説明

容易に分散可能な紫色顔料の製造方法

ベース顔料の表面が、ジオキサジン顔料(例えば、ピグメントバイオレット23)のレオロジーおよび色の特性ならびにフロック形成安定性を増加させるために、スルホン酸またはその誘導体などの特定の官能基を有するように改質される。顔料表面を改質し、さらにそれを混練することによって、カラーフィルタの分散性および効率性(輝度)が、他の悪影響をまったく有さずに改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2009年3月31日に出願された欧州出願番号第09156870.9号明細書の利益を主張する。
【0002】
本開示は、カラーフィルタの青色ピクセル部分での使用に適した顔料組成物に関する。さらに、本開示は、水系において改善された分散性および長期にわたる優れた分散安定性を有する改質ジオキサジン顔料を製造する方法に関する。本開示はまた、改質顔料から製造されるカラーフィルタ顔料、および前記顔料を含む液晶ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
カラーフィルタは、色を表示するために広く使われており、例えば、液晶装置(LCD)があるが、これは、カラーマトリックスパターンに配置された三色のピクセル(赤色、緑色および青色)から構成される。カラーフィルタを製造する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、染色、印刷、電気泳動析出、および顔料分散である。特に、カラーフィルタ用の組成物が、顔料を感光性ポリマーおよび/またはモノマーとともに分散させることによって得られる顔料分散法は、広く用いられている。マイクロピクセルは、フォトリソグラフィ処理によって形成され、それにより、優れた耐光性、耐熱性および耐溶剤性を生じる。
【0004】
前記顔料は、LCDパネル上に明瞭に画像を表示し(高コントラスト比)、明るい画像を表示する(高輝度)特性を有さなければならない。さらに、それらは、重要なカラー特性、例えば、色調、色の濃さ、光沢および透明性を維持しなければならない。色調は、非常に特別な色指数に対応しなければならない。多色プリントの場合、色パレットの範囲は、最大数の色調を与えるために十分広くなければならない。この点で、色、濃さ、光沢および透明性に関して優れた性能を有し、同時に高コントラスト比および高輝度を達成することができるカラーフィルタにおいて使用され得る顔料が継続して求められてきた。
【0005】
顔料分散法で使用される顔料は、当技術分野で一般に知られているものから選択することができ、必要に応じて、少なくとも2種類の顔料を混合して所望の透過特性をもたせることができる。例えば、多くの場合、青色ピクセル用のカラーレジストインクは、銅フタロシアニン色素を含む青色顔料であるピグメントブルー15:6を、カルバゾールジオキサジンを含む紫色顔料であるピグメントバイオレット23と一緒に用いることによって製造される。銅フタロシアニン色素と比較して、上記ピグメントバイオレット23は、より短い波長にシフトした青色透過領域を有する。したがって、それは、わずかに緑色の光を透過させる銅フタロシアニンを含む青色顔料の色純度を改善するために広く使用されている。色純度は、カラーフィルタのそれぞれのRGB顔料によってスクリーン上に生じたスポットにおける望ましくない色のないことと定義することができる。
【0006】
平面発色団構造によって、多環式およびヘテロ環式顔料は、多くの特性を共通に有する:紫色顔料は、高い処理温度でさえも実質的に不溶性であり、光、風化および熱に対する優れた安定性を含む、非常に良好な耐光性特性を示す。他方で、それらは、分散性不良を示し、それらを含む組成物のレオロジーには、不十分な点がある。
【0007】
合成または仕上げ後に得られる紫色顔料は、多くの場合に直接使用するには不適切である。これはしばしば、不完全な分散およびフロック形成などの困難をもたらす。これは、顔料の色の濃さおよび微粉度に欠陥をもたらす。不十分に分散した顔料は、さらなる処理の間にやっかいでもあり得る。特に、これは、低粘度系で沈降の問題を引き起こす。さらに、分散、保存またはさらなる処理の間のフロック形成をなくすことができず、系の望ましくないレオロジー的な変性、および適用されるフィルムの表面欠陥、色の濃さおよび光沢の消失の原因となる。
【0008】
実際の適用における顔料の特性を改善するために、極性官能基を顔料生成物中に組み入れることによって顔料の表面を改質することが有利である。これは、対応する未改質のベース顔料と比較して品質において明らかな改善をもたらす。この点で、顔料のレオロジー特性に影響を与えるための多くの提案がなされてきた。しかし、それらの従来技術は、レオロジー、分散性、フロック形成、浮き色、光沢および色の濃さに満足に対処することができなかった。
【0009】
米国特許第5,271,759号明細書では、多種多様な発色団を有する有機顔料、スルホン化顔料誘導体およびポリマー四級アンモニウム塩を含む顔料組成物が開示されている。顔料組成物は、表面コーティング、およびポリオレフィンの反りのない着色を可能にする印刷用インクにおいて良好なレオロジーを有するといわれている。
【0010】
