説明

寸法測定端末

【課題】画面サイズを上回る大きさの被測定物の寸法を高精度で測定する用途に好適な携帯端末、寸法測定システム、寸法測定方法、及び寸法測定プログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末1は、姿勢センサ13と、記憶部15と、処理部14と、表示部11とを具備する。姿勢センサ13は、携帯端末1の姿勢情報を検出する。記憶部15は、基準寸法を保持する。処理部14は、姿勢情報及び基準寸法に基づいて被測定物の寸法を計算する。表示部11は、寸法を表示画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末を用いて物体の寸法を測定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、携帯端末の画面上に物差しの画像を表示させるアプリケーションプログラムを開示している。画面上に表示された物差しを使って長さを測ることができる。
【0003】
特許文献1は、物体の長さを計測することができるように構成された携帯電子機器を開示している。携帯電子機器は、表示部と、筐体とを備える。表示部は、画像を表示させていない状態で透明となる画像表示領域を備える。表示部は筐体の内部に配置される。筐体は、画像表示領域に対応する箇所が透明材料で形成されている。表示部は、画像表示領域に物差しの画像を表示する。
【0004】
上記技術では画面サイズを上回る大きさの被測定物の寸法を測定することができない。
【0005】
非特許文献2は、携帯端末で撮影された被測定物の写真と、撮影時の携帯端末の角度と、撮影者の身長とから、三角測量の原理に基づいて被測定物の寸法を測定するアプリケーションプログラムを開示している。
【0006】
上記技術によれば、画面サイズを上回る大きさの被測定物の寸法を測定することができる。しかし、身長は時間とともに変化するため、上記技術では常に最新の身長を設定しなければ寸法を高精度で測定することができない。
【0007】
特許文献2は、簡易に物の寸法を測ることができるように構成された携帯電話機を開示している。携帯電話機は、移動検出用センサと、相対位置関連処理部と、表示部とを備える。移動検出用センサとして3軸加速度センサが用いられる。3軸加速度センサは、携帯電話機を移動させると、水平方向であるX軸方向及びY軸方向だけでなく、水平方向に垂直なZ軸方向の移動量を検出する。相対位置関連処理部は、ユーザが携帯電話機を移動させるとこれに伴う現在の位置座標を演算する。表示部は位置座標を表示する。
【0008】
上記技術によれば、画面サイズを上回る大きさの被測定物の寸法を測定することができる。更に、上記技術では撮影者の身長を用いないため、寸法を高精度で測定することができると考えられる。
【0009】
画面サイズを上回る大きさの被測定物の寸法を高精度で測定することができる他の技術が必要とされる。
【0010】
一方、重力センサを備えた携帯端末に関して下記技術が知られている。下記技術では重力センサを寸法測定に利用していない。
【0011】
特許文献3は、携帯電話機を開示している。携帯電話機は、上部筐体と、下部筐体と、それらを開閉可能に接続するヒンジ機構と、上部筐体に設けられたタッチパッドと、上部筐体に設けられた重力センサとを備える。重力センサが出力する検出信号に基づいて、上部筐体の姿勢が判定される。上部筐体の姿勢に基づいて、タッチパッドの複数の位置に対して割り当てられる機能の位置が変更される。
【0012】
特許文献4は、携帯端末装置を開示している。携帯端末装置は、上部筐体と、下部筐体と、それらを折り畳み可能に連結するヒンジと、正面ディスプレイと、正面バックライトと、背面ディスプレイと、背面バックライトと、重力センサと、制御回路とを備える。正面ディスプレイ、正面バックライト、背面ディスプレイ、背面バックライト、及び重力センサは、上部筐体に設けられる。上部筐体及び下部筐体は、正面ディスプレイ及び正面バックライトが内側になるように折り畳まれる。背面ディスプレイ及び背面バックライトは上部筐体の外側に設けられる。重力センサは、重力方向に対する携帯端末装置の角度を検知し、その角度情報を制御回路に送る。制御回路は、角度情報に基づいて、正面ディスプレイ、正面バックライト、背面ディスプレイ、及び背面バックライトの動作のオン/オフを制御する。
【0013】
特許文献5は、携帯情報端末を開示している。携帯情報端末は、表示装置と、複数の操作キーと、重力の方向を検出する重力センサと、各操作キーへのキーコードの割り当てを行う制御部とを備える。複数の操作キーは、表示装置の表示面が設けられた面とは反対側の面に設けられる。制御部は、重力センサからの入力信号に基づいて、表示面を上にした第1の状態と反対側の面を上にした第2の状態のいずれの状態にあるかを判定する。制御部は、判定結果に応じて、各操作キーへのキーコードの割り当てを切り替える。
【0014】
特許文献6は、カメラ付き携帯端末を開示している。カメラ付き携帯端末は、カメラモジュールと、第1回動軸部と、第2回動軸部と、重力センサとを備える。第1回動軸部は、カメラモジュールの光軸を第1回動軸まわりに回動する第1回動アクチュエータを備える。第2回動軸部は、カメラモジュールの光軸を第2回動軸まわりに回動する第2回動アクチュエータを備える。重力センサにより検知された重力方向に基づいて、カメラモジュールの光軸方向の水平方向に対する傾き角が求められる。傾き角に基づいて第1及び第2回動アクチュエータを制御して、カメラモジュールの光軸方向を水平方向に概ね平行にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2011−166629号公報
【特許文献2】特開2008−97144号公報
【特許文献3】特開2006−350814号公報
【特許文献4】特開2007−281864号公報
【特許文献5】特開2010−27090号公報
【特許文献6】特開2011−19094号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】iScale、[online]、[2011年10月14日検索]、インターネット<URL:http://pcf.axisdesign.org/blog/iphoneapp>
【非特許文献2】RoomRuler、[online]、[2011年10月14日検索]、インターネット<URL:http://www.shusaku.co.jp/ip/sub1.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、画面サイズを上回る大きさの被測定物の寸法を高精度で測定する用途に好適な携帯端末、寸法測定システム、寸法測定方法、及び寸法測定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一の観点において、携帯端末は、姿勢センサと、記憶部と、処理部と、表示部とを具備する。姿勢センサは、携帯端末の姿勢情報を検出する。記憶部は、基準寸法を保持する。処理部は、姿勢情報及び基準寸法に基づいて被測定物の寸法を計算する。表示部は、寸法を表示画面に表示する。
【0019】
本発明の他の観点において、寸法測定システムは、上記携帯端末と、矩形ケースとを具備する。姿勢情報は、携帯端末の回転角を含む。表示画面の法線を水平にした状態で携帯端末を法線に垂直な面内で回転させたときに回転角が変化する。処理部は、回転角及び基準寸法に基づいて寸法を計算する。基準寸法は、矩形ケースの縦方向の長さと、矩形ケースの横方向の長さとを含む。矩形ケースは、縦方向、横方向、及び法線が互いに垂直になるように携帯端末を格納する。
