説明

密閉型電池及び安全弁

【課題】開弁圧のばらつきが少なく、内部圧力の上昇に対するより安定した作動特性を示す復帰式の安全弁を有する密閉型電池、及び密閉型電池に採用して好適な復帰式の安全弁を提供する。
【解決手段】安全弁300は、弁体320を覆う筒状のケース310を備えている。ケース310には、弁体320の柱側面に向かって部分的に窪んで弁体320に当接する3つの窪み部311が形成されている。そして、この窪み部311によって、弁体320を同弁体320の側方から位置規制する。また、ケース310の天面310Aに窪み部311の非形成領域に窪み部311が形成されるとともに、ケース310と弁体320との間には空間部Sが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常な内部圧力を開放する復帰式の安全弁を有する密閉型電池、及び、密閉型電池に用いて好適な復帰式の安全弁に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、携帯用の電子機器の電源として、また、電気自動車やハイブリッド自動車などの電源として、様々な二次電池が提案されている。そして、このような二次電池のうち、特に密閉型の電池には、電池ケースの内部圧力が所定の圧力を超えたときに開放するように作動して内部圧力を低下させるとともに、内部圧力の低下後は閉塞状態に復帰する安全弁、いわゆる復帰式の安全弁が設けられていることも多い。こうした安全弁は、発電要素の化学反応によって生じたガスなどによる内部圧力の異常な上昇に反応して作動することでケース内部のガスを排出させるように機能する。そして従来、このような密閉型電池に用いられる復帰式の安全弁としては、例えば特許文献1に記載の安全弁が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載に見られるように、すなわち図8(a)に示すように、正極及び負極の極板群26等が収容される電池ケース1の開口部に安全弁22として、ガスケット7を介して取りつけられている。また、この安全弁22は、その拡大部分断面構造を図8(b)に示すように、プレス成形されたフィルター3及びキャップ11を備えて構成されており、それらフィルター3及びキャップ11によって形成される空間の内部にフィルター3の底面中央に設けられた弁孔9を封止するゴム弁体12が収容されている。そして、このように構成される安全弁では、図8(a)に示す電池ケース1内でガスが発生したことに起因して内部圧力が設定値に達すると、同内部圧力によってゴム弁体12が弾性変形し、ゴム弁体12にて封止されていた弁孔9が開放される。これにより、電池ケース1内で発生したガスは、この開放された弁孔9、上記キャップ11に形成されたガス抜き孔10を順に介して電池ケース1の外部へと排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−243929号公報
【特許文献2】特開2010−153237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の安全弁では、先の図8(b)から明かなように、上記ゴム弁体12は、その大部分がキャップ11の内壁面11aに当接されて固定される、もしくは内壁面11aとの間で僅かな隙間のみを残した構造となっている。このため、こうしたキャップ11の内壁面11aにゴム弁体12が当接されることでその位置規制を図ることはできるものの、電池ケース1内の内部圧力の上昇時には、ゴム弁体12がその下面から押圧されることによって横方向に膨張すると、ゴム弁体12がキャップ11の内壁面11aによって全周に亘り拘束されるようになる。そのため、電池ケース1内の内部圧力の上昇時には、ゴム弁体12の拘束に伴って同ゴム弁体12の荷重が急激に増大するようになる。そして、こうしたゴム弁体12の荷重特性に起因してその反力にばらつきが生じることとなり、こうしたゴム弁体12の反力のばらつきが、そのままゴム弁体12が開放されるときの圧力、すなわち開弁圧に反映されることとなってしまう。
【0006】
また従来は、この他、例えば特許文献2に見られるように、ゴム弁体に代えてコイルバネを用い、弁孔との間に介在させたシール部材をこのコイルバネによって押圧する安全弁も知られている。しかしこの場合であれ、コイルバネの特性上、シール部材を押圧する力、すなわちシール部材と弁孔との間での面圧を均一にすることは難しい。そして、こうした面圧の不均一に伴って、弁体が開放するときの開弁圧にばらつきが発生することとなってしまう。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、開弁圧のばらつきが少なく、内部圧力の上昇に対するより安定した作動特性を示す復帰式の安全弁を有する密閉型電池、及び密閉型電池に採用して好適な復帰式の安全弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、正極および負極を有する極板群が収容された電槽に連通する弁口を封止する弁体と、該弁体を弁口を封止する面の裏から押圧する弁蓋とによって構成される復帰式の安全弁を備える密閉型電池であって、前記安全弁は、前記弁蓋として、前記弁体を同弁体の側方から位置規制する複数のリブと、前記弁体の開弁時に前記弁口から排出される流体を外部に排出する排出口とを有する弁蓋を備えており、前記弁蓋と前記弁体との間における前記リブの非形成領域に空間部を有してなることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、弁体は、弁蓋に設けられた複数のリブによって位置規制される。