米国特許第5,275,653号明細書では、ジオキサジン顔料(ピグメントバイオレット23)および分散剤としてスルホン化ジオキサジン誘導体を含む顔料製造物が開示されている。そこでは、顔料製造物は、改善されたレオロジーおよび色の特性を有することが記載されている。
【0011】
様々な官能基を有する顔料誘導体、例えば、スルホン酸基を有するジオキサジン誘導体(米国特許第4,400,504号明細書および欧州特許公開第0472975号明細書);スルホン酸アミド基(−SO2−NH(CH2)n)を有するジオキサジン誘導体(特開平6−228454号公報);アンモニウム塩を有するスルホン化顔料(米国特許第6,827,774号明細書および同第6,827,775号明細書);カルボキシルスルホン酸アミド基を有する顔料(米国特許第6,918,958号明細書);スルホネートおよび/またはヘテロ芳香族基を有するスルホン化顔料(米国特許第7,077,898号明細書)を開示する、当技術分野で公表された多数の文献も存在する。
【0012】
顔料粒子の表面を処理する方法も開示されている。米国特許第5,928,419号明細書では、初期の分散性に優れ、顔料粒子の凝集がない一方、水および有機溶媒中で長期の分散安定性を示す表面処理有機顔料が開示されている。このような有機顔料は、スルファミン酸またはピリジン−三酸化硫黄コンプレックスから選択されるスルホン化剤を、有機顔料が不溶またはわずかに可溶の溶媒中に分散させた有機顔料と、反応させることによって得られる。したがって、スルホン酸基は、有機顔料の各粒子の表面に導入される。
【0013】
PCT国際公開第06011338号パンフレットでは、顔料濃度が高いときでさえも良好な流動性および分散安定性を示す顔料分散組成物が開示されており、顔料分散系は、顔料を分散媒体中に分散させることによって得られる。顔料の表面は、少なくとも1個のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物および酸基含有樹脂を反応させることによって生成される酸基含有反応生成物で被覆されている。
【0014】
紫色顔料の分散系の製造では、顔料自体の溶媒に対する溶解度がより低いので、粗粒および他の原料を、ガラスボールなどの摩砕媒体の存在下で粉砕する摩砕機、または粒子がせん断力によって均一に分散される分散機などが別々に使用されてきた。例えば、米国特許第6,451,103号明細書および国際公開第05054381号パンフレットでは、分散機、例えば、ボールミル、サンドミル、エアージェットミル、ハンマーミルなどが用いられる、顔料分散系を製造する方法が開示されている。これらの機械は、分散系の生成に摩砕媒体を用いる点で混練装置と異なる。
【0015】
とりわけ、有益な紫色顔料は、高くて容易な分散性、レオロジーおよび色の特性、ならびにフロック形成安定性を示さなければならない。しかし、ジオキサジン顔料(ピグメントバイオレット23のような)には、これらの特性の一部が欠けている。
【0016】
従来技術の文献では、顔料の表面をスルホン酸またはその誘導体で改質することが教示されている。顔料は、分散性および分散安定性を改善するように改質され、それによりカラーフィルタの特性を改善する。
【0017】
しかし、分散剤として用いられる場合、スルホン酸基が多く導入されているスルホン化生成物は、得られた顔料分散系の凝固を引き起こす。さらに、スルホン化製品は、得られた顔料の色を変化させ、これは、カラーコーディネーションのより明るい指数をもたらし、したがって、非スルホン化生成物と比べて使用を増大させる。このことから、最終製品としてカラーフィルタの性能を改善させる効果はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明の開示
従来技術の不利点を考慮して、本開示では、改質ジオキサジン顔料を製造する方法、上記方法によって得られる改質ジオキサジン顔料、上記顔料の、ディスプレイ装置の、例えば、高レベルのピクセルを形成する液晶ディスプレイ装置における使用;上記顔料由来のカラーフィルタにおける使用のための組成物;硬化生成物およびそれから得られるカラーフィルタ、ならびにカラーフィルタ用の顔料組成物を製造する方法が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0019】
極性官能基を有するようにジオキサジン顔料粒子の表面を改質し、続いて、混練することで、カラーフィルタに使用される顔料にとって重要ないくつかの特性を満足させる予期しない結果がもたらされることが発見された。特に、改質により、優れたコントラスト比ならびに得られた顔料の凝固の抑制がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1(a)】表面処理工程前のピグメントバイオレット23粒子のTEM画像を示す。
【図1(b)】表面処理工程後のピグメントバイオレット23粒子のTEM画像を示す。
【図1(c)】混練工程後のピグメントバイオレット23粒子のTEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「顔料」という用語は、本明細書では、選択的な色吸収の結果としてそれが反射する光の色を変化させる材料を指すと定義される。顔料は、顔料の化学結合および置換基によって光の特定の波長を選択的に反射および吸収するので、色を示す。
