説明

封緘検査装置

【課題】内容物が封入封緘された封書の封緘不良を検査と不良品の排除を同時に行う。
【解決手段】内容物を封筒に封入封緘して封書10を作製する封書作製装置100に搭載される封緘検査装置1であって、封書10を搬送する封書搬送手段2と、封書10のフラップ10aと係合する係合部材5cを備え、封書10の搬送方向と同方向への回転に伴い封書搬送手段2によって搬送される封書10のうち未封緘状態の封書10のフラップ10aと係合部材5cとを係合させながら封緘状態の封書10の排出方向と別方向へ排除するよう搬送される封書10の中央部分からずれた位置に回転可能に軸支される封緘不良検査手段5とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が封入された封書における封緘状態を検査する封緘検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種内容物を封筒に封入封緘して封書を作製する封書作製装置において、内容物封入後の封筒の封入口に設けた接着剤(再湿糊や感圧接着剤等の接着材料)による封緘工程の際、何らかの要因により正常に封緘処理されず、未封緘状態の封筒が混在する場合がある。そして、このような未封緘状態の封筒が郵送されてしまうと、内容物に個人情報等が記載された重要書類であった場合にプライバシー保護の観点から重大な問題となり得る。
従って、封入封緘後の封書は、下記特許文献1や特許文献2に開示される封緘検査装置を用いて、封書作製装置で封緘された封書における封緘不良の検査を行っている。
【0003】
下記特許文献1の装置では、通常作業者による最終的な目視確認の前段階として、フラップ先端辺の方向に対して直角方向に封書を搬送し、搬送経路の上方から封書表面の変位を所定のサンプリング周期で検出してその変位データを記憶し、差分変位データと閾値との比較によって封緘状態の良否判定を行っている。
また、下記特許文献2の装置では、フラップを上面、且つフラップ先端辺の方向に対して直角方向に封書を搬送する際に、変位センサにて上部からレーザ光を当てて封書の形状を読み取ることでフラップの封緘状態を判別を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−006385号公報
【特許文献2】特開2009−107671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来における封書の封緘検査は、封書作製装置で作製された封書を一旦収集し、別装置である封緘検査装置に収集した封書をセットし直してから封緘状態の検査を行わなければならず封緘検査作業が煩雑であった。
【0006】
また、特許文献1、2に開示される封緘検査装置は、フラップの状態を光学的に検出する変位センサで検出した変位量に基づく演算処理を行うことで封緘状態を検査しているため、演算処理を行うための処理プログラムの構築が必要となり、さらに変位センサ等の構成部品を装置に搭載しなければならず、装置が複雑化するとともに装置価格が高くなるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡易的な構成で封緘状態の検査及び封緘不良の封書の選別を行うことのできる封緘検査装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、請求項1記載の封緘検査装置は、内容物を封筒に封入封緘して封書を作製する封書作製装置に搭載される封緘検査装置であって、
前記封書を搬送する封書搬送手段と、
前記封書のフラップと係合する係合部材を備え、前記封書搬送手段によって搬送される前記封書のうち未封緘状態の封書のフラップと前記係合部材とを係合させながら封緘状態の封書の排出方向と別方向へ排除する封緘不良検査手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の封緘検査装置は、請求項1記載の封緘検査装置において、前記封緘不良検査手段は、未封緘状態の封書のフラップと前記係合部材とを係合させながら封緘状態の封書の排出方向と別方向へ排除するよう前記搬送される封書の中央部分からずれた位置に回転可能に軸支されることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の封緘検査装置は、請求項1記載の封緘検査装置において、前記封緘不良検査手段は、前記搬送される封書の中央部分で回転可能に軸支され、前記係合部材における前記フラップとの係合部が前記封書の搬送方向と直交する封書幅方向において対称に複数分岐した形状を有し、前記封書の搬送速度よりも速い回転速度による回転に伴って前記未封緘状態の封書のフラップと前記係合部材とを係合させながら前記係合部材の回転軌跡に沿って前記封書を排除することを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の封緘検査装置は、請求項1〜3の何れかに記載の封緘検査装置において、前記封書作製装置から搬送された前記封書の先端を検知する封書検知手段と、
