説明

密閉液体容器を開けるための装置

密閉液体容器を開けるための開放装置は、液体容器(3)を収容するための第1のチャンバ(1)、及び、出口(13)を有する第2のチャンバ(2)を備えた筐体を含む。液体容器の分離可能な部分(6)は、第2のチャンバ内に配置される。回転ドラム(8)は、第2のチャンバ内に、回転可能に支持される。このドラムは、始動位置から分離位置へと回転でき、この分離位置において液体容器から分離可能な容器部分を分離する。回転ドラムの回転軸は、第1のチャンバと第2のチャンバの間の接続軸に対しある角度をなして配置される。少なくとも2つの成分を混合するシステムは、このような開放装置と、接続片(19)を有する混合容器(18)を使用し、接続片には、開放装置が取り外し可能に接続され、液体接続を構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉液体容器を開けるための装置、及び少なくとも2つの成分を混合するためのシステムに関する。特に、本発明は、分離可能なアンプル部分を有するアンプルを開けるための装置、及びそのようなアンプルに成分の少なくとも1つが保存される、少なくとも2つの成分を混合するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医学及び技術の様々な分野において、例えば、完成した混合物が不安定であるとか、例えば、使用時まで別々の成分として扱うと有利であるといった理由で、治療又は加工のための物質を、それらを使用する直前に混合することが必要とされる。例えば、医療分野では、これは、例えば骨再建、又は股関節等のインプラントの取り付けにおいて、又は椎間板再建のための、骨セメントの加工において公知である。このような物質はまた、例えば、組織又は創傷の治療において、又は出血を止めるために使用される。例えば、創傷用の接着剤は、使用の直前に2つ以上の成分から混合して作られる。このような混合技術を必要とする他の用途は、薬学の分野にも見つけられる。というのも、多くの薬は、それらが使用される直前にのみ混合することができるからである。
【0003】
骨セメント(PMMA)の製造においては、例えば、液体モノマー、一般的にはMMA(モノマー・メチルメタクリレート)を、粉末成分と混合する。この液体は、一般的に、細長いガラスのアンプルで提供され、このアンプルは、一方の端に、わずかな衝撃又は曲げ力によってアンプルから分離できるヘッド領域を有する。大抵の場合、この分離可能な部分に、予定分断点が設けられる。粉末成分は、別の容器で提供され、この容器は時に混合容器としても機能できる。骨セメントを塗布する直前に、液体モノマーを含むアンプルが壊し開けられ、液体が乾燥成分に加えられて乾燥成分と混合される。アンプルが壊し開けられるときに、割れた縁で負傷する恐れがあり、液体に破片材料が入り込む危険がある。さらに、職員が攻撃的な(aggressive)蒸気に曝される。
【0004】
先行技術では、液体を含む容器を壊し開けて、液体をもう一つの成分と混合することを容易にする、いくつかの装置が公知である。例えば、特許文献1は、アンプルのヘッドが回転式装置によって分離される装置を開示する。回転式装置には、いくつかの分離要素が配置され、分離要素は回転時にアンプルのヘッドにぶつかり、ヘッドを分離することが可能である。アンプルは筐体内に保持され、回転式装置は筐体に対して回転する。回転式装置が周りを回転させられる回転軸は、アンプル軸に対しずれている(versetzt)。従って、回転式装置は、アンプルの筐体を優に越えて延びるように構成されなければならず、その結果、アンプルの筐体及び回転式装置で構成される全体のユニットが長く突出する形状を有する。回転式装置を回すためには、片手でアンプルの筐体をつかみ、もう一方の手で回転式装置をつかまなければならない。アンプルのヘッドを分離するためには、これら2つの部分の相対的な回転運動によってのみ力が加えられ、回転式装置の摩擦力及びアンプルのヘッドの抵抗力に対して作用しなければならない。それゆえ、アンプルのヘッドを分離するために大きな力が必要となる。
【0005】
特許文献2は、アンプルを割って開けるための装置を開示し、この装置では、アンプルを収容するためのベース要素と、このベース要素上にねじ留め可能なキャップ要素が設けられる。キャップは、ベース要素とキャップが螺合されると、アンプルの底を壊して開ける破壊構造を有する。アンプルを壊して開けるためのこの装置では、2つの要素が同一の回転軸に沿って互いに対し回転される。この装置でも、アンプルは、構造要素が共に回転される時の純粋な回転力によって壊して開けられる。この場合も、アンプルの壊し開けられた部分が、アンプルの内部に落ちて、破片等によって液体が汚染される危険がある。
【0006】
特許文献3は、2つの成分からなる製品を混合して分配するための装置を開示する。2つの成分のうちの1つは粉末で、混合要素及び分配要素とともに、チャンバに配置される。もう1つの成分は液体で、アンプル内に保存される。アンプルは、アンプルの長手方向の軸に対し横方向に延びる旋回軸の周りに、チャンバに対し旋回可能な筐体内に収容される。アンプルのヘッドは、軸受け要素内に、チャンバに対して動かないように保持され、旋回運動によってアンプル本体から折り取られる。このようにしてアンプルから出てくる第2の成分は、筐体から第1の成分を含むチャンバ内へ、旋回軸の方向へ横方向に移される。このために、筐体とチャンバの間に、比較的複雑な溝が配置される。
【0007】
この装置は、取り扱いが比較的厄介で、装置全体を、アンプルのヘッドが上に向く適当な向きで保持される場合にのみ、アンプル本体だけでなくアンプルのヘッドを確実に空にする。第1の成分を備えるチャンバ内に第2の成分を移すための溝の配置も非常に複雑であり、そのため製造の費用が高く、故障に弱い。アンプルを壊すための装置を、混合及び分配装置とは別に形成するための対策はなく、さらなる構造的な修正なしには不可能で、これらの装置は分離できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 6,296,149
【特許文献2】EP 0 972 499
【特許文献3】WO 97/07748
