説明

封筒製造機における封筒規制装置

【課題】 封筒の前端の位置と向きの規制を確実に行うことができるようにする。
【解決手段】 封筒規制装置5の封筒移送用ベルト11と封筒引き出し装置4との間に封筒前端検出センサ20を配設する。封筒移送用ベルト11はサーボモータ18によって駆動する。封筒前端検出センサ20とサーボモータ18を制御装置21に接続する。封筒前端検出センサ20と制御装置21によってサーボモータ18の回転数を制御することにより、移送される封筒相互の間隔のずれにより封筒引き出し装置4によって引き出されるタイミングにずれが生じたときに、封筒規制装置5における封筒移送用ベルト11の移動速度を該タイミングのずれに合うよう調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封筒製造機における封筒規制装置に関し、更に詳細には、全ての処理を終えた封筒を受台上に並べて載せる前の処理として行われる、封筒のフラップ部の折曲作業の前に、封筒の前端の位置と向きの規制をするに際して、確実にこれを行うことができるようになした封筒規制装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
封筒製造機において、封緘部、所謂フラップ部に糊を塗布した、階段状にずらして積み重ねられた状態で移送される封筒は、夫々の封緘部に塗布した糊を乾燥させた後一枚宛引き出され、その前端の位置と向きを規制した後折曲作業位置に送られる。
【0003】
また、上記一枚宛引き出された封筒の前端の位置と向きを規制する装置は、従来にあっては、封筒移送用ベルト及び該封筒移送用ベルトの上方に列設したピンチロールと、前記封筒移送用ベルトの移動方向両側に、該封筒移送用ベルトに沿って配設し、該封筒移送用ベルトの移動速度よりも遅い速度で等速移動する規制定規担持用ベルトと、該規制定規担持用ベルトに所定の間隔で担持した規制定規とをもって構成されている。
【0004】
そして、封筒引き出し装置によって一枚宛引き出して送られた封筒は、封筒規制装置における封筒移送用ベルトによって前方に移送される。このとき、封筒移送用ベルトの移動速度は、それの両側の規制定規担持用ベルトよりも早いから、封筒は該規制定規担持用ベルトに担持した規制定規に急速に追いつく。そして最後に封筒の前端は両規制定規に突き当たり、その位置と向きが適正になるよう規制される。
【0005】
ところで、封筒規制装置に一枚宛封筒を引き出して送る封筒引き出し装置に至るまでの種々の処理工程を経て送られる封筒は、それ迄の長い経路を移動する間に相互の間隔にずれが生ずる。
【0006】
そして、このように移送される封筒の相互の間隔にずれが生ずると、封筒引き出し装置による一枚宛の封筒の引き出しにもタイミングのずれが生じることになる。
【0007】
このような状態にもかかわらず従来にあっては、封筒移送用ベルトと該封筒移送用ベルトの両側の規制定規担持用ベルトは、そのいずれもが等速で移動するようになされている。
【0008】
このため、通常の間隔をずれた封筒の場合には、送り出されるタイミングがずれ、封筒規制装置における封筒移送用ベルトに載った位置が、通常の位置よりも規制定規担持用ベルトの規制定規から離れ過ぎた位置であった場合には、封筒の前端が規制定規に追いつかず、よって封筒の前端の位置と向きを規制することができず、また反対に通常の位置よりも規制定規担持用ベルトの規制定規に近づき過ぎた位置であった場合には、封筒の前端が規制定規に早く追いつき過ぎ、よって封筒の前端が規制定規に突き当たった状態においてさらに押し付けられることになり、上方に持ち上がったり、反る等して規制ができない事態となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、移送される封筒の相互の間隔のずれにより封筒引き出し装置によって引き出されるタイミングにずれが生じたときに、封筒規制装置における封筒移送用ベルトの移動速度を該タイミングのずれに合うよう調整し、封筒の前端が規制定規によって正確に規制できる適正な速度で移動させ、もって確実な規制を行うことができるようになした封筒製造機における封筒規制装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
