説明

射出引っ張り吹込み成形のためのスチレン・ポリマー並びにその製法および使用法

スチレン・ポリマー組成物を調製し、スチレン・ポリマー組成物を溶融して溶融ポリマーを形成し、溶融ポリマーを型穴中に射出して予備成形物を形成し、予備成形物を加熱して加熱予備成形物を製造し、そして加熱予備成形物を膨張させて製品を形成する工程、を含んでなる方法。射出引張り吹込み成形法において、その重量%がポリマー組成物の総重量に基づく、0重量%〜6.5重量%の可塑化剤および2.5重量%以上のエラストマーを含んでなるスチレン・ポリマー組成物をポリエチレン・テレフタレートに代用する工程を含んでなる方法。スチレン・ポリマー組成物から予備成形物を調製し、予備成形物を1種または複数の発熱体に曝露し、そして予備成形物を急速に加熱して加熱予備成形物を製造する工程を含んでなる方法。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する関係】
【0001】
適用できない。
【連邦後援研究または開発に関する陳述】
【0002】
適用できない。
【マイクロフィッシュ添付物に対する関係】
【0003】
適用できない。
【技術分野】
【0004】
本開示はスチレン・ポリマーの製法に関する。より具体的には、本開示は射出引っ張り(stretch)吹込み(blow)成形(ISBM)のためのスチレン・ポリマー並びにその製法および使用法に関する。
【背景技術】
【0005】
合成ポリマー物質は医療用装置から食品容器にわたる様々な最終消費製品の製造に広く使用される。モノビニリデン芳香族化合物(例えば、スチレン、アルファ−メチルスチレンおよび環置換スチレン)のコポリマーは、幾つかの最も広く使用される熱可塑性エラストマーを含んでなる。例えば、スチレン・コポリマーは使い捨て医療用製品、食品包装物、チューブ材および購買地陳列品を含む一連の最終消費適用物に有用であることができる。
【0006】
吹込み成形はソーダ水びんのような中空のプラスチック物体を形成するための主要な方法である。該方法は、押し出すかまたは射出することができる軟化されたポリマーチューブを金型中に充填し、軟化ポリマーチューブを再加熱し、吹込みピンを使用して金型の壁に向かってポリマーを膨らませ、そして次に金型中の製品を冷却する工程を含む。包装産業内においては、ポリエチレン・テレフタレート(PET)のようなポリエステルを使用する、ISBMのような、多数の独特の適用法が存在する。製造業者は、製造コストを低減し、エネルギー節減を増大し、そして/または製品の特性を改善することができると思われるISBM適用法に対する代替ポリマーおよびその製法を模索し続けている。以上を考察すると、節減された製造コストをもちながら、望ましい機械的および/または物理的特性をもつ、ISBM適用法に対する代替ポリマー組成物を開発することが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【0007】
要約
本明細書には、スチレン・ポリマー組成物を調製し、スチレン・ポリマー組成物を溶融して溶融ポリマーを形成し、溶融ポリマーを予備成形物の型穴中に射出して予備成形物を形成し、予備成形物を予備成形物の型穴から回収し、予備成形物を製品の型穴中に入れ、予備成形物を加熱して加熱予備成形物を製造し、加熱予備成形物を膨張させて製品を形成し、そして製品の型穴から製品を回収する工程を含んでなる方法が開示される。
【0008】
更に本明細書には、射出引っ張り吹込み成形法において、ポリマー組成物の総重量に基づいて0重量%〜6.5重量%の可塑化剤および2.5重量%以上のエラストマーを含んでなるスチレン・ポリマー組成物を、ポリエチレン・テレフタレートに代用する工程を含んでなる方法が開示される。
【0009】
更に本明細書には、スチレン・ポリマー組成物から予備成形物を調製し、予備成形物を1種または複数の発熱体に曝露し、そして予備成形物を急速に加熱して加熱予備成形物を製造する工程を含んでなる方法が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
次に、本開示およびその利点の、より完全な理解のために、同様な参照数字が同様な部品を表す、添付の図面および詳細な説明と関連して、以下の簡単な説明を参照される。
【図1】図1は、予備成形物AおよびBの図である。
【図2】図2は、実施例3からのサンプルの最大上部荷重強度のプロットである。
【図3】図3は、実施例4からのサンプルの半インチのたわみにおける緩衝器圧縮強度のプロットである。
【図4】図4は実施例4からのサンプルの光沢60°のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
最初に、1種または複数の態様の説明的実施法が以下に提供されるが、開示されるシステムおよび/または方法は、現在知られているかまたは存在するかに拘わらず、多数の方法を使用して実施することができることを理解しなければならない。本開示は決して、本明細書に図示され、説明される代表的デザインおよび実施法を含む、以下に示される具体的実施法、図面および方法に限定されるべきではなく、それらの全範囲の同等物とともに添付の請求項の範囲内で変更することができる。
【0012】
本明細書には、スチレン・ポリマー組成物(SPC)を調製し、そしてISBMにより、SPCを最終消費製品に加工する工程を含んでなる、ISBM製品を調製する方法が開示される。一つの態様において、SPCは高衝撃ポリスチレン(HIPS)、あるいはまた多目的ポリスチレン(GPPS)、あるいはまたHIPSとGPPSのブレンドを含んでなる。一つの態様において、本明細書に開示される組成物および方法は、生成される製品の望ましい機械的および/または物理的特性を維持しながら製造コストを低下させることができる。
【0013】
一つの態様において、SPCはスチレン・モノマーおよび場合により1種または複数のコモノマーの重合により形成されるポリスチレンを含んでなる。ビニルベンゼン、シンナメン、エチレニルベンゼンおよびフェニルエテンとしても知られるスチレンは、化学式Cにより表される有機化合物である。スチレンは広く市販されており、そして本明細書で使用される用語スチレンは、様々な置換スチレン(例えば、アルファ−メチルスチレン)、環置換スチレン(例えば、p−メチルスチレン)、二置換スチレン(例えば、p−t−ブチルスチレン)並びに未置換スチレンを含む。一つの態様において、ポリスチレンは、SPC中に、SPCの総重量の1.0重量パーセント(重量%)〜99.9重量%の量、あるいはまた5重量%〜99重量%、あるいはまた10重量%〜95重量%の量で含まれる。
【0014】
一つの態様において、本開示中の使用に適するポリスチレンは、ASTM D−1238に従って測定される、1g/10分〜40g/10分、あるいはまた1.5g/10分〜20g/10分、あるいはまた2g/10分〜15g/10分の溶融流量;ASTM D−3029に従って測定される、5in−lb〜200in−lb、あるいはまた50
in−lb〜180in−lb、あるいはまた100in−lb〜150in−lbの落槍衝撃;ASTM D−256に従って測定される、0.4ft−lbs/in〜5ft−lbs/in、あるいはまた1ft−lbs/in〜4ft−lbs/in、あるいはまた2ft−lbs/in〜3.5ft−lbs/inのアイゾット衝撃;ASTM D−638に従って測定される、2,000psi〜10,000psi、あるいはまた2,800psi〜8,000psi、あるいはまた3,000psi〜5,000psiの引張り強さ;ASTM D−638に従って測定される、100,000psi〜500,000p、あるいはまた200,000psi〜450,000psi、あるいはまた250,000psi〜380,000psiの引張り弾性率;ASTM D−638に従って測定される、0.5%〜90%,あるいはまた5%〜70%、あるいはまた35%〜60%の伸び率;ASTM D−790に従って測定される、3,000psi〜15,000psi、あるいはまた4,000psi〜10,000psi、あるいはまた6,000psi〜9,000psiの曲げ強さ;ASTM D−790に従って測定される、200,000psi〜500,000psi、あるいはまた230,000psi〜400,000psi、あるいはまた250,000psi〜350,000psiの曲げ弾性率;ASTM D−648に従って測定される、180°F〜215°F(82.2〜101.7℃)、あるいはまた185°F〜210°F(85〜98.9℃)、あるいはまた190°F〜205°F(87.8〜96.1℃)のアニール熱ゆがみ;およびASTM D−1525に従って測定される、190°F〜225°F(87.8〜107.2℃)、あるいはまた195°F〜220°F(90.6〜104.4℃)、あるいはまた200°F〜215°F(93.3〜101.7℃)のビカット軟化温度をもつことができる。
【0015】
一つの態様において、SPCは、これもGPPSまたは結晶等級のポリスチレンとも呼ばれるスチレン・ホモポリマーであることができる。一つの態様において、本開示中の使用に適するGPPSは、ASTM D−1238に従って測定される、1g/10分〜40g/10分、あるいはまた1.5g/10分〜20g/10分、あるいはまた1.6g/10分〜14g/10分の溶融流量;ASTM D−638に従って測定される、5,000psi〜8,500psi、あるいはまた6,000psi〜8,000psi、あるいはまた6,200psi〜7,700psiの引張り強さ;ASTM D−638に従って測定される、400,000psi〜500,000p、あるいはまた420,000psi〜450,000psiの引張り弾性率;ASTM D−638に従って測定される、0%〜0.5%の伸び率;ASTM D−790に従って測定される、10,000psi〜15,000psi、あるいはまた11,000psi〜14,500psi、あるいはまた11,500psi〜14,200psiの曲げ強さ;ASTM D−790に従って測定される、400,000psi〜500,000psi、あるいはまた430,000psi〜480,000psiの曲げ弾性率;ASTM D−648に従って測定される、185°F〜220°F(85〜101.7℃)、あるいはまた190°F〜215°F(87.8〜101.7℃)、あるいはまた195°F〜212°F(90.6〜100℃)のアニール熱ゆがみ;およびASTM D−1525に従って測定される、195°F〜230°F(90.6〜100℃)、あるいはまた200°F〜228°F(93.3〜108.9℃)、あるいはまた205°F〜225°F(96.1〜107.2℃)のビカット軟化温度をもつことができる。
【0016】
本開示中の使用に適するGPPSの例は、限定されずに、CX5229、525、500Bおよび585を含み、それらはすべてTotal Petrochemical USA,Inc.から市販されている。一つの態様において、GPPS(例えば、CX5229、525、500Bおよび585)は概括的に表1〜4に示される物理的特性を有する。
【0017】
【表1】

