説明

射出成形機群の管理システム

【課題】 複数の射出成形機の中の特定の機種を入力する機種入力手段(I) と、前記機種とその管理に必要な管理データを前記機種別に入力するデータ入力手段(H) と、前記管理データを格納するデータ格納手段(J) と、前記機種入力手段(I) で入力された前記機種に対応する管理データを表示装置(21)に表示する為の管理プログラムが格納されたプログラム格納手段(K) とを具備する管理システムに於いて、新たな機種の射出成形機を管理する場合でも、これらの管理プログラムに変更が生じないようにする。
【解決手段】 前記データ入力手段(H) は、前記管理データの意味を表す表意データを入力する機能を具備しており、前記データ格納手段(J) は、前記管理データ及びこれの意味を表す前記表意データを前記機種別に格納するものであり、前記管理プログラムは、前記機種入力手段(I) で入力された前記機種に対応する管理データと表意データを対応させた形式で前記表示装置(21)に表示させるものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は射出成形機群の管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】射出成形工場では、機種の異なる複数の射出成形機が設置されていることが多いが、これら機種の異なる射出成形機で同種製品を成形する場合には、同じ金型を用いるときでも、型開位置(成形品を取り出す為に金型を開状態に保持する可動盤の位置)や金型温度、射出速度、射出圧力、更には樹脂温度等の成形条件が機種毎に相違する。
【0003】従って、成形時に使用する金型が決定されると、該金型の種類と射出成形機の機種の組み合わせ毎にコンピュータ管理されている前記型開位置等の成形条件を表す管理データを呼び出してこれを表示装置に表示し、これにより、上記成形条件を確認可能ならしめると共に、必要に応じて前記管理データを修正できるようにしている。
【0004】図4は射出成形工場に設置された射出成形機群の管理システムの概念図である。射出成形工場に設置された機種の異なる射出成形機(11)〜(14)はコンピュータ本体(Z) に接続されていると共に、該コンピュータ本体(Z) には表示装置(21),操作盤(22),データ用メモリ(23)及びプログラム用メモリ(24)が接続されている。
【0005】プログラム用メモリ(24)には、各射出成形機(11)〜(14)の機種とこれらで使用する金型(51)(52)の種類の組み合わせ態様に各別に対応する第1個別管理プログラム(25),第2個別管理プログラム(26)・・・と、これら各個別管理プログラム(25)(26)・・・を総合的に管理するメイン管理プログラム(28)が格納されている。
【0006】一方、データ用メモリ(23)には、上記各個別管理プログラム(25)(26)・・・の処理対称となる具体的な数値や文字列等の管理データが書き込まれた第1個別データファイル(31),第2個別データファイル(32)・・・が格納されており、これら各個別データファイル(31)(32)・・・は前述の各個別管理プログラム(25)(26)・・・に各別に対応している。
【0007】図5は、メイン管理プログラム(28)と各個別管理プログラム(25)(26)・・・で実行される管理作業の内容を示すフローチャートである。コンピュータ本体(Z) の電源スイッチが投入されるとプログラム用メモリ(24)に格納されたメイン管理プログラム(28)が該コンピュータ本体(Z) に読み込まれて実行され、金型の種類を表す金型番号と射出成形機の機種が操作盤(22)で入力されるまで待機する(ステップ(ST1) 参照)。
【0008】次に、入力された上記金型番号と射出成形機の機種の組み合わせがステップ(ST2) 〜(ST4) で判断され、各個別管理プログラム(25)(26)・・・の中から上記組み合わせに対応する一つの個別管理プログラムがコンピュータ本体(Z) に読み込まれて実行される(ステップ(ST5) (ST7) (ST8) )。そして、該個別管理プログラムで呼び出される特定の個別データファイル(各個別データファイル(31)(32)・・・の中の一つ)に書き込まれている管理データがコンピュータ本体(Z) 内に読み込まれる。例えば、操作盤(22)から入力された金型番号と射出成形機の組み合わせに対して第1個別データファイル(31)が対応する場合は、該第1個別管理プログラム(25)がコンピュータ本体(Z) に読み込まれて実行され、図4に示す第1個別データファイル(31)内に書き込まれている数値や文字列等具体的な管理データ「12・・・」,「500」・・・が前記第1個別管理プログラム(25)内の変数(a) (b) ・・・に移し替えられる(ステップ(ST5) 参照)。