密閉角形電池
【課題】集電リードと、蓋または電池缶の側壁との短絡を防ぐことができながら、集電リードをリード体に容易に溶接できて溶接の作業性が向上する密閉角形電池を得る。
【解決手段】有底角筒形状の電池缶1の開口上面を塞ぐ蓋3と、電池缶1内に収容された電極体2と、蓋3に貫通状に取り付けられた負極端子12と、蓋3の下面側に配された絶縁体11と、絶縁体11の下面側に配されたリード体17と、電極体2から上向きに導出した負極集電リード7とを含む。負極集電リード7の上端部が、リード体17の下面に溶接してあって、電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がっている。絶縁体11は、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、蓋側絶縁部22の前後端の前端側から下方に延びる前側壁25とを含んでいる。電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と前側壁25とがほぼ真っ直ぐになっている。
【解決手段】有底角筒形状の電池缶1の開口上面を塞ぐ蓋3と、電池缶1内に収容された電極体2と、蓋3に貫通状に取り付けられた負極端子12と、蓋3の下面側に配された絶縁体11と、絶縁体11の下面側に配されたリード体17と、電極体2から上向きに導出した負極集電リード7とを含む。負極集電リード7の上端部が、リード体17の下面に溶接してあって、電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がっている。絶縁体11は、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、蓋側絶縁部22の前後端の前端側から下方に延びる前側壁25とを含んでいる。電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と前側壁25とがほぼ真っ直ぐになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池缶の開口を塞ぐ蓋に出力端子が貫通状に取り付けられており、電極体から導出した集電リードがリード体を介して出力端子の下端に接続される密閉角形電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有底角筒形状の電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、この蓋に貫通状に取り付けた負極端子とを含んだ密閉角形電池が開示されている。前記負極端子は、蓋の上下に配した絶縁パッキングおよび絶縁体を介して蓋に取り付けられている。負極端子の下端には、リード体が接続されており、リード体の下面には、電池缶内の電極体から導出した負極集電リードが溶接してある。
【0003】
電池の組み立てに際しては、まず蓋に対して負極端子、絶縁パッキング、絶縁体およびリード体を予め取り付けておく。そして、電極体を電池缶内に収容した状態で負極集電リードの上端部をリード体に溶接したのちに、蓋を電池缶の開口上面に嵌め込んで電池缶の開口周縁に蓋の外周縁をシーム溶接する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−14395号公報(段落番号0021、図1−2)
【特許文献2】特開平11−25993号公報(図2)
【特許文献3】特開平6−203817号公報(図1)
【特許文献4】特開平6−163079号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リード体への負極集電リードの溶接後に、電池缶の開口上面に蓋を嵌め込んだときには、負極集電リードは折れ曲がった状態で電池缶内で収容される。このため、負極集電リードは、折れ曲がった分だけ電池缶の内面に接触しやすくなり、負極集電リードと電池缶とが短絡するおそれがある。
【0006】
特許文献1では、断面コ字状の絶縁体の側壁で負極集電リードの側方を覆っており、これによって負極集電リードが電池缶の内面に接触することを防いでいる。ところが、特許文献1では、リード体も絶縁体の側壁で覆われており、絶縁体の側壁が邪魔になって、リード体に負極集電リードを溶接することが容易ではない。
【0007】
この場合、特許文献2の図2に示すごとく、蓋とは別に枠状のスペーサーを形成して、先にスペーサーを電池缶内に収容しておき、リード体への負極集電リードの溶接後に、負極集電リードをスペーサー内に収容してもよいが、蓋を電池缶に嵌め込む際にスペーサーの上端と蓋との間に負極集電リードが挟み込まれて、負極集電リードと蓋とが短絡するおそれがあるところに問題がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、集電リードが蓋または電池缶の側壁と短絡することを防ぐことができながら、集電リードをリード体に容易に溶接できる密閉角形電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が対象とする密閉角形電池は、図3に示すごとく、上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶1と、電池缶1の開口上面を塞ぐ蓋3と、電池缶1内に収容された電極体2と、蓋3に貫通状に取り付けられた出力端子12と、蓋3の下面側に配されて出力端子12を少なくとも蓋3の下面から絶縁する絶縁体11と、絶縁体11の下面側に配されて出力端子12の下端に接続してある板状のリード体17と、電極体2から上向きに導出した薄板状の集電リード7とを含んでいる。集電リード7の上端部は、図1に示すごとく、リード体17の下面に面接触状態で溶接してあって、集電リード7が、少なくとも電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がっている。ここでの出力端子12は、負極端子の場合と正極端子の場合とが含まれており、これに合わせて集電リード7は、負極集電リードの場合と正極集電リードの場合とが含まれる。
【0010】
かかる密閉角形電池において、請求項1に係る本発明は、絶縁体11が、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、蓋側絶縁部22の前後端のうちの少なくとも前端側から下方へ延びた側壁25とを有しており、電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25とが真っ直ぐになっていることを特徴とする。ここでは、図1に示すごとく、前後に側壁25・26を設けた場合と、図6に示すごとく前側壁25のみを設けた場合とが含まれる。蓋側絶縁部22と側壁25とは前記自由状態で真っ直ぐに近い状態であればよく、また蓋側絶縁部22と側壁25とは溝などの境を有しない平坦な板状につながっている場合も含まれる。
【0011】
絶縁板11は、蓋側絶縁部22と側壁25・26との境界に下方へ折り曲げるための溝23または薄膜部を有していることが好ましい。この場合、電池製造時に絶縁板11の折り曲げを容易に行うことができる。
【0012】
図1や図6に示すごとく、高い剛性を有する材料からなる絶縁板5が電極体の上部に配されていることが望ましい。絶縁体5は、可撓性を有する樹脂であればよく、特に限定されないがポリプロピレンやポリエチレンが望ましく、厚み寸法は0.2〜0.5mmが望ましく、0.2〜0.4mmがより望ましい。集電リード7は、絶縁板5に設けられた透孔20を通ってリード体17に導かれるものとすることができる。絶縁板5の透孔20は、絶縁板5に貫通状に形成したものと、絶縁板5を切り欠いて形成したものとが含まれる。