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、密閉液体容器を開けるための装置を提供することであり、具体的には、原則的に、混合及び分配装置とは独立に形成することができ、操作が簡単で、使用される混合成分を安全に取り扱えるようにする装置を提供することである。また、液体容器を開けるのに必要な力は小さく、装置はスペースをとらない形であり、特に、加えられた力を有利に利用できることが望ましい。本発明の目的は、また、少なくとも2つの成分を混合するためのシステムを提供することであり、このシステムにより、ごくわずかな操作で成分を一緒にすることができ、システムを安全且つ衛生的に取り扱える。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、これらの目的は、密閉液体容器を開けるための請求項1に記載の装置、及び、少なくとも2つの成分を混合するための請求項12に記載のシステムによって達成される。
【0011】
本発明による密閉液体容器を開けるための開放装置は、
前記液体容器を収容するための第1のチャンバ、及び、前記第1のチャンバに接続され、前記第1のチャンバに向かって開いた、出口を有する第2のチャンバを備えた筐体であって、前記第2のチャンバが前記液体容器の分離可能な部分を収容するように形成されている筐体、及び、
前記第2のチャンバ内に回転軸の周りに回転可能に配置され、少なくとも1つの分離要素を有する回転ドラムであって、この分離要素は、始動位置では前記分離可能な容器部分に対してずれて(versetzt)おり、前記回転軸の周りに前記回転ドラムを回転させることにより、前記液体容器から前記分離可能な容器部分を分離する分離位置に運ばれるように構成されている回転ドラムを含み、
前記第1及び第2のチャンバが接続軸を画定し、前記回転ドラムの回転軸がこの接続軸に対しある角度をなして延び、
前記第2のチャンバがドラム状に形成され、前記回転ドラムの回転軸の周りに延びるジャッケット壁を有し、及び
前記第2のチャンバの出口が、前記第2のチャンバのジャケット壁の中に形成される。
【0012】
従って、液体容器の分離可能部分は、第1のチャンバから第2のチャンバ内へと突き出る。両チャンバは、単に筐体の異なる領域として理解することもでき、その場合、液体容器の分離可能な部分が1つの領域に、液体容器の残りの部分が他の領域に位置するようになる。さらに、開放装置は、第2のチャンバ内に回転可能又は旋回可能に取り付けられる少なくとも1つの分離要素を含み、この分離要素は、始動位置では分離可能な容器部分に対しずれて配置され、分離可能な容器部分を液体容器から分離する分離位置へと、回転又は旋回できる。回転ドラムの回転軸は、筐体の第1のチャンバと第2のチャンバの間の接続軸、又は同等に液体容器の軸に対しある角度をなして配置される。これにより、取り扱いが非常に簡単になる。出口は第2のチャンバのジャッケット壁の中に配置される。これにより、第2のチャンバから液体を取り出すのが非常に容易となる。さらに、出口に接続片を設けることも可能であり、この接続片を介して、簡単に、開放装置を他の部分、例えば混合及び分配装置に取り外し可能に接続できる。
【0013】
好ましくは、筐体は細長い形状である。第1のチャンバはスリーブ形状であってよい。第2のチャンバはドラム形状であり、第1のチャンバに隣接し、両チャンバは、接続軸が並列方向に得られるように並置されている。2つのチャンバの2つの軸は、互いに対しある角度をなして配置され、好ましくは互いに対し直角である。液体容器は、ガラス又はプラスチックからなる従来のアンプルとして提供され得る。分離可能な容器部分は、好ましくは、一種のアンプルヘッドとして提供され、このアンプルヘッドには、アンプルヘッドの分離を容易にするために、予定分断点が備わっている。液体容器は、分離可能な容器部分が第2のチャンバ内に突き出るまで、筐体の第1のチャンバに挿入することができる。筐体内部にある制限停止部によって、液体容器が筐体内へさらに進まないようする。液体容器用の挿入位置で、液体容器が第1のチャンバ内にしっかりと保持されるように、筐体を閉鎖片によって閉じることができる。このために、閉鎖片は、例えば、弾力性のある圧迫要素、例えばゴム片を有し、これがアンプルの後方部分を圧迫する。筐体はまた、液体容器を保存し運搬するために使用することができる。
【0014】
第2の筐体チャンバには、始動位置で、少なくとも1つの分離要素が液体容器の分離可能な部分に対してずらして(versetzt)配置される。分離要素のずらし位置は、例えば、分離要素が液体容器の分離可能な部分の隣又は下に配置されることによって生じ得る。重要な点は、分離要素は、回転ドラムの回転によって、好ましくは円軌道上を移動できるように、分離要素の回転軸に対してずれていることである。回転ドラムの回転軸が、液体容器の軸に対し又は同等に筐体の第1のチャンバと第2のチャンバの間の接続軸に対し、ある角度をなして延びるため、分離要素は、回転ドラムの回転時、液体容器の分離可能な部分の方へ動かされる。分離要素が分離可能な容器部分にぶつかるや否や、分離可能な部分に力が作用する。この力は、分離可能な部分に横から当たり、それによって、第1のチャンバ内にしっかりと保持される液体容器の部分から、液体容器の分離可能な部分を分離する。分離可能な部分に横から作用する圧縮力又はせん断力は、前記部分を、適切な場合、予定分断点で分離するに十分である。しかしながら、原理的には、少なくとも1つの分離要素が分離エッジ又は切断エッジを有することもでき、このエッジが、回転中に、分離可能な部分にぶつかり、分離可能な部分を壊す又は分離する。また、分離要素は、分離位置を越えて動かすことができるとも考えられる。しかしながら、好ましくは、回転運動を2つの位置の間に制限するガイドが設けられる。
【0015】
液体容器の軸は、それに沿って液体容器のより大きな部分と液体容器の隣接する分離可能な部分が配置される軸と理解される。アンプルが取り付けられる第1の筐体チャンバがスリーブ形状である場合、この軸は、筐体チャンバの軸又はアンプルの軸に相当する。
【0016】
回転ドラムの回転軸は、第1のチャンバと第2のチャンバの間の接続軸、又は同等に液体容器の軸に対しある角度をなして配置される。軸間の角度は、好ましくは、回転ドラムを筐体の脇でつかめ、手で回すことができるように形成される。特に好ましくは、回転ドラムの回転軸が、液体容器の軸に対してほぼ垂直である。