【0018】
【表2】

【0019】
【表3】

【0020】
【表4】

【0021】
幾つかの態様において、SPCは衝撃ポリスチレンまたは、更にエラストマー物質を含んでなる高衝撃ポリスチレン(HIPS)であることができる。このようなHIPSは、ポリスチレンマトリックス中に埋封されて、増加した衝撃抵抗を有する組成物をもたらすエラストマー相を含むことができる。
【0022】
一つの態様において、SPCは、エラストマーとして共役ジエン・モノマーを含んでなるHIPSである。適切な共役ジエン・モノマーの例は、限定されずに、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル
−1,3−ブタジエンおよび2−クロロ−1,3−ブタジエンを含む。あるいはまた、HIPSはエラストマーとして脂肪族共役ジエン・モノマーを含んでなる。適切な脂肪族共役ジエン・モノマーの例は、限定されずに、ブタジエンモノマーのようなC〜Cジエンを含む。ジエン・モノマーのブレンドまたはコポリマーも使用することができる。同様に、1種または複数のエラストマーの混合物またはブレンドを使用することができる。一つの態様において、エラストマーはジエン・モノマーのホモポリマーを含んでなるか、あるいはまたエラストマーはポリブタジエンを含んでなる。エラストマーは1種または複数の消費者が望む特性をもたらすために有効な量でHIPS中に含まれることができる。このような有効量は本開示の助けを伴って当業者により決定することができる。一つの態様において、エラストマーは1重量%以上、あるいはまた6重量%〜10重量%、あるいはまた6、7、8、9または10重量%、あるいはまた8重量%〜9重量%、あるいはまた8.3重量%〜8.7重量%、あるいはまた8.5重量%の量でHIPS中に含まれることができる。
【0023】
一つの態様において、本開示中への使用に適したHIPSは、ASTM D−1238に従って測定される、1g/10分〜40g/10分、あるいはまた1.5g/10分〜20g/10分、あるいはまた2g/10分〜15g/10分の溶融流量;ASTM D−3029に従って測定される、5in−lb〜200in−lb、あるいはまた50in−lb〜180in−lb、あるいはまた100in−lb〜150in−lbの落槍衝撃;ASTM D−256に従って測定される、0.4ft−lbs/in〜5ft−lbs/in、あるいはまた1ft−lbs/in〜4ft−lbs/in、あるいはまた2ft−lbs/in〜3.5ft−lbs/inのアイゾット衝撃;ASTM D−638に従って測定される、2,000psi〜10,000psi、あるいはまた2,800psi〜8,000psi、あるいはまた3,000psi〜5,000psiの引張り強さ;ASTM D−638に従って測定される、100,000psi〜500,000p、あるいはまた200,000psi〜450,000psi、あるいはまた250,000psi〜380,000psiの引張り弾性率;ASTM D−638に従って測定される、0.5%〜90%、あるいはまた5%〜70%、あるいはまた35%〜60%の伸び率;ASTM D−790に従って測定される、3,000psi〜15,000psi、あるいはまた4,000psi〜10,000psi、あるいはまた6,000psi〜9,000psiの曲げ強さ;ASTM D−790に従って測定される、200,000psi〜500,000psi、あるいはまた230,000psi〜400,000psi、あるいはまた250,000psi〜350,000psiの曲げ弾性率;ASTM D−648に従って測定される、180°F〜215°F(82.2〜101.7℃)、あるいはまた185°F〜210°F(85〜98.9℃)、あるいはまた190°F〜205°F(87.8〜96.1℃)のアニール熱ゆがみ;ASTM D−1525に従って測定される、195°F〜225°F(90.6〜107.2℃)、あるいはまた195°F〜220°F(90.6〜104.4℃)、あるいはまた200°F〜215°F(93.3〜101.7℃)のビカット軟化温度;およびASTM D−523に従って測定される、30〜100、あるいはまた40〜98、あるいはまた50〜95の60°光沢をもつことができる。
【0024】
本開示中への使用に適したHIPSの例は、限定されずに、すべてがTotal Petrochemical USA,Inc.から市販されている高衝撃ポリスチレンである825E、680、830、935E、975E、945Eおよび845E並びにChevron Phillips Chemical Company,LLCから市販されているスチレン・ブタジエン・吹込みックコポリマーであるK−RESIN KR03を含む。一つの態様において、HIPS(例えば、825E、680、830、935E、975E、945E、845EおよびK−RESIN KR03)は概括的に表5〜12に示した物理的特性を有する。
【0025】
【表5】