そして、上記電槽の内部圧力の上昇時には、弁体に圧縮荷重がかかることによって、同弁体が径方向に膨張する。このとき弁体はリブによって部分的に拘束されるものの、同リブが当接されない領域では十分に膨張することができる。このため、内部圧力により弁口側から押圧される弁体を的確に位置規制しながらも、ゴム状の弾性体によって構成される弁体本来の弾性変形動作を確保することができる。そして、上記電槽の内部圧力が異常上昇することにより所定の開弁圧に達すると、弁体が弾性変形することにより開放作動し、電槽内で発生したガス等が上記排出口を介して外部に排出される。そしてこの開放作動時には、弁体の弾性変形動作が拘束されることなく十分に行われるため、弁体本来の荷重特性が維持されるようになる。このため、弁体では、安定した荷重特性を得ることができるため、同弁体が押圧されたときの反力も安定するようになる。これにより、弁体が開放作動する際の開弁圧の安定化を図ることができるようになり、内部圧力の上昇に対するより安定した作動特性を得ることができるようになる。
【0010】
また、こうした安全弁は、同安全弁を位置規制する複数のリブと、弁体の開弁時に弁口から排出される流体を外部に排出する排出口とによって構成することが可能であるから、より容易な構成のもとに復帰式の安全弁を構成することができる。これにより、従来の復帰式安全弁などに比べても部品点数が少なく、組付け時の歩留まりが良く、コストも低くすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の密閉型電池において、前記複数のリブが、少なくとも3つ以上のリブからなることを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、3つ以上のリブによって、弁体が3以上の方向から位置規制される。これにより、各リブによって弁体が的確に位置規制されるようになる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の密閉型電池において、前記弁蓋は、前記弁体を覆う筒状のケースからなり、前記ケースは、前記弁体の側面に向かって部分的に窪んで前記弁体に当接する窪み部により前記リブを形成し、該リブの非形成領域に前記排出口を有することを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、上記弁蓋が筒状のケースによって構成されるとともに、同ケースの窪み部によって上記リブが形成される。また、上記ケースの非形成領域には、空間部と排出口とが形成される。このように構成される安全弁では、弁体が開放作動するときの弁体の膨張分が上記空間部に吸収される。よって、筒状のケースにより弁蓋を構成しながらも、同ケースに設けられた空間部にて弁体の膨張を十分に吸収することが可能となり、弁体の円滑な弾性変形動作を担保することができる。また上記構成によれば、上記リブがケースの一部によって形成されることから、同リブを有したケースを一体成形することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の密閉型電池において、前記弁体は円柱状に形成されてなり、該円柱の直径が柱高さよりも長いことを要旨とする。
【0016】
上記構成によるように、上記弁体を円柱状に形成するとともに、同円柱の直径を柱高さよりも長くすれば、弁体の座屈が発生するときの荷重(座屈荷重)を好適に高めることが可能となり、弁体の開弁動作に際して同弁体にかかる圧縮荷重を座屈荷重よりも的確に小さくすることが可能となる。これにより、弁口と弁蓋との間で弾性変形する弁体が座屈することが抑止されるようになり、上記安全弁によるより安定性の高い開放作動を担保することが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の密閉型電池において、前記弁体には、前記弁口を封止する面の裏面側に凹部もしくは凸部が形成されてなるとともに、前記弁蓋のそれら弁体に形成された凹部もしくは凸部と対応する部分には、同弁体に形成された凹部もしくは凸部に係合される凸部もしくは孔部が形成されてなることを要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、上記安全弁の組み付け時において、弁体に形成された凹部もしくは凸部と、弁蓋に形成された凸部もしくは孔部とが互いに係合される。そして、こうした各部材の係合により、弁体が弁蓋と当接する部分においても位置規制されることとなる。これにより、上記リブとの協働により、弁体を側方及び端方の双方から位置規制することが可能となり、弁体の安定性がさらに向上されるようになる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の密閉型電池において、前記リブは、均等な間隔からなる3つのリブとして形成されてなることを要旨とする。
【0020】
上記構成によれば、上記弁体は、例えば弁口を中心とした正三角形上の頂点に位置するリブによって側方から位置規制される。このため、リブの数を3つに限定しつつ、3方向から弁体を的確に位置規制することが可能となる。すなわち、弁体の位置規制を図りながらも、リブの数が3つに限定されたことで弁体の非拘束領域を最大限とすることが可能となり、弁体の反力のばらつきを最小限に抑制することが可能となる。これにより、こうした荷重特性に相関する開弁圧のばらつきも最小限なものとすることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の密閉型電池において、当該密閉型電池は、ニッケル水素蓄電池であることを要旨とする。
