説明

封筒フラップの接着補助装置

【課題】自動機を用いて封入封緘を行う過程において、フラップの接着を安定化させる技術を提供する。
【解決手段】封筒フラップの接着補助装置は、複数の回転モジュールが放射状に配置された回転体40を備えている。回転体40は、再湿糊によって封入封緘処理がなされた後の封筒Eを所定の位置で受け取ると、フラップ押さえ板でフラップの部位を圧着して封筒Eを保持する。この状態で回転体40が回転すると、フラップを圧着したままの状態で封筒が回転方向に移送されていき、その間にフラップの接着を安定化させることができる。また回転体40は、封筒Eを移送した後に別の位置で封筒Eの保持を解除し、後工程に向けて封筒Eを排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が挿入された封筒を封緘する過程で、フラップの接着を補助する封筒フラップの接着補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、封筒の製造過程で封筒の合わせ面における接着を補助する封筒処理装置の先行技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。封筒製造機では、原反ロール紙を断裁した後、断裁紙に接着剤を塗布して折り込みを行い、合わせ面を軽く貼り合わせた状態で封筒が製造される。ただし、そのままでは合わせ面の圧着が未だ不完全であり、封筒の完成品として充分な(安定した)接着状態を得ることができない。
【0003】
このため先行技術の封筒処理装置は、封筒製造機から送り出される封筒を1枚ずつ起立させながら一対の挟持片間に供給していき、封筒が所定枚数に達すると、一対の挟持片を移動させて封筒を起立姿勢の状態で挟み込んだまま搬送しつつ、封筒の合わせ面である接着領域に挟持力を付与することとしている。これにより、封筒製造機により製造される全ての封筒は、所定枚数の単位で合わせ面を確実に圧着されるため、封筒の完成品として充分な接着状態を得ることができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−278135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した先行技術は、最終工程で封筒本体での合わせ面の接着を安定化させるものであり、封筒製造装置の機能を補助することができる点では有効である。しかしながら封筒の接着に関しては、その製造過程で合わせ面を接着するだけでなく、例えば封入封緘機による内容物の封入と封緘処理が行われる過程において、フラップを確実に接着する場合にも重要となる問題である。
【0006】
すなわち封筒は、その発送前にフラップを確実に接着することで封緘(密封)を完成させるものであり、たとえ完成品としての封筒の接着が完全であったとしても、最後にフラップの接着が不充分であると、封筒本来の使用目的を大きく損ねてしまうことになる。特に近年、個人別の可変情報(例えば、通信料金明細、クレジットカード明細等)を印字した内容物を自動機で封入封緘するプロセスにおいて、短時間内に大量の封筒を高速で封入封緘処理する自動機が普及してきており、その過程でフラップを確実に接着するための技術が望まれている。
【0007】
通常、封筒を自動機で封緘処理する場合、その接着には再湿糊が用いられることが多く、再湿糊は、封筒の完成状態で予めフラップの接着領域(合わせ面)に塗布されている。このため自動機を用いた封入封緘処理においては、封筒に内容物を挿入した後、フラップの再湿糊に水分を付与(モイスニング処理)してからフラップを折り込む。ただし再湿糊は、水分を付与した直後の状態は未だ不安定であり、フラップを折り込んだ後もしばらくの間は接着が安定しないため、そのままでは封緘が不完全となるおそれがある。
【0008】
封入封緘処理に用いられる自動機は、再湿糊のモイスニングとフラップの折り込みまでを高速に処理することは可能であるものの、フラップを折り込んだ後、コンベアに排出された封筒のフラップ部分をローラで一時的に押さえる程度の機能しかなく、フラップの部位をある程度の時間(再湿糊の接着が安定する所要時間)にわたって長く押さえ付けておくことはできない。ただし、コンベア上である程度の時間を掛けてフラップの部位を圧着しようとすると、それだけコンベアの搬送経路が長くなり、設置スペースの増大や作業効率の悪化を招いてしまうことになる。また、上述した先行技術(特許文献1)の手法は、単純に封筒全体を所定枚数ずつ挟み込んで厚み方向に圧迫するだけであり、フラップの部位を重点的に圧迫するようなことはできない。
【0009】
そこで本発明は、自動機を用いて封入封緘を行う過程において、フラップの接着を安定化させる技術の提供を課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明は、封筒本体とフラップとで構成される封緘前の封筒に内容物が挿入された後、封筒本体に対して接着剤が付与されたフラップを折り込んで封緘する過程にて、封筒本体とフラップとの接着を補助する封筒フラップの接着補助装置であって、以下の構成を備えている。
【0011】
すなわち本発明の封筒フラップの接着補助装置は、複数の回転モジュールが放射状に配置された回転体を備えており、この回転体は、回転軸の間欠的な回転に伴い、その回転方向に円形状をなす移動経路に沿って回転モジュールを所定角度ずつ回転方向に移動させる。複数の回転モジュールは、回転軸の周囲に所定角度をおいて配置されており、回転軸が間欠的に1ピッチだけ回転すると、回転モジュールは移動経路に沿って1ピッチずつ回転方向に移動して位置がずれていく。
【0012】
個々の回転モジュールには、それぞれに保持機構が設けられている。保持機構は、移動経路の一部に予め規定された保持区間内を回転モジュールが移動する間、少なくともフラップの部位を挟み込んだ状態で封筒を保持するものであり、これにより回転モジュールは、保持区間内を移動する間に封筒を保持しながら移送することが可能となる。
【0013】
回転モジュールの移動経路上には、上記の保持区間とは別に解除区間が規定されている。すなわち、保持区間内を回転モジュールが移動する間は、上記の保持機構により封筒が保持されているが、解除区間内を回転モジュールが移動する間は、解除機構によって封筒の保持が解除されている。これにより解除機構は、回転モジュールが解除区間の終端に位置するタイミングにおいて、回転モジュールによる封筒(フラップが折り込まれた状態のもの)の受け取りを可能にしている。また一方で解除機構は、回転モジュールが解除区間から保持区間に移動すると、その解除を止めて保持機構により封筒を保持させるとともに、回転モジュールが解除区間の始端位置に到達するタイミングでは、再び保持機構による保持を解除して回転モジュールからの封筒の排出を可能とする。
【0014】