【0022】
表面改質のための「官能化剤」という表現は、本明細書では、化学官能基を粒子の表面に導入する化学剤を指すと定義される。
【0023】
一実施形態では、悪影響、例えば、凝固を抑制しながら、分散性が増加する。これは、液晶要素のカラーフィルタを作動させる際に優れた性能(例えば、コントラスト比の値すなわち「CR値」)の効果を示す。
【0024】
本開示によれば、顔料の表面がその表面上に極性官能基を含むように改質され、そしてさらに混練される場合、驚くべきことに、上に列挙した不利点の多くが抑制された。同時に、得られたカラーフィルタのレオロジーおよびコントラスト比が大きく改善された。
【0025】
本開示はまた、官能化剤によるジオキサジン顔料の表面処理を含む、カラーフィルタでの使用のための改質ジオキサジン顔料に関する。次いで、表面処理された顔料は、混練工程を経る。本発明の別の実施形態では、官能化剤は、スルホン化剤である。
【0026】
別の実施形態では、ジオキサジン顔料は、本明細書で顔料粒子の高さのその幅に対する割合と定義されるアスペクト比を有する。アスペクト比は通常、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮られた写真の画像解析により決定される。平均長さ(L)は、最大定方向径、粒子が挿入され得る矩形の長さまたは長さLの測定を含むいくつかの方法で決定され得る。同様に、粒子の平均幅は、相当する投射部の円の直径、最小定方向径、粒子が挿入され得る矩形の幅または幅lに応じて決定され得る。したがって、アスペクト比(L/l)は、長さ(L)とそれに関連する幅(l)の比、特に最大定方向径対最小定方向径、最大定方向径対相当する投射部の円の直径、粒子が挿入され得る矩形の長さ対粒子が挿入され得る矩形の幅、または直接測定される長さ対直接測定される幅に相当する。粒子の集団のアスペクト比は、各粒子のアスペクト比の平均と定義される。
【0027】
この実施形態では、直接測定される長さ対直接測定される幅の平均比であるアスペクト比は通常、1:1〜1:2である。アスペクト比は、顔料粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像から画像中の各粒子のアスペクト比を視覚的に測定することによって得ることができる。1:1に近い比は、改善された分散安定性、粘度、コントラスト比および輝度をもたらし得る。
【0028】
一実施形態によれば、本明細書で各顔料分子当たりのスルホン酸基の数と定義される、スルホン酸のジオキサジン顔料への置換度は、一般に0.05から0.5であり、これは、炭素/硫黄測定機で測定される硫黄量から得ることができる。スルホン化剤対顔料の比は通常、10から40w/w(質量/質量)である。スルホン化剤の量を調整することによって、スルホン酸のジオキサジン顔料への置換度は、0.05から0.5である。本発明の特定の実施形態では、置換度は、0.1から0.3である。さらに、置換度は、温度などの反応条件を調整することにより調節可能である。
【0029】
別の実施形態では、官能化剤は、ジオキサジン顔料の表面に、−SO3M、−SO2NR12および−R3−NR45(ここで、R1およびR2は互いに独立しており、かつR1およびR2は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはシクロアルキルを表し、Mは、プロトン、アンモニウムカチオンまたは金属カチオンを表し、R3は、単結合、アルキレン、アリーレンを表し、ここで、上記アルキレンおよびアリーレンは、少なくとも1種の置換基で置換されていてもよく、R4およびR5は、互いに独立しており、かつ水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはシクロアルキルを表すか、またはまとまって、−CO−、−SO2−および−N=N−のうちの少なくとも1種を含有する縮合構造を形成する)からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を与える。一部の特定の実施形態では、官能基は、−SO3M、非置換または置換PIM(
【化1】

、フタルイミドメチレン)、−SO2NH−(CH23−N(C492、および−CH2−イミダゾールの基(ここで、Mは、プロトン、アンモニウムカチオンまたは金属カチオンを表す)から選択される少なくとも1種、好ましくは−SO3M、特に−SO3Hである。
【0030】
ジオキサジン顔料を改質する方法、すなわち、表面処理は、当技術分野でよく知られている方法、例えば、紫色顔料を濃硫酸もしくは発煙硫酸でスルホン化し、またはその顔料をクロロスルホン酸でクロロスルホン化し、続いて、得られた基を加水分解する方法によって行うことができる。特定の実施形態では、スルホン化は、紫色顔料を、60〜90質量%の濃度を有する硫酸溶液と反応させることによって行われる。
【0031】