【0026】
【表6】

【0027】
【表7】

【0028】
【表8】

【0029】
【表9】

【0030】
【表10】

【0031】
【表11】

【0032】
【表12】

【0033】
一つの態様において、SPCは、それぞれ本明細書で以前に説明されたタイプであることができるGPPSおよびHIPSのブレンドを含んでなる。該ブレンドは99.9:0.1〜0.1:99.9、あるいはまた90:10〜10:90、あるいはまた80:20〜20:80、あるいはまた70:30〜30:70、あるいはまた60:40〜40
:60、あるいはまた50:50の比率のGPPS:HIPSを含んでなる。
【0034】
一つの態様において、SPCは更に、所望の物理的特性、例えば増加した光沢または色彩を付与するために必要と思われる1種または複数の添加物を含んでなることができる。添加物の例は、限定されずに、連鎖移動剤、タルク、抗酸化剤、UV安定剤、可塑化剤、滑剤、鉱油、等を含む。前記の添加物は単独でまたは組み合わせて使用されて、組成物の様々な調合物を形成することができる。例えば、安定剤(stabilizerまたはstabilization agent)は、過剰な温度および/または紫外線に対する曝露による劣化からポリマー組成物を保護する助けをするために使用することができる。これらの添加物は、所望の特性を付与するのに有効な量で含まれることができる。
【0035】
一つの態様において、SPCは更に可塑化剤、あるいはまた鉱油を含んでなる。鉱油はSPCを軟化する働きをすることができ、その加工性を増加する。鉱油は、SPCの総重量に基づいて0重量%〜6.5重量%、あるいはまた1.25重量%〜4重量%、あるいはまた2重量%〜3重量%の範囲の量でSPC中に含まれることができる。
【0036】
ポリマー組成物に対してこれらの添加物を含むための有効添加量および方法は本開示の助けにより当業者に知られる。一つの態様において、1種または複数の添加物(例えば、鉱油、等)はポリマー組成物の総重量に基づいて0重量%〜6.5重量%、あるいはまた1.25重量%〜4重量%、あるいはまた2重量%〜3重量%の量でSPCに含まれることができる。
【0037】
SPC(例えば、GPPSまたはHIPS)の生成のためには、当業者に知られたあらゆる方法を使用することができる。一つの態様において、SPC(すなわち、GPPS)の生成法はモノマーの重合に適した反応条件下で、スチレン・モノマーを接触させる工程を含んでなる。
【0038】
代わりの態様において、SPC(すなわち、HIPS)の製法は、モノマーの重合に適した反応条件下で、スチレン・モノマーと他の成分(例えば、エラストマー、重合開始剤、添加剤、等)を接触させる工程を含んでなる。このような態様において、該方法はその後重合させるスチレン中へのポリブタジエンエラストマーの溶解を含んでなる。
【0039】
一つの態様において、SPC(例えば、GPPS、HIPS)の製法は、少なくとも一種の重合開始剤を使用する。このような重合開始剤はスチレンの重合を可能にするための遊離ラジカルの発生源として働くことができる。一つの態様において、スチレン重合を容易にする遊離ラジカルを形成することができるあらゆる重合開始剤を使用することができる。このような開始剤は例えば、限定されずに、有機過酸化物を含む。重合開始に有用な有機過酸化物の例は、限定されずに、ジアシルペルオキシド、ペルオキシジカーボネート、モノペルオキシカーボネート、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシド、ヒドロペルオキシドまたはそれらの組み合わせ物を含む。一つの態様において、反応物中の開始剤のレベルは百万分の一(ppm)で表す活性酸素に関して与えられる。一つの態様において、SPCの生成のための開示された反応物中の活性酸素レベルは20ppm〜80ppm、あるいはまた20ppm〜60ppm、そして更にあるいはまた30ppm〜60ppmである。開始剤の選択および有効量は多数の因子(例えば、温度、反応時間)に左右され、方法の望ましい需要を満たすために本開示の助けを伴って当業者により選択されることができる。重合開始剤およびそれらの有効量は例えば、それぞれ、その全体を本明細書に引用することにより取り込まれたこととされる、米国特許第6,822,046号、第4,861,127号、第5,559,162号、第4,433,099号および第7,179,873号明細書中に記載されている。
【0040】
SPC(例えば、GPPS、HIPS)を形成するための重合反応は、溶液重合法または塊状重合法で実施することができる。塊状重合法は、バルク重合としても知られ、モノマーおよび触媒または重合開始剤以外のあらゆる媒質の不在下におけるモノマーの重合を表す。溶液重合は、モノマーおよび重合開始剤が重合反応の開始時に非モノマーの液体溶媒中に溶解される重合法を表す。その液体は通常また、生成されるポリマーまたはコポリマーのための溶媒である。
【0041】
重合法はバッチ法または連続法であることができる。一つの態様において、重合反応は単一の反応器または複数の反応器を含んでなる重合装置内で、連続的生成法を使用して実施することができる。例えば、ポリマー組成物は逆流(upflow)反応器を使用して調製することができる。ポリマー組成物の生成のための反応器および条件は例えば、その全体を引用することにより本明細書に取り入れられたこととされる米国特許第4,777,210号明細書に開示されている。
【0042】
本開示の方法とともに有用な温度範囲は、重合を実施するために使用される装置の運転特性と一致するように選択することができる。一つの態様において、重合の温度範囲は、90℃〜240℃であることができる。他の態様において、重合の温度範囲は、100℃〜180℃であることができる。更に他の態様において、重合反応は最適な温度反応を有する各反応器を伴う複数の反応器中で実施することができる。例えば、重合反応は連続的に撹拌されるタンク反応器(CSTR)またはプラグ−フロー反応器のいずれかである第1および第2の重合反応器を使用する反応システム中で実施することができる。一つの態様において、複数の反応器を含んでなる、本明細書に開示されたタイプのSPC生成用重合反応器は、90℃〜135℃の温度範囲で操作される初期重合反応器としても知られる第1の反応器(例えばCSTR)をもつことができ、他方、第2の反応器(例えば、CSTRまたはプラグフロー)を100℃〜165℃の範囲内で操作することができる。
【0043】
第1の反応器からの重合生成物の排出物は、本明細書ではプレポリマーと呼ぶことができる。プレポリマーが所望の変換(conversion)段階に到達すると、それは、更なる重合のために、第2の反応器中に加熱装置を通して通過することができる。重合反応完了時に、SPCを回収し、次に加工、例えば揮発物除去、ペレット化、等を実施する。
【0044】
本明細書で前述のタイプの1種または複数の添加物(例えば、鉱油、等)をまた、SPC(例えば、GPPS、HIPS)の回収後、例えばペレット化のような配合中に添加することができる。あるいはまた、もしくは、SPCのスチレン・ポリマー成分中へのこのような添加物の添加に代えて、または、加えて、このような添加物をSPCの形成中に、またはSPCの1種または複数の他の成分に添加することができる。
【0045】