上記のように本発明によれば、回転軸の間欠的な回転に伴い、回転体全体が間欠的に回転することとなるが、このとき回転体には複数の回転モジュールが放射状に配置されているため、1つの回転体で複数の封筒を連続的に受け取って順次移送しつつ、その間の保持力(圧着力)によってフラップの接着を安定化させることができる。すなわち複数の回転モジュールは、回転体(回転軸)の角度に応じて移送経路上の「保持区間」又は「解除区間」のいずれかに位置しており、このうち「保持区間」に位置している回転モジュールについては、保持機構の保持力によってフラップの部位を押さえ付けるとともに、封筒を保持しながらその移送を行うことで、回転モジュールが保持区間内を移送する時間内で接着が安定するまでフラップを圧着することができる。一方、「解除区間」に位置している回転モジュールについては、解除機構によって保持機構による保持が解除された状態にあるため、この状態では回転モジュールによる新たな封筒の受け取りの他に、既にフラップの圧着がなされた封筒の排出も可能となる。
【0015】
このため、例えば封入封緘処理を行う自動機から一定間隔で連続的に封筒が送り出されてくる場合、その送出間隔に同期して回転体(回転軸)を間欠的に回転させることにより、送り出されてくる封筒を解除区間の終端位置にある回転モジュールで順次滞りなく受け取ることができる。送り出されてくる封筒は、そのまま回転モジュールに受け取られてもよいし、あるいは、コンベアやプッシャのような機械的手段を介して回転モジュールに受け取られるものでもよい。また移送された封筒は、回転モジュールが解除区間の始端位置に到達するタイミングで保持を解除されることにより、回転モジュールから排出可能となる。このとき封筒は、例えば自然落下により回転モジュールから排出されてもよいし、あるいは、プッシャやコンベアのような機械的手段を介して排出されてもよい。
【0016】
いずれにしても本発明によれば、回転体全体が間欠的に回転していく過程で、放射状に配置された複数の回転モジュールが回転方向へ位置をずらしながら順次移動しつつ、封筒の受け取りや保持、移送、保持の解除、そして排出までの一連の動作を実行することができる。特に本発明では、これら一連の動作を回転体の設置スペース内だけで完結することができるため、フラップの接着を安定化させるためだけにわざわざ長大な搬送経路を設置する必要がなく、既存の自動機(封入封緘機)に対しても容易に適用することができる。
【0017】
本発明において、上記の回転モジュールは、回転軸からその径方向に延びる支持アームと、この支持アームに取り付けられ、解除区間の終端位置で受け取る封筒を平積みの姿勢にして積載する封筒載せ板とを含む構成であってもよい。また上記の保持機構は、個々の回転モジュールに設けられ、封筒載せ板との間にてフラップの部位を挟み込み可能なフラップ押さえ板と、支持アームの先端部にヒンジを介して変位可能に連結され、ヒンジから延びた一端部にてフラップ押さえ板を支持し、かつ、ヒンジの周囲に設置されたねじりばねの弾性力でフラップ押さえ板を封筒載せ板に対して押し付ける方向へ変位するクランプアームとを含む構成であってもよい。そして上記の解除機構は、クランプアームの他端部に設けられたカムフォロワと、回転体の外周に沿って移動経路の解除区間に相当する範囲に設置され、回転体の回転に伴い解除区間内に位置する回転モジュールについてカムフォロワを相対的に案内することにより、ねじりばねの弾性力に抗してフラップ押さえ板を封筒載せ板から離隔させる方向へクランプアームを変位させる固定カムとを含む構成とすることができる。
【0018】
上述した構成であれば、個々の回転モジュールに保持機構としてのフラップ押さえ板とクランプアームとが一体化された構造となるため、回転軸の周囲に回転モジュールを所定角度ごとに配置するだけで、個々の回転モジュールに保持機構を備えた回転体を容易に構築することができる。
【0019】
また解除機構についても、その構成要素の一部であるカムフォロワをクランプアームと一体化することにより、別途、フラップ押さえ板を持ち上げる機構を設ける必要がないことから、それだけ全体の構成を簡素化することができる。また固定カムについては、これを回転体の外周に固定して配置しておくだけでよく、後は回転モジュールの移動に伴ってカムフォロワが固定カムに追従する。これにより、簡単な構造で解除区間の始端位置から終端位置までの間、クランプアームを変位させて封筒の保持を確実に解除しておくことができる。また、クランプアームから解除機構を離脱させるような機構を別に設けなくとも、回転モジュールの移動に伴ってカムフォロワが固定カムから離れると、それによってクランプアームがねじりばねの弾性力で自然に復帰するため、フラップ押さえ板を封筒載せ板に確実に押し付けてフラップを圧着し、そのまま封筒の保持を行うことができる。
【0020】
本発明の封筒フラップの接着補助装置は、封筒の供給機構及び排出機構をさらに備えていてもよい。すなわち供給機構は、回転体の側方に設けられ、回転モジュールが解除区間の終端に位置するタイミングでフラップが折り込まれた後の封筒を供給することにより、回転モジュールに封筒を受け取らせるものである。また排出機構は、供給機構とは別に回転体の側方に設けられ、解除区間の始端に位置する回転モジュールについて解除機構により保持機構の保持を解除された封筒を回転モジュールから排出させるものである。
【0021】
上記の態様であれば、回転モジュールによる封筒の受け取り動作と、その後の排出動作を安定して行うことができる。これにより、例えば封入封緘機から連続して送り出される封筒を円滑に回転モジュールに引き継がせ、そこでフラップの接着を安定化させた後、次工程の処理に向けて円滑に引き渡すことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の封筒フラップの接着補助装置は、フラップの接着を確実に安定化させ、その接着不良の発生を抑えることができる。また、限られた設置スペース内で動作できるため、例えば既存の封入封緘機とその周辺機器(排出側のコンベア等)との間に確保できる少ない面積にも容易に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】封入封緘機による処理の流れを概略的に示した図である。
【図2】接着補助装置の全体的な構成を概略的に示した正面図である。
【図3】接着補助装置の全体的な構成を概略的に示した平面図である。
【図4】回転体の全体構成を示す背面図である。
【図5】回転モジュールを単独で示した背面図である。
【図6】回転軸を含む回転モジュールの平面図である。
【図7】回転体の回転に伴う回転モジュールの移動経路を示した図である。
【図8】回転モジュールとともに供給ユニットの構成を詳細に示した平面図である。
【図9】供給ユニット及び回転モジュールの縦断面図(図8中のIX−IX線に沿う断面図)である。
【図10】供給部規制ユニットの動作例を示した図(1/2)である。