表面処理は、溶媒の存在下または非存在下にかかわらず、上記スルホン化剤、例えば、濃硫酸、10〜60%の濃度を有する発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化硫黄およびアミドスルホン酸によって行われる。特に、スルホン化剤は、クロロ硫酸、硫酸および発煙硫酸からなる群から選択される。具体的には、硫酸の溶液は、50〜98質量%の濃度を有すべきである。一実施形態によれば、スルホン化剤は、従来の仕方で、すなわち、顔料の質量の5〜50倍、詳細には5〜20倍の量で用いられる。
【0032】
有用な溶媒として、酢酸、無水酢酸、酢酸エチル、ジエチルエーテル、四塩化炭素およびアセトニトリルを、顔料の質量の1〜100倍、詳細には2〜50倍、より詳細には3〜20倍の量で用いることができる。
【0033】
別の実施形態では、官能基の少なくとも一部は、−SO2Cl、−SO3H、−COCl、−CH2Clなどの置換基を導入し、その置換基と反応するアミン成分、例えば、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、フタルイミドなどを反応させて、上記官能基を形成することにより、ジオキサジン顔料の表面中に取り込むことができる。例えば、改質ジオキサジン顔料は、以下のスキーム1におけるように、ピグメントバイオレット23(PV23)から製造され得る。別の実施形態では、官能基は、酸の存在下で、ジオキサジン顔料をホルムアルデヒドおよびフタルイミドと反応させることによって取り込まれる(スキーム2を参照のこと)。
【化2】

【化3】

【0034】
表面処理は、0〜100℃、詳細には30〜80℃の温度で少なくとも0.1時間、より詳細には0.5時間行われる。この処理は、通常10時間以下、詳細には5時間以下行われる。
【0035】
一実施形態によれば、ジオキサジン顔料は、式I
【化4】

(式中:
1、R2およびR3は、出現するごとに同じかまたは異なり、独立して、ハロゲン、−NO2、−CN、直鎖状または分岐のC1~20アルキル、C3~20環式アルキル、直鎖状または分枝状のC1~20アルコキシ、C1~20ジアルキルアミノ、C4~14アリール、および1種以上の非芳香族基で置換されていてもよいC4~14ヘテロアリールから選択され、ここで、複数の置換基R1、R2およびR3は、同時に、さらなる単環式または多環式環系、場合により芳香族を共に形成してもよく、
lは、0から2の整数であり、
mおよびnは、出現するごとに同じかまたは異なり、かつ0〜4の整数である)
によって表されるジオキサジン骨格を含む。
【0036】
このような紫色顔料には、C.I.ピグメントバイオレット23およびC.I.ピグメントバイオレット37が含まれる。別の実施形態では、ジオキサジン顔料は、C.I.ピグメントブルー80である。本発明の特定の実施形態では、ジオキサジン顔料は紫色を有する、カルバゾールジオキサジン、C.I.ピグメントバイオレット23である。C.I.ピグメントバイオレット23は、以下の式;
【化5】

で表される。
【0037】
表面処理に続いて、顔料は混練工程を経る。これは、これにより製造されるLCDカラーフィルタの性能を改善する。表面処理がないと、ジオキサジン顔料が混練された場合でさえも、コントラスト比(CR)値は低下する。さらに、顔料を含有するカラーフィルタの色指数は、市販のジオキサジン顔料を含有するカラーフィルタと比較して変化し、このような効果は回避されなければならない。色指数もまた、未改質ジオキサジン顔料または表面処理ジオキサジン顔料を含有するカラーフィルタと比較して変化する。驚くべきことに、ジオキサジン顔料が本発明によって製造される(表面処理および混練工程によって)場合、得られたカラーフィルタの色指数は、未改質または表処理顔料と比較して変化しないが、コントラスト比は上昇する。
【0038】
一つのさらなる実施形態によれば、カラーフィルタ用の顔料組成物を製造する方法は、ジオキサジン顔料をスルホン化剤で表面処理する工程、ジオキサジン顔料を、銅フタロシアニンを含む青色顔料と混合する工程、および混合物を混練する工程を含む。別の実施形態では、上記青色顔料は、イプシロン結晶形態を呈する銅フタロシアニンである。
【0039】
本発明の様々な実施形態の混練方法は、当技術分野で一般に用いられる混練技術で行うことができる。一実施形態では、塩混練システムが用いられる。塩混練処理を達成するために、一軸混練型および二軸混練型を含む、当技術分野で周知の通常の連続式混練装置を使用することが可能である。
【0040】
混練工程は、様々な期間の間行うことができる。一般に、期間は、1時間以上、詳細には5時間以上、より詳細には6時間以上、最も詳細には10時間以上である。この期間はまた、一般に30時間以下、詳細には24時間以下、最も詳細には20時間以下である。
【0041】
混練工程はまた、様々な温度で行うことができる。一般に、温度は、0℃以上、詳細には10℃以上、最も詳細には30℃以上である。この温度はまた、一般に130℃以下、詳細には100℃以下、より詳細には70℃以下である。
【0042】
上記混練方法は、有機液体の存在下で行うことができる。混練工程に適した有機液体には、水、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジエチレングリコール、N−メチルホルムアミド、ジアセトンアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−ブトキシエタノール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ケトン類、キノリン類および上記の少なくとも2個の混合物が含まれてもよいが、これらに限定されない。さらに、別の実施形態では、この液体はジエチレングリコールである。