一つの態様において、生成されるSPC(例えば、GPPS、HIPS)を、次に最終消費製品に変換することができる、予備成形物と呼ばれる中間製品に変換することができる。予備成形物への、そして次に最終消費製品へのポリマー物質の変換は単一の生産ライン上で起ることができる。あるいはまた、該ポリマー組成物は予備成形物に変換され、保存され、そして/または輸送され、そして次に、後に最終消費製品に変換することができる。あるいはまた、ポリマー組成物は最終消費製品に直接加工することができる。予備成形物および/または最終消費製品へのポリマー組成物の変換の順序およびタイミングは、消費者の需要に合うように本開示の補助を伴って当業者により計画することができる。本明細書に開示されるタイプのSPCは様々なプラスチック成形法により最終消費製品に変換することができる。プラスチック成形法は当業者に知られており、例えば、限定されずに、ISBMを含む。
【0046】
一つの態様において、SPCはISBMにより最終消費製品に変換される。ISBM期間中にSPC(例えば、ペレット、毛羽状物)を溶融して溶融ポリマーを形成する。次に溶融ポリマーを型穴中に射出して、中間または予備成形物製品の所望の形状をもたらすことができる。予備成形物のコアを成形期間中に固定し、それが製品の内径を形成するように働く。あらゆる適切な型穴を使用して、望ましい形状をもつ予備成形物を形成することができる。適切な予備成形物の例は、限定されずに、それらの態様が図1に示される、予備成形物Aおよび予備成形物Bと呼ばれる予備成形物を含む。更に、予備成形物Bのデザインの説明は、その全体を引用することにより本明細書に取り入れたこととされる、2007年12月7日出願の米国特許出願第11/999,848号明細書に認めることができる。次に予備成形物を型穴中で急速に冷却し、最初の型から回収する。次に、予備成形物を再加熱し、それが予備成形物の収縮またはそりをもたらすことができ、そして本明細書で後に更に詳細に説明される。予備成形物は220°F〜300°F(104.4〜148.9℃)、あるいはまた240°F〜280°F(115.6〜137.8℃)、あるいはまた250°F〜275°F(121.1〜135℃)の温度に再加熱することができる。
【0047】
予備成形物の加熱は、1種または複数の消費者に所望される特性を有する最終消費製品の生産に適したパラメーター(装置、デザインまたは配置、処理条件、等)を使用して実施することができる。例えば、加熱は、1種または複数の発熱体を使用してオーブン内で実施することができる。発熱体のタイプおよび数、使用される温度範囲、予備成形物に対する発熱体の配置および、当業者に知られそして本開示の利点を伴う他のパラメーター、を調整して、1種または複数の消費者および/または方法により所望される特徴を有する予備成形物を生成することができる。例えば、収縮および/またはそりを最少にするために予備成形物を所望の温度に急速に加熱するために、高い加熱速度をもつ赤外線ヒーターを使用することができる。あるいはまた、1種または複数の発熱体を、予備成形物を所望の温度範囲に加熱することができるようにさせることができる。更に他の態様において、発熱体を調整可能にして、予備成形物が一つの加工部分から他の部分に運ばれる時に予備成形物とともに移動するようにさせることができる。例えば、発熱体を、発熱体から予備成形物までの距離が、ある一定時間にわたり、あるいは1種または複数の製造段階にわたり一定であるようにさせることができる。当業者により他のパラメーター(すなわち、加熱装置および加工条件の)を所望の加工性および特性をもつ予備成形物を生成するようにさせることができる。
【0048】
一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから調製される予備成形物は0%〜60%、あるいはまた5%〜50%、あるいはまた10%〜40%の収縮率をもつことができる。本明細書における収縮率は予備成形物の加熱期間に起った予備成形物の高さの変化(すなわち、低下)率を表す。収縮率は、加熱前後の予備成形物の高さの差を採り、その差を、加熱前の支持押縁(ledge)の下方の予備成形物の長さにより割ることにより決定することができる。
【0049】
一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから調製された予備成形物は、加熱中に、0%〜50%、あるいはまた1%〜25%、あるいはまた2%〜10%のそり率をもつことができる。本明細書におけるそり率は、加熱中の予備成形物の中心の移動の割合を表す。そり率は加熱前後の予備成形物中心の差を採り、その差を、加熱後の支持押縁の下方の予備成形物の長さにより割ることにより決定することができる。
【0050】
次に加熱した予備成形物を吹込み成形用金型中に移し、軸方向に伸長させ、空気圧を使用して吹込んで、その最終寸法まで内部容積を膨張させる。一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから調製された予備成形物は、10バール未満、あるいはまた8バール未満、あるいはまた7バール未満、あるいはまた5バール未満、あるいはま
た4バール未満の吹込み圧を使用してその最終寸法に膨張させることができる。
【0051】
本開示のSPCを形成することができる最終消費製品の例は、食品包装容器、事務室備品、プラスチック用材(lumber)、代用用材、パティオの床材、構造支持材、ラミネートの床組成物、ポリマー発泡体基材、装飾表面材(すなわち、クラウンモルディング、等)、耐候性屋外用材、購買地の標識および陳列品、家庭用品および消費材、建築物遮蔽材、化粧品包装物、屋外代用材、蓋および容器(すなわち、デリカテッセン、果実、キャンディーおよびクッキー用)、電気器具、調理器具、電気器具の部品、自動車部品、閉鎖容器、保護ヘッドギア、再利用可能なペイントボール(paintballs)、玩具(例えば、LEGOブロック)、楽器、ゴルフクラブのヘッド、パイプ、事務機器および電話機の部品、シャワーヘッド、ドアのハンドル、蛇口のハンドル、ホイールカバー、自動車のフロントグリル、等を含む。
【0052】
一つの態様において、SPCはISBMの最終消費製品に変換することができる。SPCが形成することができるISBM最終消費製品の例は、びん、容器、等を含む。一つの態様において、ISBM最終消費製品は、消費者製品のための包装容器、例えば食品保存容器または飲料容器である。あるいはまた、SPCは、例えば水または牛乳びんのような液体のための包装容器を調製するために使用される。SPCはまた、生物科学的医療用製品、例えば医療用びん、静脈用(IV)びん、医薬品容器、等に使用することができる。更なる最終消費製品は本開示の助けにより当業者に明白であると考えられる。
【0053】
一つの態様において、本明細書に開示されるタイプのSPCから調製されるISBM最終消費製品は、他のポリマー組成物(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン・テレフタレート(PET))からのISBM最終消費製品に比較すると、改善された機械的特性(例えば、落下衝撃強度、上部荷重強度)を示すことができる。
【0054】