【0013】
請求項4に係る本発明は、図7や図8や図9に示すごとく、絶縁体11は、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、蓋側絶縁部22の前後端のうちの少なくとも前端側から下方へ延びた側壁25と、側壁25の下端から電池の前後方向の中央側へ延びた電極側絶縁部27とを含んでおり、電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25とが真っ直ぐになっていることを特徴とする。ここでの絶縁体11は、図7および図8に示すごとく前側壁25のみを設けた場合と、図9に示すごとく前後に側壁25・26を設けた場合とが含まれる。また、蓋側絶縁部22と側壁25とが真っ直ぐに近い状態も含まれる。
【0014】
請求項5に係る本発明は、図10ないし図12に示すごとく、絶縁体11が、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、電極体2の上側に配された電極側絶縁部29と、蓋側絶縁部22と電極側絶縁部29とをつなぐ可撓性を有する薄板部30とを含んでおり、絶縁体11の薄板部30が、集電リード7よりも電池缶1の前壁寄りに位置しており、電極側絶縁部29の上面には、上方へ突出する突起31を有していることを特徴とする。
【0015】
集電リード7の下部が絶縁部材9で覆われていると、集電リード7の上部が電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がって集電リード7の下部が電池缶1の後側壁内面に接触しても、集電リード7と電池缶1とが短絡しないことになる。この場合、絶縁体11の後側壁26は省略できる。絶縁部材9は、絶縁テープや絶縁塗料などが該当する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の本発明によれば、絶縁体11の側壁25・26によって、折れ曲がった集電リード7が電池缶1の内面に接触することが防止される。電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっているので、リード体17の下面に集電リード7を溶接する際に、絶縁体11の側壁25・26が邪魔にならず、前記溶接の作業性が向上する。
【0017】
高い剛性の材料からなる絶縁板5を電極体2の上側に配すると、電池の落下などのために電池の上下方向に衝撃が加わっても、その衝撃を絶縁板5で受け止めて、電極体2の上面が落下の衝撃で窪み変形することなどが抑えられる。したがって、落下の衝撃などで電極体2が変形して、正極と負極とが短絡することが低減される。しかも、絶縁板5が高い剛性を有する分だけ絶縁板5を薄くできて、電極体2を大きくして電池の容量を増やすことができる。
【0018】
請求項4記載の本発明によれば、絶縁体11の側壁25・26によって、折れ曲がった集電リード7が電池缶1の内面に接触することが防止される。電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっているので、リード体17の下面に集電リード7を溶接する際に、その溶接個所から電極側絶縁部27までの距離を大きくとれて、電極側絶縁部27が溶接の邪魔になり難く、したがって溶接の作業性の向上を図れる。そのうえで、絶縁体11の電極側絶縁部27で電極体2が押えられて、電極体2が電池缶1内でがたついたり、電極体2の上面が落下の衝撃で窪み変形したりすることなどが低減される。かかる効果のために別部材の絶縁板5を必要としないので、部品管理の低減などを図ることができる。
【0019】
請求項5記載の本発明によれば、絶縁体11の薄板部30が、集電リード7よりも電池缶1の前壁寄りに位置していることで、電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がった集電リード7が電池缶1の前壁内面に接触することが防止される。
【0020】
電池組み立て前の自由状態で絶縁体11の薄板部30をほぼ真っ直ぐにしておくことで、蓋側絶縁部22と電極側絶縁部29とがほぼ真っ直ぐになって、リード体17の下面に集電リード7を溶接する際に、薄板部30や電極側絶縁部29が邪魔にならず、前記溶接の作業性が向上する。しかも、絶縁体11の電極側絶縁部29によって電極体2が押えられて、電極体2が電池缶1内でがたついたり、電極体2の上面が落下の衝撃で窪み変形したりすることなどが低減される。かかる効果のために別部材の絶縁板5を必要としないので、部品管理の低減などを図ることができる。
【0021】
そのうえで、突起32によって絶縁体11の電極側絶縁部29とリード体17との間に隙間を確実に確保でき、この隙間に集電リード7が収容されることで、リード体17と電極側絶縁部29とで集電リード7が強く挟まれて破断することなどが防止される。
【0022】
集電リード7の下部が絶縁部材9で覆われていると、集電リード7の上部が電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がって、集電リード7の下部が電池缶1の後壁内面に接触しても集電リード7と電池缶1とが短絡しないことになる。したがって、絶縁体11の後側壁26を省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施例1) 図1ないし図5は、本発明に係る密閉角形電池としてのリチウムイオン二次電池の実施例1を示しており、図3に示すごとく、上面に左右横長の開口を有する有底角筒形状の電池缶1と、電池缶1内に収容された電極体2および非水電解液と、電池缶1の開口上面を塞ぐ左右横長の蓋3と、電極体2の上側に配される薄板状の絶縁板5などを備えている。電池缶1は、アルミニウムまたはその合金からなる板材を深絞り加工して上下縦長の薄型に形成してあり、左右幅寸法が34mm、上下高さ寸法が50mm、前後厚み寸法が4mmである。
【0024】
電極体2は、シート状の正極と負極とを微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを間にして渦巻状に巻回してなる。正極の電極からは、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる薄板状の正極集電リード6が上向きに導出されている。負極の電極からは、ニッケルや銅、あるいはこれらの複合体からなる薄板状の負極集電リード7が上向きに導出されている。正極集電リード6は、電極体2の巻回方向の外周側に配されており、正極集電リード6の導出部の下部側が絶縁テープ9で覆われている。負極集電リード7は、電極体2の巻回方向の内周側に配されており、負極集電リード7の導出部の下部側が絶縁テープ(絶縁部材)9で覆われている。
【0025】
蓋3は、アルミニウム合金などの板材をプレス成形してなり、電池缶1の開口周縁に蓋3の外周縁がレーザーでシーム溶接される。蓋3の中央には、図2に示すごとく、蓋3の上面側に配した絶縁パッキング10と、蓋3の下面側に配した絶縁体11とを介して負極端子(出力端子)12が貫通状に取り付けられる。蓋3の左右方向の一端寄り(図2では右側)には、電解液を電池缶1内に注入するための注液孔13が上下貫通状に形成されている。
【0026】
