説明

対面サービス提供システム、対面サービス提供方法、移動端末及び管理サーバ装置

【課題】設備機器や煩雑な処理を追加することなく、対面サービスの実施状況を収集し、簡易にマーケティング情報を取得する。
【解決手段】 対面サービスを提供するためのアプリケーションを移動端末2上で実行し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付ける表示部22aを構築する実行処理部25cと、表示部22aの有効及び無効を切り換えるUI制御部25dと、表示部22aを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する実行条件判定部25aと、表示部22aが受け付けた操作に関する情報を実施状況通知として送信する実施状況通知部25bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末などの移動端末を使用するユーザーに対し、店舗等において、クーポン券による割引サービスなどの対面サービスを支援する対面サービス提供システム、対面サービス提供方法、移動端末及び管理サーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紙媒体によるクーポン券と同等の効果を有するものとして、クーポン情報が電子的な情報とされた、いわゆる電子クーポンを使用するシステムがある。この従来のシステムについて詳述すると、例えば、ネットワーク上のサーバで配布された電子クーポンを、店舗で利用するシステムとして、まず、店舗のホームページにアクセスし、電子クーポンを携帯電話にダウンロードする。そして、店舗などにおいて、ダウンロードした電子クーポンを携帯電話に表示させ、この表示された電子クーポンを店員などのサービス提供者側に提示することで、携帯電話にダウンロードした電子クーポンを利用できるシステムである。
【0003】
ここで、上述した従来のシステムでは、単に携帯電話の画面において電子クーポンを表示させるのみであるため、利用者が実際にどこの店舗において電子クーポンを利用したか否かを、サービス提供者側で把握することができず、クーポン利用者についてのマーケティング情報の収集が困難であった。これに対応するべくクーポン利用者のマーケティング情報を得るためにクーポン情報を読み取る特別な機器を各店舗に設置し、その機器から使用した店舗や利用者の情報を得る技術がある(例えば、特許文献1)。また、クーポン情報を読み取る特別な機器を必要とせず、使用時に店舗側の店員が携帯端末に店舗情報を入力することで、その使用した店舗や利用者の情報を得る技術がある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−298025号公報
【特許文献2】特開2002−279280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、クーポンを使用することができる店舗すべてにおいてクーポン情報を読み取る機器などを設置しなくてはならず、設置コストが増大する問題がある。また、特許文献2に開示された技術においては、店舗側が電子クーポンを処理毎にその店舗情報等を入力する必要があり、処理が煩雑となる問題があった。
【0006】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、位置情報や現在時刻など所定の条件が満たされた場合にのみ、移動端末における対面サービスを受けるための操作を可能とし、設備機器や煩雑な処理を追加することなく、サービスの実施状況を収集し、簡易にマーケティング情報を取得できる対面サービス提供システム、対面サービス提供方法、移動端末及び管理サーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(対面サービスの提供システム及び提供方法)
上記課題を解決するために、本発明は、通信ネットワークに接続可能な移動端末を使用するユーザーに対し、対面サービスを提供する対面サービス提供システムであって、対面サービスを提供するためのアプリケーションを移動端末上で実行し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築する実行処理部と、移動端末におけるユーザーインターフェースの有効及び無効を切り換えるユーザーインターフェース制御部と、ユーザーインターフェースを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する実行条件判定部と、ユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報を実施状況通知として、移動端末から管理サーバ装置に対して送信する実施状況通知部と、移動端末から、通信ネットワークを通じて実施状況通知を受信し、受信された実施状況通知から抽出されたデータを蓄積する管理サーバ装置とを備え、ユーザーインターフェース制御部は、実行条件判定部が、条件が満たされたと判定した場合に、ユーザーインターフェースを有効化し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とする。
【0008】
また、他の発明は、通信ネットワークに接続可能な移動端末を使用するユーザーに対し、対面サービスを提供する対面サービス提供方法であって、
(1)対面サービスを提供するためのアプリケーションを移動端末上で実行し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築する実行処理ステップと、
(2)ユーザーインターフェースを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する実行条件判定ステップと、
(3)実行条件判定ステップにおいて、条件が満たされたと判定した場合に、ユーザーインターフェースを有効化し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とするユーザーインターフェース制御ステップと、
(4)ユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報を実施状況通知として、通信ネットワークに対して送信する実施状況通知ステップと、
(5)通信ネットワーク上に配置された管理サーバ装置において、移動端末から通信ネットワークを通じて実施状況通知を受信し、受信された実施状況通知から抽出されたデータを蓄積する管理ステップとを有する。
【0009】
これらの発明では、例えば、ユーザーの現在位置や、現在時刻など所定の条件が満たされた場合にアプリケーションのユーザーインターフェースが操作可能となり、条件が満たされている限りにおいて、対面サービスを受けるための操作を行うことができる。この対面サービスを受けるための操作としては、例えば電子クーポン券とともに操作ボタンなどのGUI(Graphical User Interface)などを移動端末の画面上に表示して提示させ、店舗の店員などが操作ボタンをクリックするなどが挙げられる。この操作に応じて、実施状況通知が管理サーバー装置側に送信されるため、これを収集することで、サービス提供側において対面サービスの実施状況を把握することができる。
