説明

導光板

【課題】 微細パターンの転写性に優れ、かつ振動下での耐傷つき性に優れた導光板を提供すること。
【解決手段】
式(1)の構造を含む繰り返し単位が50重量%以上であり、ガラス転移温度が95〜115℃の範囲にありかつ重量平均分子量が50,000〜120,000の範囲にある、脂環構造含有重合体からなる導光板。
【化1】


〔式(1)中、RからRは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、シリル基、および極性基で置換された鎖状炭化水素基であり、nは1〜4の整数である。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板に関し、詳しくは、微細パターンの転写性に優れ、かつ振動下の耐傷つき性に優れた導光板に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素環を有する重合体は、透明性、低吸湿性、耐熱性、低複屈折性に優れており、レンズや導光板などの光学部材に用いられている。
例えば、特許文献1には、スチレン由来の繰返し単位を有するブロックと、スチレン及びイソプレン由来の繰返し単位を有するブロックを有する、ガラス転移温度が126.5℃でありかつ重量平均分子量が85,100である重合体を成形してなる導光板が記載されている(特許文献1の製造例1)。
特許文献2には、スチレンとイソプレンのランダム共重合体を水素化して得られる、ガラス転移温度が115℃でありかつ重量平均分子量が131,000である重合体(特許文献2の製造例2)からなる光学レンズが記載され、その重合体の用途として導光板が記載されている。
【特許文献1】特開2002−71964号公報
【特許文献2】特開2001−48924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
昨今の導光板は、光出射面に微細なパターンが形成されており、それに用いる樹脂は、より優れた転写性が求められている。例えば、光出射面に、底面積が数μm2、高さが数μmの微細な凸部が形成された導光板が検討されている。
一方、昨今の光学製品産業では、分業化が進み、導光板の生産場所と、その導光板を用いた光学製品の組み立て場所が、遠方となる場合が増えている。輸送の際に数μmの微細な環境中の異物が存在するだけで、振動により導光板に傷が付き、傷が付いた導光板をバックライトとして使用すると、光学製品では100μm程度の輝点となり製品として使用できなくなるという問題がおきている。
しかしながら、本発明者らが特許文献1や、特許文献2に記載されている重合体を用いて前述のような微細な凸部を有する導光板を射出成形したところ、金型の微細な形状の導光板への転写が不十分であり、転写率が70%以下であった。転写率が70%以下である導光板を用いたバックライトは、輝度が著しく劣り、製品としての使用に耐えない。
従って、本発明の課題は、微細パターンの転写性に優れ、かつ振動下での耐傷つき性に優れた導光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、ガラス転移温度及び重量平均分子量が特定の範囲にある脂環構造含有重合体からなる導光板は、微細パターンの転写性に優れ、かつ振動下の耐傷つき性に優れた導光板が得られることを見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0005】
かくして本発明によれば、下記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位を50重量%以上含有し、ガラス転移温度が95〜115℃の範囲にありかつ重量平均分子量が50,000〜120,000の範囲にある、脂環構造含有重合体からなる導光板
【0006】
【化1】

【0007】
〔式(1)中、RからRは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、シリル基、および極性基で置換された鎖状炭化水素基から選ばれ、nは1〜4の整数である。〕が提供される。
また、前記導光板の鉛筆硬度は、2H〜4Hの範囲にあることが好ましい。
また、前記脂環構造含有重合体が、飽和炭化水素環を有するビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体及びそれを水素化した重合体、又は、不飽和炭化水素環を有するビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体を水素化した重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体を水素化した重合体、のいずれかであって、該脂環構造含有重合体の全単量体単位中、共役ジエン化合物由来の単量体単位の割合が、5〜9重量%であると好ましく、前記脂環構造含有重合体が、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体を水素化した重合体であって、芳香族ビニル化合物がスチレンであり、かつ共役ジエン化合物がイソプレンであるとより好ましく、脂環構造含有重合体が、ランダム共重合体であると特に好ましい。
また、導光板が、光入射面、光反射面及び光出射面を有し、光出射面に、平均底面積0.8〜78μm、平均高さ0.5μm以上、5μm未満の凸部又は平均開口部面積0.8〜78μm、平均深さ0.5μm以上、5μm未満の凹部を有するものであるときに特に好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の導光板は、微細パターンの転写性に優れ、かつ振動下の耐傷つき性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の導光板は、式(1)の構造を含む繰り返し単位が50重量%以上であり、ガラス転移温度が95〜115℃の範囲にありかつ重量平均分子量が50,000〜120,000の範囲にある、脂環構造含有重合体からなる。
【0010】
【化2】