注液孔13は、電解液の注入後に栓15で塞いで封口する。蓋3には、別に防爆用の溝16を形成してある。なお、防爆用の溝を電池缶1に設けたり、電池缶1と蓋3との間のシーム溶接の強度を一部だけ弱くして防爆を図ったりする場合などには、防爆用の溝16を蓋3に形成しなくてもよい。
【0027】
絶縁体11の下面側には、左右横長の薄板状のリード体17が配されている。このリード体17は、蓋3の中央から注液孔13の反対側に延びており、負極端子12をかしめることで負極端子12の下端に接続固定されている。このリード体17の下面に、負極集電リード7の上端部の露出部分がレーザー溶接されている。なお、リード体17は、注液孔13の下面に重ならない範囲で注液孔13側に延びるように配してもよい。
【0028】
正極集電リード6の上端部の露出部分は、図4に示すごとく蓋3の裏面において絶縁体11と注液孔13との間のスペースにレーザー溶接する。これで正極集電リード6が蓋3および電池缶1に導通して、蓋3および電池缶1が正極電位に帯電する。蓋3および電池缶1の任意の位置にアルミニウムとニッケルとからなるクラッド材を溶接することで、正極端子部を形成することができる(図示せず)。なお、正極集電リード6と蓋3、および負極集電リード7とリード体17は、それぞれ二点以上をレーザー溶接されることで接続される。
【0029】
絶縁板5は、厚さ寸法が0.2〜0.3mm程度のフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂やセラミックなどの材料で形成されていて、高い剛性を有する。絶縁板5の曲げ強さはJIS
R1601に準拠した測定方法で200MPa以上が望ましく、250MPa以上がさらに望ましい。絶縁板5は、図1および図2に示すごとく、電極体2の上面のほぼ全域に対面する左右横長になっている。
【0030】
絶縁板5は、図3に示すごとく、前後の外周縁に左右横長の切り欠き19・19がそれぞれ形成されており、正極集電リード6が、いずれか一方の切り欠き19を通って絶縁板5の上方に導出される。絶縁板5の左右には、左右横長の透孔20・20がそれぞれ形成されており、負極集電リード7が、いずれか一方の透孔20を通って絶縁板5の上方に導出される。
【0031】
つまり、絶縁板5は、前後対称かつ左右対称になっており、前後左右あるいは裏表を逆向きにしても正負の集電リード6・7をそれぞれ切り欠き19および透孔20に確実に通せるようにしてある。これにより、絶縁板5の前後左右や裏表の向きを合わせて電池缶1に嵌め込まなくても済み、この分だけ電池の組み立て作業の手間が軽減される。
【0032】
絶縁板5の左右両端部には、円形の連通孔21・21がそれぞれ設けられている。注液孔13から注入された電解液が連通孔21・21を通って電池缶1の下部側に流れ込む分だけ、絶縁板5を配したことによる電解液の注入効率の低下が軽減される。絶縁板5の左右の外周縁は、左右の短辺部が円弧形状の電池にも対応できるように円弧形状になっている。
【0033】
絶縁体11は、ポリプロピレン樹脂などの可撓性を有する合成樹脂からなり、蓋3とリード体17との間に挟まれた板状の蓋側絶縁部22と、この蓋側絶縁部22の前端側に連なる板状の前側壁25と、蓋側絶縁部22の後端側に連なる板状の後側壁26とを含んでいる。蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26との境界には、前後の側壁25・26を下方へ折り曲げるためのV字状の溝23をそれぞれ有している。
【0034】
絶縁体11は、図5に示すごとく、電池組み立て前の自由状態においては、蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっている。そして、絶縁体11は、図1に示すごとく、前後の側壁25・26を溝23・23でそれぞれ折り曲げて下向きにした状態で、電池缶1の開口内に嵌め込まれる。この状態で、蓋側絶縁部22の前後端側から前後の側壁25・26がそれぞれ下方へ延びることになる。絶縁体11の厚さ寸法は0.4mm程度である。絶縁体11は、リード体17よりも左右に長く、かつ防爆用の溝16とほとんど重ならない左右長さ寸法に設定されている。
【0035】
電極体2は、次のようにして作製される。負極集電リード7の下端基部は、図3に示すごとく、負極において巻回方向の内周側となる位置に溶接し、正極集電リード6の下端基部は、正極において巻回方向の外周側となる位置に溶接する。次いで、正極と負極とは、両者間にセパレータを挟んで、電池缶1の形状に合致するよう断面長円形状に巻回したのちにテープ止めする。また、正負の集電リード6・7の導出部の下部が、絶縁テープ9でそれぞれ覆われる。
【0036】
前記密閉型電池の組み立てに際しては、まず蓋3に対して負極端子12、絶縁パッキング10、絶縁体11およびリード体17を予め取り付けておく。そして、正極集電リード6を絶縁板5の切り欠き19を通して絶縁板5の上方に導出し、さらに負極集電リード7を絶縁板5の透孔20を通して絶縁板5の上方に導出した状態で、電極体2および絶縁板5を電池缶1内に収容する。
【0037】
次いで、図4に示すごとく、負極集電リード7の上端部の露出部分をリード体17に導いてレーザー溶接し、正極集電リード6の上端部の露出部分を絶縁体11と注液孔13との間においてレーザー溶接する。この後、絶縁体11の前後の側壁25・26を溝23・23でそれぞれ折り曲げて、蓋3を電池缶1の開口上面に嵌め込む。この際、正負の集電リード6・7は、図1に示すごとく前後に折れ曲がった状態で電池缶1内に収容される。次に、電池缶1の開口周縁に蓋3の外周縁をレーザーでシーム溶接し、注液孔13から電解液を注入したのち、最後に注液孔13を栓15で塞いで封口する(図2の状態)。
【0038】
このように、負極集電リード7をリード体17に溶接するときには、図5に示すごとく絶縁体11は、蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっているために、前後の側壁25・26が前記溶接の際の邪魔にならない。
【0039】
絶縁体11の蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26とで負極集電リード7を覆った状態で、蓋3と共に絶縁体11と負極集電リード7とが電池缶1に嵌め込まれるので、図1に示すごとく、その際に折れ曲がる負極集電リード7の上部が、絶縁体11の下端と蓋3との間に挟まれることがない。
【0040】
電池の上下方向に衝撃が加わっても、高い剛性の絶縁板5が電極体2の上面のほぼ全域に面当たりするので、電極体2が落下の衝撃で部分的に窪み変形することがなく、したがって電極体2の変形による正極と負極との短絡が低減される。絶縁体11の前後の側壁25・26は、蓋側絶縁部22に対して前後に揺動可能であるために、設計変更で電池缶1の前後幅寸法が大きくなっても、前後の側壁25・26の間隔を広げて、前後の側壁25・26と電池缶1の前後壁との間に隙間が生じることを防ぐことができる。
【0041】
(実施例2) 実施例2では、図6に示すごとく、実施例1の絶縁体11から後側壁26を省略してある。つまり、負極集電リード7はリード体17に面接触させた状態で溶接され、溶接後に蓋3を電池缶1に嵌め込んだときには、負極集電リード7の上端部の露出部分は電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がる。このため、負極集電リード7の露出部分と電池缶1の前壁内面との短絡を防ぐために、絶縁体11の前側壁25が必要である。
【0042】