【0010】
また、ユーザーインターフェースは、条件が満たされているときのみ操作が可能であることから、対面サービスに関係のない場所や時刻に、ユーザーが誤って操作してしまうことを防止でき、サービスをより確実にユーザーに提供することができるとともに、より正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0011】
上記発明では、移動端末の現在位置を計測し、移動端末の現在位置が、対面サービスを提供する店舗等の所定エリア内となったときに、条件が満たされたと判定することが好ましい。この場合には、ユーザーが、店舗などの所定エリアに進入するとアプリケーションのユーザーインターフェースが操作可能となることから、対面サービスに関係のない場所で、ユーザーが誤って操作してしまうことを防止でき、サービスをより確実にユーザーに提供することができるとともに、より正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0012】
上記発明において、現在時刻を計時し、現在時刻が、所定の時刻、又は期間内となったときに、条件が満たされたと判定することが好ましい。この場合には、サービスの提供期間が限定されているような場合に、その期間が到来するとアプリケーションのユーザーインターフェースが操作可能となることから、対面サービスに関係のない時間に、ユーザーが誤って操作してしまうことを防止でき、サービスをより確実にユーザーに提供することができるとともに、より正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0013】
上記発明において、管理サーバーは、蓄積された対面サービスの実施状況を集計し、その集計結果に基づいて、移動端末の実行条件判定部に対し、ユーザーインターフェースを有効とする条件を設定又は更新することが好ましい。この場合には、例えば、対面サービスが所定の人数に限定されている場合などに、先着順や抽選などで任意又は無作為で選択したユーザーに対してのみ、サービスを提供することができる。
【0014】
上記発明において、ユーザーインターフェースは、ユーザーの属性を入力するユーザー属性入力部を備え、実施状況通知部は、ユーザー属性入力部に入力されたユーザー属性を実施状況に含めて管理サーバーに送信することが好ましい。この場合には、サービス提供側で、年齢、性別などのユーザーの属性に応じて、サービスの実施の可否を選択することができ、ユーザー側のニーズに適合させたサービスを提供できる。
【0015】
(対面サービスの移動端末及び管理サーバ)
上記対面サービス提供システム及び提供方法では、以下のような他の発明である対面サービスの移動端末及び管理サーバー装置を用いることができる。
【0016】
すなわち、対面サービスの移動端末の発明は、通信ネットワークに接続可能であり、ユーザーに対して対面サービスを提供する際に用いられる移動端末であって、対面サービスを提供するためのアプリケーションを移動端末上で実行し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築する実行処理部と、ユーザーインターフェースの有効及び無効を切り換えるユーザーインターフェース制御部と、ユーザーインターフェースを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する実行条件判定部と、ユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報を実施状況通知として、通信ネットワークに対して送信する実施状況通知部とを備え、ユーザーインターフェース制御部は、実行条件判定部が、条件が満たされたと判定した場合に、ユーザーインターフェースを有効化し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とすることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、例えば、ユーザーの現在位置や、現在時刻など所定の条件が満たされた場合にアプリケーションのユーザーインターフェースが操作可能となり、条件が満たされている限りにおいて、対面サービスを受けるための操作を行うことができる。
【0018】
この対面サービスを受けるための操作としては、例えば電子クーポン券とともに、操作ボタンなどのGUI(Graphical User Interface)を移動端末の画面上に表示して提示させ、店舗の店員などが操作ボタンをクリックするなどが挙げられる他、パスワード入力用のフィールド、あるいはクリック可能なURL等に対する文字の入力やURLのクリックなども含まれる。
【0019】
本発明では、これらの操作に応じて、実施状況通知が移動端末から管理サーバー装置側に送信されるため、これを収集することにより、サービス提供側において対面サービスの実施状況を把握することができる。また、ユーザーインターフェースは、条件が満たされているときのみ操作が可能であることから、対面サービスに関係のない場所や時刻に、ユーザーが誤って操作してしまうことを防止でき、サービスをより確実にユーザーに提供することができるとともに、より正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0020】
上記発明において、自機の現在位置を計測する位置情報取得部をさらに備え、実行条件判定部は、移動端末の現在位置が、対面サービスを提供する店舗等の所定エリア内となったときに、条件が満たされたと判定することが好ましい。この場合には、ユーザーが、店舗などの所定エリアに進入するとアプリケーションのユーザーインターフェースが操作可能となることから、対面サービスに関係のない場所で、ユーザーが誤って操作してしまうことを防止でき、サービスをより確実にユーザーに提供することができるとともに、より正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0021】
上記発明において、現在時刻を計時する計時部をさらに備え、実行条件判定部は、現在時刻が、所定の時刻、又は期間内となったときに、条件が満たされたと判定することが好ましい。この場合には、サービスの提供期間が限定されているような場合に、その期間が到来するとアプリケーションのユーザーインターフェースが操作可能となることから、対面サービスに関係のない時間に、ユーザーが誤って操作してしまうことを防止でき、サービスをより確実にユーザーに提供することができるとともに、より正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0022】
上記発明において、ユーザーインターフェースは、ユーザーの属性を入力するユーザー属性入力部を備え、実施状況通知部は、ユーザー属性入力部に入力されたユーザー属性を実施状況に含めて管理サーバーに送信することが好ましい。この場合には、サービス提供側で、年齢、性別などのユーザーの属性に応じて、サービスの実施の可否を選択することができ、ユーザー側のニーズに適合させたサービスを提供できる。
