説明

封止ガラス、封止ガラスを備えた有機EL表示装置および有機EL表示装置の製造方法

【課題】封止ガラスの有機EL素子側の気体/固体界面における光の反射を防止することができる封止ガラスを提供する。
【解決手段】封止ガラス30は、ガラス基板31と、ガラス基板31の一側の面31a上に形成され、耐熱性材料36からなる反射防止膜32と、を備えている。反射防止膜32は、凹凸形状からなるモスアイ構造部34を有している。また反射防止膜32の耐熱性材料36は、シロキサン樹脂を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封止ガラスに係り、とりわけ、有機EL素子を外部環境から封止するための封止ガラスに関する。また本発明は、封止ガラスを備えた有機EL表示装置、および有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、平面ディスプレイ等の分野において、陽極と陰極との間に有機発光層を挟持して構成された有機EL層を利用して映像光を放射する有機EL表示装置が提案されており、その応用研究が盛んに行われている。しかしながら、有機発光層は周囲に存在する水分および酸素の影響を受けやすく、このため有機EL表示装置内に水分および酸素が入り込むと、有機EL表示装置の発光性能が劣化するという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するため、有機EL表示装置を封止するための様々な方法が提案されている。例えば特許文献1において、有機EL層を有する有機EL素子に対向するよう封止ガラスを配置し、そして、有機EL素子と封止ガラスとの間をガラスフリットにより封止する方法が提案されている。
【0004】
ガラスフリットによる封止が用いられる場合、一般に、まずガラスフリットと適切な溶液とを混合してガラスペーストを作製し、次にガラスペーストを封止ガラスの外縁に沿って封止ガラス上に塗布する。その後、ガラスペーストが塗布された封止ガラスを、ガラスフリットの軟化点よりも高い温度、例えば400℃以上の温度で所定時間焼成する。これによって、封止ガラス上にガラスフリットからなる封止部が形成される。次に、封止ガラスと有機EL素子とを組み合わせ、その後、封止部を加熱して溶融させることにより、封止部が有機EL素子に融着される。このようにして、有機EL素子と封止ガラスとの間が封止される。この際、有機EL素子と封止ガラスとの間には不活性ガスが封入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−517446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トップエミッション型の有機EL表示装置においては、有機EL素子の有機EL層から放射された光が、封止ガラスを通って観察者側に到達する。ところで上述のように、有機EL素子と封止ガラスとの間には一般に不活性ガスが封入されている。このため、光が封止ガラスの有機EL素子側の面に入射する際、光が気体/固体(ガラス)の界面を通過することになる。この場合、封止ガラスの屈折率を考慮すると、約4%の反射がこの気体/固体の界面において発生し、これによって光の利用効率が低くなってしまうことが考えられる。
【0007】
気体/固体の界面における光の反射を防止するための手段として、ガラス上に、ガラスよりも低い屈折率を有する低屈折率材料からなる低屈折率層を設けることが知られている。しかしながら、従来知られている低屈折率層は、十分な耐熱性を有しておらず、このため、従来知られている低屈折率層は、ガラスペーストの焼成工程に耐えることができないと考えらえる。
【0008】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る封止ガラス、封止ガラスを備えた有機EL表示装置および有機EL表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、有機EL表示装置で用いられる封止ガラスにおいて、ガラス基板と、前記ガラス基板の一側の面上に形成され、耐熱性材料からなる反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、凹凸形状からなるモスアイ構造部を有し、前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂を含むことを特徴とする封止ガラスである。
【0010】
本発明による封止ガラスにおいて、前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物をさらに含み、前記感光性化合物は、光酸発生剤または光塩基発生剤を含んでいてもよい。
【0011】
本発明による封止ガラスは、前記ガラス基板の他側に設けられ、導電体の接近を感知するセンサ部をさらに備えていてもよい。この場合、前記センサ部は、前記ガラス基板の他側の面上に形成され、導電性および透明性を有する透明導電パターンを有していてもよい。
【0012】
本発明による封止ガラスにおいて、前記センサ部は、前記透明導電パターンを覆う保護層をさらに有し、前記保護層は、シロキサン樹脂を含む材料から構成されていてもよい。
【0013】
本発明による封止ガラスは、前記ガラス基板の外縁に沿って前記ガラス基板の一側の面上に形成された封止部をさらに備えていてもよい。この場合、前記封止部は、ガラスフリットから構成されていてもよい。
【0014】
本発明は、有機EL素子と、前記有機EL素子に対向するよう設けられた封止ガラスと、を備え、前記有機EL素子は、有機EL用基板と、前記有機EL用基板上に設けられ、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを含む有機EL層と、を有し、前記封止ガラスは、ガラス基板と、前記ガラス基板の前記有機EL素子側の面上に形成され、耐熱性材料からなる反射防止膜と、前記ガラス基板の外縁に沿って前記ガラス前記有機EL素子側の面上に形成された封止部と、を有し、前記反射防止膜は、凹凸形状からなるモスアイ構造部を有し、前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂を含み、
前記封止部は、ガラスフリットを含むことを特徴とする有機EL表示装置である。
【0015】
本発明による有機EL表示装置において、前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物をさらに含み、前記感光性化合物は、光酸発生剤または光塩基発生剤を含んでいてもよい。
【0016】
本発明による有機EL表示装置において、前記封止ガラスは、前記ガラス基板の有機EL素子側とは反対の側に設けられ、導電体の接近を感知するセンサ部をさらに有していてもよい。この場合、前記センサ部は、前記ガラス基板の有機EL素子側とは反対の側の面上に形成され、導電性および透明性を有する透明導電パターンを有していてもよい。
【0017】
本発明による有機EL表示装置において、前記センサ部は、前記透明導電パターンを覆う保護層をさらに有し、前記保護層は、シロキサン樹脂を含む材料から構成されていてもよい。
【0018】
本発明は、有機EL素子を備えた有機EL表示装置の製造方法において、ガラス基板を準備する工程と、前記ガラス基板の一側の面上に耐熱性材料からなる反射防止膜を形成する工程と、前記ガラス基板の外縁に沿って前記ガラス基板の一側の面上にガラスフリットを設ける工程と、前記ガラスフリットを少なくとも400℃以上の温度で焼成して、ガラスフリットからなる封止部を形成する工程と、前記有機EL素子を前記ガラス基板の一側に配置する工程と、前記封止部を溶融させ、これによって前記ガラス基板と前記有機EL素子との間を封止する工程と、を備え、前記反射防止膜は、凹凸形状からなるモスアイ構造部を有し、前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂を含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法である。
【0019】