前記封書搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記封書を前記封緘不良検査手段による封緘検査可能な位置へ搬送するよう規制する搬送方向規制手段と、
前記封書検知手段で前記封書の先端を検知してから当該封書のフラップが前記搬送方向規制手段を越えるまでの間の搬送速度より前記フラップが前記搬送方向規制手段を越えてから排出されるまでの間の搬送速度が遅くなるよう制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の封緘検査装置は、請求項1〜3の何れかに記載の封緘検査装置において、前記封書作製装置から搬送された前記封書の先端を検知する封書検知手段と、
前記封書搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記封書を前記封緘不良検査手段による封緘検査可能な位置へ搬送するよう規制する搬送方向規制手段と、
前記封書検知手段で前記封書の先端を検知してから当該封書のフラップが前記搬送方向規制手段を越えるタイミングに合わせて前記封緘不良検査手段を回転駆動させる制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る請求項1の封緘検査装置によれば、内容物を封筒に封入封緘した封書を搬送しながら封緘不良検査手段を搬送方向と同方向へ回転させるだけで、未封緘状態の封書を正常な封書の排出方向と別方向へ排除することができるため、ユーザによる封緘不良の判別が容易になる。
【0014】
また、請求項2記載の封緘検査装置は、搬送される封書の中央部分からずれた位置に回転可能に軸支されているため、未封緘状態の封書のフラップと係合部材とを係合させながら封緘状態の封書の排出方向と別方向へ排除することができる。
【0015】
さらに、請求項3記載の封緘検査装置は、係合部材をフラップとの係合部が封書の搬送方向と直交する封書幅方向において対称に複数分岐した形状として、封緘不良検査手段を搬送される封書の中央部分で回転可能に軸支され、さらに封書の搬送速度よりも速い回転速度により回転することで、未封緘状態の封書を係合部材の回転軌跡に沿って排除することができる。
【0016】
また、請求項4記載の封緘検査装置によれば、封書検知手段で封書の先端を検知してから当該封書のフラップが搬送方向規制手段を越えるまでの間の搬送速度よりフラップが搬送方向規制手段を越えてから排出されるまでの間の搬送速度が遅くなるよう制御しているため、より確実に封緘不良検査手段の係合部材と未封緘状態の封書のフラップとを係合させることができる。
【0017】
さらに、請求項5記載の封緘検査装置によれば、封書検知手段で封書の先端を検知してから当該封書のフラップが搬送方向規制手段を越えるタイミングに合わせて封緘不良検査手段を回転駆動させるため、より確実に封緘不良検査手段の係合部材と未封緘状態の封書のフラップとを係合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る封緘検査装置が搭載される封書作製装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る封緘検査装置の構成を示す概略斜視図である。
【図3】同装置の構成を示す概略側面図である。
【図4】同装置のシステム構成を示す概略ブロック図である。
【図5】(a)〜(c) 同装置の封緘不良検査手段の動作例を示す説明図である。
【図6】(a)〜(c) 封緘不良検査手段に他の構成例を示す説明図である。
【図7】(a)〜(c) 図6に示す封緘不良検査手段の動作例を示す説明図である。