【0017】
液体容器を開けるための本発明による装置は細い形状を有することが可能である、何故ならば、回転ドラムの回転が、実質的に筐体のスケール内で起こり得るからである。筐体には、突出する付加的な要素は必要ない。分離要素は、スペースを節約するように、液体容器の分離可能な部分の近くに設けられる。軸を角度をつけて配置することによって、てこ作用を利用できる。このてこ作用は、回転ドラムと細長い筐体の間の相対運動から生じる。筐体を、回転ドラムからある距離を置いて片手で保持し、回転ドラムを他方の手を用いて回転させる場合、この距離がてことして働き、回転運動をより容易にする。
【0018】
分離要素は、好ましくは、分離可能な容器部分に、少なくとも分離可能な容器部分の片側から、特に好ましくは分離可能な容器部分の2つの対向する側から作用する。分離可能な容器部分は、例えば、個々の分離要素の開口部、隙間又は凹所に係合でき、又は2以上の分離した分離要素の間に突き出すことができる。分離要素を回転させると、分離可能な容器部分の少なくとも1つの側に、好ましくは2つの側にせん断力が働き、分離がより簡単となる。分離要素は、特に好ましくは、分離後分離可能な容器部分をしっかりと保持するように形成される。
【0019】
回転ドラムは、実質的に筐体スリーブの内壁に接置する(anliegen)ように、ドラム形状又はスリーブ形状の第2の容器チャンバ内に、ほぼ形状嵌合で挿入することができる。分離要素は、例えば、回転ドラムの底から延びるピン又は突起部として形成することができ、この場合、これらは、ドラムの中心からずらして配置される。回転ドラムは、第2の容器チャンバから突出する、チャンバ内で回転ドラムを回すために設けられる取っ手を有することができる。この取っ手は、好ましくは、回転を簡単にするために、回転ドラムから延びるグリップ板のように細長い。この取っ手は、回転軸に関して非対称的に構成することができ、例えば、回転ドラムの回転位置をより簡単に分かるようにし、筐体及び回転ドラム間のてこ作用を高めるために、回転ドラムの円周壁又は第2のチャンバのジャケット壁を越えて、片側で突出することができる。しかしながら、回転ドラムを回転させることができれば、取っ手の他の構造も原則的に可能である。
【0020】
回転ドラムは、例えばスナップフィット接続を用いて筐体チャンバに挿入され、好ましくはここから取り外すことができない。これにより、分離された容器部分によって起こる損傷のリスクが除外される。しかしながら、液体容器の分離した部分を簡単に廃棄可能にするために、回転ドラムを第2の容器チャンバから取り外せるようにすることもできる。
【0021】
回転ドラムは第1の開口部を有し、この開口部を通って、液体容器の分離可能な部分がドラムの内側に突き出し、この開口部は回転ドラムの周囲に沿って設けられる。また、回転ドラムはその円周壁に通路を有することもでき、この通路は、始動位置では、第2の容器チャンバの出口に対しずらして配置されるため、第2のチャンバの出口は回転ドラムの円周壁によって閉鎖される。回転ドラムが分離要素の分離位置まで回されると、回転ドラムの通路が第2の容器チャンバの出口に向かい合って位置するようになる。こうして、回転ドラムの内部と第2の容器チャンバからの出口との間に液体接続ができるため、液体は開放装置から出てくることができる。従って、回転ドラムは、筐体からの液体用出口を開け閉めする弁の機能を担う。
【0022】
好ましい実施形態において、回転ドラムの通路はフィルタを有する。フィルタは特に、液体容器の部分が分離されるときに生じる破片又はかけらを引き止めることができる。フィルタは回転ドラムに直接一体化することも、又は回転ドラム上に別個の構造部品として取り付けることもできる。
【0023】
本発明の別の実施形態においては、第2の容器チャンバと回転ドラムの間にガイドが設けられる。このガイドは2つの回転制限停止部を有し、1つは第1の回転方向のためのものであり、1つは第2の回転方向のためのものである。回転ドラムが第1の回転方向に始動位置から分離位置まで回転されると、回転ドラムはガイドの第1の回転制限停止部で止められる。この停止位置、又は分離位置では、液体容器の分離可能な部分が液体容器から分離され、回転ドラムの通路が筐体の出口に向かい合って位置する。この規定の位置では、液体は、液体容器から装置の筐体の外へ出てくることができる。回転ドラムが反対の回転方向に分離位置から始動位置まで回転されると、回転はガイドの第2の回転制限停止部によって止められる。この第2の停止位置では、回転ドラムの円周壁が第2の筐体チャンバの出口に向かい合って位置し、筐体から液体が出ることはできない。弁はこの位置で閉じられる。
【0024】
従って、回転ドラムは同時に2つの機能を担うことができる。回転ドラムは、一方で、回転ドラムの回転によって液体容器の分離可能な部分を分離して液体容器を開け、他方で、装置の筐体からの液体の流れを調節する。
【0025】
別の実施形態では、筐体内に低圧を生じることができるように、筐体は真空コネクタを有することができる。真空コネクタは、有利には、回転ドラムの弁機能によって調節される。真空コネクタを備えるこのような開放装置は、特に有利には、以下でより詳細に説明するような、少なくとも2つの成分を混合するためのシステムで使用することができる。
【0026】
さらに、開放装置は、分離要素の分離位置を示すインジケータを有することができる。このようなインジケータは、例えば、回転ドラムに設けられた、分離又は始動位置に応じて筐体上のマークに相対的に回転されるカラーマーク又はラインマークであってよい。しかしながら、このマークは、回転ドラムに設けた取っ手によって提供することもでき、この取っ手は、始動位置では、第1の筐体チャンバの長手方向軸に横に位置し、バブルが閉じていること示し、回転後には、第1の筐体チャンバの軸に長手方向に位置し、弁が開いていること及び液体容器の部分が分離されたことを示す。もちろん、インジケータのさらなる構造も可能である。
【0027】
さらに、本発明の有利な実施形態では、液体容器の第2のチャンバの出口に接続片が設けられ、この接続片を介して、筐体は、さらなる構造要素、例えば別の容器に接続することができる。このような接続片は、例えば、ねじ式接続、ルアーロック接続又はバヨネット接続の一部として設けることもできる。