本発明による有機EL表示装置の製造方法において、前記ガラス基板の一側の面上に前記封止部が形成される前に、前記ガラス基板の他側に、導電体の接近を感知するセンサ部が設けられてもよい。この場合、前記センサ部は、前記ガラス基板の他側の面上に形成され、導電性および透明性を有する透明導電パターンと、前記透明導電パターンを覆う保護層と、を有し、前記保護層は、シロキサン樹脂を含む材料から構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、封止ガラスのガラス基板の有機EL素子側の面上に形成され、耐熱性材料からなる反射防止膜は、凹凸形状からなるモスアイ構造部を有している。また耐熱性材料は、シロキサン樹脂を含んでいる。このため、ガラスフリットからなる封止部によって封止される有機EL表示装置において、封止ガラスの有機EL素子側の気体/固体の界面における光の反射を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における有機EL表示装置を示す図。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態における封止ガラスを示す図。
【図3A】図3Aは、タッチパネルセンサの一例を示す平面図。
【図3B】図3Bは、図3AのタッチパネルセンサをIIIB−IIIB方向から見た断面図。
【図3C】図3Cは、図3AのタッチパネルセンサをIIIC−IIIC方向から見た断面図。
【図4】図4は、封止ガラスの製造工程において用いられるスタンパ版を示す図。
【図5】図5(a)(b)(c)は、本発明の第1の実施の形態における封止ガラスの製造工程を示す図。
【図6】図6は、本発明の第1の実施の形態における封止ガラスの製造工程の変形例を示す図。
【図7】図7(a)(b)(c)は、封止ガラスを用いて有機EL素子を封止する工程を示す図。
【図8】図8(a)(b)(c)は、第1の比較の形態における有機EL表示装置の製造工程を示す図。
【図9】図9(a)(b)(c)(d)は、本発明の第2の実施の形態における封止ガラスの製造工程を示す図。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態における封止ガラスの製造工程の変形例を示す図。
【図11】図11は、本発明の第3の実施の形態における有機EL表示装置を示す図。
【図12】図12は、本発明の第3の実施の形態における封止ガラスを示す図。
【図13】図13(a)(b)(c)(d)は、本発明の第3の実施の形態における封止ガラスの製造工程を示す図。
【図14】図14(a)(b)(c)(d)は、本発明の第3の実施の形態における封止ガラスの製造工程の変形例を示す図。
【図15】図15(a)(b)(c)(d)は、第2の比較の形態における有機EL表示装置の製造工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図7(a)(b)(c)を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図1および図2により、本実施の形態における有機EL表示装置10全体について説明する。
【0023】
有機EL表示装置
図1に示すように、有機EL表示装置10は、有機EL素子20と、有機EL素子20に対向するよう設けられた封止ガラス30と、を備えている。また封止ガラス30には、有機EL素子20と封止ガラス30との間を封止するための封止部15が取り付けられている。
【0024】
〔有機EL素子〕
はじめに有機EL素子20について説明する。図1に示すように、有機EL素子20は、有機EL用基板27と、有機EL用基板27上に設けられ、光を放射する有機EL層24と、を有している。なお図示はしないが、有機EL用基板27上には、有機EL層24を駆動するためのトランジスタなどの駆動素子が形成されている。すなわち有機EL用基板27は、有機EL層24を駆動するための基板、いわゆるTFT基板となっている。
【0025】
本実施の形態において、有機EL素子20の有機EL層24において発光した光は、有機EL用基板27が位置する側とは反対の側へ取り出される。すなわち、有機EL層24からの光は、TFT基板を構成する有機EL用基板27の上方から取り出される。このように本実施の形態における有機EL表示装置10は、いわゆるトップエミッション型の有機EL表示装置となっている。
【0026】
有機EL用基板27は、有機EL層24を支持するとともに、外気を遮断することができるものであれば特に限定されるものではないが、安定性、耐久性等が良好なことから、ガラスや透明ポリマーであることが好ましい。
【0027】
図1に示すように、有機EL層24は、陽極21と、陰極23と、陽極21と陰極23の間に設けられた有機発光層22とを有している。陽極21としては、効率良く正孔を注入できる材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀または金およびそれらの合金等を使用することが好ましい。一方、陰極23としては、電子を注入しやすく、かつ光透過性の良好な材料が用いられており、例えば酸化リチウム、炭酸セシウム等が用いられる。有機発光層22としては、所定の電圧を印加することにより発光する蛍光性有機物質を含有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キノリノール錯体、オキサゾール錯体、各種レーザー色素、ポリパラフェニレンビニレン等が挙げられる。
【0028】
なお、陽極21から注入された正孔を有機発光層22に効率的に輸送するため、陽極21と有機発光層22との間に正孔輸送層(図示せず)が設けられていてもよい。正孔輸送層の構成材料として、例えばテトラフェニルベンジジンが挙げられる。さらに、陽極21と正孔輸送層との間に正孔注入層(図示せず)が設けられていてもよい。また、有機発光層22と陰極23との間に、電子注入層(図示せず)や電子輸送層(図示せず)が設けられていてもよい。また、水分を遮蔽するバリア膜(図示せず)が有機EL層24上に設けられていてもよい。
【0029】
〔封止ガラス〕
次に、封止ガラス30について説明する。図1に示すように、封止ガラス30は、ガラス基板31と、ガラス基板31の一側(有機EL素子20側)の面31a上に形成された反射防止膜32と、を備えている。ガラス基板31としては、様々な公知のガラスが用いられ得る。ガラス基板31の厚みは、特には限られないが、例えば約0.5mmとなっている。図2は、封止ガラス30を拡大して示す図である。なお本実施の形態において、「一側」は、有機EL素子20からの光が入射される側、いわゆる光源側となっており、「他側」は、有機EL素子20からの光を視認する観察者が居る側、いわゆる観察者側となっている。
【0030】
後述するように、封止ガラス30は、上述の封止部15を形成するため、後にガラスペーストを塗布され、そして400℃以上の温度で焼成される。このため、封止ガラス30の反射防止膜32には、ガラスペーストの焼成に耐えうる程度の耐熱性が求められる。このため本実施の形態による封止ガラス30の反射防止膜32は、耐熱性材料から構成されている。この耐熱性材料については後に説明する。
【0031】
ところで上述のように、気体/固体の界面における光の反射を防止するための反射防止膜は、従来、ガラスよりも低い屈折率を有する低屈折率材料から構成されていた。この場合、気体/固体の界面における光の反射を十分に抑制するためには、ガラスよりも十分に低い屈折率を有する低屈折率材料が必要となる。しかしながら、ガラスよりも十分に低い屈折率を有するとともに、ガラスペーストの焼成に耐えうる程度の耐熱性を有する低屈折率材料を準備することは容易ではない。
【0032】
このような課題を効果的に解決するため、本実施の形態においては、凹凸の周期が可視光の波長以下に設定された微細な凹凸形状を反射防止膜32の表面に形成することによって光の反射を抑制する技術が採用されている。このような技術は、いわゆるモスアイ(蛾の目)構造の原理を利用したものであり、反射防止膜32に入射した光に対する屈折率を連続的に変化させ、屈折率の不連続界面を消失させることによって光の反射を抑制するものである。
【0033】