【図8】封書の搬送速度制御に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。また、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0020】
[封入封緘装置]
まず、本発明に係る封緘検査装置が搭載される封書作製装置100について説明する。図1に示すように、封書作製装置100は、作製すべき封書10毎に処理を行う。すなわち、封筒形状に折り加工される封筒用紙と、枚葉状の用紙である内容物に対し、共通の印刷部110を用いて適切な順序で必要な印刷を施す。そして、印刷後の封筒用紙及び内容物を封入封緘部120に送り込み、それぞれ別系統の搬送経路で搬送しながら、封筒用紙については、封筒の形態となるように封筒用紙を折るとともに、内容物にも必要に応じて折りを施す。そして、最終的に両者を封入封緘手段で合流させ、内容物を封筒に封入封緘して装置の上部に完成した封書10として揃えて排出する。なお、各部に図示される矢印は、用紙、封筒用紙及び折り工程により形成された封筒の搬送方向を示している。
【0021】
(印刷部)
印刷部110は、封筒及び内容物となる用紙を印刷して排出する装置であり、各部を収納する筐体の内部又は側面等に、複数種類の用紙(内容物となる枚葉状の用紙や封筒用紙)を収納可能な複数の給紙トレイ(P1〜P4)と、導入路111からの用紙を搬送するループ状の搬送路112、シアン、ブラック、マゼンタ、イエローの各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェット装置C、K、M、Yからなる印刷手段113と、用紙を封入封緘部120に排出する第1の排出路114と、用紙をループ外に排出する第2の排出路115と、搬送路112を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送路112に戻して用紙の上下を反転させるスイッチバック路116とを備えている。
【0022】
(封入封緘部)
封入封緘部120は、印刷部110の第1の排出路114から送られた封筒用紙や内容物となる用紙を受け入れて封筒用紙に内容物を封入して封緘する装置であり、印刷部110の第1の排出路114から斜め下方に延設される封筒用紙を第1の折り手段に搬送する案内路である第1の搬送経路121と、その前段から分岐して斜め下方に延設される内容物の用紙を第2の折り手段に搬送する案内路である第2の搬送経路122と、第1の搬送経路121の終端に設けられ、封筒用紙を折って封筒の形態を作製する第1の折り手段(主折りローラA’、用紙搬送ローラD’及び第1折りローラB’で構成)と、第2の搬送経路122の終端に設けられ、用紙を折り畳むための第2の折り手段(主折りローラA、第1折りローラB、第2折りローラC及び用紙搬送ローラDで構成)と、第1の搬送経路121と第2の搬送経路122の合流点にあり封筒用紙100に必要に応じてさらに折りを与える第2の折り手段であるとともに、折られた封筒用紙100に内容物を整合させた後にさらに折りを加えることにより、内容物を封筒内に包み込ませる封入処理、さらにこの封筒を封緘する封緘処理を行う封入封緘手段(主折りローラA”、用紙搬送ローラD”、第1及び第2折りローラB”,C”で構成)と、封筒用紙の再湿糊に水を付けて接着力を発揮させ、封筒用紙を接着して封筒にするための接着手段である加水手段130と、内容物封入後の封筒の感圧接着剤塗布箇所を上下から挟持して圧力を加えて感圧接着を行う圧着ローラ140と、筐体の上面に設けられ、封入封緘が完了して完成した封書10を順次積み上げる排出台150と、封書10を排出台150へ搬送する排出搬送部160と、印刷部110及び封入封緘部120の各機構を制御するための制御部170と、封書作製装置の各部の駆動制御するのに必要な駆動制御情報等を記憶する記憶部190とを備えている。
【0023】
なお、制御部170は、封書作製装置100における各部の駆動制御の他、後述する本例の封緘検査装置1における各部の駆動制御も行っているため、封緘検査に関する制御機能については、封緘検査装置1の構成要件(制御部8)として追って詳述する。また、記憶部190についても、封緘検査装置1における各部の駆動制御情報を記憶しているため、同様に封緘検査装置1の構成要件(記憶部7)として追って詳述する。
【0024】
そして、本発明の封緘検査装置1は、封入封緘部120における圧着ローラ140から斜め上前方に向けて傾斜して延設された上昇経路180と、排出台150との間に配置され、圧着ローラ140による感圧接着後の封書10における封緘不良の検査を行っている。