その後、ステップ(ST6) で、上記変数(a) に格納された管理データの意味を表す表意データたる名称と該変数(a) に格納された管理データ及びその単位,変数(b) に格納された管理データの表意データたる名称と該変数(b) に格納された管理データ及びその単位・・・が表示装置(21)に表示される。例えば、変数(a) に格納された管理データが「12・・」であって金型番号を意味し、又、変数(b) に格納された管理データが「500」であって型開位置を意味しその単位がmmであるときは、図5の(イ)のように、「金型番号」の文字列と「12・・・」の表示,「型開位置」の文字列と「500」の表示と「mm」の文字列等が各別に対応付けられた態様で表示され、その他、変数(c) や変数(d) に格納された管理データについても同様に表示されて図5の(イ)のような表示が得られる。この場合、上記管理データの内容を表す「12・・・」や「500」の文字列や数値は第1個別データファイル(31)に書き込まれている内容であるが、これらの意味を表す「型開位置」や「mm」等の文字列は第1個別管理プログラム(25)内の表示命令文の一部に直接書かれた文字列を表示装置(21)に表示させたものである。そして、上記第1個別データファイル(31)に書き込まれている前記「12・・・」等の管理データの内容と第1個別プログラム(25)に書かれている「金型番号」の文字列等を対応付けて表示装置(21)に表示させることにより各管理データの意味・内容をオペレータ等に理解できるようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のものでは、各個別データファイル(31)(32)に書きこまれた各管理データの意味を表す表意データたる上記名称やこれに関連する単位等の表示は、各個別管理プログラム(25)(26)・・・の命令文の一部に直接に書き込まれた文字列であるから、各個別管理プログラム(25)(26)・・・の夫々とこれらに対応する各個別データファイル(31)(32)・・・とが各別に結合して上記表示装置(21)への表示が可能になる。従って、射出成形工場内の既存の射出成形機の一部を機種の異なる新たな射出成形機に変更する場合や、新たな機種の射出成形機を追加する場合には、新たな個別管理プログラムとこれに対応する個別データファイルの両者を新規作成する必要がある。そしてかかる場合は、前記新たな射出成形機の制御装置内に成形機メーカーが既に組み込んでいる成形動作用制御プログラムの内容を追跡することによって、該成形動作用制御プログラムが参照するデータファイル(前記成形動作用制御プログラムと共に射出成形機の制御装置内に組み込まれている)内の各データの意味や単位等を解析し、上記新たな個別管理プログラムとこれに対応する個別データファイルの両者を作成する必要がある。又、各個別管理プログラム(25)(26)・・・を総合管理するメイン管理プログラム(28)を修正する必要もある。従って、上記従来のものでは前記個別管理プログラム(25)(26)・・・を格納する必要メモリーが次第に増大するだけでなく、新たな個別管理プログラムの作成作業やメイン管理プログラム(28)の修正作業に手間がかかるという問題があった。
【0010】尚、上記においては射出成形機の機種と金型の種類の組み合わせが変化する場合を説明しながら上記問題点を指摘したが、同じ金型を使用する場合でも射出成形機の機種が異なれば既述型開位置や金型温度、射出速度、射出圧力、更には樹脂温度等等の成形条件が相違する。従って、使用金型の種類に関わらず新たな機種の射出成形機を追加管理するような場合も上記と同じ問題がある。一方、射出成形機が同じで使用する金型が変化する場合は、上記型開位置の数値等が変化するだけであり、当該数値等とその名称等の対応関係は変化しないから、個別管理プログラムを新たに追加する必要はなく、又、メイン管理プログラム(28)を修正する必要もない。従って、使用する金型の種類が増加する場合は上記問題は生じない。
【0011】本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、『機種の異なる複数の射出成形機(11)(12)・・・と、前記射出成形機(11)(12)・・・中の特定の射出成形機の機種を入力する機種入力手段(I) と、前記各射出成形機(11)(12)・・・の機種とこれらの管理に必要な管理データを前記機種別に入力するデータ入力手段(H) と、前記入力された前記管理データを前記機種別に格納するデータ格納手段(J) と、前記データ格納手段(J) に格納された前記管理データのうち、前記機種入力手段(I) で入力された前記機種に対応する管理データを表示装置(21)に表示する為の管理プログラムが格納されたプログラム格納手段(K) と、を具備する射出成形機群の管理システム』に於いて、既に管理している射出成形機群に追加した新たな機種の射出成形機を管理する場合でも、これらの管理プログラムに変更が生じないようにし、これにより、該管理プログラムの変更作業を不要ならしめると共に、容量の小さなプログラム格納手段で前記管理プログラムを格納できるようにすることをその課題する。
