説明

対象物観望システムおよび対象物観望方法

【課題】高倍率の天体望遠鏡は一般的に視野範囲が狭くなるために、その視野範囲に対象物を直ちに捉えることは困難であり、時には対象物を視野範囲に捉えるまでに相当の時間を要することさえある。
【解決手段】観望対象物の方向と観望者の位置情報を、ネットワークを介してコントローラCNT1からコントローラCNT2に送信する。コントローラCNT2はネットワークを介して受け取った観望対象物の方向と観望者の位置情報に基づいてアクチュエータを駆動し、望遠鏡TSPの方向を観望対象物の方向に向け、観望対象物を望遠鏡TSPの視野範囲内に捉える。そして、望遠鏡TSPは捉えた観望対象物の画像を記録しコントローラCNT2に送る。コントローラCNT2は、記録された観望対象物の画像をネットワークを介してコントローラCNT1に送信する。コントローラCNT1はネットワークを介して観望対象物の画像を受け取り、表示部に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を観望装置で観望する場合における観望システムおよび観望方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、双眼鏡や望遠鏡などといった所定の倍率を有する観望装置を用いて、天体を眺めたり地形を眺めたりするなど、種々の対象物を観望して楽しむことが行われている。そして、このような観望において、観望者が眺める対象物についての名前や情報を観望者が視認できるように表示して、対象物に関する情報を観望者に与える工夫も行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−344922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば天体の観望において、眺めた対象物(例えば火星や月など)について、その対象物をもっと大きくして見たいとか、その対象物の特定部分をもっと詳しく見てみたいという要望が観望者に生ずる場合がある。このような場合、通常、観望者は高倍率の天体望遠鏡などを用いて対象物を眺めたりすることになるが、例えば高倍率の天体望遠鏡は一般的に視野範囲が狭くなるために、その視野範囲に対象物を直ちに捉えることは困難であり、時には対象物を視野範囲に捉えるまでに相当の時間を要することさえある。
【0005】
あるいは、逆に、視野範囲が狭い高倍率の天体望遠鏡で対象物を眺める場合、眺めている対象物とは異なる別の対象物を次に眺めようとするとき、その別の対象物が天体望遠鏡の視野範囲に存在していないために、どの方向に天体望遠鏡を向ければよいかが不明な場合がある。このような場合、一旦天体望遠鏡で眺めるのを止めて、肉眼や低倍率の望遠鏡などによって眺めることによって広い視野範囲で別の対象物の位置を探すことになる。このとき、視野範囲が変わったために、いままで眺めていた対象物の位置がその視野範囲内において解らなくなってしまうことが起こり得る。このような場合は、別の対象物との位置関係が不明なため、結局天体望遠鏡をどの方向に向けたらよいのか解らないままとなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決することを目的になされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]対象物を、所定の倍率で観望するための第1の観望装置と、当該所定の倍率と異なる倍率で観望するための第2の観望装置とからなる対象物観望システムであって、前記第1の観望装置は、前記第1の観望装置の位置を特定する第1の装置位置特定部と、前記第1の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を特定する観望方向特定部と、前記第1の観望装置の位置と前記観望方向特定部が特定した観望方向とを、観望特定情報として前記第2の観望装置へ送信する送信部と、を備え、前記第2の観望装置は、前記第1の観望装置が送信した前記観望特定情報を受信する受信部と、前記第2の観望装置の位置を特定する第2の装置位置特定部と、前記受信した観望特定情報と、前記特定された第2の観望装置の位置とから、前記第2の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を算出する観望方向算出部と、前記観望方向算出部が算出した観望方向に、前記第2の観望装置の観望方向を一致させるべく駆動する駆動部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このようなシステムによれば、第1の観望装置が特定した方向に存在する対象物の方向に、第2の観望装置の方向を合わせることができる。従って、観望者は、第1の観望装置で眺めた対象物を、第2の観望装置で直ちに異なる倍率で眺めることができる。この結果、倍率が異なる観望装置であっても、視野範囲に対象物を直ちに捉えることが容易であり、対象物を眺めるまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【0009】
[適用例2]上記対象物観望システムであって、前記第2の観望装置は、前記対象物の観望画像を記録する記録部と、前記記録した観望画像を前記第1の観望装置に送信する画像送信部と、を備え、前記第1の観望装置は、前記送信された観望画像を受信する画像受信部と、前記受信した観望画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0010】