【0043】
混練方法において、有機液体対表面処理顔料および場合により添加される銅フタロシアニンを含む青色顔料の質量比は、一般に0.033以上、より詳細には0.050以上である。このような質量比は、一般に1.0以下、より詳細には0.666以下である。
【0044】
混練工程において、一実施形態によれば、塩混練処理に適した無機塩には、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムが含まれてもよいが、これらに限定されない。特に、必要に応じておよび可能な場合は、塩化ナトリウムは、結晶水を含有してもよい。質量比による、塩対表面処理顔料および場合により添加される、銅フタロシアニンを含む青色顔料の質量比は、一般に1(塩):0.067(表面処理顔料+青色顔料)以上、詳細には1:0.1以上である。このような質量比は、一般に1:1.0以下、より詳細には1:0.2以下である。
【0045】
無機塩はまた、一般に0.3μm以上である平均粒径を有する。このような平均粒径は、一般に200μm以下、詳細には50μm以下である。無機塩は一般に、水に溶け、詳細には水の少なくとも10g/100mlの程度まで可溶性である。無機塩の平均粒径は、粒径分析器(ナノフォクス(NANOPHOX)、シンパテック(Sympatec)製)を用いて測定してもよい。
【0046】
塩混練システムの回転速度は、混練された組成物が均一なせん断下で均一に動くように調整されるべきである。塩混練の間に、回転速度を30〜150rpm、より詳細には50〜120rpmに維持することが可能である。
【0047】
ε銅フタロシアニンを含む当技術分野のいずれの公知の青色顔料、例えば、市販製品のC.I.ピグメントブルー15:6を用いることができる。ε形態の銅フタロシアニン顔料の一次平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)の画像から凝集体を形成する少なくとも50個の最初の粒子を選択し、粒子の平均長直径を計算することによって決定され得る。直径は変わり得る。しかし、それは、一般に40nm未満、詳細には30nm未満である。より小さい粒径を有するイプシロン結晶形態の銅フタロシアニンは、カラーフィルタのコントラストを改善する。したがって、それらは、LCD装置用の青色フィルタとして有効に使用され得る。ε形態の銅フタロシアニン顔料のいずれの形状も用いることができる。しかし、一部の実施形態では、針様形状は不利であり、したがって、アスペクト比は、1以上であるが5未満である。
【0048】
一実施形態では、ε結晶形態を有する銅フタロシアニンは、液体中でε結晶形態を示す粒子を50質量%超含む銅フタロシアニン粒子を50℃以上の温度で加熱し、場合により、ビーズの存在下で摩砕することによって得られる。別の実施形態では、ε結晶形態を有する銅フタロシアニンは、少なくとも1種の液体および少なくとも1種の無機塩の存在下でε結晶形態を示す粒子を50質量%超有する銅フタロシアニン粒子を混練することによって得られる。特に、混練は、温度対時間の微分値(ΔT/Δt)が0である少なくとも2つの点が存在する温度条件下で行われる。
【0049】
銅フタロシアニン青色顔料の量は、全顔料組成物の少なくとも50質量%、詳細には少なくとも60質量%、より詳細には少なくとも70質量%、最も詳細には少なくとも75質量%である。銅フタロシアニン青色顔料の量は、一般に100質量%未満、詳細には99質量%未満、最も詳細には97質量%未満である。表面処理ジオキサジン顔料の量は、通常50質量%未満、詳細には40質量%未満、より詳細には30質量%未満、最も詳細には25質量%未満である。表面処理ジオキサジン顔料の量は、一般に少なくとも1質量%、好ましくは少なくとも2質量%、最も好ましくは少なくとも3質量%である。
【0050】
さらに、分散性などの特性を高めるために、−SO3M、−SO2NR12および−R3−NR45(ここで、R1およびR2は、互いに独立しており、かつ水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはシクロアルキルを表し、Mは、プロトン、アンモニウムカチオンまたは金属カチオンを表し、R3は、単結合、アルキレン、またはアリーレンを表し、ここで、上記アルキレンおよびアリーレンは少なくとも1種の置換基で置換されていてもよく、R4およびR5は、互いに独立しており、かつ水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはシクロアルキルを表すか、またはまとまって−CO−、−SO2−および−N=N−の少なくとも1種を含有する縮合構造を形成する)からなる群から選択される少なくとも1個の官能基で置換された銅フタロシアニンの粒子を、フタロシアニン青色顔料に添加してもよい。
【0051】
より詳細には、分散助剤として使用される銅フタロシアニン誘導体粒子は、SO3H、−SO2NHR1または
【化6】