本実施の形態においては、このようなモスアイ構造を採用することにより、反射防止膜32を構成する耐熱性材料の屈折率がガラス基板31の屈折率よりも十分に低くなっていない場合であっても、封止ガラス30の有機EL素子20側の界面における光の反射を十分に抑制することが可能となっている。従って本実施の形態によれば、反射防止膜32を構成する材料を、主に耐熱性の観点から選択することができ、これによって、反射防止膜32の材料の入手を容易にすることができる。
【0034】
(モスアイ構造部)
次に、反射防止膜32におけるモスアイ構造について詳細に説明する。図2に示すように、反射防止膜32は、ガラス基板31の一側の面31a上に形成された基底部33と、基底部33上に形成され、凹凸形状からなるモスアイ構造部34と、を有している。モスアイ構造部34は、図2に示すように、周期的に配置され、円錐、四角錐などの錐形状を有する複数の凸部35を含んでいる。なお図2においては、各凸部35の頂部が湾曲している例を示したが、これに限られることはなく、各凸部35の頂部は、平坦に形成されていてもよく、若しくは鋭角に形成されていてもよい。
【0035】
図2に示すように、各凸部35は符号pによって表される周期で配置されている。また、各凸部35間の間隔はdとなっており、各凸部35の高さはhになっている。ここで、反射防止膜32により実現される反射抑制機能は、主としてこれら周期p,間隔dおよび高さhに依存している。周期p,間隔dおよび高さhに基づいて反射防止膜32の反射防止機能を設計する方法は既に当業者にとって周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0036】
各凸部35の周期pは、可視光領域の波長以下であれば特に限定されるものではなく、望まれる反射抑制機能に応じて適宜決定される。例えば、周期pは10nm〜400nmの範囲内となっており、より具体的には約150nmとなっている。
【0037】
各凸部35の高さhも、特に限定されるものではなく、望まれる反射抑制機能に応じて適宜決定される。例えば、高さhは100nm〜600nmの範囲内となっている。また、反射防止膜32全体の高さ、すなわち基底部33の高さとモスアイ構造部34の凸部35の高さの合計は、例えば約1μmとなっている。
【0038】
凸部35間の間隔dも、特に限定されるものではなく、望まれる反射抑制機能に応じて適宜決定される。
【0039】
なお図2においては、上述の周期p,間隔dおよび高さhがモスアイ構造部34の全域にわたって均一となっている例を示したが、これに限られることはなく、望まれる反射抑制機能に応じて、周期p,間隔dおよび高さhが不均一となっていてもよい。このように周期p,間隔dおよび高さhを不均一にすることにより、反射防止膜32の反射抑制機能がより広い波長域にわたって実現され得る。
【0040】
(耐熱性材料)
次に、反射防止膜32を構成する耐熱性材料について説明する。耐熱性材料は、ケイ素と酸素を骨格とする化合物であって、Si−O−Si結合(シロキサン結合)を持つ化合物、いわゆるシロキサン樹脂を含むものとなっている。このようなシロキサン樹脂としては、公知のものが使用され得るが、例えば、式RSiX4−nで表される化合物を必須成分として加水分解縮合して得られる樹脂等が使用され得る。ここで、式中、Rは、H原子若しくはF原子、またはB原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子若しくはTi原子を含む基、又は、炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示している。また、nは0〜2の整数を示している。ここで、nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよく、またnが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。式RSiX4−nで表される化合物の詳細については、特許第3821165号に開示されており、本実施の形態においても、当該特許第3821165号に開示されている化合物を適宜用いることができる。このようにして構成される耐熱性材料の光屈折率は、特には限定されないが、例えばガラスの光屈折率よりも小さくなっており、より具体的には1.40〜1.46の範囲内となっている。
【0041】
本実施の形態によれば、上述のように、反射防止膜32がシロキサン樹脂から構成されている。このため反射防止膜32は、後に封止ガラス30に設けられるガラスペーストの焼成工程に耐えうる程度の耐熱性を有している。例えば後述するように、ガラスペーストの焼成が実施される430℃の温度まで加熱された場合であってもその特性が劣化しない程度の耐熱性を有している。これによって、ガラスフリットによる強固な封止を実現するとともに、封止ガラス30の有機EL素子20側の界面における光の反射を抑制することができる。
【0042】
〔封止部〕
次に、有機EL素子20と封止ガラス30との間に設けられる封止部15について説明する。封止部15は、所定以上の温度で溶融するガラス材料から構成されている。例えば、粉末状のガラスからなるガラスフリットを焼成することにより形成されている。
【0043】
次に、有機EL表示装置10に含まれるその他の構成要素について説明する。図1に示すように、有機EL表示装置10は、封止ガラス30の観察者側に設けられたタッチパネルセンサ40と、タッチパネルセンサ40の観察者側に設けられた円偏光板70と、円偏光板70の観察者側に設けられた強化ガラス75と、をさらに備えていてもよい。以下、これらの構成要素について説明する。
【0044】
(タッチパネルセンサ)
タッチパネルセンサ40は、観察者側から有機EL表示装置10に接近または接触する、導電体からなる被検出体の位置を感知するものである。このようなタッチパネルセンサ40のタイプが特に限られることはなく、様々なタイプのタッチパネルセンサ40が適宜用いられ得る。例えば、被検出体からの圧力に基づいてタッチ箇所を検出する抵抗膜方式のタッチパネルセンサや、人体などの被検出体からの静電気に基づいてタッチ箇所を検出する静電容量方式のタッチパネルセンサが用いられ得る。その他にも、光センサ方式、マトリクス・スイッチ方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式など、様々な方式のタッチパネルセンサが用いられ得る。
【0045】
(静電容量方式のタッチパネルセンサ)
次に図3A乃至図3Cを参照して、タッチパネルセンサ40が静電容量方式のものである場合の、タッチパネルセンサ40の構成の一例について説明する。図3Aは、静電容量方式のタッチパネルセンサ40を示す平面図であり、図3Bは,図3Aのタッチパネルセンサ40をIIIB−IIIB方向から見た断面図であり、図3Cは,図3Aのタッチパネルセンサ40をIIIC−IIIC方向から見た断面図である。
【0046】
図3A乃至図3Cに示すように、静電容量方式のタッチパネルセンサ40は、タッチパネルセンサ用基板46と、タッチパネルセンサ用基板46の観察者側の面上に所定のパターンで設けられた複数のx透明導電パターン41およびy透明導電パターン42とを有している。図3Aに示すように、x透明導電パターン41はx方向に延びており、またy透明導電パターン42はx方向に直交するy方向に延びている。
【0047】
各x透明導電パターン41は、略正方形の形状を有する複数のx電極単位41aと、隣接するx電極単位41a間をx方向において接続するx接続部41bと、を有している。このようなx透明導電パターン41により、被検出体のタッチ箇所のy方向における位置が検出される。また、各y透明導電パターン42は、略正方形の形状を有する複数のy電極単位42aと、隣接するy電極単位42a間をy方向において接続するy接続部42bと、を有している。このようなy透明導電パターン42により、被検出体のタッチ箇所のx方向における位置が検出される。
【0048】
またタッチパネルセンサ用基板46上には、所定のパターンで設けられ、x透明導電パターン41およびy透明導電パターン42にそれぞれ電気的に接続された取出配線43および取出配線44と、取出配線43および取出配線44に接続され、x透明導電パターン41およびy透明導電パターン42からの信号を外部へ取り出すための端子部45と、が設けられている。
【0049】