【0025】
[封緘検査装置]
次に、本発明に係る封緘検査装置1の構成について、図2〜8を参照しながら説明する。
【0026】
<装置構成>
図2〜図4に示すように、本例の封緘検査装置1は、封書搬送手段2と、搬送方向規制手段3と、封書検知手段4と、封緘不良検査手段5と、不良封書収容トレイ6と、記憶部7と、制御部8とを備えて構成されている。
【0027】
なお、本例の封緘検査装置1における記憶部7及び制御部8は、上述した封書作製装置100に一体に形成されるため同装置に搭載される記憶部190や制御部170を兼用して使用する構成であるが、これらを封緘検査装置1専用の構成要件として装置内に組み込んだ構成とすることもできる。
【0028】
封書搬送手段2は、所定方向に回転駆動する一対の搬送ローラ2aに対し、無端状の搬送ベルト2bが案内板の案内面2cに形成された溝に沿って掛け回されている。本形態では、搬送される封書10を安定して搬送するため、封書10における中央部分に対して略対称に2つの搬送ベルト2bを配置している。また、搬送ベルト2bのベルト面には、上昇経路180を介して搬送された封書10を積載搬送(本例では斜め上方向への搬送)するための突起2dが、封書10の搬送の妨げにならない位置に複数設けられている。さらに、封書搬送手段2は、制御部8からの搬送制御信号に基づき封書10の搬送速度を可変している。
【0029】
搬送方向規制手段3は、封書搬送手段2の後段に設けられ、搬送された封書10を封緘不良検査手段5による封緘検査可能な位置へと搬送されるよう封書10の搬送方向を規制している。本例では、封書搬送手段2によって斜め上方へ搬送される封書10を略垂直方向へと規制する板状部材で構成されている。また、搬送方向規制手段3は、封書搬送手段2の搬送に伴い封書10のフラップ10aが当該規制手段の先端を越えてから所定距離搬送すると、封書搬送手段2の搬送に伴い徐々に封書10を排出台150側へと傾く。これにより、封書10は排出台150側に倒れ、排出搬送部160によって排出台150へと搬送される。
【0030】
封書検知手段4は、封書10の先端が検出可能な周知の光電センサ(ライン型センサ、反射型フォトセンサ等)で構成され、例えば封書搬送手段2における搬送開始位置に配置されている。封書検知手段4は、搬送された封書10の先端位置を光学的に検知すると、この検知情報を先端検知信号として制御部8に出力している。
【0031】
なお、封書検知手段4は、上記光電センサに限らず、例えば封書10の先端に接触部材が接触したときにONとなり封書10は搬送されてきたことを検知するスイッチ機構等の封書の先端が検知可能なセンサであればよい。
【0032】
封緘不良検査手段5は、円盤状の基部5aの周方向に沿って等ピッチの隙間を空けて風車状に複数立設した係合部材5cを設けた構成であり、装置本体に支持されたシャフト5bに対し搬送される封書10の中央部分から排出方向と逆側にずらした位置に回転自在に軸支されている。係合部材5cは、未封緘状態の封書10が搬送された際に、封書10のフラップ10aに引っ掛かって係合するよう回転方向に沿って根元から係合部にかけて徐々に外方に突出する形状を有している。封緘不良検査手段5は、図5(a)に示すように封書が搬送されると、自身が回転しながら搬送された封書のうち未封緘状態の封書10のフラップ10aと係合し、図5(b)に示すようにその後の回転に伴って封書10の片側を持ち上げながら弾いて、図5(c)に示すように不良封書収容トレイ6へ排除している。また、封緘不良検査手段5は、制御部8から回転タイミング時に入力する駆動制御信号に基づき回転駆動を開始する。
【0033】
さらに、封緘不良検査手段5の他の構成例としては、図6(a)に示すように上記構成の封緘不良検査手段5を封書10の中央部分から対称に複数(図例では2つ)配置した構成、図6(b)に示すように基部5aにある程度厚みを持たせ係合部材5cを平行に立設したもの(図例では2つ)を周上に複数組配置した構成、図6(c)に示すように基部5aの配置位置を封書10の中央部分にするとともに係合部材5cの端部を封書10の搬送方向と直交する封書幅方向に対称に複数分岐(図例では二股)にした構成とすることもできる。そして、これらの構成における排除動作としては、図7(a)に示すように封書が搬送されると、自身が回転しながら搬送された封書10のフラップ10aと係合し、図7(b)に示すようにその後の回転に伴って回転方向に沿って封書10を持ち上げ、図7(c)に示すように係合部材5cの回転軌跡に沿って排除する構成とすることもできる。
