説明

宿酔を予防及び改善する機能性組成物とこれを含む食品及び食品添加剤

【課題】人体への副作用がなく、宿酔解消に効果的な宿酔を予防及び改善する機能性組成物とこれを含む食品及び食品添加剤を提供すること。
【解決手段】アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分として含有することを特徴とする宿酔を予防及び改善する機能性組成物、さらにビタミンB群とフラクトオリゴ糖を付加成分として含む宿酔を予防及び改善する機能性組成物を含有することを特徴とする食品又は食品添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宿酔を予防及び改善する機能性組成物とこれを含む食品及び食品添加剤に関する。
【背景技術】
【0002】
会食や接待が多く、ストレスが溜まる現代人にとって飲酒は避けられないものであり、飲み過ぎは、一時的に動悸、頭痛、渇症、吐き気、胃腸障害、下痢などの二日酔いの症状(hangover)を生じる。
【0003】
このため、以前からエタノールの毒性を軽減させたり、毒性の発現を阻害できる物質に関する研究および実験が行われており、その結果、天然食品や漢方材料から抽出した成分を含有した様々な健康補助食品が開発されている(キム・ジョンハンら、韓国農化学会誌、38(6)、pp549〜553、1995)。
【0004】
最近になり、漢方薬剤又は民間療法として宿酔症状の解消に有効であると知られている人参、エゾウコギなどの成分を主成分とする各種製剤形態の機能性食品が開発された。この中で人参を主成分とする滋養強壮ドリンク剤が数多く販売されるようになり、さらに、蜂蜜、ビタミンなどの各種成分を適量混合して滋養強壮剤として販売されている。
【0005】
人参、エゾウコギ(非特許文献1)、カミメボウキ(Ocimum sanctum Linn)、ティノスポラマラバリカ(tinosporamalabarica)(非特許文献2)などの生薬とメラトニンなどの生体物質が宿酔症状の解消作用があると報告されているが、飲酒に伴う多様な宿酔の症状の中で一部の症状にのみ効果があるにすぎず、宿酔症状の解消効果が小さいことが分かった。
【0006】
最近は、モヤシを主原料とした植物エキスを含有した製品と、未胚芽および大豆抽出物を含有した製品が紹介されている。しかし、これらの製品も製剤の安全性面で解決しなければならない問題点が多い。
【0007】
このように、飲酒後の宿酔症状を解消するために、各種生薬剤を含むドリンク剤が販売されているが、一部の生薬剤を含むドリンク剤は、全身倦怠感、腹部膨満感、吐き気又は腹痛などを誘発する場合があり、さらに、一部のドリンク剤は、高価の生薬剤を使うため、価格が高くなるという問題点もある。
【非特許文献1】Brekhman et al.,Lloydia,32(1)、pp46〜51、1969
【非特許文献2】Sen,P.et al.、Indian J. Exp. Biol.、30、pp592〜596、1992
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、上記のような現代人の飲酒による悪影響を解決して元気な日常生活が営めるよう、人体への副作用のない、宿酔を予防及び改善することができる機能性組成物を開発し、本発明に至った。すなわち、本発明の目的は、人体への副作用がなく、宿酔解消に効果的な宿酔を予防及び改善する機能性組成物とこれを含む食品及び食品添加剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、飲酒に伴う宿酔を解消する効果を有する機能性組成物を提供する。より詳細には、アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分として含有する宿酔を予防及び改善する機能性組成物を提供する。前記組成物は、アスパラガス抽出物、セリ抽出物、及びよもぎ抽出物を主成分として含有する宿酔を予防及び改善する機能性組成物を含む。また、前記組成物にビタミンB群とフラクトオリゴ糖からなる群より選択された組み合わせを付加成分として含む宿酔を予防及び改善する機能性組成物を提供する。前記組み合わせは、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖である機能性組成物を含む。前記抽出物は、水、エタノール、メタノール、ブタノールのような低級アルコール又はこれらの混合溶媒、好ましくは水に可溶な抽出物を含む。前記主成分は、アスパラガス抽出物30〜50重量%、セリ抽出物20〜40重量%、よもぎ抽出物10〜30重量%からなることを特徴とする。前記付加成分として含有される成分は、ビタミンB群0.1〜5重量%、フラクトオリゴ糖5〜25重量%からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記のように、本発明は、アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分として、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖を付加成分として含有する宿酔を予防及び改善する機能性組成物は、宿酔解消に優れた効果を有する。これを有効成分として含有する食品、食品添加剤又は健康機能食品を製品化することで、現代人の飲酒後の宿酔を予防及び改善のために有効かつ便利に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の機能性組成物の呼気中アルコール濃度の減少効果を測定した臨床試験の結果図