【0028】
本発明のさらなる態様によると、少なくとも2つの成分を混合するためのシステムが提供され、このシステムは、少なくとも1つの上述のような開放装置、及び、混合容器を含み、この混合容器に、少なくとも1つの開放装置が永久的又は取り外し可能に接続されて液体接続を築く。従って、開放装置の筐体と混合容器の内部の間に液体接続が存在する。このために、混合容器は、例えば、開放装置の第2の筐体チャンバの出口上の接続片と協同する接続片を有することができる。それに応じて、開放装置は、例えば、混合容器上にねじ止めでき、又はバヨネット接続によって混合容器上に取り付けることができる。また、閉鎖機構、例えば、開放装置の取り付け前には混合容器の開口部を閉じ、取り付け時には開けられる膜を設けることもできる。
【0029】
1つの実施形態では、液体容器内の液体状の第1の成分、及び、固体状の第2の成分のためのシステムが提供され、この場合、固体は、好ましくは混合容器に既に収容されている。固体は、もちろん、付加的な容器で供給され、混合直前に混合容器に導入されてもよい。原則的には、さらなる成分を入れたさらなる開放装置を、混合容器上のさらなる接続片に接続することもできる。さらに、従来の液体容器又は他の容器を、混合容器に付加的に接続することもできる。
【0030】
本システムは、任意の種類の多成分混合物を混合するのに好適である。特に有利には、ガラスアンプルに保存される攻撃的(aggressive)又は揮発しやすい物質を伴う多成分使用のために用いることができる。用途の1つの例は、骨セメントの混合であり、この場合、モノマー、例えばMMAを本発明の開放装置に入れ、粉末セメント物質を予め混合容器に保存しておく。また、例えば、本発明のシステムを用いて、ゲル同士を混合することも可能である。
【0031】
混合システムの1つの実施形態では、混合容器は、混合容器内部の成分を完全に混合するために、混合容器内に移動可能に取り付けられた混合パドル又は撹拌パドルを有することができる。このためのパドルは、混合物の粘度に準じて設計することができる。混合は、混合容器から開放装置を取り外す前又は後に行うことができる。混合又は撹拌パドルは、例えば、ピストンロッドに設けることができ、ピストンロッドは、一端で混合容器から突き出し、もう一端に例えばパドルの形をした混合装置を有する。投与するには、好ましくは、ピストンロッドをパドルから取り外し又は折り取って、例えば、圧力ガンの形をした供給機構が、混合チャンバに取り付けられる。開放装置の代わりに、混合容器の接続片に、混合生成物のためのディスペンサ装置として機能するノズル、シュノーケル又はニードルを取り付けることができる。このディスペンサ装置を通して、混合生成物を供給機構によって混合容器から放出することができる。
【0032】
混合物を放出するために、付加的な面要素をパドルに設けることもでき、この場合、面要素は混合容器内部で一種の栓として働き、前方に動かされると、混合物が放出される。このような面要素は、例えば、パドルが、ピストンロッドにより、予め混合容器の内部に配置される面要素に押しつけられ、続いて、ピストンロッドが折り取られるときに、パドル上に配置することができる。
【0033】
本発明による混合システムの他の実施形態では、システム内に低圧を生じるための装置が設けられる。例えば、開放装置は真空コネクタを有することができ、このコネクタを通して、システムの内部に低圧を作り出すことができる。真空コネクタは、真空発生器を取り外した後、システム内に生じた低圧を維持できるようにするため、逆止め弁を有することができる。真空コネクタを用いて、アンプルヘッドが分離される前に、開放装置の筐体、従って回転ドラム及び混合チャンバの内部に低圧を供給することができる。アンプル開放時、アンプル内は比較してより高い圧力となっているため、液体はアンプルから吸い出される。
【0034】
真空コネクタは、好ましくは、回転ドラムを有する筐体チャンバに設けられる。低圧の発生は、好ましくは、回転ドラムの位置によって制御される。回転ドラムの円周壁が、筐体からの出口と向かい合って、又は低圧を作り出すためのコネクタと向かい合って位置する場合、円周壁が閉じた弁として働く。しかしながら、回転ドラムが、その開口部の1つが筐体の出口又は低圧コネクタに向かい合って位置する位置に回転される場合、回転ドラムが開いた弁として働く。従って、回転ドラムは、真空をシステムに当てる真空回転位置を有する。回転ドラムは、始動位置から、筐体及び混合容器の個々の体積が相互接続される真空位置に回される。この位置では弁は開いている。システムには、例えばポンプによって低圧が作り出される。システムは、ポンプから分離することもでき、低圧は逆止め弁によって維持される。回転ドラムは、分離位置まで回され、この位置で分離可能な容器部分を分離する。真空は、容器又はアンプルを空にするのを助ける。さらに、低圧は、混合過程中もシステム内に広がっており、混合物中の空気含有物を減らし又は完全に排除することが可能である。
【0035】
原理的に、システム内に低圧を作り出すためのコネクタを、混合容器に設けることも考え得る。これは、例えば、混合容器内に混合成分がなく、混合成分を入れたいくつかの容器を混合容器に接続する場合に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明による開放装置の第1の実施形態の分解図である。
【図2】図2は、図1の開放装置の回転ドラムの三次元図である。
【図3a】図3aは、始動位置での、図1の開放装置の断面図である。
【図3b】図3bは、図3aを外側から見た図である。
【図4a】図4aは、分離位置での、図1の開放装置の断面図である。
【図4b】図4bは、図4aを外側から見た図である。
【図5a】図5aは、液体容器の一部を分離した後の、図1の開放装置の断面図である。
【図5b】図5bは、図5aを外側から見た図である。
【図6】図6は、第1の実施形態による開放装置を備えた少なくとも2つの成分を混合するためのシステムの分解図を示す。
【図7a】図7aは、閉鎖位置での、真空コネクタを備えた、第2の実施形態による開放装置の断面図を示す。
【図7b】図7bは、図7aを外側から見た図を示す。