【0023】
一方、対面サービスの管理サーバー装置の発明は、通信ネットワーク上に配置され、ユーザーに対する対面サービスの実施状況を、通信ネットワークを通じて管理する管理サーバー装置であり、ユーザーが使用する移動端末から、通信ネットワークを通じて、実施状況通知を受信する通信部と、通信部で受信された実施状況通知から抽出されたデータを蓄積する履歴集計データベースと、履歴集計データベースに蓄積されたデータを集計するサービス管理部とを備え、実施状況通知は、移動端末上に構築されたユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報であり、ユーザーインターフェースは、移動端末における所定の条件が満たされたと判定した場合に有効化され、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とすることを特徴とする。
【0024】
このような発明によれば、管理サーバー装置は、移動端末のユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する実施状況通知を受信し、実施状況通知から抽出されたデータを蓄積し、集計するので、サービス提供側において対面サービスの実施状況を把握することができ、正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0025】
上記発明において、管理サーバー装置は、サービス管理部による集計結果に基づいて、移動端末上に構築されたユーザーインターフェースを有効とするための条件を設定する条件設定部とをさらに備えることが好ましい。この場合には、例えば、対面サービスが所定の人数に限定されている場合などに、先着順や抽選などで任意又は無作為で選択したユーザーに対してのみ、サービスを提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上述べたように、この発明によれば、移動端末を使用するユーザーに対し、店舗等の所定のエリア内において対面サービスを提供する際、移動端末において、位置情報や現在時刻など所定の条件が満たされた場合にのみ対面サービスを受けるための操作を可能とし、設備機器や煩雑な処理を追加することなく、サービスの実施状況を収集し、簡易にマーケティング情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る対面サービス提供システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】実施形態に係るユーザー端末の内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る基地局及び中継装置の内部構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る管理サーバー群の内部構成を示すブロック図である。
【図5】実施形態に係る表示部に表示された電子クーポンを示す画面構成図であり、(a)は実行ボタンが無効となっている状態、(b)は実行ボタンが有効となっている状態を示す。
【図6】実施形態に係る対面サービス提供システムにおいて、電子クーポンを利用する際の動作を示すフローチャート図である。
【図7】変更例に係る表示部に表示された電子クーポンを示す画面構成図である。
【図8】変更例に係る表示部に表示された電子回数券を示す画面構成図である。
【図9】変更例に係る表示部に表示された電子タクシーチケットを示す画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(システムの全体構成)
以下に添付図面を参照して、本発明に係る対面サービス提供システムの実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る対面サービス提供システムの全体構成を示す概念図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0029】
本実施形態に係る対面サービス提供システムは、インターネットや公衆回線網に接続可能な移動端末2を使用するユーザー1に対し、店舗30等の所定のエリア内において対面サービスを提供するシステムである。本実施形態では、図1に示すように、インターネット71上には、管理サーバー81が配置されており、さらに公衆回線網72には、中継装置6と、中継装置6に接続された無線基地局4と、無線基地局4を通じて無線通信が可能な移動端末2とが配置されている。
【0030】
管理サーバ81は、本実施形態では、電子クーポンの発行や、その利用状況の収集、及び収集結果を用いたマーケティング調査等を行うサービス提供者が運用するサーバー装置である。本実施形態では、電子クーポンを、Webサーバー機能により閲覧可能にインターネット71上に配置し、専用のビューアーソフトやブラウザソフトにより、当該電子クーポンのURLにアクセスすることによって、クーポンによる割引サービスを提供している。なお、この電子クーポンのURLは、例えば電子メールなどで不特定多数のユーザーに対して配布され、そのURLを辿って電子クーポンを掲載しているWebページにアクセスすることにより電子クーポンが利用可能となる。
【0031】
インターネット71は、通信プロトコルTCP/IPを用いて種々の通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線、光通信回線などの公衆回線、専用回線、無線通信網)を相互に接続して構築される分散型の通信ネットワーク(IP網)であり、この通信ネットワークには、10BASE-Tや100BASE-TX等によるイントラネット(企業内ネットワーク)や家庭内ネットワークなどのLANなども含まれる。公衆回線網72は、PSTN(Public Switched Telephone Networks)とも呼ばれる一般の加入電話回線ネットワークであり、回線交換方式で発信元と着信先とを接続し音声通話を行う通信回線(電話回線やISDN回線、ADSL回線、光通信回線などで構築される。これらインターネット71と公衆回線網72は、ゲートウェイ装置により相互にデータ送受が可能となるように接続されており、移動端末2から、無線基地局4を通じて、公衆回線網72からインターネット71へアクセスが可能となっている。
【0032】
店舗30は、例えば、コンビニエンスストアや飲食店等の対面によりサービスを提供する施設であり、店員3がレジ等の決済処理を担当している。この店舗30では、上記管理サーバ81を利用して、電子メールで電子クーポンをユーザーに配布しており、この電子クーポンを店舗30内において店員3に提示した場合に、商品の価格を割り引くサービスを実施している。
【0033】
この店舗30内には、小型の無線基地局4が設置されており、この無線基地局4を中心とした店舗30を含むエリアA1内に通信ネットワークが形成されている。特に、本実施形態における無線基地局4は、フェムトセル(femtocell)と呼ばれる、半径10m程度の狭小なエリアをカバー範囲とする小規模な携帯電話基地局であり、移動端末2を所持したユーザー1がエリアA1内に進入し、在圏したときには、移動端末2と無線基地局4との間で無線リンクが自動的に確立され、これらの間で無線通信が可能となる。