【0022】
本発明は、請求項7にかかるように、高精度な圧力管理が要求されるニッケル水素蓄電池を構成する安全弁に適用して特に有効であり、上記構成によれば、安定した作動特性を示す安全弁を備えた信頼性の高いニッケル水素蓄電池を実現することが可能となる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、密閉された容器に連通する弁口を封止する弁体と、該弁体を弁口を封止する面の裏から押圧する弁蓋とによって構成される復帰式の安全弁であって、前記安全弁は、前記弁蓋として、前記弁体を同弁体の側方から位置規制する複数のリブと、前記弁体の開弁時に前記弁口から排出される流体を外部に排出する排出口とを有する弁蓋を備えており、前記弁蓋と前記弁体との間における前記リブの非形成領域に空間部を有してなることを要旨とする。
【0024】
上記構成によれば、弁体は、弁蓋に設けられた複数のリブによって位置規制される。そして、上記電槽の内部圧力の上昇時には、弁体に圧縮荷重がかかることによって、同弁体が径方向に膨張する。このとき弁体はリブによって部分的に拘束されるものの、同リブが当接されない領域では十分に膨張することができる。このため、内部圧力により弁口側から押圧される弁体を的確に位置規制しながらも、ゴム状の弾性体によって構成される弁体本来の弾性変形動作を確保することができる。そして、上記電槽の内部圧力が異常上昇することにより所定の開弁圧に達すると、弁体が弾性変形することにより開放作動し、電槽内で発生したガス等が上記排出口を介して外部に排出される。そしてこの開放作動時には、弁体の弾性変形動作が拘束されることなく十分に行われるため、弁体本来の荷重特性が維持されるようになる。このため、弁体では、安定した荷重特性を得ることができるため、同弁体が押圧されたときの反力も安定するようになる。これにより、弁体が開放作動する際の開弁圧の安定化を図ることができるようになり、内部圧力の上昇に対するより安定した作動特性を得ることができるようになる。
【0025】
また、こうした安全弁は、同安全弁を位置規制する複数のリブと、弁体の開弁時に弁口から排出される流体を外部に排出する排出口とによって構成することが可能であるから、より容易な構成のもとに復帰式の安全弁を構成することができる。これにより、従来の復帰式安全弁などに比べても部品点数が少なく、組付け時の歩留まりが良く、コストも低くすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる電池の製造方法によれば、開弁圧のばらつきが少なく、内部圧力の上昇に対するより安定した作動特性を示す復帰式の安全弁が実現されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の安全弁を有する密閉型電池を具体化した第1の実施形態について、同電池の斜視構造を示す斜視図。
【図2】同実施形態の安全弁について示す図であり、(a)はその斜視構造を示す斜視図、(b)はその分解構造を示す斜視図、(c)はその平面構造を示す平面図。
【図3】同実施形態の安全弁について示す図であり、(a)は図2(a)のA−A線における断面構造を示す断面図、(b)は図2(a)のB−B線における断面構造を示す断面図。
【図4】同実施の形態の安全弁の荷重特性の一例を示すグラフ。
【図5】本発明の安全弁を有する密閉型電池を具体化した第2の実施形態について、同実施形態の安全弁について示す図であり、(a)はその斜視構造を示す斜視図、(b)はその分解構造を示す斜視図、(c)はその平面構造を示す平面図。
【図6】同実施形態の安全弁について示す図であり、(a)は図4(a)のA−A線における断面構造を示す断面図、(b)は図4(a)のB−B線における断面構造を示す断面図。
【図7】本発明の安全弁を有する密閉型電池を具体化した他の実施形態について、その斜視構造を示す斜視図。
【図8】従来の安全弁について、(a)は同安全弁が適用される電池を側面から見た断面構造を示す断面図、(b)は同安全弁の拡大断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる復帰式の安全弁を有する密閉型電池の第1の実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態の密閉型電池は、直方体状の電池ケース100K、復帰式の安全弁300、並びに電池ケース100K内に配置された電極体110及び図示しない電解液を備えて構成される角形密閉式ニッケル水素蓄電池である。
【0030】
電極体110は、正極板111と負極板112と袋状のセパレータ113とを備えている。このうち、正極板111は、袋状のセパレータ113内に挿入されており、セパレータ113内に挿入された正極板111と負極板112とが交互に積層されている。正極板111は、図示しない正極集電体に接続されており、負極板112は、図示しない負極集電体に接続されている。
【0031】
正極板111としては、例えば、水酸化ニッケルを含む活物質と、発泡ニッケルなどの活物質支持体とを備える電極板を用いることができる。負極板112としては、例えば、水素吸蔵合金を負極構成材として含む電極板を用いることができる。セパレータ113としては、例えば、親水化処理された合成繊維からなる不織布を用いることができる。
【0032】
電池ケース100Kは、例えば樹脂製であり、樹脂製の電槽100及び蓋体200によって構成されている。このうち、電槽100は、矩形箱形状をなしており、上部開口を有している。蓋体200は、矩形略板形状を有しており、電槽100の上部開口を封止する。蓋体200は、図1に示すように、電槽100の開口端面101上に載置されて全周接合され、電槽100の開口部102を封止している。これにより、蓋体200と電槽100とは、隙間なく一体化して、電池ケース100Kを構成する。