【図11】供給部規制ユニットの動作例を示した図(2/2)である。
【図12】駆動ギアユニット及び供給部規制ユニットの周辺の配置を示した側面図である。
【図13】回転モジュールとともに排出ユニットの構成を詳細に示した図である。
【図14】排出部押出ユニットの動作例を示した図(1/2)である。
【図15】排出部押出ユニットの動作例を示した図(2/2)である。
【図16】駆動ギアユニット及び排出部押出ユニットの周辺の配置を示した側面図である。
【図17】回転体に対する駆動ギアユニット全体の配置を示した側面図である。
【図18】モータ駆動部の構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
〔封入封緘処理〕
図1は、既存の封入封緘機による処理の流れを概略的に示した図である。
図1中(A):封緘前の封筒Eは、主に封筒本体BD及びフラップFLから構成されている。図示しない封入封緘機は、封緘前の封筒Eに内容物Sを挿入する。内容物Sは、例えば個人別に可変情報(通信料金明細、クレジットカード利用明細等)が印字された印字物、印刷物等である。なお封筒Eは、内容物Sを部分的に視認できる窓空きタイプのものでもよい。ここでは封筒Eの一側長辺にフラップFLが形成された例を挙げているが、フラップは一短辺に形成されていてもよい。またフラップFLは台形状のものだけでなく、三角形状(いわゆる「ダイヤモンド貼り封筒」)やアーチ形状(いわゆる「内カマス貼り封筒」)のものであってもよい。
【0026】
〔モイスニング〕
図1中(B):内容物Sを挿入した後、フラップFLに予め塗布されている再湿糊(アラビア糊)PTのモイスニング処理が行われる。モイスニング処理は、例えば図示しない刷毛を用いて水を塗布したり、スプレーノズルによって水を吹き付けたり、あるいは、ローラを介して水を転写したりすることで行うことができる。乾燥した再湿糊PTは、モイスニングにより水分を供給されることで接着可能な状態に活性化する。
【0027】
〔フラップ折り〕
図1中(C):モイスニング処理の後、例えば図示しない折りガイドを用いてフラップFLの折り込みが行われる。
【0028】
〔封筒送出〕
図1中(D):そして封筒Eは、フラップFLが折られた状態で封入封緘機から送り出される。このとき封筒Eは、例えば図示しないローラ等で一時的にフラップFLの部位を押さえられた後、図示しないコンベア上にさしみ状(平置きの状態)にして送り出される。ただし、封入封緘機の処理速度(例えば数千部/時間)に応じて封筒Eの送出間隔も短くなるため、この間にフラップFLが押さえられている時間は極端に短い(例えば0.5秒未満)。
【0029】
以上の工程を通じて封入封緘機から送り出された直後の封筒Eは、再湿糊PTをモイスニングした後でフラップFLを折り込まれた状態ではあっても、その接着は未だ完全ではない。そこで本実施形態では、この後の工程においてある程度の時間を掛けて封筒EのフラップFLを圧着し、その接着を安定化させるものである。以下、封筒フラップの接着補助装置の実施形態について詳細に説明する。
【0030】
〔全体構成〕
図2は、一実施形態の接着補助装置10の全体的な構成を概略的に示した正面図である。また図3は、接着補助装置10の全体的な構成を概略的に示した平面図である。先ず、接着補助装置10の全体構成について説明する。
【0031】
〔装置フレーム〕
接着補助装置10は、略直方体形状をなす装置フレーム12を有しており、この装置フレーム12は、例えば下面の4隅に設けられたサポート脚12aを介して作業場の床上に設置されている。装置フレーム12は、例えば板材を箱形状に組み合わせた構造であり、その内部は中空となっている。なお図2には、装置フレーム12を構成する一方の側壁板12b、前後一対のフレーム板12c,12d及び底板12eが示されている。また図3には、装置フレーム12の天板12fが示されている。
【0032】
〔封筒の流れ〕
接着補助装置10は、例えば図示しない封入封緘機から送り出されてくる封筒Eを装置フレーム12の一方のフレーム板12c側から受け取り、その内部を通じて移送した後、他方のフレーム板12d側から排出する。なお図2及び図3には、封筒Eの受け取りから移送、そして排出に至るまでの経路が矢印付の実線及び破線で示されている。
【0033】
上記のような封筒Eの流れを実現するため、装置フレーム12の一方のフレーム板12cには供給ユニット20が設けられており、他方のフレーム板12dには排出ユニット30が設けられている。また装置フレーム12の内部には、回転体40が設けられている。接着補助装置10は、図示しない封入封緘機から送り出されてきた封筒Eを供給ユニット20で回転体40に供給し、その封筒Eを回転体40を用いて移送した後、排出ユニット30で排出する。なお供給ユニット20及び排出ユニット30は、いずれも封筒Eを厚み方向に挟み込む一対のベルトコンベアを有している。また排出ユニット30のベルトコンベアは、その始端ローラと終端ローラとの軸線が互いに平行でなく、そのベルト面をひねられている。これら供給ユニット20及び排出ユニット30の構成については、別の図面を用いてさらに後述する。
【0034】
上記の装置フレーム12は、接着補助装置10全体の支持フレームとしての役割を有する他に、回転体40の外側を覆うカバーとしての役割をも有している。また装置フレーム12には、一方のフレーム板12cにギアカバー50が取り付けられている他、他方のフレーム板12dにはモータ駆動部カバー60が取り付けられている。以下、各部の構成についてさらに詳細に説明する。
【0035】
〔回転体〕
図4は、回転体40の全体構成を示す背面図(他方のフレーム板12d側からみた図)である。なお図4では、全体構成の説明に係る部分にのみ参照符号を付し、細部については参照符号の図示を省略している。
【0036】
回転体40は、その中央に回転軸42を有しており、装置フレーム12のフレーム板12c,12dに対しては、この回転軸42を介して回転可能に支持されている。また回転体40は複数の回転モジュール44を有しており、これら回転モジュール44は、回転軸42の周囲に放射状をなして等角度で(例えば10°ごとに全部で36セット)配置されている。なお回転軸42の周囲には、その軸線方向に間隔をおいて一対の回転プレート46が取り付けられており、個々の回転モジュール44は、一対の回転プレート46を介して回転軸42に連結されている。
【0037】
〔回転モジュール〕
図5は、回転モジュール44を単独で示した背面図(他方のフレーム板12d側からみた図)である。また図6は、回転軸42を含む回転モジュール44の平面図である。回転モジュール44は、回転軸42の軸線方向に一対をなす支持アーム44aを有しており、これら一対の支持アーム44aは、いずれも長細い台形板状をなしている。また一対の支持アーム44aは、それぞれ基端部がボルト44bを介して回転プレート46に固定されており、そこから回転軸42(回転体40)の径方向に延びている。