【0012】
【課題を解決するための手段】〈1項〉上記課題を解決する為の本発明の技術的手段は、『前記データ入力手段(H) は、前記管理データと共に該管理データの意味を表す表意データを入力する機能を具備しており、前記データ格納手段(J) は、前記管理データ及びこれの意味を表す前記表意データを各別に格納する第1のフィールドと第2のフィールドとを備えたレコードを、前記機種別に格納するものであり、前記管理プログラムは、前記機種入力手段(I) で入力された前記機種に対応する前記管理データが格納された前記レコードを前記データ格納手段(J) から読み出すと共に該レコード中の前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容を対応させた形式で前記表示装置(21)に表示させるものである』ことである。
【0013】上記技術的手段によれば、既に管理している射出成形機と機種の異なる射出成形機を追加管理するときは、この追加管理する射出成形機の機種とこれの管理データ及び該管理データの意味を表す表意データをデータ入力手段(H) から入力する。すると、これら管理データと表意データがデータ格納手段(J) の共通のレコードに属する第1及び第2のフィールドに各別に格納される。
【0014】この状態で、射出成形機(11)(12)・・・中の特定の射出成形機の機種を前記機種入力手段(I) で入力した後に前記管理プログラムを実行させると、前記機種入力手段(I) で入力した機種の射出成形機の管理に必要な管理データを格納した第1のフィールドとその意味を表す表意データを格納した第2のフィールドを備えたレコードがコンピュータ本体内に読み込まれ、前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容、即ち、前記管理データとその意味を表す表意データが対応した形式で表示装置(21)に表示される。従って、上記表意データの内容を見れば、これに対応する形式で表示された管理データの意味・内容が把握できる。
【0015】このように、上記技術的手段によれば、既に管理している射出成形機群に追加した機種の異なる射出成形機を新たに管理する場合でも、これに対応する管理データ等をデータ入力手段(H) で入力してデータ格納手段(J) の内容を変更するだけで済み、プログラム格納手段(K) に格納された管理プログラムを変更・追加する必要がない。
〈2項〉上記1項では射出成形機の機種とこれの管理データを対応させるように管理しているが、前記各射出成形機と種々の金型を組み合わせて射出成形する場合に、前記各組み合わの種類と各管理データを対応させて管理できるようにしてもよい。この為に採用した技術的手段は、『機種の異なる複数の射出成形機(11)(12)・・・と、前記射出成形機(11)(12)・・・中の特定の射出成形機の機種とこれらで使用する金型の種類を入力する条件入力手段(R) と、前記機種及び前記種類と、これら機種及び種類の射出成形機と金型を組み合わせて射出成形する作業に必要な管理データを、前記組み合わせ毎に入力するデータ入力手段(H) と、前記入力された前記管理データを前記組み合わせ毎に格納するデータ格納手段(J) と、前記データ格納手段(J) に格納された前記管理データのうち、前記条件入力手段(R) で入力された前記機種と種類の組み合わせに対応する管理データを表示装置(21)で表示する為の管理プログラムが格納されたプログラム格納手段(K) とを具備する射出成形機群の管理システムに於て、前記データ入力手段(H) は、前記管理データと共に該管理データの意味を表す表意データを入力する機能を具備しており、前記データ格納手段(J) は、前記管理データ及びこれの意味を表す前記表意データを各別に格納する第1のフィールドと第2のフィールドとを備えたレコードを、前記機種と種類の組み合わせ毎に記憶するものであり、前記管理プログラムは、前記条件入力手段(R) で入力された前記機種と種類の組み合わせに対応する前記管理データが格納された前記レコードを前記データ格納手段(J) から読み出すと共に該レコード中の前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容を対応させた形式で前記表示装置(21)に表示させるものである』ことである。