こうすれば、第2の観望装置が捉える視野範囲となる対象物を画像として記録し、記録した画像を第1の観望装置に表示する。従って、第1の観望装置によって対象物を眺めながら、同時に大きさの異なる対象物を眺めることができる。この結果、観望者は、第2の観望装置を覗くことなく対象物を異なる倍率で眺めることができる。
【0011】
[適用例3]上記対象物観望システムであって、前記送信部は前記観望特定情報を前記受信部に、前記画像送信部は前記観望画像を前記画像受信部に、それぞれ所定のネットワークを介して送信することを特徴とする。
【0012】
こうすれば、第2の観望装置が、観望者から遠くに存在している場合であっても、第1の観望装置が捉える対象物の方向に第2の観望装置の向きを合わせることができる。また、第2の観望装置が捉えた対象物の画像を、第1の観望装置に送信できるので、観望者は対象物を眺めながら、第1の観望装置によって同時に大きさの異なる対象物を眺めることができる。
【0013】
[適用例4]上記対象物観望システムであって、前記第2の観望装置は、前記第1の観望装置よりも高い倍率で観望する装置であることを特徴とする。
【0014】
こうすれば、第2の観望装置が捉える対象物は、第1の観望装置が捉える対象物の大きさよりも大きくなる。従って、大きくなった対象物を視野範囲に直ちに捉えることができるので、例えば大きくした対象物をすぐに見たいという観望者の要望を容易に実現することができる。
【0015】
[適用例5]上記対象物観望システムであって、前記第1の観望装置は、当該観望装置を使用する使用者の頭部に装着することができるヘッドマウント装置であることを特徴とする。
【0016】
こうすれば、第1の観望装置の向きは、観望者の頭の向きと同じになる。ところで、観望者の観望方向は、斜視する場合を除けば、視線は頭の向きとおおよそ一致する。従って、頭の向きによって観望者が眺めている対象物の方向を特定することができる。
【0017】
[適用例6]上記対象物観望システムであって、前記第2の観望装置は、天体望遠鏡であることを特徴とする。
【0018】
天体望遠鏡は、相当に高倍率(例えば肉眼の数百倍)を有する観望装置であることから、特定の天体を詳細に観賞するには好適な装置である。
【0019】
[適用例7]対象物を、所定の倍率を有する第1の観望装置と、当該所定の倍率と異なる倍率を有する第2の観望装置とによって観望する対象物観望方法であって、前記第1の観望装置の位置を特定する第1の装置位置特定工程と、前記第1の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を特定する観望方向特定工程と、前記第1の観望装置の位置と前記観望方向特定工程で特定した観望方向とを、観望特定情報として前記第2の観望装置へ送信する送信工程と、前記送信工程で送信した前記観望特定情報を、前記第2の観望装置が受信する受信工程と、前記第2の観望装置の位置を特定する第2の装置位置特定工程と、前記受信した観望特定情報と、前記特定された第2の観望装置の位置とから、前記第2の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を算出する観望方向算出工程と、前記観望方向算出工程で算出した観望方向に、前記第2の観望装置の観望方向を一致させるべく駆動する駆動工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
このような観望方法によれば、第1の観望装置が特定した方向に存在する対象物の方向に、第2の観望装置の方向を合わせることができる。従って、観望者は、第1の観望装置で眺めた対象物を、第2の観望装置で直ちに異なる倍率で眺めることができる。この結果、倍率が異なる観望装置であっても、視野範囲に対象物を直ちに捉えることが容易であり、対象物を眺めるまでに要する時間を短縮することが可能となる。
【0021】
[適用例8]上記対象物観望方法であって、前記第2の観望装置による前記対象物の観望画像を記録する記録工程と、前記記録した観望画像を前記第1の観望装置に送信する画像送信工程と、前記送信された観望画像を前記第1の観望装置において受信する画像受信工程と、前記受信した観望画像を前記第1の観望装置において表示する表示工程と、を備えることを特徴とする。
【0022】
こうすれば、第2の観望装置が捉える視野範囲となる対象物を画像として記録し、記録した画像を第1の観望装置に表示する。従って、第1の観望装置によって対象物を眺めながら、同時に大きさの異なる対象物を眺めることができる。この結果、観望者は、第2の観望装置を覗くことなく対象物を異なる倍率で眺めることができる。
【0023】
[適用例9]上記対象物観望方法であって、前記送信工程は前記観望特定情報を前記第2の観望装置に、前記画像送信工程は前記観望画像を前記第1の観望装置に、それぞれ所定のネットワークを介して送信することを特徴とする。
【0024】
こうすれば、第2の観望装置が、観望者から遠くに存在している場合であっても、第1の観望装置が捉える対象物の方向に第2の観望装置の向きを合わせることができる。また、第2の観望装置が捉えた対象物の画像を、第1の観望装置に送信できるので、観望者は対象物を眺めながら、第1の観望装置によって同時に大きさの異なる対象物を眺めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。図1は、本発明を具現化した一実施例となる対象物観望システムの概要を説明する説明図である。本実施例は、第1の観望装置としての観望装置KST1と、第2の観望装置としての観望装置KST2との、2つの観望装置からなるシステムである。
