説明

密封装置

【課題】高圧からの急減圧によるメインシール10の発泡割れを有効に防止すると共に、メインシール10とサブシール20間への蓄圧によるサブシール20の負荷を低減して寿命の向上を図る。
【解決手段】互いに対向する二部材110,120間に介在されて密封空間Hからの高圧ガスを密封対象するメインシール10と、このメインシール10より密封空間H側に位置して前記二部材110,120間に介在され密封空間Hと反対側を向いたシールリップ22を有するサブシール20とからなる密封装置であって、シールリップ22における前記二部材110,120のうち一方又は他方の部材との対向面に、シールリップ22の先端側を薄肉とする段差部221が形成され、この段差部221とそれより薄肉側の先端部が前記一方又は他方の部材110と当接可能であり、前記段差部221の厚肉側が、複数の溝によって円周方向へ断続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二部材間に介在される密封装置において、とくに、例えばヘリウム、窒素、二酸化炭素、水素等、透過性の高いガスを密封対象とし、高圧かつ圧力変動が大きい環境下で使用されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧力変動が小さい高圧ガスをシールするための密封装置としては、ゴム又はゴム状弾性を有する合成樹脂(以下、ゴム状弾性材料という)からなるOリング等のパッキンが用いられている。しかしながら、密封対象がゴム状弾性材料への透過性が高い例えばヘリウム、窒素、水素等のガスであって、高圧状態から急減圧されるような圧力変動が著しい条件で使用された場合は、ゴム状弾性材料からなるパッキンに発泡割れ(ブリスタ)が発生して、シール機能が損なわれてしまうおそれがある。
【0003】
すなわち、このような発泡割れは、ゴム状弾性材料からなるパッキンには、高圧時に、密封対象である透過性の高いガスが高圧状態(圧縮状態)で保持され、その後、急激に減圧されたときに、パッキン内部に保持されていた高圧ガスが急激に膨張して、パッキンに発泡による亀裂が生じてしまうのである。
【0004】
ゴム状弾性材料からなるパッキンに上述のような発泡割れを生じさせないためには、例えば前記パッキンをガス透過性の極めてよい材料に変更し、高圧時に浸透したガスを、減圧時に急速に放出可能とすることが有効である。しかしガス透過性の良い材料では、透過漏れを生じやすくなるため、十分なシール機能が得られなくなる問題があった。
【0005】
そこで、ゴム状弾性材料からなるメインシールに、急激な密封対象ガスの圧力変動が作用しないようにするための技術が特許文献1に開示されている。図8は、この特許文献1に開示された従来の密封装置を示す装着状態の断面図である。
【特許文献1】特開2004−278576号公報
【0006】
図8において、参照符号110は第一の部材、参照符号120は第二の部材で、互いに同心的に配置された両部材110,120間の円筒状隙間は、図における右側が、高圧となる密封空間Hに連通しており、図における左側が大気側空間Lに連通している。第二の部材120には、第一の部材110との対向周面に環状の取付溝121,122が形成されており、前記隙間を密封する密封装置は、ゴム状弾性材料からなり取付溝121に装着されたメインシールとしてのOリング101と、それより高圧側(密封空間H側)にあって取付溝122に装着され合成樹脂からなるサブシール102とで構成される。サブシール102は、大気側空間L側を向いたシールリップ102a,102bを有し、このうちシールリップ102aは第一の部材110に密接され、シールリップ102bは取付溝122の溝底122aに密接される。
【0007】
すなわちこの密封装置は、密封空間Hから高いガス圧力(例えば50MPa以上)が作用すると、サブシール102のシールリップ102a,102bがこの圧力によって押し開かれて、第一の部材110及び溝底122aから一瞬離れるので、前記ガス圧力がサブシール102とOリング101の間の空間Cに導入される。そして、この空間Cのガス圧力によって、Oリング101が第一の部材110及び取付溝121の内面に圧縮状態で押し付けられ、前記高圧ガスを密封する。
【0008】
そしてこの高圧状態から、密封空間Hのガス圧力が急激に減圧されると、サブシール102とOリング101の間の空間Cが密封空間Hより相対的に高圧となることによって、サブシール102のシールリップ102a,102bが第一の部材110及び溝底122aへの密接状態が維持されるので、高圧時にOリング101に浸透・保持されたガスが、密封空間Hの急減圧によってOリング101内から急に膨張して放出されることはなく、このためOリング101の発泡割れ(ブリスタ)を有効に防止することができる。