【0016】既に管理している射出成形機と機種の異なる射出成形機を追加管理するときは、この追加管理する射出成形機の機種及びこれで使用する金型の種類と、これら機種及び種類の射出成形機と金型を組み合わせて射出成形する作業に必要な上記管理データ及びその意味を表す表意データを、データ入力手段(H) から入力する。すると、これら管理データと表意データがデータ格納手段(J) の共通のレコードに属する第1及び第2のフィールドに各別に格納される。この状態で、管理対象たる射出成形機の特定の機種とこれで使用される金型の種類を条件入力手段(R) で入力した後に前記プログラム格納手段(K) 内の管理プログラムを実行させる。すると、前記条件入力手段(R) で入力した機種の射出成形機と金型を組み合わせで射出成形する作業に必要な管理データを格納した第1のフィールドとその意味を表す表意データを格納した第2のフィールドを備えたレコードがコンピュータ本体内に読み込まれ、前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容たる前記管理データとその意味を表す表意データが対応した形式で表示装置(21)に表示される。
【0017】従って、上記表意データの内容を見れば、これに対応する形式で表示された管理データの意味・内容が把握できる。従って2項のものに於いても、既に管理している射出成形機群に追加した機種の異なる射出成形機を管理する場合でも、プログラム格納手段(K) に格納された管理プログラムを変更・追加する必要がない。
〈3項〉前記1項又は2項において、『前記データ入力手段(H) は、前記各管理データに関連する関連データを入力する機能を有しており、前記各レコードは、該各レコード内の前記第1のフィールドに対応する前記管理データに関連する為の前記関連データを格納する第3のフィールドを備えており、前記管理プログラムは、前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容に対応させた形式で前記第3のフィールドの内容を前記表示装置(21)に表示させるものである』ものでは、各機種の射出成形機に対応する管理データ及び表意データと前記関連データが一つのレコードの第1〜第3のフィールドに格納されて一緒に管理される。従って、必要に応じて前記関連表示をこれに対応する前記管理データと対応させて表示することができ、多くの情報を関連付けた状態で管理することができる。
〈4項〉前記1項〜3項において、『前記各レコードは、前記機種別に作られた個別データファイルに各別に格納されている』ものでは、上記管理データ等を個別データファイル毎に管理できる。
【0018】
【発明の効果】本発明は次の特有の効果を有する。既に管理している射出成形機群に追加した異機種の射出成形機を管理する場合でも、該追加管理する射出成形機に関する前記管理データ等をデータ入力手段(H) で入力してデータ格納手段(J) の内容を変更するだけで済み、プログラム格納手段(K) に格納された管理プログラムを変更・追加する必要がないから、既述従来のものと相違し、前記管理プログラムを変更する煩雑な作業が不要になる。又、前記管理プログラムが増加しないから、容量の小さなプログラム格納手段で前記管理プログラムを格納することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を、図示例と共に説明する。図1は射出成形工場に設置された射出成形機群を管理する本実施の形態に係る管理システムの概念図である。
【0020】射出成形工場に設置された機種の異なる射出成形機(11)〜(14)は既述従来のものと同様にコンピュータ本体(Z) に接続されていると共に、該コンピュータ本体(Z) にはCRTディスプレー等の表示装置(21),既述発明特定事項たるデータ入力手段(H) と機種入力手段(I) 及び条件入力手段(R) に対応するキーボード等の操作盤(22),データ格納手段(J) としてのデータ用メモリ(23)及びプログラム格納手段(K) としてのプログラム用メモリ(24)が接続されている。尚、上記コンピュータ本体(Z) を構成するCPU(20)には、ROM(41)とRAM(42)が接続されている。
【0021】プログラム用メモリ(24)には、既述管理プログラムとしての単一の一元管理プログラム(29)が格納されている。一方、データ用メモリ(23)には、各射出成形機(11)(12)・・・の機種とこれらで使用する金型(51)(52)・・・の種類の組み合わせに各別に対応する複数の個別データファイル(31)(32)・・・が格納されている。