一方、負極集電リード7の下部は、絶縁テープ9で覆われているために電池缶1の後壁内面と接触しても短絡しないことになる。したがって、絶縁体11の後側壁26を省略することができる。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0043】
(実施例3) 実施例3では、図7に示すごとく、実施例1の絶縁体11から後側壁26を省略するとともに、絶縁板5に代えて、絶縁体11の前側壁25の下端から電池の前後方向の中央側へ延びる板状の電極側絶縁部27を設けてある。電極側絶縁部27は、電極体2の上面を押えるようになっており、電池缶1内で電極体2ががたつくことなどを低減している。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0044】
(実施例4) 実施例4では、図8に示すごとく、実施例3の絶縁体11における前記電極側絶縁部27を、実施例3よりも電池の前後中央側へ長く延ばしている。実施例4では、電極側絶縁部27によって電池缶1内で電極体2ががたつくことなどが低減されるとともに、蓋3を電池缶1に嵌め込む際に、電極側絶縁部27が負極集電リード7の下部を後方に押して、負極集電リード7の折れ曲がりを誘導する。つまり、負極集電リード7がいびつな状態で折れ曲がって切れたりすることなどが防がれる。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0045】
(実施例5) 実施例5では、図9に示すごとく、実施例1の絶縁板5に代えて、絶縁体11の前後の側壁25・26の下端に、電池の前後中央側へ延びる電極側絶縁部27・27をそれぞれ設けてある。実施例5では、電極側絶縁部27・27が前後にそれぞれ設けられるので、電極体2の上面をよりしっかりと押えることができて、電池缶1内で電極体2ががたつくことなどがより低減される。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0046】
(実施例6) 実施例6では、図10ないし図12に示すごとく、絶縁体11は、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、電極体2の上側に配された電極側絶縁部29と、蓋側絶縁部22と電極側絶縁部29とをつなぐ可撓性を有する薄板部30とを含んでいる。
【0047】
電極側絶縁部29は、図11および図12に示すごとく、負極集電リード7を通してリード体17へ導くための切り欠き31と、電極側絶縁部29の上面の左右両端と左右方向の中央部からそれぞれ上方へ突出する3個の突起32とを有している。負極集電リード7の下部および正極集電リード6の下部は、それぞれ絶縁テープ9で覆われている。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0048】
そして、蓋3を電池缶1に嵌め込んだときには、図11に示すごとく各突起32の上端が蓋3の裏面に当たって、リード体17と電極側絶縁部29との間の隙間を確保する。この隙間に負極集電リード7が収容される。実施例6では、実施例1の絶縁板5と同様に、絶縁体11の電極側絶縁部29が電極体2の上面のほぼ全域に面当たりするので、落下の衝撃などで電極体2が部分的に強く押されて窪み変形することがない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図2のA−A線断面図
【図2】実施例1の密閉角形電池の縦断正面図
【図3】実施例1の密閉角形電池の分解斜視図
【図4】実施例1の密閉角形電池の組み立て途中を示す縦断正面図
【図5】図4のB−B線断面図
【図6】実施例2の密閉角形電池の縦断側面図
【図7】実施例3の密閉角形電池の縦断側面図
【図8】実施例4の密閉角形電池の縦断側面図
【図9】実施例5の密閉角形電池の縦断側面図
【図10】図11のC−C線断面図
【図11】実施例6の密閉角形電池の縦断正面図
【図12】実施例6の密閉角形電池の組み立て途中を示す縦断正面図
【符号の説明】
【0050】
1 電池缶
2 電極体
3 蓋
5 絶縁板
6 正極集電リード
7 負極集電リード
9 絶縁テープ
11 絶縁体
12 負極端子
17 リード体
20 絶縁板の透孔
22 蓋側絶縁部
23 溝
25 前側壁
26 後側壁
27・29 電極側絶縁部
30 薄板部
32 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池缶の開口を塞ぐ蓋に出力端子が貫通状に取り付けられており、電極体から導出した集電リードがリード体を介して出力端子の下端に接続される密閉角形電池に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、有底角筒形状の電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、この蓋に貫通状に取り付けた負極端子とを含んだ密閉角形電池が開示されている。前記負極端子は、蓋の上下に配した絶縁パッキングおよび絶縁体を介して蓋に取り付けられている。負極端子の下端には、リード体が接続されており、リード体の下面には、電池缶内の電極体から導出した負極集電リードが溶接してある。
【0003】
電池の組み立てに際しては、まず蓋に対して負極端子、絶縁パッキング、絶縁体およびリード体を予め取り付けておく。そして、電極体を電池缶内に収容した状態で負極集電リードの上端部をリード体に溶接したのちに、蓋を電池缶の開口上面に嵌め込んで電池缶の開口周縁に蓋の外周縁をシーム溶接する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−14395号公報(段落番号0021、図1−2)
【特許文献2】特開平11−25993号公報(図2)
【特許文献3】特開平6−203817号公報(図1)
【特許文献4】特開平6−163079号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リード体への負極集電リードの溶接後に、電池缶の開口上面に蓋を嵌め込んだときには、負極集電リードは折れ曲がった状態で電池缶内で収容される。このため、負極集電リードは、折れ曲がった分だけ電池缶の内面に接触しやすくなり、負極集電リードと電池缶とが短絡するおそれがある。
【0006】
特許文献1では、断面コ字状の絶縁体の側壁で負極集電リードの側方を覆っており、これによって負極集電リードが電池缶の内面に接触することを防いでいる。ところが、特許文献1では、リード体も絶縁体の側壁で覆われており、絶縁体の側壁が邪魔になって、リード体に負極集電リードを溶接することが容易ではない。
【0007】
この場合、特許文献2の図2に示すごとく、蓋とは別に枠状のスペーサーを形成して、先にスペーサーを電池缶内に収容しておき、リード体への負極集電リードの溶接後に、負極集電リードをスペーサー内に収容してもよいが、蓋を電池缶に嵌め込む際にスペーサーの上端と蓋との間に負極集電リードが挟み込まれて、負極集電リードと蓋とが短絡するおそれがあるところに問題がある。
【0008】
