説明

封入磁石アセンブリ及びその製造方法

【課題】腐食環境下でも良好な磁気軸受を提供する。
【解決手段】本発明は、封入磁石アセンブリを提供し、このアセンブリは、少なくとも1つの壁164を含み且つ少なくとも1つのアパーチャを画定するハウジング内に設けられた磁石158と、ハウジングカバーとを含む。ハウジングカバーは、磁性材料からなる第1部分154と非磁性材料からなる第2部分152を含み且つアパーチャを密閉するように構成されており、第1部分が第2部分に固定して取り付けられ、ここで取り付け部分が熱処理されている。ハウジングの壁164は、非磁性材料で形成され、ハウジングカバーの第2部分に固定して取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、腐食環境で用い得る磁気軸受を用いたロータアセンブリ及びステータアセンブリ、並びに磁気軸受を組み立てる方法に関する。ロータアセンブリ及びステータアセンブリは、ターボエキスパンダ、ポンプ、コンプレッサ、電動機、発電機、又は石油産業及びガス産業用の同様のターボ機械に用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
ターボエキスパンダは、供給ガス流の圧力を低下させる装置であり、圧力降下によって有効仕事量を増加させることができる。さらに、ターボエキスパンダからは、排出流れが生成され、この流れは、分離器又は蒸留塔を通過し、重い液体流を分離することができる。ターボエキスパンダには、回転機器が用いられる。この回転機器は、比較的高価であり、典型的には半径方向入口及び軸方向出口を有するハウジング内に搭載された半径流タービンロータを含む。タービンロータは、ロータに固定されたシャフトを介して軸受に回転可能に設けられている。上述のようなターボエキスパンダは、多種多様なガス流に対応し、例えば空気分離、天然ガス処理、天然ガス輸送、ガス膨張工程における圧力降下エネルギー回収、工程にかかる廃熱からの熱エネルギー回収などに用いられる。コンプレッサは、ターボエキスパンダと協働して仕事量を抽出するか、又はターボエキスパンダで発したエネルギーを単に消費する。
【0003】
上述のターボエキスパンダやコンプレッサをはじめとするターボ機械において、ロータシャフト支持に用い得る軸受は、主に磁気軸受、ころ軸受、及び流体軸受の3つの型式であり、多くの型式の軸受はこれらの範疇にある。磁気軸受は、電磁気力によって可動シャフトを位置合わせし、支持する軸受である。なお、シャフトは、回転(旋回)シャフト又は往復(平行移動)シャフトであり得る。一方、流体軸受及びころ軸受は、ロータシャフトと直接接触しており、油などの流体ベースの滑剤を必要とすることが典型的である。
【0004】
磁気軸受は、流体軸受及びころ軸受に比べて優れた性能を発揮する。磁気軸受は、比較的抵抗損失が少なく、剛性が高く、減衰特性が高く、また適当な負荷容量を有する。さらに磁気軸受は、その他の軸受とは異なり、滑剤を必要としない。従って、油、バルブ、ポンプ、フィルタ、冷却器などが不要となり、複雑化やプロセス汚染に対する懸念が解消される。
【0005】
ロータアセンブリ及びステータアセンブリの一般的な磁気軸受の構造において、複数の電磁石コイルを有するステータが、強磁性材料で形成されるロータシャフトを取り囲み、電磁石コイルの各々は、ロータシャフトを引き付ける磁場を発生する。なお、電磁石コイルは、ロータを放射状に取り囲んでいることから、ラジアル磁気軸受と称される。これら可動ラジアル磁気軸受は、ステータ内でロータシャフトに対して適切な位置にあり、ロータシャフトアセンブリを支持する。また、特定の磁石製のコイルに流れる電流の量を変化させることによって、引力を制御し、ロータを複数の磁石の中心に保持する。さらに、ステータ内の複数のセンサがロータを取り囲み、ロータの中心位置に対する偏差を計測し、デジタル処理装置がセンサからの信号を基に、いかに磁石の電流を調節し、ロータを複数の磁石間の中心に位置付けるかを決定する。なお、シャフトの位置を検出し、そのデータを処理し、複数のコイルの電流を調節する周期は、最高25,000回/秒の割合で生じ得る。ロータは磁石と接触することなく、間隙を介して「浮揚している」ので、いかなる滑剤も必要としない。
【0006】
電圧が印加されていないとき、ロータシャフトの端部各々に減摩軸受とともに軸受シールを設けることによって、シャフトを支持でき、さらにロータシャフト及びステータラジアル磁気軸受が接触することがない。これら補助軸受又は「バックアップ」軸受は、一般的に乾式軸受又は潤滑軸受であり、通常動作中は無負荷状態である。
【0007】
石油産業及びガス産業において、ロータアセンブリ及びステータアセンブリがプロセスガス中で動作することがある。プロセスガスは冷却材としても作用し、ガス圧が約10〜約200バールの天然ガスであることが多い。ところが、天然ガスには不純物が多く含まれ、それに伴い硫化水素(H2S)、水、CO2、油などの腐食剤が含まれている。最悪の場合、水とH2Sとが結合し、さらに腐食性の強い、いわゆる湿潤サワーガスが発生する可能性がある。磁気軸受の構成要素の温度を適正に保つには、典型的には冷却が必要となる。プロセスガスをそのまま冷却材として用いることができれば、軸受シールが不要となるという大きな利点が得られる。それに伴い、緩衝ガス(通常は上流で油やガスを使用できない)が不要となり、搭載するターボ機械の安全性及び操作性が高まる。しかし、上述のような不純物を含むプロセスガス環境下で、磁気軸受アセンブリを冷却又は使用すると、磁気軸受の脆弱な構成要素を大きな危険にさらすことになる。
【0008】
防蝕技術協会(NACE)のMR0175規格「油田装置用耐硫化物ストレス腐食割れ金属材料」は、サワーガス環境下で用いる機械において長い耐用年数を実現できる、適合材料、熱処理条件及び硬度レベルを規定しており、石油及びガス産業において広く普及している。非NACE適合材料をサワーガス及び/又は湿潤サワーガスに曝すと、腐食が生じる可能性があるが、NACE規格準拠材料又は構成要素は、これに対して十分な耐食性を有している。例えば、溶接応力は腐食感受性を高める一因と通常なりうるので、NACE規格準拠の溶接には、溶接応力を全て除去する溶接後熱処理が一般的に必要である。しかし、NACE規格に完全に準拠する石油及びガス産業用の磁気軸受システムは目下存在しない。
【0009】
ロータシャフトアセンブリは、特にロータシャフト自体、ロータシャフト周囲の磁気ロータ積層体及びロータ接地スリーブといった、動作中、サワーガス環境に曝され得る幾つかの構成要素を含むので、NACE規格に準拠していることが望ましい。腐食剤への感受性を示す一例として、ロータ積層体は、湿潤サワーガスに曝されると、水素脆化及び応力腐食割れによって破損することが挙げられる。磁気ロータ積層体は、ロータシャフトに穿孔板を焼嵌めしたものであるため、応力腐食割れが問題となる。通常速度で動作中、これら構成要素には、焼嵌め応力及び半径方向力によって、比較的高い機械応力がかかる。
【0010】