落下衝撃強度は高所から落下される時のISBM最終消費製品の強度についての情報を提供する。落下衝撃強度の試験は、一定数(例えば、12個)の、充填し、蓋をしたびんをびんの底部に垂直にそしてびんの側部に水平に落下させることにより実施することができる。びんの重量および容積はあらゆる適当な重量および容積を含むことができる。一つの態様において、びんは28gの重量および500mLの容積を有する。
【0055】
落下衝撃強度の試験は、少なくとも12時間、40°F(4.4℃)または室温で保存されたびんを4フィート(122cm)または6フィート(ft)(183cm)から落下させる工程を含んでなることができる。物質は、最初の衝撃後にその組のすべての製品(すなわち、12個)がまだ無傷であり、そして損傷がゼロであった場合に、その落下衝撃強度試験に合格したと考えられる。損傷の基準は、
a.あらゆる部分の何かの破損(割れた底部、破損した仕上げ)、ゼロが許容され得る、b.あらゆるサイズおよび部分の層割れ、
c.あらゆるサイズおよび部分の凹み:
を含むことができる。
【0056】
典型的には、びん自体の代わりにびんの蓋が破損した場合に、実験は反復することができる。
【0057】
一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから構成された28g、500mLのISBMの最終消費製品は、0ft〜8ft(0cm〜244cm)、あるいはまた0ft〜7ft(0〜213.5cm)、あるいはまた0ft〜6ft(0〜183cm)の落高から、40°F〜90°F(4.4〜32.3℃)、あるいはまた50°F〜80°F(10〜26.7℃)、あるいはまた60°F〜70°F(15.6〜21
.1℃)の温度で垂直または水平に落下された時の、落下衝撃強度試験に合格することができる。
【0058】
上部荷重強度および緩衝器圧縮強度は、破砕試験条件下で使用される時のISBM最終消費製品の破砕特性についての情報を提供する。上部荷重および緩衝器圧縮強度の試験は、下部のプレート上にISBM製品を配置し(上部荷重強度のためには垂直に、そして緩衝器圧縮のためには水平に)、上部プレートに対してそれを緩徐に持ち上げて、ISBM製品の対応する荷重能を測定することにより(上部荷重強度に対して最大値および緩衝器圧縮強度に対して1/2インチの撓みの値)実施することができる。
【0059】
一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから構成された28g、500mLのISBMの最終消費製品は、200N〜600N、あるいはまた250N〜550N、あるいはまた300N〜500Nの上部荷重強度を示すことができる。一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから構成された28g、500mLのISBMの最終消費製品は、100N〜400N、あるいはまた150N〜350N、あるいはまた180N〜320Nの緩衝器(bumper)圧縮強度を示すことができる。
【0060】
一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから構成された28g、500mLのISBMの最終消費製品は、ASTM D2457に従って測定される、20〜100、あるいはまた25〜95、あるいはまた30〜90の60°光沢を示すことができる。物質の光沢は、物質の表面との光の相互作用、更に具体的には、正反射方向に光線を反射する表面の能力に基づく。光沢は入射光角度、例えば60°の入射角(「60°光沢」としても知られる)の関数として光沢の度合いを測定することにより測定される。
【0061】
一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから構成されたISBMの最終消費製品は、不透明であることができる。不透明の物質は限定された透明度を有し、従って内部に配置された、または最終消費製品により覆われたあらゆる物質を光線から遮蔽する。物質の不透明度は物質の曇り度により間接的に測定することができる。曇り度は物質の内部から、またはその表面から散乱された光線により誘発される物質の曇った外観である。物質の曇り度は、30%以下の曇り率に対しては、ASTM D1003−00に従って決定することができる。30%を超える曇り率をもつ物質はASTM E167に従って決定することができる。一つの態様において、本明細書に開示されたタイプのSPCから構成された28g、500mLのISBMの最終消費製品は、0.1%〜99.9%、あるいはまた30%〜98%、あるいはまた50%〜95%の曇り度を示すことができる。
【0062】
本開示のSPCから製造されるISBM製品は、予備成形物を生成するためにより低い吹込み圧を必要とすることができ、それは、種々の因子、例えば減少したエネルギー消費、より早いライン速度、減少した資本投資、および、より安全で騒音の少ない環境、による、改善された製造経済学に言い換えることができる。本開示の製品(例えば、ISBM製品)はまた、他のポリマー物質、例えばPET、を使用して製造されるISBM製品の特性に匹敵する値の、機械的および/または物理的特性を示すことができる。
【実施例】
【0063】
本開示は概括的に説明されてきたが、以下の実施例は本開示の特定の態様として、そしてそれらの実施法および利点を示すために与えられる。実施例は具体例により与えられ、どんな方法でも以下の明細または請求項を限定することは意図されないことが理解される。
【実施例1】
【0064】
スチレン・ポリマーから調製された製品に対するISBM期間中の種々の加工条件の効果を研究した。第1に、成形された予備成形物のサンプルを製造するための成形温度の効果を研究した。2種の樹脂を試験し、樹脂1は結晶等級のPSである500Bであり、樹脂2はHIPSである845Eであり、双方ともTotal Petrochemicals USA,Inc.から市販されている。成形サンプルは以前に本明細書で説明された予備成形物Bのデザインに従って調製された。
【0065】
予備成形物の成形サンプルの重量は500Bおよび845E樹脂双方に対しほぼ28gであった。5種の成形された予備成形物サンプルを105℃、110℃、120℃、130℃および150℃の成形温度を使用して結晶PSの500B樹脂を使用して調製した。5種の成形された予備成形物のサンプルは透明であったので、それらの応力分布は偏光を使用して分析した。偏光源はAGR TopWave,LLCから市販のLight Polarizer(モデルNo.C522)であった。
【0066】
結果は、より高い成形温度は不均一な応力分布をもたらし、他方、より低い成形温度は偏光下で視覚的に認められた波状模様の形成をもたらしたことを示した。130℃の成形温度で調製された成形された予備成形物のサンプルはより対称的な応力分布を示した。以後、成形された予備成形物のサンプルを製造するための成形温度は130℃に設定された。
【0067】
845E樹脂から調製された成形された予備成形物のサンプルは半透明であったので、サンプルはその成形温度を最適化するために偏光を使用して分析することができなかった。従って、HIPSの845E樹脂の成形温度もまた130℃に設定された。バレル温度、ホットランナー温度、射出速度、冷却時間、保持時間およびサイクル時間を含む他の加工パラメーターを各樹脂に対して最適化し、表13に示す。
【0068】
【表13】