【0020】
本発明の他の観点において、寸法測定システムは、上記携帯端末と、円形ケースとを具備する。姿勢情報は、携帯端末の回転角を含む。表示画面の法線を水平にした状態で携帯端末を法線に垂直な面内で回転させたときに回転角が変化する。処理部は、回転角及び基準寸法に基づいて寸法を計算する。基準寸法は、円形ケースの直径を含む。円形ケースは、直径の方向が法線に垂直になるように携帯端末を格納する。
【0021】
本発明の他の観点において、寸法測定方法は、携帯端末を回転させながら被測定物に沿って移動することと、携帯端末の姿勢情報を検出することと、姿勢情報及び基準寸法に基づいて被測定物の寸法を計算することと、寸法を表示することとを具備する。
【0022】
本発明の他の観点において、寸法測定プログラムは、携帯端末が備える姿勢センサが検出する携帯端末の姿勢情報及び携帯端末の記憶部に保持された基準寸法に基づいて被測定物の寸法を計算することと、携帯端末の表示部に寸法を表示することとを携帯端末に実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画面サイズを上回る大きさの被測定物の寸法を高精度で測定する用途に好適な携帯端末、寸法測定システム、寸法測定方法、及び寸法測定プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末のブロック図である。
【図2】図2は、携帯端末の正面図である。
【図3】図3は、携帯端末の表示画面に表示される内容を示す。
【図4】図4は、携帯端末の回転角の定義を示す。
【図5】図5は、携帯端末の姿勢と回転角の関係を示す。
【図6】図6は、携帯端末が実行する処理のフローチャートである。
【図7】図7は、携帯端末が実行する測定処理のフローチャートである。
【図8】図8は、測定処理に含まれる処理のフローチャートである。
【図9】図9は、測定処理に含まれる処理のフローチャートである。
【図10】図10は、測定処理に含まれる処理のフローチャートである。
【図11】図11は、測定処理に含まれる処理のフローチャートである。
【図12】図12は、第1の実施形態に係る寸法測定方法を説明する概念図である。
【図13】図13は、本発明の第2の実施形態に係る寸法測定システムの斜視図である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態に係る寸法測定システムの斜視図である。
【図15】図15は、第3の実施形態に係る寸法測定システムが備える携帯端末の表示画面に表示される内容を示す。
【図16】図16は、第3の実施形態に係る携帯端末が実行する測定処理のフローチャートである。
【図17】図17は、第3の実施形態に係る寸法測定方法を説明する概念図である。
【図18】図18は、本発明の第4の実施形態に係る携帯端末の表示画面に表示される内容を示す。
【図19】図19は、携帯端末の傾斜角の定義を示す。
【図20】図20は、携帯端末の姿勢と傾斜角の関係を示す。
【図21】図21は、第4の実施形態に係る携帯端末が実行する処理のフローチャートである。
【図22】図22は、携帯端末を用いて水平方向の寸法を測定する方法を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照して、本発明による携帯端末、寸法測定システム、寸法測定方法、及び寸法測定プログラムを実施するための形態を以下に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る携帯端末1を説明する。携帯端末1の具体例として、スマートフォン(高機能携帯電話機)やタブレット端末が挙げられる。携帯端末1は、表示部11、入力部12、姿勢センサ13、処理部14、記憶部15を備える。入力部12は、例えば、タッチセンサを備える。ユーザは入力部12を用いて携帯端末1を操作する。入力部12は、ユーザによる指示を示す信号を生成して処理部14に出力する。記憶部15は、データやコンピュータプログラムを保持する。記憶部15は、電力が供給されなくても情報を保持可能なように、フラッシュメモリのような不揮発性記憶装置を備えることが好ましい。姿勢センサ13は、地磁気の方向、重力加速度の方向、又はこれらの両者に基づいて携帯端末1の姿勢情報を検出し、姿勢情報を処理部14に出力する。姿勢センサ13は重力加速度センサ及び地磁気センサを備えてもよい。処理部14は、記憶部15に保持されたコンピュータプログラムに従って処理を実行する。このコンピュータプログラムは、インターネットを介して提供されてもよく、光ディスクや磁気ディスクのような記録媒体に記録されて提供されてもよい。表示部11は、例えば、液晶表示装置を備える。表示部11は、処理部14による処理状況や処理結果をユーザに表示する。
【0027】
図2を参照して、携帯端末1の形状は直方体である。表示部11は、矩形形状の表示画面110を備える。表示画面110及び入力部12は、タッチパネルを形成する。表示画面110の法線ベクトルN、縦ベクトルX、横ベクトルYが示されている。法線ベクトルN、縦ベクトルX、横ベクトルYは携帯端末1に対して固定されている。法線ベクトルN、縦ベクトルX、横ベクトルYは互いに垂直である。法線ベクトルNは、表示画面110に垂直な外向きのベクトルである。縦ベクトルXは、表示画面110の縦辺110a及び携帯端末1の縦辺1aに平行である。縦ベクトルXは、表示画面110の上を向く。横ベクトルYは、表示画面110の横辺110b及び携帯端末1の横辺1bに平行である。横ベクトルYは、表示画面110の左を向く。携帯端末1の縦方向の長さaは縦辺1aの長さに等しく、携帯端末1の横方向の長さbは横辺1bの長さに等しい。携帯端末1の縦方向及び横方向はそれぞれ縦ベクトルX及び横ベクトルYに平行である。図2に示されるように、縦辺110aは横辺110bより長く、縦辺1aは横辺1bより長い。
【0028】
図3は、表示画面110が表示する内容を示す。表示画面110は、寸法表示領域111と、測定開始ボタン112と、基準寸法設定領域113と、設定ボタン115とを表示する。寸法表示領域111は、携帯端末1が測定した寸法を表示するための領域である。寸法はミリメートルの単位で表示される。測定開始ボタン112は、寸法の測定処理を開始するためのボタンである。基準寸法設定領域113は、測定処理に用いられる基準寸法を設定するための領域である。ユーザは、携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbを基準寸法として基準寸法設定領域113に設定する。携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbの単位はミリメートルである。尚、過去に設定された携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbが記憶部15に保持されている場合、基準寸法設定領域113は記憶装置15に保持されている携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbを初期値として表示してもよい。ユーザが設定ボタン115をタッチ又は押下すると、入力部12は設定ボタン115が操作されたことを処理部14に伝える。処理部14は、基準寸法設定領域113に設定された携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbを記憶部15に保存して保持する。