タッチパネルセンサ40においては、上述の各導電パターン41,42、取出配線43,44および端子部45の組合体により、タッチ位置を検出するとともに検出信号を外部へ取り出すというタッチパネル機能を実現するセンサ部50が構成されている。
【0050】
次に、タッチパネルセンサ40の各構成要素の材料について説明する。各x透明導電パターン41およびy透明導電パターン42は、映像を表示させるための表示領域に配置される。このため各x透明導電パターン41およびy透明導電パターン42は、導電性および透明性を有する材料、例えばITOなどから構成される。一方、取出配線43、取出配線44および端子部45は、表示領域の周縁に位置する非表示領域に配置される。このため、取出配線43、取出配線44および端子部45を構成する材料が透明性を有する必要はない。従って取出配線43、取出配線44および端子部45は一般に、x透明導電パターン41およびy透明導電パターン42の材料よりも高い電気伝導率を有する金属材料から構成される。
【0051】
タッチパネルセンサ用基板46の材料は、各導電パターン41,42、取出配線43,44および端子部45を支持するとともに、透明性を有する限り特に限定されない。例えばタッチパネルセンサ用基板46の材料として、透明性を有するガラスやポリマーなどが用いられる。
【0052】
図3Bおよび図3Cに示すように、各導電パターン41,42、取出配線43,44および端子部45を含むセンサ部50は、タッチパネルセンサ用基板46上にITOや金属材料などを積層させることにより形成される。なお図3Bおよび図3Cに示すように、x接続部41bとy接続部42bとが電気的に接続されることを防ぐため、x接続部41bとy接続部42bとの間に絶縁層47が介在されていてもよい。また、図3Bおよび図3Cにおいて一点鎖線で示されているように、各導電パターン41,42、取出配線43,44および端子部45を保護するための保護層49が設けられていてもよい。保護層49としては、透明性および絶縁性を有する樹脂材料などが適宜用いられる。
【0053】
(円偏光板70)
図1に示す円偏光板70は、位相板72と、位相板72の観察者側に設けられた偏光板71と、を有している。このうち位相板72は、位相差が光の波長の1/4になるよう制御されている。また偏光板71は、特定の方向に偏光している光のみを透過させる直線偏光板となっている。
【0054】
有機EL表示装置10がこのような円偏光板70を備えることの効果について説明する。外部から有機EL表示装置10に入射した光は、はじめに偏光板71によって直線偏光となり、次に、位相板72によって円偏光となる。その後、有機EL層24の陽極21によって光が反射される際、光の円偏光状態が反転する。反射された光が再び位相板72を通過すると、この光は、偏光板71をはじめに通過した時に比べて90度傾いた直線偏光となる。従って、この直線偏光は、再び偏光板71に到達する際に吸収される。
【0055】
このように円偏光板70を設けることにより、外部から有機EL表示装置10に入射した光が有機EL層24で反射されて観察者側へ放射されるのを防ぐことができる。すなわち、円偏光板70によって、外光の映り込みを防ぎ、これによって有機EL表示装置10のコントラストを向上させることができる。
【0056】
(強化ガラス)
強化ガラス75は、観察者側から加えられる衝撃から有機EL表示装置10を保護するためのものである。このような強化ガラス75として、様々なタイプのものが用いられ得るが、例えば、観察者側の最表面に化学強化層が設けられた化学強化ガラスが用いられてもよい。ここで化学強化層とは、ガラス中のナトリウムをカリウムに置換することにより形成される層である。このような化学強化層を表面に形成することにより、強化ガラス75に何らかの衝撃が加えられた場合に強化ガラス75が割れてしまうことを抑制することができる。なお、このような化学強化層の厚みが特に限られることはなく、求められる特性に応じて化学強化層の厚みが適宜設定される。
このように表面に化学強化層が形成された強化ガラスの例としては、例えば、コーニング社のGorilla Glass(ゴリラガラス)や、旭硝子社のDragontrail(ドラゴントレイル)などが挙げられる。
【0057】
ところで、ガラス基板31に直接的にタッチパネルセンサ40が接している場合、ガラス基板31とタッチパネルセンサ40との間にエアギャップがところどころ生じることが考えられる。エアギャップが存在していると、ガラス基板31の他側の面31bで光の反射が生じることが考えられる。このような反射を防ぐため、封止ガラス30のガラス基板31とタッチパネルセンサ40との間に接着層(図示せず)が介在されていてもよい。これによって、ガラス基板31とタッチパネルセンサ40との間にエアギャップが生じるのを防ぐことができ、このことにより、ガラス基板31の他側の面31bで光の反射が生じるのを防ぐことができる。
【0058】
同様に、タッチパネルセンサ40と円偏光板70との間、および円偏光板70と強化ガラス75との間に、接着層が設けられていてもよい。
【0059】
封止ガラスの製造方法
次に封止ガラス30の製造方法について説明する。ここでは、賦形により封止ガラス30の反射防止膜32のモスアイ構造部34を作製する方法について説明する。はじめに、賦形のために用いられる版について説明する。
【0060】
(スタンパ版)
図4は、賦形により反射防止膜32のモスアイ構造部34を作製するために用いられるスタンパ版60を示す図である。図4に示すように、スタンパ版60は、反射防止膜32のモスアイ構造部34の凸部35に対応する凹部61を適切な基材に形成することにより作製される。
【0061】
このような凹部61を基材に形成する方法が特に限られることはなく、様々な方法が適宜採用され得る。例えば、アルミニウムからなる基材を陽極酸化することによって凹部61を形成してもよく、若しくは、基材上に感光性材料からなる層を設け、この層を露光することにより凹部61を形成してもよい。露光方法としては、例えば、レーザー光の干渉を利用して微細パターンで露光する方法などが適宜用いられる。
【0062】
(反射防止膜の形成方法)
次に図5(a)(b)(c)を参照して、スタンパ版60を用いて賦形により反射防止膜32を形成する方法について説明する。
【0063】
はじめに図5(a)に示すように、ガラス基板31を準備する。次にガラス基板31の一側の面31a上に耐熱性材料36を塗布または滴下する。耐熱性材料36を塗布または滴下する方法が特に限られることはなく、公知の方法が適宜用いられ得る。なお耐熱性材料36には、塗布性を向上させるための適切な溶剤が含まれている。
【0064】
その後、耐熱性材料36が設けられたガラス基板31を加熱し、これによって、耐熱性材料36中の溶剤を蒸発させる。この際の加熱条件は、耐熱性材料36および含まれる溶剤の特性に応じて適宜設定されるが、例えば80℃で10分間加熱するという加熱条件が設定される。
【0065】
次に、図5(b)に示すように、ガラス基板31上の耐熱性材料36をスタンパ版60によって押圧する。これによって、耐熱性材料36に、スタンパ版60の凹部61に対応する形状が付与される。
【0066】
次に、耐熱性材料36からスタンパ版60を剥離させ、その後、ガラス基板31および耐熱性材料36を所定の温度で加熱して焼成する。例えば、400℃で加熱する。この結果、図5(c)に示すように、ガラス基板31上に、基底部33とモスアイ構造部34とを含む反射防止膜32が形成される。このようにして、ガラス基板31と反射防止膜32とからなる封止ガラス30が得られる。
【0067】
(反射防止膜の形成方法の変形例)
なお図5(a)(b)(c)においては、平板状のスタンパ版60によって耐熱性材料36の賦形が実施される例を示したが、これに限られることはない。例えば図6に示すように、表面にスタンパ版66が巻きつけられたロール体65を用いることにより、耐熱性材料36の賦形が実施されてもよい。この場合、スタンパ版66には、スタンパ版60の凹部61と同様の凹部が形成されている。このため、図6に示すように、耐熱性材料36が設けられたガラス基板31を矢印Dで示される方向に搬送させながら、スタンパ版66が設けられたロール体65を矢印Dで示される方向に回転させ、そしてスタンパ版66によって耐熱性材料36を押圧することにより、耐熱性材料36の賦形を実施することができる。