【0038】
また回転モジュール44は、封筒載せ板44cを有している。この封筒載せ板44cは、各支持アーム44aの先端寄りの位置に一対の支持アーム44a間に跨るようにして設置されている。封筒載せ板44cは、封筒Eの外形に合わせて矩形状をなしており、回転軸42の軸線方向でみた長さは、一対の支持アーム44a同士の間隔よりも大きい。このため封筒載せ板44cは、回転軸42の軸線方向でみた両端部分がいずれも支持アーム44aから張り出している。なお封筒載せ板44cにはU字形状の切欠部44eが形成されており、この切欠部44eは、回転軸42の軸線方向でみた一端部(封筒Eが供給される側)から中央に向かって延びている。
【0039】
また回転モジュール44には、一対のクランプアーム45及びフラップ押さえ板47が取り付けられている。図6に示されているように、一対のクランプアーム45は、それぞれ支持アーム44aの両側に間隔をおいて位置しており、この位置で共通のヒンジピン44dを介してそれぞれ支持アーム44aに連結されている。またフラップ押さえ板47は、ヒンジピン44dから延びたクランプアーム45の一端部に固定されている。
【0040】
ヒンジピン44dは、各クランプアーム45の中央部、及び支持アーム44aの先端部をそれぞれ貫通して延びており、この状態で一対のクランプアーム45を支持アーム44aに対してヒンジ接合(ピン接合)している。またヒンジピン44dの両端部には、それぞれ支持アーム44aとクランプアーム45との間にねじりコイルばね49が配置されている。各ねじりコイルばね49はヒンジピン44dの周囲に取り付けられた状態で、その一端が支持アーム44aに固定されており、他端がクランプアーム45に固定されている。なお図6に示されるように、一対の支持アーム44a間には掛止ロッド44fが取り付けられており、各ねじりコイルばね49の一端は、この掛止ロッド44fを介して支持アーム44aに固定することができる(図5では示さず)。また各ねじりコイルばね49の他端は、例えばフック状に曲げ加工することで、クランプアーム45の端面(例えば図6中の下端面)に引っ掛けた状態で固定することができる。
【0041】
〔保持機構〕
ねじりコイルばね49はその取付状態において、クランプアーム45の一端部を常時、図5中の時計回り方向に変位させる弾性力(反発力)を発生させている。このため各回転モジュール44では通常(常時)、フラップ押さえ板47を封筒載せ板44cに対して押さえ付けようとする力が働いている。これによりフラップ押さえ板47は、封筒載せ板44cに封筒Eが積載された状態でそのフラップFLの部位を押さえ付け、封筒本体BDに対して強く圧着することができる。またこの状態で、フラップ押さえ板47は封筒載せ板44cとの間に封筒Eを挟み込むようにして保持することができる。
【0042】
〔解除機構〕
その一方で各クランプアーム45の他端部には、ローラ式のカムフォロワ48が取り付けられている。また回転体40の外周には一対の固定カム43(図6中に横断面を示す)が設置されている。これら固定カム43は、回転モジュール44の移動に伴って各カムフォロワ48に接触し、そのカム面43aに沿ってカムフォロワ48を相対的に案内する。この状態で各クランプアーム45は、ねじりコイルばね49の反発力に抗して図5中の反時計回り方向に変位する。これにより、クランプアーム45が図5中の2点鎖線で示される位置に変位することで、上記のフラップ押さえ板47を封筒載せ板44cから離隔させることができる。またこの場合、フラップ押さえ板47による封筒Eの保持は解除された状態となる。
【0043】
〔移動経路〕
図7は、回転体40の回転に伴う回転モジュール44の移動経路を示した図である。なお、図7では煩雑化を防止するため、移動経路の説明に係る部分について参照符号を付し、個々の回転モジュール44やその細部についての参照符号を適宜省略している。
【0044】
個々の回転モジュール44は、回転軸42の回転に伴ってその周囲を円周方向(図7中の反時計回り方向)へ移動するため、その移動経路は回転軸42を中心とした円形状をなす。このとき回転軸42は、図示しないステッピングモータの間欠駆動により、回転モジュール44の取付ピッチに相当する角度ずつ間欠的に回転する。このため個々の回転モジュール44は、回転軸42の間欠的な回転に伴って1ピッチ分ずつ位置をずらしながら移動していくことになる。
【0045】
〔固定カム〕
上記のように回転体40の外周に固定カム43(図7には一方のみを示す)が配置されている。固定カム43は回転体40の外側を弓形(円弧形)に延びており、回転体40に対向する内側面が上記のカム面43aとなっている。カム面43aは回転軸42と同心の円弧面として形成されているが、その全長は固定カム43の長手方向で全域にまでは広がっておらず、固定カム43の両端部分でカム面43aは途切れている。すなわち固定カム43の内側面は、その長手方向の一端部が進入ガイド面43bとして形成されており、他端部は退出ガイド面43cとして形成されている。このうち進入ガイド面43bは、回転モジュール44の移動方向に対して入口側に位置しており、退出ガイド面43cは出口側に位置している。
【0046】
先ず固定カム43の入口側では、カムフォロワ48が最初に進入ガイド面43bに沿って相対的に案内されることで、クランプアーム45が徐々に変位していき、そしてカムフォロワ48が進入ガイド面43bからカム面43aに到達すると、上記のようにフラップ押さえ板47が封筒載せ板44cから最大に離隔して、フラップ押さえ板47が開ききった状態となる。
【0047】
〔解除区間〕
この後、回転モジュール44が移動経路上を回転軸42の回転方向(図7中の反時計回り方向)に移動していく過程で、引き続きカムフォロワ48がカム面43aにより相対的に案内される区間内では、フラップ押さえ板47は常に開ききった状態を維持している。このように、フラップ押さえ板47が開いた状態を維持する区間を本実施形態では「解除区間」とする。そして本実施形態では、この解除区間の終端に回転モジュール44が位置するタイミングで、回転体40の側方から封筒Eを供給することにより、その回転モジュール44による封筒Eの受け取りを可能としている。なお、封筒Eの供給についてはさらに別の図面を用いて後述する。
【0048】
固定カム43の出口側では、カムフォロワ48がそれまでのカム面43aから抜け出て、次に退出ガイド面43cに沿って相対的に案内されることで、入口側のときと反対方向へクランプアーム45が徐々に変位していく。そしてカムフォロワ48が退出ガイド面43cから抜け出ると、フラップ押さえ板47が封筒載せ板44cに対して押し付けられた状態となる。
【0049】
〔保持区間〕