【0029】
図4を参照して、携帯端末1の回転角(roll)θを説明する。回転角θは、鉛直上向きベクトルVと縦ベクトルXの間の角度である。法線ベクトルNを水平にした状態で携帯端末1を法線ベクトルNに垂直な面内で回転させると回転角θが変化する。姿勢センサ13が検出する姿勢情報は、回転角θを含む。姿勢センサ13は、回転角θを検出して処理部14に出力する。
【0030】
図5を参照して、法線ベクトルNを水平にした状態で携帯端末1を法線ベクトルNに垂直な面内で回転させたときの回転角θの変化を説明する。縦ベクトルXが鉛直上向きとなる姿勢を携帯端末1がとるとき、回転角θは0である。この姿勢から横ベクトルYが上を向くように携帯端末1を回転させると回転角θが増加する。横ベクトルYが鉛直上向きとなる姿勢を携帯端末1がとるとき、回転角θは+90である。この姿勢から縦ベクトルXが下を向くように携帯端末1を回転させると回転角θが増加する。縦ベクトルXが鉛直下向きとなる姿勢を携帯端末1がとるとき、回転角θは+180である。一方、縦ベクトルXが鉛直上向きとなる姿勢(回転角θが0となる姿勢)から横ベクトルYが下を向くように携帯端末1を回転させると回転角θが減少する。横ベクトルYが鉛直下向きとなる姿勢を携帯端末1がとるとき、回転角θは−90である。この姿勢から縦ベクトルXが下を向くように携帯端末1を回転させると回転角θが減少する。縦ベクトルXが鉛直下向きとなる姿勢を携帯端末1がとるとき、回転角θは−180である。縦ベクトルXが鉛直下向きとなる姿勢を超えて携帯端末1を回転させると、回転角θの正負が逆転する。
【0031】
図6は、携帯端末1が実行する処理のフローチャートである。この処理はステップS10、S20を含む。ステップS10において、処理部14が入力部12から測定開始ボタン112が押下されたとの通知を受けるとステップS20に移る。ステップS20において、携帯端末1は、被測定物の寸法を測定するための測定処理を実行する。測定処理の実行中、姿勢センサ13は、携帯端末1の姿勢情報をリアルタイムで検出し、処理部14に出力する。
【0032】
図7は、ステップS20のフローチャートである。ステップS20は、ステップS21乃至S29を含む。ステップS21において、処理部14は、記憶部15から基準寸法a及びb(携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さb)を読み込む。ステップS22において、処理部14は、被測定物の寸法を計算するために利用する一時記憶変数zの値を0にリセットする。
【0033】
ステップS23において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θに基づいて携帯端末1の現在の姿勢を判定する。−10<θ<10である場合、すなわち|θ|<10である場合、処理部14は縦ベクトルXが概ね鉛直上向きの状態で測定開始ボタン112が押下されたと判定し、ステップS26に移る。ここで、|θ|は回転角θの大きさを示す。|θ|<10でない場合、ステップS24に移る。
【0034】
ステップS24において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θに基づいて携帯端末1の現在の姿勢を判定する。80<|θ|<100である場合、処理部14は、縦ベクトルXが概ね水平且つ横ベクトルYが概ね鉛直上向きの状態、又は、縦ベクトルXが概ね水平且つ横ベクトルYが概ね鉛直下向きの状態で測定開始ボタン112が押下されたと判定し、ステップS27に移る。80<|θ|<100でない場合、ステップS25に移る。
【0035】
ステップS25において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θに基づいて携帯端末1の現在の姿勢を判定する。170<|θ|である場合、処理部14は、縦ベクトルXが概ね鉛直下向きの状態で測定開始ボタン112が押下されたと判定し、ステップS28に移る。170<|θ|でない場合、ステップS23に移る。
【0036】
図8は、ステップS26のフローチャートである。ステップS26は、ステップS261乃至S263を含む。ステップS261において、処理部14は一時記憶変数zに基準寸法aを加算する。ステップS262において、処理部14は、下記式:
h=z+b|sinθ|
に基づいて被測定物の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する。ここで、θはステップS262の実行時点で姿勢センサ13から得られる回転角θであり、bはステップS21で取得した基準寸法bである。ステップS263において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θに基づいて、|θ|≧90か否かを判定する。|θ|≧90である場合、携帯端末1の回転が1/4回転を超えたと判定し、ステップS27に移る。|θ|≧90でない場合、ステップS262に戻る。
【0037】
図9は、ステップS27のフローチャートである。ステップS27は、ステップS271乃至S273を含む。ステップS271において、処理部14は一時記憶変数zに基準寸法bを加算する。ステップS272において、処理部14は、下記式:
h=z+a×sin(|θ|−90)
に基づいて被測定物の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する。ここで、θはステップS272の実行時点で姿勢センサ13から得られる回転角θであり、aはステップS21で取得した基準寸法aである。ステップS273において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θの正負が逆転したか否かを判定する。θの正負が逆転した場合、携帯端末1の回転が1/2回転を超えたと判定し、ステップS28に移る。θの正負が逆転していない場合、ステップS272に戻る。
【0038】
図10は、ステップS28のフローチャートである。ステップS28は、ステップS281乃至S283を含む。ステップS281において、処理部14は、一時記憶変数zに基準寸法aを加算する。ステップS282において、処理部14は、下記式:
h=z+b×sin(180−|θ|)
に基づいて被測定物の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する。ここで、θはステップS282の実行時点で姿勢センサ13から得られる回転角θであり、bはステップS21で取得した基準寸法bである。ステップS283において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θに基づいて、|θ|≦90か否かを判定する。|θ|≦90である場合、携帯端末1の回転が3/4回転を超えたと判定し、ステップS29に移る。|θ|≦90でない場合、ステップS282に戻る。
【0039】
図11は、ステップS29のフローチャートである。ステップS29は、ステップS291乃至S293を含む。
ステップS291において、処理部14は一時記憶変数zに基準寸法bを加算する。ステップS292において、処理部14は、下記式:
h=z+a×sin(90−|θ|)