【0034】
(ユーザー端末の構成)
移動端末2は、無線通信を利用した携帯電話機であり、一般的な基地局等の中継点と無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。また、移動端末2は、無線基地局4との間で無線通信を行う機能と、アプリケーションを実行する機能も備えている。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W-CDMAの他、PHS(Personal Handyphone System)方式等が挙げられる。また、上述した通信方式とは別の無線通信インターフェースとして、無線LANの規格等に準じたIPパケットの送受による通信方式に対応した機能も備えている。さらに、この移動端末2は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、或いはGPS機能等の機能が搭載され、携帯情報端末(PDA)としての機能も果たす。
【0035】
具体的に移動端末2は、図2に示すように、ユーザーインターフェース系のモジュールとして入力インターフェース21と、出力インターフェース22とを備えている。入力インターフェース21は、操作ボタンやタッチパネル、ジョグダイヤルなどユーザー操作を入力するデバイスである。また、出力インターフェース22は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェースには、液晶ディスプレイなどの表示部22aが含まれており、アプリケーションにより構築されるGUI(Graphical User Interface)がこの表示部22aに表示される。
【0036】
さらに、移動端末2は、位置情報取得機能23を備えており、例えば、衛星5からのGPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算したり、接続処理部27が確立した通信相手である基地局の基地局識別子や、この基地局からの信号強度などの電波状況から、移動端末2自身で自機の位置情報を取得することが可能となっている。また、移動端末2は、現在時刻を計時する計時部28を備えており、随時現在時刻を取得し、その取得した現在時刻を制御部25に送信する。
【0037】
また、移動端末2は、通信系のモジュールとして無線インターフェース26と、接続処理部27とを備えている。無線インターフェース26は、通話や上記femtoセルでのデータ通信を行うための移動通信用のプロトコルによる無線通信と、例えば無線LAN等のデータ通信用のプロトコルによる無線通信とを実行する機能を備えている。無線インターフェース26は、無線LAN接続を行うためにIEEE 802.11bに準拠した送受信機能を備えており、本システムによるサービスを受けるために、無線基地局4と一致するESSIDが割り当てられている。なお、この無線インターフェースは、モバイルコンピュータやPDAにおいては、無線LANアダプタ等により実現することができる。
【0038】
ESSIDは、無線LANで使われるネットワークの識別子であり、複数の無線LANで構築されたネットワークにおいて、それぞれのネットワークを識別するため、アクセスポイントである無線基地局4とクライアントである移動端末2の双方で同じESSIDが設定される。そして、このESSIDを通じて、無線基地局4で、自機の無線通信範囲に存在するユーザー端末を検出し、自動的にリンクを設定して、無線LANのホットスポットを形成し、データ通信が可能となる。
【0039】
接続処理部27は、無線基地局4と無線通信を介して接続するためのモジュールであり、自機を特定するための識別子(電話番号や、IPアドレス、ユーザーID)を接続対象となる無線基地局4に送信し、認証を行う。なお、接続処理部27は、無線基地局4との間で無線LAN接続を行う場合には、データの送受信を行うためのリンクを張るために、無線信号を監視し、無線基地局4を識別するESSIDを検出するようにしてもよい。
【0040】
さらに、移動端末2は、アプリケーション実行系のモジュールとして、制御部25と、メモリ24とを備えている。制御部25は、CPU等の演算処理装置であり、この制御部25上で各種プログラムを実行することにより、各機能モジュールを仮想的に構築する。この制御部25には、アプリケーション実行系のモジュールとして、実行処理部25cと、実行条件判定部25aと、実施状況通知部25bとが構築される。
【0041】
実行処理部25cは、ユーザー1が対面サービスの提供を受けるためのアプリケーションを実行し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築するモジュールであり、本実施形態では、電子クーポンを表示する専用のビューワーソフトや、汎用的なブラウザソフトに所定の機能をアドインして起動・実行する。なお、本実施形態では、このアプリケーションは、電子クーポンのビューワーソフトであり、このビューワーソフトは、ユーザーの手動操作により起動され、起動された時点で位置情報の取得と、クーポンの有効期限などの利用条件の参照及び監視を開始し、これらの処理を周期的に実行する。
【0042】
また、実行処理部25cで実行されるアプリケーション内には、UI制御部25dが備えられている。このUI制御部25dは、表示部22a上に電子クーポンと、クーポンの利用を確認するための実行ボタン22bとを併せて表示する。この実行ボタン22bは、対面サービスの提供を受けるための操作が入力されるインターフェースであり、この実行ボタン22bに対する操作は、入力インターフェース21に含まれるエンターキーや、タッチパネルによるクリックなどにより実行することができる。なお、本実施形態では、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースとして、実行ボタン22bを表示させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、パスワード入力用のフィールド、あるいはクリック可能なURL等を移動端末2などを表示させ、対面サービスの提供を受けるための操作には、これらに対する文字の入力やURLのクリックなどを含めるようにしてもよい。
【0043】
また、UI制御部25dは、図5(a)及び(b)に示すように、実行ボタン22bの有効(同図(b)の状態)及び無効(同図(a)の状態)を切り換える機能を有しており、実行条件判定部25aが、クーポン利用の条件が満たされたと判定した場合に、実行ボタン22bを有効化し、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とする。本実施形態では、ユーザーが店舗30内に在圏しているときのみ実行ボタン22bを有効化し、店舗30から離れると実行ボタン22bが無効化されるように制御する。
【0044】