さらなる問題として、既存のロータアセンブリ及びステータアセンブリの磁気軸受システムには、合金鋼が含まれることが挙げられる。合金鋼は、典型的にロータシャフト及び/又はロータ積層体の形成に用いられる。鋼組成は、サワーガスに対して最も高い耐性を示すものを選択すると、磁気特性に乏しくなる。従って、ロータシャフトにおける電磁気損失が大きく、1.00W/cm2(6.45W/in2)超の熱負荷が生じると、鋼が高温による熱負荷を受け、サワーガス腐食への耐性が低下する。構成要素を大型化することによって熱負荷を小さくすることも考えられるが、構成要素の大型化は、費用的にも空間的にも実用的とは言えない。
【0011】
ロータシャフトアセンブリは、典型的に、ロータシャフト及びロータ積層体に加え、ロータシャフト端部の各々において、焼嵌め式接地スリーブを含む。ロータ接地時、接地スリーブは、バックアップころ軸受の内輪に係合するが、同時に磁気軸受が破損するので、バックアップ軸受が、続くシャットダウン処理の間中、ロータを支持することになる。既存のロータ接地スリーブの形成材料は、NACE規格に準拠しておらず、サワーガス環境による腐食を受ける。
【0012】
磁気軸受ステータは、ロータアセンブリを浮揚させる磁場の磁気源となる、固定構成要素である。ステータ及びロータシャフト間には、空隙が介在する。機械的クリアランスは、ロータシャフト及びステータ間に勿論必要であるが、磁場強度及び浮遊力を最大化するように、典型的には、ほぼミリメートル単位まで、空隙を極力狭くする。空隙が拡大すると、ロータを浮揚させるためには、ステータのコイルにさらなる電流が必要となり、又はステータに直径又は軸長さがさらに必要となり、これら全てにステータ全体の大型化が伴う。ステータの外形寸法に限界があり大型化できない場合、機械的クリアランスとして必要とされる以上に空隙が広ければ、浮遊力は弱くなる。
【0013】
既存のステータは、封入式又は非封入式のいずれかであり、封入ステータについては、「ステータキャン」によって、プロセス環境からステータ構成要素を保護している。既存のステータキャンは、一般的に同一材料で形成され、各々の端部において連結している2本の同軸チューブで構成される。チューブ式キャン区画は、ステータ及びロータシャフト間の空隙に位置する。キャンの材料が非磁性材料である場合、必要とされる機械的クリアランスの上に、さらに磁気空隙が必要となり、支圧強度が低下する。支圧強度を維持するために、チューブ式キャン区画の材料として磁性材料を用いることができる。
【0014】
現在、ステータキャン区画は、NACE規格準拠の磁性合金を組み立てて溶接されている。この磁性合金の典型的な例としては、15〜18重量%のクロム、3〜5重量%のニッケル、及び17−4PH(析出硬化)ステンレス鋼などの3〜5重量%の銅を含有するクロムニッケル合金が挙げられる。NACE規格に完全に準拠するためには、溶接において、600℃超の溶接後熱処理が通常必要である。しかし、封入式電気ステータ構成要素及び既存の製造方法における温度限界のために、熱処理を全く施すことができない。すなわち、溶接は、現在NACE規格に準拠しておらず、サワーガスへの暴露などによる腐食及び破損を受ける。さらに、ステータの構成要素には、センサ、電源線及び計装線などのように、内包できず、プロセスガス環境に曝されるものもある。
【0015】
従来技術である図1を参照し、例示的なターボエキスパンダ型コンプレッサシステムを概略的に示す。参照番号10で示すこのシステムは、ロータシャフト支持用の複数の磁気軸受を有するロータアセンブリ及びステータアセンブリを含む。システム10はまた、ハウジング16の両端にターボエキスパンダ12及びコンプレッサ14を対向させて含む。なお、ハウジング16は、ロータシャフト20支持用の複数の磁気軸受18を内包する。
【0016】
磁気軸受18の各々は、ロータシャフト20周辺に設けられたステータ22を含む。ステータ22は、ステータ極、ステータ積層体、及びステータ巻線(図示せず)を含み、磁場を生成するように配置される。また、ロータシャフト20上には、複数のロータ積層体24が固定されている。なお、ロータ積層体24の各々は、ステータ22の各々に磁気連通的に位置合わせされている。適切に電圧を加えることによって、ステータ22が作用し、ロータ積層体24を引き付け、それによってロータシャフト20が浮揚し、半径方向に配置される。例示されたシステム10はさらに、アキシャル磁気軸受26及び28を含む。なお、アキシャル磁気軸受26及び28は、磁気ロータスラストディスク30への反発を利用して、ロータシャフト20の軸方向に位置合わせされている。ロータシャフトの端部各々には、複数のバックアップころ軸受32が配置されている。なお、バックアップころ軸受32は、磁気軸受が破損したとき、又はシステム10がオフ状態のとき、ロータシャフト16上のロータ接地スリーブ34に係合するよう位置合わせされている。スリーブ34について、幅を拡張し、いかなる軸方向運動にも対応させることで、システム10を、軸方向負荷又はスラスト負荷を許容するよう構成できる。
【0017】
バックアップ軸受32は、ころ軸受であることが典型的である。このような軸受において、内輪及び外輪は、低摩耗性及び長い軸受寿命を備えるために、典型的にはHRC40(Rockwell C−スケール硬度)を超える、高硬度合金鋼である必要がある。しかし、合金鋼は、高硬度特性及び耐食性の両方を満足することが非常に難しい。従って、既存の高硬度合金鋼製の軸受内輪及び外輪は、NACE防食規格に準拠していない。
【0018】
システム10はさらに、制御ユニット(図示せず)と電気的に連通する、複数のセンサ36、電源線及び計装線38を含む。センサ36を典型的には用いて、ロータシャフト20上の軸方向及び半径方向の不連続性を感知する。そして、制御ユニットを通して、シャフトの径方向及び軸方向の変位量を測定し、その結果に基づいてロータシャフト20に必要な磁気浮遊力を生成する。
【0019】
図2に、従来技術の例示的なロータアセンブリ及びステータアセンブリ50の部分断面図を示す。ロータアセンブリ及びステータアセンブリ50は、ロータシャフトアセンブリ52を含む。なお、ロータシャフトアセンブリ52には、ロータシャフト56に取り付けられたロータ積層体54が含まれる。封入ステータアセンブリ60は、ロータシャフトアセンブリ50を取り囲み、またステータフレーム62、磁気ステータ積層体64、及びステータスリーブ68を含む。なお、磁気ステータ積層体64には、導電巻線66が巻き付けられている。また、ステータスリーブ68の厚さは通常、0.05〜5.0mmである。封入ステータアセンブリ60は、壁70で画定される密閉状態のキャン、及びステータスリーブ68を含む。なお、壁70の厚さは、約1cmである。キャンは、様々な接合部72において溶接が施された複数の区画から形成されているが、これらの溶接は、NACE規格に準拠するものではない。なお、他のステータ構成要素である、ステータスロット、極、センサ、電源線及び計装線については、図示していない。空隙80は、ロータシャフトアセンブリ52とステータアセンブリ60とを分離する。ロータシャフト56は、動作中、ステータアセンブリ60が生成する磁場により浮揚する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第6712912B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
