性を向上できる。
【0038】
この第3の実施の形態においても,抜け止め用突起12の上面及びシールリング13の下面のうちいずれか一方又は両方に,図示したように,斜め下向きの傾斜面A′,B′を設けることによって,シールリング13の嵌め込み装着を容易ならしめている。また,この第3の実施の形態におけるシールリング13は,逆止弁6に対してインサート成形にて一体化することができる。
【0039】
図10は,第4の実施の形態を示している。この第4の実施の形態は,逆止弁6のフランジ8を断面逆U字状にする一方,シールリング13を断面U字状にして,このシールリング13を逆止弁6のフランジ8に下側から被せ装着し,この状態で,注出口2内に嵌め込み装填するという構成にしたものである。すなわち,シールリング13と逆止弁6が1つのユニットとしてアッセンブリされている。
【0040】
この第4の実施の形態においては,シールリング13のうちフランジ8より外側の部分13aを外開きの円錐形にして,この外側の部分13aをその弾性に抗して窄めながら前記注出口2内に嵌め込み装填することにより,抜け止め用突起12の下面への係合をより強固にするという構成にしている。この場合においても,抜け止め用突起12における各分断片12aの上面を斜め下向きの傾斜面にしている。
【0041】
図11は第5の実施の形態を示している。この第5の実施の形態は,逆止弁6のフランジ8を断面逆U字状にして,その内側に筒状のシールリング13を下側から挿入し,このシールリング13を支持用突起10で支持したものである。
【0042】
図12及び図13は逆止弁6の変形例を示している。この逆止弁6は,芯部材6aと,この芯部材6aの内周及び外周を囲うように被覆する被覆部材6bとの多層構造であり,被覆部材6bを,その芯部材6aよりも更に柔らかい材料製にし,芯部材6aに対してインサート成形にて一体化している。
【0043】
芯部材6aには,十字状又はY字状等の切り抜き孔6a′と,一体化用の抜き孔6a″とを設ける一方,被覆部材6bのうち前記切り抜き孔6a′を埋める部分には,十字状又はY字状等にクロスする切線9を設けることにより,この切線9の間の部分が開閉するという構成したものである。この構成によると,前記逆止弁6における弁体部7が,多層構造であることにより,その開閉の確実性と,耐久性とを向上できる利点がある。
【0044】
(3).その他
本願発明は図示以外の様々の形態に具体化できる。例えば,本発明において使用する逆止弁は図示した構成のものに限らないことはいうまでもない。本願発明はブロー成形されたボトルにも適用できる。注出口の内面のうち上端部を大径とすることで注出口の内部に段部を形成し,この段部を逆止弁(或いはシールリング)の支持部となすことも可能である。
【0045】
シールリング付きの逆止弁(或いは逆止弁付きのシールリング)を予め蓋体の内部に装着しておいて,キャッピングするとシールリング付き逆止弁が注出口に離脱不能に取り付くように構成することも可能である。また,逆止弁の固定手段としては,逆止弁自体又はシールリング等の保持部材を注出口の内面に溶着することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本願発明は容器に適用して実際に製造できる。従って産業上利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1 容器本体の一例としての袋
2 注出口
3 蓋体
6 逆止弁
7 弁体部
8 フランジ
10 支持部の一例としての支持用突起
10a 支持用突起の分断片
11 環状溝
12 抜け止め用突起
12a 抜け止め用突起の分断片
13 シールリング
14 環状溝
15 縦溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が手で加圧して変形させ得る収容部に注出口を設けた容器本体と,前記容器本体の注出口を塞ぐ蓋体とを備え,前記注出口の内部に,前記収容部が加圧して内圧が高くなると内容物を注出させる軟質弾性体の逆止弁を配置した構成であり,
前記逆止弁は,前記収容部と反対の外側からの挿入によって前記注出口の内部に完全に隠れた状態で配置されており,前記注出口の内周に,前記逆止弁が収容部の側に抜け落ちるのを阻止する支持部を一体に設けている容器。
【請求項2】
請求項1において,前記注出口に設けた支持部は内向きの支持用突起である一方,前記逆止弁には,前記支持用突起で支持される外向きフランジが形成されている容器。
【請求項3】
請求項2において,前記逆止弁のフランジは前記収容部に向いて開口した筒状に形成されている一方,前記注出口の支持用突起には,逆止弁の筒状フランジが嵌まる溝が周方向に延びるように形成されている容器。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれかにおいて,前記逆止弁は,前記注出口に外側から嵌め込まれた筒状のシールリングによって前記支持部に押さえ保持されており,かつ,前記蓋体には,前記シールリングに内周側から密嵌する筒状の中足を設けているか又は設けていない容器。
【請求項5】
請求項4において,前記シールリングのうち前記注出口の内周面に対向した外周面に環状溝を形成している一方,前記注出口の内周には前記シールリングの環状溝に嵌まり係合する抜け止め用突起が形成されており,前記抜け止め用突起と支持用突起とは,それぞれ周方向に分断した状態で複数個ずつ形成されていると共に,前記注出口の軸線方向から見て互いに重ならないように周方向に位置ずれしている容器。
【請求項6】
請求項5において,前記逆止弁におけるフランジの外周面には,当該逆止弁を前記注出口内に装填するときに前記抜け止め用突起を通過させるための縦溝が設けられ,前記縦溝は前記シールリングで塞がれている容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−14360(P2013−14360A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148082(P2011−148082)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000216195)天龍化学工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】