(R1は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはシクロアルキルである)の官能基で置換され得る。
【0052】
一般に、分散助剤の量は、青色顔料の2〜20質量%、詳細には4〜15質量%、より詳細には6〜12質量%である。分散助剤は、当技術分野で一般に知られている材料であってもよく、または当技術分野で知られている一般的な方法で製造され得る。
【0053】
本顔料組成物は、カラーフィルタの青色ピクセル部分のための顔料として単独で使用され得る。しかし、必要に応じて、それは、異なる種類の青色有機顔料と一緒に使用することもできる。異なる種類の青色有機顔料を本明細書で記載される顔料組成物と一緒に用いる場合、顔料組成物はより良好なコントラスト比および輝度をもたらすので、顔料組成物を主成分として用いることが望ましい。
【0054】
別の実施形態では、スルホン化剤で表面処理され、次いで混練されるジオキサジン誘導体は、ディスプレイ装置、特にLCD装置のカラーフィルタに用いられる。
【0055】
本明細書で記載される顔料組成物は、当技術分野で知られている一般的な方法を用いることによって、カラーフィルタの青色部分を形成するために使用され得る。顔料を使用して上記青色ピクセル部分を製造する際に、顔料分散法が一般に使用される。その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7368148号明細書に記載されるように、顔料分散系の成分は、青色および紫色顔料などの着色剤、結合剤およびポリマー系分散助剤、顔料分散剤ならびに液体媒体を含む。
【0056】
特に、ブタノールなどの溶媒、分散剤および結合剤(ポリマー材料または樹脂材料を含む)が混合される。次いで、混合物を撹拌しながら、ε結晶型を示す銅フタロシアニンおよび銅フタロシアニンの誘導体を含む顔料である、本発明の改質ジオキサジン顔料が添加される。その後、得られた混合物は、成分の粒子を微粉化するために摩砕される。本発明の一部の実施形態では、摩砕は、異なるサイズを有する摩砕ビーズを用いる少なくとも2工程で行うことができる。特定の実施形態では、摩砕は、最初に大きいビーズの存在下、次いで、小さいビーズの存在下で行われる。摩砕工程後に、ビーズは、ガラス繊維などの適当な分離手段で取り除かれる。
【0057】
本発明はまた、カラーフィルタを製造するための顔料組成物であって、
(a)50〜99質量%、好ましくは75〜97質量%の、ε結晶形態を示す銅フタロシアニン粒子を含む青色顔料、および
(b)1〜50質量%、好ましくは3〜25質量%の本発明の改質ジオキサジン顔料を含み、
青色顔料が、青色顔料の質量に基づいて、2〜20質量%、好ましくは4〜15質量%、より好ましくは6〜12質量%の分散助剤を含む、顔料組成物に関する。
【0058】
本発明の特に好ましい実施形態では、カラーフィルタを製造するための顔料組成物は、
(a)50〜99質量%、好ましくは75〜97質量%の青色顔料組成物であって、青色顔料組成物の質量に基づいて、2〜20質量%、好ましくは4〜15質量%、より好ましくは6〜12質量%の量の、主としてε銅フタロシアニン粒子、ならびにSO3H、SO2NHR1および
【化7】

(R1は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはシクロアルキルである)から選択される官能基で置換された銅フタロシアニンからなる青色顔料組成物、ならびに
(b)1〜50質量%、好ましくは3〜25質量%の本発明の改質ジオキサジン顔料、特にスルホン酸基で改質されたピグメントバイオレット23
を含む。
【0059】
本発明は、実施例によってさらに例証されるが、それらにその範囲を限定されない。
【0060】
さらなる詳細を与えるために、以下の実施形態が以下に提供される。しかし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。さらに、特に断らない限り、以下に示される単位全体は、質量に基づく。
【実施例】
【0061】
実施例1
その表面上にスルホン酸基(−SO3H)を有するピグメントバイオレット23の製造
10gのピグメントバイオレット23(PV−23)顔料を、100gの98%硫酸に添加し、その混合物を50℃で5時間撹拌し、5kgの水で抽出した。沈殿物をろ過後、pH7が得られるまで沈殿物を洗浄した。沈殿物を100℃で少なくとも12時間乾燥させた。
【0062】
透過型電子顕微鏡を用いて粒子を分析した際、元のPV−23粒子は、1:3.0〜5.0のアスペクト比を有する棒形状であるが、表面処理工程後のピグメントバイオレット粒子は、1:2.0〜3.0のアスペクト比を有することを確認した。
【0063】
実施例2
その表面上にスルファモイル基(−SO2−NHR)を有するピグメントバイオレット23の製造
40g(0.068mol)のPV−23を、三つ口丸フラスコ中80gの塩化チオニルと320gの塩化スルホニルの混合物に添加した。得られた混合物を、室温で4時間撹拌し、次いで、4.4kgの氷水の中へ注いだ。沈殿物をろ過後、pH7が得られるまで沈殿物を蒸留水で洗浄し、湿ったケーキを得た。
【0064】