【0033】
なお、電槽100内の発電要素は、電極体110の充放電に伴い生じる化学反応により水素や酸素などのガスを発生させたり、逆に吸収したりする。このようなことから、過度な化学反応などが生じた際、同反応によりガスが過度に発生するようなおそれもある。
【0034】
また、本実施の形態の蓋体200には、電槽100の内部圧力を管理する復帰式の安全弁300が取り付けられている。
【0035】
安全弁300は、その拡大構造を図2(a)に示すように、同安全弁300の弁蓋として、筒状のケース310を備えている。ケース310は、例えば板状の金属がプレス成形されることによって形成されており、側方からその中心に向かって窪んだ3つの窪み部311を有している。
【0036】
また、ケース310は、蓋体200に取り付けられる面とは反対側の面に、平坦化された天面310Aを有している。各窪み部311は、安全弁300の中心Oに対して均等な間隔で形成されているとともに、それら窪み部311が互いに均等な間隔で形成されている。本実施の形態の窪み部311は、天面310Aから蓋体200に取り付けられる面に向かって途中から拡開する形状をなしている。
【0037】
ケース310の天面310Aには、電槽100で発生したガスを安全弁300の開弁時に外部に排出するための排出口312が3つ設けられている。各排出口312は、天面310Aのうち、窪み部311が形成されていない領域であって、天面310Aの外径寄りに形成されている。こうした天面310Aの中心からは、ゴム状弾性体によって構成される弁体320の一部321が突出されている。
【0038】
また、安全弁300の分解構造を図2(b)に示すように、ケース310が取り付けられる蓋体200の上面には、電槽100に連通する円形状の弁口210が形成されている。また、この弁口210の周囲には、弁体320をその底面から支持する円環状の弁座220が設けられている。弁座220は、例えば、弁体320に当接される部分の外径が弁体320の外径と一致するかたちで形成されている。
【0039】
弁体320は、弁座220に圧接されることにより弁口210を封止するものである。本実施の形態の弁体320は、例えば円柱状に形成されており、その直径Wが柱高さH1よりも長く形成されている。また、弁体320には、弁口210を封止する面の裏面側の中心に凸部321が突出形成されている。凸部321は、断面台形状に形成されており、同凸部321を水平方向に2分割する切れ目322が設けられている。
【0040】
ケース310の天面310Aには、弁体320の凸部321と対応する部分(天面310Aの略中央)に、同凸部321に係合される円形状の孔部313が設けられている。そして、こうしたケース310が、弁体320を収容した状態で蓋体200に接合されることにより、図2(a)に示した安全弁300が構成されることとなる。なおこのとき、天面310Aの孔部313に弁体320の凸部321が係合されることにより、弁体320が、規定の位置、すなわち弁口210の中心と弁体320の中心とが一致し、かつ弁座220の外径と弁体320の底面における外径とが一致する位置に案内される。またこのとき、弁体320は、ケース310に設けられた窪み部311によっても、同規定の位置に案内される。
【0041】
また、ニッケル水素電池等のアルカリ蓄電池では、通常、電池を組み立てたのち、充放電を複数回繰り返したりすることで蓄電池を活性化する処理を行う。この場合、蓄電池の内圧が上昇するが、孔部313を有することにより、孔部313を介して、天面310Aの上方より、弁体320を下方(ゴム圧縮方向)へ押すことができる。これにより、活性化処理時の内圧の上昇による安全弁300の開弁によるガスの放出を抑制することができる。
【0042】
また、安全弁300の組み付け時における天面310A側の平面構造を図2(c)に示すように、3つの窪み部311が弁体320の側方から弁体320に当接されることにより、ケース310に収容される弁体320が位置規制されている。すなわち、本実施の形態では、3つの窪み部311が、弁体320を規定の位置に位置規制するリブとして機能する。
【0043】
さらに安全弁300は、窪み部311の非形成領域に、各窪み部311、ケース310の内側壁、及び弁体320によって囲まれる3つの空間部Sを有している。そして、これら空間部Sと天面310Aに設けられた排出口312とが対応していることにより、安全弁300は空間部Sと安全弁300の外部とが連通した構造とされている。
【0044】
また、安全弁300の断面構造として図2(a)のA−A線断面を図3(a)示すように、弁体320を支持する弁座220は、弁口210を構成する蓋体200の開口部分201にガスケット221を介して取り付けられるカシメパイプ222を備えて構成されている。ガスケット221は、開口部分201をその表裏両面から挟み込むとともに、同ガスケット221がカシメパイプ222によってその表裏両面から挟み込まれている。カシメパイプ222は、例えば剛性材料からなる板材がプレス成形されたものであり、ガスケット221を介して開口部分201の縁に全周に亘り取り付けられている。本実施の形態では、このようなカシメパイプ222を備えて構成される弁座220により、電槽100内に収容される電解液等が這い上がることが抑制されている。
【0045】