に基づいて被測定物の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する。ここで、θはステップS292の実行時点で姿勢センサ13から得られる回転角θであり、aはステップS21で取得した基準寸法aである。ステップS293において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θの正負が逆転したか否かを判定する。θの正負が逆転した場合、携帯端末1の回転が1回転を超えたと判定し、ステップS26に移る。θの正負が逆転していない場合、ステップS292に戻る。
【0040】
以下、携帯端末1を用いた寸法測定方法を具体的に説明する。
【0041】
(基準寸法の設定)
図3を参照して、基準寸法の設定(初期設定)を説明する。ここでは、携帯端末1の縦方向の長さaが120mm、携帯端末1の横方向の長さbが60mmである場合を例として用いる。携帯端末1を起動すると、表示部11は表示画面110に寸法表示領域111、測定開始ボタン112、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115を表示する。ここで、携帯端末1が初めて起動される場合、記憶部15に縦方向の長さa及び横方向の長さbが基準寸法として記録されていないため、基準寸法設定領域113は何も入力されていない空欄の状態で表示される。ユーザは、入力部12を操作して、基準寸法設定領域113に携帯端末1の縦方向の長さaの値である120と携帯端末1の横方向の長さbの値である60を入力する。ユーザは入力完了後に設定ボタン115を押下する。設定ボタン115が押下されると、記憶部15は基準寸法設定領域113に入力された携帯端末1の縦方向の長さa(=120)と携帯端末1の横方向の長さb(=60)を保存する。基準寸法a及びbの設定(初期設定)が完了する。
【0042】
(測定処理)
図3、6乃至12を参照して、携帯端末1を用いて被測定物の寸法hを測定する測定処理を説明する。ここでは、携帯端末1の縦方向の長さaが120mm、携帯端末1の横方向の長さbが60mm、寸法hが被測定物2の高さである場合を例として用いる。被測定物2の高さは240mmであるとする。携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbは、既に基準寸法a及びbとして記憶部15に設定されているものとする。
【0043】
図12を参照して、ユーザは、被測定物2の測定対象となる辺が鉛直になるように被測定物2を水平表面3の上に設置する。水平表面3は、地面、床面、テーブルの上面などである。
【0044】
図3を参照して、ユーザが携帯端末1を起動すると、表示部11の表示画面110に寸法表示領域111、測定開始ボタン112、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115が表示される。ここで、処理部14は記憶部15から基準寸法a及びbを読み出し、これらが初期値として基準寸法設定領域113に表示される。
【0045】
図12を参照して、次に、ユーザは被測定物2の測定対象となる辺の上端部に携帯端末1の縦辺1a又は横辺1bをあわせた状態に携帯端末1を手で保持しながら、測定開始ボタン112を押下する。以下、携帯端末1を位置P101で保持した状態(すなわち、被測定物2の測定対象となる辺の上端部に携帯端末1の縦辺1aをあわせた状態)で測定開始ボタン112が押下された場合を説明する。
【0046】
測定開始ボタン112が押下されると(ステップS10においてYES)、携帯端末1は測定処理(ステップS20)を開始する。測定処理の実行中、姿勢センサ13は、携帯端末1の姿勢情報をリアルタイムで検出し、処理部14に出力する。
【0047】
処理部14は、記憶部15から基準寸法a及びbを読み込む(ステップS21)。すなわち、携帯端末1の縦方向の長さa(=120)及び横方向の長さb(=60)が読み込まれる。
【0048】
処理部14は、被測定物2の寸法hを計算するために利用する一時記憶変数zの値を0にリセットする(ステップS22)。
【0049】
処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θに基づいて携帯端末1の現在の姿勢を判定する(ステップS23〜S25)。携帯端末1を図12に示す位置P101で保持した状態(被測定物2の測定対象となる辺の上端部に携帯端末1の縦辺1aをあわせた状態)で測定開始ボタン112が押下されたため、姿勢センサ13から得られる回転角θは0である。したがって、ステップS26に進む(ステップS23においてYES)。
【0050】
処理部14は、ステップS22において0に設定された一時記憶変数zに基準寸法aを加算する(ステップS261)。その結果、z=120となる。
【0051】
処理部14は、下記式:
h=z+b|sinθ|
に基づいて被測定物2の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する(S262)。測定開始ボタン112が押下された直後はθ=0なので、h=zである。したがって、寸法表示領域111に「120」が表示される。
【0052】
図12を参照して、ユーザは、携帯端末1を回転させながら被測定物2の測定対象となる辺に沿って位置P102に向かって移動する。ユーザは、携帯端末1が被測定物2に対してすべらないように携帯端末1を被測定物2に沿って転がす。このとき、姿勢センサ13から得られる回転角θの大きさ|θ|が増加し、これに伴いステップS262で表示される寸法hの値も増加する(ステップS262、ステップS263においてNO)。
【0053】
携帯端末1が位置P102に到達すると、|θ|=90となる。すると、処理部14は、携帯端末1の回転が1/4回転を超えたと判定し、ステップS27に移る(ステップS263においてYES)。
【0054】
処理部14は、ステップS261において設定された一時記憶変数zに基準寸法bを加算する(ステップS271)。その結果、z=180となる。
【0055】
処理部14は、下記式:
h=z+a×sin(|θ|−90)
に基づいて被測定物2の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する(ステップS272)。位置P102では、|θ|=90なので、h=zである。したがって、寸法表示領域111に「180」が表示される。
【0056】
図12を参照して、ユーザは、位置P102から水平面3に向かって(すなわち位置P103に向かって)携帯端末1を回転させながら被測定物2の測定対象となる辺に沿って移動する。このとき、姿勢センサ13から得られる回転角θの大きさ|θ|が増加し、これに伴いステップS272で表示される寸法hの値も増加する(ステップS272、ステップS273においてNO)。
【0057】
図12を参照して、携帯端末1が位置P103に到達した状態(携帯端末1の一部が水平面3と接触する状態)において寸法表示領域111に表示される寸法hの値は、被測定物2の高さhを示す。このとき、|θ|=120であるとすると、被測定物2の高さhは、下記式:
h=180+120×sin(120−90)
により、h=240と求まる。以上により、被測定物2の鉛直方向の寸法hを測定することができた。
【0058】