【図2】機能性組成物の飲酒後の宿酔解消効能に対する自覚症状の結果図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のアスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物は、下記のようにして得ることができる。
【0013】
まず、アスパラガス、セリ、よもぎを、それぞれ乾燥して摩砕して粉末化した後、各乾燥重量の好ましくは約2〜20倍、より好ましくは約3〜7倍に至る容積の水、メタノール、エタノール及びブタノールのような低級アルコール、又はこれらの約1:0.1〜1:10混合比の混合溶媒、好ましくは、水を用い、好ましくは20〜100℃、より好ましくは60〜80℃の抽出温度で、好ましくは約0.5時間〜2日、より好ましくは1時間〜1日間、所定時間の間隔で熱水抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出又は超音波抽出などの抽出方法、好ましくは、熱水抽出で好ましくは1回〜5回、より好ましくは3回連続抽出して減圧濾過し、濾過抽出物を真空回転濃縮機にて、好ましくは20〜100℃、より好ましくは20〜70℃で減圧濃縮して、水、低級アルコール又はこれらの混合溶媒に可溶な各抽出物を得ることができる。
【0014】
また、本発明は、上記方法で得られたアスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分として、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖からなる群より選択された組み合わせを付加成分として含む宿酔を予防及び改善する機能性組成物と、その他の食品成分を含有する食品を提供する。
【0015】
前記食品には、菓子類、糖類、アイスクリーム製品類、乳加工品、食肉製品、魚肉製品、豆腐類又は寒天、食用油脂類、麺類、茶類、飲料類、特殊栄養食品、健康補助食品、調味食品、氷、人参製品類、キムチづけ食品、干し肉類などと、その他の食品類が含まれる。
【0016】
一方、前記食品の形態は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、液相又は飲料形態である。
【0017】
また、本発明は、アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分とし、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖からなる群より選択された組み合わせを付加成分として含む宿酔を予防及び改善する機能性組成物食品添加剤を提供する。
【0018】
前記食品添加剤の形態は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、液相又は飲料形態である。
【0019】
また、本発明は、上記食品添加剤を食品に殺菌剤、香辛料、調味剤、種々の栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド性増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤など、又は食品素材の必須原料として使用されることを特徴とする食品添加剤の利用方法を提供する。この時、食品添加剤は、食品を浸漬、噴霧又は混合して前記食品に添加することができ、このような添加剤の割合はそれほど重要ではないが、本発明の組成物100重量部当たり約0〜20重量部の範囲で選択するのが一般的である。
【0020】
食品は、果物、野菜、果物や野菜の乾燥製品又は切断製品、果物ジュース、野菜ジュース、これらの混合ジュース、チップ類、麺類、畜産加工食品、水産加工食品、乳加工食品、発酵乳食品、豆類食品、穀類食品、微生物発酵食品、製菓製パン、味付け類、肉加工類、酸性飲料水、カンゾウ類、ハブ類のうちのいずれか1つ又は1つ以上である。
【0021】
また、本発明は、アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分として、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖からなる群より選択された組み合わせを付加成分として含む宿酔を予防及び改善する機能性組成物の他に、食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含む健康機能食品を提供する。