この後、回転モジュール44が移動経路上を回転軸42の回転方向(図7中の反時計回り方向)に移動していく過程で、カムフォロワ48が固定カム43から離れている区間内では、フラップ押さえ板47は常に封筒載せ板44cに対して押し付けられた状態を維持している。このように、フラップ押さえ板47が押し付けられた状態を維持する区間を本実施形態では「保持区間」とする。本実施形態では、先の「解除区間」から「保持区間」へ回転モジュール44が移動する際、フラップ押さえ板47が封筒載せ板44cに対して押し付けられることで、「解除区間」の終端位置で供給された封筒EのフラップFLの部位がフラップ押さえ板47により挟み込まれるものとなっている。この状態で「保持区間」を回転モジュール44が移動していく過程では、フラップ押さえ板47と封筒載せ板44cとの間で封筒Eを挟み込んだ状態で保持しつつ、その移動に伴って封筒Eの移送を行うことができる。
【0050】
この後、封筒Eを保持した状態の回転モジュール44が「保持区間」を通過し、「解除区間」の始端位置に移動すると、このタイミングで上記のようにカムフォロワ48が固定カム43によって相対的に案内される。その結果、フラップ押さえ板47が開ききった状態となり、それまでの封筒Eの保持を解除することができる。特に本実施形態では、「解除区間」の始端位置で回転モジュール44が回転軸42よりも上方に位置しているため、それまでの保持を解除された封筒Eは、自然に下方へ落下する。なお、封筒Eが落下すると、その一端(図7では下端)が回転プレート46に当たって停止し、その位置で封筒Eは受け止められる。本実施形態では、この解除区間の始端に回転モジュール44が位置するタイミングで、回転体40の側方から封筒Eを押し出すことにより、その回転モジュール44からの封筒Eの排出を可能としている。なお、封筒Eの排出についてもさらに別の図面を用いて後述する。
【0051】
〔供給機構〕
図8は、回転モジュール44とともに供給ユニット20の構成を詳細に示した平面図である。また図9は、供給ユニット20及び回転モジュール44の縦断面図(図8中のIX−IX線に沿う断面図)である。
【0052】
供給ユニット20は、一対の封筒取り込みコンベア21,22を有している。これら封筒取り込みコンベア21,22は、封筒Eをその厚み方向に挟み込むようにして上下に位置するとともに、互いにそのベルト面を平行にして配置されている。また一対の封筒取り込みコンベア21,22は長手方向(搬送方向)に位置がずれており、この例では上方の封筒取り込みコンベア21が下方の封筒取り込みコンベア22に対して搬送方向でみて下流寄りにずれている。
【0053】
図示しない封入封緘機から送り出された封筒Eは、封筒取り込みコンベア21,22の始端位置でこれらの間に挟み込むようにして取り込まれる。そして封筒Eは、封筒取り込みコンベア21,22により搬送され、上述した解除区間の終端に位置する回転モジュール44に向けて供給される。なお装置フレーム12の一方のフレーム板12cには、封筒取り込みコンベア21,22及び封筒Eが通り抜け可能なだけの開口(図示していない)が形成されている。封筒取り込みコンベア21,22から送り出された封筒Eは、そのままの勢いで封筒載せ板44c上に到達することで、回転モジュール44にて受け取られる。なお装置フレーム12の内部には、封筒Eの行き過ぎを規制するストッパプレート70が設置されている。
【0054】
接着補助装置10は供給ユニット20に付随して、供給部規制ユニット26及びカム機構24を備えている。また上述したギアカバー50内には、カム機構24に対する駆動ギアユニット52が設けられている。以下、それぞれについて説明する。
【0055】
〔供給部規制ユニット〕
供給部規制ユニット26は、回転体40(回転モジュール44)とともに装置フレーム12の内側に配置されている。供給部規制ユニット26は、スクープ26a、押し込みピン26b及び規制板26cを備えており、このうち押し込みピン26bはスクープ26aの上面に突出するようにして取り付けられている。またスクープ26a及び規制板26cは、いずれもエンドプレート26dに取り付けられている。
【0056】
供給部規制ユニット26は、上記のカム機構24によって水平方向(図8,図9中の左右方向)に往復移動されることにより、封筒取り込みコンベア21,22による封筒Eの供給動作を補助するとともに、回転モジュール44(封筒載せ板44c)に対して供給される封筒Eの位置を規制するものである。なお、供給部規制ユニット26の動作については、さらに別の図面を用いて後述する。
【0057】
〔カム機構〕
またカム機構24は、円筒カム24aとそのカムフォロワ24b及び従動体24cを有する他、上記の供給部規制ユニット26を駆動するための2本の駆動ロッド24dを有している。カム機構24は、円筒カム24aの回転に伴ってカムフォロワ24b及び従動体24cを水平方向(図8,図9中の左右方向)に往復移動させる。2本の駆動ロッド24dは、それぞれ一端が従動体24cに連結されており、このためカムフォロワ24b及び駆動ロッド24dの水平移動に伴い、2本の駆動ロッド24dはその軸線方向に水平移動する。なお装置フレーム12の一方のフレーム板12cには、2本の駆動ロッド24dにそれぞれ対応してガイドスリーブ24eが取り付けられている。ガイドスリーブ24eはフレーム板12cを貫通した状態で固定されており、その内部にてそれぞれ駆動ロッド24dをスライド自在に案内することができる。
【0058】
2本の駆動ロッド24dには、それぞれ他端にエンドプレート26dが取り付けられている。このため上記のようにカム機構24により2本の駆動ロッド24dが水平方向に移動されると、装置フレーム12の内部で供給部規制ユニット26が水平方向に移動し、回転モジュール44に対して接近又は離隔する動作が行われる。供給部規制ユニット26は、回転モジュール44に対して近接する動作に伴い、供給された封筒Eの押し込みや位置の規制を行うことができる。なお本実施形態では、円筒カム24aが1回転すると、2本の駆動ロッド24dを1往復分だけ水平移動させるカムプロファイルを予め設定している。
【0059】
〔駆動ギアユニット〕
駆動ギアユニット52は、駆動ギア52a及びその他の従動ギア52b〜52fを連結させた歯車列で構成されている。このうち駆動ギア52aは回転軸42の一端に取り付けられている。また、歯車列の終端に位置する従動ギア52fは、上記の円筒カム24aと一体的に取り付けられており、その回転中心は、円筒カム24aと共通となっている。その他の中間に位置する従動ギア52b〜52eのうち、駆動ギア52aに隣接する1つの従動ギア52b(比較的小径)が駆動ギア52aと噛み合っている。この従動ギア52bと別の従動ギア52c(比較的大径)とは互いに同軸の状態で、ギアカバー50内の図示しない軸受を介して回転自在に支持されている。また、従動ギア52cに隣接する1つの従動ギア52d(比較的小径)が従動ギア52cと噛み合っており、この従動ギア52dと別の従動ギア52e(比較的大径)とは互いに同軸の状態で、ギアカバー50内の図示しない軸受を介して回転自在に支持されている。そして従動ギア52eは、上述した終端の従動ギア52fと噛み合っている。