【0009】
ところがこの密封装置は、密封空間Hのガス圧力が急激に減圧されたときの空間Cと密封空間Hの圧力差によってサブシール102のシールリップ102a,102bが第一の部材110及び溝底122aへ押し付けられるため、前記圧力差が大きいと第一の部材110及び溝底122aに対するシールリップ102a,102bの密接面圧や密接幅も大きくなってしまう。したがって、第一の部材110及び第二の部材120が相対回転又は軸方向へ反復的に相対移動するものである場合、第一の部材110に対するシールリップ102aの摺動負荷が著しく大きくなってサブシール102が破損してしまうおそれがある。
【0010】
また、上述のように密封空間Hのガス圧力が急激に減圧されたときには、サブシール102のシールリップ102a,102bが第一の部材110及び溝底122aへ押し付けられて、空間Cをほぼ完全にシールしてしまうので、空間Cに閉じ込められた透過性のガスが、密封空間Hが減圧されている間もOリング101へ継続的に浸透することになり、大気側空間Lへのガスの浸透漏れ量が多くなるおそれもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、高圧からの急減圧によるメインシールの発泡割れを有効に防止すると共に、メインシールとサブシール間への蓄圧によるサブシールの負荷を低減して寿命の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る密封装置は、互いに対向する二部材間に介在されて密封空間からの高圧ガスを密封対象するメインシールと、このメインシールより密封空間側に位置して前記二部材間に介在され前記密封空間と反対側を向いたシールリップを有するサブシールとからなる密封装置であって、前記シールリップにおける前記二部材のうち一方又は他方の部材との対向面に、前記シールリップの先端側を薄肉とする段差部が形成され、この段差部及びそれより薄肉側の先端部が前記一方又は他方の部材と当接可能であり、前記段差部の厚肉側が、複数の溝によって円周方向へ断続するものである。
【0013】
上記構成によれば、密封空間の高圧ガスは、サブシールのシールリップを押し開いてサブシールとメインシールとの間の空間に導入されるが、密封空間が急激に減圧されることによってサブシールとメインシールとの間の空間が相対的に高圧になっても、前記シールリップは、互いに対向する二部材のうち一方の部材又は他方の部材に対して、段差部及びそれより薄肉側の先端部のみが当接可能であり、しかも前記段差部を支点とするてこ作用によって前記先端部の密接面圧が抑制されるので、その密接状態は不完全であり、複数の溝によって円周方向へ断続した前記段差部の厚肉側も密封機能は持たないため、メインシールとサブシールの間の空間は、相対的に低圧となった密封空間へのガス放出によって徐々に減圧される。したがって、高圧時にメインシールにガスが浸透しても、この浸透ガスが減圧によって急激に膨張・放出されることはなく、このためメインシールの発泡割れの発生が有効に防止され、メインシールとサブシールの間の空間の蓄圧によるサブシールの負荷増大も防止される。
【0014】
また、請求項2の発明に係る密封装置は、互いに対向する二部材間に介在されて密封空間からの高圧ガスを密封対象するメインシールと、このメインシールより密封空間側に位置して前記二部材間に介在され前記密封空間と反対側を向いたシールリップを有するサブシールとからなる密封装置であって、前記シールリップにおける前記二部材のうち一方又は他方の部材との対向面に、少なくとも前記他方の部材との接触幅より幅が広く、かつ前記シールリップより硬い材質のシートが一体的に設けられたものである。
【0015】
上記構成によれば、密封空間の高圧ガスは、サブシールのシールリップを押し開いてサブシールとメインシールとの間の空間に導入されるが、密封空間が急激に減圧されることによってサブシールとメインシールとの間の空間が相対的に高圧になっても、前記シールリップは、それよりも硬い材質のシートが設けられたことによって、互いに対向する二部材のうち一方の部材又は他方の部材に対する密接状態が不完全なものとなり、このためメインシールとサブシールの間の空間は徐々に減圧される。したがって、高圧時にメインシールにガスが浸透しても、この浸透ガスが減圧によって急激に膨張・放出することはなく、このためメインシールの発泡割れの発生が有効に防止され、メインシールとサブシールの間の空間の蓄圧によるサブシールの負荷増大も防止される。
【0016】