【0022】
前記健康機能食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル又は飲料形態の健康機能食品を含む。
【0023】
本発明は、宿酔を予防及び改善効果を示す前記組成物、及び食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含む健康機能食品を提供する。前記組成物を添加できる食品には、例えば、各種食品類、飲料、ガム、茶、ビタミン複合剤、健康機能食品類などがある。
【0024】
また、宿酔を予防及び改善する目的で食品又は飲料に添加することができる。この時、食品又は飲料中の前記組成物の量は、一般的に、本発明の健康機能食品組成物の場合、食品の全重量の好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%であり、健康飲料組成物の場合は、100mlを基準にして好ましくは0.01〜15g、より好ましくは0.1〜10gの割合である。
【0025】
本発明の健康飲料組成物は、前記組成物を所定の割合で必須成分として含む以外に、液体成分において特別な制限はなく、一般飲料と同様に、様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。上述の天然炭水化物の例には、ぶどう糖、果糖などの単糖;マルトース、蔗糖などの二糖;デキストリン、シクロデキストリンなどの通常の糖である多糖;およびキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールがある。上記以外の香味剤としては、天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例:レバウディオサイドA、グリチルリチンなど)、及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。前記天然炭水化物の割合は、本発明の組成物100ml当たり、通常約1〜20g、好ましくは、約5〜12gである。
【0026】
さらにまた、本発明の組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護コロイド性増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含むことができる。この他に本発明の組成物は、天然果物ジュース及び果物ジュース飲料及び野菜飲料を製造するための果肉を含むことができる。このような成分は、独立的に又は組み合わせて用いることができる。このような添加剤の割合はそれほど重要ではないが、本発明の組成物100重量部に対して約0〜約20重量部の範囲で選択されるのが一般的である。
【0027】
本発明の組成物として、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸塩、ポリリン酸塩などのリン酸塩、ポリフェノール、カテキン(catechin)、アルファ−ドコフェノール、ローズマリー抽出物(rosemary extract)、カンゾウ抽出物、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然抗酸化剤のうちのいずれか1つ又は1つ以上をさらに含むことができる。
【0028】
前記組成物は、好ましくは20〜90%の高濃縮液や粉末や顆粒形態である。
【0029】
同様に、本発明の組成物は、乳糖カゼイン、デキストリン、葡萄糖、砂糖、ソルビトールのうちのいずれか1つ又は1つ以上をさらに含むことができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例及び実験例を用いて詳しく説明する。なお、下記の実施例及び実験例は本発明の例示であり、本発明は本明細書に記載した実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0031】
実施例1:抽出物の製造
本発明で用いたアスパラガス、セリ、よもぎは、商店及びキョンドン市場で購入したものである。アスパラガス、セリ、よもぎを、それぞれ1kgを乾燥した後、摩砕して得られた粉末各300〜600gを集気瓶に入れ、蒸留水2L(リットル)を加えて、70℃で、所定時間間隔(12h、6h、3h)で3回反復して熱水抽出した後、濾紙(ワットマン製、アメリカ)で減圧濾過し、その濾過抽出物を真空回転濃縮機にて40℃で蒸留水を除去して抽出した残渣として各抽出物50〜200gを得た。
【0032】
各候補物質の濃縮液は、4℃保管濃縮試料として、あるいはディスクタイプの噴霧乾燥(spray dryer)又は凍結乾燥(freezing dryer)を行って粉末状の試料として使用でき、乾燥された粉末試料は、水分吸収を抑制した状態で保管した。
【0033】
