説明

射撃音制御方法

【課題】マシンガンを休みなしに打ち続けるシューティングゲーム等において同じ射撃音が続くことがないように制御することで、より自然な射撃音とすることのできる射撃音制御方法を提供する。
【解決手段】プレイヤの操作を受け付けて操作信号を発生する工程と、上記操作信号に基づいてマシンガンが表示画面上のどのエリアを指定しているかを検出する工程と、検出した位置情報に応じて、少なくとも2種以上の射撃音の音声データから一の音声データをランダムに決定する工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射撃音制御方法に関し、より詳しくは、マシンガンのトリガーを引いている間、撃ち休みなしに打ち続けるシューティングゲーム等において同じ射撃音が続かないように制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシューティングゲーム等におけるマシンガン等の射撃音のアサイン方法としては、
(1)単発の音(1shot音)を画面上での弾丸発射のタイミングに合わせて続けてアサインする方法
(2)トリガー入力1回あたりのマシンガンの弾丸発射数や射撃時間が決まっている場合に、補充した状態から弾切れまで一つにまとめた発射音群を1shot音としてアサインする方法
(3)マシンガンを撃ち続けている音が一定時間で繰り返されるように作られたループファイルをアサインする方法
等がある。
【0003】
そして、上記のいずれかの方法を用い、画面中央付近を中心に射撃位置に合わせて左右にパン制御してアサインするか、そのまま画面のどこを撃っても同じ音が鳴り続ける仕様となっている。
【0004】
図1は従来における射撃音のパン制御を示す図であり、モニタMの中央から「センタ」、その両脇を「やや左寄り」「やや右寄り」、更にその両脇を「左寄り」「右寄り」、更にその両脇を「左」「右」のエリアに分け、マシンガンのサイト(照準)Sが含まれるエリアに応じて左右の音量に強弱を付け、音響的な立体感を得るようにしている。
【0005】
なお、関連する先行技術文献を以下に示す。これは画像上のキャラクタ表示位置に音源位置を対応させたステレオのサウンド・エフェクトを発音し、キャラクタと音声との連係を大きくすることを目的とするものである。
【特許文献1】特開昭62−155879号公報
【特許文献2】特開平4−99580号公報
【特許文献3】実開平2−10700号公報
【特許文献4】特開平7−72875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のシューティングゲーム等における射撃音の制御は上述したように行われていたため、次のような問題点が指摘されていた。
(A)常に同じ音が鳴り続けることで他の音と比べて浮いてしまい、プレイヤに違和感を与える。
(B)音の左右の移動感はステレオスピーカならパン制御で表現できるが、上下方向の音の移動感の表現はできない。
(C)射撃音が同じタイミングで鳴り続けるため単調になり易い。
【0007】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、マシンガンのトリガーを引いている間は撃ち休みなしに打ち続けるシューティングゲーム等において、同じ射撃音が続くことがないように制御することで、より自然な射撃音とすることのできる射撃音制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、請求項1に記載されるように、プレイヤの操作を受け付けて操作信号を発生する工程と、上記操作信号に基づいてマシンガンが表示画面上のどのエリアを指定しているかを検出する工程と、検出した位置情報に応じて、少なくとも2種以上の射撃音の音声データから一の音声データをランダムに決定する工程とを備える射撃音制御方法を要旨としている。
【0009】
また、請求項2に記載されるように、請求項1に記載の射撃音制御方法において、検出した上記位置情報に応じて、下方に行くに従い射撃音の低域効果音を増強する工程を備えることができる。
【0010】
また、請求項3に記載されるように、請求項1に記載の射撃音制御方法において、検出した上記位置情報に応じて、上方に行くに従い射撃音の高音域を増強し、下方に行くに従い射撃音の低音域を増強する工程を備えることができる。
【0011】
また、請求項4に記載されるように、請求項1に記載の射撃音制御方法において、射撃音の発生タイミングをランダムな周期で所定量だけ早めもしくは遅らす工程を備えることができる。
【0012】
また、請求項5に記載されるように、プレイヤの操作を受け付けて操作信号を発生する操作入力部と、上記操作入力部の操作信号に基づいてマシンガンが表示画面上のどのエリアを指定しているかを検出し、検出した位置情報を出力する位置検出部と、複数の音声データが記憶された音声データ記憶部と、表示画面上のエリアとエフェクトおよび射撃音の対応関係を示す音声/位置対応情報および音声出力タイミング情報等の制御情報が記憶された情報記憶部と、乱数を発生する乱数発生部と、上記位置検出部からの位置情報と上記情報記憶部からの音声/位置対応情報および音声出力タイミング情報等に基づいて射撃音の制御を行う音声制御部とを備える射撃音制御装置として構成することができる。