以上、携帯端末1を起動すると表示部11の表示画面110に寸法表示領域111、測定開始ボタン112、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115が表示される場合を説明したが、上記コンピュータプログラムをアプリケーションソフトウエアとして実装し、アプリケーションソフトウエアを起動することで表示部11の表示画面110に寸法表示領域111、測定開始ボタン112、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115が表示されるようにしてもよい。
【0059】
本実施形態によれば、携帯端末1の姿勢情報(回転角θ)と基準寸法(携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さb)とに基づいて被測定物2の寸法hを計算する。したがって、携帯端末1の表示画面110のサイズを上回る大きさの被測定物2の寸法hを、携帯端末1を用いて高精度で測定することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る寸法測定システム10を示す。寸法測定システム10は、携帯端末1と、補助ケース21とを備える。本実施形態に係る携帯端末1は、形状が直方体ではないなく、例えば、四隅に丸みを帯びた形状を有する。本実施形態に係る携帯端末1は、この点と以下に述べる点を除いて、第1の実施形態に係る携帯端末1と同様に構成されて同様の動作を行う。補助ケース21は、直方体ではない形状の携帯端末1を直方体に変換する変換器具である。したがって、補助ケース21を矩形ケースと称する場合がある。補助ケース21に携帯端末1を格納することで、携帯端末1の形状が直方体でない場合であっても、被測定物の寸法を正確に測定することができる。補助ケース21の縦辺21aが表示画面110の縦辺110aと平行になり、補助ケース21の横辺21bが表示画面110の横辺110bと平行になるように、携帯端末1を補助ケース21に格納する。したがって、縦辺21a及び横辺21bは、表示画面110の法線ベクトルNに垂直になる。補助ケース21の縦方向の長さaは、縦辺21aの長さに等しい。補助ケース21の横方向の長さbは、横辺21bの長さに等しい。
【0061】
本実施形態においては、補助ケース21に格納された状態の携帯端末1を用いて被測定物の寸法を測定する。ここで、補助ケース21の縦方向の長さa及び横方向の長さbが基準寸法として用いられる。また、補助ケース21をゴムなどの摩擦の大きい材料で形成することで補助ケース21と被測定物とのすべりを防止し、測定精度を向上することができる。
【0062】
(第3の実施形態)
図14は、本発明の第3の実施形態に係る寸法測定システム10を示す。寸法測定システム10は、携帯端末1と、補助ケース22とを備える。本実施形態に係る携帯端末1は、形状が直方体ではないなく、例えば、四隅に丸みを帯びた形状を有する。本実施形態に係る携帯端末1は、この点と以下に述べる点を除いて、第1の実施形態に係る携帯端末1と同様に構成されて同様の動作を行う。補助ケース22は、直方体ではない形状の携帯端末1を円柱に変換する変換器具である。したがって、補助ケース22を円形ケースと称する場合がある。補助ケース22に携帯端末1を格納することで、携帯端末1の形状が直方体でない場合であっても、被測定物の寸法を正確に測定することができる。補助ケース22の直径cの方向が表示画面110の法線ベクトルNと垂直になるように携帯端末1を補助ケース22に格納する。
【0063】
本実施形態においては、補助ケース22に格納された状態の携帯端末1を用いて被測定物の寸法を測定する。ここで、補助ケース22の直径cが基準寸法として用いられる。また、補助ケース22をゴムなどの摩擦の大きい材料で形成することで補助ケース22と被測定物とのすべりを防止し、測定精度を向上することができる。
【0064】
以下、本実施形態に係る寸法測定方法を詳細に説明する。
【0065】
図15は、本実施形態において、表示画面110が表示する内容を示す。表示画面110は、寸法表示領域111と、測定開始ボタン112と、基準寸法設定領域113と、設定ボタン115とを表示する。寸法表示領域111は、携帯端末1が測定した寸法を表示するための領域である。寸法はミリメートルの単位で表示される。測定開始ボタン112は、寸法の測定処理を開始するためのボタンである。基準寸法設定領域113は、測定処理に用いられる基準寸法を設定するための領域である。ユーザは、補助ケース22の直径cを基準寸法として基準寸法設定領域113に設定する。補助ケース22の直径cの単位はミリメートルである。尚、過去に設定された補助ケース22の直径cが記憶部15に保持されている場合、基準寸法設定領域113は記憶装置15に保持されている補助ケース22の直径cを初期値として表示してもよい。ユーザが設定ボタン115をタッチ又は押下すると、入力部12は設定ボタン115が操作されたことを処理部14に伝える。処理部14は、基準寸法設定領域113に設定された補助ケース22の直径cを記憶部15に保存して保持する。
【0066】
図16は、本実施形態に係る携帯端末1が実行するステップS30のフローチャートである。本実施形態に係る携帯端末1は、ステップS20のかわりにステップS30を実行する。ステップ30において、携帯端末1は、被測定物の寸法を測定するための測定処理を実行する。測定処理の実行中、姿勢センサ13は、携帯端末1の姿勢情報をリアルタイムで検出し、処理部14に出力する。
【0067】
ステップS30は、ステップS31乃至S36を含む。ステップS31において、処理部14は、記憶部15から基準寸法c(補助ケース22の直径c)を読み込む。ステップS32において、処理部14は、被測定物の寸法を計算するために利用する一時記憶変数defdegの値に、姿勢センサ13から得られる回転角θの絶対値(大きさ)|θ|を設定する。測定処理開始時(測定開始ボタン112が押下された時)の|θ|を一時記憶変数defdegに設定することで、回転角θがどのような値のときに測定処理を開始しても、被測定物の寸法を正確に測定できる。ステップS33において、処理部14は、被測定物の寸法を計算するために利用する一時記憶変数degの値を0にリセットする。
【0068】
ステップS34において、処理部14は、下記式:
h=c×π×(|θ|+deg−defdeg)/360+c
に基づいて被測定物の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する。ここで、θはステップS34の実行時点で姿勢センサ13から得られる回転角θであり、cはステップS31で取得した基準寸法cであり、πは円周率である。ステップS35において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θの正負が逆転したか否かを判定する。θの正負が逆転した場合(ステップS35においてYES)、携帯端末1の回転が1/2回転を超えたと判定し、ステップS36に移る。θの正負が逆転していない場合(ステップS35においてNO)、ステップS34に戻る。ステップS36において、処理部14は、一時記憶変数degに180を加算する。ステップS36の後、ステップS34に戻る。したがって、携帯端末1が半回転するごとに一時記憶変数degに180が加算される。
【0069】
以下、本実施形態に係る寸法測定システム10を用いた寸法測定方法を具体的に説明する。
【0070】
(基準寸法の設定)