実施状況通知部25bは、実行ボタン22bが操作されるなど、ユーザー操作が入力された場合に、その操作に関する情報を実施状況通知として、管理サーバー81に通知するモジュールである。この通知の方式としては、例えば、所定の文字列を記述した電子メールを送信したり、所定のURLにアクセスして、HTTPなどのプロトコルにより所定の情報データを送受信することなどが考えられる。この実施状況通知には、当該移動端末2を特定するための識別子(電話番号、端末ID)が含まれ、自動的に認証処理を行えるようになっており、送信した実施状況と移動端末とを関連づけて、履歴集計データベース84に蓄積することができる。
【0045】
実行条件判定部25aは、アプリケーションの実行に関する条件(実行条件)が満たされたか否かを判断し、各移動端末での実行処理部25cによるアプリケーションの実行を規制するモジュールである。この実行条件判定部25aで判断される条件には、位置情報や時間情報、実行回数の他、ユーザー認証の可否、ユーザーの属性などの利用条件が含まれる。
【0046】
位置情報としては、位置情報取得機能23により取得された現在位置を用いてもよく、また、接続処理部27が確立した無線通信の相手方である無線基地局4を特定する基地局識別子や電波状況(信号強度等)であってもよい。なお、この基地局識別子としては、当該基地局との通信周波数や、当該基地局が管轄するセル、確立された通信接続に関する拡散コード等を特定するため、当該基地局に固有の所謂スクランブリングコードを用いることもできる。また、時間情報としては、計時部28から取得された現在時刻を用いる。
【0047】
そして、実行条件判定部25aは、位置情報として、移動端末2の現在位置が対面サービスを提供する店舗30の所定エリア内となった場合や、時間情報として、現在時刻が所定の時刻、又は期間内となったときに、利用条件が満たされたと判定する。
【0048】
利用条件としては、例えば、割引サービスを登録会員に限定したり、性別や年齢などの属性に応じて対象ユーザーを限定したり、使用回数に上限を定めたりなどが挙げられる。この利用条件が満たされているか否かの判断は、認証部815による認証結果や、ユーザーデータベース83に蓄積されている当該ユーザーの属性情報、その他履歴集計データベース84に蓄積されたサービスの利用履歴などに基づいてユーザー毎に行い、この判断結果を条件設定部813に通知して、次回からの利用条件(実行条件)に反映させるようになっている。
【0049】
(無線基地及び中継装置の構成)
無線基地局4は、無線通信を通じて移動端末2との間でデータの送受信をする電波基地局装置であり、本実施形態では、ソフトウェアの展示会会場のエリアA1に在圏する通信端末と無線通信を確立する。特に、本実施形態における無線基地局4は、フェムトセル(femtocell)と呼ばれる、半径10m程度の狭小なエリアをカバー範囲とする小規模な携帯電話基地局であり、中継装置6を介して、バックボーンとして光ファイバーやADSLなどの公衆回線網72に接続され、この公衆回線網72を通じて、インターネット71に接続されている。
【0050】
なお、本実施形態では、この無線基地局4をフェムトセル(femtocell)等の小規模な携帯電話基地局としたが、LAN(Local Area Network)におけるベースステーションとすることもでき、例えば、「IEEE 802.11b」規格等に準じて複数のユーザー端末とデータの送受を行うアクセスポイントとしてもよい。この場合には、無線基地局4と各移動端末2に、本システムによるサービスを受けるために共通のESSID(Extended Service Set Identifier)が割り当てられ、このESSIDを通じて、無線基地局4で、自機の無線通信範囲に存在するユーザー端末を検出し、自動的にリンクを設定して、無線LANのホットスポットを形成する。なお、この無線LANの他、例えば、赤外線通信や、Bluetooth等の近距離無線方式を採用することもできる。
【0051】
中継装置6は、インターネット7に接続するためのモデムやターミナルアダプタ、ゲートウェイ装置等のノード装置であり、通信経路の選択や、データ(信号)の相互変換を行い、無線基地局4と、公衆回線網72及びインターネット71との間における中継処理を行う。
【0052】
具体的に、中継装置6は、図3に示すように、通信系モジュールとして、公衆回線網72に対する通信インターフェースである通信部61と、無線基地局4の無線インターフェース41との接続を制御する接続管理部65と、無線基地局4に対する無線通信と、公衆回線網72に対するパケット通信との間で、データ変換を行うデータ変換部63とを備えている。
【0053】
また、中継装置6は、移動端末2の現在地を特定するための位置情報管理部62を備えており、移動端末2が通信を確立した無線基地局4を特定する基地局識別子を管理し、この基地局識別子に基づいて、移動端末2が在圏するフェムトセルを特定し、無線基地局4における移動端末2に対する電波強度を用いるなどして、移動端末2の位置情報を算出する。このように基地局識別子に基づいて得られた位置情報は、移動端末2及び管理サーバー81に通知される。なお、この基地局識別子による位置情報の特定は、移動端末2側で行い、移動端末2から管理サーバー81に通知することもできる。
【0054】
(管理サーバーの構成)
管理サーバー81は、インターネット71上の複数のサーバー装置が協働し、クーポンサービスの実施状況を管理するサーバー装置群である。図4は、管理サーバー群の内部構成を示すブロック図である。
【0055】
管理サーバー81は、通信系のモジュールとして、通信部812と、接続処理部811とを備えるとともに、ユーザー管理系のモジュールとしてユーザー登録部816と、認証部815とを備えている。これらユーザー登録部816と認証部815には、ユーザーに関する情報を保持するユーザーデータベース83が接続されている。なお、管理サーバー81に備えられた各モジュールは、制御部818により制御される。
【0056】
通信部812は、パケットデータを送受信することにより各種データをインターネット7に対して送受信する通信デバイスである。本実施形態では、この通信部812は、Webページをインターネット上に配信するWebサーバ機能や電子メール受信機能を備えており、HTTPやSMTP等のプロトコルにより、移動端末からのWebサイトへのアクセスや、移動端末との電子メールの送受信を実行し、これらのプロトコルを通じて、実施状況通知を取得することができる。接続処理部811は、無線基地局4と、無線基地局4が管轄する所定エリア内に在圏する移動端末2との無線通信を確立させるモジュールである。
【0057】
認証部815は、ユーザーに対するアクセス許可を決定するモジュールであり、ユーザー登録部816は、本システムによるサービスを受けるためのユーザー登録を受け付けるモジュールである。これら認証部815及びユーザー登録部816によるユーザー登録処理や認証処理は、例えば、登録会員限定のサービスである場合に実行される。なお、クーポン等、不特定多数のユーザーに配布するようなコンテンツである場合には、これら認証部815による認証処理や、ユーザー登録部816によるユーザー登録処理を省略することができる。
【0058】