そこで本発明の目的は、集電リードが蓋または電池缶の側壁と短絡することを防ぐことができながら、集電リードをリード体に容易に溶接できる密閉角形電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明が対象とする密閉角形電池は、図3に示すごとく、上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶1と、電池缶1の開口上面を塞ぐ蓋3と、電池缶1内に収容された電極体2と、蓋3に貫通状に取り付けられた出力端子12と、蓋3の下面側に配されて出力端子12を少なくとも蓋3の下面から絶縁する絶縁体11と、絶縁体11の下面側に配されて出力端子12の下端に接続してある板状のリード体17と、電極体2から上向きに導出した薄板状の集電リード7とを含んでいる。集電リード7の上端部は、図1に示すごとく、リード体17の下面に面接触状態で溶接してあって、集電リード7が、少なくとも電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がっている。ここでの出力端子12は、負極端子の場合と正極端子の場合とが含まれており、これに合わせて集電リード7は、負極集電リードの場合と正極集電リードの場合とが含まれる。
【0010】
かかる密閉角形電池において、請求項1に係る本発明は、絶縁体11が、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、蓋側絶縁部22の前後端のうちの少なくとも前端側から下方へ延びた側壁25とを有しており、電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25とが真っ直ぐになっていることを特徴とする。ここでは、図1に示すごとく、前後に側壁25・26を設けた場合と、図6に示すごとく前側壁25のみを設けた場合とが含まれる。蓋側絶縁部22と側壁25とは前記自由状態で真っ直ぐに近い状態であればよく、また蓋側絶縁部22と側壁25とは溝などの境を有しない平坦な板状につながっている場合も含まれる。
【0011】
絶縁板11は、蓋側絶縁部22と側壁25・26との境界に下方へ折り曲げるための溝23または薄膜部を有していることが好ましい。この場合、電池製造時に絶縁板11の折り曲げを容易に行うことができる。
【0012】
図1や図6に示すごとく、高い剛性を有する材料からなる絶縁板5が電極体の上部に配されていることが望ましい。絶縁体5は、可撓性を有する樹脂であればよく、特に限定されないがポリプロピレンやポリエチレンが望ましく、厚み寸法は0.2〜0.5mmが望ましく、0.2〜0.4mmがより望ましい。集電リード7は、絶縁板5に設けられた透孔20を通ってリード体17に導かれるものとすることができる。絶縁板5の透孔20は、絶縁板5に貫通状に形成したものと、絶縁板5を切り欠いて形成したものとが含まれる。
【0013】
請求項4に係る本発明は、図7や図8や図9に示すごとく、絶縁体11は、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、蓋側絶縁部22の前後端のうちの少なくとも前端側から下方へ延びた側壁25と、側壁25の下端から電池の前後方向の中央側へ延びた電極側絶縁部27とを含んでおり、電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25とが真っ直ぐになっていることを特徴とする。ここでの絶縁体11は、図7および図8に示すごとく前側壁25のみを設けた場合と、図9に示すごとく前後に側壁25・26を設けた場合とが含まれる。また、蓋側絶縁部22と側壁25とが真っ直ぐに近い状態も含まれる。
【0014】
請求項5に係る本発明は、図10ないし図12に示すごとく、絶縁体11が、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、電極体2の上側に配された電極側絶縁部29と、蓋側絶縁部22と電極側絶縁部29とをつなぐ可撓性を有する薄板部30とを含んでおり、絶縁体11の薄板部30が、集電リード7よりも電池缶1の前壁寄りに位置しており、電極側絶縁部29の上面には、上方へ突出する突起31を有していることを特徴とする。
【0015】
集電リード7の下部が絶縁部材9で覆われていると、集電リード7の上部が電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がって集電リード7の下部が電池缶1の後側壁内面に接触しても、集電リード7と電池缶1とが短絡しないことになる。この場合、絶縁体11の後側壁26は省略できる。絶縁部材9は、絶縁テープや絶縁塗料などが該当する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の本発明によれば、絶縁体11の側壁25・26によって、折れ曲がった集電リード7が電池缶1の内面に接触することが防止される。電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっているので、リード体17の下面に集電リード7を溶接する際に、絶縁体11の側壁25・26が邪魔にならず、前記溶接の作業性が向上する。
【0017】
高い剛性の材料からなる絶縁板5を電極体2の上側に配すると、電池の落下などのために電池の上下方向に衝撃が加わっても、その衝撃を絶縁板5で受け止めて、電極体2の上面が落下の衝撃で窪み変形することなどが抑えられる。したがって、落下の衝撃などで電極体2が変形して、正極と負極とが短絡することが低減される。しかも、絶縁板5が高い剛性を有する分だけ絶縁板5を薄くできて、電極体2を大きくして電池の容量を増やすことができる。
【0018】
請求項4記載の本発明によれば、絶縁体11の側壁25・26によって、折れ曲がった集電リード7が電池缶1の内面に接触することが防止される。電池組み立て前の自由状態においては、絶縁体11の蓋側絶縁部22と側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっているので、リード体17の下面に集電リード7を溶接する際に、その溶接個所から電極側絶縁部27までの距離を大きくとれて、電極側絶縁部27が溶接の邪魔になり難く、したがって溶接の作業性の向上を図れる。そのうえで、絶縁体11の電極側絶縁部27で電極体2が押えられて、電極体2が電池缶1内でがたついたり、電極体2の上面が落下の衝撃で窪み変形したりすることなどが低減される。かかる効果のために別部材の絶縁板5を必要としないので、部品管理の低減などを図ることができる。
【0019】
請求項5記載の本発明によれば、絶縁体11の薄板部30が、集電リード7よりも電池缶1の前壁寄りに位置していることで、電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がった集電リード7が電池缶1の前壁内面に接触することが防止される。
【0020】
電池組み立て前の自由状態で絶縁体11の薄板部30をほぼ真っ直ぐにしておくことで、蓋側絶縁部22と電極側絶縁部29とがほぼ真っ直ぐになって、リード体17の下面に集電リード7を溶接する際に、薄板部30や電極側絶縁部29が邪魔にならず、前記溶接の作業性が向上する。しかも、絶縁体11の電極側絶縁部29によって電極体2が押えられて、電極体2が電池缶1内でがたついたり、電極体2の上面が落下の衝撃で窪み変形したりすることなどが低減される。かかる効果のために別部材の絶縁板5を必要としないので、部品管理の低減などを図ることができる。
【0021】
そのうえで、突起32によって絶縁体11の電極側絶縁部29とリード体17との間に隙間を確実に確保でき、この隙間に集電リード7が収容されることで、リード体17と電極側絶縁部29とで集電リード7が強く挟まれて破断することなどが防止される。
【0022】