【0026】
観望装置KST1は、観望者の頭部に装着可能なヘッドマウント装置HMD(以降、単に「HMD」)と、HMDとの間でデータをやり取りするコントローラCNT1(以降、単に「CNT1」)とから構成されている。本実施例では、HMDとCNT1とは別体に形成され、互いに結線部材で結線されている。もとより、これらは一体に形成されることとしても差し支えない。
【0027】
HMDには、HMDの位置や方向を検出する受信機やセンサー(後述する)が収納されたセンサーボックスSB(以降、単に「SB」)が設けられている。また、HMDには、液晶パネルなどの表示部が格納されている。表示部に表示された画像は、説明は省略するが、図示しないレンズ等を用いた光学的な補正によって、あたかも観望者の視界前方であって所定の距離を隔てた位置に所定の大きさを有して現れるスクリーンに表示されるように構成されている。
【0028】
観望装置KST2は、観望対象物を高倍率で視野範囲に捉える望遠鏡(例えば天体望遠鏡)TSP(以降、単に「TSP」)と、TSPとの間でデータをやり取りするコントローラCNT2(以降、単に「CNT2」)とから構成されている。本実施例では、CNT2はTSPとは別体に形成され、互いに結線部材(不図示)で結線されている。もとより、これらは一体に形成されることとしても差し支えない。
【0029】
TSPは、図示するようにその鏡筒を鉛直方向と水平方向に回動させるアクチュエータを備え、鏡筒を回動させることによってTSPの観望方向を変更できるように構成されている。また、TSPは、視野範囲に捉えた観望対象物の画像を記録する記録部を備えている。
【0030】
CNT1およびCNT2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネット(INT)などの所定のネットワークに、無線または有線にて接続が可能であり、そのネットワークを介してCNT1とCNT2との間でデータの授受ができるように構成されている。
【0031】
このように構成された本実施例の対象物観望システムは、観望者が眺めている観望対象物について、その高倍率の画像をスクリーンに表示させるものである。すなわち、観望者が眺めている観望対象物の方向と観望者の位置情報を、ネットワークを介してCNT1からCNT2に送信する。CNT2はネットワークを介して受け取った観望対象物の方向と観望者の位置情報に基づいてアクチュエータを駆動し、TSPの方向を観望対象物の方向に向け、観望対象物をTSPの視野範囲内に捉える。そして、TSPは捉えた観望対象物の画像を記録しCNT2に送る。CNT2は、記録された観望対象物の画像をネットワークを介してCNT1に送信する。CNT1はネットワークを介して観望対象物の画像を受け取り、HMDの表示部に受け取った画像を表示させるのである。
【0032】
この結果、観望者は眺めている観望対象物について、TSPが捉えた観望対象物の画像、つまり観望対象物の拡大画像をスクリーンにて眺めることができる。このように、本実施例の対象物観望システムは、第1の観望装置によって対象物を眺めながら、第2の観望装置を覗くことなく、大きく拡大されたその対象物を眺めることができるシステムである。従って、本実施例のシステムによれば、TSPが捉えている生の画像をHMDを装着したままで眺めることができるという効果も奏する。
【0033】
次に、本実施例の対象物観望システムを構成する観望装置KST1と観望装置KST2とについて、それぞれの装置のハード構成を、図2を用いて説明する。図2は、観望装置KST1および観望装置KST2について、それぞれの構成要素を示したブロック図である。なお各構成要素は、観望装置KST1および観望装置KST2において、それぞれバスラインによって互いに接続されている。
【0034】
まず、観望装置KST1について説明する。観望装置KST1は前述したように、HMDとCNT1とから構成されている。本実施例では、図1に示すように、これらは結線部材で結線され、互いに必要なデータが有線によってやり取りされる。もとより、無線によってデータがやり取りさせるように構成されていても差し支えない。
【0035】
HMDには、設けられたSB内にGPS(Global Positioning System )受信機121、方位センサー122、重力センサー123が格納されている。GPS受信機121は、周知のように複数のGPS衛星から送信される電波を受信して、現在の受信位置を経度と緯度および高度を位置データとして出力する。従って、観望装置KST1に組み込まれたGPS受信機121は、観望装置KST1の現在位置を示すことになる。方位センサー122は、本実施例では磁気センサーであり、地磁気の向きを検出して観望装置KST1の観望方向を方位データとして出力する。もとより、方位が測定できるセンサーであれば地磁気センサー以外に他のセンサーを用いても良い。また、重力センサー123は、重力方向を基準とした角度データを出力する。
【0036】