腐食環境下に磁気軸受システムを用いるロータアセンブリ及びステータアセンブリへの需要が拡大するにつれ、既存の磁気軸受が抱える上述のような課題の解決が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本明細書には、耐食封入磁石アセンブリ及びその製造方法が開示される。一実施形態では、本発明は封入磁石アセンブリを提供し、このアセンブリは、(a)少なくとも1つの壁を含み且つ少なくとも1つのアパーチャを画定するハウジング内に設けられた磁石と、(b)ハウジングカバーとを含み、ハウジングカバーは、磁性材料からなる第1部分と非磁性材料からなる第2部分を含み且つアパーチャを密閉するように構成され、第1部分が第2部分に固定して取り付けられ、ここで取り付け部分が熱処理されており、ハウジングの壁は、非磁性材料で形成され、ハウジングカバーの第2部分に固定して取り付けられている。
【0023】
代替的な実施形態では、本発明は、封入磁石アセンブリを形成する方法を提供し、この方法は、非磁性材料で形成されたハウジングカバーの第2部分を磁性材料で形成されたハウジングカバーの第1部分に溶接して溶接ハウジングカバーを提供し、続いて、溶接ハウジングカバーを、溶接応力を緩和するのに有用な温度で熱処理する工程と、非磁性材料で形成された少なくとも1つの壁を含み且つ少なくとも1つのアパーチャを画定するハウジング内に磁石を設ける工程と、ハウジングカバーの第2部分がハウジングの壁に固定して取り付けられてアパーチャが密閉されるように、熱処理された溶接ハウジングカバーをハウジングに溶接する工程とを含む。
【0024】
本明細書に開示される構成要素及び方法が有する特徴及び利点は、本明細書に含まれる以下の図面、詳細な説明、及び実施例を参照することによって、より良く理解されよう。
【0025】
以下の図面では、同様の要素は、説明を目的として同様の番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来技術による磁気軸受システムの概略図である。ここでは、例えばエキスパンダ−コンプレッサなどにおける、磁気軸受ロータアセンブリ及びステータを示す。
【図2】従来技術による封入ステータの概略図である。ここでは、ロータアセンブリに対して配置された、NACE規格に準拠しない溶接によるステータキャンを示す。
【図3】ポリマーバリヤ層で被覆されたロータアセンブリの概略図である。
【図4】本発明の1つ又は複数の実施形態の製作工程を示す概略図である。
【図5】ロータシャフト及びロータ接地スリーブに対して設けられた、バックアップころ軸受の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、磁気軸受を含むロータアセンブリ及びステータアセンブリ、並びに腐食環境の使用に適した磁気軸受を組み立てる方法を提供する。その応用によっては、NACE規格に完全に準拠する磁気軸受アセンブリを提供することが望ましい。例えば、NACE規格準拠のロータシャフトアセンブリは、磁性鋼ロータシャフト及びロータ積層体をバリヤフィルムで覆うことで、実現できる。封入ステータアセンブリを採用した磁気軸受システムにおいて、NACE規格準拠のステータキャンは、磁性材料及び非磁性材料を組み合わせて封入状態を創出することで実現可能である。なお、異素材間の接合部においてのみ、溶接時に熱処理が必要となる。同様に、ロータ接地スリーブ、バックアップ軸受の内輪及び外輪、並びに電源線及び計装線は、後述する特定の材料を用いることで、NACE規格に準拠するようにできる。
【0028】
ターボエキスパンダが説明例として用いられるが、本明細書に開示される腐食環境用の磁気軸受は、アキシャル軸受やその他の型式の磁気軸受として、例えばポンプ、コンプレッサ、モータ、発電機、その他のターボ機械にも有用である。
【0029】
図3に、サワーガス又は湿潤サワーガスなどの腐食環境の使用に適した磁気軸受を有するロータアセンブリの一実施形態を示す。ロータシャフトアセンブリ100は、ロータシャフト102、シャフトの周囲に設置されたロータ積層体104、及びロータ接地スリーブ108を含む。本図面においては、バリヤ層106が、ロータシャフトアセンブリの露出面全体に及んでいるが、任意選択的な実施形態では、ロータシャフトアセンブリの特定の領域においてのみ備わっていても良い。例えば、ロータアセンブリで最も腐食を受けやすい領域に特定して、バリヤ層を備えることができる。これには、ロータシャフト、ロータ積層体、又は積層してロータ積層体を形成するのに用いられる穿孔板の特定の領域が含まれる。バリヤ層は、一実施形態では、耐食性が皆無又は乏しいと言われるケイ素鉄(FeSi)製の積層体を含むロータに適用される。NACE規格準拠の17−4PHステンレス鋼などの合金は、本質的に高い耐食性を備えるので、通常、ポリマー表面被覆加工を必要としない。
【0030】
任意選択的に、バリヤ層を塗布する前に、下塗りを施しても良い。下塗り層の厚さの詳細は、使用するバリヤ材の種類によって異なるが、通常、磁気軸受を用いる特定の環境に有用となるように選択される。ポリマー組成及び所望の用途に応じて、層の厚さを最適化することは、当業者には周知である。
【0031】
腐食環境からロータシャフトアセンブリ100を保護するバリヤ層106を形成する適当な材料としては、各種の完全にフッ素化された(すなわちペルフルオロ化された)及び部分的にフッ素化されたポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好適な完全にフッ素化されたポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ−テトラフルオロエチレン共重合体(PFA)、及びフッ素化エチレン−プロピレン共重合体(FEP)などが含まれる。PFAは、テトラフルオロエチレン[CF2=CF2]とペルフルオロアルキルビニルエーテル[F(CF2nCF2OCF=CF2]との共重合体である。結果として得たポリマーは、ペルフルオロアルコキシ側鎖を有するPTFE特有のフッ化炭素骨格鎖を含む。バリヤ層として適当なPFAの典型的な構造の一つとして、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)が挙げられる。部分的にフッ素化されたポリマーには、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)が含まれる。
【0032】
また、ウィットフォードコーポレーション(Whitford Corporation)より発売の商品名キシラン(商標)(Xylan)、及びデュポン社(Dupont)より発売のテフロン(商標)(Teflon)、テフロンS(商標)(Teflon−S)といったフッ素重合体組成物も、バリヤ層材料として有効である。キシラン(商標)被覆材は、PTFE、PFA及びFEPを、テフロン(商標)被覆材は、PTFE、PFA、FEP及びETFEフッ化炭素樹脂を組成の一部として含む。テフロンS(商標)は、フッ化炭素族に近い被覆材であって、硬度、耐摩耗性、及びその他所望の特性を付与する結合樹脂を含む。