また、弁体320の柱高さH1は、組み付け時における安全弁300内のカシメパイプ222の弁体320に当接される面から天面310Aの裏面までの距離H2よりも長く設定されている。これにより、ケース310に収容された弁体320には、所定の圧縮荷重がかかるようになっている。そして、こうした弁体320の圧縮荷重に対する弁体320の反力により、弁体320の底面とカシメパイプ222(弁座220)とが密着し、弁口210が封止される。また、こうした弁体320による弁口210の封止状態は、電槽100の内部圧力が、電池ケース100K及び電槽100の耐圧以下の圧力ではあるとともに、通常使用時の内部圧力を超過する圧力である異常圧力になるまで維持される。なお、弁体320は、同図3(a)からも明かなように、安全弁300が組み付けられた状態において、圧縮荷重に相関して径方向に撓むようになる。
【0046】
また、弁体320には、凸部321の周囲に沿って凹設された溝部323が形成されている。そして、溝部323と上記切れ目322とが弁体320に形成されていることにより、弁体320がケース310の孔部313に係合される際、弁体320の凸部321の可撓性が担保され、弁体320の凸部321とケース310の孔部313とが円滑に係合されることとなる。
【0047】
また、本実施の形態の窪み部311は、その窪み長H3が弁体320の柱高さH1の半分以下となるように形成されている。これにより、弁体320と窪み部311との接触面積が、同弁体320を規定の位置に側方から位置規制しつつ弁体320の可撓性(圧縮・膨張)を最大限確保できる必要最小限の面積となるように設定されている。
【0048】
さらに本実施の形態の安全弁300は、図2(a)のB−B線断面を図3(b)示すように、窪み部311の非形成領域においては、弁体320とケース310の内側壁との間に、蓋体200の上面からケース310の天面310Aにかけて広がる空間部Sを有した構造となる。そして、本実施の形態では、弁体320を位置規制する窪み部311の数が3つとされていることから、弁体320の周囲には空間部Sが略全周に亘り形成されることとなる。
【0049】
以下、本実施の形態の安全弁の作用について図3(b)を参照して説明する。
【0050】
図3(b)に示すように、弁座220に弁体320が配置された状態でケース310が蓋体200に取り付けられると、弁体320の底面が弁座220に押し付けられる。これにより、弁体320には所定の圧縮荷重がかかることとなり、同圧縮荷重に相関する反力が発生する。そして、こうした弁体320の反力が発生することにより、弁体320の底面と弁座220とが密着して弁口210が封止される。こうして、電槽100では、その密閉状態が維持されることにより、電槽100内部のガスや電解液の漏出が抑制される。
【0051】
そして、電槽100の内部圧力が上昇するにつれて、弁体320の圧縮荷重が次第に増大し、同図3(b)に破線で示すように、弁体320が径方向に膨張するようになる。なおこのとき、弁体320が膨張したとしても、その膨張分が空間部Sに吸収されるようになる。そして、こうした空間部Sが3つの窪み部311の非形成領域に形成されていることにより、弁体320の膨張分がその径方向の全周に亘り吸収されるようになる。これにより、ゴム状弾性体によって構成される弁体320本来の荷重特性が維持されるようになる。さらに本実施の形態では、窪み部311の窪み長H3が弁体320の柱高さH1の半分以下となるように形成されたことにより、窪み部311に当接される弁体320の領域がさらに低減され、弁体320の自由度がより一層高められている。これにより、弁体320の荷重特性がより一層維持されるようになっている。
【0052】
さらに本実施の形態では、たとえ電槽100の内部圧力の上昇に伴って弁体320に圧縮荷重が発生したとしても、弁体320の直径Wが柱高さH1よりも長く形成されていることにより、弁体320が規定の位置から外れるような座屈が発生することが抑止される。これにより、弁体320は、ケース310と弁座220との間で電槽100の内部圧力に応じて弾性変形しても、規定の位置で安定して動作するようになる。
【0053】
そして、電槽100の内部圧力の異常上昇に伴い、同内部圧力が異常圧力(開弁圧)に到達すると、弁体320が弾性変形して同弁体320と弁座220との間に隙間が発生することにより、安全弁300が開放作動する。これにより、安全弁300には、弁口210→弁座220と弁体320との隙間→空間部S→排出口312といった経路が形成され、この経路を介して、電槽100で発生したガスが排出口312から外部へと排出されるようになる。
【0054】
こうして、電槽100で発生したガスが外部に排出されることにより電槽100の内部圧力が開弁圧よりも低下すると、弾性変形した弁体320が元の形状に復元し、この弁体320により弁口210が再び封止される。そして、弁体320の弾性変形や復元が電槽100の内部圧力に応じて適宜行われることにより、電槽100の内部圧力が異常圧力とならないように維持されるようになる。
【0055】
なお、図4に、本実施の形態の安全弁300による弁体320の荷重特性L1を実線で例示するように、弁体320の圧縮量に比例して同弁体320の反力が増大する。そして、安全弁300に取り付けられた弁体320の圧縮量は、同図4に領域α(使用域)として示される範囲で変化する。また、これに伴って弁体320の反力は反力N1〜N2の範囲N12で変化する。一方、従来の安全弁による弁体の荷重特性L2を破線で例示するように、従来の安全弁による弁体の反力は、本発明の安全弁よりも広範囲な反力N3〜N4の範囲N34(N34>N12)で変化する。すなわち、本実施の形態では、弁体320の位置規制が3つの窪み部311によって行われることから、空間部Sが形成され、弁体320の膨張分が空間部Sに吸収される。そのため、弁体320本来の荷重特性が維持され、弁体320の反力のばらつきが小さくなっている。そして、こうした反力に相関して、弁体320が弾性変形して開放作動する際の開弁圧のばらつきも小さくなり、安全弁300の開弁圧の均等化が図られるようになる。