【0069】
3種の成形された予備成形物のサンプルを、前記の条件を使用して調製した。サンプル1を500Bから調製し、サンプル2を2%K−RESIN KR03とブレンドされた500Bから調製し、サンプル3種を845Eから調製した。予備成形物の成形サンプルを加熱し、次にADS,S.A.から市販の、2個の穴をもつ線状射出引張り吹込み成形装置であるADS G62を使用して、びんに引張り吹込み成形した。収縮率およびそり率を決定し、結果を表14に示す。
【0070】
【表14】

【0071】
加熱中にサンプル1および2の双方が不均一な収縮およびそりを示し、それらは更に不均一なびんの厚さおよび中心がずれたびんの底部を表すことができ、他方、サンプル3の収縮は比較的均一な性状に見えた。更にサンプル3は3種のサンプルのうちで最少の収縮を示した。研究されたすべての樹脂(すなわち、結晶PSおよびHIPS)が、他のポリマー物質(すなわち、PP、PET)から調製した予備成形物に対する同様なパラメーターに比較すると、より低い加熱エネルギーを要し、そして、より低い吹込み圧を使用してそれらの最終寸法に吹き付けられた予備成形物を生成した。ヒーターの出力の総量により、より低い加熱エネルギーが決定された。典型的には、PPの成形された予備成形物を製造するために要した吹込み圧は26〜30バールの範囲内にある。しかし、サンプル1および2を吹き付けるために使用された吹込み圧は9バールであり、本開示のSPCを使用すると、吹込み圧は少なくとも3分の一に減少することを示唆している。
【実施例2】
【0072】
本明細書に記載のタイプのSPCから製造されたISBM製品の落下衝撃強度を研究した。サンプル4〜10と名付けた7種のHIPS樹脂を評価した。HIPS樹脂は680、825E、830、845E、935E、945Eおよび975Eであり、すべてがTotal Petrochemicals USA,Inc.から市販されている。7種のそれぞれの樹脂に対し、2組のびん(各組が24本のびんを含む)を製造した。
【0073】
成形された予備成形物のサンプル(予備成形物Aのデザイン)を調製し、次にびんに引張り吹込み成形した。サンプル4を除いて、各サンプルを、2000本/時間(b/h)および3000b/hの加工速度で、オーブン10およびオーブン20と名付けた2組のオーブンを使用して吹込み成形した。PPのびん(2500〜3000b/h)およびPETのびん(2800〜3200b/h)を製造するための典型的な速度と同様な、SPCを加工する速度において、本明細書に記載のタイプのSPCを使用して調製されたすべてのサンプルが、より低い予熱エネルギーを要した。特定の予備成形物に対しては、それらは表15に示すように、1組のオーブンのみを使用して加工することができる。更に、680 HIPS樹脂を使用して製造されたサンプル4は、より低い加工性を有し、GPPSと同様な動態を示した。680樹脂は、再加熱中に高い収縮およびそり率、並びに成形びんの底部に白色化を示した。サンプル4の低い加工性は、6重量%〜10重量%の範囲のエラストマー濃度を有した他のHIPS樹脂を使用して調製されたサンプルに比較すると、680樹脂中の低いエラストマー濃度、2.5重量%による可能性がある。
【0074】
次にびんを外界温度で最低24時間熟成させ、水で充填し、蓋をし、40±2°F(4.4±0.4℃)または68±2°F(20±0.4℃)で最低12時間保存し、直後に試験した。第1組からの12本のびんを40°F(4.4℃)で6フィート(ft)(183cm)から、びんの底部に向けて垂直に落下させ、そして他の12本を40°F(4.4℃)で6ft(183cm)からびんの側部に向けて水平に落下させた。第2組からの12本を室温で4ft(122cm)からびんの底部に向けて垂直に落下させ、そして他の12本を室温で4ft(122cm)からびんの側部に向けて水平に落下させた。びん自体でなく、びんの蓋が破損した場合には実験を繰り返した。サンプルの詳細、加工条
件および結果を表15に示す。
【0075】
【表15】