図15を参照して、基準寸法の設定(初期設定)を説明する。ここでは、補助ケース22の直径cが160mmである場合を例として用いる。携帯端末1を起動すると、表示部11は表示画面110に寸法表示領域111、測定開始ボタン112、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115を表示する。ここで、携帯端末1が初めて起動される場合、記憶部15に直径cが基準寸法として記録されていないため、基準寸法設定領域113は何も入力されていない空欄の状態で表示される。ユーザは、入力部12を操作して、基準寸法設定領域113に補助ケース22の直径cの値である160を入力する。ユーザは入力完了後に設定ボタン115を押下する。設定ボタン115が押下されると、記憶部15は基準寸法設定領域113に入力された補助ケース22の直径c(=160)を保存する。基準寸法cの設定(初期設定)が完了する。
【0071】
(測定処理)
図6、15乃至17を参照して、本実施形態に係る寸法測定システム10を用いて被測定物の寸法hを測定する測定処理を説明する。ここでは、補助ケース22の直径cが160mm、寸法hが被測定物2の高さである場合を例として用いる。被測定物2の高さは480mmであるとする。補助ケース22の直径cは、既に基準寸法cとして記憶部15に設定されているものとする。
【0072】
図17を参照して、ユーザは、被測定物2の測定対象となる辺が鉛直になるように被測定物2を水平表面3の上に設置する。水平表面3は、地面、床面、テーブルの上面などである。
【0073】
ユーザが携帯端末1を起動すると、表示部11の表示画面110に寸法表示領域111、測定開始ボタン112、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115が表示される。ここで、処理部14は記憶部15から基準寸法c(=160)を読み出し、これが初期値として基準寸法設定領域113に表示される。
【0074】
図17を参照して、次に、ユーザは被測定物2の測定対象となる辺の上端の高さに補助ケース22の最も高い点が揃う状態に寸法測定システム10を手で保持しながら、測定開始ボタン112を押下する。以下、寸法測定システム10を位置P201で保持した状態(被測定物2の測定対象となる辺の上端の高さに補助ケース22の最も高い点が揃う状態)で測定開始ボタン112が押下された場合を説明する。
【0075】
測定開始ボタン112が押下されると(ステップS10においてYES)、携帯端末1は測定処理(ステップS30)を開始する。測定処理の実行中、姿勢センサ13は、携帯端末1の姿勢情報をリアルタイムで検出し、処理部14に出力する。
【0076】
処理部14は、記憶部15から基準寸法cを読み込む(ステップS31)。すなわち、補助ケース22の直径c(=160)が読み込まれる。
【0077】
処理部14は、被測定物2の寸法hを計算するために利用する一時記憶変数defdegの値に、姿勢センサ13から得られる回転角θの絶対値(大きさ)|θ|を設定する(ステップS32)。ここでは、測定開始ボタン112が押下された際にθ=0であり、defdegには0が設定されるものとする。
【0078】
処理部14は、被測定物2の寸法hを計算するために利用する一時記憶変数degの値を0にリセットする(ステップS33)。
【0079】
処理部14は、下記式:
h=c×π×(|θ|+deg−defdeg)/360+c/2+c/2
に基づいて被測定物2の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する(ステップS34)。測定開始ボタン112が押下された直後は、θ=0、deg=0、defdeg=0なので、寸法h=cである。したがって、寸法表示領域111に「160」が表示される。
【0080】
図17を参照して、ユーザは、寸法測定システム10を回転させながら被測定物2の測定対象となる辺に沿って位置P202に向かって移動する。ユーザは、寸法測定システム10が被測定物2に対してすべらないように携帯端末1を被測定物2に沿って転がす。このとき、姿勢センサ13から得られる回転角θの大きさ|θ|が増加し、これに伴いステップS34で表示される寸法hの値も増加する(ステップS34、ステップS35においてNO)。
【0081】
寸法測定システム10の回転によりθの正負が逆転すると、処理部14は寸法測定システム10の回転が1/2回転を越えたと判定し、ステップS36に移る(ステップS35においてYES)。
【0082】
処理部14は、ステップS33において0に設定された一時記憶変数degに半回転に対応する180を加算する(ステップS36)。その結果、deg=180となる。
【0083】
図17を参照して、寸法測定システム10が位置P202に到達した状態(補助ケース22の一部が水平面3と接触する状態)において寸法表示領域111に表示される寸法hの値は、被測定物2の高さhを示す。このとき、|θ|=49であるとすると、被測定物2の高さhは、下記式:
h=160×3.14×(49+180−0)/360+160
により、h=480と求まる。以上により、被測定物2の鉛直方向の寸法hを測定することができた。
【0084】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る携帯端末1を説明する。本実施形態に係る携帯端末1は、表示部11(表示画面110)の傾斜角に基づいて測定処理の開始及び停止と入力部12の一時動作停止を自動的に行う機能が追加されている点が第1の実施形態に係る携帯端末1と異なる。本実施形態によれば、携帯端末1の操作が簡略化され、測定精度が向上する。
【0085】
図18は、表示画面110が表示する内容を示す。表示画面110は、寸法表示領域111と、基準寸法設定領域113と、設定ボタン115とを表示する。寸法表示領域111は、携帯端末1が測定した寸法を表示するための領域である。寸法はミリメートルの単位で表示される。基準寸法設定領域113は、測定処理に用いられる基準寸法を設定するための領域である。ユーザは、携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbを基準寸法として基準寸法設定領域113に設定する。携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbの単位はミリメートルである。尚、過去に設定された携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbが記憶部15に保持されている場合、基準寸法設定領域113は記憶装置15に保持されている携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbを初期値として表示してもよい。ユーザが設定ボタン115をタッチ又は押下すると、入力部12は設定ボタン115が操作されたことを処理部14に伝える。処理部14は、基準寸法設定領域113に設定された携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbを記憶部15に保存して保持する。
【0086】
図19を参照して、携帯端末1(表示画面110)の傾斜角(pitch)γを説明する。傾斜角γは、表示画面110の法線ベクトルNと水平面HPとの間の角度である。姿勢センサ13が検出する姿勢情報は、傾斜角γを含む。姿勢センサ13は回転角θ及び傾斜角γを検出して処理部14に出力する。
【0087】