本実施例では、観望者は観望対象物を拡大率1倍で、つまり肉眼で眺めるように構成されている。従って、観望者の観望方向は、視野範囲の中心位置、つまり正視方向であり、方位センサー122は、この正視方向を示す方位データを出力する。また重力センサー123は、重力方向と正視方向とがなす角度を示す角度データを出力する。こうして、HMDからは、方位データと角度データとが方向データとして出力される。
【0037】
また、HMDには表示部15が格納されている。前述するように本実施例では表示部15は液晶パネルが用いられ、観望対象物などの画像を表示しない状態では、透過状態となっており、観望者は液晶パネルを透して、天体や風景といった観望対象物を眺めることができるように構成されている。
【0038】
CNT1には、観望装置KST1における種々のデータ処理を司るCPU101と、CPU101が行う処理手順を記憶したり、CPU101が行う処理に際してワーキングメモリとして機能したりするメモリ102が具備されている。そして、CPU101は、メモリ102に定められた処理手順に従って動作し、GPS受信機121が出力する位置データから観望装置KST1の位置を特定する装置位置特定部11として、また、方位センサー122および重力センサー123が出力する方向データから観望者の観望方向を特定する観望方向特定部12としても機能する。
【0039】
さらに、CNT1には、送信部13と、画像受信部14とが形成されている。送信部13は特定された観望装置KST1の位置を示す位置データ、およびHMDを装着した観望者の観望方向を示す方向データを、所定のデータ形式に変換してネットワークを介して観望装置KST2に送信する。一方、画像受信部14は、後述する記録部26が記録し、観望装置KST2からネットワークを介して所定のデータ形成で送信される画像データを受信する。そして受信された画像データは、HMDに送られて表示部15に表示される。
【0040】
次に、観望装置KST2について説明する。観望装置KST2は前述したように、TSPとCNT2とから構成されている。本実施例では、これらは結線部材で結線され、互いに必要なデータが有線でやり取りされるように構成されているものとする。もとより、無線を用いてデータがやり取りさせるように構成されていても差し支えない。
【0041】
CNT2には、CNT1と同様に、GPS(Global Positioning System )受信機221、方位センサー222、重力センサー223が格納されている。そして、前述したように、GPS受信機221は位置データを、また方位センサー222は東西南北の方向を示す方位データを、重力センサー223は、重力方向を基準とした角度データをそれぞれ出力する。
【0042】
またCNT2には、観望装置KST2における種々のデータ処理を司るCPU201と、CPU201が行う処理手順を記憶したり、CPU201が行う処理に際してワーキングメモリとして機能したりするメモリ202が具備されている。そして、CPU201は、メモリ202に定められた処理手順に従って動作し、GPS受信機221が出力する位置データから観望装置KST2の位置を特定する装置位置特定部21として機能する。
【0043】
また、CNT2には受信部23が形成されている。受信部23は、所定のデータ形式でネットワークを介して送信された観望装置KST1の位置を示す位置データ、およびHMDを装着した観望者の観望方向を示す方向データを、観望装置KST1から受信する。また、観望装置KST1から送信される位置データおよび方向データと、GPS受信機221、方位センサー222、重力センサー223の出力データとから、TSPの観望方向を算出する観望方向算出部22として機能する。
【0044】
さらに、CNT2は駆動部25を備え、TSPに設けられたアクチュエータに対して、算出された観望方向にTSPの鏡筒方向を回動するための駆動データを出力する。TSPでは、CNT2から出力された駆動データに応じてアクチュエータが作動し、鏡筒が回動してTSPの観望方向を観望対象物の方向に向ける。
【0045】
TSPには、視野範囲に捉えた観望対象物の画像を記録する記録部26が格納されている。本実施例では、記録部26は観望対象物の画像を電気信号からなる画像データとして取り込む撮像装置(例えば、CCD(Charge Coupled Device )を用いた撮像装置)であるものとする。そして、この撮像装置に取り込まれた観望対象物の画像データは、必要に応じて図示しないインターフィスを介して、CNT2内のメモリ202に結線部材を通して送られて記録される。
【0046】
また、CNT2には、画像送信部24が形成されている。画像送信部24は、メモリ202に記録された画像データを、所定のデータ形式に変換してネットワークを介して観望装置KST1に送信する。
【0047】
さて、このように機能構成されたそれぞれの観望装置KST1および観望装置KST2が、本実施例の対象物観望システムとして動作するときの処理手順について、図3のフローチャートを用いて説明する。なお、図3(a)は観望装置KST1側での処理を、図3(b)は観望装置KST2側での処理を示している。
【0048】
この処理が開始されると、まず観望装置KST1側において、観望対象物の拡大画像を取得するか否かを判定処理する(ステップS11)。ここでは、図1においてHMDに設けられた図示しない操作ボタンが押されたか否かによって判定処理する。つまり、観望者は、操作ボタンを押すことによって、操作ボタンを押したときに眺めていた観望対象物について、その大きな拡大画像を要望する識別データを、観望装置KST1に対して入力するのである。もとより、本実施例では観望者の正視方向に存在する対象物が観望対象物である。