集電リード7の下部が絶縁部材9で覆われていると、集電リード7の上部が電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がって、集電リード7の下部が電池缶1の後壁内面に接触しても集電リード7と電池缶1とが短絡しないことになる。したがって、絶縁体11の後側壁26を省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施例1) 図1ないし図5は、本発明に係る密閉角形電池としてのリチウムイオン二次電池の実施例1を示しており、図3に示すごとく、上面に左右横長の開口を有する有底角筒形状の電池缶1と、電池缶1内に収容された電極体2および非水電解液と、電池缶1の開口上面を塞ぐ左右横長の蓋3と、電極体2の上側に配される薄板状の絶縁板5などを備えている。電池缶1は、アルミニウムまたはその合金からなる板材を深絞り加工して上下縦長の薄型に形成してあり、左右幅寸法が34mm、上下高さ寸法が50mm、前後厚み寸法が4mmである。
【0024】
電極体2は、シート状の正極と負極とを微多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータを間にして渦巻状に巻回してなる。正極の電極からは、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる薄板状の正極集電リード6が上向きに導出されている。負極の電極からは、ニッケルや銅、あるいはこれらの複合体からなる薄板状の負極集電リード7が上向きに導出されている。正極集電リード6は、電極体2の巻回方向の外周側に配されており、正極集電リード6の導出部の下部側が絶縁テープ9で覆われている。負極集電リード7は、電極体2の巻回方向の内周側に配されており、負極集電リード7の導出部の下部側が絶縁テープ(絶縁部材)9で覆われている。
【0025】
蓋3は、アルミニウム合金などの板材をプレス成形してなり、電池缶1の開口周縁に蓋3の外周縁がレーザーでシーム溶接される。蓋3の中央には、図2に示すごとく、蓋3の上面側に配した絶縁パッキング10と、蓋3の下面側に配した絶縁体11とを介して負極端子(出力端子)12が貫通状に取り付けられる。蓋3の左右方向の一端寄り(図2では右側)には、電解液を電池缶1内に注入するための注液孔13が上下貫通状に形成されている。
【0026】
注液孔13は、電解液の注入後に栓15で塞いで封口する。蓋3には、別に防爆用の溝16を形成してある。なお、防爆用の溝を電池缶1に設けたり、電池缶1と蓋3との間のシーム溶接の強度を一部だけ弱くして防爆を図ったりする場合などには、防爆用の溝16を蓋3に形成しなくてもよい。
【0027】
絶縁体11の下面側には、左右横長の薄板状のリード体17が配されている。このリード体17は、蓋3の中央から注液孔13の反対側に延びており、負極端子12をかしめることで負極端子12の下端に接続固定されている。このリード体17の下面に、負極集電リード7の上端部の露出部分がレーザー溶接されている。なお、リード体17は、注液孔13の下面に重ならない範囲で注液孔13側に延びるように配してもよい。
【0028】
正極集電リード6の上端部の露出部分は、図4に示すごとく蓋3の裏面において絶縁体11と注液孔13との間のスペースにレーザー溶接する。これで正極集電リード6が蓋3および電池缶1に導通して、蓋3および電池缶1が正極電位に帯電する。蓋3および電池缶1の任意の位置にアルミニウムとニッケルとからなるクラッド材を溶接することで、正極端子部を形成することができる(図示せず)。なお、正極集電リード6と蓋3、および負極集電リード7とリード体17は、それぞれ二点以上をレーザー溶接されることで接続される。
【0029】
絶縁板5は、厚さ寸法が0.2〜0.3mm程度のフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂やセラミックなどの材料で形成されていて、高い剛性を有する。絶縁板5の曲げ強さはJIS
R1601に準拠した測定方法で200MPa以上が望ましく、250MPa以上がさらに望ましい。絶縁板5は、図1および図2に示すごとく、電極体2の上面のほぼ全域に対面する左右横長になっている。
【0030】
絶縁板5は、図3に示すごとく、前後の外周縁に左右横長の切り欠き19・19がそれぞれ形成されており、正極集電リード6が、いずれか一方の切り欠き19を通って絶縁板5の上方に導出される。絶縁板5の左右には、左右横長の透孔20・20がそれぞれ形成されており、負極集電リード7が、いずれか一方の透孔20を通って絶縁板5の上方に導出される。
【0031】
つまり、絶縁板5は、前後対称かつ左右対称になっており、前後左右あるいは裏表を逆向きにしても正負の集電リード6・7をそれぞれ切り欠き19および透孔20に確実に通せるようにしてある。これにより、絶縁板5の前後左右や裏表の向きを合わせて電池缶1に嵌め込まなくても済み、この分だけ電池の組み立て作業の手間が軽減される。
【0032】
絶縁板5の左右両端部には、円形の連通孔21・21がそれぞれ設けられている。注液孔13から注入された電解液が連通孔21・21を通って電池缶1の下部側に流れ込む分だけ、絶縁板5を配したことによる電解液の注入効率の低下が軽減される。絶縁板5の左右の外周縁は、左右の短辺部が円弧形状の電池にも対応できるように円弧形状になっている。
【0033】
絶縁体11は、ポリプロピレン樹脂などの可撓性を有する合成樹脂からなり、蓋3とリード体17との間に挟まれた板状の蓋側絶縁部22と、この蓋側絶縁部22の前端側に連なる板状の前側壁25と、蓋側絶縁部22の後端側に連なる板状の後側壁26とを含んでいる。蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26との境界には、前後の側壁25・26を下方へ折り曲げるためのV字状の溝23をそれぞれ有している。
【0034】
絶縁体11は、図5に示すごとく、電池組み立て前の自由状態においては、蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっている。そして、絶縁体11は、図1に示すごとく、前後の側壁25・26を溝23・23でそれぞれ折り曲げて下向きにした状態で、電池缶1の開口内に嵌め込まれる。この状態で、蓋側絶縁部22の前後端側から前後の側壁25・26がそれぞれ下方へ延びることになる。絶縁体11の厚さ寸法は0.4mm程度である。絶縁体11は、リード体17よりも左右に長く、かつ防爆用の溝16とほとんど重ならない左右長さ寸法に設定されている。
【0035】
電極体2は、次のようにして作製される。負極集電リード7の下端基部は、図3に示すごとく、負極において巻回方向の内周側となる位置に溶接し、正極集電リード6の下端基部は、正極において巻回方向の外周側となる位置に溶接する。次いで、正極と負極とは、両者間にセパレータを挟んで、電池缶1の形状に合致するよう断面長円形状に巻回したのちにテープ止めする。また、正負の集電リード6・7の導出部の下部が、絶縁テープ9でそれぞれ覆われる。
【0036】
前記密閉型電池の組み立てに際しては、まず蓋3に対して負極端子12、絶縁パッキング10、絶縁体11およびリード体17を予め取り付けておく。そして、正極集電リード6を絶縁板5の切り欠き19を通して絶縁板5の上方に導出し、さらに負極集電リード7を絶縁板5の透孔20を通して絶縁板5の上方に導出した状態で、電極体2および絶縁板5を電池缶1内に収容する。
【0037】