実施例2:機能性組成物の製造
前記実施例1により得られたアスパラガス抽出物30〜50重量%、セリ抽出物20〜40重量%、よもぎ抽出物10〜30重量%を主成分とし、ビタミンB群0.1〜5重量%、フラクトオリゴ糖5〜25重量%を付加成分にしてこれを混合して機能性組成物を製造した。
【0034】
実験例1:天然物質群のアルコール分解酵素(ADH)及びアセトアルデヒド分解酵素(ALDH)活性の測定
1−1.実験方法
天然物質が宿酔解消に効果があるかどうかを調べるために、宿酔解消効能の最も重要な因子であるADHとALDHの活性を試験管内(in vitro)で測定した。
【0035】
酵素は、凍結乾燥されたS9 rat liver homogenate(MOLTOX Co.、USA)を0.1%ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin)溶液8mlに溶解し、0.45μmシリンジフィルター(syringe filter)で濾過して使用した。
【0036】
ADHの活性測定は、吸光度340nmにおけるNADHの生成速度を指標として利用し、反応液の組成は、蒸留水1.4ml、1.0M トリス-HCl緩衝液(tris−HCl buffer)(pH8.8)0.75ml、20mM NAD 0.3ml、エタノール(ethanol)0.3ml、試料(sample)0.1mlの混合液と酵素0.15mlをキュベットに入れて、総量が3mlになるようにした。試料を30℃で5分間前処理した後、5分間340nmにおける吸光度の変化を測定した。この時、試料を添加しないものを対照群にし、試料のADH活性は、対照群に対する相対活性(%)として測定した。
【0037】
ALDHの活性測定は、吸光度340nmにおけるNADHの生成速度を指標として利用し、反応液の組成は、蒸留水2.1ml、1.0 M トリス−HCl緩衝液(pH8.0)0.3ml、20mM NAD 0.1ml、1.0Mアセトアルデヒド(acetaldehyde)0.1ml、3.0M KCl 0.1ml、0.33M 2−メルカプトエタノール(mercaptoethanol)0.1ml、試料0.1mlの混合液と酵素0.1mlをキュベットに入れて総量が3mlになるようにした。試料を30℃で5分間前処理した後、5分間340nmにおける吸光度の変化を測定した。この時、試料を添加しないものを対照群にし、試料のALDH活性は、対照群に対する相対活性(%)として測定した。
【0038】
1−2.ADHとALDH活性度測定の結果(in vitro)
表1は、各植物抽出物100ppmにおけるADHとALDHの活性を示すもので、ADHの活性は、アスパラガス抽出物120.5%、セリ抽出物117.3%、よもぎ抽出物116.4%、ビタミンB群116.3%の順であり、ALDHの活性は、セリ抽出物103.9%、ビタミンB群101.7%、アスパラガス抽出物100.8%、よもぎ抽出物99.5%の順である。全体試料は、ADHとALDHでいずれも高い酵素活性を示しており、生体内(in vivo)実験での活性が期待される。
【0039】
【表1】

【0040】
実験例2:宿酔を解消する候補物質投与による血中アルコール濃度減少効果の測定
前記試験管内(in vitro)実験で行った宿酔解消物質を対象にして動物実験を行った。動物実験は、平均体重30gの白いマウス(ICR mouse)10匹を1つの実験群にし、各濃度の候補物質を0.2mlの量で経口投与用注射器にて口腔内に直接投与し、対照群には等量の水を経口投与した。
【0041】
試料投与から10分経過後に40%エタノール0.2mlを経口投与し、その後、45分及び90分経過時に血液を尾静脈で20μlずつ採取してEDTA-処理した受器に入れた後、直ちに6.25%のTCA溶液180μlを加えて2000rpmで10分間遠心分離を行った。上澄液20μlを取ってシグマ社のNAD-ADH酵素液(Sigma-Aldrich社)0.5mlにそれぞれ入れ、これを37℃で10分間静置後、340nmにおける吸光度を測定した。その後、エタノール標準物質(0.05%、0.1%、0.3%(w/v))を用いたエタノール標準セット(ethanol standard set、Sigma kit)にて各実験群の血中アルコール濃度を計算した(表2)。
【0042】
【表2】

【0043】
表2から分かるように、宿酔解消物質のマウスを対象にした動物実験で血中アルコール濃度減少効果を測定した結果、試験管内(in vitro)の実験結果と類似する血中アルコール濃度減少効果を示した。
【0044】
実験例3:宿酔を解消する機能性組成物の急性毒性実験
本発明の宿酔を解消する機能性組成物の安全性実験のために、単回経口投与による急性毒性実験を行った。マウス(Sprague Dawley outbred rats)実験用動物として使用し、雌5匹、雄5匹は実験群、雌5匹、雄5匹は対照群として使用した。
【0045】