具体的に認証部815は、アクセス者の正当性を検証するコンピュータ或いはその機能を持ったソフトウェアであり、インターネット7を通じてユーザー名とパスワードの組み合わせを取得し、ユーザーデータベース83を照合することによって、アクセス者にその権利があるか否かや、そのアクセス者が本人であるか否かなどを確認するモジュールである。ユーザー登録部816は、ユーザー登録の際に、ユーザーを特定するための識別子として、ユーザーが使用する端末の電話番号や、IPアドレス、ユーザーID、パスワードなどを、ユーザーデータベース83に記録する。
【0059】
また、管理サーバー81は、サービス管理系のモジュールとして、条件設定部813と、サービス管理部817と、データベース管理部819とを備え、データベース管理部819には、クーポンデータベース810及び履歴集計データベース84が接続されている。
【0060】
条件設定部813は、サービス実施状況の集計結果に基づいて、サービスの提供を規制するモジュールである。具体的には、サービス管理部817によって履歴集計データベース84に蓄積されたサービスの実施履歴の集計結果に基づいて、各移動端末上に構築された実行ボタン等のユーザーインターフェースを有効とする条件を、該当する移動端末の実行条件判定部25aに対して設定又は更新する。
【0061】
この実行条件の設定又は更新は、通信部812を通じて移動端末2にアクセスし、移動端末2のメモリ上に保存させる。移動端末2では、実行条件判定部25aにより実行条件の判定を行う際、メモリに記録された実行条件を読み出し、その条件の適否を判定する。この条件設定部813により設定される実行条件としては、位置情報や時間(有効期限やサービス期間等)、対象ユーザーの属性(性別、年齢など)が含まれる。
【0062】
サービス管理部817は、インターネット71を通じて各移動端末から実施状況通知を受信し、対面サービスの実施状況を抽出して蓄積し、管理するとともに、各移動端末から受信した前記実施状況を集計するモジュールである。
【0063】
データベース管理部819は、履歴集計データベース84及びクーポンデータベース810等のデータベースに対するデータの入出力を管理するモジュールである。履歴集計データベース84は、各移動端末から受信した実施状況通知から抽出されたデータを蓄積するデータベース装置であり、クーポンデータベース810には、各クーポンによって提供されるサービスの種別や、提供期間、対象ユーザーなどの情報が蓄積されている。
【0064】
(対面サービスの提供方法)
以上の構成を有する対面サービスの提供システムを動作させることによって、本発明の対面サービスの提供方法を実施することができる。図6は、本実施形態に係る対面サービス提供システムにおいて、電子クーポンを利用する際の動作を示すフローチャート図である。ここでは、移動端末2を使用するユーザー1に対し、店舗30内における対面販売サービスにおいて、クーポンによる割引サービスを提供する場合を例に説明する。
【0065】
まず、ユーザーの手動操作によりアプリケーションを起動する(S100)。このアプリケーションを移動端末上で実行することにより、対面サービス(クーポンによる割引サービス)を受けるための実行ボタンがユーザー1上に仮想的に構築される。
【0066】
ここでは、アプリケーションとしてクーポンデータのビューワーソフトを起動する。ビューワーソフトは、起動されることにより、実行ボタンを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する。具体的には、位置情報の取得(S101)を開始し、ステップS102においてユーザーのエリア(店舗30)内への進入を、ループ処理(S102:N)により周期的に監視する。ユーザーの現在位置がエリア外である間は、実行ボタンは無効化されており、操作ができないようになっている。
【0067】
ステップS101において、ユーザーがエリア(店舗30)内に進入したと判断した場合(S101:Y)には、次いで、クーポンの有効期限等の利用条件を参照する(S104)。ステップS104において利用条件を満たしていないと判断したときには(S104:N)、クーポンが利用できない旨のメッセージを表示するなどのエラー処理を実行(S110)した後、アプリケーションを終了する(S109)。
【0068】
一方、ステップS104において、利用条件が満たされていると判断したときには(S104:Y)、実行ボタンを有効化し(S105)、対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とする。この実行ボタンが有効化された状態で、移動端末を店員に提示する(S106)。店員は、提示されたクーポンを確認し、クーポンによる割引サービスなどを提供するとともに、実行ボタンを操作する(S107)。
【0069】
この実行ボタンの操作を受けて、実施状況通知が送信される。これにより、管理サーバ8側でクーポンの利用を把握することができる。この実施状況通知は、管理サーバー81において、通信ネットワークを通じて受信され、受信された実施状況通知からデータが抽出され、集計される。この集計結果は、クーポンによるサービスを提供する条件に反映され、実行ボタンを有効化する際の条件として、移動端末に対して設定又は更新するようにしてもよい。
【0070】
(作用・効果)
以上説明した実施形態によれば、例えば、ユーザーの現在位置(店舗内に在圏)や、現在時刻(サービス期間中)など所定の条件が満たされた場合に、アプリケーションの実行ボタン22bが操作可能となる。この操作ボタンは、店員3に提示されるとともに、実行操作を店員3が行うことにより、クーポンの使用を適正に確認することができる。この実行ボタンの操作に応じて、実施状況通知が管理サーバに送信されるため、これを収集することで、サービス提供側において対面サービスの実施状況を把握することができる。
【0071】
また、アプリケーションの実行ボタン22bは、条件が満たされているときのみ操作が可能であることから、対面サービスに関係のない場所や時刻に、ユーザー1が誤って操作してしまうのを防止でき、サービスをより確実にユーザーに提供することができるとともに、より正確なマーケティング情報を収集することができる。
【0072】
さらに、上記実施形態では、実施状況通知を収集することにより、使用された電子クーポンの総数をカウントしているため、先着100名にのみ割引サービスを提供するなど、所定の人数に限定してサービスを提供したり、抽選などで任意又は無作為で選択したユーザーに対してのみ、サービスを提供することができ、サービスの多様化を図ることができる。
【0073】
(変更例)
なお、上述した実施形態では、クーポン利用の有無のみを実施状況通知を介して収集するようにしたが、例えば図7に示すように、実行ボタンとともに、ユーザーの属性を入力するユーザー属性入力部22cを表示させ、対面サービスを実施する際に、店員が当該ユーザーの年齢や性別を判断して、属性として入力するようにしてもよい。
【0074】