次いで、図4に示すごとく、負極集電リード7の上端部の露出部分をリード体17に導いてレーザー溶接し、正極集電リード6の上端部の露出部分を絶縁体11と注液孔13との間においてレーザー溶接する。この後、絶縁体11の前後の側壁25・26を溝23・23でそれぞれ折り曲げて、蓋3を電池缶1の開口上面に嵌め込む。この際、正負の集電リード6・7は、図1に示すごとく前後に折れ曲がった状態で電池缶1内に収容される。次に、電池缶1の開口周縁に蓋3の外周縁をレーザーでシーム溶接し、注液孔13から電解液を注入したのち、最後に注液孔13を栓15で塞いで封口する(図2の状態)。
【0038】
このように、負極集電リード7をリード体17に溶接するときには、図5に示すごとく絶縁体11は、蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26とがほぼ真っ直ぐになっているために、前後の側壁25・26が前記溶接の際の邪魔にならない。
【0039】
絶縁体11の蓋側絶縁部22と前後の側壁25・26とで負極集電リード7を覆った状態で、蓋3と共に絶縁体11と負極集電リード7とが電池缶1に嵌め込まれるので、図1に示すごとく、その際に折れ曲がる負極集電リード7の上部が、絶縁体11の下端と蓋3との間に挟まれることがない。
【0040】
電池の上下方向に衝撃が加わっても、高い剛性の絶縁板5が電極体2の上面のほぼ全域に面当たりするので、電極体2が落下の衝撃で部分的に窪み変形することがなく、したがって電極体2の変形による正極と負極との短絡が低減される。絶縁体11の前後の側壁25・26は、蓋側絶縁部22に対して前後に揺動可能であるために、設計変更で電池缶1の前後幅寸法が大きくなっても、前後の側壁25・26の間隔を広げて、前後の側壁25・26と電池缶1の前後壁との間に隙間が生じることを防ぐことができる。
【0041】
(実施例2) 実施例2では、図6に示すごとく、実施例1の絶縁体11から後側壁26を省略してある。つまり、負極集電リード7はリード体17に面接触させた状態で溶接され、溶接後に蓋3を電池缶1に嵌め込んだときには、負極集電リード7の上端部の露出部分は電池缶1の前壁寄りの位置で折れ曲がる。このため、負極集電リード7の露出部分と電池缶1の前壁内面との短絡を防ぐために、絶縁体11の前側壁25が必要である。
【0042】
一方、負極集電リード7の下部は、絶縁テープ9で覆われているために電池缶1の後壁内面と接触しても短絡しないことになる。したがって、絶縁体11の後側壁26を省略することができる。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0043】
(実施例3) 実施例3では、図7に示すごとく、実施例1の絶縁体11から後側壁26を省略するとともに、絶縁板5に代えて、絶縁体11の前側壁25の下端から電池の前後方向の中央側へ延びる板状の電極側絶縁部27を設けてある。電極側絶縁部27は、電極体2の上面を押えるようになっており、電池缶1内で電極体2ががたつくことなどを低減している。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0044】
(実施例4) 実施例4では、図8に示すごとく、実施例3の絶縁体11における前記電極側絶縁部27を、実施例3よりも電池の前後中央側へ長く延ばしている。実施例4では、電極側絶縁部27によって電池缶1内で電極体2ががたつくことなどが低減されるとともに、蓋3を電池缶1に嵌め込む際に、電極側絶縁部27が負極集電リード7の下部を後方に押して、負極集電リード7の折れ曲がりを誘導する。つまり、負極集電リード7がいびつな状態で折れ曲がって切れたりすることなどが防がれる。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0045】
(実施例5) 実施例5では、図9に示すごとく、実施例1の絶縁板5に代えて、絶縁体11の前後の側壁25・26の下端に、電池の前後中央側へ延びる電極側絶縁部27・27をそれぞれ設けてある。実施例5では、電極側絶縁部27・27が前後にそれぞれ設けられるので、電極体2の上面をよりしっかりと押えることができて、電池缶1内で電極体2ががたつくことなどがより低減される。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0046】
(実施例6) 実施例6では、図10ないし図12に示すごとく、絶縁体11は、蓋3とリード体17との間に挟まれた蓋側絶縁部22と、電極体2の上側に配された電極側絶縁部29と、蓋側絶縁部22と電極側絶縁部29とをつなぐ可撓性を有する薄板部30とを含んでいる。
【0047】
電極側絶縁部29は、図11および図12に示すごとく、負極集電リード7を通してリード体17へ導くための切り欠き31と、電極側絶縁部29の上面の左右両端と左右方向の中央部からそれぞれ上方へ突出する3個の突起32とを有している。負極集電リード7の下部および正極集電リード6の下部は、それぞれ絶縁テープ9で覆われている。その他の点は、実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0048】
そして、蓋3を電池缶1に嵌め込んだときには、図11に示すごとく各突起32の上端が蓋3の裏面に当たって、リード体17と電極側絶縁部29との間の隙間を確保する。この隙間に負極集電リード7が収容される。実施例6では、実施例1の絶縁板5と同様に、絶縁体11の電極側絶縁部29が電極体2の上面のほぼ全域に面当たりするので、落下の衝撃などで電極体2が部分的に強く押されて窪み変形することがない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図2のA−A線断面図
【図2】実施例1の密閉角形電池の縦断正面図
【図3】実施例1の密閉角形電池の分解斜視図
【図4】実施例1の密閉角形電池の組み立て途中を示す縦断正面図
【図5】図4のB−B線断面図
【図6】実施例2の密閉角形電池の縦断側面図
【図7】実施例3の密閉角形電池の縦断側面図
【図8】実施例4の密閉角形電池の縦断側面図
【図9】実施例5の密閉角形電池の縦断側面図
【図10】図11のC−C線断面図
【図11】実施例6の密閉角形電池の縦断正面図
【図12】実施例6の密閉角形電池の組み立て途中を示す縦断正面図
【符号の説明】
【0050】
1 電池缶
2 電極体
3 蓋
5 絶縁板
6 正極集電リード
7 負極集電リード
9 絶縁テープ
11 絶縁体
12 負極端子
17 リード体
20 絶縁板の透孔
22 蓋側絶縁部
23 溝
25 前側壁
26 後側壁
27・29 電極側絶縁部
30 薄板部
32 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶と、前記電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、前記電池缶内に収容された電極体と、前記蓋に貫通状に取り付けられた出力端子と、前記蓋の下面側に配されて前記出力端子を少なくとも前記蓋の下面から絶縁する絶縁体と、前記絶縁体の下面側に配されて前記出力端子の下端に接続してある板状のリード体と、前記電極体から上向きに導出した薄板状の集電リードとを含んでおり、
前記集電リードの上端部が、前記リード体の下面に面接触状態で溶接してあって、前記集電リードが、少なくとも前記電池缶の前壁寄りの位置で折れ曲がっている密閉角形電池において、
前記絶縁体は、前記蓋と前記リード体との間に挟まれた蓋側絶縁部と、この蓋側絶縁部の前後端のうちの少なくとも前端側から下方へ延びた側壁とを有しており、