【0060】
これにより駆動ギアユニット52は、回転軸42の回転を受けて動力を伝達し、円筒カム24aを一方向に回転させることができる。なお本実施形態では、駆動ギア52a及びその他の従動ギア52b〜52fについて、回転軸42が間欠的に1ピッチ分だけ回転すると、その間に円筒カム24aを1回転させることができる歯数を予め設定している。
【0061】
〔供給部規制ユニットの動作例〕
図10及び図11は、供給部規制ユニット26の動作例を示した図である。図中に実線で示されるように、供給部規制ユニット26が回転モジュール44から離れた位置に停止している状態で、封筒取り込みコンベア21,22により封筒Eが取り込まれてくると、そのままの勢いで封筒Eは回転モジュール44の封筒載せ板44c(図10,図11には示されていない)により受け取られる。
【0062】
このタイミングに同期して回転軸42が間欠回転を開始すると、カム機構24の働きによって供給部規制ユニット26が回転モジュール44に対して接近する方向に移動する。このとき供給部規制ユニット26のスクープ26aは、封筒Eの下面に潜り込む(掬う)ようにしてスライドし、封筒Eの下面を支持する。なお、このときスクープ26aが封筒載せ板44cの切欠部44e内に進入することで、封筒載せ板44cとの干渉を防止されている。一方で押し込みピン26bは、そのスライドに伴って封筒Eの後端(供給方向でみて後端)に接触し、そのまま封筒Eを後押しして供給動作を補助する。
【0063】
また規制板26cは、スクープ26a及び押し込みピン26bと連動して移動し、封筒Eの一側端(回転軸42に近い側端)を案内する。規制板26cは、上記のエンドプレート26dの位置を基端とすると、そこから先端に向かって緩やかにカーブしており、先端に向かうほど封筒Eの一側端から離れている。このため規制板26cは、そのカーブした内面(封筒Eに対向する面)に沿って封筒Eの一側端を案内しつつ、封筒Eが回転軸42寄りに位置がずれるのを規制し、封筒載せ板44cに対して正しく位置合わせすることができる。
【0064】
また図12は、駆動ギアユニット52及び供給部規制ユニット26の周辺の配置を示した側面図(封筒Eの供給方向からみた図)である。なお図12には、上述した解除区間の終端位置にある回転モジュール44と、そこから1ピッチ進んで保持区間に移動した回転モジュール44を合わせて示している。また図12中、回転軸42の回転方向、つまり、回転モジュール44の進行方向は時計回り方向となる。
【0065】
図12に示されているように、供給部規制ユニット26は解除区間の終端位置に対応する回転モジュール44に合わせて配置されている。この位置で供給部規制ユニット26が上記の動作を行うことにより、フラップ押さえ板47が開いた状態にある回転モジュール44に対して封筒Eを確実に受け取らせることができる。
【0066】
〔排出機構〕
次に図13は、回転モジュール44とともに排出ユニット30の構成を詳細に示した図である。なお図13は、解除区間の始端に位置する回転モジュール44に対して垂直な方向から各部の配置を示したものである。このため図13の断面は、フレーム板12c,12dの水平断面を示したものではない。
【0067】
排出ユニット30は、一対の封筒排出コンベア31,32を有している。これら封筒排出コンベア31,32もまた、封筒Eをその厚み方向に挟み込むようにして上下に位置しているが、これらは上述のようにそのベルト面をひねった状態で配置されている。これら一対の封筒排出コンベア31,32もまた長手方向(搬送方向)に位置がずれており、この例では上方の封筒排出コンベア31が下方の封筒排出コンベア32に対して搬送方向でみて下流寄りにずれている。
【0068】
上記のように、回転モジュール44によって移送されてきた封筒Eは、回転モジュール44が解除区間の始端位置に到達するタイミングでフラップ押さえ板47による保持を解除され、封筒載せ板44cから自然に滑り落ちる。このとき封筒Eの下端は、上記のように回転プレート46によって受け止められる。また装置フレーム12内には、解除区間の始端位置に封筒ガイド72,74が設置されており、保持を解除された封筒Eは、回転プレート46の他に封筒ガイド72,74によってその下端を支持された状態となる。
【0069】
また接着補助装置10は、排出ユニット30に付随して排出部押出ユニット28を備えており、この排出部押出ユニット28もまた上記のカム機構24によって駆動されている。なお、ここではカム機構24について共通の符号を示し、その重複した説明を省略しているが、排出部押出ユニット28を駆動するカム機構24は、上述した供給部規制ユニット26を駆動するカム機構24とは別個に設けられているものとする。
【0070】
〔排出部押出ユニット〕
排出部押出ユニット28は、回転体40(回転モジュール44)とともに装置フレーム12の内側に配置されている。排出部押出ユニット28は封筒プッシャ28aを備えており、この封筒プッシャ28aは、断面コ字形状(C字形状)の部材で構成されている。また封筒プッシャ28aは、エンドプレート28bを介してカム機構24の駆動ロッド24dに連結されている。なおエンドプレート28bは、上述した供給部規制ユニット26におけるエンドプレート26dと同等の機能を有するものである。
【0071】
排出部押出ユニット28もまた、上記のカム機構24によって水平方向(図13中の左右方向)に往復移動される。この往復移動に伴い、排出部押出ユニット28は回転モジュール44からの封筒Eの排出を行い、その封筒Eを排出ユニット30の封筒排出コンベア31,32に向けて送り込むことができる。なお、排出部押出ユニット28の動作については、さらに別の図面を用いて後述する。
【0072】
排出部押出ユニット28を駆動するカム機構24は、上述したように供給部規制ユニット26を駆動するカム機構24と共通の構成を有している。すなわちカム機構24は、円筒カム24aとそのカムフォロワ24b及び従動体24cを有する他、2本の駆動ロッド24dを有している。カム機構24は、円筒カム24aの回転に伴ってカムフォロワ24b及び従動体24cを水平方向(図13中の左右方向)に往復移動させることで、装置フレーム12の内部で排出部押出ユニット28を水平方向に移動させ、封筒Eの排出動作を可能にする。なお、ここでも同様に、円筒カム24aが1回転すると、2本の駆動ロッド24dを1往復分だけ水平移動させるカムプロファイルが予め設定されている。
【0073】
〔駆動ギアユニット〕