【0068】
有機EL表示装置の製造方法
次に図7(a)(b)(c)を参照して、封止ガラス30と有機EL素子20とを組み合わせて有機EL表示装置10を形成する方法について説明する。
【0069】
はじめに、ガラス基板31の一側の面31a上に、ガラス基板31の外縁に沿ってガラスペーストを塗布する。このガラスペーストは、ガラスフリットと適切な溶液とを混合することにより構成されている。その後、ガラス基板31上に塗布されたガラスペーストを所定の条件で加熱する。例えば、加熱速度7〜10℃/分で330℃まで昇温させた後、330℃で30分間の加熱が実施される。その後、430℃まで昇温させた後、10分間の加熱が実施される。これによってガラスペーストが焼成され、この結果、図7(a)に示すように封止部15が形成される。なお上述のように、反射防止膜32は、シロキサン樹脂を含む耐熱性材料36から構成されている。このため、ガラスペーストの焼成工程の際に反射防止膜32が損傷または劣化することが防がれている。
【0070】
その後、図7(b)に示すように、封止部15を介して封止ガラス30と有機EL素子20とを組み合わせる。その後、図7(c)に示すように、有機EL素子20側から封止部15にレーザー光Lを照射し、これによって封止部15を局所的に加熱する。この結果、封止部15が溶融され、これによって封止部15が有機EL素子20に融着される。このようにして、封止部15によって封止された有機EL表示装置10が得られる。このため、有機EL表示装置10の内部に水分および酸素が入り込むことを強固に防ぐことができる。
【0071】
また本実施の形態によれば、封止ガラス30のガラス基板31の一側の面31a上に形成され、耐熱性材料36からなる反射防止膜32は、凹凸形状からなるモスアイ構造部34を有している。このため、封止ガラス30の一側の気体/固体の界面における光の反射を抑制することができる。また反射防止膜32を構成する耐熱性材料36は、シロキサン樹脂を含んでいる。このため、ガラスフリットを含むガラスペーストの焼成工程の際に反射防止膜32が損傷または劣化することを防ぐことができる。
【0072】
第1の比較の形態
次に、図8(a)(b)(c)(d)を参照して、本実施の形態の効果を第1の比較の形態と比較して説明する。図8(a)(b)(c)に示す第1の比較の形態による有機EL表示装置110の製造方法は、賦形により反射防止膜が形成されるよりも前にガラス基板31の一側の面31a上に封止部15が形成される点が異なるのみであり、他の構成は、上述の本実施の形態における有機EL表示装置10の製造方法と略同一である。図8(a)(b)(c)に示す第1の比較の形態において、上述の本実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
図8(a)(b)(c)(d)は、第1の比較の形態による有機EL表示装置110を製造する方法を示す図である。
【0074】
はじめに図8(a)に示すように、ガラス基板31を準備する。次に、ガラス基板31の一側の面31a上に、ガラス基板31の外縁に沿ってガラスペーストを塗布する。その後、ガラス基板31上に塗布されたガラスペーストを焼成する。この結果、図8(a)に示すように封止部15が形成される。焼成条件は、上述の本実施の形態における条件と略同一となっている。
【0075】
次に図8(b)に示すように、ガラス基板31の一側の面31a上に、反射防止膜を構成するための材料を塗布する。なお第1の比較の形態においては、上述のように、既にガラスペーストの焼成が実施されている。このため、上述の本実施の形態の場合とは異なり、反射防止膜を構成するための材料は、ガラスペーストの焼成に耐えうる耐熱性を有していなくてもよい。従って第1の比較の形態においては、ガラス基板31上に非耐熱性材料136が塗布される。なお非耐熱性材料136には、塗布性を向上させるための適切な溶剤が含まれている。その後、非耐熱性材料136が設けられたガラス基板31を加熱し、これによって、非耐熱性材料136中の溶剤を蒸発させる。
【0076】
次に、図8(c)に示すように、ガラス基板31上の非耐熱性材料136をスタンパ版160によって押圧する。これによって、非耐熱性材料136に、スタンパ版160の凹部61に対応する形状が付与される。次に、非耐熱性材料136からスタンパ版160を剥離させ、その後、ガラス基板31および非耐熱性材料136を所定の温度で加熱する。この結果、ガラス基板31上に反射防止膜132が形成され、第1の比較の形態による封止ガラス130が得られる。なお、ガラス基板31および非耐熱性材料136の加熱温度は、本実施の形態における耐熱性材料36の加熱温度、例えば400℃よりも低くなっている。
【0077】
その後、封止部15を介して封止ガラス130と有機EL素子20とを組み合わせ、有機EL表示装置110を形成する。この際の手順は、上述の本実施の形態における手順と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0078】
ところで第1の比較の形態においては、上述のように、スタンパ版160を用いた賦形の際に既にガラス基板31の一側の面31a上に封止部15が形成されている。このため、非耐熱性材料136を押圧する際に封止部15に接触しないようスタンパ版160を構成する必要がある。また、スタンパ版160によって非耐熱性材料136を押圧する際、スタンパ版160が封止部15に接触しないようスタンパ版160を精密に操作する必要がある。
【0079】
これに対して本実施の形態によれば、上述のように、スタンパ版60を用いた賦形の際、ガラス基板31の一側の面31a上に封止部15がまだ形成されていない。このため、図5(b)に示すように、ガラス基板31の一側の面31aの全域にわたって広がるスタンパ版60を用いることができる。若しくは図6に示すように、ロール体65に巻きつけられたスタンパ版66を用いることができる。また、スタンパ60,66によって耐熱性材料36を押圧する際、スタンパ版60,66が封止部15に接触するという懸念がない。このため本実施の形態によれば、より簡易にスタンパ版60,66による賦形を実施することができる。
【0080】
なお本実施の形態において、耐熱性材料36からスタンパ版60が剥離された後、ガラス基板31および耐熱性材料36が所定の温度で加熱され、これによって耐熱性材料36が焼成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、耐熱性材料36の焼成が、後に行われるガラスペーストの焼成と同時に実現されてもよい。これによって、焼成工程の数を1つ削減することができる。
【0081】
第2の実施の形態
次に図9(a)(b)(c)(d)を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9(a)(b)(c)(d)に示す第2の実施の形態は、反射防止膜32を構成する材料として、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物を含む耐熱性材料が用いられる点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図7(a)(b)(c)に示す第1の実施の形態と略同一である。図9(a)(b)(c)(d)に示す第2の実施の形態において、図1乃至図7(a)(b)(c)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
(耐熱性材料)
上述のように、本実施の形態においては、反射防止膜32を構成する材料として、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物を含む耐熱性材料37が用いられる。用いられるシロキサン樹脂は、上述の第1の実施の形態におけるシロキサン樹脂と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0083】
