説明

射出成形機

【課題】必要な型締力を維持しつつ、コイルを効率的に冷却することができる射出成形機の提供。
【解決手段】本発明に係る射出成形機は、固定金型15が取り付けられる第1の固定部材11と、前記第1の固定部材11と対向して配設される第2の固定部材13と、可動金型16が取り付けられる第1の可動部材12と、前記第1の可動部材12と連結されて前記第1の可動部材12と共に移動する第2の可動部材22と、を備え、前記第2の固定部材13と前記第2の可動部材22とで型締力を発生させる型締力発生機構を構成し、前記型締力発生機構を構成する前記第2の固定部材13又は前記第2の可動部材22には電磁石49が形成され、前記電磁石49が形成される前記第2の固定部材13又は前記第2の可動部材22の内部に、冷却用の流体が通る冷却水路70が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締め動作を駆動する電磁石を備える射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、射出成形機においては、樹脂を射出装置の射出ノズルから射出して固定金型と可動金型との間のキャビティ空間に充填(てん)し、固化させることによって成形品を得るようになっている。そして、固定金型に対して可動金型を移動させて型閉じ、型締め及び型開きを行うために型締装置が配設される。
【0003】
該型締装置には、油圧シリンダに油を供給することによって駆動される油圧式の型締装置、及び電動機によって駆動される電動式の型締装置があるが、該電動式の型締装置は、制御性が高く、周辺を汚すことがなく、かつ、エネルギー効率が高いので、多く利用されている。この場合、電動機を駆動することによってボールねじを回転させて推力を発生させ、該推力をトグル機構によって拡大し、大きな型締力を発生させるようにしている。
【0004】
ところが、構成の電動式の型締装置においては、トグル機構を使用するようになっているので、該トグル機構の特性上、型締力を変更することが困難であり、応答性及び安定性が悪く、成形中に型締力を制御することができない。そこで、ボールねじによって発生させられた推力を直接型締力として使用することができるようにした型締装置が提供されている。この場合、電動機のトルクと型締力とが比例するので、成形中に型締力を制御することができる。
【0005】
しかしながら、従来の型締装置においては、ボールねじの耐荷重性が低く、大きな型締力を発生させることができないだけでなく、電動機に発生するトルクリップルによって型締力が変動してしまう。また、型締力を発生させるために、電動機に電流を常時供給する必要があり、電動機の消費電力量及び発熱量が多くなるので、電動機の定格出力をその分大きくする必要があり、型締装置のコストが高くなってしまう。
【0006】
そこで、型開閉動作にはリニアモータを使用し、型締動作には電磁石の吸着力を利用した型締装置が考えられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第05/090052号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されるような電磁石の吸着力を利用した型締装置を使用する場合、電磁石の駆動によりコイルが高温となり、コイルの焼損等が生じうるという問題点がある。
【0009】
そこで、本発明は、必要な型締力を維持しつつ、コイルを効率的に冷却することができる射出成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、固定金型が取り付けられる第1の固定部材と、
前記第1の固定部材と対向して配設される第2の固定部材と、
可動金型が取り付けられる第1の可動部材と、
前記第1の可動部材と連結されて前記第1の可動部材と共に移動する第2の可動部材と、を備え、
前記第2の固定部材と前記第2の可動部材とで型締力を発生させる型締力発生機構を構成し、
前記型締力発生機構を構成する前記第2の固定部材又は前記第2の可動部材には電磁石が形成され、前記電磁石が形成される前記第2の固定部材又は前記第2の可動部材の内部に、冷却用の流体が通る流体通路が形成される、射出成形機が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、必要な型締力を維持しつつ、コイルを効率的に冷却することができる射出成形機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の射出成形機における型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の射出成形機における型締装置の型開き時の状態を示す図である。
【図3】一実施例による冷却水路70を備えるリヤプラテン13の単品図を示し、図3(A)は、リヤプラテン13を吸着板22側から型締め方向に視た平面図であり、図3(B)は、リヤプラテン13の要部断面図である。