上記の駆動ギアユニット52は、排出部押出ユニット28に対応して別の従動ギア52g,52h,52jを備えている。このため駆動ギアユニット52は、上記の駆動ギア52a及び従動ギア52b〜52dから続く別系統の従動ギア52g,52h,52jを連結させた歯車列を含んでいる。この別系統においても、歯車列の終端に位置する従動ギア52jは上記の円筒カム24aと一体的に取り付けられており、その回転中心は、円筒カム24aと共通となっている。その他の中間に位置する2つの従動ギア52g,52hのうち、従動ギア52cに隣接する従動ギア52g(比較的小径)が従動ギア52cと噛み合っており、この従動ギア52gともう1つの従動ギア52h(比較的大径)とは互いに同軸の状態で、ギアカバー50内の図示しない軸受を介して回転自在に支持されている。そして従動ギア52hは、上述した終端の従動ギア52jと噛み合っている。
【0074】
これにより駆動ギアユニット52は、回転軸42の回転を受けて動力を伝達し、排出部押出ユニット28に対応した円筒カム24aをも一方向に回転させることができる。なお排出部押出ユニット28についても、駆動ギア52a及びその他の従動ギア52b,52c,52d,52g,52h,52jについて、回転軸42が間欠的に1ピッチ分だけ回転すると、その間に円筒カム24aを1回転させることができる歯数が予め設定されている。
【0075】
〔排出部押出ユニットの動作例〕
図14及び図15は、排出部押出ユニット28の動作例を示した図である。図中に実線で示されるように、回転モジュール44が解除区間の始端位置に到達するまでは、排出部押出ユニット28は回転モジュール44から離れた位置で待機している。この状態で回転モジュール44が解除区間の始端位置に到達すると、上記のようにフラップ押さえ板74による保持が解除されて封筒Eが自然に落下している。
【0076】
次に回転軸42が回転し、回転モジュール44が1ピッチ分だけ移動するタイミングに同期してカム機構24が作動し、排出部押出ユニット28を回転モジュール44に対して接近する方向に移動させる。このとき封筒プッシャ28aは、封筒Eの後端(排出方向でみて後端)に接触して封筒Eを排出ユニット30に向けて押し出す。この押出動作に伴い、封筒Eの先端部分が封筒排出コンベア31,32に送り込まれる。これにより、封筒Eは封筒排出コンベア31,32に取り込まれてそのまま排出先へ搬送されることになる。なお、ここでも封筒プッシャ28aの一端が切欠部44e内に進入することにより、封筒載せ板44cと封筒プッシャ28aとの干渉が防止されている。
【0077】
図16は、駆動ギアユニット52及び排出部押出ユニット28の周辺の配置を示した側面図(封筒Eの排出方向上流側からみた図)である。なお図16には、上述した解除区間の始端位置にある回転モジュール44を中心として、その1ピッチ手前(図中左側)で保持区間内に位置する回転モジュール44と、逆に1ピッチ先(図中右側)に進んで解除区間内にある回転モジュール44を合わせて示している。また図16中、回転モジュール44の進行方向は時計回り方向となっている。
【0078】
図16に示されているように、排出部押出ユニット28は解除区間の始端位置に対応する回転モジュール44に合わせて配置されている。この位置で排出部押出ユニット28が上記の排出動作を行うことにより、フラップ押さえ板47による保持が解除されて落下している封筒Eを確実に封筒排出コンベア31,32に送り込むことができる。
【0079】
図17は、回転体40に対する駆動ギアユニット52全体の配置を示した側面図(封筒Eの供給方向にみた図)である。上記のように駆動ギアユニット52は、駆動ギア52a及び従動ギア52b,52cから先に2系統の歯車列を構成している。そのうち一方の系統(従動ギア52d〜52f)が供給部規制ユニット26を駆動するカム機構24に連結されており、他方の系統(従動ギア52g〜52j)が排出部押出ユニット28を駆動するカム機構24に連結されている。このように駆動ギアユニット52は、1つの駆動ギア52aの動力だけで2つのカム機構24を同時に作動させ、上述した供給部規制ユニット26による動作と、排出部押出ユニット28による動作とを連動させることができる。
【0080】
〔モータ駆動部〕
図18は、モータ駆動部62の構成を概略的に示した図である。モータ駆動部62は、装置フレーム12の他方のフレーム板12dに設置された状態で、その外面に露出する部分を上記のモータ駆動部カバー60に覆われている。なお図18中(A)には、フレーム板12dの縦断面を含むモータ駆動部62の配置を示し、図18中(B)には、フレーム板12dの内側からみたモータ駆動部62の配置を示している。
【0081】
モータ駆動部62は、駆動源としてステッピングモータ64を備えている。ステッピングモータ64は減速機付のタイプであり、ステッピングモータ64はその出力軸64aをフレーム板12dの内側に突出させた状態で設置されている。出力軸64aには駆動プーリ66が取り付けられており、一方、上記の回転軸42には、その一端部に従動プーリ68が取り付けられている。駆動プーリ66と従動プーリ68との間には無端状の歯付ベルト80が巻きかけられている。またフレーム板12dの内面には、駆動プーリ66と従動プーリ68との間にアイドラプーリ82が設置されている。
【0082】
〔モータの完結駆動〕
ステッピングモータ64の回転は、図示しないモータ制御回路から出力される駆動パルスに基づいて制御(マイクロステップ駆動制御)されている。ステッピングモータ64の回転速度及び回転角度(ステップ数)は、一定間隔で回転軸42を1ピッチ分ずつ回転させることを動作目標値として制御されている。
【0083】
〔実施例〕
本実施形態では、封入封緘機による処理速度を例えば1時間に8000通とした上で、以下の実施例を用いて好適にフラップFLの接着を安定化させることができた。
(1)封筒Eを保持する回転モジュール44は、上述のように10度間隔で36セットを1つの回転体40に設置するものとする。
(2)1通の封筒Eの投入(受け取り)ごとにステッピングモータ64を駆動し、回転軸42とともに回転体40を10度(1ステップ)ずつ間欠的に駆動する。
(3)回転モジュール44が封筒Eを受け取った後、封筒Eを排出する位置に到達するまでの保持区間内で、回転モジュール44は例えば300度(30ステップ)分だけ移動するものとする。
(4)以上の条件から回転モジュール44がフラップFLの部位を圧着できる時間は、3600秒/8000×30=13.5秒となる。
【0084】
以上の実施例から明らかなように、再湿糊の接着が安定する最低所要時間が例えば10秒程度であるとすると、本実施形態ではそれ以上の時間をかけてフラップFLの部位を圧着することが可能であることがわかる。また、時間あたりの処理通数が少なくなれば、さらに圧着の時間を延長することができるので、より確実な接着強度を得ることが可能である。
【0085】
特に本実施形態では、封入封緘機から送り出される封筒Eを回転モジュール44の回転移動に伴って移送しながらフラップFLの圧着を行うことができるので、フラップFLの圧着のためだけに搬送経路の長いベルトコンベアを設置した場合と比較して、設置スペースを拡大しなくてよいというメリットがある。
【0086】
〔比較例〕