【0022】第1個別データファイル(31)には、ファイル名n1 の格納部が備えられていると共に、第1〜第5レコード(A) (B) (C) (D) (E) が格納されるようになっている。そして、第1〜第5レコード(A) (B) (C) (D) (E) は、夫々、第1〜第5フィールド(f1)(f2)(f3)(f4)(f5)に分割されている。
【0023】第1レコード(A) の第1〜第5フィールド(f1)(f2)(f3)(f4)(f5)の夫々には、「項目名」,「サイズ」,「型」,「データ」及び「単位」の文字列が格納されており、例えば、図1の(イ)のように第1個別データファイル(31)をマトリクス状にテキスト形式で表示装置(21)に表示したときに、各縦列の意味が理解できるようにしている。
【0024】第2レコード(B) の第1〜第4フィールド(f1)(f2)(f3)(f4)の夫々には、「金型番号」,「16」,「C」,「12・・・」の文字列等が格納されていると共に、第5フィールド(f5)には空白が格納されている。「金型番号」は後述の第4フィールド(f4)に格納されている管理データ(金型番号を表す具体的な文字列)の意味を表す表意データたる名称であり、「16」は前記第4フィールド(f4)内の管理データのサイズをバイトで表したものであり、「C」は第4フィールド(f4)内の管理データが文字データであることを表すデータ型を意味し、「12・・・」は具体的な金型番号であり、既述発明特定事項たる管理データに対応している。
【0025】第3レコード(C) の第1〜第5フィールド(f1)(f2)(f3)(f4)(f5)の夫々には、「型開位置」,「4」,「I」,「500」及び「mm」の文字列等が格納されている。「型開位置」は後述の第4フィールド(f4)に格納されている管理データ(型開位置を表す具体的な数値)の意味を表す表意データたる名称であり、「4」は第4フィールド(f4)に格納されている管理データのサイズをバイトで表したものであり、「I」は第4フィールド(f4)に格納されているデータが数値データであることを示すデータ型を意味し、「500」は成形品を取り出す為に金型を開状態に保持する可動盤の位置を示す数値(管理データ)であり、「mm」はその単位を示している。
【0026】又、第4,第5レコード(D) (E) の第1〜第5フィールド(f1)(f2)(f3)(f4)(f5)には、夫々、型締圧と成形時の金型温度に関する情報が格納されている。
【0027】尚、本実施の形態では、第4フィールド(f4)に格納されている管理データのサイズやデータ型や単位等を表す第2,第3,第5フィールド(f2)(f3)(f5)に格納されている情報が既述発明特定事項たる関連データに対応する。
【0028】又、上記第1個別データファイル(31)と同一フォーマットの第2個別データファイル(32)には、機種の異なる各射出成形機(11)(12)・・・とこれらで使用する金型(51)(52)・・・の種類の組み合わせ(上記第1個別データファイル(31)内のデータに対応する組み合わせと異なる組み合わせ)に対応する管理データ等が格納されている。
【0029】更に、上記各個別データファイル(31)(32)以外にも、これらと同様のフォーマットを有する個別データファイルが、各射出成形機(11)(12)・・・の機種とこれらで使用する金型(51)(52)・・・の種類の組み合わせ数と同じ数だけ準備されている。
【0030】図2は、プログラム用メモリ(24)に格納された一元管理プログラム(29)で実行される管理作業の内容を示すフローチャートである。
【0031】コンピュータ本体(Z) の電源スイッチが投入されるとプログラム用メモリ(24)に格納された一元管理プログラム(29)が該コンピュータ本体(Z) に読み込まれて実行され、成形品の種類に応じて決まる金型番号と射出成形機の機種が操作盤(22)で入力されるのを待つ(ステップ(ST50)参照)。
【0032】次に、入力された上記金型番号と射出成形機の機種の組み合わせの種類がステップ(ST51)〜(ST53)で判断され、各個別データファイル(31)(32)・・・の中から上記特定の組み合わせに対応する一つの個別データファイルがオープンされる(ステップ(ST54)(ST57)(ST58)参照)。そして、上記オープンされた個別データファイルに格納された第2レコード(B) 〜第5レコード(E) 内の情報をレコード単位で読み出して、これらの第1フィールド(f1),第4フィールド(f4)及び第5フィールド(f5)の内容を表示装置(21)に表示させ、この動作を繰り返すと図3に示すように、表意データたる「金型番号」とこれに対応する管理データたる「12・・・」の文字列が対応付けられた形式で表示装置(21)に表示され、同様に、表意データたる「型開位置」,「型締圧」及び「金型温度」の文字列と、これらに対応する管理データたる「500」,「50」及び「100」の数値と、更に、これらのデータの単位を表す関連データたる「mm」,「Kg/cm2 」及び「℃」の文字列が表示される。