【0076】
結果は、サンプル4を除いてすべてのびんが6ft(183cm)および40°F(4.4℃)の落下衝撃強度試験に合格したことを示す。前記に考察したように、サンプル4は、使用されたすべての樹脂のなかで最低のエラストマーを含有した680樹脂から調製された。本開示のSPCを使用して調製されたサンプルの落下衝撃強度は、これも6フィート(183cm)の落高からの40°F(4.4℃)の落下衝撃試験に合格するPPの衝撃コポリマー(ICP)のびんの結果に匹敵する。サンプル5〜10は6フィート(183cm)の試験に合格したので、これらの4フィート(122cm)における落下衝撃強度試験は実施しなかった。
【実施例3】
【0077】
本明細書に記載のタイプのSPCを使用して調製したびんの上部荷重強度を研究し、PPおよびPET組成物を使用して調製したびんの上部荷重強度に比較した。スチレン・ポリマー樹脂を使用して7種のサンプルを調製し、サンプル11〜17と名付け、3サンプルを、PP樹脂を使用して調製し、サンプル18〜20と名付け、そして1サンプルを、PET樹脂を使用して調製し、サンプル21と名付けた。各予備成形物サンプルの樹脂のタイプ、使用したオーブン数および加工速度を表16に示す。スチレン・ポリマー樹脂は前記の680、830、945Eおよび845E樹脂であった。PP樹脂はランダムPPコポリマーである7525MZ、衝撃PPコポリマーである4280Wおよび高結晶質PPである3270であり、すべてTotal Petrochemical USA,Inc.から市販されている。PET樹脂はResiluxから市販のびん等級のPETであった。サンプル11〜17の予備成形物の重量は28gであり、サンプル18〜20の予備成形物の重量は23gであり、そしてサンプル21の予備成形物の重量は25gであった。それぞれの上部荷重強度は前記のように測定された。
【0078】
【表16】

【0079】
図2はサンプル11〜21の最大上部荷重のプロットである。本明細書に記載のタイプのSPCを使用して調製されたサンプルのサンプル11〜17は、ランダムおよび衝撃PPコポリマーを使用して調製したサンプルのサンプル18〜19の最大上部荷重のほぼ2倍を示した。サンプル11〜17はまた、結晶質PPを使用して調製したサンプル20およびPETを使用して調製したサンプル21に比較して、より高い最大上部荷重を示した。
【実施例4】
【0080】
SPCびんの緩衝器圧縮強度および光沢を研究し、PPおよびPETびんの緩衝器圧縮強度および光沢に比較した。サンプル11〜21は、実施例3に記載の通りにSPC、PPおよびPETびんを調製するために使用した。すべてのサンプル11〜21をそれらの緩衝器圧縮強度につき試験した。
【0081】
図3はサンプル11〜21の1/2インチの撓みにおける緩衝器圧縮強度のプロットである。SPCを使用して調製したサンプル(サンプル11〜17)は、PP(サンプル18〜20)およびPET(サンプル21)に比較して、より高い緩衝器圧縮強度を示した。
【0082】
SPCびんの光沢60°を決定した。更に、90milの厚さをもつポリマーチップをSPCサンプルから調製した。図4はポリマーチップおよび、SPCから調製したサンプル11〜14のびんの光沢60°のプロットである。全体として、びんはポリマーチップに比較して、より低い光沢を示した。射出成形部品は通常、吹込み成形部品より滑らかな表面を有するので、びんの、より低い光沢は、それらのより粗い表面による可能性がある。更に、吹込み成形容器は、成形された段階のチップに比較して、ずっと薄い壁の厚さを有し、それも、より低い表面光沢をもたらした。
【実施例5】
【0083】
SPCびんの曇り度を研究した。サンプル22〜27と名付けた6サンプルを、Total Petrochemical USA,Inc.から市販のGPPSである525および、Chevron Phillipsから市販のK−RESINであるK−RESIN KR03から調製した。サンプル22〜27の、525およびK−RESIN KR03の総重量百分率を表17に示す。
【0084】
【表17】