【図4】リヤプラテン13と吸着板22に形成される磁気回路を概略的に示す断面図である。
【図5】他の一実施例による冷却水路71を備えるリヤプラテン13の単品図を示し、図5(A)は、リヤプラテン13を吸着板22側から型締め方向に視た平面図であり、図5(B)は、リヤプラテン13の要部断面図である。
【図6】冷却水路70と冷却水路71の組み合わせ態様の一例を示す図であり、リヤプラテン13と吸着板22の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。尚、本実施の形態において、型締装置については、型閉じを行う際の可動プラテンの移動方向を前方とし、型開きを行う際の可動プラテンの移動方向を後方とし、射出装置については、射出を行う際のスクリューの移動方向を前方とし、計量を行う際のスクリューの移動方向を後方として説明する。
【0014】
図1は本発明の実施の形態の射出成形機における型締装置の型閉じ時の状態を示す図、図2は本発明の実施の形態の射出成形機における型締装置の型開き時の状態を示す図である。尚、図1及び図2において、ハッチングを付された部材は主要断面を示す。
【0015】
図において、10は型締装置、Frは射出成形機のフレーム(架台)、Gdは、該フレームFrに対して可動なガイド、11は、図示されないガイド上又はフレームFr上に載置された固定プラテンであり、該固定プラテン11と所定の間隔を置いて、かつ、固定プラテン11と対向させてリヤプラテン13が配設され、固定プラテン11とリヤプラテン13との間に4本のタイバー14(図においては、4本のタイバー14のうちの2本だけを示す。)が架設される。尚、リヤプラテン13は、フレームFrに対して固定される。
【0016】
そして、タイバー14に沿って固定プラテン11と対向させて可動プラテン12が型開閉方向に進退自在に配設される。そのために、可動プラテン12がガイドGdに固定され、可動プラテン12におけるタイバー14と対応する箇所にタイバー14を貫通させるための図示されないガイド穴が形成される。尚、ガイドGdには、後述の吸着板22も固定される。
【0017】
また、固定プラテン11には固定金型15が、可動プラテン12には可動金型16がそれぞれ固定され、可動プラテン12の進退に伴って固定金型15と可動金型16とが接離させられ、型閉じ、型締め及び型開きが行われる。尚、型締めが行われるのに伴って、固定金型15と可動金型16との間に図示されないキャビティ空間が形成され、射出装置17の射出ノズル18から射出された図示されない樹脂がキャビティ空間に充墳される。また、固定金型15及び可動金型16によって金型装置19が構成される。
【0018】
吸着板22は、可動プラテン12と平行にガイドGdに固定される。これにより、吸着板22は、リヤプラテン13より後方において進退自在となる。吸着板22は、磁性材料で形成されてよい。例えば、吸着板22は、強磁性体から成る薄板を積層することによって形成される電磁積層鋼板により構成されてもよい。
【0019】
リニアモータ28は、可動プラテン12を進退させるため、ガイドGdに設けられる。リニアモータ28は、固定子29、及び可動子31を備え、固定子29は、フレームFr上において、ガイドGdと平行に、かつ、可動プラテン12の移動範囲に対応させて形成され、可動子31は、可動プラテン12の下端において、固定子29と対向させて、かつ、所定の範囲にわたって形成される。
【0020】
可動子31は、コア34及びコイル35を備える。そして、コア34は、固定子29に向けて突出させて、所定のピッチで形成された複数の磁極歯33を備え、コイル35は、各磁極歯33に巻装される。尚、磁極歯33は可動プラテン12の移動方向に対して直角の方向に、互いに平行に形成される。また、固定子29は、図示されないコア、及び該コア上に延在させて形成された図示されない永久磁石を備える。該永久磁石は、N極及びS極の各磁極を交互に、かつ、磁極歯33と同じピッチで着磁させることによって形成される。コイル35に所定の電流を供給することによってリニアモータ28を駆動すると、可動子31が進退させられ、それに伴って、ガイドGdにより可動プラテン12が進退させられ、型閉じ及び型開きを行うことができる。
【0021】
尚、本実施の形態においては、固定子29に永久磁石を、可動子31にコイル35を配設するようになっているが、固定子にコイルを、可動子に永久磁石を配設することもできる。その場合、リニアモータ28が駆動されるのに伴って、コイルが移動しないので、コイルに電力を供給するための配線を容易に行うことができる。
【0022】
尚、ガイドGdに可動プラテン12と吸着板22を固定する構成に限られず、可動プラテン12又は吸着板22にリニアモータ28の可動子31を設ける構成としてもよい。また、型開閉機構としては、リニアモータ28に限定されず、油圧式や電動式等であってもよい。
【0023】