【0033】以後、ファイルの終了まで上記処理が実行されると(ステップ(ST59)参照)該ファイルが閉じられて(ステップ(ST60)参照)、制御がステップ(ST50)の工程に戻される。
【0034】本システムで既に管理している射出成形機と機種の異なる射出成形機を追加管理するときは、この追加管理する射出成形機の機種とこれで使用する金型の金型番号や型開位置等の具体的な管理データ(第4フィールド(f4)に格納すべき情報)やデータ型(第3フィールド(f3)に格納すべき情報)等を操作盤(22)から入力すると、上記金型番号と追加管理する射出成形機の機種の組み合わせに対応する個別データファイル(図1の(イ)に示す各個別データファイル(31)(32)・・・と同様なファイル)が新規に作成されるようになっている。従って、この状態で、前記追加管理すべき射出成形機の機種とこれで使用する金型の種類(金型番号)を条件入力手段(R) 及び機種入力手段(I) としての操作盤(22)から入力すると、既述図2のステップ(ST51)〜(ST60)がコンピュータ本体(Z) で実行され、前記新規作成された個別データファイルの第2レコード(B) 〜第5レコード(E) が読み込まれてこれらの第1及び第2フィールド(f1)(f2)の内容が図3と同様な態様で表示される。
【0035】このように、上記実施の形態に係る射出成形機群の管理システムによれば、既に管理している射出成形機(11)(12)(13)(14)群に追加した異機種の射出成形機を管理する場合でも、これに対応するデータ等を操作盤(22)で入力してデータ用メモリ(23)の内容を変更するだけで済み、プログラム用メモリ(24)に格納された管理プログラムを変更・追加する必要がない。
[その他]
■上記実施の形態では、第1個別データファイル(31)等に格納された第2レコード(B) 〜第5レコード(E) の第1フィールド(f1),第4フィールド(f4)及び第5フィールド(f5)の内容を表示装置(21)に表示させたが、第1個別データファイル(31)等に格納された第1レコード(A) 〜第5レコード(E) をレコード単位で全て表示装置(21)に表示させてもよい。即ち、図1の(イ)に示すフォーマットで各情報を表示装置(21)に表示させてもよい。
■上記実施の形態では、金型番号や型開位置等の成形条件を示す情報を各個別データファイル(31)(32)・・・に格納したが、射出成形機(11)(12)・・・の作業履歴、即ち、成形した製品の種類とその成形数や成形日等を示す情報を各個別データファイル(31)(32)・・・に格納し、射出成形機(11)(12)・・・のうちの特定の射出成形機を操作盤(22)から入力すると、上記成形日等の情報が操作盤(22)に表示できるようにしてもよい。
■又、機種の異なる複数の射出成形機(11)(12)・・・の中から特定の射出成形機の機種を機種入力手段(I) たる操作盤(22)で入力すると該機種の射出成形機とこれで使用する全ての金型の組み合わせについての成形条件を示す上記管理データとその意味を表す表意データたる名称等を表示装置(21)に表示させるようにしてもよい。
■尚、図1に示すように、射出成形機(11)(12)・・・に備えられた例えばタッチパネル式のコントローラ(110) (120) ・・・の画面に既述金型番号等を表示することも可能である。又、射出成形機(11)(12)・・・の金型(51)(51)・・・から成形品を自動的に取り出す製品取出機(図示せず)が設けられている場合は、該製品取出機に備えられたコントローラの画面に上記金型番号等を表示することもできる。これらの場合は、前記各画面が既述発明特定事項たる表示装置(21)に対応する。この場合、上記各コントローラとコンピュータ本体(Z) は通信ケーブル又は無線回線を介して情報交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出成形工場に設置された射出成形機群を管理する本実施の形態に係る管理システムの概念図
【図2】一元管理プログラム(29)の内容を説明するフローチャート
【図3】第1個別データファイル(31)に格納された情報を表示装置(21)に表示した状態を示す図
【図4】従来例の説明図