【0013】
また、請求項6に記載されるように、請求項1に記載の射撃音制御方法をコンピュータに実行させる射撃音制御プログラムとして構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の射撃音制御方法にあっては、マシンガンのトリガーを引いている間、撃ち休みなしに打ち続けるように設定されたシューティングゲーム等において同じ射撃音が続くことがないように制御することで、より自然な射撃音とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態につき説明する。
【0016】
図2は本発明の一実施形態にかかる射撃音制御装置の構成例を示す図である。なお、通常はシューティングゲーム等のビデオゲーム装置と一体に構成されるものであるが、音声に関係する部分のみを射撃音制御装置として示してある。
【0017】
図2において、射撃音制御装置は、プレイヤの操作(レバー操作、ボタン操作等)を受け付けて操作信号を発生する操作入力部1と、この操作入力部1の操作信号に基づいてマシンガンが表示画面(モニタ)上のどのエリアを指定しているかを検出し、検出した位置(エリア)情報を出力する位置検出部2とを備えている。なお、位置検出方法としては特開平9−262370号公報、特開平8−257240号公報などに開示された公知の技術を用いることができるが、それに特定されるものではなく、射撃している位置を検出することが可能であればどのような技術を用いてもよい。
【0018】
また、射撃音制御装置は、複数の音声データ(射撃音データ)が記憶された音声データ記憶部3と、音声/位置対応情報(表示画面上のエリアとエフェクトおよび射撃音の対応関係を示す情報)および音声出力タイミング情報等の制御情報が記憶された情報記憶部4と、乱数を発生する乱数発生部5とを備えている。
【0019】
また、射撃音制御装置は、位置検出部2からの位置情報と情報記憶部4からの音声/位置対応情報および音声出力タイミング情報等に基づいて射撃音の制御を行う音声制御部6と、この音声制御部6の制御により音声の生成(波形情報から音声信号に変換)を行う音声生成部7と、この音声生成部7から出力される音声信号から音声を出力する音声出力部(スピーカ)8とを備えている。なお、音声生成部7は、サラウンド環境が整っている場合は低域効果音(LFE:Low Frequency Effect)の調整が可能であり、サラウンド環境がない場合でもイコライザにより音色(音域毎の成分)の調整が可能であるものとする。
【0020】
図3はモニタの上下方向に区分した複数エリアと射撃音制御の対応関係を示す図であり、情報記憶部4に記憶される音声/位置対応情報に相当するものである。
【0021】
図3において、モニタMは上からエリア#1〜#8に区分されており、各エリアについて2つずつの音声データSE#1〜#9(SE#5からSE#1にかけて音色を明るめに変化させてゆき、逆にSE#5からSE#9にかけては音色を暗めに変化)が割り当てられている。例えば、マシンガンのサイトSが図示のようにエリア#4を指している場合は、音声データSE#5かSE#4のいずれかが選択される。なお、モニタMのエリア分割数は図示の例に限られない。エリアを細分化するほど細かく制御を行うことができるが、制御が複雑になる。また、エリア毎の音声データの割り当て数を3以上に増やしてもよい。
【0022】
また、モニタMのエリア#1〜#8に応じて、LFE効果のレベルと音色エフェクト効果のレベルが規定されている。
【0023】
一般にこの種の射撃音が用いられるゲームでは、モニタMの上面辺りは空(屋外シーンの場合)もしくは天井(屋内シーンの場合)であり、下面は見下ろした手前の情景であるため、サラウンド環境が整っている場合はモニタMの下方へ向けて撃つほど低域効果音成分を上げることにより、手前で撃っているような演出とすることができる。また、サラウンド環境が無くても、マシンガンの音色のエフェクトを上方に向けて明るくさせ、下方へ向けて暗めにすることで、効果的な演出とすることができる。
【0024】
図4は音声制御部6の処理例を示すフローチャートである。
【0025】
図4において、音声制御部6は位置検出部2の位置情報からマシンガンの指すエリアを特定し(ステップS1)、情報記憶部4から音声/位置対応情報を参照してそのエリアで出力すべき音声データの候補を特定する(ステップS2)。
【0026】
そして、乱数発生部5から乱数を取得し(ステップS3)、その乱数に基づいて音声データの候補の中から一の音声データを決定する(ステップS4)。具体的には、乱数rを0≦r<1の範囲で発生させ、候補の数(ここでは2)をかけ、その整数部分(ここでは、0、1)を取り出し、音声データのインデックスの小さい順に対応させることで、音声データを決定することができる。
【0027】