【0049】
そして、CPU101は操作ボタンが押されていない場合は(ステップS11:NO)、繰り返してステップS11の処理を行い、操作ボタンが押されたと判定すると(ステップS11:YES)、ステップS12にてHMDの位置を特定する処理を行う。前述したように、CPU101は、操作ボタンが押されたときGPS受信機121が受信した位置データを取得し、取得したデータをHMDの位置データとして特定する。
【0050】
次いでステップS13にて、眺めていた観望対象物の方向を特定する処理を行う。前述したように、CPU101は、操作ボタンが押されたときの方位データと角度データとを方位センサー122と重力センサー123とからそれぞれ取得して、取得したデータをHMDの方向データとして特定する。
【0051】
次にステップS14にて、HMDの位置データと対象物の方向データとを送信する処理を行う。CPU101は、送信部13を制御し、前述するようにこれらのデータをネットワークが受け付ける所定のデータ形式に変換して、観望装置KST2側にネットワークを介して送信する。続いて、観望装置KST2側における処理を説明する。
【0052】
観望装置KST2では、まずステップS21にて、観望装置KST1からの送信データを受信する処理を行う。本実施例では、CPU201は、送信データが送られる都度、送信データが受信できるように受信部23を制御する。従って、送信データの受信とともに、観望装置KST2での処理が開始される。
【0053】
次に、ステップS22にてTSPの位置を特定する処理を行う。前述したように、CPU201は、CNT2に設けられたGPS受信機221が受信した位置データを取得し、取得したデータからTSPの位置データを特定する。もとより、CNT2がTSPと同じ位置に設けられている場合は、取得した位置データが、そのままTSPの位置データとなる。
【0054】
次に、ステップS23にてTSPの鏡筒の向きを検出する処理を行う。CPU201は、方位センサー222と重力センサー223とからそれぞれ方位データと角度データとを取得し、取得したデータを、TSPの鏡筒が現在向いている方向を示す方向データとして検出する。
【0055】
次に、ステップS24にて観望者が眺めていた観望対象物の方向データを算出する処理を行う。CPU201は、ネットワークを介して受信したHMDの位置データと観望対象物の方向データと、上記ステップS23にて検出した方向データとから、観望対象物の方向データすなわちTSPの鏡筒について、動かすべき鉛直方向の角度データと水平方向の角度データとを示す駆動データを算出する。
【0056】
ここで、ステップS24における処理について、図4を用いて補足説明する。図4は、観望対象物OJT1が地球から相当に遠方(無限遠)に存在するものとし、算出される駆動データのうち、一例として鉛直方向に動かすべき角度データを算出する処理を説明するための模式図である。図示するように、地球上におけるHMDの位置において観望者は観望対象物OJT1を眺めているとすると、重力方向を基準とする角度データとして「D1」が送信される。一方、TSPの地球上の位置が図示したような位置であり、同じく現在のTSPの観望方向が図示するような向きであったとすると、重力センサー223は、重力方向を基準とする角度データ「DA2」を出力する。
【0057】
CPU201は、HMDの位置データとTSPの位置データとから、それぞれの位置の緯度差を示す角度データθを算出し、角度データ「D1」と角度データ「θ」を合算した角度データ「D2」を求める。角度データ「D2」は、重力方向を基準(ゼロ度)として、TSPの鏡筒を向けるべき鉛直方向の角度を示すことになる。そして、角度データ「D2」から角度データ「DA2」を減算して、現在のTSPの鏡筒位置を基準にTSPの鏡筒を動かすべき鉛直方向の角度分を示す角度データ「DB2」を算出するのである。
【0058】
なお、説明は省略するが、水平方向についても、CPU201は、HMDの位置データとTSPの位置データ、およびそれぞれの位置の経度を示すデータとから、鉛直方向と同様に、動かすべき水平方向の角度データを算出する。
【0059】
図3に戻り、続くステップS25にて、TSPを駆動処理する。CPU201は、駆動部25を制御して、算出された角度データに応じた駆動信号をアクチュエータに出力する。アクチュエータは、出力された駆動信号に基づいて、鉛直方向と水平方向にそれぞれ所定の角度分、鏡筒を回動する。この結果、観望者が要望した観望対象物をTSPの視野範囲内に捉えることができるのである。
【0060】
そして、続くステップS26にて、TSPが捉えた画像を記録する処理を行う。CPU201は、TSPに設けられた記録部26としての撮像装置によって、捉えた対象物の画像を電気信号からなる画像データとして取り出し、メモリ202に記録する。
【0061】
次いで、ステップS27にて、記録した画像データをKST1へ送信する処理を行う。CPU201は、画像送信部24を制御し、画像データを所定のデータ形式に変換し、ネットワークを介して送信することによってKST1に画像データを送る。KST2側での処理は以上で終了する。もとより、再びKST1からの送信データを受信したら、ステップS21からステップS27までが繰り返して処理される。
【0062】
さて、続いて処理は観望装置KST1側に移り、ステップS15にて、観望装置KST2から送信された画像データを受信する処理を行う。CPU101は、画像受信部14を制御して画像データを受け取り、メモリ102に記録する。