機能性組成物を経口投与する12時間前から飼料は与えず、水は充分に摂取させた。機能性組成物は、マウス(SD rat)の体重1kg当たり5gになるように投与した。機能性組成物を投与した後、通常通り飼料を摂取させ、投与当日には投与後1時間から6時間まで毎時間、投与翌日から15日までは毎日1回以上、一般症状の変化、毒性症状及び死亡動物の有無を観察した(表3及び表4参照)。
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
実験の結果、雄雌マウスの全投与群において、実験物質の投与に係わる死亡率、一般症状、体重変化及び肉眼的剖検所見は見られなかった。本実験で実験物質投与群の5,000mg/kg/dayの容量は、経口投与急性毒性の実験で用いた限界容量を投与し、本実験物質の急性経口毒性は低いものと判断される。
【0049】
結論的に、雄雌マウスに対する機能性組成物の5,000mg/kg/day容量による単回経口投与において、実験物質投与に係わる死亡率、一般症状、体重変化及び肉眼的剖検所見からは何ら毒性所見が見られなかったので、本実験物質の致死量は5,000mg/kg/dayを上回るものと判断される。
【0050】
実験例4:宿酔解消効能に対する臨床試験
機能性組成物の宿酔解消効能を測定するための臨床試験は、20〜30代の健康な成人男女20人を対象にして行い、実験群の特徴を表5に示す。
【0051】
【表5】

【0052】
実験対象群には、実験結果に影響すると考えられる要因を最大限排除するために、実験前7日前から飲み過ぎおよび薬物服用を禁じた。宿酔解消効能を測定するための実験サンプルとして、対照群には水を摂取させ、比較群には韓国の代表的な宿酔解消飲料であるC社の製品を摂取させた。各実験飲料に対する臨床試験は、服用サンプルに対する交差効果を除去するため、一週間の時間空白を設けて実施した。
【0053】
全体実験は、同一被験者を対象にして各飲料サンプルを1週間間隔で臨床試験を行い、水を摂取した対照群とC社の製品を摂取した比較群、そして機能性組成物を摂取した実験群を、3週間1次実験を行い、その後、2週間の休息時間を与えてから1次実験で行った方法と同じ方法で第2次臨床試験を行った。
【0054】
第2次実験は、第1次実験が有意性のある反復的な結果であるかどうかを確認するための実験である。臨床試験は、初期に22人を対象にして行われたが、途中で2人が脱落し、実験結果から除外した。臨床試験の方法は、現在主に販売されている宿酔解消飲料の説明に従って、お酒を飲む前に宿酔解消飲料を摂取する方法で実験を行った。各々の飲料はランダムに摂取し、被験者は、摂取する飲料について情報を与えない状態で、内容物が見えないように同じ容器に入れて提供した。
【0055】
各サンプルに対する服用量は、水および機能性組成物、C社の製品をいずれも75mlにし、飲酒20分前に服用させた。各サンプルの服用20分後に焼酎(ジンロ社のチャムイスル;アルコール濃度21%)4杯(52ml×4=210ml)を5分間隔で飲むようにし、焼酎1杯にビエンナソーセージ1切れを摂取させた。
【0056】
摂取後30分間隔でカオス(株)製造の携帯用飲酒測定器(ビジネスマンCA2000)を利用して呼気中アルコール濃度を測定した。ビジネスマンCA2000飲酒測定器は、韓国標準科学研究院(KRISS韓国警察庁の公式認証試験機関)のアルコール感知正確度試験の性能テストを通過した製品であって、血中アルコール濃度と誤差はほとんどないといえる(韓国標準科学研究院試験成績書添付)。また、実験の正確性を期するために3台の飲酒測定器を利用して実験を行った。
【0057】
自覚症状を評価するために、飲酒の翌日に質問紙調査を実施した。質問紙調査の内容は、頭痛/めまい、吐き気/むかむか、腹痛/下痢、酔いの程度に対して1、2、3、4、5の5段階評価で回答するようにした。
【0058】
各点数の基準は
1:日常生活に全く支障がない(ほとんどない)
2:日常生活にほとんど支障がない(非常に軽い)
3:日常生活に支障はないが平常の体の状態ではない(ややひどい)
4:日常生活にやや支障がある(ひどい)
5:症状がひどくて日常生活に大きな支障がある(非常にひどい)
の段階で表す。
【0059】
全ての検査結果は平均標準偏差で表示し、統計はPairedt-testを利用した。統計的に有意なp値が0.05未満である。
【0060】
各サンプルが呼気中アルコール濃度に与える影響について第1次実験および第2次実験を行って調べた。表6は、第1次実験および第2次実験と統合したアルコール濃度変化の測定値を示す。
【0061】
アルコール摂取30分後の呼気中アルコール濃度は、機能性組成物を摂取した場合0.037〜0.011で、陰性対照群である水を摂取した場合(0.085〜0.015)より56.4%低く、120分後には70.2%低いことが分かる。また、機能性組成物とC社製品を比較すると、30分後には機能性組成物がC社製品に比べて24.7%低く、120分後には38.3%低いことが分かった。対照群と機能性組成物の結果は、Paired t-testの結果、統計学的に有意な減少であることが判った。機能性組成物を摂取した群は、120分が経過した時、呼気中アルコール濃度が急激に減少した。(図1)