可動プラテン12が前進させられて可動金型16が固定金型15に当接すると、型閉じが行われ、続いて、型締めが行われる。そして、型締めを行うために、リヤプラテン13と吸着板22との間に、電磁石ユニット37が配設される。そして、リヤプラテン13及び吸着板22を貫通して延び、かつ、可動プラテン12と吸着板22とを連結するセンターロッド39が進退自在に配設される。該センターロッド39は、型閉じ時及び型開き時に、可動プラテン12の進退に連動させて吸着板22を進退させ、型締め時に、電磁石ユニット37によって発生させられた型締力を可動プラテン12に伝達する。
【0024】
尚、固定プラテン11、可動プラテン12、リヤプラテン13、吸着板22、リニアモータ28、電磁石ユニット37、センターロッド39等によって型締装置10が構成される。
【0025】
電磁石ユニット37は、リヤプラテン13側に形成された電磁石49、及び吸着板22側に形成された吸着部51からなる。また、リヤプラテン13の後端面の所定の部分、本実施の形態においては、センターロッド39まわりに溝45が形成され、溝45よりも内側にコア(内極)46、及び溝45よりも外側にヨーク(外極)47が形成される。そして、溝45内でコア46まわりにコイル48が巻装される。尚、コア46及びヨーク47は、鋳物の一体構造で構成されてもよいし、若しくは、強磁性体から成る薄板を積層することによって形成される電磁積層鋼板により構成されてもよい。
【0026】
尚、本実施の形態において、リヤプラテン13とは別に電磁石49が、吸着板22とは別に吸着部51が形成されもよいし、リヤプラテン13の一部として電磁石を、吸着板22の一部として吸着部を形成してもよい。また、電磁石と吸着部の配置は、逆であってもよい。例えば、吸着板22側に電磁石49を設け、リヤプラテン13側に吸着部を設けてもよい。
【0027】
電磁石ユニット37において、コイル48に電流を供給すると、電磁石49が駆動され、吸着部51を吸着し、型締力を発生させることができる。
【0028】
センターロッド39は、後端部において吸着板22と連結させて、前端部において可動プラテン12と連結させて配設される。したがって、センターロッド39は、型閉じ時に可動プラテン12と共に前進させられて吸着板22を前進させ、型開き時に可動プラテン12と共に後退させられて吸着板22を後退させる。そのために、リヤプラテン13の中央部分に、センターロッド39を貫通させるための穴41が形成され、穴41の前端部の開口に臨ませて、センターロッド39を摺動自在に支持するブッシュ等の軸受部材Br1が配設される。
【0029】
型締装置10のリニアモータ28及び電磁石49の駆動は、制御部60によって制御される。制御部60は、CPU及びメモリ等を備え、CPUによって演算された結果に応じて、リニアモータ28のコイル35や電磁石49のコイル48に電流を供給するための回路も備える。制御部60には、また、荷重検出器55が接続される。荷重検出器55は、型締装置10において、少なくとも1本のタイバー14の所定の位置(固定プラテン11とリヤプラテン13との間における所定の位置)に設置され、当該タイバー14にかかる荷重を検出する。図中では、上下二本のタイバー14に荷重検出器55が設置された例が示されている。荷重検出器55は、例えば、タイバー14の伸び量を検出するセンサによって構成される。荷重検出器55によって検出された荷重は、制御部60に送られる。尚、制御部60は、図2においては便宜上省略されている。
【0030】
次に、型締装置10の動作について説明する。
【0031】
制御部60の型開閉処理部61によって型閉じ工程が制御される。図2の状態(型開き時の状態)において、型開閉処理部61は、コイル35に電流を供給する。続いて、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が前進させられ、図1に示されるように、可動金型16が固定金型15に当接させられる。このとき、リヤプラテン13と吸着板22との間、すなわち、電磁石49と吸着部51との間には、ギャップδが形成される。尚、型閉じに必要とされる力は、型締力と比較されて十分に小さくされる。
【0032】
続いて、制御部60の型締処理部62は、型締工程を制御する。型締処理部62は、コイル48に電流を供給し、吸着部51を電磁石49の吸着力によって吸着する。それに伴って、吸着板22及びセンターロッド39を介して型締力が可動プラテン12に伝達され、型締めが行われる。型締め開始時等、型締力を変化させる際に、型締処理部62は、当該変化によって得るべき目標となる型締力、すなわち、定常状態で目標とする型締力を発生させるために必要な定常的な電流の値をコイル48に供給するように制御している。
【0033】
尚、型締力は荷重検出器55によって検出される。検出された型締力は制御部60に送られ、制御部60において、型締力が設定値になるようにコイル48に供給される電流が調整され、フィードバック制御が行われる。この間、射出装置17において溶融させられた樹脂が射出ノズル18から射出され、金型装置19のキャビティ空間に充墳される。
【0034】