【0011】
〔式(1)中、RからRは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、シリル基、および極性基で置換された鎖状炭化水素基から選ばれ、nは1〜4の整数である。〕
【0012】
本発明において導光板とは、光入射面、光反射面及び光出射面を有する成形体である。
【0013】
本発明に用いられる脂環構造含有重合体とは、飽和炭化水素環を有するビニル化合物を付加重合して得られるような、側鎖に脂環式炭化水素構造を有する重合体である。
脂環式炭化水素重合体は、飽和炭化水素環を有するビニル化合物を付加重合し必要に応じて水素化する方法、不飽和炭化水素環を有するビニル化合物を付加重合し必要に応じて水素化する方法、芳香族ビニル化合物を付加重合し必要に応じて水素化する方法などによって得られる。
【0014】
本発明において飽和炭化水素環を有するビニル化合物とは、飽和脂肪族環を有し、かつ、重合性のビニル基を有する化合物である。
飽和脂肪族環を構成する炭素数は、特に限定されないが、5〜8であると好ましい。また、脂肪族環は炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子基を置換基に有することができる。
飽和炭化水素環を有するビニル化合物としては、2−ビニルシクロペンタン、2−メチル4−ビニルペンタン、3−ビニルシクロペンタン、3−t−ブチル−4−ビニルペンタンなどのシクロペンタンビニル化合物;4−ビニルシクロヘキサン、4−イソプロペニルビニルシクロヘキサン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキサン、1−メチル−4−イソプロペニルビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキサン、2−メチル−4−イソプロペニルビニルシクロヘキサンなどのシクロヘキサンビニル化合物;2−ビニルシクロヘプタン、3−ビニルシクロヘプタン、4−ビニルシクロヘプタン、3−メチル−6−ビニルシクロヘプタン、4−エチル−6−ビニルシクロヘプタン、3−t−ブチル−5−ビニルシクロヘプタンなどのシクロヘプタンビニル化合物;2−ビニルシクロオクタン、3−ビニルシクロオクタン、4−ビニルシクロオクタン、2−メチル−5−ビニルシクロオクタン、4−エチル−6−ビニルシクロオクタン、3−t−ブチル−7−ビニルシクロオクタンなどのシクロオクタンビニル化合物;などが挙げられる。
これらの中でもシクロペンタンビニル化合物およびシクロヘキサンビニル化合物が好ましく、シクロヘキサンビニル化合物が特に好ましい。
【0015】
本発明において不飽和炭化水素環を有するビニル化合物とは、二重結合を持つ脂肪族環を有し、かつ、重合性のビニル基を有する化合物である。
飽和脂肪族環を構成する炭素数は、特に限定されないが、5〜8であると好ましい。また、脂肪族環は炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子基を置換基に有することができる。
不飽和炭化水素環を有するビニル化合物としては、2−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−ビニルペンテン、3−ビニルシクロペンテン、3−t−ブチル−4−ビニルペンテンなどのシクロペンテンビニル化合物;4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルビニルシクロヘキセンなどのシクロヘキセンビニル化合物;2−ビニルシクロヘプテン、3−ビニルシクロヘプテン、4−ビニルシクロヘプテン、3−メチル−6−ビニルシクロヘプテン、4−エチル−6−ビニルシクロヘプテン、3−t−ブチル−5−ビニルシクロヘプテンなどのシクロヘプテンビニル化合物;2−ビニルシクロオクテン、3−ビニルシクロオクテン、4−ビニルシクロオクテン、2−メチル−5−ビニルシクロオクテン、4−エチル−6−ビニルシクロオクテン、3−t−ブチル−7−ビニルシクロオクテンなどのシクロオクテンビニル化合物;などが挙げられる。
これらの中でもシクロペンテンビニル化合物およびシクロヘキセンビニル化合物が好ましく、シクロヘキセンビニル化合物が特に好ましい。
【0016】
本発明において芳香族ビニル化合物とは、芳香環を有し、かつ、重合性のビニル基を有する化合物である。
また、芳香環は炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子基を置換基に有することができる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレンなどが挙げられる。
これらの中でも、スチレン、及びα−メチルスチレンが好ましく、スチレンが特に好ましい。
【0017】
これらの化合物の中でも芳香族ビニル化合物、シクロペンテンビニル化合物およびシクロヘキセンビニル化合物が好ましく、芳香族ビニル化合物およびシクロヘキセンビニル化合物がより好ましく、芳香族ビニル化合物が特に好ましい。これらの化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
なお、これらの飽和炭化水素環を有するビニル化合物、不飽和炭化水素環を有するビニル化合物、及び芳香族ビニル化合物の使用割合は、得られる脂環構造含有重合体において、式(1)の構造を含む繰り返し単位が50重量%以上となる量であれば特に限定されないが、式(1)の構造を含む繰り返し単位が70重量%以上となる量であると好ましく、90重量%以上となる量であるとより好ましい。
例えば、式(1)の構造を含む繰り返し単位を50重量%以上とするためには、飽和炭化水素環を有するビニル化合物を用いた場合には、用いる単量体全体に対して飽和炭化水素環を有するビニル化合物を50重量%以上用いることによって、不飽和炭化水素環を有するビニル化合物、及び芳香族ビニル化合物を用いた場合には、用いる単量体全体に対して飽和炭化水素環を有するビニル化合物を50重量%以上用い、更に、不飽和炭化水素環または、芳香環を水素化し飽和炭化水素環とすることによっておこなう。
【0019】
本発明に用いられる脂環構造含有重合体は、前記飽和炭化水素環を有するビニル化合物、不飽和炭化水素環を有するビニル化合物、及び芳香族ビニル化合物芳香族ビニル化合物以外に、これらと共重合可能な単量体を共重合することができる。