得られた湿ったケーキに、2000gの水および5.44gの水酸化ナトリウムを添加し、その混合物を60℃で3時間撹拌した。次いで、25gの3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンを添加し、その混合物をさらに60℃で3時間撹拌した。沈殿物をろ過後、pH7が得られるまで沈殿物を蒸留水で洗浄した。沈殿物を100℃で少なくとも12時間乾燥させた。
【0065】
実施例3aおよび実施例3b
表面処理ピグメントバイオレット23の混練
実施例1および実施例2でそれぞれ得られた、10質量部の表面処理ピグメントバイオレット23粒子(実施例3aおよび3bに相当する)を、10〜30質量部のジエチレングリコールおよび20〜100質量部の塩化ナトリウムと一緒に実験室用混練機に加えた。それぞれの混合物を50℃で20時間混練した。混練後、粒子をろ過により分離させ、104Paの圧力で乾燥させた。
【0066】
その後の混練工程後、実施例3aおよび実施例3bの粒子は、円形状であり、アスペクト比は、1:1.0〜2.0であった。摩砕ベースの調製の間に生じた集塊を視覚的に観察することによって、集塊なしの良好な分散性を、両方の種類の粒子について確認した。
【0067】
実施例4
カラーフィルタにおける粒子の試験
カラーフィルタを、混練前後(表面処理なしで、実施例3aおよび実施例3bと同じ条件での混練)、スルホン酸基を結合させる表面処理後(実施例1)、スルファモイル基を結合させる表面処理後(実施例2)、ならびに表面処理および混練後(実施例3aおよび実施例3b)のピグメントバイオレット23粒子を用いて作製した。得られたカラーフィルタの分散レベル、コントラスト比(CR)、輝度(Br.、任意単位で表して)および色指数(CI)を調べ、結果を以下の表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
上記結果からわかるように、顔料を混練した場合、コントラスト比(CR)値は、表面処理PV−23顔料についてだけ増加したが、CR値は、未処理PV−23顔料について減少した。さらに、色指数は、未処理PV−23について変化した。したがって、CR値の改善は、部分的表面処理および混練を施した、本明細書で記載される方法の顔料だけから得ることができる。
【0070】
さらに、輝度、および色指数の変化に関して、スルホン酸基を有するPV−23顔料は、スルファモイル基を有するPV−23顔料と比較して、色指数を維持すると同時に改善された輝度性能を示した。
【0071】
実施例5
実施例1の表面処理ピグメントバイオレット23およびイプシロン結晶形態を有する銅フタロシアニンの混練(共混練)
30nm未満の平均粒径を有する銅フタロシアニン粒子およびスルホン化銅フタロシアニン粒子を実験室用混練機にさらに添加し、混練時間を15時間に減らした以外は、混練工程を、実施例3aにおけるのと同様に行った。実施例1の改質ピグメントバイオレット23とε形態銅フタロシアニン顔料粒子の混合顔料を用いて作製したカラーフィルタは、実施例3aのものおよびε形態銅フタロシアニン顔料と比較して、約5%の輝度およびコントラスト比の改善を生じた。
【0072】
様々な変更および変形が、基本的特徴または特性から逸脱することなく、実施形態になされ得ることは当業者に明らかである。したがって、記載された実施形態は、すべての点で単に説明的なものであって、限定的なものではないと考えられるべきである。したがって、本開示の範囲は、上記の説明によるよりもむしろ、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味および均等物の範囲内のすべての変化は、それらの範囲内に包含されるものとする。
【0073】
参照により本明細書に組み込まれる、特許、特許出願、および刊行物のいずれかの開示が、用語を不明瞭にさせ得る程度に本開示と矛盾する場合は、本開示が優先されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中:
1、R2およびR3は、出現するごとに同じかまたは異なり、かつハロゲン、−NO2、−CN、直鎖状または分枝状のC1〜20アルキル、C3~20環式アルキル、直鎖状または分枝状のC1〜20アルコキシ、C1〜20ジアルキルアミノ、C4〜14アリール、および1種以上の非芳香族基で置換されていてもよいC4〜14ヘテロアリールからなる群から独立して選択され、ここで、複数の置換基R1、R2およびR3は、同様に、さらなる単環式または多環式環系、場合によって芳香族を共に形成してもよく、
lは、0から2の整数であり
mおよびnは、出現するごとに同じかまたは異なり、かつ0から4の整数である)
により表されるジオキサジン骨格を含む改質ジオキサジン顔料を製造する方法であって、
(i)ジオキサジン顔料を官能化剤で表面処理する工程、および