電池組み立て前の自由状態においては、前記蓋側絶縁部と前記側壁とが真っ直ぐになっていることを特徴とする密閉角形電池。
【請求項2】
前記絶縁体が、前記蓋側絶縁部と前記側壁との境界に下方へ折り曲げるための溝または薄膜部を有する請求項1記載の密閉角形電池。
【請求項3】
高い剛性を有する材料からなる薄板状の絶縁板が、前記電極体の上側に配されており、
前記集電リードは、前記絶縁板に設けた透孔を通って前記リード体に導かれている請求項1又は2記載の密閉角形電池。
【請求項4】
上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶と、前記電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、前記電池缶内に収容された電極体と、前記蓋に貫通状に取り付けられた出力端子と、前記蓋の下面側に配されて前記出力端子を少なくとも前記蓋の下面から絶縁する絶縁体と、前記絶縁体の下面側に配されて前記出力端子の下端に接続してある板状のリード体と、前記電極体から上向きに導出した薄板状の集電リードとを含んでおり、
前記集電リードの上端部が、前記リード体の下面に面接触状態で溶接してあって、前記集電リードが、少なくとも前記電池缶の前壁寄りの位置で折れ曲がっている密閉角形電池において、
前記絶縁体は、前記蓋と前記リード体との間に挟まれた蓋側絶縁部と、この蓋側絶縁部の前後端のうちの少なくとも前端側から下向きに折り曲げられた側壁と、この側壁の下端から電池の前後方向の中央側へ延びた電極側絶縁部とを含んでおり、
電池組み立て前の自由状態においては、前記蓋側絶縁部と前記側壁とが真っ直ぐになっていることを特徴とする密閉角形電池。
【請求項5】
上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶と、前記電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、前記電池缶内に収容された電極体と、前記蓋に貫通状に取り付けられた出力端子と、前記蓋の下面側に配されて前記出力端子を少なくとも前記蓋の下面から絶縁する絶縁体と、前記絶縁体の下面側に配されて前記出力端子の下端に接続してある板状のリード体と、前記電極体から上向きに導出した薄板状の集電リードとを含んでおり、
前記集電リードの上端部が、前記リード体の下面に面接触状態で溶接してあって、前記集電リードが、少なくとも前記電池缶の前壁寄りの位置で折れ曲がっている密閉角形電池において、
前記絶縁体は、前記蓋と前記リード体との間に挟まれた蓋側絶縁部と、前記電極体の上側に配された電極側絶縁部と、前記蓋側絶縁部と前記電極側絶縁部とをつなぐ可撓性を有する薄板部とを含んでおり、
前記絶縁体は、前記薄板部が前記集電リードよりも前記電池缶の前壁寄りに位置しているとともに、前記電極側絶縁部がその上面において上方へ突出する突起を有していることを特徴とする密閉角形電池。
【請求項6】
前記集電リードの下部が、絶縁部材で覆われている請求項1ないし5記載の密閉角形電池。
【請求項1】
上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶と、前記電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、前記電池缶内に収容された電極体と、前記蓋に貫通状に取り付けられた出力端子と、前記蓋の下面側に配されて前記出力端子を少なくとも前記蓋の下面から絶縁する絶縁体と、前記絶縁体の下面側に配されて前記出力端子の下端に接続してある板状のリード体と、前記電極体から上向きに導出した薄板状の集電リードとを含んでおり、
前記集電リードの上端部が、前記リード体の下面に面接触状態で溶接してあって、前記集電リードが、少なくとも前記電池缶の前壁寄りの位置で折れ曲がっている密閉角形電池において、
前記絶縁体は、前記蓋と前記リード体との間に挟まれた蓋側絶縁部と、この蓋側絶縁部の前後端のうちの少なくとも前端側から下方へ延びた側壁とを有しており、
電池組み立て前の自由状態においては、前記蓋側絶縁部と前記側壁とが真っ直ぐになっていることを特徴とする密閉角形電池。
【請求項2】
前記絶縁体が、前記蓋側絶縁部と前記側壁との境界に下方へ折り曲げるための溝または薄膜部を有する請求項1記載の密閉角形電池。
【請求項3】
高い剛性を有する材料からなる薄板状の絶縁板が、前記電極体の上側に配されており、
前記集電リードは、前記絶縁板に設けた透孔を通って前記リード体に導かれている請求項1又は2記載の密閉角形電池。
【請求項4】
上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶と、前記電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、前記電池缶内に収容された電極体と、前記蓋に貫通状に取り付けられた出力端子と、前記蓋の下面側に配されて前記出力端子を少なくとも前記蓋の下面から絶縁する絶縁体と、前記絶縁体の下面側に配されて前記出力端子の下端に接続してある板状のリード体と、前記電極体から上向きに導出した薄板状の集電リードとを含んでおり、
前記集電リードの上端部が、前記リード体の下面に面接触状態で溶接してあって、前記集電リードが、少なくとも前記電池缶の前壁寄りの位置で折れ曲がっている密閉角形電池において、
前記絶縁体は、前記蓋と前記リード体との間に挟まれた蓋側絶縁部と、この蓋側絶縁部の前後端のうちの少なくとも前端側から下向きに折り曲げられた側壁と、この側壁の下端から電池の前後方向の中央側へ延びた電極側絶縁部とを含んでおり、
電池組み立て前の自由状態においては、前記蓋側絶縁部と前記側壁とが真っ直ぐになっていることを特徴とする密閉角形電池。
【請求項5】
上面に開口を有する有底角筒形状の電池缶と、前記電池缶の開口上面を塞ぐ蓋と、前記電池缶内に収容された電極体と、前記蓋に貫通状に取り付けられた出力端子と、前記蓋の下面側に配されて前記出力端子を少なくとも前記蓋の下面から絶縁する絶縁体と、前記絶縁体の下面側に配されて前記出力端子の下端に接続してある板状のリード体と、前記電極体から上向きに導出した薄板状の集電リードとを含んでおり、
前記集電リードの上端部が、前記リード体の下面に面接触状態で溶接してあって、前記集電リードが、少なくとも前記電池缶の前壁寄りの位置で折れ曲がっている密閉角形電池において、
前記絶縁体は、前記蓋と前記リード体との間に挟まれた蓋側絶縁部と、前記電極体の上側に配された電極側絶縁部と、前記蓋側絶縁部と前記電極側絶縁部とをつなぐ可撓性を有する薄板部とを含んでおり、
前記絶縁体は、前記薄板部が前記集電リードよりも前記電池缶の前壁寄りに位置しているとともに、前記電極側絶縁部がその上面において上方へ突出する突起を有していることを特徴とする密閉角形電池。
【請求項6】
前記集電リードの下部が、絶縁部材で覆われている請求項1ないし5記載の密閉角形電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−100097(P2006−100097A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284248(P2004−284248)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
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