【0062】
【表6】

【0063】
飲酒後の自覚症状は、臨床試験の翌日に質問紙調査により行われた。質問紙は、質問紙調査の内容は、頭痛/めまい、吐き気/むかむか、腹痛/下痢、酔いの程度に対して1、2、3、4、5の5段階評価で回答するようにした。本実験に対する質問調査結果、焼酎210mlに対する自覚症状は、全体的に強度が高くはなかったが、対照群である水を摂取した場合と機能性組成物を摂取した場合を比べると、統計学的に有意な減少であることが判った。機能性組成物を摂取させた場合、対照群を摂取した場合に比べて、頭痛/めまい症状で23.8%、吐き気/むかむか症状で26.5%、腹痛/下痢症状で24.1%、酔いの程度で26.3%と良好な結果を示した。また、機能性組成物を摂取させた場合、C社製品を摂取した場合に比べて、頭痛/めまい症状で14.7%、吐き気/むかむか症状で7.8%、腹痛/下痢症状で9.5%、酔いの程度で12.1%と良好な結果を示した。(図2)
【0064】
【表7】

【0065】
各点数の基準
1:日常生活に全く支障がない(ほとんどない)
2:日常生活に支障がほとんどない(非常に軽い)
3:日常生活に支障はないが平常の体の状態ではない(ややひどい)
4:日常生活にやや支障がある(ひどい)
5:症状がひどくて日常生活に大きな支障がある(非常にひどい)
【0066】
製剤例1:健康食品の製造
実施例2の機能性組成物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1000mg
ビタミン混合物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
ビタミンAアセテート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70μg
ビタミンE・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.0mg
ビタミンB1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.13mg
ビタミンB2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.15mg
ビタミンB6・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5mg
ビタミンB12・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.2μg
ビタミンC・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10mg
ビオチン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10μg
ニコチン酸アミド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.7mg
葉酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50μg
パントテン酸カルシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.5mg
無機質混合物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
硫酸第1鉄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1.75mg
酸化亜鉛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.82mg
炭酸マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25.3mg
第1リン酸カリウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15mg
第2リン酸カルシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55mg
クエン酸カリウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90mg
炭酸カルシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100mg
塩化マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24.8mg
【0067】
上記ビタミン及びミネラル混合物の組成比は、比較的健康食品に適した成分を好適な実施例として混合造成したが、その配合比を任意に変形実施することもでき、通常の健康食品製造方法により上記成分を混合した後、顆粒を製造し、通常の方法で健康食品組成物の製造に使用することができる。