耐熱性材料37に含まれる感光性化合物は、光が照射されることにより酸性活性物質または塩基性活性物質を放出する光酸発生剤または光塩基発生剤を含んでいる。このような感光性化合物を耐熱性材料37に包含させることにより、光を耐熱性材料37に照射することで耐熱性材料37を硬化させることが可能となる。なお感光性化合物は、光酸発生剤または光塩基発生剤の他に重合性化合物や増感剤等をさらに含んでいてもよい。
【0084】
用いられる光酸発生剤または光塩基発生剤が特に限られることはなく、公知のものが適宜用いられ得る。例えば、特許第3821165号に記載の光酸発生剤または光塩基発生剤を用いることができる。
【0085】
(反射防止膜の形成方法)
次に図9(a)(b)(c)(d)を参照して、スタンパ版60を用いて賦形により反射防止膜32を形成する方法について説明する。
【0086】
はじめに図9(a)に示すように、ガラス基板31を準備する。次にガラス基板31の一側の面31a上に耐熱性材料37を塗布または滴下する。耐熱性材料37を塗布または滴下する方法が特に限られることはなく、公知の方法が適宜用いられ得る。なお耐熱性材料37には、塗布性を向上させるための適切な溶剤が含まれている。
【0087】
その後、耐熱性材料37が設けられたガラス基板31を加熱し、これによって、耐熱性材料37中の溶剤を蒸発させる。この際の加熱条件は、耐熱性材料37および含まれる溶剤の特性に応じて適宜設定されるが、例えば80℃で10分間加熱するという加熱条件が設定される。
【0088】
次に、図9(b)に示すように、ガラス基板31上の耐熱性材料37をスタンパ版60によって押圧する。これによって、耐熱性材料37に、スタンパ版60の凹部61に対応する形状が付与される。
【0089】
その後、図9(c)に示すように、スタンパ版60によって押圧されている耐熱性材料37に対して光を照射する。例えば紫外線Lを照射する。これによって、光酸発生剤または光塩基発生剤を含む感光性化合物が、酸性活性物質または塩基性活性物質を放出する。その後、放出された酸性活性物質または塩基性活性物質を触媒として、耐熱性材料37の硬化(加水分解重縮合)が進行する。このため、耐熱性材料37が硬化するとともに収縮し、これによって、耐熱性材料37の離型性が向上する。
【0090】
次に、耐熱性材料37からスタンパ版60を剥離させ、その後、ガラス基板31および耐熱性材料37を所定の温度で加熱して焼成する。例えば、400℃で加熱する。この結果、図9(d)に示すように、ガラス基板31上に、基底部33とモスアイ構造部34とを含む反射防止膜32が形成される。このようにして、ガラス基板31と反射防止膜32とからなる封止ガラス30が得られる。
【0091】
このように本実施の形態によれば、反射防止膜32を構成する材料として、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物を含む耐熱性材料37が用いられる。ここで感光性化合物は、光が照射されることにより酸性活性物質または塩基性活性物質を放出する光酸発生剤または光塩基発生剤を含んでいる。このため、スタンパ版60によって押圧されている耐熱性材料37に対して紫外線Lを照射することによって、耐熱性材料37を硬化させるとともに収縮させることができる。このことにより、スタンパ版60が耐熱性材料37から剥離されやすくなる。
【0092】
(反射防止膜の形成方法の変形例)
なお図9(a)(b)(c)(d)においては、平板状のスタンパ版60によって耐熱性材料37の賦形が実施される例を示したが、これに限られることはない。例えば図10に示すように、表面にスタンパ版66が巻きつけられたロール体65を用いることにより、耐熱性材料37の賦形が実施されてもよい。
【0093】
なお本実施の形態において、耐熱性材料37からスタンパ版60が剥離された後、ガラス基板31および耐熱性材料37が所定の温度で加熱され、これによって耐熱性材料37が焼成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、耐熱性材料37の焼成が、後に行われるガラスペーストの焼成と同時に実現されてもよい。これによって、焼成工程の数を1つ削減することができる。
【0094】
第3の実施の形態
次に図11乃至図14(a)(b)(c)(d)を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図11乃至図14(a)(b)(c)(d)に示す第3の実施の形態は、タッチパネルセンサが封止ガラスと一体に形成されている点が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図7(a)(b)(c)に示す第1の実施の形態と略同一である。図11乃至図14(a)(b)(c)(d)に示す第3の実施の形態において、図1乃至図7(a)(b)(c)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0095】
(タッチパネルセンサ一体型封止ガラス)
図12は、タッチパネルセンサと一体に形成されたタッチパネルセンサ一体型の封止ガラス30Aを示す図である。また図11は、本実施の形態による封止ガラス30Aを備えた有機EL表示装置10を示す図である。図12に示すように、封止ガラス30Aは、ガラス基板31と、ガラス基板31の一側の面31a上に形成された反射防止膜32と、ガラス基板31の他側の面31b上に形成されたセンサ部50Aと、を備えている。
【0096】
封止ガラス30Aのセンサ部50Aは、絶縁層47Aおよび保護層49Aが、シロキサン樹脂を含む材料から構成される点が異なるのみであり、他の構成は、第1の実施の形態におけるセンサ部50と略同一である。封止ガラス30Aのセンサ部50Aにおいて、第1の実施の形態におけるセンサ部50と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0097】
本実施の形態においては、上述のように、絶縁層47Aおよび保護層49Aが、シロキサン樹脂を含む材料から構成されている。このためセンサ部50Aは、ガラスペーストの焼成に耐えうる程度の耐熱性を有している。なお絶縁層47Aおよび保護層49Aの材料を構成するシロキサン樹脂は、上述の耐熱性材料36および耐熱性材料37を構成するシロキサン樹脂と同一となっていてもよく、異なっていてもよい。
【0098】
ここで「タッチパネルセンサが封止ガラス30Aと一体に形成される」とは、図12に示されているように、封止ガラス30Aのガラス基板31が、タッチパネルセンサのセンサ部50Aを支持するための基板を兼ねていることを意味している。
【0099】
(封止ガラスの形成方法)
次に図13(a)(b)(c)(d)を参照して、本実施の形態による封止ガラス30Aを形成する方法について説明する。
【0100】
はじめに図13(a)に示すように、ガラス基板31を準備する。次に、ガラス基板31の他側の面31b上に、タッチパネル機能を実現するための上述のセンサ部50Aを形成する。センサ部50Aを形成する方法としては、例えばフォトリソグラフィー法が用いられ得る。
【0101】
その後、図13(b)に示すように、ガラス基板31を上下反転させ、次に、ガラス基板31の一側の面31a上に耐熱性材料36を塗布または滴下する。なお耐熱性材料36には、塗布性を向上させるための適切な溶剤が含まれている。その後、耐熱性材料36が設けられたガラス基板31を加熱し、これによって、耐熱性材料36中の溶剤を蒸発させる。この際の加熱条件は、耐熱性材料36および含まれる溶剤の特性に応じて適宜設定されるが、例えば80℃で10分間加熱するという加熱条件が設定される。
【0102】
次に、図13(c)に示すように、ガラス基板31上の耐熱性材料36をスタンパ版60によって押圧する。これによって、耐熱性材料36に、スタンパ版60の凹部61に対応する形状が付与される。
【0103】
次に、耐熱性材料36からスタンパ版60を剥離させ、その後、ガラス基板31および耐熱性材料36を所定の温度で加熱する。例えば、400℃で加熱する。この結果、図13(d)に示すように、ガラス基板31上に、基底部33とモスアイ構造部34とを含む反射防止膜32が形成される。このようにして、ガラス基板31と、ガラス基板31の一側の面31a上に形成された反射防止膜32と、ガラス基板31の他側の面31b上に形成されたセンサ部50Aと、からなるタッチパネルセンサ一体型の封止ガラス30Aが得られる。
【0104】