【図5】従来例の説明図
【符号の説明】
(11)(12)・・・射出成形機
(21)・・・表示装置
(H) ・・・データ入力手段
(I) ・・・機種入力手段
(J) ・・・データ格納手段
(K) ・・・プログラム格納手段
(R) ・・・条件入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 機種の異なる複数の射出成形機(11)(12)・・・と、前記射出成形機(11)(12)・・・中の特定の射出成形機の機種を入力する機種入力手段(I) と、前記各射出成形機(11)(12)・・・の機種とこれらの管理に必要な管理データを前記機種別に入力するデータ入力手段(H) と、前記入力された前記管理データを前記機種別に格納するデータ格納手段(J) と、前記データ格納手段(J) に格納された前記管理データのうち、前記機種入力手段(I) で入力された前記機種に対応する管理データを表示装置(21)に表示する為の管理プログラムが格納されたプログラム格納手段(K) と、を具備する射出成形機群の管理システムに於いて、前記データ入力手段(H) は、前記管理データと共に該管理データの意味を表す表意データを入力する機能を具備しており、前記データ格納手段(J) は、前記管理データ及びこれの意味を表す前記表意データを各別に格納する第1のフィールドと第2のフィールドとを備えたレコードを、前記機種別に格納するものであり、前記管理プログラムは、前記機種入力手段(I) で入力された前記機種に対応する前記管理データが格納された前記レコードを前記データ格納手段(J) から読み出すと共に該レコード中の前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容を対応させた形式で前記表示装置(21)に表示させるものである、射出成形機群の管理システム。
【請求項2】 機種の異なる複数の射出成形機(11)(12)・・・と、前記射出成形機(11)(12)・・・中の特定の射出成形機の機種とこれらで使用する金型の種類を入力する条件入力手段(R) と、前記機種及び前記種類と、これら機種及び種類の射出成形機と金型を組み合わせて射出成形する作業に必要な管理データを、前記組み合わせ毎に入力するデータ入力手段(H) と、前記入力された前記管理データを前記組み合わせ毎に格納するデータ格納手段(J) と、前記データ格納手段(J) に格納された前記管理データのうち、前記条件入力手段(R) で入力された前記機種と種類の組み合わせに対応する管理データを表示装置(21)で表示する為の管理プログラムが格納されたプログラム格納手段(K) とを具備する射出成形機群の管理システムに於て、前記データ入力手段(H) は、前記管理データと共に該管理データの意味を表す表意データを入力する機能を具備しており、前記データ格納手段(J) は、前記管理データ及びこれの意味を表す前記表意データを各別に格納する第1のフィールドと第2のフィールドとを備えたレコードを、前記機種と種類の組み合わせ毎に記憶するものであり、前記管理プログラムは、前記条件入力手段(R) で入力された前記機種と種類の組み合わせに対応する前記管理データが格納された前記レコードを前記データ格納手段(J) から読み出すと共に該レコード中の前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容を対応させた形式で前記表示装置(21)に表示させるものである、射出成形機群の管理システム。
【請求項3】 請求項1又は2に於いて、前記データ入力手段(H) は、前記各管理データに関連する関連データを入力する機能を有しており、前記各レコードは、該各レコード内の前記第1のフィールドに対応する前記管理データに関連する為の前記関連データを格納する第3のフィールドを備えており、前記管理プログラムは、前記第1のフィールドと第2のフィールドの内容に対応させた形式で前記第3のフィールドの内容を前記表示装置(21)に表示させるものである、射出成形機群の管理システム。
【請求項4】 請求項1、2又は3に於いて、前記各レコードは、前記機種別に作られた個別データファイルに各別に格納されている、射出成形機群の管理システム。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−71362(P2001−71362A)
【公開日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−248611
【出願日】平成11年9月2日(1999.9.2)
【出願人】(000138473)株式会社ユーシン精機 (117)
【Fターム(参考)】