説明

射出成形による立体レーザーラベルの製造方法

【課題】立体で、脱落しにくく、豊富な色彩を表示できる立体レーザーラベルの製造方法を提供する。
【解決手段】
透明薄膜20上にレーザー図案またはマーク10を形成し、さらにプレス加工を施すことによって、前記レーザー図案またはマーク10を立体形状にしており、脱落しにくく、従来技術による底色がアルミ箔色しか表示できないものと比較して、本発明によるレーザー図案またはマーク10は印刷されたインク30層の豊富な色彩を表示することができ、製造工程が簡単であり、大幅にコストを下げることができ、従来技術によるものの平面にしか使用できず、立体感がなく、容易に脱落するなどの欠点を解決し、明らかに機能を高めている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形による立体レーザーラベルの製造方法に関し、特に透明薄膜上にレーザー図案またはマークを形成し、さらにプレス加工を施し、前記レーザー図案またはマークを対応する立体形状にする射出成形による立体レーザーラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術によるレーザーラベルは、図1に示すように、ホログラム技術を利用してレーザー図案またはマーク1をアルミ箔100表面に回転印刷し、その後印刷されたレーザーラベルを物品上に貼り付けて使用する。図2は前記レーザーラベルを携帯電話上に貼った様子を表す斜視図であり、美観性を高めたり、会社の商標を表示したり、偽造防止の為に用いられたりしている。
しかし、前記図案またはマーク1はアルミ箔100の表面に位置しているので、レーザーラベルが表示することができる底色はアルミ箔の色であり、底色を変更することは容易ではない。底色を七色などの異なる色にすることは技術的に非常に困難であり、このことは従来技術における欠点の1つとなっている。さらに、前記レーザーラベルはアルミ箔上に製作されているので、平面または若干湾曲した表面上にしか貼ることができず、前記レーザーラベルは立体感を有していない。前記レーザーラベルを非常に湾曲した物品上に貼る場合、レーザーラベルに折り目ができてしまい、物品の表面に固定することができず、無理やり貼り付けても脱落してしまい、つまり前記レーザーラベルは使用上の制限があり、そのことも従来技術における欠点となっている。その他、従来技術によるレーザーラベルを偽造防止の為に使用することも困難であり、前記ラベルは物品上に貼られるので容易に偽造されたり、剥がされたりし、そのことも従来技術の欠点となっている。
【0003】
その他の従来技術として、先ず図案を透明薄膜上に印刷し、その後、前記図案が形成されている透明薄膜に中抜け印刷を行い、次にホログラム技術により処理したレーザーラベルを前記透明薄膜の中抜け部分に貼り、さらに射出成形によりプラスチック層を形成するものがある。前記従来技術によるレーザーラベルは剥がされることを防ぐことができるが、アルミ箔の単一色しか表示することができず、しかも平面に貼る必要があり、立体感を有さないという欠点が存在し、さらに、製造工程が複雑であり、製造コストが高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、透明薄膜上にレーザー図案またはマークを形成し、さらにプレス加工を施し、前記レーザー図案またはマークを対応する立体形状にし、立体に配置することによって、脱落しにくく、尚且つ印刷されたインク層の豊富な色彩を表示することができ、製造工程が簡単であり、大幅にコストを下げることができる射出成形による立体レーザーラベルの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、射出成形による立体レーザーラベルの製造方法であり、主に従来技術によるレーザーラベルにおける平面にしか貼ることができず、色が単調で、容易に脱落し、生産コストが高いなどの欠点を解決した発明である。
【0006】
請求項1の発明は、射出成形による立体レーザーラベルの製造方法であって、前記製造方法は、(A)ホログラム技術を利用してレーザー図案またはマークを透明薄膜上に回転印刷する工程と、(B)インクを前記レーザー図案またはマークを有する透明薄膜上に印刷する工程と、(C)ミディアム レイヤーを前記レーザー図案またはマークおよびインクを有する透明薄膜上に印刷する工程と、(D)前記レーザー図案またはマークを有する薄膜にプレス加工を施し、立体形状にする工程と、(E)前記レーザー図案又はマークを既に有する立体薄膜へ修正を施す工程と、(F)射出成形によって部材を完成させる工程と、を含み、完成したとき、レーザー図案またはマークは透明薄膜とインク層との間に介在していることを特徴とする射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0007】
請求項2の発明は、前記レーザー図案またはマークを透明薄膜上に形成したとき、前記透明薄膜は外観上依然として透明であることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0008】
請求項3の発明は、前記レーザー図案またはマークは、透明薄膜の正面または背面に回転印刷されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0009】
請求項4の発明は、前記レーザー図案またはマークは、芸術的図形、商標または偽造防止の為の図案であることを特徴とする請求項1、2または3記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0010】
請求項5の発明は、前記インクは、着色印刷によって透明薄膜の表面に付着されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0011】
請求項6の発明は、前記ミディアム レイヤーは、印刷によって透明薄膜の表面に付着されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0012】