また、請求項3の発明に係る密封装置は、互いに対向する二部材間に介在されて密封空間からの高圧ガスを密封対象するメインシールと、このメインシールより密封空間側に位置して前記二部材間に介在され前記密封空間と反対側を向いたシールリップを有するサブシールとからなる密封装置であって、前記シールリップにおける前記二部材のうち一方又は他方の部材との対向面が、少なくとも前記他方の部材との接触幅より広い範囲で梨地状をなすものである。
【0017】
上記構成によれば、密封空間の高圧ガスは、サブシールのシールリップを押し開いてサブシールとメインシールとの間の空間に導入されるが、密封空間が急激に減圧されることによってサブシールとメインシールとの間の空間が相対的に高圧になっても、前記シールリップは、互いに対向する二部材のうち一方の部材又は他方の部材に対する密接状態が梨地によって不完全なものとなり、このためメインシールとサブシールの間の空間は徐々に減圧される。したがって、高圧時にメインシールにガスが浸透しても、この浸透ガスが減圧によって急激に膨張・放出することはなく、このためメインシールの発泡割れの発生が有効に防止され、メインシールとサブシールの間の空間の蓄圧によるサブシールの負荷増大も防止される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜3の発明に係る密封装置によれば、密封空間が高圧の状態から急激に減圧されることによるメインシールの発泡割れが有効に防止され、メインシールとサブシールの間の空間の蓄圧によるサブシールの負荷増大も防止されるため、シール寿命及びシール性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る密封装置の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず図1は、本発明に係る密封装置の第一の形態を示す装着状態の断面図、図2は、図1の要部断面図、図3は、第一の形態におけるサブシールを示す断面斜視図である。
【0020】
図1において、参照符号110は第一の部材、参照符号120は第二の部材で、円筒面(周面110a,120a)同士で対向するように互いに同心的に配置されており、両部材110,120間の円筒状隙間は、図における右側が、高圧となる密封空間Hに連通しており、図における左側が大気側空間Lに連通している。なお、第一の部材110及び第二の部材120は特許請求の範囲に記載された二部材に相当する。
【0021】
第二の部材120には、第一の部材110との対向周面120aに環状の取付溝121,122が形成されており、前記隙間を密封する密封装置は、取付溝121に装着されたメインシールとしてのOリング10と、それより高圧側(密封空間H側)にあって取付溝122に装着されたサブシール20とで構成される。
【0022】
Oリング10はよく知られているように断面が円形をなし、ゴム状弾性材料からなるものであって、取付溝121に保持され、その溝底121aと、第一の部材110における第二の部材120との対向周面110aとの間に適当に圧縮された状態に介在している。
【0023】
サブシール20は、合成樹脂からなるものであって、取付溝122に保持されており、図2に示されるように、端面21aが取付溝122における密封空間H側の内側面122bと対向する基部21と、この基部21から密封空間Hと反対側(大気側空間L側)を向いて延び、第一の部材110の周面110aに密接される第一シールリップ22と、基部21から密封空間Hと反対側(大気側空間L側)を向いて第一シールリップ22と略対称に延び、取付溝122の溝底122aに密接される第二シールリップ23とを有し、第一シールリップ22と第二シールリップ23との間は略U字形の溝20aとなっている。
【0024】
また、第一シールリップ22における第一の部材110との対向面には、図2及び図3に示されるように、第一シールリップ22の先端側を薄肉とする段差部221が形成され、この段差部221の薄肉側の先端部222がその縁部において前記第一の部材110の周面110aに当接可能であり、前記段差部221の厚肉側が、複数の溝223によって円周方向へ断続した突起部224となっている。
【0025】
以上のように構成された第一の形態において、密封空間Hから高いガス圧力(例えば50MPa以上)が作用すると、この圧力によってサブシール20の第一及び第二シールリップ22,23が押し開かれて第一の部材110及び取付溝122の溝底122aから一瞬離れ、前記ガス圧力がOリング10とサブシール20の間の空間Cに導入される。そしてこの空間Cのガス圧力によって、Oリング10が第一の部材110の周面110a及び取付溝121の内面に圧縮状態で押し付けられ、前記高圧ガスを密封する。
【0026】