【0033】
バリヤ層の形成に有効なその他の有機材料としては、例えばエポキシ樹脂粉、充填エポキシ樹脂、充填シリコン、及び充填ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)が挙げられる。代表的な熱硬化性エポキシ樹脂粉被覆材として、3Mコーポレーション(3M Corporation)より発売のスコッチコート(商標)(Scotchkote)134及びスコッチコート(商標)(Scotchkote)6258が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
スコッチコート(商標)134融着エポキシ被覆材(FBEC)は、単一樹脂の熱硬化性エポキシ被覆材であって、組成の一部としてジ(4−ヒドロキシフェノール)イソプロピリデンジグリシジルエーテル−ジ(4−ヒドロキシフェノール)イソプロピリデン共重合体を含む。スコッチコート(商標)6258融着エポキシ被覆材(FBEC)は、単一樹脂で熱硬化性エポキシ被覆材であって、組成の一部としてジ(4−ヒドロキシフェノール)イソプロピリデンジグリシジルエーテル−ジ(4−ヒドロキシフェノール)イソプロピリデン共重合体、及びエピクロロヒドリン−o−クレゾール−ホルムアルデヒド重合体の混合物を含む。乾燥粉末状態のスコッチコート(商標)134及びスコッチコート(商標)6258を、25.4μm(1ミル)のフェノール下塗り樹脂上に任意選択的に塗布し、150〜250℃の温度で最長30分間、254〜381μm(10〜15ミル)の厚さに熱硬化させる。
【0035】
図3に示すバリヤ層106を形成するために有効な材料としてはさらに、酸化物、リン酸塩、クロム酸塩などの化成被覆材、具体的には、サーマテック社(Sermatech)より発売の商品名サーマロン(商標)(Sermalon)、サーマロイ(商標)(Sermaloy)、サーマガード(商標)(Sermagard)、及びサーメテル(Sermatel)(商標)が挙げられる。
【0036】
サーマロン(商標)は、アルミニウム主体のクロム酸塩/リン酸塩接着被覆材、高温重合阻害被覆材による中塗り、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)含浸の上塗りを含む、施工厚さが100〜150μmの被覆系である。サーマロイ(商標)は、高濃度シリコン外層を有するニッケルアルミナイド金属間化合物である。サーメテル(商標)は、無機被覆材の一種であり、金属/セラミックス複合材料を形成する金属に接着される。サーマガード(商標)は、セラミック結合剤を用いた、アルミニウムを含有する水ベースの被覆材である。
【0037】
ポリマーバリヤ層106の厚さは、2〜600μm(0.079〜23.6ミル)である。
【0038】
ポリマーバリヤ層106は、分散液状又は粉状で、担体(すなわち、ロータアセンブリの全体又は特定の領域)に、任意選択的には下塗り層を覆って、塗布可能である。分散液(水又は溶剤懸濁液にポリマー材料が含まれたもの)は、スプレー及び焼付け法によって塗布できる。なお、この方法は、分散液が担体に噴霧された後に、分散液中に含まれるポリマー材料の溶融温度を超えて加熱する、というものである。既知の粉末状ポリマー材料を塗布する方法の例として、静電ガン、静電流動床又は電着ガンなどを用いて、粉末を担体上に噴霧する方法が挙げられる。別の例としては、粉末をポリマー材料の溶融温度超に熱した担体に噴霧して塗工層を形成する溶射法、又は、担体を回転させながら、炉熱などで担体及び粉末をポリマー材料の溶融温度超まで熱し、均質な塗工層を担体上に形成する「ロトライニング」と呼ばれる方法が挙げられる。
【0039】
上述のように、バリヤ層106は、ロータシャフトアセンブリ100上の少なくとも一つの所望の露出表面に施される。なお、この露出表面には、ロータ積層体104、ロータシャフト102、ロータ接地スリーブ108、その他のロータアセンブリ表面、又は完成形であるロータ100によって画定される1つ又は複数の表面が含まれ得る。ロータアセンブリの一部又は全体を保護被覆材で覆うことで、サワーガス環境への暴露によって生じ得る腐食などを阻止することが目的である。
【0040】
ロータシャフトアセンブリの構成要素は、磁性鋼で形成されることが典型的である。一実施形態において、ロータ積層体は、ケイ素鉄(FeSi)製であり、ポリマーバリヤにより被覆される。
【0041】
別の実施形態において、ロータ積層体は、40〜90重量%のニッケルをその総重量に対して含有する耐水素性ニッケル基合金を含むバリヤ層で被覆される。なお、記号X及びYを数字とすると、「X〜Y重量%」という表現は、「X重量%〜Y重量%」を表すものとする。特に、耐水素性ニッケル基合金として、ヘインズインターナショナル社(Haynes International)より発売の、ハステロイ(登録商標)(HASTELLOY)C22(登録商標)が挙げられる。このニッケル基合金は、その総重量に対して、約56重量%のニッケル、約2.5重量%のコバルト、約22重量%のクロム、約13重量%のモリブデン、約3重量%のタングステン、約3重量%の鉄、約0.5重量%のマンガン、約0.08重量%のシリコン、約0.35重量%のバナジウム、及び約0.010重量%の炭素を含有する。
【0042】
別の実施形態において、ロータシャフトは、磁性鋼である17−4PHステンレス鋼合金、10〜20重量%のクロムをその総重量に対して含有する析出硬化マルテンサイトステンレス鋼で形成され、さらに銅−ニオブが添加される。より詳細には、析出硬化マルテンサイトステンレス鋼は、その総重量に対して、約16.5重量%のクロム、約4.5重量%のニッケル、約3.3重量%の銅、約0.3重量%のニオブを含有する。磁性鋼は、小型ロータシャフトアセンブリ形成に有効である。ポリマーバリヤ層又は任意選択のハステロイ(登録商標)C22(登録商標)被覆材をロータ積層体上に適用することで、サワーガスへの暴露による腐食への耐性をさらに強化できる。しかし、17−4PH合金などのタイプのサワーガス耐性を有する合金を使用すると、例えばケイ素鉄合金(FeSi)に比べて、ロータの磁気特性に影響が及んで電磁損失が増加し、特にAPI(米国石油協会)規格が組立機械分野において定める外気試験において大きな問題が生じる。外気は、加圧プロセスガスに比べて、著しく低気圧であるので、冷却能力が低い。さらに、その温度特性及び輸送特性が、多くのプロセスガスに比べて劣るので、さらに冷却能力が減少する。そこで、ロータ寸法の大型化により露出表面領域を拡大することで、ロータ表面における熱流束を低減し、冷却能力向上を図ることも考えられる。しかし、これは、対象とする用途において磁気軸受の引力を減少させる。ロータ寸法を拡大させない場合、ロータ表面における熱流束は1W/cm2(6.45W/in2)超となり、外気試験においては、温度が異常に上昇し、積層ロータ断熱材の許容温度を容易に超えてしまう。これらの問題全てに直面しないようにするには、空気又はその他のガス(窒素など)を十分に加圧した条件下、及び/又は軸受構成要素の適正温度を維持するのに十分低い温度条件下において、組立機械を試験すると良い。しかし、必要とみなす圧力及び温度の精密な兼ね合いは、ロータの設計により異なり、試験条件下におけるロータの損失を予測する技量を必要とする。ロータ積層体の製作には、ウェスタンエレクトリック社(Western Electric Company)より発売のパーマロイ(商標)(PERMALLOY)、及びアレゲニー・ラドラム社(Allegheny Ludlum Corporation)より発売のモリパーマロイ(商標)(MOLY PERMALLOY)といった17−4PH合金以外の合金、低炭素マルテンサイトステンレス鋼、又はその他同様の材料を用いることも可能である。パーマロイ(商標)及びモリパーマロイ(商標)は、その総重量に対して、約80重量%のニッケル、約14重量%の鉄、約4.8重量%のモリブデン、約0.5重量%のマンガン、約0.3重量%のシリコンを含有する。低炭素マルテンサイトステンレス鋼は、その総重量に対して、約11.5〜17.0重量%のクロム、約3.5〜6.0重量%のニッケル、及び0.060重量%未満の炭素を含有する。