【0034】
なお、係合部材5cは、搬送された未封緘状態の封書10におけるフラップ10aに引っ掛かる形状であれば特に限定されない。
【0035】
不良封書収容トレイ6は、封緘不良検査手段5で排除された不良品の封書10を収容するべく、封書10が排除される方向(本例の場合、封緘不良検査手段5から見て左右方向若しくは後方)に設置されている。
【0036】
記憶部7は、例えば磁気的、光学的記憶媒体若しくはROM、RAM等の半導体メモリで構成され、封緘検査装置1を駆動するのに必要な各種駆動情報を記憶している。また、記憶部7は、封書10における先端(未封緘の場合は開口端)から底端までの長さと、封書搬送手段2による封書10の搬送速度や搬送距離とに基づき、封書10の搬送速度を可変する制御や、封緘不良検査手段5の駆動制御を行うための検査制御情報を記憶している。
【0037】
検査制御情報には、封書検知手段4で封書10の先端を検知してから封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えるまでの間の搬送速度をV1、フラップ10aが搬送方向規制手段3を越えてから排出台150へ排出されるまでの間の搬送速度V2としたときに速度の関係がV1>V2となるように搬送速度を可変制御する搬送速度制御情報、封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えるタイミングに合わせて封緘不良検査手段5を回転駆動させる回転制御情報等がある。
【0038】
なお、上記各制御情報は、何れも使用する封筒のサイズや封書10の搬送速度及び封書検知手段4による封書10の先端検知から排出台150へ排出されるまでの搬送距離に応じて予め実験等に基づき得られたものであるため、使用環境やユーザによる個別の設定により任意に設定可能である。
【0039】
制御部8は、例えばCPUやROM、RAMなどで構成された各種制御処理や演算処理を行うマイクロコンピュータであり、封緘検査装置1を構成する各部の駆動制御を行っている。また、制御部8は、封書10の封緘状態を検査するため、封緘不良検査手段5の駆動制御を行っている。
【0040】
ここで、封緘不良検査手段5の制御方法について説明する。封緘不良検査手段5の制御方法としては、(1)封書搬送手段2の搬送速度よりも高速で回転させる制御、(2)封書搬送手段2の搬送速度を可変する制御、(3)フラップ10aが搬送方向規制手段3の先端を越えたときに封緘不良検査手段5の回転駆動を開始する制御がある。
【0041】
(1)については、封書搬送手段2の搬送速度よりも速い速度で封緘不良検査手段5の回転速度を制御する方法である。これにより、封書10が排出台150に排出される前に封緘不良検査手段5の係合部材5cが封書10のフラップ10aに係合して排除することができる。
なお、封緘不良検査手段5の駆動タイミングとしては、封入封緘処理の開始から終了までの間常時回転駆動させる構成、封書検知手段4で封書10の先端を検知したとき(すなわち、封書検知手段4からの先端検知信号の入力時)に封緘不良検査手段5の回転駆動させる構成の何れでもよい。
【0042】
(2)については、搬送される封書10の先端を封書検知手段4で検知したときの先端検知信号を入力し、記憶部7に記憶された搬送速度制御情報に基づき封書搬送手段2の搬送速度を可変する制御である。すなわち、図8に示すように搬送される封書10の先端を封書検知手段4で検知すると、封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えるまで通常の搬送速度V1で搬送するための搬送制御信号を封書搬送手段2に出力する。そして、封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えるタイミングになったときに、封書搬送手段2の搬送速度V1よりも遅いV2で搬送するための搬送制御信号を封書搬送手段2に出力している。
【0043】
(3)については、搬送される封書10の先端を封書検知手段4で検知したときの先端検知信号を入力し、記憶部7に記憶された回転制御情報に基づき封書10が搬送方向規制手段3を越えるタイミングで封緘不良検査手段5の回転駆動を行うための駆動制御信号を封緘不良検査手段5に出力している。
【0044】