そしてこの高圧状態から、密封空間Hのガス圧力が急激に減圧されると、Oリング10とサブシール20の間の空間Cが密封空間Hより相対的に高圧となることによって、サブシール20の第一及び第二シールリップ22,23は、第一の部材110の周面110a及び取付溝122の溝底122aへの密接状態が維持されるが、第一シールリップ22は、段差部221と、それより薄肉側の先端部222のみが第一の部材110の周面110aと接触可能であり、しかも段差部221を支点とするてこ作用によって前記先端部222の面圧が抑制されるので、微小隙間を有する不完全な密接状態となる。また、段差部221の厚肉側である突起部224は、第一の部材110の周面110aに当接されているが、複数の溝223によって円周方向へ断続したものであるため密封機能はない。このため空間C内の高圧ガスは、第一シールリップ22と第一の部材110の周面110aとの当接部を通過して、相対的に低圧となった密封空間Hへ徐々に放出され、したがって前記空間Cは急減圧されることなく、徐々に減圧される。
【0027】
したがって、高圧時にゴム状弾性材料からなるOリング10に空間C内のガスが浸透しても、この浸透ガスが、空間Cの急減圧によって急激に膨張・放出されることはなく、このためOリング10の発泡割れ(ブリスタ)の発生が有効に防止される。
【0028】
また、上述のように、空間Cに導入された高圧ガスは密封空間Hの減圧時には密封空間Hへ放出されるので、空間Cが蓄圧されることはない。したがって第一の部材110及び第二の部材120が相対回転又は軸方向へ反復的に相対移動するものである場合でも、第一の部材110の周面110aに対する第一シールリップ22の摺動負荷が著しく大きくなるようなことはなく、このためサブシール20のシール寿命も向上する。しかも密封空間Hが減圧されている間は、Oリング10へのガスの浸透が起こらないため、大気側空間Lへのガスの浸透漏れも抑制される。
【0029】
次に図4は、本発明に係る密封装置の第二の形態を示す装着状態の要部断面図、図5は、第二の形態におけるサブシールを示す断面斜視図である。
【0030】
この第二の形態において、先に説明した第一の形態と異なるところは、サブシール20の第一シールリップ22における第一の部材110との対向面に、少なくとも前記第一の部材110との接触幅w1より幅w2が広く、かつ第一シールリップ22(サブシール20)を形成している合成樹脂より硬い、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等からなるシート225が一体化されたことにある。その他の部分は、第一の形態と同様に構成されている。
【0031】
なお、シート225は第一シールリップ22に貼り付けてもよいし、第一シールリップ22(サブシール20)と一体成形してもよい。
【0032】
以上のように構成された第二の形態も、密封空間Hから高いガス圧力(例えば50MPa以上)が作用すると、この圧力によってサブシール20の第一及び第二シールリップ22,23が押し開かれて第一の部材110及び取付溝122の溝底122aから一瞬離れ、前記ガス圧力がOリング10(図1参照)とサブシール20の間の空間Cに導入され、Oリング10によって前記高圧ガスが密封される。
【0033】
そしてこの高圧状態から、密封空間Hのガス圧力が急激に減圧されると、空間Cが密封空間Hより相対的に高圧となることによって、サブシール20の第一及び第二シールリップ22,23は、第一の部材110の周面110a及び取付溝122の溝底122aへの密接状態が維持されるが、第一シールリップ22は、第一の部材110との接触面が第一シールリップ22を形成している合成樹脂より硬い材質のシート225からなるため、第一の部材110の周面110aと馴染みにくく、微小隙間を有する不完全な密接状態となる。このためOリング10とサブシール20の間の空間C内の高圧ガスは、第一シールリップ22と第一の部材110の周面110aとの接触面間を通過して、相対的に低圧となった密封空間Hへ徐々に放出され、したがって前記空間Cは急減圧されることなく、徐々に減圧される。
【0034】
したがって、第二の形態も、基本的には第一の形態と同様の効果が実現される。
【0035】
次に図6は、本発明に係る密封装置の第三の形態を示す装着状態の要部断面図、図7は、第三の形態におけるサブシールを示す断面斜視図である。
【0036】
この第三の形態において、先に説明した第一又は第二の形態と異なるところは、サブシール20の第一シールリップ22における第一の部材110との対向面が、少なくとも前記第一の部材110との接触幅w1より幅w2が広い範囲で、梨地226をなし、すなわち無数の微小凹凸を有する粗面となっていることにある。その他の部分は、第一又は第二の形態と同様に構成されている。
【0037】
なお、梨地226は、加工の都合上、第一シールリップ22における第一の部材110との対向面の全域に設けてもよい。
【0038】