【0043】
図3に示すロータ接地スリーブ108は、別の実施形態において、40〜70重量%のコバルトをその総重量に対して含有するコバルト基超合金鋼で形成される。コバルト基超合金鋼を用いると、有利にNACE規格準拠のロータ接地スリーブを形成できる。具体的には、適当なコバルト基超合金鋼としては、これらに限定されないが例えば、ヘインズインターナショナル社より発売の、アルティメット(登録商標)(ULTIMET)及びヘインズ(商標)(HAYNES)6Bが挙げられる。アルティメット(商標)は、その総重量に対して、約54重量%のコバルト、約26重量%のクロム、約9重量%のニッケル、約5重量%のモリブデン、約3重量%の鉄、約2重量%のタングステン、約0.8重量%のマンガン、約0.3重量%のシリコン、約0.8重量%の窒素、約0.06重量%の炭素を含有する。ヘインズ(商標)6Bは、その総重量に対して、約51重量%のコバルト、約10重量%のニッケル、約20重量%のクロム、約15重量%のタングステン、約3重量%の鉄、約1.5重量%のマンガン、約0.4重量%のシリコン、約0.10重量%の炭素を含有する。また、コバルト基超合金鋼に適当なクロム被覆材として、アーモロイ社(Armoloy Corporation)より発売の商品名アーモロイ(登録商標)(Armoloy)が挙げられる。アルティメット(登録商標)及びヘインズ(商標)6B合金は、主組成としてコバルト、クロム及びニッケルを含む。これらコバルト基超合金には、極めて高いトライボロジー特性が認められるので、磁気軸受の故障が原因となり、ロータシャフトがバックアップころ軸受に落下する際の、ロータシャフト表面の損傷を防ぐことができ、同時に耐食性の要件も満たす。さらに、MP35N合金など、ニッケル−コバルト基合金には、加工硬化及び熟成により硬度及び剛性が向上するものもあり、NACE規格準拠に適当である。
【0044】
図5に、バックアップころ軸受200の概略図を示す。この軸受200は、ロータシャフト202及び接地スリーブ204に対する、内輪208及び外輪206を含む。別の実施形態において、バックアップころ軸受の内輪及び外輪は、窒素マルテンサイト系ステンレス鋼製であり、その総重量に対して、10〜20重量%のクロム、0.1〜1.0重量%の窒素を含有する。なお、典型的な組成は、その総重量に対して、約0.25〜0.35重量%の炭素、約0.35〜0.45重量%の窒素、約0.5〜0.6重量%のシリコン、約14.5〜15.5重量%のクロム、及び約0.95〜1.05重量%のモリブデンである。入手可能な窒素マルテンサイト系ステンレス鋼としては、バーデン社(Barden Corporation)製クロニドール30(商標)(Cronidur−30)又は米国SKFベアリング社(SKF Bearings USA)製VC444が挙げられ、これらはバックアップころ軸受内輪及び外輪として使用するのに十分な高硬度(HRC55よりも高い)且つ優れた耐食性を実現している。
【0045】
さらに別の実施形態において、所望の表面をバリヤ材料で被覆することで、様々なステータ構成要素を腐食ガス環境から保護できる。なお、所望の表面には、ステータキャン表面、電源線、計装線、ステータセンサ、及びステータスリーブが含まれる。これは、非封入ステータアセンブリに有効である。
【0046】
別の実施形態において、本明細書に開示の試験方法として、実使用前に工場環境下で、ロータ表面に、1W/cm2(6.45W/in2)超の熱流束、及び空気又はその他の不活性ガス(石油生産工程で生じるメタンガス又は天然ガス以外のガス)の加圧雰囲気を条件に与え、小型磁気軸受を動作させて試験する。空気又はその他の不活性ガスは、冷却装置又は熱交換器で予冷してから、或いは任意選択として低温流体を所望の温度及び圧力に上昇させてから、磁気軸受へ導入する。なお、雰囲気温度の範囲は、−260〜40℃である。また、熱除去能力を向上させるとともにロータ温度を技術的許容温度に維持できる圧力は、2バール以上である。
【0047】
上述のように、ロータアセンブリ及びステータアセンブリは、本明細書において「ステータキャン」とも称する、封入ステータアセンブリを含み得る。一実施形態において、磁性鋼合金及び非磁性鋼合金を組み合わせて、NACE規格に準拠する材料及び溶接によるステータキャンを構成する。磁性鋼合金は、ステータキャンにおいて、ステータスリーブなど、その電磁特性が望まれる領域に用いられる。また、インコネルなどの非磁性鋼は、良好な耐食性を備え、溶接後熱処理が不要であることから、磁気特性が不要な領域に用いられる。
【0048】
一実施形態において、封入ステータに用いる磁性鋼合金は、10〜20重量%のクロムをその総重量に対して含有する析出硬化マルテンサイトステンレス鋼を含む。このステンレス鋼は、詳細には、その総重量に対して、約16.5重量%のクロム、約4.5重量%のニッケル、約3.3重量%の銅、約0.3重量%のニオブを含有する。
【0049】
一実施形態において、封入ステータに用いる非磁性材料は、40〜70重量%のニッケルをその総重量に対して含有するニッケル基合金を含む。この合金は、詳細には、その総重量に対して、約58重量%のニッケル、約21.5重量%のクロム、約9重量%のモリブデン、約5重量%の鉄を含有する。
【0050】
一実施形態において、本発明は、ハウジング内に設けられた磁石を含む封入磁石アセンブリを提供する。ハウジングは、少なくとも1つの壁を含み、少なくとも1つのアパーチャを画定する。封入磁石アセンブリは、磁性材料からなる第1部分と非磁性材料からなる第2部分とを含むハウジングカバーも有する。ハウジングカバーは、アパーチャを密封するように構成される。ハウジングの第1部分は、ハウジングの第2部分に固定して取り付けられる。ここで、この取り付け部分(溶接線など)は、熱処理されることにより、取付け部分(本明細書では接合部と称することもある)の残留応力を減少させる。ハウジングの壁は、非磁性材料で形成され、ハウジングカバーの第2部分に固定して取り付けられる。
【0051】