この場合、実施状況通知部25bは、ユーザー属性入力部22cに入力されたユーザー属性を実施状況通知に含めて管理サーバー81に送信する。これにより、サービス提供側で、年齢、性別などのユーザーの属性など、詳細なサービス実施状況を収集することができ、その集計結果を利用することにより、より精細なマーケティング情報を得ることができるとともに、ユーザー側のニーズに適合させたサービスを提供できる。さらに、ユーザー属性の入力は店員が行うので、ユーザーに対してユーザー登録等の手続を要求することなく、クーポンによるサービスを提供することができる。
【0075】
また、このユーザー属性入力部22cは、初回の使用時のみ、表示することもできる。例えば、クーポンによる割引サービスを初めて受けるときには、上記ユーザー属性入力部22cを表示し、当該ユーザーの属性を収集し、当該移動端末の電話番号等の識別子と、このユーザーの属性情報を関連づけてユーザーデータベース83に記録し、次回からは、属性情報の有無を参照し、属性情報が既に取得されているときには、ユーザー属性入力部22cは表示しないようにする。
【0076】
さらには、上記実施形態では、1回使用することにより使用済みとなり、それ以降使用ができなくなるクーポン券を例に説明したが、複数回使用可能なものとすることもできる。この場合には、図7に示すような、回数券のように、使用回数に上限を定めたり、サービス期間中は、上限無く繰り返し使えるようにするなど、利用条件を適宜定めることで、種々のサービス形態を提供することができる。
【0077】
また、図9に示すように、タクシーチケットなど、チケットの使用開始位置と、使用終了位置とで実行ボタンの制御を行うようなサービスも可能である。例えば、タクシーの乗車地で「使用開始」の実行ボタン22eをクリックし、その乗車地における位置情報と時刻とを関連づけて実施状況通知として管理サーバー81に送信する。管理サーバー81では、タクシーチケットの使用開始の情報としてその位置情報と時刻を履歴集計データベース84に記録する。その後、降車地に到着した時点で、「使用済み」の実行ボタン22fをクリックすることにより、降車地における位置情報と時刻とを関連づけて実施状況通知として管理サーバー81に送信する。
【0078】
タクシーの位置情報は、移動端末2の位置情報取得機能23が、例えば、衛星5から受信したGPS信号に基づいて、現在位置の座標を演算したり、接続処理部27が確立した通信相手である基地局の基地局識別子や、この基地局からの信号強度などの電波状況から取得することができる。また、タクシーの乗車時刻は、実行ボタン22eをクリックした際の移動端末2の計時部28が取得した現在時刻を時刻情報とすることができる。
【0079】
管理サーバー81では、タクシーチケットの使用完了の情報としてその位置情報と時刻とを履歴集計データベース84に記録する。このサービス管理部817では、乗車地と降車地との距離から利用金額を算出し、課金情報としてユーザーデータベース83に記録する。
【0080】
なお、降車地での実行ボタンの操作について、例えば、乗車地から所定距離以内の利用のみ可能とするなどの制限をかけるようにしてもよい。この場合には、管理サーバ81において、乗車地での位置情報から、当該タクシーチケットが利用可能な範囲を算出し、ユーザーデータベース83に記録するとともに、それを条件設定部813に通知し、移動端末側に実行条件として設定させる。移動端末側では、タクシーに乗車し、チケットの利用が開始されると、現在位置を周期的に監視し、上記チケットが利用可能な範囲内であるか否かを参照し、範囲外になった時点で、実行ボタンを無効化する。これにより、タクシーチケットの利用範囲を管理することができ、不正な長距離利用を防止できる。
【0081】
上述した実行条件は、任意の乗車位置からの所定距離以内の利用としたが、これに限定されず、特定の乗車位置からの所定距離以内の利用のみとすることや、特定の乗車地から特定の降車地への所定区間のみの利用とすることも可能である。この場合は、予めタクシーチケットを利用することができる乗車地や降車地を条件としてを設定することで、タクシーチケットの利用範囲を更に管理することができ、私的使用などの不正利用を防止することができる。
【符号の説明】
【0082】
A1…エリア
1…ユーザー
2…移動端末
3…店員
4…無線基地局
5…衛星
6…中継装置
7…インターネット
8…管理サーバ
21…入力インターフェース
22…出力インターフェース
22a…表示部
22b…実行ボタン
23…位置情報取得機能
24…メモリ
25…制御部
25a…実行条件判定部
25b…実施状況通知部
25c…実行処理部
25d…UI制御部
26…無線インターフェース
27…接続処理部
28…計時部
30…店舗
41…無線インターフェース
61…通信部
62…位置情報管理部
63…データ変換部
65…接続管理部
71…インターネット
72…公衆回線網
81…管理サーバー
83…ユーザーデータベース
84…履歴集計データベース
810…クーポンデータベース
811…接続処理部
812…通信部
813…条件設定部
815…認証部
816…ユーザー登録部
817…サービス管理部
818…制御部
819…データベース管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続可能な移動端末を使用するユーザーに対し、対面サービスを提供する対面サービス提供システムであって、
前記対面サービスを提供するためのアプリケーションを前記移動端末上で実行し、前記対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築する実行処理部と、
前記移動端末における前記ユーザーインターフェースの有効及び無効を切り換えるユーザーインターフェース制御部と、
前記ユーザーインターフェースを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する実行条件判定部と、
前記ユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報を実施状況通知として、前記移動端末から前記管理サーバ装置に対して送信する実施状況通知部と、
前記移動端末から、前記通信ネットワークを通じて前記実施状況通知を受信し、受信された実施状況通知から抽出されたデータを蓄積する管理サーバ装置とを備え、
前記ユーザーインターフェース制御部は、前記実行条件判定部が、前記条件が満たされたと判定した場合に、前記ユーザーインターフェースを有効化し、前記対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とする
ことを特徴とする対面サービス提供システム。
【請求項2】
前記移動端末の現在位置を計測する位置情報取得部をさらに備え、
前記実行条件判定部は、前記移動端末の現在位置が、前記対面サービスを提供する店舗等の所定エリア内となったときに、前記条件が満たされたと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の対面サービス提供システム。
【請求項3】
現在時刻を計時する計時部をさらに備え、
前記実行条件判定部は、前記現在時刻が、所定の時刻、又は期間内となったときに、前記条件が満たされたと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の対面サービス提供システム。