<処理動作>
次に、本例の封緘検査装置1における一連の処理動作について説明する。ここでは、封書作製装置100に搭載され、内容物を封入封緘後の封書10の封緘検査を上述した各制御内容に応じて制御した処理例についてそれぞれ説明する。なお、封書10の排除方向は、不良封書収容トレイ6の配置位置と封緘不良検査手段5の構成に応じて決まるため、排出台150への排出方向と異なる方向であれば特に限定されない。
【0045】
(高速回転制御)
封書作製装置100において封入封緘後の封書10が搬送されると、封書10を封書搬送手段2で搬送して搬送方向規制手段3で搬送方向を規制した後、封書10の搬送速度よりも高速で回転する封緘不良検査手段5の係合部材5cで未封緘状態の封書10のフラップ10aと係合する。そして、封緘不良検査手段5の回転に伴い封書10の片側を持ち上げながら弾いて不良封書収容トレイ6へ排除する。
【0046】
(速度可変制御)
封書作製装置100において封入封緘後の封書10が搬送されると、この封書10を封書搬送手段2で搬送する。このとき、封書検知手段4が封書10の先端を検知し、この検知に基づく先端検知信号を制御部8に出力する。
【0047】
制御部8は、先端検知信号を入力すると、記憶部7に記憶された搬送速度制御情報に基づき封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えるまで通常の搬送速度V1で搬送するための駆動制御信号を封書搬送手段2に出力する。次に、封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えるタイミングになったときに、封書搬送手段2の搬送速度V1よりも遅いV2で搬送するための駆動制御信号を封書搬送手段2に出力する。
【0048】
そして、封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えたときに、回転する封緘不良検査手段5の係合部材5cで未封緘状態の封書10のフラップ10aと係合する。そして、封緘不良検査手段5の回転に伴い封書10の片側を持ち上げながら引いて不良封書収容トレイ6へ排除する。
【0049】
(回転駆動制御)
封書作製装置100において封入封緘後の封書10が搬送されると、この封書10を封書搬送手段2で搬送する。このとき、封書検知手段4が封書10の先端を検知し、この検知に基づく先端検知信号を制御部8に出力する。
【0050】
制御部8は、先端検知信号を入力すると、記憶部7に記憶された回転制御情報に基づき封書10のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えるタイミングになったときに、封緘不良検査手段5の回転駆動を開始し駆動制御信号を封書搬送手段2に出力する。
【0051】
そして、封書のフラップ10aが搬送方向規制手段3を越えたときに、回転する封緘不良検査手段5の係合部材5cで未封緘状態の封書10のフラップ10aと係合する。そして、封緘不良検査手段5の回転に伴い封書10の片側を持ち上げながら弾いて不良封書収容トレイ6へ排除する。
【0052】
以上説明したように、上述した封緘検査装置1は、封書作製装置100に搭載され、内容物が封入封緘された封書10の封緘状態を検査するべく、封書搬送手段2で搬送された未封緘状態の封書10のフラップ10aに回転駆動する封緘不良検査手段5の係合部材5cを係合させ、回転方向に沿って封書10を持ち上げながら弾いて不良封書収容トレイ6へ排除している。また、封緘不良検査手段5の回転タイミングの制御や封書10の搬送速度の制御を行う構成を必要に応じて加味している。
【0053】
これにより、封緘不良の封書10の検査と同時にこの封書10の排除を同時に行うことができるため、封入封緘後の封書10を別装置で行う必要なく、封緘検査作業が簡便に行うことができる。また、封緘不良検査手段5として、搬送される封書10のフラップ10aに係合して封緘不良を検査する構成であるため、従来のようなフラップ10aの状態を光学的に検出する各種センサやそれに基づく演算処理を行うための処理プログラムの構築が必要ない装置構成が簡略化され、且つ装置価格を安価に抑えて提供することができる。
【0054】