図20を参照して、携帯端末1の姿勢と傾斜角γの関係を説明する。法線ベクトルNが水平になる姿勢を携帯端末1がとるとき、傾斜角γは0である。この姿勢から法線ベクトルNが上を向くように携帯端末1を傾斜させると傾斜角γが増加する。法線ベクトルNが鉛直上向きとなる姿勢を携帯端末1がとるとき、傾斜角γは+90である。法線ベクトルNが水平になる姿勢から法線ベクトルNが下を向くように携帯端末1を傾斜させると傾斜角γが減少する。法線ベクトルNが鉛直下向きとなる姿勢を携帯端末1がとるとき、傾斜角γは−90である。したがって、表示画面110が鉛直面に平行なとき傾斜角γは0であり、表示画面110が上向きのとき傾斜角γは正の値をとり、表示画面110が下向きのとき傾斜角γは負の値をとる。
【0088】
図21は、携帯端末1が実行する処理のフローチャートである。この処理はステップS41乃至48を含む。ステップS41において、ユーザが携帯端末1を起動すると、表示部11は、表示画面110に寸法表示領域111、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115を表示する。姿勢センサ13は、携帯端末1の姿勢情報をリアルタイムで検出し、処理部14に出力することを開始する。ステップS42において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる傾斜角γを監視し、傾斜角γの大きさ|γ|が第1基準角度より小さいか否かを判定する。例えば、|γ|<15である場合(ステップS42においてYES)、ステップS43に移る。|γ|<15でない場合(ステップS42においてNO)、再びステップS42を実行する。
【0089】
ステップS43において、処理部14は、入力部12からの入力・指示をすべて破棄する入力部ロックを実施する。すなわち、処理部14は、入力部12の動作を停止する。ステップS44において、携帯端末1は、上記ステップS20の測定処理を開始する。測定処理及び入力部ロックは、別々のスレッドで並行して実施される。ステップS45において、処理部14は、姿勢センサ13から得られる傾斜角γを監視し、傾斜角γの大きさ|γ|が第2基準角度より大きいか否かを判定する。第2基準角度は第1基準角度より大きい。例えば、|γ|>30である場合(ステップS45においてYES)、ステップS46に移る。|γ|>30でない場合(ステップS45においてNO)、再びステップS45を実行する。
【0090】
ステップS46において、携帯端末1は測定処理を停止する。ステップS47において、表示部11は、寸法表示領域111に表示中の寸法hの値を固定して保持する。すなわち、測定処理が開始されてから傾斜角γの大きさ|γ|が第2基準角度より大きくなるまで(ステップS44からステップS46まで)、回転角θの変化に基づいて表示画面110の寸法表示領域111に表示される寸法hの値が変化するが、傾斜角γの大きさ|γ|が第2基準角度より大きくなると、表示部11は寸法表示領域111に表示中の寸法hの値を固定して保持する(測定処理を停止したときに寸法表示領域111に表示されている寸法hの値を表示し続ける)。ステップS48において、処理部14は、ステップS43で開始した入力部ロックを解除し、入力部12からの入力・指示の受付を再開する。
【0091】
以下、本実施形態に係る携帯端末1を用いた寸法測定方法を具体的に説明する。
【0092】
(基準寸法の設定)
第1の実施形態と同様に基準寸法の設定(初期設定)が実行される。ただし、本実施形態では測定開始ボタン112が表示画面110に表示されない。
【0093】
(測定処理)
図12、18、21を参照して、携帯端末1を用いて被測定物の寸法hを測定する測定処理を説明する。ここでは、携帯端末1の縦方向の長さaが120mm、携帯端末1の横方向の長さbが60mm、寸法hが被測定物2の高さである場合を例として用いる。被測定物2の高さは240mmであるとする。携帯端末1の縦方向の長さa及び横方向の長さbは、既に基準寸法a及びbとして記憶部15に設定されているものとする。
【0094】
図12を参照して、ユーザは、被測定物2の測定対象となる辺が鉛直になるように被測定物2を水平表面3の上に設置する。水平表面3は、地面、床面、テーブルの上面などである。
【0095】
ユーザが携帯端末1を手に持ち、傾斜角γが50度の状態で携帯端末1を起動すると、表示部11の表示画面110に寸法表示領域111、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115が表示される(ステップS41)。ここで、処理部14は記憶部15から基準寸法a及びbを読み出し、これらが初期値として基準寸法設定領域113に表示される。姿勢センサ13は、携帯端末1の姿勢情報をリアルタイムで検出し、処理部14に出力することを開始する。
【0096】
図12を参照して、次に、ユーザは携帯端末1を位置P101(すなわち、被測定物2の測定対象となる辺の上端部に携帯端末1の縦辺1aをあわせた状態)に向かって動かす。すると、携帯端末1の傾斜角γが小さくなる。傾斜角γが15より小さくなると(ステップS42においてYES)、処理部14は入力部12からの入力・指示をすべて破棄する入力部ロックを実施し(ステップS43)、携帯端末1は上記ステップS20の測定処理を開始する(ステップS44)。測定処理及び入力部ロックは、別々のスレッドで並行して実施される。
【0097】
処理部14は、記憶部15から基準寸法a及びbを読み込む(ステップS21)。すなわち、携帯端末1の縦方向の長さa(=120)及び横方向の長さb(=60)が読み込まれる。
【0098】
処理部14は、被測定物2の寸法hを計算するために利用する一時記憶変数zの値を0にリセットする(ステップS22)。
【0099】
処理部14は、姿勢センサ13から得られる回転角θに基づいて携帯端末1の現在の姿勢を判定する(ステップS23〜S25)。携帯端末1を図12に示す位置P101で保持した状態(被測定物2の測定対象となる辺の上端部に携帯端末1の縦辺1aをあわせた状態)で測定処理が開始されたため、姿勢センサ13から得られる回転角θは0である。したがって、ステップS26に進む(ステップS23においてYES)。
【0100】
処理部14は、ステップS22において0に設定された一時記憶変数zに基準寸法aを加算する(ステップS261)。その結果、z=120となる。
【0101】
処理部14は、下記式:
h=z+b|sinθ|
に基づいて被測定物2の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する(S262)。測定処理が開始された直後はθ=0なので、h=zである。したがって、寸法表示領域111に「120」が表示される。
【0102】
図12を参照して、ユーザは、携帯端末1を回転させながら被測定物2の測定対象となる辺に沿って位置P102に向かって移動する。ユーザは、携帯端末1が被測定物2に対してすべらないように携帯端末1を被測定物2に沿って転がす。このとき、姿勢センサ13から得られる回転角θの大きさ|θ|が増加し、これに伴いステップS262で表示される寸法hの値も増加する(ステップS262、ステップS263においてNO)。
【0103】
携帯端末1が位置P102に到達すると、|θ|=90となる。すると、処理部14は、携帯端末1の回転が1/4回転を超えたと判定し、ステップS27に移る(ステップS263においてYES)。
【0104】
処理部14は、ステップS261において設定された一時記憶変数zに基準寸法bを加算する(ステップS271)。その結果、z=180となる。
【0105】
処理部14は、下記式:
h=z+a×sin(|θ|−90)