以上のように構成された第三の形態も、密封空間Hから高いガス圧力(例えば50MPa以上)が作用すると、この圧力によってサブシール20の第一及び第二シールリップ22,23が押し開かれて第一の部材110及び取付溝122の溝底122aから一瞬離れ、前記ガス圧力がOリング10(図1参照)とサブシール20の間の空間Cに導入され、Oリング10によって前記高圧ガスが密封される。
【0039】
そしてこの高圧状態から、密封空間Hのガス圧力が急激に減圧されると、空間Cが密封空間Hより相対的に高圧となることによって、サブシール20の第一及び第二シールリップ22,23は、第一の部材110の周面110a及び取付溝122の溝底122aへの密接状態が維持されるが、第一シールリップ22は、第一の部材110との接触面が梨地226をなすため、無数の微小凹凸による不完全な密接状態となる。このためOリング10とサブシール20の間の空間C内の高圧ガスは、第一シールリップ22と第一の部材110の周面110aとの接触面間を通過して、相対的に低圧となった密封空間Hへ徐々に放出され、したがって前記空間Cは急減圧されることなく、徐々に減圧される。
【0040】
したがって第三の形態も、基本的には第一又は第二の形態と同様の効果が実現される。
【0041】
なお、メインシールとしては、断面形状が略方形状をなす角リングや、断面形状が略X字形をなすXリングや、断面形状が略D字形をなすDリングなど、他のパッキンも使用することができるが、上述の形態のように、Oリング10が最も好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る密封装置の第一の形態を示す装着状態の断面図である。
【図2】図1の要部断面図である。
【図3】第一の形態におけるサブシールを示す断面斜視図である。
【図4】本発明に係る密封装置の第二の形態を示す装着状態の要部断面図である。
【図5】第二の形態におけるサブシールを示す断面斜視図である。
【図6】本発明に係る密封装置の第三の形態を示す装着状態の要部断面図である。
【図7】第三の形態におけるサブシールを示す断面斜視図である。
【図8】従来の密封装置を示す装着状態の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 Oリング(メインシール)
20 サブシール
22 第一シールリップ
221 段差部
222 先端部
223 溝
224 突起部(厚肉側)
225 シート
226 梨地
23 第二シールリップ
110 第一の部材
120 第二の部材
121,122 取付溝
C 空間
H 密封空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する二部材間に介在されて密封空間からの高圧ガスを密封対象するメインシールと、このメインシールより密封空間側に位置して前記二部材間に介在され前記密封空間と反対側を向いたシールリップを有するサブシールとからなる密封装置であって、前記シールリップにおける前記二部材のうち一方又は他方の部材との対向面に、前記シールリップの先端側を薄肉とする段差部が形成され、この段差部及びそれより薄肉側の先端部が前記一方又は他方の部材と当接可能であり、前記段差部の厚肉側が、複数の溝によって円周方向へ断続することを特徴とする密封装置。
【請求項2】
互いに対向する二部材間に介在されて密封空間からの高圧ガスを密封対象するメインシールと、このメインシールより密封空間側に位置して前記二部材間に介在され前記密封空間と反対側を向いたシールリップを有するサブシールとからなる密封装置であって、前記シールリップにおける前記二部材のうち一方又は他方の部材との対向面に、少なくとも前記他方の部材との接触幅より幅が広く、かつ前記シールリップより硬い材質のシートが一体的に設けられたことを特徴とする密封装置。
【請求項3】
互いに対向する二部材間に介在されて密封空間からの高圧ガスを密封対象するメインシールと、このメインシールより密封空間側に位置して前記二部材間に介在され前記密封空間と反対側を向いたシールリップを有するサブシールとからなる密封装置であって、前記シールリップにおける前記二部材のうち一方又は他方の部材との対向面が、少なくとも前記他方の部材との接触幅より広い範囲で梨地状をなすことを特徴とする密封装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−112507(P2010−112507A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286926(P2008−286926)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】