【0056】
以上説明したように、本実施の形態にかかる密閉型電池及び安全弁によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0057】
(1)上記安全弁300に、弁体320を側方から位置規制する窪み部311(リブ)を備える構成とした。このため、ケース310に収容される弁体320を規定の位置に位置規制しながらもゴム状の弾性体によって構成される弁体320本来の荷重特性を維持することが可能となり、同弁体320の弾性変形動作を円滑に行わせることができる。これにより、弁体320が開放作動する際の開弁圧の安定化を図ることができるようになり、内部圧力の上昇に対するより安定した作動特性を得ることができるようになる。また、本実施の形態のようにカシメパイプ222により弁座220を構成すると、その構造上、同カシメパイプ222に配置される弁体320の安定性を確保することが難しく、開弁圧を均一にすることも難しい。この点においても上記安全弁300によれば、窪み部311によって弁体320が位置規制されることにより、弁体320の安定性を的確に確保することができるようになるとともに、弁座220をカシメパイプ222により構成しながらも開弁圧の均等化が図られるようになる。
【0058】
(2)上記リブを、3つの窪み部311によって構成した。これにより、弁体320を3方向から位置規制することが可能となり、同弁体320をより的確に位置規制することが可能となる。
【0059】
(3)上記安全弁300を、窪み部311及び排出口312を有したケース310によって構成した。これにより、より容易な構成のもとに復帰式の安全弁を構成することが可能となり、ひいては、従来の復帰式安全弁などに比べても部品点数が少なく、組付け時の歩留まりが良く、コストも低くすることができる。
【0060】
(4)上記弁蓋を、弁体320を覆う筒状のケース310によって構成した。そして、このケース310に、リブとしての窪み部311を形成するとともに、同窪み部311の非形成領域に空間部Sと排出口312とを形成した。これにより、ケース310に形成された空間部Sにて弁体320の膨張を吸収することが可能となり、弁体320の円滑な弾性変形動作を担保することができる。またこれにより、弁体320を位置規制するための窪み部311(リブ)をケース310と一体成形することが可能となり、安全弁300の生産性の向上や構造の簡略化が図られるようになる。
【0061】
(5)上記弁体320を円柱状に形成し、同円柱の直径Wを柱高さH1よりも長くした。これにより、弁座220とケース310との間で弾性変形する弁体320の座屈を的確に抑止することが可能となり、上記安全弁300によるより安定性の高い開放作動を担保することが可能となる。
【0062】
(6)上記弁体320の弁口210を封止する面の裏面側に凸部321を形成するとともに、同凸部321に対応するケース310の天面310Aに孔部313を形成した。このため、こうした凸部321と孔部313との係合を通じて弁体320を規定の位置に位置規制することが可能となる。これにより、上記窪み部311との協働により、弁体320を側方及び天面310A側の双方から位置規制することが可能となり、弁体320の安定性がさらに向上されるようになる。
【0063】
(7)上記リブを、均等な間隔からなる3つの窪み部311として形成した。このため、弁体320を位置規制するための窪み部311の数を3つに限定しつつ、弁体320を3方向から的確に位置規制することが可能となる。これにより、弁体320の荷重特性をより安定した特性とすることが可能となり、ひいては、こうした荷重特性に相関する開弁圧のばらつきを最小限なものとすることができるようになる。
【0064】
(8)上記安全弁300を備える密閉型電池として、ニッケル水素蓄電池を採用することとした。これにより、より高精度な圧力管理や的確な密閉状態の確保が要求されるニッケル水素蓄電池であっても、上記安全弁300による安定した作動特性を通じて、より信頼性の高いニッケル水素蓄電池を実現することが可能となる。
【0065】
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかる密閉型電池及び安全弁を具体化した第2の実施の形態について図5〜図6を参照して説明する。なお、この第2の実施の形態の密閉型電池及び安全弁の基本的な構成は、先の第1の実施の形態と共通になっている。したがって、本実施の形態において、先の第1の実施の形態に示した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0066】
図5(a)〜図5(c)は、先の図2(a)〜図2(c)にそれぞれ対応する図として、この第2の実施の形態にかかる安全弁の構造を示したものである。また、図6(a)及び図6(b)は、先の図2(a)及び図2(b)にそれぞれ対応する図として、この第2の実施の形態にかかる安全弁の断面構造を示したものである。
【0067】
すなわち図5(a)〜図5(c)に示すように、本実施の形態の安全弁300Aを構成する弁体320Aは、先の第1の実施の形態の弁体320とは異なり、弁口210を封止する面の裏面側の中心に上記凸部321を備えない構成とされている。
【0068】