なお上述のように、センサ部50Aは保護層49Aを含んでいる。このため、ガラス基板31を上下反転させてガラス基板31の一側の面31a上に反射防止膜32を形成する際にセンサ部50Aが損傷することを防ぐことができる。
【0105】
(有機EL表示装置の形成方法)
その後、封止部15を介して封止ガラス30Aと有機EL素子20とを組み合わせ、有機EL表示装置10を形成する。この手順は、上述の第1の実施の形態における手順と略同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0106】
本実施の形態によれば、タッチパネルセンサが封止ガラス30Aに一体化されている。これによって、より簡易に封止ガラス30Aにタッチパネル機能を付与することができる。また、タッチパネルセンサ40と封止ガラス30とが別体で構成される場合に比べて、タッチパネルセンサ用基板を不要にすることができる。従って、封止ガラス30Aを用いてタッチパネル機能付きの有機EL表示装置10を構成する場合、タッチパネルセンサ用基板の分だけ有機EL表示装置10の厚みおよび重量を低減することができる。
【0107】
また本実施の形態によれば、ガラス基板31の他側の面31bがセンサ部50Aによって覆われている。従って、ガラス基板31の他側の面31bにエアギャップが形成されることはない。このため、上述の第1の実施の形態の場合のようにガラス基板31の他側に接着層などを設けることなく、ガラス基板31の他側において光の反射が生じるのを防ぐことができる。すなわち本実施の形態によれば、封止ガラス30Aにタッチパネル機能を付与するだけでなく、同時に、ガラス基板31の他側において光の反射が生じるのを防ぐこともできる。
【0108】
また、センサ部50Aとガラス基板31との間に接着層が介在されないようにすることにより、センサ部50Aの感度を向上させるとともに、光の透過率を向上させることができる。また、接着層を介して封止ガラス30とタッチパネルセンサ40とを貼り合わせる工程が不要となり、これによって、製造の工数を削減するとともに、貼り合わせの際に生じうる不具合を回避することができる。例えば、貼り合わせの際に気泡などが混入し、これによって歩留りが低下するというような懸念をなくすことができる。
【0109】
(封止ガラスの形成方法の変形例)
なお図13(a)(b)(c)(d)においては、はじめに、ガラス基板31の他側の面31b上にセンサ部50Aが形成され、その後、ガラス基板31の一側の面31a上に反射防止膜32が形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図14(a)(b)(c)(d)に示すように、はじめに、ガラス基板31の一側の面31a上に反射防止膜32を形成し、その後、ガラス基板31の他側の面31b上にセンサ部50Aを形成してもよい。この場合、反射防止膜32を構成する耐熱性材料36は、フォトリソグラフィー法によりセンサ部50Aを形成する際に実施されるエッチングによって損傷しないよう適宜選択される。例えば、エッチングにおいてシュウ酸を含むエッチング液やリン酸・硝酸・酢酸が混合されてなるエッチング液が用いられる場合、耐熱性材料36は、これらのエッチング液に対する耐性を有するよう選択される。
【0110】
第2の比較の形態
次に、図15(a)(b)(c)(d)を参照して、本実施の形態の効果を第2の比較の形態と比較して説明する。図15(a)(b)(c)(d)に示す第2の比較の形態は、ガラス基板31上にセンサ部50および反射防止膜132が形成されるよりも前にガラス基板31の一側の面31a上に封止部15が形成される点が異なるのみであり、他の構成は、上述の本実施の形態における有機EL表示装置10の製造方法と略同一である。図15(a)(b)(c)(d)に示す第2の比較の形態において、上述の本実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0111】
図15(a)(b)(c)(d)は、第2の比較の形態による有機EL表示装置110を製造する方法を示す図である。
【0112】
はじめに図15(a)に示すように、ガラス基板31を準備する。次に、ガラス基板31の一側の面31a上に、ガラス基板31の外縁に沿ってガラスペーストを塗布する。その後、ガラス基板31上に塗布されたガラスペーストを焼成する。この結果、図15(a)に示すように封止部15が形成される。焼成条件は、上述の本実施の形態における条件と略同一となっている。
【0113】
次に図15(b)に示すように、ガラス基板31の一側の面31a上に、反射防止膜を構成するための材料を塗布する。なお第2の比較の形態においては、上述のように既にガラスペーストの焼成が実施されている。このため、上述の本実施の形態の場合とは異なり、反射防止膜を構成するための材料は、ガラスペーストの焼成に耐えうる耐熱性を有していなくてもよい。従って第2の比較の形態においては、上述の第1の比較の形態の場合と同様に、ガラス基板31上に非耐熱性材料136が塗布される。なお非耐熱性材料136には、塗布性を向上させるための適切な溶剤が含まれている。その後、非耐熱性材料136が設けられたガラス基板31を加熱し、これによって、非耐熱性材料136中の溶剤を蒸発させる。
【0114】
次に、ガラス基板31上の非耐熱性材料136をスタンパ版160によって押圧する。これによって、非耐熱性材料136に、スタンパ版160の凹部61に対応する形状が付与される。次に、非耐熱性材料136からスタンパ版160を剥離させ、その後、ガラス基板31および耐熱性材料136を所定の温度で加熱する。この結果、ガラス基板31上に反射防止膜132が形成される。なお、ガラス基板31および非耐熱性材料136の加熱温度は、本実施の形態における耐熱性材料36の加熱温度、例えば400℃よりも低くなっている。
【0115】
その後、図15(c)に示すように、ガラス基板31を上下反転させ、そして、ガラス基板31の他側の面31b上に、タッチパネル機能を実現するためのセンサ部50を形成する。これによって、タッチパネルセンサ一体型の封止ガラス130Aが得られる。なお第2の比較の形態においては、上述のように既にガラスペーストの焼成が実施されている。このため、上述の本実施の形態の場合とは異なり、センサ部50の絶縁層47および保護層49は、ガラスペーストの焼成に耐えうる耐熱性を有していなくてもよい。
【0116】
その後、図15(d)に示すように、封止部15を介して封止ガラス130Aと有機EL素子20とを組み合わせ、有機EL表示装置110を形成する。
【0117】
ところで第2の比較の形態においては、上述のように、スタンパ版160を用いた賦形の際に既にガラス基板31の一側の面31a上に封止部15が形成されている。このため、非耐熱性材料136を押圧する際に封止部15に接触しないようスタンパ版160を構成する必要がある。また、スタンパ版160によって非耐熱性材料136を押圧する際、スタンパ版160が封止部15に接触しないようスタンパ版160を精密に操作する必要がある。
【0118】
また第2の比較の形態においては、上述のように、ガラス基板31の他側の面31b上にセンサ部50を形成する際、既にガラス基板31の一側の面31a上に封止部15が形成されている。このため、フォトリソグラフィー法によりガラス基板31の他側の面31b上にセンサ部50を形成する工程が困難になると考えられる。
【0119】
これに対して本実施の形態によれば、上述のように、ガラス基板31上に反射防止膜32およびセンサ部50Aを形成する際、封止部15がまだ形成されていない。このため、図13(b)または図14(b)に示すように、ガラス基板31の一側の面31aの全域にわたって広がるスタンパ版60を用いることができる。また、スタンパ60によって耐熱性材料36を押圧する際、スタンパ版60が封止部15に接触するという懸念がない。このため本実施の形態によれば、より簡易にスタンパ版60による賦形を実施することができる。
【0120】
また本実施の形態によれば、絶縁層47Aおよび保護層49Aが、シロキサン樹脂を含む材料から構成されている。このためセンサ部50Aは、ガラスペーストの焼成に耐えうる程度の耐熱性を有している。このことにより、ガラス基板31の一側の面31a上に封止部15を形成するよりも前に、ガラス基板31の他側の面31b上にセンサ部50Aを形成することが可能となっている。