【0063】
そして、続くステップS16にて、受け取った画像データを表示する処理を行う。CPU101は、画像データを表示用のデータに変換し、HMDに設けられた表示部15に画像を表示して、総ての処理を終了する。この結果、観望者は、要望する観望対象物の拡大画像を、前方に現れるスクリーン上に映し出された画像として眺めることができる。
【0064】
以上、本実施例の対象物観望システムによれば、観望者は、第1の観望装置によって対象物を眺めながら、同時に、その対象物を大きく拡大した画像を眺めることができる。この結果、観望者は、第2の観望装置を覗くことなく対象物を異なる倍率で眺めることができる。また、倍率が異なる観望装置であっても、視野範囲に対象物を素早く確実に捉えることが容易であり、観望者が対象物の拡大画像を眺めることができるまでに要する時間を短縮することも可能となる。
【0065】
以上、本発明の実施の形態について実施例により説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。以下、変形例をあげて説明する。
【0066】
(第1変形例)
上記実施例では、第1の観望装置となる観望装置KST1は、HMDで対象物を観望する装置であることとし、倍率が1倍つまり肉眼で対象物を眺めるものであるとして説明したが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、第1の観望装置KST1は、第2の観望装置KST2よりも低い倍率(例えば肉眼の8倍とか16倍)を有する双眼鏡あるいは単眼鏡であることとしてもよい。
【0067】
本変形例の一例を図5に示した。図示したように、第1の観望装置としての観望装置KST1aは、HMDに替わる双眼鏡と、コントローラCNT2とから構成されている。そして、双眼鏡にはセンサーボックスSBが固着され、双眼鏡のレンズの軸方向KH(図中、破線矢印)を、センサーボックスSBに格納されたGPS受信機と、方位センサーおよび重力センサーとを用いて検出する。
【0068】
こうすれば、双眼鏡のレンズの軸方向が、観望者が眺める観望対象物の方向であると考えてよいため、このレンズの軸方向と一致する方向つまり視野範囲の中心位置となる方向を、GPS受信機と方位センサーおよび重力センサーとを用いて検出することによって、観望対象物の方向を正しく検出することができるのである。
【0069】
(第2変形例)
また、上記実施例では、天体を観測する場合を想定し、観望対象物が相当に遠方に位置するものとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、双眼鏡を用いて山を眺める場合としてもよい。この場合、対象物は双眼鏡の位置から所定の距離離れたところに存在するため、第2の観望装置が向くべき観望方向を算出するためには、山までの距離を示す距離データが新たに必要となる。
【0070】
そこで、本変形例の双眼鏡には、双眼鏡の視野範囲の中心部分が捉えた対象物までの距離を測定する距離計を有しているものとする。この結果、測定された対処物までの距離によって、第2の観望装置について向けるべき方向を示す方向データが算出できる。これを、図6を用いて説明する。
【0071】
図6は、観望対象物OJT2が地球上の山などである場合を示し、このとき算出されるTSPの鏡筒を動かす駆動データのうち、一例として動かすべき鉛直方向の角度データがどのように算出されるのかを説明するための模式図である。なお説明の簡略化のため、双眼鏡の位置とTSPの位置は、地球上の同じ経度上に存在するものとする。
【0072】
図示するように、双眼鏡の位置から、観望者は対象物OJT2のうちの図中円で囲んだ部分の中央部OJT2fを眺めているとすると、まず、双眼鏡のセンサーボックスSBに格納された重力センサーによって、角度データ「G1」を検出する。次に、観望対象物の位置を特定するために必要となる双眼鏡から観望対象物までの距離DSTを検出する。ここでは、距離DSTは、双眼鏡の合焦距離によって得られるものとする。そして、角度データ「G1」の方向であって検出した距離DST分離れた位置を求める。この求めた位置が、観望対象物の中央部OJT2fの地球上の位置(緯度および高度)である。次に、TSPの位置データから、緯度データと高度データを取得し、観望対象物の緯度データと高度データとを比較して、本来TSPを向けるべき鉛直方向の角度データ「G2」を算出するのである。
【0073】
なお、ここでは説明は省略するが、双眼鏡とTSPの位置データにおいて、経度データが異なる場合は、経度データおよび方位データを用いて、TSPの鏡筒について動かすべき水平方向の角度データを、鉛直方向の角度データの算出と同様に算出することができることは勿論である。
【0074】
また、本変形例では、双眼鏡で眺める観望対象物と、TSPが捉えた観望対象物とは、双眼鏡の位置とTSPの位置とが違うために眺める方向が異なる場合が通常発生する。このような場合、ネットワークに対して複数のTSPを接続し、TSPが捉えた観望対象物の拡大画像のうち、眺める方向が最も近い拡大画像をスクリーンに表示するようにしてもよい。
【0075】
(その他の変形例)