ハウジングは、所望のいかなる形状であってもよい。例えば、ハウジングは、1つの壁と2つの環状アパーチャを有する円筒、5つの壁と1つのアパーチャを有する箱、1つの壁と1つのアパーチャを有する円錐、1つの壁と1つのアパーチャを有する部分円錐、1つの壁と2つのアパーチャを有する部分円錐、1つの壁と1つもしくは複数のアパーチャを有する部分球、又は非理想形状で1つもしくは複数のアパーチャを有していてもよい。ハウジングカバーは、アパーチャを密封するために、アパーチャの適切な対をなす。一実施形態では、ハウジングカバーは、ディスクを構成する(円筒形状ハウジング又は円錐形状ハウジングの対をなす)。代替的な実施形態では、ハウジングカバーは、平らな長方形である(箱形状ハウジングの対をなす)。さらに別の実施形態では、ハウジングカバーは、ノーズコーンである(部分円錐形状ハウジングの対をなす)。別の実施形態では、ハウジングカバーは、部分球である(部分球形状ハウジングの対をなす)。さらに別の実施形態では、ハウジングカバーは、非理想形状であり、非理想形状であるアパーチャの適切な対をなす。
【0052】
一実施形態では、本発明は、酸化鉄を含むセラミック複合材料、炭酸バリウムと炭酸ストロンチウムを含むセラミックマトリックスなどの永久磁石を備える封入磁石アセンブリを提供する。代替的な実施形態では、本発明は、電磁石であるステータなどの、電磁石を含む封入磁石アセンブリを提供する。
【0053】
封入磁石アセンブリは、例えば電動機内の電磁石などの様々な用途に使用可能である。各種用途において、本発明によって提供される封入磁石アセンブリは、固定式であってもよく回転式であってもよい。例えば、本発明によって提供される封入磁石アセンブリは、電動機内のステータとして使用される場合、非回転式(固定式)封入磁石アセンブリとして構成されているといえる。封入磁石アセンブリは、例えばコンプレッサのロータなどの機械システムの可動構成要素に装着される場合、回転式封入磁石アセンブリとして構成されているといえる。
【0054】
本発明によって提供される封入磁石アセンブリは、ロータなどの、磁気感受性が高い回転装置の構成要素を駆動するのに特に有用である。各種実施形態では、封入磁石アセンブリは、ロータと連動して使用されてもよく、この実施形態では、封入磁石アセンブリは、磁気感受性が高いロータを駆動するように構成されたステータとして機能する。本発明によって提供される封入磁石アセンブリ(すなわちステータ)と磁気感受性が高いロータとの組み合わせは、本明細書ではステータ−ロータアセンブリと称されることがある。ステータの作用を受けるロータが、ステータによって少なくとも部分的に画定されるキャビティ内に設けられる場合、封入磁石アセンブリは、アウトサイドイン型ステータ−ロータアセンブリの構成要素であるといえる。代替的に、ロータに作用するステータが、ロータによって少なくとも部分的に画定されるキャビティ内に設けられる場合、封入磁石アセンブリは、インサイドアウト型ステータ−ロータアセンブリの構成要素であるといえる。
【0055】
一実施形態では、ロータ自身は、磁気感受性が高い(すなわち、磁場の影響下で回転制御又は平行移動制御に感受性が高い)ものではないが、ロータに磁気感受性を付与する1つ又は複数の付属物を含む。従って、磁気感受性の無いロータには、例えば本発明によって提供される封入磁石アセンブリなどの1つ又は複数の磁気構成要素が取り付けられ、これによりロータに磁気感受性が付与される。一実施形態では、本発明は、「アキシャル」型ステータ−ロータアセンブリの構成要素である封入磁石アセンブリを提供する。このような実施形態では、封入磁石アセンブリ及びその磁気相補物が、ロータ軸に対して非平行に、例えばロータ軸に直交して、配置される。一実施形態では、ロータは、ロータ軸に直交し且つロータに取り付けられた1つ又は複数の封入磁石アセンブリを備え、例えば磁気スラスト軸受においては、ロータを回転軸の中心としてロータに取り付けられたリングとして構成される永久磁石である第1封入磁石アセンブリと、ロータに直交し且つ第1封入磁石アセンブリに平行に配置されたステータとして機能する第2固定封入磁石アセンブリとを備える。上記の例において、第1封入磁石アセンブリは、ロータ軸に沿ったロータの平行移動を制御する第2固定封入磁石アセンブリの磁気相補物を例示し、アキシャル型ステータ−ロータアセンブリの例として機能する。
【0056】
本発明は、一実施形態において、本発明の1つ又は複数の封入磁石アセンブリを含む磁気軸受を提供する。例えば、上述の磁気スラスト軸受又は磁気軸受は、封入磁石アセンブリを含み、そのハウジングは、非磁性材料からなるスリーブ(スリーブハウジング)として構成される。スリーブハウジングは、ロータシャフトと連動するように構成され、内部キャビティとアパーチャを画定する。スリーブハウジングは、内部キャビティ内且つアパーチャに近接して設けられた磁石を含む。磁性材料からなる第1部分と非磁性材料からなる第2部分を含むハウジングカバーは、アパーチャを密封する。第1部分は第2部分に固定して取り付けられ、ここで取り付け部分が熱処理され、スリーブハウジングはハウジングカバーの第2部分に固定して取り付けられる。内部キャビティ内に設けられる磁石は、電磁石であってもよく、永久磁石であってもよい。
【0057】
上述の如く、本発明は、封入磁石アセンブリを形成する方法も提供する。この方法は、非磁性材料で形成されたハウジングカバーの第2部分を磁性材料で形成されたハウジングカバーの第1部分に溶接して溶接ハウジングカバーを提供し、続いて、溶接ハウジングカバーを、溶接応力を緩和するのに有用な温度で熱処理する工程と、非磁性材料で形成された少なくとも1つの壁を含み且つ少なくとも1つのアパーチャを画定するハウジング内に磁石を設ける工程と、ハウジングカバーの第2部分がハウジングの壁に固定して取り付けられてアパーチャが密閉されるように、熱処理された溶接ハウジングカバーをハウジングに溶接する工程とを含む。
【0058】
本開示を読んだ当業者には明らかであるが、磁石は、永久磁石であってもよく、電磁石であってもよい。本発明によって提供されるこの方法の大きな利点は、ハウジング内に設けられた熱感受性の高い永久磁石又は電磁石が、溶接応力を緩和するために必要とされる高温に暴露される必要がないことである。
【0059】
図4を参照すると、この図は、本発明によって提供される1つ又は複数の封入磁石アセンブリを製作する方法を概略的に示す。方法150は、接合部156で、ハウジングカバーの第2部分152とハウジングカバーの第1部分154とを溶接することを含む。ハウジングカバー上又は付近に熱感受性構成要素を設ける前に、磁性材料からなる第1部分と非磁性材料からなる第2部分とを含む複合材料ハウジングカバーを形成すると、溶接された複合材料を溶接後熱処理し、溶接領域及び全ての熱影響域にHRC33未満という低硬度を保証できるので、NACE規格準拠の溶接を達成できる。この溶接は、異種材料どうしの溶接による応力を軽減する溶接後熱処理が可能な、いかなる従来の溶接方法によってなされてもよい。一実施形態では、接合部156の領域にHRC33未満の硬度が実現される。溶接方法としては例えば、自走式電子ビーム溶接、フィルタを用いた電子ビーム溶接、レーザ溶接、TIG(タングステン不活性ガス)溶接、MIG(金属不活性ガス)溶接、アーチ溶接、トーチ溶接、及びこれらの中のいずれかを組み合わせた方法が挙げられる。
【0060】