【図8a】図8aは、低圧を作り出すための位置での、図7aの開放装置の断面図を示す。
【図8b】図8bは、図8aを外側から見た図を示す。
【図9a】図9aは、分離位置での、図7aの開放装置の断面図を示す。
【図9b】図9bは、図9aを外側から見た図を示す。
【図10a】図10aは、液体容器の一部を分離した後の、弁を閉じた状態での、図7aの開放装置の断面図を示す。
【図10b】図10bは、図10aを外側から見た図を示す。
【図11a】図11aは、始動位置での、第3の実施形態の開放装置を備えた混合用システムの概略断面図を示す。
【図11b】図11bは、分離位置での、図11aのシステムの一部の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の好ましい実施形態を図に示すが、決して本発明を制限するように解釈されるべきではない。図面の図から明らかな本発明の特徴は、開示に属するとして理解されるべきである。
図1には、本発明による密閉液体容器を開けるための開放装置の第1の実施形態を、個々の構造要素を分解して示す。開放装置は、第1の筐体チャンバ1及び隣接する第2の筐体チャンバ2を備える筐体を含む。第1の筐体チャンバ1はスリーブ形状で、ガラスアンプル3の形をした液体容器を収容するのに好適である。閉鎖キャップ4は第1のチャンバ1の一端上に取り付けることができる。チャンバ1の他方の端部には、第2の筐体チャンバ2が隣接し、これも同様にスリーブ形状である。第1の筐体チャンバの軸と第2の筐体チャンバの軸は、互いに対し90°の角度で配置される。第1の筐体チャンバから第2の筐体チャンバへの移行部には、開口部5が設けられる。ガラスアンプル3は、分離可能なヘッド部6を有し、このヘッド部6が開口部5を通って第2の筐体チャンバ2内に突き出し、開口部5の周囲縁に対しその肩部7で当接するまで、第1の筐体チャンバ1の開放端を通って第1の筐体チャンバ1に挿入される。閉鎖キャップ5は、第1の筐体チャンバ1の開口部上に取り付けられ、アンプル3が開放装置の筐体にしっかりと収容される。
【0038】
回転ドラム8は、第2の筐体チャンバ2に挿入できる。回転ドラムも同様にスリーブ形状であり、第2の筐体チャンバ2にぴったり適応するように設計される。回転ドラム8は、取っ手9を有し、取っ手は回転ドラム8の側面から持ち上がった板の形で垂直に突出する。回転ドラム8の円周面上に通路10が設けられ、通路10にはフィルタ11が設けられる。通路10は、取っ手9の延長線の外周に配置される。回転ドラム8の外周の周りには環状に、密封リング12が設けられ、回転ドラム8が第2の筐体チャンバ2に挿入されると、密封リング12は回転ドラムの外周と第2の筐体チャンバの内周の間の隙間を密封する。
【0039】
筐体チャンバ2は、そのジャケット壁(円周壁)の、第1の筐体チャンバ1の反対側に位置する一端に、出口13を有する。この出口は、接続片14に開口しており、接続片はその外周上にねじ山を有する。
【0040】
この実施形態では、筐体チャンバ2が筐体チャンバ1の軸方向に第1のチャンバに隣接するため、筐体の第1のチャンバ1と第2のチャンバ2の間の接続軸は、スリーブ形状の筐体チャンバ1の軸に実質的に対応する。回転ドラム8は、回転ドラムの回転軸が筐体チャンバの接続軸にほぼ垂直となるように、第2の筐体チャンバ2に回転可能に挿入できる。環状の第2の筐体チャンバを、例えば60°と90°の間の角度で回転ドラムの軸が配置されるように、第1の筐体チャンバ上に取り付けることも考えられる。
【0041】
図2は、回転ドラム8の三次元図を示す。取っ手9は図の左手側に見ることができ、回転ドラムは図の右手側に切り開いて示される。円周壁内の通路10は、回転ドラムの壁の多くの小さい開口部の形で示される。フィルタ11は、穴の直径が除去されるべき成分を引き止めるのに十分小さくなるように、形成される。回転ドラム8の円周壁には、細長い開口部又は長方形の穴15も存在し、回転ドラムの円周上の約90°の領域で延び、開口部の大きさは、アンプルのヘッド部6が長方形の穴を通って回転ドラム8の内部へと突き出ることのできる大きさである。2つのピン16は、回転ドラム8の内側側面から、回転ドラムの内側へと突出する。ピン16はともに、分離要素を形成する。しかしながら、本発明によると、原則的に、分離要素として、このようなピン16を1つだけ設けることも可能である。ピン16はそれぞれ、回転ドラムを回すと回転ドラム8の中心点の周りに回転又は旋回するように、回転ドラム8の中心点に対してずれている(versetzt)。
【0042】
回転ドラムの、取っ手を有する側と反対側に位置し、筐体チャンバ2の底面上に位置するようになる側には、ガイド縁17が設けられる。ガイド縁17が係合するガイド溝は、筐体チャンバ2の底面上に設けられる。ガイド溝は、例えば、環状に180°の角度、底面に埋め込まれる。ガイド縁17は、回転ドラムの外面上で90°の領域にわたって延びる。これにより、回転ドラムは、ガイド溝のそれぞれの端部に当接するまで、ガイド溝内部を90°回転可能となる。
【0043】
図3aは、組み立てた状態での、開放装置の断面図を示す。アンプル3は第1の筐体チャンバ1に挿入され、チャンバは密閉キャップ4によって閉じられる。アンプルのヘッド部6は、開口部5を通って第2の筐体チャンバ2及び回転ドラム8の内部へと突出する。アンプルのヘッド部6は、2つのピン16の間に位置するようになる。図3aでは、回転ドラム8は始動位置にある。回転ドラム8の円周面は、出口13に向かい合って位置するようになり、出口を閉じる。一方、回転ドラム8の通路10は、第2の筐体チャンバ2の内周面(内側ジャケット面)に向かい合って位置するようになる。従って、開放装置の筐体の内部は、始動位置では、外側から閉鎖される。
【0044】
図3bは、図3aの断面図を外側から見た図を示す。回転ドラム8の取っ手9は、筐体の内部にあるアンプル3の長手方向軸に対し横に向いている。この横の位置は、通路10及び出口13が一致せず、その結果、回転ドラム8の内部が外部から閉鎖されることを示す。従って、回転ドラム8は、液体がアンプルから出てくるとすぐに液体が貫流するための弁機能を担い、この位置で弁は閉鎖されている。
【0045】