【0085】
サンプル22〜27は1.1%〜2.6%の曇り度範囲、75N〜187Nの緩衝器圧縮強度の範囲および131N〜398Nの上部荷重強度の範囲を示した。
【0086】
様々な態様が示され、説明されてきたが、本開示の精神および教示から逸脱せずにそれらの変更を当業者により実施することができる。本明細書に記載の態様は例示的のみであり、限定することは意図されない。本明細書に開示された主題事項の、多数の変更物および修正物が可能であり、本開示の範囲内にある。数値の範囲または限界が明白に記載されている場合は、このような明白な範囲または限界は、明白に記述された範囲または限界内に入る類似の数値の反復の範囲または限界を含むものと理解しなければならない(例えば、約1〜約10は、2、3、4、等を含み、0.10を超えるものは0.11、0.12、0.13、等を含む)。例えば、下限Rおよび上限Rをもつ数値範囲が開示される時は常に、その範囲内に入るあらゆる数値が特別に開示される。とりわけ、範囲内の以下の数値が特別に開示される:R=R+k(R−R)[ここでkは1パーセントの区切りを伴う1パーセント〜100パーセントの範囲の変数である、すなわち、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、…50パーセント、51パーセント、52パーセント、…95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセントまたは100パーセントである]。更に、前記に規定されたような2個のR数により規定されるあらゆる数値範囲もまた特別に開示される。請求項のあらゆる要素に関する「場合により」の用語の使用は、主題要素が必要であるか、あるいはまた必要でないことを意味することが意図される。双方の場合が請求の範囲内にあることが意図される。含んでなる(comprises)、含む(includes)、有する(having)、等のような広義の用語の使用は、よりなる(consisting of)、本質的によりなる(consisting essentially of)、実質的にそれからなる(comprised substantially
of)、等のような狭義の用語に対する土台(support)を提供するものと理解しなければならない。
【0087】
従って、保護の範囲は前記に示される説明により限定はされず、以下の請求項によってのみ限定され、その範囲は請求項の主題事項のすべての同等物を含む。各々の、すべての請求項は本開示の一態様として明細書中に取り入れられている。従って、その請求項は更なる説明であり、本開示の態様に対する付加物である。参考文献、特に、本出願の優先日以後の発行日を有することができるあらゆる参考文献、の考察は、それが本開示に対する先行技術であることの承認ではない。本明細書に引用されたすべての特許、特許出願書および刊行物の開示は、それらが本明細書に示されるものに対する例、方法または他の詳細な補助を提供する限りにおいて、引用することにより本明細書に取り入れられたこととする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン・ポリマー組成物を調製し、
スチレン・ポリマー組成物を溶融して溶融ポリマーを形成し、
溶融ポリマーを型穴中に射出して予備成形物を形成し、
予備成形物を加熱して加熱予備成形物を生成し、そして
加熱予備成形物を膨張させて製品を形成する工程、
を含んでなる方法。
【請求項2】
スチレン・ポリマー組成物が多目的ポリスチレン、高衝撃ポリスチレンまたはそれらの組み合わせ物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項3】
スチレン・ポリマー組成物が99.9:0.1〜0.1:99.9の比率の多目的ポリスチレンと高衝撃ポリスチレンのブレンドを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項4】
スチレン・ポリマー組成物が1g/10分〜40g/10分の溶融流量を示す、請求項1の方法。
【請求項5】
スチレン・ポリマー組成物が2,000psi〜10,000psiの引張り強さを有する、請求項1の方法。
【請求項6】
スチレン・ポリマー組成物が更に可塑化剤を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項7】
可塑化剤がスチレン・ポリマー組成物の総重量に基づいて0%〜6.5%の量で存在する鉱油を含んでなる、請求項6の方法。
【請求項8】
高衝撃ポリスチレンがエラストマーを含んでなる、請求項2の方法。
【請求項9】
エラストマーが共役ジエン・モノマー、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンおよび2−クロロ−1,3−ブタジエン、脂肪族共役ジエン・モノマー、C〜Cジエン、ブタジエンモノマー、ポリブタジエン、それらのブレンド、それらのコポリマーまたはそれらの組み合わせ物、を含んでなる、請求項8の方法。
【請求項10】
エラストマーが高衝撃ポリスチレンの総重量に基づいて1重量%以上の量で高衝撃ポリスチレン中に存在する、請求項8の方法。
【請求項11】
加熱予備成形物が0%〜60%の収縮率を有する、請求項1の方法。
【請求項12】
加熱予備成形物が0%〜50%のそりを有する、請求項1の方法。
【請求項13】
製品がびん、容器、包装容器、食品保存容器、飲料容器、生物科学医療用製品またはそれらの組み合わせ物を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項14】
予備成形物が、28gの重量および500mLの容積を有する試験びんに形成される時に、40°F〜90°F(4.4℃〜32.2℃)の温度で0ft〜8ft(0〜244cm)の落高から垂直にまたは水平に落下される時の落下衝撃強度試験に合格する、請求項1の方法。
【請求項15】
予備成形物が、28gの重量および500mLの容積を有する試験びんに形成される時
に、200N〜600Nの上部荷重強度を有する、請求項1の方法。
【請求項16】
予備成形物が、28gの重量および500mLの容積を有する試験びんに形成される時に、100N〜400Nの緩衝器圧縮強度を有する、請求項1の方法。
【請求項17】
予備成形物が、28gの重量および500mLの容積を有する試験びんに形成される時に、20〜100の60°光沢を有する、請求項1の方法。
【請求項18】
予備成形物が、28gの重量および500mLの容積を有する試験びんに形成される時に、0.1%〜99.9%の曇り度を有する、請求項1の方法。
【請求項19】
予備成形物が、28gの重量および500mLの容積を有する試験びんに形成される時に、10バール以下の予備成形物の膨張のための吹き込み圧を要する、請求項1の方法。
【請求項20】
射出引張り吹込み成形法において、ポリマー組成物の総重量に基づいて0重量%〜6.5重量%の可塑化剤および2.5重量%以上のエラストマーを含んでなるスチレン・ポリマー組成物を、ポリエチレン・テレフタレートに代用する工程を含んでなる方法。
【請求項21】
スチレン・ポリマー組成物から予備成形物を調製し、
予備成形物を1種または複数の発熱体に曝露し、そして
予備成形物を急速に加熱して加熱予備成形物を製造する工程、
を含んでなる方法。
【請求項22】
予備成形物が0%〜60%の収縮を示す、請求項21の方法。
【請求項23】
発熱体が予備成形物上に均一に分配される、請求項21の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−511439(P2012−511439A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539784(P2011−539784)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/067060
【国際公開番号】WO2010/068607
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】