キャビティ空間内の樹脂が冷却されて固化すると、型開閉処理部61は、型開き工程を制御する。型締処理部62は、図1の状態において、コイル48への電流の供給を停止する。それに伴って、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が後退させられ、図2に示されるように、可動金型16が後退限位置に置かれ、型開きが行われる。
【0035】
ここで、図3以降を参照して、本発明の特徴的な構成について説明する。
【0036】
図3は、一実施例(実施例1)による冷却水路70を備えるリヤプラテン13の単品図を示し、図3(A)は、リヤプラテン13を吸着板22側から型締め方向に視た平面図であり、図3(B)は、リヤプラテン13の要部断面図であり、図3(A)のラインA−Aに沿った断面図である。図4は、リヤプラテン13と吸着板22に形成される磁気回路を概略的に示す断面図である。図4には、型締め時に電磁石ユニット37により発生される磁束の流れ(吸着板22とリヤプラテン13内の磁束ループR)が概略的に示される。即ち、コア46からギャップδを介して吸着板22に到達し、吸着板22の内部を通ってギャップδを介してヨーク47に至るループを画成する。
【0037】
リヤプラテン13は、上述の如く、吸着板22側の表面に、コイル48を収容する溝45を備える。尚、溝45の断面形状や配置位置は、任意であってよい。
【0038】
本実施例では、リヤプラテン13は、図3に示すように、コイル48を冷却するための冷却水が通る冷却水路70を備える。冷却水路70は、リヤプラテン13の内部に形成される。例えば、冷却水路70は、電磁積層鋼板を構成する各鋼板に、互いに連通する穴を形成することで形成されてもよい。冷却水路70は、リヤプラテン13内部の任意の位置に形成されてもよい。図3に示す例では、冷却水路70は、リヤプラテン13の上下方向の両角部に設けられる。このような角部は、図4に示すように、電磁石ユニット37の主要な磁気回路としてあまり使用されていないため、型締力に実質的に影響を与えることなく冷却水路70を形成することができる。
【0039】
冷却水路70は、リヤプラテン13内部において任意の方向に形成されてよい。リヤプラテン13が電磁積層鋼板で形成される場合、生産性の観点から、好ましくは、冷却水路70は、電磁積層鋼板の積層方向に延在するように形成される(即ち、電磁積層鋼板を構成する各鋼板に面直方向に延在する)。図3に示す例では、リヤプラテン13は、型締め方向に垂直な水平方向(図3(A)の紙面の上下方向)に各鋼板が積層された電磁積層鋼板で形成され、それに対応して、冷却水路70は、電磁積層鋼板の積層方向に沿って直線的に延在する。
【0040】
冷却水路70は、リヤプラテン13の外部で、図示しない冷却水供給手段に接続されてよい。冷却水供給手段は、管や、ポンプ、熱交換器(ラジエータ)等を含んでよい。冷却水路70を流れる水の流量(流速)は、一定であってもよいし、可変とされてもよい。例えば、冷却水路70を流れる水の流量は、電磁石ユニット37の温度に応じて可変されてよく、例えばコイル48の発熱量(温度)に応じて可変されてもよい。尚、コイル48の温度は、サーミスタ等を用いて検出されてもよい。また、冷却水路70では、射出成形機の稼働中は常時、水が循環されてもよいし、又は、コイル48の温度が所定閾値を超えた場合に循環されてもよい。
【0041】
本実施例においては、電磁石ユニット37が駆動すると、コイル48が発熱する。コイル48からの熱は、リヤプラテン13の内部に伝達され、冷却水路70を流れる水に移動される。このようにして、コイル48の冷却を効果的に実現し、コイル48の焼損等を防止することができる。
【0042】
このように本実施例1によれば、リヤプラテン13の内部に冷却水路70を設けることで、コイル48からの熱を冷却水路70内の水を介して外部に移動させることができ、コイル48を効果的に冷却することができる。また、冷却水路70は、リヤプラテン13の内部に形成されるので、新たなスペースを必要としない。また、冷却水路70は、電磁積層鋼板内に一体的に形成されることが可能であり、この場合、励磁妨害を起こし得る銅管や冷却プレート等を用いることなく構成することができる。また、冷却水路70は、リヤプラテン13の内部において、磁気回路としてあまり使用されていない部位(又は磁気回路形成を大きく阻害しないような部位)を利用して形成することが可能であり、リヤプラテン13の体格を大きくすることなく必要な型締力を維持することができる。また、冷却水路70は、リヤプラテン13の内部に形成されるので、冷却水路70に水を循環させることで、リヤプラテン13の温度の安定化を図ることも可能である。
【0043】
図5は、他の一実施例(実施例2)による冷却水路71を備えるリヤプラテン13の単品図を示し、図5(A)は、リヤプラテン13を吸着板22側から型締め方向に視た平面図であり、図5(B)は、リヤプラテン13の要部断面図であり、図5(A)のラインA−Aに沿った断面図である。
【0044】