【請求項4】
前記管理サーバ装置は、蓄積された前記対面サービスの実施状況を集計し、その集計結果に基づいて、前記移動端末の前記実行条件判定部に対し、前記ユーザーインターフェースを有効とするための条件を設定又は更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の対面サービス提供システム。
【請求項5】
前記ユーザーインターフェースは、前記ユーザーの属性を入力するユーザー属性入力部を備え、
前記実施状況通知部は、前記ユーザー属性入力部に入力されたユーザー属性を前記実施状況に含めて前記管理サーバーに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の対面サービス提供システム。
【請求項6】
通信ネットワークに接続可能な移動端末を使用するユーザーに対し、対面サービスを提供する対面サービス提供方法であって、
前記対面サービスを提供するためのアプリケーションを前記移動端末上で実行し、前記対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築する実行処理ステップと、
前記ユーザーインターフェースを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する実行条件判定ステップと、
前記実行条件判定ステップにおいて、前記条件が満たされたと判定した場合に、前記ユーザーインターフェースを有効化し、前記対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とするユーザーインターフェース制御ステップと、
前記ユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報を実施状況通知として、前記通信ネットワークに対して送信する実施状況通知ステップと、
前記通信ネットワーク上に配置された管理サーバ装置において、前記移動端末から前記通信ネットワークを通じて前記実施状況通知を受信し、受信された実施状況通知から抽出されたデータを蓄積する管理ステップと
を有することを特徴とする対面サービス提供方法。
【請求項7】
前記実行条件判定ステップでは、前記移動端末の現在位置を計測し、該移動端末の現在位置が、前記対面サービスを提供する店舗等の所定エリア内であるか否かを判定し、
前記実行条件判定ステップでは、前記移動端末の現在位置が、前記所定エリア内なったときに、前記ユーザーインターフェースを有効化する
ことを特徴とする請求項6に記載の対面サービス提供方法。
【請求項8】
前記実行条件判定ステップでは、現在時刻を計時し、前記現在時刻が、所定の時刻、又は期間内であるか否かを判定し、
前記ユーザーインターフェース制御ステップでは、前記現在時刻が、所定の時刻、又は期間内となったときに、前記ユーザーインターフェースを有効化する
ことを特徴とする請求項6に記載の対面サービス提供方法。
【請求項9】
前記管理ステップでは、前記管理サーバ装置において、蓄積された前記対面サービスの実施状況を集計し、その集計結果に基づき、前記実行条件判定部に対し、前記ユーザーインターフェースを有効とするための条件を設定又は更新する
ことを特徴とする請求項6に記載の対面サービス提供方法。
【請求項10】
前記実施状況通知ステップでは、前記ユーザーインターフェースの属性入力部に入力されたユーザー属性を、前記実施状況に含めて前記管理サーバーに送信することを特徴とする請求項6に記載の対面サービス提供方法。
【請求項11】
通信ネットワークに接続可能であり、ユーザーに対して対面サービスを提供する際に用いられる移動端末であって、
前記対面サービスを提供するためのアプリケーションを前記移動端末上で実行し、前記対面サービスの提供を受けるための操作を受け付けるユーザーインターフェースを構築する実行処理部と、
前記ユーザーインターフェースの有効及び無効を切り換えるユーザーインターフェース制御部と、
前記ユーザーインターフェースを有効とするための条件が満たされたか否かを判定する実行条件判定部と、
前記ユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報を実施状況通知として、前記通信ネットワークに対して送信する実施状況通知部と
を備え、前記ユーザーインターフェース制御部は、前記実行条件判定部が、前記条件が満たされたと判定した場合に、前記ユーザーインターフェースを有効化し、前記対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とする
ことを特徴とする移動端末。
【請求項12】
自機の現在位置を計測する位置情報取得部をさらに備え、
前記実行条件判定部は、前記移動端末の現在位置が、前記対面サービスを提供する店舗等の所定エリア内となったときに、前記条件が満たされたと判定する
ことを特徴とする請求項11に記載の移動端末。
【請求項13】
現在時刻を計時する計時部をさらに備え、
前記実行条件判定部は、前記現在時刻が、所定の時刻、又は期間内となったときに、前記条件が満たされたと判定する
ことを特徴とする請求項11に記載の移動端末。
【請求項14】
前記ユーザーインターフェースは、前記ユーザーの属性を入力するユーザー属性入力部を備え、
前記実施状況通知部は、前記ユーザー属性入力部に入力されたユーザー属性を前記実施状況に含めて前記管理サーバーに送信する
ことを特徴とする請求項11に記載の移動端末。
【請求項15】
通信ネットワーク上に配置され、ユーザーに対する対面サービスの実施状況を、該通信ネットワークを通じて管理する管理サーバー装置であり、
前記ユーザーが使用する移動端末から、前記通信ネットワークを通じて、実施状況通知を受信する通信部と、
前記通信部で受信された実施状況通知から抽出されたデータを蓄積する履歴集計データベースと、
前記履歴集計データベースに蓄積されたデータを集計するサービス管理部と
を備え、
前記実施状況通知は、前記移動端末上に構築されたユーザーインターフェースが受け付けた操作に関する情報であり、
前記ユーザーインターフェースは、前記移動端末における所定の条件が満たされたと判定した場合に有効化され、前記対面サービスの提供を受けるための操作を受け付け可能とする
ことを特徴とする管理サーバ装置。
【請求項16】
前記サービス管理部による集計結果に基づいて、前記移動端末上に構築されたユーザーインターフェースを有効とするための条件を設定する条件設定部と
をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の管理サーバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−39700(P2011−39700A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185090(P2009−185090)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(501275178)ソフトバンクBB株式会社 (112)
【Fターム(参考)】