図4に示される1つ又は複数の実施形態では、ハウジングカバーは第1部分区画154と第2部分区画152とを含み、第2部分152は、第1部分154の外周を画定する接合部156で、第1部分154の縁部につなぎ合わされる。上述した如く、第1部分154は磁性材料からなり、第2部分152は非磁性材料からなる。一実施形態では、非磁性材料は、超合金鋼であり、17−4PH系磁性鋼を含む第1部分154に溶接される。一実施形態では、第2部分は、40〜70重量%のニッケルをその総重量に対して含有するニッケル基合金を含む非磁性超合金鋼からなる。別の実施形態では、第2部分は、インコアロイ社(Inco Alloys International)より市販されているインコネル625(登録商標)(Inconel 625)を含むニッケル基合金からなる。なお、インコネル625(登録商標)は、約58重量%のニッケル、約21.5重量%のクロム、約9重量%のモリブデン、約5重量%の鉄を含有する。かかる第2部分に溶接されたかかる第1部分を含むハウジングカバーは、接合部156でNACE規格に準拠するよう熱処理されてもよい。
【0061】
溶接後熱処理として適当な方法としては、NACE MR0175による2段硬化法、すなわち(1)1040±14℃で加熱溶体化し、32℃未満まで空冷又は液体急冷した後、620±14℃で4時間以上加熱し、32℃未満まで空冷又は液体急冷(第1析出硬化サイクル)し、さらにもう1度、620±14℃で4時間以上加熱し、32℃未満まで空冷又は液体急冷(第2析出硬化サイクル)する方法、又は(2)1040±14℃で加熱溶体化し、32℃未満まで空冷又は液体急冷した後、760±14℃で4時間以上加熱し、32℃未満まで空冷又は液体急冷(第1析出硬化サイクル)し、さらにもう1度、620±14℃で2時間以上加熱し、32℃未満まで空冷又は液体急冷(第2析出硬化サイクル)する方法の、いずれか一つの熱サイクルである。
【0062】
一実施形態では、本発明によって提供される封入磁石アセンブリは、ハウジング内に設けられた電磁石を含む。従って、図4に示される実施形態において、電磁石は、ステータフレーム160などのステータ構成要素を含むステータである。なお、ステータフレーム160は、導電巻線162が巻き付けられた磁気ステータ積層体158を備えており、この磁気ステータ積層体158は、磁性部分154と非磁性部分152とを含む熱処理された溶接ハウジングカバーに取り付けられる。ハウジングキャンは、接合部166で複数のハウジングの壁164を互いに溶接することで組み立てることができ、ハウジングカバーの形状に相補的なアパーチャを画定するハウジングが完成される。ハウジングの壁164は、上述のインコネル(商標)625超合金鋼などの、ハウジングカバー第2部分152で使用された材料と同一又は同様の非磁性材料(例えば、非磁性鋼)で形成される。ハウジングカバーの第2部分152が接合部166でハウジングの壁164に溶接されてアパーチャを密閉することが可能となるように、ハウジングカバーがアパーチャに組み合わされる。ハウジングの壁164とハウジングカバーの第2部分152が同一又は同様の材料からなるために、接合部166での溶接がNACE規格に準拠しており、NACE規格準拠のために溶接後熱処理を必要としない。こうして、NACE規格に準拠した、内部のステータ電気部品が熱損傷することのない封入ステータキャンが組み立てられる。
【0063】
本発明によって提供される封入磁石アセンブリに、図4に示される実施形態の如く電磁石が含まれる場合、電源線及び計装線を、ハウジング内の電磁石構成要素に取り付け、1つ又は複数のハウジングの壁を横断する電線管(図4では図示せず)を介して、ハウジングの外に配された電源ユニット及び計装ユニットと連通させてもよい。耐食性を最大限に発揮するためには、これらの電源線及び計装線の露出部分を、NACE規格に準拠させることができる。従って、ハウジング内に設けられた電磁石と電気的に連通する電源線及び計装線は、導電性材料を取り囲む非磁性耐食合金製のワイヤスリーブを含んでもよい。NACE規格準拠の材料、例えばインコネル合金は、好適なワイヤスリーブの材料として機能することができる。ワイヤスリーブは、加圧条件下で優れた電気絶縁性を発揮する酸化マグネシウム(MgO)などの絶縁セラミック材料で絶縁された導電体を内包する。
【0064】
以下の例は、上記に一般的に記載された方法の範囲内に含まれ、その方法を例示するものである。ただし、これらの例はあくまでも説明を目的としたものであり、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
本実施例では、スコッチコート(商標)6258熱硬化性エポキシをバリヤ被覆材として、各金属試料に粉末被覆し、300〜327μmの施工厚さに熱硬化させた。なお、この施工部分は、粉末を適用する前に150〜246℃に予熱しておいた。その後、粉末を177℃で30分間硬化させた。これら試料をオートクレーブ装置にプロセスガスを用いて試験することで、被覆材のサワーガス環境への適合性を判定した。一連の試験は、温度が30〜130℃の範囲で、また天然ガス中の硫化水素量が6,000〜20,000ppmの範囲で、水分レベルが50ppm〜飽和量の範囲で変化する環境下で行われた。
【0066】
硫化水素及び79℃未満の水に曝した試料からは、腐食の形跡は全く検出されなかった。
(実施例2)
本実施例では、外径約2〜3インチの小型ロータに、スコッチコート(商標)134を粉末被覆した。なお、ロータは、粉末を適用する前に150〜246℃に予熱しておいた。その後、粉末を177℃で30分間硬化させ、300〜327μmの施工厚さにした。これらの試料もまたオートクレーブ装置にプロセスガスを用いて試験することで、被覆材のサワーガス環境への適合性を判定した。
【0067】
温度80℃で、また6,000〜20,000ppmの高レベル硫化水素下で、50ppm〜飽和量の範囲の水分レベルに曝した試料からは、腐食の形跡は全く検出されなかった。
(実施例3)
本実施例では、2つの標準的なサイズのロータに、サーマロン(商標)を178〜406μm(7〜16ミル)の施工厚さに被覆した。これらのロータを製造環境下で試験した。これらの製造ロータをその場で実装したところ、被覆材は腐食性作動ガス環境下で2000時間を超えて耐え、その下層の金属構成要素をサワーガスから保護した。試料からは、腐食の形跡は全く検出されなかった。
(実施例4)
本実施例では、バックアップ軸受輪の代表的材料であるクロニドール30を試料として、NACEによる環境試験を行った。材料について、バックアップ軸受輪にかかる標準的応力下、NACE TM0177溶液A浴による、720時間の耐久リング試験を行ったところ、腐食の形跡は全く検出されなかった。
(実施例5)
本実施例では、バックアップ軸受接地スリーブの代表的材料であるヘインズ6−Bを試料として、NACEによる環境試験を行った。材料について、バックアップ軸受接地スリーブにかかる標準的応力下、NACE TM0177溶液A浴による、720時間の耐久リング試験を行ったところ、腐食の形跡は全く検出されなかった。
(実施例6)