【0121】
なお本実施の形態において、反射防止膜32が耐熱性材料36から構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、上述の第2の実施の形態の場合と同様に、反射防止膜32が、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物を含む耐熱性材料37から構成されていてもよい。
【0122】
また上述の各実施の形態において、ガラスフリットを含むガラスペーストの焼成が430℃で実施され、そして反射防止膜32を構成する耐熱性材料が430℃に耐えうる程度の耐熱性を有している例を示した。しかしながら、ガラスペーストの焼成が実施される温度が430℃に限られることはなく、用いられるガラスフリットの特性に応じて、少なくとも400℃以上の様々な温度で焼成され得る。また反射防止膜32を構成する耐熱性材料の耐熱性が、430℃に耐えうる程度の耐熱性に限られることはなく、ガラスフリットを含むガラスペーストの焼成温度に応じて、反射防止膜32を構成する耐熱性材料の耐熱性が設計され得る。
【0123】
また上述の各実施の形態において、ガラス基板31上に設けられた耐熱性材料の賦形が枚葉で実施される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、はじめに一方向に連続的に延びるガラスシートを準備し、このガラスシート上に耐熱性材料を連続的に設け、その後、スタンパ版が巻きつけられたロール体を用いることによって耐熱性材料の賦形を連続的に実施してもよい。これによって、ガラスシート上に連続的に反射防止膜が形成される。その後、反射防止膜が形成されたガラスシートを所定の寸法に切断することにより、ガラス基板と、ガラス基板上に軽視された反射防止膜と、を備えた封止ガラスが得られる。ガラスシートの厚みは特には限られないが、例えば約100μmとなっている。
【符号の説明】
【0124】
10 有機EL表示装置
15 封止部
20 有機EL素子
21 陽極
22 有機発光層
23 陰極
24 有機EL層
27 有機EL用基板
30,30A 封止ガラス
31 ガラス基板
32 反射防止膜
33 基底部
34 モスアイ構造部
35 凸部
36 耐熱性材料
37 耐熱性材料
40 タッチパネルセンサ
41 x透明導電パターン
41a x電極単位
41b x接続部
42 y透明導電パターン
42a x電極単位
42b x接続部
43 取出配線
44 取出配線
45 端子部
46 タッチパネルセンサ用基板
47,47A 絶縁層
49,49A 保護層
50,50A センサ部
60 スタンパ版
61 凹部
65 ロール体
66 スタンパ版
70 円偏光板
71 偏光板
72 位相板
75 強化ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL表示装置で用いられる封止ガラスにおいて、
ガラス基板と、
前記ガラス基板の一側の面上に形成され、耐熱性材料からなる反射防止膜と、を備え、
前記反射防止膜は、凹凸形状からなるモスアイ構造部を有し、
前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂を含むことを特徴とする封止ガラス。
【請求項2】
前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物をさらに含み、
前記感光性化合物は、光酸発生剤または光塩基発生剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の封止ガラス。
【請求項3】
前記ガラス基板の他側に設けられ、導電体の接近を感知するセンサ部をさらに備え、
前記センサ部は、前記ガラス基板の他側の面上に形成され、導電性および透明性を有する透明導電パターンを有することを特徴とする請求項1または2に記載の封止ガラス。
【請求項4】
前記センサ部は、前記透明導電パターンを覆う保護層をさらに有し、
前記保護層は、シロキサン樹脂を含む材料から構成されることを特徴とする請求項3に記載の封止ガラス。
【請求項5】
前記ガラス基板の外縁に沿って前記ガラス基板の一側の面上に形成された封止部をさらに備え、
前記封止部は、ガラスフリットから構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の封止ガラス。
【請求項6】
有機EL素子と、
前記有機EL素子に対向するよう設けられた封止ガラスと、を備え、
前記有機EL素子は、有機EL用基板と、前記有機EL用基板上に設けられ、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に設けられた有機発光層とを含む有機EL層と、を有し、
前記封止ガラスは、ガラス基板と、前記ガラス基板の前記有機EL素子側の面上に形成され、耐熱性材料からなる反射防止膜と、前記ガラス基板の外縁に沿って前記ガラス前記有機EL素子側の面上に形成された封止部と、を有し、
前記反射防止膜は、凹凸形状からなるモスアイ構造部を有し、
前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂を含み、
前記封止部は、ガラスフリットを含むことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項7】
前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂中に分散された感光性化合物をさらに含み、
前記感光性化合物は、光酸発生剤または光塩基発生剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記封止ガラスは、前記ガラス基板の有機EL素子側とは反対の側に設けられ、導電体の接近を感知するセンサ部をさらに有し、
前記センサ部は、前記ガラス基板の有機EL素子側とは反対の側の面上に形成され、導電性および透明性を有する透明導電パターンを有することを特徴とする請求項6または7に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記センサ部は、前記透明導電パターンを覆う保護層をさらに有し、
前記保護層は、シロキサン樹脂を含む材料から構成されることを特徴とする請求項8に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
有機EL素子を備えた有機EL表示装置の製造方法において、
ガラス基板を準備する工程と、
前記ガラス基板の一側の面上に耐熱性材料からなる反射防止膜を形成する工程と、
前記ガラス基板の外縁に沿って前記ガラス基板の一側の面上にガラスフリットを設ける工程と、
前記ガラスフリットを少なくとも400℃以上の温度で焼成して、ガラスフリットからなる封止部を形成する工程と、
前記有機EL素子を前記ガラス基板の一側に配置する工程と、
前記封止部を溶融させ、これによって前記ガラス基板と前記有機EL素子との間を封止する工程と、を備え、
前記反射防止膜は、凹凸形状からなるモスアイ構造部を有し、
前記耐熱性材料は、シロキサン樹脂を含むことを特徴とする有機EL表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記ガラス基板の一側の面上に前記封止部が形成される前に、前記ガラス基板の他側に、導電体の接近を感知するセンサ部が設けられ、
前記センサ部は、前記ガラス基板の他側の面上に形成され、導電性および透明性を有する透明導電パターンと、前記透明導電パターンを覆う保護層と、を有し、
前記保護層は、シロキサン樹脂を含む材料から構成されることを特徴とする請求項10に記載の有機EL表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−199098(P2012−199098A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62933(P2011−62933)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】