なお、このように弁体320Aが上記凸部321を備えない構成であっても、図5(a)のA−A線断面を図6(a)に、図5(a)のB−B線断面を図6(b)にそれぞれ示すように、弁体320Aがケース310に収容される際には同ケース310に設けられた3つの窪み部311によって規定の位置に案内される。そして、弁体320Aが取り付けられた状態においては、同弁体320Aが、カシメパイプ222の弁体320Aに当接される面と天面310Aの裏面との間で圧縮される。すなわち、弁体320Aは、カシメパイプ222のうちで弁体320Aに当接される面と天面310Aの裏面との距離H2が、弁体320Aの柱高さH1よりも短く設定されていることにより、天面310Aの孔部313に弁体320Aが密着する。これにより、天面310Aの孔部313が弁体320Aによって封止され、安全弁300Aの密閉状態は維持されるようになる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の密閉型電池及び安全弁によれば、前記(1)〜(5)、(7)、(8)に準じた効果が得られるとともに、前記(6)に代えて以下の効果が得られるようになる。
【0070】
(6A)上記弁体として、突起を備えない弁体320Aを採用した。このため、汎用性、生産性の高い円柱状の弁体320Aによって上記安全弁300を構成することが可能となる。これにより、同弁体320Aを有した安全弁300Aの汎用性や生産性を好適に高めることができるようになる。
【0071】
(他の実施の形態)
なお、上記各実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
【0072】
・上記各実施の形態では、上記弁座として、カシメパイプ222を備える弁座220を採用した。これに限らず、弁座とは、弁体320(以下、適宜弁体320Aを含む)を支持可能で、同弁体320との間でシール性を維持できるものであればよく、例えば蓋体200の一部によって弁座を構成することも可能である。
【0073】
・上記窪み部311を、その窪み長H3が弁体320の柱高さH1の半分以下となるように形成した。これ限らず、窪み部311の窪み長とは、弁体320の柱高さH1の半分よりも長くてもよく、例えば弁体320がケース310に収容されたときの柱高さに等しい長さであってもよい。
【0074】
・上記各実施の形態では、窪み部311を3つ形成するとともに、各窪み部311を均等な間隔で形成した。これに限らず、窪み部311の数とは、4つ以上であってもよく、また各窪み部311を不均等な間隔で配置してもよい。また、窪み部311の数とは、2つであってもよい。要は、窪み部311の数や形成位置とは、弁体320をその側方から位置規制可能に設定されるものであればよい。そして、この窪み部の数や位置に応じて、上記空間部Sの数や位置も適宜変更するようにしてもよい。
【0075】
・上記第1の実施の形態では、上記弁体320の弁口210を封止する面の裏面側に凸部321を形成するとともに、同凸部321に対応するケース310の天面310Aに孔部313を形成した。これに限らず、上記弁体320に、弁口210を封止する面の裏面側に凹部を形成するとともに、同凹部に対応するケース310の天面310Aの内壁に凸部を形成するようにしてもよい。この構成であれ、弁体320に形成された凹部とケース310の天面310Aの内壁に形成された凸部とが係合することにより、弁体320がケース310に収容されるときの規定位置への案内や、安全弁300(300A)の組み付け状態における位置規制を行うことが可能である。
【0076】
・上記各実施の形態では、弁体320の同円柱の直径Wを柱高さH1よりも長くした。これに限らず、ケース310に収容される弁体320の安定した動作を担保できる場合には、弁体320の円柱の直径Wを柱高さH1と同じ長さにすることや、弁体320の円柱の直径Wを柱高さH1よりも短くすることも可能である。
【0077】
・上記各実施の形態では、円柱状の弁体320を採用した。これに限らず、例えば、直方体状の弁体や多角柱状に形成された弁体を採用することもできる。この場合には、同弁体の側方の面に上記窪み部311を当接させることで、弁体を的確に位置規制することができる。これにより、弁体の形状選定にかかる自由度がより高められるようになる。
【0078】
・上記各実施の形態では、上記排出口312を、ケース310の天面310Aに3つ形成した。これに限らず、排出口312とは、弁体の開放動作時に弁口210から排出されるガス等を外部に排出可能なものであればよく、例えばケース310の側面に形成することも可能である。なおこの場合には、空間部Sに対応する位置に排出口を形成することで、弁口210から排出される流体の排出機能を的確に担保することができる。また、排出口312の数も3つに限らず、2つ以下とすることや、4つ以上とすることもできる。なお、こうした排出口の排出機能は、その開口面積に相関するものでもあり、同開口面積を大きくすることで排出口の排出機能を好適に高めることができる。
【0079】
・上記ケース310に、リブとしての窪み部311を形成するとともに、同窪み部311の非形成領域に空間部Sと排出口312とを形成した。これに限らず、例えば、ケース310とは別体のリブをケース310の内壁に取り付けることとし、このリブによって弁体を位置規制するようにしてもよい。
【0080】