決定した音声データは音声データ記憶部3から読み出し、音声生成部7に渡して音声生成を行わせる。例えば、図3において、画面中央のエリア#4が指定されている場合は音声データSE#5と音声データSE#4がランダムで鳴ることになる。また、エリア#4からエリア#3にマシンガンが移動すると、エリア#4でアサインされていた音声データSE#5から音声データSE#3に音色が変わり、音声データSE#4はそのままであり、音声データSE#3と音声データSE#4がランダムで鳴ることになる。音色的には明るく変化していく。
【0028】
次いで、音声制御部6は情報記憶部4から音声/位置対応情報を参照し、そのエリアに応じたLFEまたは音色エフェクトを実施する(ステップS5)。すなわち、サラウンド環境が整っている場合はLFEを行い、サラウンド環境がない場合でもイコライザにより音色の調整を行う。
【0029】
次いで、乱数発生部5から乱数を取得し(ステップS6)、射撃音の発生タイミングの制御を行う(ステップS7)。
【0030】
図5は射撃音のタイミング制御の例を示す図であり、タイミング制御を行わない従来の単発のマシンガン音の鳴らし方では一定の時間Xごとにアサインされ続けるが、本発明では乱数で決まる不定期に時間αだけ早め(図5(a))もしくは遅らせ(図5(b))たタイミングでアサインするようにしている。時間αだけ早めた場合(図5(a))、その直前との間隔はX−αとなり、その次の間隔はX+αとなる。時間αだけ遅らせた場合(図5(b))、その直前との間隔はX+αとなり、その次の間隔はX−αとなる。
【0031】
こうすることでマシンガンにグルーヴ感が出ることになり、よりマシンガン音らしくすることができる。
【0032】
以上のように、本発明では、常に同じ音が鳴り続けることがなくなり、プレイヤに違和感を与えることがなくなる。
【0033】
また、通常のスピーカセッティングでも上下間のマシンガン音の移動感を表現することができる。
【0034】
更に、マシンガンの音色と打ち鳴らすタイミングをランダムにずらすことで、単調さと他の音色との違和感を軽減させることができる。
【0035】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】従来における射撃音のパン制御を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる射撃音制御装置の構成例を示す図である。
【図3】モニタの上下方向に区分した複数エリアと射撃音制御の対応関係を示す図である。
【図4】音声制御部の処理例を示すフローチャートである。
【図5】射撃音のタイミング制御の例を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
M モニタ
1 操作入力部
2 位置検出部
3 音声データ記憶部
4 情報記憶部
5 乱数発生部
6 音声制御部
7 音声生成部
8 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤの操作を受け付けて操作信号を発生する工程と、
上記操作信号に基づいてマシンガンが表示画面上のどのエリアを指定しているかを検出する工程と、
検出した位置情報に応じて、少なくとも2種以上の射撃音の音声データから一の音声データをランダムに決定する工程とを備えたことを特徴とする射撃音制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の射撃音制御方法において、
検出した上記位置情報に応じて、下方に行くに従い射撃音の低域効果音を増強する工程を備えたことを特徴とする射撃音制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の射撃音制御方法において、
検出した上記位置情報に応じて、上方に行くに従い射撃音の高音域を増強し、下方に行くに従い射撃音の低音域を増強する工程を備えたことを特徴とする射撃音制御方法。
【請求項4】
請求項1に記載の射撃音制御方法において、
射撃音の発生タイミングをランダムな周期で所定量だけ早めもしくは遅らす工程を備えたことを特徴とする射撃音制御方法。
【請求項5】
プレイヤの操作を受け付けて操作信号を発生する操作入力部と、
上記操作入力部の操作信号に基づいてマシンガンが表示画面上のどのエリアを指定しているかを検出し、検出した位置情報を出力する位置検出部と、
複数の音声データが記憶された音声データ記憶部と、
表示画面上のエリアとエフェクトおよび射撃音の対応関係を示す音声/位置対応情報および音声出力タイミング情報等の制御情報が記憶された情報記憶部と、
乱数を発生する乱数発生部と、
上記位置検出部からの位置情報と上記情報記憶部からの音声/位置対応情報および音声出力タイミング情報等に基づいて射撃音の制御を行う音声制御部とを備えたことを特徴とする射撃音制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の射撃音制御方法をコンピュータに実行させる射撃音制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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