例えば、上記の実施例と同じ条件(30通分の封筒Eを移送しながら圧着する形態)で、封入封緘処理がされた後の封筒Eを1通ずつ搬送しながら圧着を行う装置(ベルトコンベアとプレスローラ等)を設置した場合を考える。このとき、封筒Eの全長が230mmであるとすると、少なくとも全長230mm×30=6900mmの搬送経路が必要となることから、その分の設置スペースを確保しなければならない。これに対し、本実施形態では受け取った封筒Eを厚み方向に移送するとともに、円形状の移送経路(300度)を通じて移送しているので、比較例よりも作業スペースを小さくすることができる。
【0087】
特に本実施形態の接着補助装置10は、全体的な設置スペースを小さくできることから、既存の封入封緘機の設置場所であっても、容易に増設が可能である。
【0088】
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施することができる。一実施形態では、供給ユニット20や供給部規制ユニット26、排出部押出ユニット28、排出ユニット30等を用いて封筒Eの供給及び排出の動作を行っているが、特にこれらを設置しなくてもよい。例えば、封入封緘機から送り出されてきた封筒Eをそのまま回転モジュール44で受け取ることも可能であるし、フラップ押さえ板47による保持を解除された封筒Eを図示しない排出シュートを介して回転体40の側方に落下させることも可能である。この場合、駆動ギアユニット52やカム機構24を省略することができるので、それだけ接着補助装置10の構成を簡素化することができる。
【0089】
また一実施形態では、固定カム43の両端部を除く全域にカム面43aが形成されているが、カム面43aは少なくとも解除区間の始端位置と終端位置で確実にフラップ押さえ板47を開かせておくことができる配置であればよい。したがって固定カム43についても、解除区間の全域にわたる全長を有している必要はなく、解除区間の始端位置と終端位置にそれぞれ分割した状態で設置されている態様であってもよい。
【0090】
その他、実施形態であげた各種の機構要素や部材の形状や配置、大きさ等はあくまで一例であり、その具体的な形状や配置、大きさは適宜に変形可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0091】
10 接着補助装置
12 装置フレーム
20 供給ユニット
24 カム機構
24a 円筒カム
30 排出ユニット
40 回転体
42 回転軸
43 固定カム
43a カム面
44 回転モジュール
44a 支持アーム
44c 封筒載せ板
45 クランプアーム
46 回転プレート
47 フラップ押さえ板
48 カムフォロワ
49 ねじりコイルばね
52 駆動ギアユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒本体とフラップとで構成される封緘前の封筒に内容物が挿入された後、前記封筒本体に対して接着剤が付されたフラップを折り込んで封緘する過程にて、前記封筒本体と前記フラップとの接着を補助する封筒フラップの接着補助装置であって、
所定角度ずつ間欠的に回転する回転軸と、
前記回転軸の周囲に前記所定角度をおいて放射状に配置され、前記回転軸の間欠的な回転に伴い、その回転方向に円形状をなす移動経路に沿って前記所定角度ずつ間欠的に移動する複数の回転モジュールを有した回転体と、
個々の前記回転モジュールに設けられ、前記回転軸の間欠的な回転に伴い前記移動経路の一部に予め規定された保持区間内を前記回転モジュールが間欠的に移動する間、少なくとも前記フラップの部位を挟み込んだ状態で前記封筒を保持しながら前記回転モジュールによる前記封筒の移送を可能とする保持機構と、
前記回転軸の間欠的な回転に伴い前記保持区間とは別に規定された解除区間内を前記回転モジュールが間欠的に移動する間は前記保持機構による保持を解除することにより、前記回転モジュールが前記解除区間の終端に位置するタイミングで前記回転モジュールによる前記フラップが折り込まれた後の前記封筒の受け取りを可能とする一方、前記回転モジュールが前記解除区間から前記保持区間に移動すると、前記保持機構による保持の解除を止めて前記保持機構により前記封筒を保持させるとともに、前記回転モジュールが前記解除区間の始端位置に到達するタイミングで前記保持機構による保持を解除して前記回転モジュールからの前記封筒の排出を可能とする解除機構と
を備えた封筒フラップの接着補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の封筒フラップの接着補助装置において、
前記回転モジュールは、
前記回転軸からその径方向に延びる支持アームと、
前記支持アームに取り付けられ、前記解除区間の終端位置で受け取る前記封筒を平積みの姿勢にして積載する封筒載せ板とを含み、
前記保持機構は、
個々の前記回転モジュールに設けられ、前記封筒載せ板との間にて前記フラップの部位を挟み込み可能なフラップ押さえ板と、
前記支持アームの先端部にヒンジを介して変位可能に連結され、前記ヒンジから延びた一端部にて前記フラップ押さえ板を支持し、かつ、前記ヒンジの周囲に設置されたねじりばねの弾性力で前記フラップ押さえ板を前記封筒載せ板に対して押し付ける方向へ変位するクランプアームとを含み、
前記解除機構は、
前記クランプアームの他端部に設けられたカムフォロワと、
前記回転体の外周に沿って前記移動経路の前記解除区間に相当する範囲に設置され、前記回転体の回転に伴い前記解除区間内に位置する前記回転モジュールについて前記カムフォロワを相対的に案内することにより、前記ねじりばねの弾性力に抗して前記フラップ押さえ板を前記封筒載せ板から離隔させる方向へ前記クランプアームを変位させる固定カムとを含むことを特徴とする封筒フラップの接着補助装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の封筒フラップの接着補助装置において、
前記回転体の側方に設けられ、前記回転モジュールが前記解除区間の終端に位置するタイミングで前記フラップが折り込まれた後の前記封筒を供給することにより、前記回転モジュールに前記封筒を受け取らせる供給機構と、
前記供給機構とは別に前記回転体の側方に設けられ、前記解除区間の始端に位置する前記回転モジュールについて前記解除機構により前記保持機構の保持を解除された前記封筒を前記回転モジュールから排出させる排出機構と
をさらに備えた封筒フラップの接着補助装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2011−5749(P2011−5749A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151814(P2009−151814)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】