・上記弁蓋を、弁体320を覆う筒状のケース310によって構成した。これに限らず、例えば先の図2(a)に対応する図として図7に示すように、弁体420をその側方から位置規制する3つの柱状のリブ411と、各リブ411から延設されるとともに弁体420を同弁体420の蓋体200に当接される面の裏から押圧する円環状の蓋部412とによって弁蓋410を構成してもよい。この弁蓋410によれば、リブ411の非形成領域の全てが上記排出口として機能する。そして、こうした弁蓋410を備えて構成される安全弁400によっても、弁体420を位置規制しつつその荷重特性を担保できる。
【0081】
・上記各実施形態では、電池ケース100Kが樹脂製、すなわち電槽100と蓋体200とが樹脂製である場合について例示したが、これに限らず、電槽や蓋体は、金属などの樹脂以外の材料により形成されていてもよい。これにより、安全弁を有する電池ケースの種類を拡大させることができるようになる。また、各実施の形態では、安全弁が金属製である場合について例示したが、これに限らず、安全弁は、樹脂等の材料により形成されていてもよい。
【0082】
・上記各実施の形態では、1つの電極体110が電池ケース100Kに収容される密閉型電池について例示した。これに限らず、安全弁を、例えば、複数の電極体が各別の電槽に収容される電池モジュールに設けることも可能である。これにより、安全弁の適用される電池の種類が多様な電池に拡げられる。
【0083】
・上記各実施形態では、ニッケル水素電池からなる電池について例示したが、これに限らず、安全弁を設ける電池としては、ニッケルカドミウム電池やリチウムイオン電池等の二次電池(蓄電池)であってもよい。これにより、この安全弁と、それを用いた電池の適用範囲が拡げられる。
【0084】
・上記各実施形態では、電池が二次電池である場合について例示したが、これに限らず、電池は一次電池でもよい。
【0085】
・上記各実施形態では、安全弁が密閉型電池に用いられる場合について例示したがこれに限らず、このような安全弁を、密閉型電池に準じ、内部圧力が異常に上昇するおそれのある密閉型の容器に用いることもできる。これにより、このような安全弁の採用可能性が高められるようになる。
【符号の説明】
【0086】
100K…電池ケース、100…電槽、101…電槽の開口端面、102…電槽の開口部、110…電極体、111…正極板、112…負極板、113…セパレータ、200…蓋体、201…蓋体の開口部分、210…弁口、220…弁座、221…ガスケット、222…カシメパイプ、300、300A…安全弁、310…ケース、310A…天面、311…窪み部(リブ)、312…排出口、313…孔部、320、320A…弁体、321…凸部、322…切れ目、323…溝部、400…安全弁、410…弁蓋、411…リブ、412…蓋部、420…弁体、S…空間部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極および負極を有する極板群が収容された電槽に連通する弁口を封止する弁体と、該弁体を弁口を封止する面の裏から押圧する弁蓋とによって構成される復帰式の安全弁を備える密閉型電池であって、
前記安全弁は、前記弁蓋として、前記弁体を同弁体の側方から位置規制する複数のリブと、前記弁体の開弁時に前記弁口から排出される流体を外部に排出する排出口とを有する弁蓋を備えており、
前記弁蓋と前記弁体との間における前記リブの非形成領域に空間部を有してなる
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項2】
前記複数のリブが、少なくとも3つ以上のリブからなる
請求項1に記載の密閉型電池。
【請求項3】
前記弁蓋は、前記弁体を覆う筒状のケースからなり、
前記ケースは、前記弁体の側面に向かって部分的に窪んで前記弁体に当接する窪み部により前記リブを形成し、該リブの非形成領域に前記排出口を有する
請求項1または2に記載の密閉型電池。
【請求項4】
前記弁体は円柱状に形成されてなり、該円柱の直径が柱高さよりも長い
請求項1〜3のいずれか一項に記載の密閉型電池。
【請求項5】
前記弁体には、前記弁口を封止する面の裏面側に凹部もしくは凸部が形成されてなるとともに、前記弁蓋のそれら弁体に形成された凹部もしくは凸部と対応する部分には、同弁体に形成された凹部もしくは凸部に係合される凸部もしくは孔部が形成されてなる
請求項1〜4のいずれか一項に記載の密閉型電池。
【請求項6】
前記リブは、均等な間隔からなる3つのリブとして形成されてなる
請求項1〜5のいずれか一項に記載の密閉型電池。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の密閉型電池において、
当該密閉型電池は、ニッケル水素蓄電池である
ことを特徴とする密閉型電池。
【請求項8】
密閉された容器に連通する弁口を封止する弁体と、該弁体を弁口を封止する面の裏から押圧する弁蓋とによって構成される復帰式の安全弁であって、
前記安全弁は、前記弁蓋として、前記弁体を同弁体の側方から位置規制する複数のリブと、前記弁体の開弁時に前記弁口から排出される流体を外部に排出する排出口とを有する弁蓋を備えており、
前記弁蓋と前記弁体との間における前記リブの非形成領域に空間部を有してなる
ことを特徴とする安全弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−226984(P2012−226984A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93690(P2011−93690)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(399107063)プライムアースEVエナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】