請求項7の発明は、前記インクの一面は、透明薄膜と接触され、他面は、ミディアム レイヤーと接触されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0013】
請求項8の発明は、射出成形により形成されるプラスチック層は、前記ミディアム レイヤーとレーザー図案またはマークおよびインクを有する透明薄膜とを利用して接合されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0014】
請求項9の発明は、前記レーザー図案またはマークが表示する底色は、前記インクの色であることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【0015】
請求項10の発明は、前記レーザー図案またはマークは、透明薄膜に形成される形状に対応した形状となることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
透明薄膜上にレーザー図案またはマークを形成し、さらにプレス加工を施すことによって、前記レーザー図案またはマークを立体形状にしており、脱落しにくく、従来技術による底色がアルミ箔色しか表示できないものと比較して、本発明によるレーザー図案またはマークは印刷されたインク層の豊富な色彩を表示することができ、製造工程が簡単であり、大幅にコストを下げることができ、明らかに機能を高めている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は射出成形による立体レーザーラベルの製造方法であって、図3は本発明の射
出成形による立体レーザーラベルの製造方法の製造工程を示す流れ図であり、図4は本
発明の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法によって製造された部材を示す断
面図である。前記製造方法は、
(A)ホログラム技術を利用してレーザー図案またはマーク10を透明薄膜20上に回転印刷する工程を含み、前記レーザー図案またはマーク10は、芸術的図形、商標または偽造防止の為の図案などにすることができる。前記レーザー図案またはマーク10は、透明薄膜20の正面または背面に回転印刷することができ、その選択性を高めている。図4は透明薄膜20の背面に回転印刷した実施形態を示すものであるが、それに限定されるものではない。前記レーザー図案またはマーク10を透明薄膜20上に形成したとき、前記透明薄膜20は外観上依然として透明であり、レーザー図案またはマーク10に影響は与えることはなく、前記透明薄膜20を通して前記レーザー図案またはマーク10をはっきりと見ることができる。
【0018】
前記製造工程はさらに、(B)インク30を前記レーザー図案またはマーク10を有する透明薄膜20上に印刷する工程を含み、彩色のインク30は着色印刷によって透明薄膜20の表面に付着される。前記着色印刷はスクリーン印刷の方式やその他の類似する技術を採用することもできる。
【0019】
前記製造工程はさらに、(C)ミディアム レイヤーを前記レーザー図案またはマーク10およびインク30を有する透明薄膜20上に印刷する工程を含み、前記インク30の一面は、透明薄膜20と接触され、他面は、ミディアム レイヤー40と接触され、その目的はインク30を透明薄膜20に接合させることであり、次の工程で完成するプラスチック層50との間において前記インク30は長時間脱落することがなく、美しさを保つことができる。
【0020】
前記製造工程はさらに、(D)前記レーザー図案またはマーク10を有する透明薄膜20にプレス加工を施し、立体形状にする工程を含み、金型によって前記レーザー図案またはマーク10、インク30およびミディアム レイヤー40を有する透明薄膜20にプレス加工を施し、その形状を立体形状にする。前記レーザー図案またはマーク10は透明薄膜20の立体化によって、立体となる。
【0021】
前記製造工程はさらに、(E)前記レーザー図案又はマークを既に有する立体薄膜へ修正を施し、既に立体形状を形成する前記レーザ図案またはマーク10の透明薄膜20は周辺を修正する。
【0022】
前記製造工程はさらに、(F)射出成形によって部材を完成させる工程を含み、このとき、レーザー図案またはマーク10は透明薄膜20とインク30層との間に介在している。射出成形によってプラスチック層50を形成し、全ての部材が完成する。前記プラスチック層50は前記ミディアム レイヤー40を介してレーザー図案またはマーク10およびインク30を有する透明薄膜20と接続されている。このとき、レーザー図案またはマーク10は透明薄膜20とインク30層との間に介在している。
【0023】
図5は、本発明の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法によって製造された部材を携帯電話に実施した様子を示す斜視図であるが、本実施形態は本発明を限定するものではない。完成後のレーザー図案またはマーク10’、10’’、10’’’は携帯電話のハウジングの透明薄膜とインク層との間に位置しており、前記ハウジングには比較的低い位置の水平部200および比較的高い位置の突出部300とが設けられている。レーザー図案またはマーク10’は比較的低い位置水平部200に位置しているので、前記レーザー図案またはマーク10’が表示する底色は比較的低い位置の水平部200のインク30の色である。レーザー図案またはマーク10’’は比較的高い位置の突出部300に位置しているので、前記レーザー図案またはマーク10’’が表示する底色は比較的高い位置の突出部300のインクの色である。仮に比較的低い位置の水平部200のインク30の色と比較的高い位置のインク30の色とを赤と青のように異なる色にした場合、前記レーザー図案またはマーク10’と前記レーザー図案またはマーク10’’はそれぞれ対応するインク30の色を表示する。前述のように、前記レーザー図案またはマーク10’10’’を透明薄膜20上に形成するとき、前記透明薄膜20は依然として透明であり、そのためにインク30の色に影響を与えることがなく、本発明のレーザーラベルに豊富な色彩の選択を与え、従来技術のレーザーラベルのように底色がアルミ箔の色しか表示できないということがなく、明らかに機能を進歩させている。