図4aは、分離可能なヘッド部6がガラスアンプル3から分離される分離位置での開放装置を示す。このため、回転ドラム8は、第2の筐体チャンバ2内で90°回されている。ピン16は、これとともに回され、ガラスのアンプル3のヘッド部6の外側にぶつかる。ヘッド部6に力が伝わり、ヘッド部はアンプル3から折り取られる。2つのピン16は、ヘッド部6の両側をつかむ。ピン16は、アンプル3が折り取られた後、ヘッド部6が2つのピン16によって保持されるように、ヘッド部6の外面にぴったりと配置される。
【0046】
回転ドラム8が回されると、同時に、フィルタ11を備えた通路10は、出口13に重ねられる。こうして、回転ドラム8の内部、第2の筐体チャンバ2及び筐体の外部の間に液体接続ができる。
【0047】
ガラスアンプルのヘッド部6がガラスアンプルから折り取られるため、液体は、アンプル3の内部から出て、長方形の穴15を通り、回転ドラム8の内部へと流れることができる。そこから、液体は、フィルタ11、通路10及び出口13を通って、筐体から外へと流れることができる。折り取られたヘッド部6は、ヘッド部がフィルタ11を備える通路10を遮らないようにピン16によって保持され、ヘッド部内に残っている液体はできるだけヘッド部から流れ出ることができる。
【0048】
図4bは、図4aの開放装置を外側から見た図である。回転ドラム8の取っ手9が分離位置へと90°回されたことがわかるであろう。従って、取っ手9は、ガラスアンプルの軸の長手方向に向いており、弁が開いていることを示す。
【0049】
図5aは、閉じた位置での開放装置を示す。この位置では、回転ドラム8は、回転ドラムの外周が出口13に向かい合って位置し、フィルタ11を備えた通路10が筐体チャンバ2の内周に向かい合って位置するまで再び回し戻されており、回転ドラム8及び第2の筐体チャンバ2によって形成される弁が閉じられる。ヘッド部6はピン16によって保持されたままである。弁機能は、例えば、筐体から放出されることになっている液体の量を調節するために使用される。また、混合生成物が回転ドラムに入り込むのを防ぐ。開放装置は、この閉じた位置で廃棄することができる。開放装置を用いることによって、安全に、アンプルを壊して開けることによって起こる負傷のリスクなしに、アンプルの内容物を放出することができた。
【0050】
図5bは、図5aの開放装置を外側から見た図である。注意すべきは、回転ドラム8が第2の筐体チャンバ内部で90°だけ再び回されている点である。取っ手9は、アンプルの長手方向軸に対し横に配置され、弁が閉じていることを示す。
【0051】
図3aの始動位置から図4aの分離位置への回転ドラム8の回転は、ガイド縁17と、筐体チャンバ2内の関連するガイド溝によってガイドされる。このガイドによって、回転ドラム8は、筐体チャンバ2の内部で、それぞれ90°回転できる。使用の特定の要求に応じて、ガイド溝及びガイド縁は、例えば60°又は120°の、他の角度を設定することもできる。
【0052】
図6は、2つの成分を混合するためのシステムを示す。開放装置の構造部分を図の左手側に描く。同一の構造部分については、図1から図5と同じ参照記号を用いる。図の右手側には、接続片19を備えた混合容器18を描き、この接続片は、開放装置の筐体と混合容器18の内部の間に液体接続が構築されるように、開放装置の接続片13と協働する。混合容器18の、接続片19から遠い方の端部には、ピストンロッドを備えた混合パドル20が設けられる。混合パドル20は、混合容器18の内部へと突出し、ピストンロッドによって混合容器18の筐体に対し移動可能である。混合物を混合容器から分配するために、ピストンロッドは混合パドルの後ろ側で折り取られる。他のアプリケータを用いてピストンに力がかけられ、この力が混合物を混合容器から押し出す。
【0053】
1つの実施例では、粉末状の骨セメントが混合容器の内部に入れられる。開放装置のアンプル3には、液体モノマーが収容される。骨セメントを製造するために、混合容器18は開放装置の接続片14上に接続片19を用いて取り付けられる。続いて、回転ドラム8の取っ手9を片手でつかみ、もう一方の手で混合容器18又は筐体1のどちらかをつかむ。この操作によって、回転ドラム8を、第2の筐体チャンバ2内部で、簡単に90°回転できる。こうして、アンプル3のヘッド部6はピン16によって折り取られ、通路10が出口13に向かい合って位置するようになる。モノマーは、ガラスアンプル3の内部から回転ドラム8へと流れ込み、そこから通路10のフィルタ11と出口13を通って、接続片14及び19の液体接続を介して、混合容器18の内部へと流れ込む。液体が混合容器18に流れ込むとすぐに、回転ドラム8を回し戻すことができ、弁が閉じられる。混合容器18内にあるモノマーとセメント粉末は、混合パドル20を内に外にスライドさせることにより、混合容器の内部で、互いに混合することができる。その後、開放装置を混合容器から取り外すことができ、混合容器18の接続片19上にディスペンサ用ニードルを取り付けることができる。その間、骨セメントは、骨セメントを混合容器内部のアプリケータの押し出しによって、ディスペンサ用ニードルを通って放出でき得る稠度であった。
【0054】
図7〜10は、本発明の開放装置の第2の有利な実施形態を示す。この実施形態では、第2の筐体チャンバ2は、ジャケット壁又は円周壁に、開放装置の筐体内に低圧を作り出すための装置を取り付けることのできる別のコネクタ21を有する。このコネクタは、溝断端(Kanalstumpf)として形成されているため、例えば、ポンプの管をその上に取り付ける又はねじで取り付けることができる。溝断端には逆止め弁があり、この弁は、低圧装置を取り外す又はスイッチを切るとすぐに閉じる。第2の筐体チャンバ内の回転ドラムの位置をどのように選択するかに応じて、開放装置の筐体の個々のチャンバ又は混合システムの体積に、低圧が作り出される。低圧の適用は回転ドラムの弁機能によって制御することができる。
【0055】
図7aには、回転ドラム8が出口13を覆う位置での開放装置が示される。弁は閉じられ、このことは、取っ手9の横の位置によっても示される(図7b参照)。コネクタ21は、回転ドラム8の長方形の穴15に向かい合って位置する。今、コネクタ21を介して開放装置の筐体のチャンバ内に低圧が作られた場合、取り付けられた混合システムの混合容器内、又は混合容器によって取り付けられた他の開放装置内に低圧は構築されない。
【0056】