ところで、上述した形態では、本装置が搭載される封書作製装置100の構成として印刷部110がインクジェット方式であり、封入封緘部120が封筒用紙に成形工程(折り加工や圧着処理等)を施した封筒を用いて内容物の封入及び封緘を行う例で説明したが、これに限定されることはない。例えば印刷部110の構成としては、内容物や封筒用紙に適切な印刷処理が行える各種画像形成装置(孔版印刷装置、複写機、レーザプリンタ等)若しくは印刷済みの内容物や封筒用紙を封入封緘部120へ搬送する用紙搬送装置であればよく、また封入封緘部120の構成としては、既成の封筒を用いて封筒に対する印刷処理及び内容物の封入封緘処理のみを行うような構成であってもよい。
【0055】
また、本例の封緘検査装置1について、内容物を封入封緘した封書10を作製する構成例で説明したが、これに限定されることはなく、例えば封書10に封入する各種内容物や封筒形状に折られる封筒用紙のようなシート状媒体の折り工程での折り間違いにより正規形状として除外される非正規形状のシート成形品の検査及び排除を行う構成とすることもできる。この構成の場合も、封緘不良検査手段5の係合部材5cを不良部分と係合するよう設置することで、上述した形態と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…封緘検査装置
2…封書搬送手段(2a…搬送ローラ、2b…搬送ベルト、2c…案内面、2d…突起)
3…搬送方向規制手段
4…封書検知手段
5…封緘不良検査手段(5a…基部、5b…シャフト、5c…係合部材)
6…不良封書収容トレイ
7、190…記憶部
8、170…制御部
10…封書(10a…フラップ)
100…封書作製装置
110…印刷部
120…封入封緘部
130…加水手段
140…圧着ローラ
150…排出台
160…排出搬送部
180…上昇経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を封筒に封入封緘して封書を作製する封書作製装置に搭載される封緘検査装置であって、
前記封書を搬送する封書搬送手段と、
前記封書のフラップと係合する係合部材を備え、前記封書搬送手段によって搬送される前記封書のうち、未封緘状態の封書のフラップと前記係合部材とを係合させながら封緘状態の封書の排出方向と別方向へ排除する封緘不良検査手段と、
を備えたことを特徴とする封緘検査装置。
【請求項2】
前記封緘不良検査手段は、未封緘状態の封書のフラップと前記係合部材とを係合させながら封緘状態の封書の排出方向と別方向へ排除するよう前記搬送される封書の中央部分からずれた位置に回転可能に軸支されることを特徴とする請求項1記載の封緘検査装置。
【請求項3】
前記封緘不良検査手段は、前記搬送される封書の中央部分で回転可能に軸支され、前記係合部材における前記フラップとの係合部が前記封書の搬送方向と直交する封書幅方向において対称に複数分岐した形状を有し、前記封書の搬送速度よりも速い回転速度による回転に伴って前記未封緘状態の封書のフラップと前記係合部材とを係合させながら前記係合部材の回転軌跡に沿って前記封書を排除することを特徴とする請求項1記載の封緘検査装置。
【請求項4】
前記封書作製装置から搬送された前記封書の先端を検知する封書検知手段と、
前記封書搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記封書を前記封緘不良検査手段による封緘検査可能な位置へ搬送するよう規制する搬送方向規制手段と、
前記封書検知手段で前記封書の先端を検知してから当該封書のフラップが前記搬送方向規制手段を越えるまでの間の搬送速度より前記フラップが前記搬送方向規制手段を越えてから排出されるまでの間の搬送速度が遅くなるよう制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の封緘検査装置。
【請求項5】
前記封書作製装置から搬送された前記封書の先端を検知する封書検知手段と、
前記封書搬送手段の搬送方向下流側に設けられ、前記封書を前記封緘不良検査手段による封緘検査可能な位置へ搬送するよう規制する搬送方向規制手段と、
前記封書検知手段で前記封書の先端を検知してから当該封書のフラップが前記搬送方向規制手段を越えるタイミングに合わせて前記封緘不良検査手段を回転駆動させる制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の封緘検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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