【0024】
図5に示すように、前記レーザー図案またはマーク10’’’を有する透明薄膜20にプレス加工を施し、前記レーザー図案またはマーク10’’’は比較的高い位置の突出部300に沿って突出し、その他の部分は比較的低い位置の水平部200に沿って水平に配置されており、前記レーザー図案またはマーク10’’’は立体形状となっており、従来技術のものの平面への配置しかできないという欠点を解決している。
【0025】
その他、本発明のレーザー図案またはマーク10’、10’’、10’’’は透明薄膜20上に形成されるので、脱落する問題は発生しない。またレーザー図案またはマーク10’、10’’、10’’’は部材の表面に粘着されるのではないので剥がし取ることができず、レーザー図案またはマーク10’、10’’、10’’’を偽造防止用に使用することもできる。本発明は従来技術によるものと比べて製造が簡単であり、生産コストを大幅に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来技術によるレーザーラベルを示す上面図である。
【図2】従来技術によるレーザーラベルを携帯電話に貼った様子を示す斜視図である。
【図3】本発明の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法の製造工程を示す流れ図である。
【図4】本発明の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法によって製造された部材を示す断面図である。
【図5】本発明の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法によって製造された部材を携帯電話に実施した様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1、10、10’、10’’、10’’’ レーザー図案またはマーク
20 透明薄膜
30 インク
40 ミディアム レイヤー
50 プラスチック層
100 アルミ箔
200 水平部
300 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形による立体レーザーラベルの製造方法であって、
前記製造方法は、
(A)ホログラム技術を利用してレーザー図案またはマークを透明薄膜上に回転印刷する工程と、
(B)インクを前記レーザー図案またはマークを有する透明薄膜上に印刷する工程と、
(C)ミディアム レイヤーを前記レーザー図案またはマークおよびインクを有する透明薄膜上に印刷する工程と、
(D)前記レーザー図案またはマークを有する薄膜にプレス加工を施し、立体形状にする工程と、
(E)前記レーザー図案又はマークを既に有する立体薄膜へ修正を施す工程と、
(F)射出成形によって部材を完成させる工程と、を含み、
完成したとき、レーザー図案またはマークは透明薄膜とインク層との間に介在していることを特徴とする射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項2】
前記レーザー図案またはマークを透明薄膜上に形成したとき、前記透明薄膜は外観上依然として透明であることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項3】
前記レーザー図案またはマークは、透明薄膜の正面または背面に回転印刷されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項4】
前記レーザー図案またはマークは、芸術的図形、商標または偽造防止の為の図案であることを特徴とする請求項1、2または3記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項5】
前記インクは、着色印刷によって透明薄膜の表面に付着されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項6】
前記ミディアム レイヤーは、印刷によって透明薄膜の表面に付着されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項7】
前記インクの一面は、透明薄膜と接触され、他面は、ミディアム レイヤーと接触されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項8】
射出成形により形成されるプラスチック層は、前記ミディアム レイヤーとレーザー図案またはマークおよびインクを有する透明薄膜とを利用して接合されることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項9】
前記レーザー図案またはマークが表示する底色は、前記インクの色であることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。
【請求項10】
前記レーザー図案またはマークは、透明薄膜に形成される形状に対応した形状となることを特徴とする請求項1記載の射出成形による立体レーザーラベルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−289751(P2006−289751A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112876(P2005−112876)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(505131566)經茂科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】