図8aは、開放位置での第2の筐体チャンバ2内の回転ドラム8を示す。この位置では、長方形の穴15が出口13に向かい合って位置するようになり、そのため、開放装置の筐体の体積と混合システムの混合容器の体積が相互に連結される。従って、図8bの取っ手9の第1の斜め位置からもわかるように、弁は開けられている。この実施例では、2つのピン16が、回転ドラムを始動位置から開放位置へわずかに回転させる際、ヘッド部6をまだ分離しないように、十分な遊びを有するような距離だけ互いから離して、アンプルのヘッド部6の近くに配置される。ここで、コネクタ21を介して第2の筐体チャンバ2に低圧がかけられると、通路を介し長方形の穴15及び出口13を通って、すなわち回転ドラムの開放弁機能によって、システム全体に低圧が作り出される。
【0057】
図9aでは、回転ドラム8が分離位置にあり、この位置では、一方で、ヘッド部6がピン16によってアンプル3から分離され、他方で、フィルタ11が出口13に向かい合って位置するようになる。ヘッド部6が分離されるとすぐに、混合システムの体積内よりアンプル内部の圧力の方が高いため、アンプルの内容物がアンプルから吸い取られる又は押し出される。従って、液体は、確実に、アンプルから完全に放出される。この位置では、図9bの取っ手9の長手方向位置からわかるように、弁は同様に開かれているが、出口13はフィルタ11によって覆われる。
【0058】
図10aは、閉鎖位置まで再び回された回転ドラムを示し、この位置では、回転ドラムの円周壁が出口13を覆って閉鎖する。これは、取っ手9の第2の斜め位置からわかり、第1の斜め位置の反対である(図10b参照)。逆止め弁は閉じられ、混合容器及び開放装置の間の接続もまだ存在するため、システム内の低圧は維持されたままである。回転ドラムの円周壁は、この位置においては低圧コネクタを閉じる。この状態で、混合物は泡無しで混合できる。その後、開放装置を取り外し、又はディスペンサ用ニードルを混合容器上に取り付けるだけである。
【0059】
開放装置の筐体の外側には、図7bから図10bによる取っ手9の個々の位置のためにラベルを設けることができ、この助けにより、回転ドラムの位置、ひいては混合システムの状態を容易に読みとることができる。
【0060】
図11a及び11bは、本発明の開放装置の第3の実施形態を用いる、2つの成分を混合するためのシステムを示す。このシステムは、一方に混合装置を、他方に関連する開放装置を有する。
【0061】
混合装置は、第1の成分35、例えば粉末状の成分を中に収容した混合チャンバ31を有する。混合チャンバは、ピストンロッド32がガイドされるストッパ33によって上端を閉鎖される。取っ手34は、ピストンロッドの上端に取り付けられる。混合要素36は、例えば穴のあいた板の形を有することができ、混合チャンバ31の内部のピストンロッド32のもう一方の端に固定される。
【0062】
取り付け具37、例えばバヨネット又はねじ式接続によって、混合装置は基部38に取り外し可能に接続され、この基部の中に管39が延びる。管39は、混合装置と開放装置の間の液体接続を形成する。一方で、第1の成分35を混合チャンバに引き止めるように、他方で、例えばアンプルを開けることによって生じ得る不純物又は破片を開放装置に引き止めるように、管39の一端又は両端に、それぞれフィルタを設けることができる。混合チャンバの上部は、混合チャンバ31の裏側に、混合チャンバ内に低圧を作り出すことのできる低圧装置用のコネクタ片(図示せず)を有する。
【0063】
開放装置は基部38上に取り付けられる。この開放装置は、筐体40を有し、この中に、アンプル44が上端からヘッドを先にして差し込まれる。アンプル44の中には、第2の液体成分45が入っている。筐体40は、その上端を、蛇腹状の閉鎖片41によって閉鎖される。
【0064】
アンプルのヘッド43は、回転ドラム41内に位置するようになり、回転ドラムは、下側のドラム状の筐体領域に配置されるが、ここでは概略的に示すにとどめる。回転ドラム41は、Oリングによって筐体40から密封される。回転ドラム41は、筐体40内で、アンプルの長手方向軸に対し横に配置される回転軸の周りに回転可能である。回転ドラムには、直立の板の形をした取っ手42が設けられ、この板は回転軸の延長に、回転ドラム41から横方向に突出する。取っ手42は、回転軸に関して非対称に構成され、回転ドラムの円周壁を越えて半径方向に、取っ手の一端で突出する。図11aの始動位置では、取っ手の突出領域が基部38から離れて上方に向いており、回転ドラムは始動位置にあることが示される。この位置ではアンプル44は密閉されている。
【0065】
図11bでは、回転ドラムは分離位置へと180°回されており、この位置では、回転ドラムがアンプル44の本体からアンプルのヘッド43を分離してしまっている。取っ手の突出領域は、ここでは、基部38の方向に、下方に向いており、アンプルが開けられたことを示す。突出領域により、ユーザーは、取っ手をしっかりと掴むことができる。回転時、この突出領域はてこ作用を高めるため、比較的小さい力で開けることができる。
【0066】
アンプル44が開けられると、その中に収容されていた成分45が一部管39及び混合チャンバ31に流れ込む。さらに、低圧装置が作動され、その結果、混合チャンバ31内に低圧が作り出される。こうして、第2の成分45の残りが、管39を通って混合チャンバ31内に運ばれる。この際、アンプル44、及び、開口部を下方に向けた状態で回転ドラムによって保持されるアンプルのヘッド43も空にされる。蛇腹41が収縮するために、外側から低圧であることがわかる。
【0067】
第2の成分45が混合チャンバ31に移るとすぐに、ピストンロッド32を取っ手34を介してつかみ、混合チャンバ31内でピストンロッド13を内に外にスライドさせる及び回転させることにより、混合成分36を動かして、成分を互いに混ぜ合わせる。このために、混合装置は、基部ユニット38から取り外すことができ、又は基部ユニット上に残しておくことができる。
【0068】
例示の実施例では、開放装置は基部ユニット38に固定して接続される。しかしながら、その代わりに、開放装置を、基部ユニットに取り外し可能に接続することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1 第1の筐体チャンバ