上記実施例では、観望者が操作ボタンを操作したときに、正視方向に存在する対象物を観望対象物であることとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、図1において、スクリーンにクロスポイントを表示させ、このクロスポイントをHMDに設けた図示しない操作キーを用いて動かし、拡大画像を要望する対象物にクロスポイントを合わせた後に操作ボタンを操作することによって観望対象物を選択するようにしてもよい。こうすれば、観望者は、正視方向以外に存在する対象物を観望対象物として選択することができる。
【0076】
また、上記実施例および変形例では、観望装置KST2においてもGPS受信機や方位センサーおよび重力センサーを格納することとしたが、必ずしも格納しなくてもよいことは勿論である。例えば、観望装置KST2が容易に移動できないような装置(例えば「すばる望遠鏡」)であった場合は、予め観望装置KST2の設置位置が判明している場合が多く、このような場合はGPS受信機は不要であるため格納する必要がない。また、観望方向について基準となる方向が予め判明している場合は、方位や重力方向を検出する必要がないので、方位センサーや重力センサーを格納する必要もない。この結果、水平方向や鉛直方向について動かすべき角度データの算出処理に対する負荷が軽減されるほか、装置コストも軽減できる。
【0077】
また、上記実施例および変形例では、観望者が操作ボタンを操作したときに、観望対象物の拡大画像を表示することとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、SBに速度(もしくは加速度)を計測するセンサーを格納し、HMDの動きが、所定の時間、所定の閾値以内の動きを継続したことをセンサーが検出したときに拡大画像を表示することとしてもよい。こうすれば、観望者は、操作ボタンを操作することなく、観望方向を暫く固定させれば、自動的にスクリーンに表示される拡大画像を眺めることができる。
【0078】
また、上記実施例および変形例において、観望者が操作ボタンを操作しなくても、常に一定の時間間隔で観望対象物の拡大画像を表示することとしてもよい。こうすれば、観望者は、操作ボタンを操作することなく、一定の時間間隔で自動的にスクリーンに表示される拡大画像を眺めることができる。
【0079】
また、上記実施例および変形例では、第1の観望装置と第2の観望装置との間で、ネットワークを介して方向データや画像データをやり取りすることとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、有線もしくは無線で直接データをやり取りすることとしてもよい。2つの観望装置間の距離が比較的短い場合は、有線や無線で直接データをやり取りすることが可能である。この結果、方向データや画像データをネットワークに応じたデータ形式に変換する必要がない。
【0080】
また、上記実施例および変形例では、観望者は観望対象物の拡大画像をスクリーンに表示された画像で眺めることとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、HMDには表示部を設けず、観望者が直接天体望遠鏡を覗いて観望対象物を眺めることとしてもよい。この場合、観望者がHMDを頭部から外したときには、観望システムが働かないように制御することが好ましい。具体的には、HMDが装着されているときに頭部と接触するスイッチを設けて制御すればよい。こうすれば、HMDが動くことによって異なる観望対象物に天体望遠鏡が向いてしまうことが回避できる。
【0081】
また、上記実施例および変形例では、第1の観望装置の倍率の方が第2の観望装置の倍率よりも小さい倍率であることとしたが、逆に第1の観望装置の倍率の方が第2の観望装置の倍率よりも大きい倍率であることとしてもよい。こうすれば、例えばHMDに具備した高倍率の望遠鏡によって拡大された観望対象物を眺めながら、視界前方に表示されるスクリーン上ではその観望対象物の周辺の様子を眺めることができることになる。この結果、拡大された観望対象物の位置が、その周辺の視野範囲内においてどこに存在しているかが常に解るので、例えば別の対象物についてその拡大画像を眺めたい場合、HMDに具備した高倍率の望遠鏡によってどこを見たらよいかが容易に解るという効果を奏する。
【0082】
また、上記実施例および変形例では、HMDに具備した表示部によって視界前方にスクリーンを表示し、観望者は、このスクリーンに表示された画像で観望対象物の拡大画像を眺めることとしたが、これに限るものでないことは勿論である。例えば、HMDとは別体に表示部を設けることとしてもよい。こうすれば、HMDの大きさによって表示部の大きさが制約されることがないので、大きな表示部とすることができ、観望者はより大きな画面で、拡大画像を眺めることができる。また、HMDの重さを軽くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施例となる対象物観望システムの概要を説明する説明図。
【図2】観望装置KST1および観望装置KST2の構成要素を示すブロック図。
【図3】実施例における観望装置にて行われる処理を示すフローチャート。
【図4】実施例で、鉛直方向に動かすべき角度データの算出処理を説明する模式図。
【図5】第1変形例で、第1の観望装置を双眼鏡とした場合を例示した説明図。
【図6】第2変形例で、動かすべき鉛直方向の角度データの算出処理を説明する模式図。
【符号の説明】
【0084】