【0068】
製剤例2:健康飲料の製造
実施例2の機能性組成物・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1000mg
クエン酸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1000mg
オリゴ糖・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
梅濃縮液・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
タウリン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1g
精製水を加えた全体・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・900ml
【0069】
通常の健康飲料の製造方法に従って前記成分を混合した後、約1時間85℃で撹拌加熱した後、製造された溶液を濾過して滅菌処理した2L容器に入れて密封、滅菌処理して冷蔵保管した後、本発明の健康飲料組成物の製造に用いる。
【0070】
前記組成比は、比較的嗜好飲料に適した成分を好適な実施例に基づいて混合造成したが、需要階層、需要国、使用用途など、地域的、民族的嗜好に合わせてその配合比を任意に変形することも可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分として含有することを特徴とする宿酔を予防及び改善する機能性組成物。
【請求項2】
前記組成物は、アスパラガス抽出物、セリ抽出物、及びよもぎ抽出物を主成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の宿酔を予防及び改善する機能性組成物。
【請求項3】
前記組成物の主成分は、アスパラガス抽出物30〜50重量%、セリ抽出物20〜40重量%、よもぎ抽出物10〜30重量%からなることを特徴とする請求項2に記載の宿酔を予防及び改善する機能性組成物。
【請求項4】
前記機能性組成物にビタミンB群とフラクトオリゴ糖からなる群より選択された組み合わせを付加成分として含むことを特徴とする請求項1に記載の宿酔を予防及び改善する機能性組成物。
【請求項5】
前記組み合わせは、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖であることを特徴とする請求項4に記載の宿酔を予防及び改善する機能性組成物。
【請求項6】
付加成分は、ビタミンB群0.1〜5重量%、フラクトオリゴ糖5〜25重量からなることを特徴とする請求項5に記載の宿酔を予防及び改善する機能性組成物。
【請求項7】
アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分とし、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖を付加成分として含む宿酔を予防及び改善する機能性組成物を含有することを特徴とする食品。
【請求項8】
粉末、顆粒、錠剤、カプセル、液相又は飲料形態であることを特徴とする請求項7に記載の食品。
【請求項9】
アスパラガス抽出物、セリ抽出物、よもぎ抽出物からなる群より選択された組み合わせを主成分として、ビタミンB群とフラクトオリゴ糖を付加成分として含む宿酔を予防及び改善する機能性組成物を含むことを特徴とする食品添加剤。
【請求項10】
粉末、顆粒、錠剤、カプセル、又は液相状であることを特徴とする請求項9に記載の食品添加剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−275288(P2010−275288A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−168466(P2009−168466)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(509085102)ベンズ ラブ シーオー エルティーディー (2)
【氏名又は名称原語表記】BEN’S LAB CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】KITI 1102,The University of Suwon,Wau−ri,Bongdam−eup,Hwasung−si,Gyeonggi−do 445−743,Korea
【出願人】(509203452)ニーズファーム シーオー エルティーディー (1)
【氏名又は名称原語表記】Needspharm Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Neungdon Bldg.202 Neungdong,Gwangjing‐Gu,Seoul,Korea
【Fターム(参考)】