本実施例では、ステータキャン溶接部の代表的材料であるインコネル625及び17−4PHを溶接試料として用い、NACEによる環境試験を行った。材料について、ステータキャンにかかる標準的応力下、NACE TM0177溶液A浴による、720時間耐久リング試験を行ったところ、腐食の形跡は全く検出されなかった。
【0068】
上述の種々の実施例を組み合わせて、サワーガス環境への暴露といった腐食要因に対して、優れた耐久性を発揮する磁気軸受を提供することが可能である。
【0069】
特に断りが無い限り、数詞がないことや「前記、その」という用語は複数の場合も含まれる。同じ特徴的構成やコンポーネントに用いられるすべての範囲の終点は、独立して組み合わせ可能であり、記載された終点が包括的に含まれる。
【0070】
以上、本明細書では、好ましい実施形態を含めて例を用いて本発明を説明した。当業者であれば、本発明を実施可能であり、これには、デバイスやシステムの製作及び使用、また組み込まれた方法の実施が含まれる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が考えつくその他の例も含みうる。このようなその他の例は、特許請求の範囲の記載通りの意味と同じ構成要素を有している場合、又は特許請求の範囲の記載通りの意味と実質的な違いがない同等の構成要素を含む場合には、特許請求の範囲内であることを意図するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入磁石アセンブリであって、
(a)少なくとも1つの壁を含み且つ少なくとも1つのアパーチャを画定するハウジング内に設けられた磁石と、
(b)ハウジングカバーとを含み、
前記ハウジングカバーは、磁性材料からなる第1部分と非磁性材料からなる第2部分を含み且つ前記アパーチャを密閉するように構成され、前記第1部分が前記第2部分に固定して取り付けられ、ここで取り付け部分が熱処理されており、
前記ハウジングの壁は、前記非磁性材料で形成され、前記ハウジングカバーの前記第2部分に固定して取り付けられている、封入磁石アセンブリ。
【請求項2】
前記磁石は永久磁石である、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項3】
前記磁石は電磁石である、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項4】
回転式封入磁石アセンブリとして構成される、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項5】
非回転式封入磁石アセンブリとして構成される、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項6】
アウトサイドイン型ステータ−ロータアセンブリの構成要素である、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項7】
インサイドアウト型ステータ−ロータアセンブリの構成要素である、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項8】
アキシャル型ステータ−ロータアセンブリの構成要素である、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項9】
前記第1部分の磁性材料は、10〜20重量%のクロムをその総重量に対して含有する析出硬化マルテンサイトステンレス鋼を含む、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項10】
前記非磁性材料は、40〜70重量%のニッケルをその総重量に対して含有するニッケル基合金を含む、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項11】
前記ハウジングの壁に取り付けられたステータフレームと、導電巻線が巻き付けられ且つ前記ハウジングカバーの前記第1部分と磁気的に連通する磁気ステータ積層体とを含むステータである、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項12】
前記ハウジング内に設けられた電磁石と電気的に連通する電源線及び計装線をさらに含み、前記電源線及び計装線は、導電性材料を取り囲む非磁性耐食合金製である、請求項1に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項13】
請求項1に記載の前記封入磁石アセンブリを含む磁気軸受。
【請求項14】
封入磁石アセンブリであって、
(a)少なくとも1つの壁を含み且つ少なくとも1つのアパーチャを画定するハウジング内に設けられた電磁石と、
(b)ハウジングカバーとを含み、
前記ハウジングカバーは、磁性材料からなる第1部分と非磁性材料からなる第2部分を含み且つ前記アパーチャを密閉するように構成され、前記第1部分が前記第2部分に固定して取り付けられ、ここで取り付け部分が熱処理されており、
前記ハウジングの壁は、前記非磁性材料で形成され、前記ハウジングカバーの前記第2部分に固定して取り付けられている、封入磁石アセンブリ。
【請求項15】
請求項14に記載の封入磁石アセンブリを含む磁気軸受。
【請求項16】
回転式封入磁石アセンブリとして構成される、請求項14に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項17】
非回転式封入磁石アセンブリとして構成される、請求項14に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項18】
アウトサイドイン型ステータ−ロータアセンブリの構成要素である、請求項14に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項19】
インサイドアウト型ステータ−ロータアセンブリの構成要素である、請求項14に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項20】
アキシャル型ステータ−ロータアセンブリの構成要素である、請求項14に記載の封入磁石アセンブリ。
【請求項21】
封入磁石アセンブリであって、
(a)少なくとも1つの壁を含み且つ少なくとも1つのアパーチャを画定するハウジング内に設けられた永久磁石と、
(b)ハウジングカバーとを含み、
前記ハウジングカバーは、磁性材料からなる第1部分と非磁性材料からなる第2部分を含み且つ前記アパーチャを密閉するように構成され、前記第1部分が前記第2部分に固定して取り付けられ、ここで取り付け部分が熱処理されており、
前記ハウジングの壁は、前記非磁性材料で形成され、前記ハウジングカバーの前記第2部分に固定して取り付けられている、封入磁石アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−197929(P2012−197929A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−233554(P2011−233554)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】