而して、本発明の要旨とするところは、封筒移送用ベルト及び該封筒移送用ベルトの上方に列設したピンチロールと、前記封筒移送用ベルトの移動方向の両側に、該封筒移送用ベルトに沿って配設し、該封筒移送用ベルトの移動速度よりも遅い速度で等速移動する規制定規担持用ベルトと、該規制定規担持用ベルトに所定の間隔で担持した規制定規とをもって構成される封筒製造機における封筒規制装置において、前記封筒移送用ベルトの駆動をサーボモータをもって行うようになす一方、前記封筒移送用ベルトと封筒を一枚宛引き出して送る封筒引き出し装置との間に封筒前端検出センサを配設し、前記封筒前端検出センサからの信号を基に制御装置において引き出されて送られる当該封筒のタイミングを計測し、該計測したタイミングに合うよう前記制御装置により前記サーボモータの回転数を制御し、前記封筒移送用ベルトを、封筒の前端が前記規制定規によって正確に規制できる適正な速度で移動させるようになしたことを特徴とする封筒製造機における封筒規制装置にある
【0011】
また、上記構成における封筒引き出し装置としては、所定の速度で回転する引き出しロールと、該引き出しロールの上方に配設したピンチロールと、前記引き出しロールとピンチロールとの間に封筒の前端を誘導する誘導杆とをもって構成してなる封筒引き出し装置が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上記の如き構成であり、移送される封筒の相互の間隔のずれにより封筒引き出し装置によって引き出されるタイミングにずれが生じたときに、封筒規制装置における封筒移送用ベルトの移動速度を該タイミングのずれに合うよう調整するものである。したがって、封筒移送用ベルトを、封筒の前端が規制定規によって正確に規制できる適正な速度で移動させることができ、確実な規制を行うことができるようになるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】封筒製造機における封筒の封緘部への糊付け以降の工程を示す概略的説明図である。
【図2】図1に示した工程における封筒引き出し装置と封筒規制装置部分の拡大図である。
【図3】図2に示した部分の概略的平面図である。
【図4】図2に示した部分の具体例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る封筒製造機における封筒規制装置を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図中、1は封筒製造機である。2は乾燥装置であり、上下の移送ベルト2A、2Bによって階段状にずらして積み重ねた封筒を挟んで移送し、各封筒における夫々の封緘部に糊付けした糊を加熱手段2Cによって乾燥させるものである。斯かる乾燥装置2の構成は、従来公知のものと同様である。
【0016】
3は上記乾燥装置2によって封緘部の糊を乾燥させた封筒を移送する移送ベルトである。斯かる移送ベルト3も従来公知のものと同様である。
【0017】
4は詳細に後述する封筒引き出し装置であり、階段状にずらして積み重なった状態で送られる封筒を一枚宛引き出して後記封筒規制装置に送るものである。
【0018】
5は詳細に後述する封筒規制装置であり、送られた封筒の前端の位置と向きを適正になるように規制するものである。
【0019】
6は積載部であり、前記封筒規制装置5から送られた封筒を、スリットを設けたディスク状の回転装置7を介して順次受台T上に並べて載せるものである。斯かる積載部6は従来公知のものと同様であるから詳細な説明は省略する。尚、P、P、P・・・は封筒を示す。
【0020】
次に、前記封筒引き出し装置4について説明する。
該封筒引き出し装置4は、図示しないモータを駆動源として所定の速度で回転する引き出しロール8と、該引き出しロール8の上方に配設したピンチロール9と、前記引き出しロール8とピンチロール9の間に封筒Pの前端を誘導する誘導杆10、10とをもって構成している。
【0021】
また、前記封筒規制装置5は、封筒移送用ベルト11及び該封筒移送用ベルト11の上方に列設したピンチロール12、12、12・・・と、前記封筒移送用ベルト11の移動方向の両側に、該封筒移送用ベルト11に沿って配設し、該封筒移送用ベルト11の移動速度よりも遅い速度で等速移動する規制定規担持用ベルト13、13と、該規制定規担持用ベルト13、13に所定の間隔で担持した規制定規14、14とをもって構成してなるものである。
【0022】
また、前記封筒移送用ベルト11は、駆動プーリ15と二つの従動プーリ16、17との間にわたって三角状に掛け回し、且つまた該駆動プーリ15は適宜の動力伝達手段(本実施形態ではプーリ15a、15bとベルト15c)を介して駆動源となるサーボモータ18に接続されている。また、19はテンションローラである。尚、前記規制定規担持用ベルト13、13を移動させるための機構は、駆動源となるモータと駆動プーリ及び従動プーリとからなる公知のものと同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0023】