11…装置位置特定部、12…観望方向特定部、13…送信部、14…画像受信部、15…表示部、21…装置位置特定部、22…観望方向算出部、23…受信部、24…画像送信部、25…駆動部、26…記録部、101…CPU、102…メモリ、121…GPS受信機、122…方位センサー、123…重力センサー、201…CPU、202…メモリ、221…GPS受信機、222…方位センサー、223…重力センサー、HMD…ヘッドマウント装置、CNT1,CNT2…コントローラ、SB…センサーボックス、TSP…望遠鏡、KST1,KST1a,KST2…観望装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を、所定の倍率で観望するための第1の観望装置と、当該所定の倍率と異なる倍率で観望するための第2の観望装置とからなる対象物観望システムであって、
前記第1の観望装置は、
前記第1の観望装置の位置を特定する第1の装置位置特定部と、
前記第1の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を特定する観望方向特定部と、
前記第1の観望装置の位置と前記観望方向特定部が特定した観望方向とを、観望特定情報として前記第2の観望装置へ送信する送信部と、を備え、
前記第2の観望装置は、
前記第1の観望装置が送信した前記観望特定情報を受信する受信部と、
前記第2の観望装置の位置を特定する第2の装置位置特定部と、
前記受信した観望特定情報と、前記特定された第2の観望装置の位置とから、前記第2の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を算出する観望方向算出部と、
前記観望方向算出部が算出した観望方向に、前記第2の観望装置の観望方向を一致させるべく駆動する駆動部とを備えることを特徴とする対象物観望システム。
【請求項2】
請求項1に記載の対象物観望システムであって、
前記第2の観望装置は、
前記対象物の観望画像を記録する記録部と、
前記記録した観望画像を前記第1の観望装置に送信する画像送信部と、を備え、
前記第1の観望装置は、
前記送信された観望画像を受信する画像受信部と、
前記受信した観望画像を表示する表示部とを備えることを特徴とする対象物観望システム。
【請求項3】
請求項2に記載の対象物観望システムであって、
前記送信部は前記観望特定情報を前記受信部に、前記画像送信部は前記観望画像を前記画像受信部に、それぞれ所定のネットワークを介して送信することを特徴とする対象物観望システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の対象物観望システムであって、
前記第2の観望装置は、前記第1の観望装置よりも高い倍率で観望する装置であることを特徴とする対象物観望システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の対象物観望システムであって、
前記第1の観望装置は、当該観望装置を使用する使用者の頭部に装着することができるヘッドマウント装置であることを特徴とする対象物観望システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の対象物観望システムであって、
前記第2の観望装置は、天体望遠鏡であることを特徴とする対象物観望システム。
【請求項7】
対象物を、所定の倍率を有する第1の観望装置と、当該所定の倍率と異なる倍率を有する第2の観望装置とによって観望する対象物観望方法であって、
前記第1の観望装置の位置を特定する第1の装置位置特定工程と、
前記第1の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を特定する観望方向特定工程と、
前記第1の観望装置の位置と前記観望方向特定工程で特定した観望方向とを、観望特定情報として前記第2の観望装置へ送信する送信工程と、
前記送信工程で送信した前記観望特定情報を、前記第2の観望装置が受信する受信工程と、
前記第2の観望装置の位置を特定する第2の装置位置特定工程と、
前記受信した観望特定情報と、前記特定された第2の観望装置の位置とから、前記第2の観望装置を基準とする前記対象物の観望方向を算出する観望方向算出工程と、
前記観望方向算出工程で算出した観望方向に、前記第2の観望装置の観望方向を一致させるべく駆動する駆動工程とを備えることを特徴とする対象物観望方法。
【請求項8】
請求項7に記載の対象物観望方法であって、
前記第2の観望装置による前記対象物の観望画像を記録する記録工程と、
前記記録した観望画像を前記第1の観望装置に送信する画像送信工程と、
前記送信された観望画像を前記第1の観望装置において受信する画像受信工程と、
前記受信した観望画像を前記第1の観望装置において表示する表示工程と、
を備えることを特徴とする対象物観望方法。
【請求項9】
請求項8に記載の対象物観望方法であって、
前記送信工程は前記観望特定情報を前記第2の観望装置に、前記画像送信工程は前記観望画像を前記第1の観望装置に、それぞれ所定のネットワークを介して送信することを特徴とする対象物観望方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−20318(P2009−20318A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182888(P2007−182888)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】