(ii)前記表面処理したジオキサジン顔料を混練する工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記官能化剤が、前記ジオキサジン顔料の表面に、−SO3M、−SO2NR12および−R3−NR45(ここで、R1およびR2は、互いに独立しており、かつR1およびR2は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはシクロアルキルを表し;Mは、プロトン、アンモニウムカチオンまたは金属カチオンを表し;R3は、単結合、アルキレン、アリーレンを表し、ここで、前記アルキレンおよびアリーレンは少なくとも1種の置換基で置換されていてもよく;R4およびR5は、互いに独立しており、かつ水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはシクロアルキルを表すか、またはまとまって−CO−、−SO2−および−N=N−のうちの少なくとも1種を含有する縮合構造を形成する)からなる群から選択される少なくとも1個の官能基を与える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記官能化剤が、好ましくはクロロ硫酸、硫酸および発煙硫酸からなる群から選択される、少なくとも1種のスルホン化剤である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記官能基が、−SO3M、非置換または置換のPIM(フタルイミドメチレン)、−SO2NH−(CH23−N(C492、および−CH2−イミダゾール基(ここで、Mは、プロトン、アンモニウムカチオンまたは金属カチオンを表す)から選択される少なくとも1種、好ましくは−SO3MまたはPIM、より好ましくは−SO3Mである、請求項2〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記官能化剤対顔料の比が、10〜40w/wである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ジオキサジン顔料が、ピグメントバイオレット23である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
表面処理が、0〜100℃、より詳細には30〜80℃の温度で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
混練が、0〜100℃、より詳細には30〜70℃の温度で行われる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法によって得られる、改質ジオキサジン顔料。
【請求項10】
スルホン酸の前記ジオキサジン顔料への置換度が、0.05から0.5である、1:1〜1:2のアスペクト比を有する、請求項9に記載の改質ジオキサジン顔料。
【請求項11】
カラーフィルタにおけるまたはLCD装置の製造における、請求項9または10に記載の改質ジオキサジン顔料の使用。
【請求項12】
カラーフィルタ用の顔料組成物を製造する方法であって、
(i)ジオキサジン顔料を官能化剤で表面処理する工程、
(ii)イプシロン結晶形態を示す銅フタロシアニン粒子を含む青色顔料を添加する工程、および
(iii)前記表面処理したジオキサジン顔料および銅フタロシアニンを含む前記青色顔料を混練する工程、
を含む、方法。
【請求項13】
前記青色顔料が、イプシロン結晶形態を示す銅フタロシアニンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記青色顔料が、−SO3M、−SO2NR12および−R3−NR45(ここで、R1およびR2は、互いに独立しており、かつR1およびR2は、水素、アルキル、アルケニル、アリールまたはシクロアルキルを表し;Mは、プロトン、アンモニウムカチオンまたは金属カチオンを表し;R3は、単結合、アルキレン、アリーレンを表し、ここで、前記アルキレンおよびアリーレンは、少なくとも1種の置換基で置換されていてもよく;R4およびR5は、互いに独立しており、かつ水素、アルキル、アルケニル、アリールもしくはシクロアルキルを表すか、またはまとまって−CO−、−SO2−および−N=N−のうちの少なくとも1種を含有する縮合構造を形成する)からなる群から選択される少なくとも1種の官能基で置換された銅フタロシアニンの粒子をさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
カラーフィルタを製造するための顔料組成物であって、
(a)50〜99質量%、好ましくは75〜97質量%の、イプシロン結晶形態を示す銅フタロシアニン粒子を含む青色顔料、
(b)1〜50質量%、好ましくは3〜25質量%の請求項9または10に記載の改質ジオキサジン顔料、
を含み、
前記青色顔料が、前記青色顔料の質量に基づいて、2〜20質量%、好ましくは4〜15質量%、より好ましくは6〜12質量%の分散助剤を含む、
顔料組成物。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【公表番号】特表2012−522086(P2012−522086A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502603(P2012−502603)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054020
【国際公開番号】WO2010/112427
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】