2 第2の筐体チャンバ
3 ガラスアンプル
4 閉鎖キャップ
5 開口部
6 ヘッド部/ガラスアンプル
7 肩部
8 回転ドラム
9 取っ手
10 通路
11 フィルタ
12 密封リング
13 出口
14 接続片
15 長方形の穴
16 ピン
17 ガイド縁
18 混合容器
19 接続片
20 混合パドル
21 低圧コネクタ
22 逆止め弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉液体容器を開けるための開放装置であって、
前記液体容器(3)を収容するための第1のチャンバ(1)、及び、前記第1のチャンバに接続され、出口(13)を有する第2のチャンバ(2)を備えた筐体であって、前記第2のチャンバ(2)が前記液体容器の分離可能な部分(6)を収容するように形成されている筐体、及び、
前記第2のチャンバ(2)内に回転軸の周りに回転可能にガイドされ、少なくとも1つの分離要素(16)を有する回転ドラム(8)であって、この分離要素は、始動位置では前記分離可能な容器部分(6)に対してずれており(versetzt)、前記回転軸の周りに前記回転ドラム(8)を回転させることにより、前記液体容器(3)から前記分離可能な容器部分(6)を分離する分離位置に運ばれるように構成されている回転ドラムを含み、
前記第1及び第2のチャンバが接続軸を画定し、前記回転ドラム(8)の回転軸がこの接続軸に対しある角度をなして延び、
前記第2のチャンバ(2)がドラム形状に形成され、前記回転ドラム(8)の回転軸の周りに円周方向に延びるジャッケット壁を有する開放装置において、
前記出口(13)が、前記第2のチャンバ(2)のジャケット壁の中に形成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記第2のチャンバ(2)の出口(13)が、前記接続軸に沿って、前記第1のチャンバ(1)の反対側に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のチャンバの出口(13)が、さらなる装置の取り外し可能な取り付け具のための接続片(14)に開口する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記回転ドラム(8)が、少なくとも1つの通路(10)を備えた円周壁を有し、この通路は、前記始動位置で、前記第2のチャンバ(2)のジャケット壁に向かい合って位置するため、前記回転ドラムの円周壁が前記始動位置で前記出口(13)を閉じ、回転した位置で前記出口(13)を開放し、その結果弁機能が得られる、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記回転ドラム(8)内の前記通路が、フィルタ(11)を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2のチャンバ(2)と前記回転ドラム(8)の間に、ガイド(17)が設けられ、ガイドは、回転が前記分離位置で止まるように第1の回転方向に回転制限停止部を有し、回転が前記始動位置で止まるように第2の回転方向に回転制限停止部を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記回転ドラム(8)の回転軸が、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバの間の前記接続軸にほぼ垂直である、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記回転ドラム(8)が取っ手(9)を有し、この取っ手は前記第2のチャンバ(2)から突出し、前記第2のチャンバ(2)内で前記回転ドラム(8)を回転させるように設計される、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記取っ手(9)が、前記回転ドラムから延びるグリップ板を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記取っ手(9)が、前記回転ドラム(8)の回転軸に関して非対称に構成される、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記筐体が、筐体内に低圧を作り出すためのコネクタ(21)を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
少なくとも2つの成分を混合するためのシステムであって、
少なくとも1つの、請求項1〜11のいずれかに記載の開放装置、及び、
液体接続を構築するために、少なくとも1つの開放装置が取り外し可能に接続される少なくとも1つの接続片(19)と、前記混合容器内で成分を混合するための混合装置を備える混合容器(18)とを含むシステム。
【請求項13】
システム内に低圧を作り出すためのコネクタ(21)が、前記混合容器上に存在する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記混合容器の接続片が、ディスペンサ用ノズル又はディスペンサ用ニードルの取り付けに適している、請求項12又は13に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11a】
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【図11b】
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【公表番号】特表2011−529383(P2011−529383A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520298(P2011−520298)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/CH2009/000251
【国際公開番号】WO2010/012114
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(507123729)メッドミックス システムズ アーゲー (24)
【Fターム(参考)】