本実施例では、冷却水路71は、コイル48の背面に形成されるように、溝45の直下に形成される。即ち、冷却水路71は、型締め方向に視たとき(図5(A))、溝45と重なる位置に設けられる。尚、冷却水路71は、図5(A)に示すように溝45と全体的に重なる態様で形成されてもよいし、或いは、溝45と部分的に重なる態様で形成されてもよい。また、冷却水路71と溝45との間の距離(型締め方向の距離)は、任意であるが、冷却効率の観点からは、可能な限り小さく設定されてもよい。
【0045】
本実施例2においても、上述の実施例1と実質的に同様の効果が得られる。また、本実施例2によれば、コイル48の直下に冷却水路71が設けられるので、コイル48をより効率的に冷却することができる。
【0046】
尚、本実施例2による冷却水路71は、上述の実施例1による冷却水路70と組み合わせて使用することも可能である。図6は、これらの組み合わせ態様の一例を示す図であり、リヤプラテン13と吸着板22の断面図である。図6に示すように、冷却水路70及び冷却水路71は、両側にそれぞれ複数本形成されてもよい。この場合も、冷却水路70及び冷却水路71は、磁気回路(磁束の流れR)を実質的に遮断しないように設けられればよい。
【0047】
尚、上述した実施例1,2においては、特許請求の範囲における「第1の固定部材」は、固定プラテン11に対応し、特許請求の範囲における「第1の可動部材」は、可動プラテン12に対応する。また、特許請求の範囲における「第2の固定部材」は、リヤプラテン13に対応し、特許請求の範囲における「第2の可動部材」は、吸着板22に対応する。但し、変形例として、吸着板22側に電磁石49を設け、リヤプラテン13側に吸着部を設けてもよく、この変形例の場合、「第2の固定部材」は、吸着板22に対応し、特許請求の範囲における「第2の可動部材」は、リヤプラテン13に対応する。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0049】
例えば、上述の実施例では、水が冷却用の流体として使用されているが、水以外の流体(例えば、油や気体等)が使用されてもよい。
【0050】
また、上述の実施例では、リヤプラテン13の内部に冷却水路71を形成しているが、吸着板22の内部にも同様の冷却水路を形成してもよい。これは、吸着板22もコイル48の発熱によりリヤプラテン13から熱が移動し高温となりうるためである。
【0051】
また、上述の実施例では、リヤプラテン13の内部に直線の冷却水路71を形成しているが、冷却水路71は、リヤプラテン13の内部で任意の方向に曲げられてもよい。
【0052】
また、上述の実施例では、リヤプラテン13には、一極の電磁石49が形成されているが、リヤプラテン13には、複数の極が形成されるように電磁石が設けられてもよい(即ち多極化が実現されてもよい)。
【0053】
また、上述では、特定の構成の型締装置10を例示しているが、型締装置10は、電磁石を利用して型締めを行うものであれば、任意の構成であってよい。
【符号の説明】
【0054】
Br1 軸受部材
Fr フレーム
Gd ガイド
10 型締装置
11 固定プラテン
12 可動プラテン
13 リヤプラテン
14 タイバー
15 固定金型
16 可動金型
17 射出装置
18 射出ノズル
19 金型装置
22 吸着板
28 リニアモータ
29 固定子
31 可動子
33 磁極歯
34 コア
35 コイル
37 電磁石ユニット
39 センターロッド
41 穴
45 溝
46 コア
47 ヨーク
48 コイル
49 電磁石
51 吸着部
55 荷重検出器
60 制御部
61 型開閉処理部
62 型締処理部
70、71 冷却水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定金型が取り付けられる第1の固定部材と、
前記第1の固定部材と対向して配設される第2の固定部材と、
可動金型が取り付けられる第1の可動部材と、
前記第1の可動部材と連結されて前記第1の可動部材と共に移動する第2の可動部材と、を備え、
前記第2の固定部材と前記第2の可動部材とで型締力を発生させる型締力発生機構を構成し、
前記型締力発生機構を構成する前記第2の固定部材又は前記第2の可動部材には電磁石が形成され、前記電磁石が形成される前記第2の固定部材又は前記第2の可動部材の内部に、冷却用の流体が通る流体通路が形成されることを特徴とする、射出成形機。
【請求項2】
前記電磁石が形成される前記第2の固定部材又は前記第2の可動部材は、コイルを収容する溝を備え、
前記流体通路は、型締め方向に視たとき、前記溝と重なる位置に設けられる、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記流体通路を流れる冷却用の流体の流量は、前記電磁石の温度に応じて変化される、請求項1に記載の射出成形機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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