に基づいて被測定物2の寸法hを計算し、表示部11は計算結果を寸法表示領域111に表示する(ステップS272)。位置P102では、|θ|=90なので、h=zである。したがって、寸法表示領域111に「180」が表示される。
【0106】
図12を参照して、ユーザは、位置P102から水平面3に向かって(すなわち位置P103に向かって)携帯端末1を回転させながら被測定物2の測定対象となる辺に沿って移動する。このとき、姿勢センサ13から得られる回転角θの大きさ|θ|が増加し、これに伴いステップS272で表示される寸法hの値も増加する(ステップS272、ステップS273においてNO)。
【0107】
図12を参照して、携帯端末1が位置P103に到達した状態(携帯端末1の一部が水平面3と接触する状態)において寸法表示領域111に表示される寸法hの値は、被測定物2の高さhを示す。このとき、|θ|=120であるとすると、被測定物2の高さhは、下記式:
h=180+120×sin(120−90)
により、h=240と求まる。
【0108】
携帯端末1が位置P101から位置P103に到達するまで、表示画面110が鉛直面に平行に保たれたまま(法線ベクトルNが水平に保たれたまま)であるから、携帯端末1が位置P103に到達したとき、傾斜角γは0である。ユーザは、表示画面110が上を向くように(法線ベクトルNが上を向くように)携帯端末1を傾ける。このとき、姿勢センサ13から得られる傾斜角γの値が増加する。
【0109】
傾斜角γが30より大きくなると処理部14は表示画面110が水平に近くなったと判定し(ステップS45においてYES)、携帯端末1は測定処理を停止し(ステップS46)、表示部11は寸法表示領域111に表示中の寸法hの値を固定して保持する(ステップS47)。処理部14は、入力部ロックを解除し、入力部12からの入力・指示の受付を再開する(ステップS48)。
【0110】
以上説明したとおり、測定開始ボタンを押下することなく、被測定物2の寸法hを求めることができた。
【0111】
以上、携帯端末1を起動すると表示部11の表示画面110に寸法表示領域111、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115が表示される場合を説明したが、上記コンピュータプログラムをアプリケーションソフトウエアとして実装し、アプリケーションソフトウエアを起動することで表示部11の表示画面110に寸法表示領域111、基準寸法設定領域113、及び設定ボタン115が表示されるようにしてもよい。
【0112】
上記実施の形態では被測定物2の鉛直方向の寸法hを測定する場合を説明したが、携帯端末1又は寸法測定システム10を用いて被測定物2の水平方向の寸法を測定してもよい。
【0113】
図22を参照して、被測定物2の水平方向の寸法Lを測定する場合、被測定物2に板4をあてがうことが好ましい。
【0114】
上記各実施形態は、貨物運送事業者等が提供する宅配サービスの輸送費計算などに適用できる。また、インターネットオークションや、エレクトリックコマース(EC)における出品手続きの容易化にも適用できる。
【0115】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。上記実施形態を相互に組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0116】
10…寸法測定システム
1…携帯端末
1a…縦辺
1b…横辺
11…表示部
110…表示画面
110a…縦辺
110b…横辺
111…寸法表示領域
112…測定開始ボタン
113…基準寸法設定領域
115…設定ボタン
12…入力部
13…姿勢センサ
14…処理部
15…記憶部
21、22…補助ケース
21a…縦辺
21b…横辺
2…被測定物
3…水平表面
4…板
P101〜P103、P201〜P202…位置
N…法線ベクトル
X…縦ベクトル
Y…横ベクトル
V…鉛直上向きベクトル
HP…水平面
a、b、c…基準寸法
θ…回転角
γ…傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本携帯端末の姿勢情報を検出する姿勢センサと、
基準寸法を保持する記憶部と、
前記姿勢情報及び前記基準寸法に基づいて被測定物の寸法を計算する処理部と、
前記寸法を表示画面に表示する表示部と
を具備する
携帯端末。
【請求項2】
請求項1の携帯端末であって、
前記姿勢情報は、本携帯端末の回転角を含み、
前記表示画面の法線を水平にした状態で本携帯端末を前記法線に垂直な面内で回転させたときに前記回転角が変化し、
前記処理部は、前記回転角及び前記基準寸法に基づいて前記寸法を計算する
携帯端末。
【請求項3】
請求項2の携帯端末であって、
前記姿勢情報は、本携帯端末の傾斜角を含み、
前記傾斜角は、前記法線と水平面との間の角度であり、
前記処理部は、前記傾斜角の大きさが第1基準角度より小さくなると前記寸法の測定処理を開始し、
前記測定処理は、前記回転角及び前記基準寸法に基づいて前記寸法を計算することを含む
携帯端末。
【請求項4】
請求項3の携帯端末であって、
前記測定処理が開始されてから前記傾斜角の大きさが前記第1基準角度より大きい第2基準角度より大きくなるまで、前記回転角の変化に基づいて前記表示画面に表示される前記寸法の値が変化し、
前記傾斜角の大きさが前記第2基準角度より大きくなると、前記表示部は表示中の前記寸法の値を固定して保持する
携帯端末。
【請求項5】
請求項2の携帯端末であって、
ユーザが本携帯端末を操作するための入力部を更に具備し、
前記姿勢情報は、本携帯端末の傾斜角を含み、
前記傾斜角は、前記法線と水平面との間の角度であり、
前記処理部は、前記傾斜角の大きさが第1基準角度より小さくなると前記入力部の動作を停止する
携帯端末。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかに記載の携帯端末であって、
前記基準寸法は、
本携帯端末の縦方向の長さと、
本携帯端末の横方向の長さと
を含み、
前記縦方向、前記横方向、及び前記法線は互いに垂直である
携帯端末。
【請求項7】
請求項2乃至5のいずれかに記載の携帯端末と、
矩形ケースと
を具備し、
前記基準寸法は、
前記矩形ケースの縦方向の長さと、
前記矩形ケースの横方向の長さと
を含み、
前記矩形ケースは、前記縦方向、前記横方向、及び前記法線が互いに垂直になるように前記携帯端末を格納する
寸法測定システム。
【請求項8】
請求項2乃至5のいずれかに記載の携帯端末と、
円形ケースと
を具備し、
前記基準寸法は、前記円形ケースの直径を含み、
前記円形ケースは、前記直径の方向が前記法線に垂直になるように前記携帯端末を格納する
寸法測定システム。
【請求項9】
携帯端末を回転させながら被測定物に沿って移動することと、
前記携帯端末の姿勢情報を検出することと、
前記姿勢情報及び基準寸法に基づいて前記被測定物の寸法を計算することと、
前記寸法を表示することと
を具備する
寸法測定方法。
【請求項10】
携帯端末が備える姿勢センサが検出する前記携帯端末の姿勢情報及び前記携帯端末の記憶部に保持された基準寸法に基づいて被測定物の寸法を計算することと、
前記携帯端末の表示部に前記寸法を表示することと
を前記携帯端末に実行させる
寸法測定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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