20は前記封筒移送用ベルト11と前記封筒引き出し装置4との間に配設した封筒前端検出センサであり、一枚宛引き出された封筒Pの前端を検出し、後記制御装置に信号を送るものである。尚、該封筒前端検出センサ20は、物体の通過を検出する従来公知の適宜のセンサを用いればよい。
【0024】
21は前記封筒前端検出センサ20と前記サーボモータ18とに接続した制御装置である。また、該制御装置21は、前記封筒前端検出センサ21からの信号を基に引き出されて送られる当該封筒のタイミングを計測し、該計測したタイミングに合うように前記サーボモータ18の回転数を制御するものである。そして、これにより前記封筒移送用ベルト11を、封筒の前端が前記規制定規14、14によって正確に規制できる適正な速度で移動させるものである。
【0025】
また、該制御装置21は、例えば前記封筒前端検出センサ20から送られる信号が、封筒間の間隔が同一である場合の通常の規則正しい間隔の信号を基準とし、該基準よりも遅い場合と早い場合には、これらの夫々を補うに見合う速度の回転数になるように前記サーボモータ18を制御し、封筒移送用ベルト11を、基準よりも遅い場合には基準の移動速度よりも適宜に早め、また基準よりも早い場合には基準の移動速度よりも適宜に落とすものである。
【0026】
本実施形態は、上記の通りであり、封筒引き出し装置4によって一枚宛引き出された封筒Pは、封筒規制装置5に送られ、そして該封筒規制装置5における封筒移送用ベルト11に載ると更に前方に移送される。そして、移送途中において封筒移送用ベルト11よりも遅い速度で移動している規制定規担持用ベルト13、13に担持された規制定規14、14に追いつき、その前端がこれら規制定規14、14に突き当たることによって正しい位置と向きに規制されるものである。
【0027】
そしてまた、上記の通り封筒前端検出センサ20と制御装置21によってサーボモータ18の回転数を制御することにより、移送される封筒P、Pの相互の間隔のずれにより封筒引き出し装置4によって引き出されるタイミングにずれが生じたときに、封筒規制装置5における封筒移送用ベルト11の移動速度を該タイミングのずれに合うよう調整するものである。したがって、封筒Pの前端が規制定規14、14によって正確に規制できる適正な速度で移動させることができ、確実な規制を行うことができるようになるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 封筒製造機
4 封筒引き出し装置
5 封筒規制装置
8 引き出しロール
9 ピンチロール
10、10 誘導杆
11 封筒移送用ベルト
12、12 ピンチロール
13、13 規制定規担持用ベルト
14、14 規制定規
18 サーボモータ
20 封筒前端検出センサ
21 制御装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒移送用ベルト及び該封筒移送用ベルトの上方に列設したピンチロールと、前記封筒移送用ベルトの移動方向の両側に、該封筒移送用ベルトに沿って配設し、該封筒移送用ベルトの移動速度よりも遅い速度で等速移動する規制定規担持用ベルトと、該規制定規担持用ベルトに所定の間隔で担持した規制定規とをもって構成される封筒製造機における封筒規制装置において、
前記封筒移送用ベルトの駆動をサーボモータをもって行うようになす一方、前記封筒移送用ベルトと封筒を一枚宛引き出して送る封筒引き出し装置との間に封筒前端検出センサを配設し、前記封筒前端検出センサからの信号を基に制御装置において引き出されて送られる当該封筒のタイミングを計測し、該計測したタイミングに合うよう前記制御装置により前記サーボモータの回転数を制御し、前記封筒移送用ベルトを、封筒の前端が前記規制定規によって正確に規制できる適正な速度で移動させるようになしたことを特徴とする封筒製造機における封筒規制装置。
【請求項2】
前記封筒引き出し装置が、所定の速度で回転する引き出しロールと、該引き出しロールの上方に配設したピンチロールと、前記引き出しロールとピンチロールとの間に封筒の前端を誘導する誘導杆とをもって構成してなる封筒引き出し装置である請求項1記載の封筒製造機における封筒規制装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−116096(P2012−116096A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268022(P2010−268022)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(393031184)冨士製袋機工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】