共重合可能な単量体としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの重合法により共重合可能なものであれば特に限定されないが、エチレン、プロピレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン系単量体;シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−ジメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン系単量体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、フラン、チオフェン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのニトリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチルなどのアクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系単量体;フェニルマレイミド;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、トリオキサン、ジオキサン、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル系単量体;メチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニル−2−ピロリドンなどの複素環含有ビニル化合物系単量体;などが挙げられる。
中でも、鎖状共役ジエンが好ましく、ブタジエン、イソプレンがより好ましく、イソプレンが特に好ましい。
これらの共重合可能な単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。共重合可能な単量体を用いる場合には、重合体中の全繰り返し単位に対して、共重合可能な単量体由来の繰り返し単位が50重量%以下となる範囲で用いることが好ましく、0.1〜10重量%となる範囲で用いることがより好ましく、5〜9重量%となる範囲で用いることが特に好ましい。
【0020】
飽和炭化水素環を有するビニル化合物、不飽和炭化水素環を有するビニル化合物、および/または芳香族ビニル化合物と、上記共重合可能な単量体とを共重合する場合、得られる共重合体としては、ランダム共重合体、擬似ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体などが挙げられるが、ランダム共重合体であると好ましい。
【0021】
(重合工程)
重合反応の様式は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの公知の方法のいずれでも良いが、中でもアニオン重合は、得られる重合体の分子量分布が狭く、複屈折が小さいので好ましい。
【0022】
ラジカル重合を行う場合は、重合触媒としてアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシドなどのラジカル開始剤を用いることができる。
カチオン重合を行う場合は、重合触媒としてBF3、BF6などを用いることができる。
アニオン重合を行う場合は、重合触媒として有機アルカリ金属を用いることができる。
【0023】
また、重合反応の様式は、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などの公知の方法のいずれでも良いが、中でも溶液重合は、重合反応後に、水素化反応を続けて行うことができるので好ましい。
【0024】
有機溶媒としては、重合触媒を害さないものであれば特に限定されないが、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、デカリンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;
テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられる。
これらの中でも、脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素は重合反応後の水素化反応の溶媒としても使えるので好ましい。
これら有機溶媒は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。有機溶媒の使用量は、単量体濃度が1〜40重量%の範囲になる量であると好ましく、10〜30重量%の範囲になる量であるとより好ましい。
【0025】
アニオン重合に用いる有機アルカリ金属としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン;などが挙げられる。
これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ有機リチウムが特に好ましい。これらの有機アルカリ金属は、それぞ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。有機アルカリ金属の使用量は、単量体100重量部あたり、通常0.05〜100ミリモル、好ましくは0.10〜50ミリモルである。
【0026】
アニオン重合においては、或る1成分の連鎖が長くなるのを防止するため、及び/または分子量分布の狭い重合体を得るために、ルイス塩基などの、重合促進剤やランダマイザーなどを併用することが好ましい。
ルイス塩基としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジベンジルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテルなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどの第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルキル金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;などが挙げられる。
これらの中でもエーテル化合物が好ましい。これらのルイス塩基は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。ルイス塩基の使用量は、有機アルカリ金属に対して、0.001〜10.0ミリモルの範囲であると好ましく、0.01〜5.0ミリモルの範囲であるとより好ましい。
【0027】
重合温度は、特に限定されないが、−70〜150℃の範囲であると好ましく、−50〜120℃の範囲であると好ましい。
また、重合時間は、特に限定されないが、0.01〜20時間の範囲であると好ましく、0.1〜10時間の範囲であると好ましい。
重合反応は、重合転化率が高くなって単量体がほとんど無くなれば停止するが、重合反応後の反応溶液のゲル化を防ぐ目的で重合触媒の不活性化剤を添加することが好ましい。
重合触媒の不活性化剤としては、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,2−ブタンジオール、グリセリンなどのアルコール類;ギ酸、酢酸、クエン酸、フタル酸などのカルボン酸類;フェノール、クレゾールなどのフェノール類;などが挙げられる。
【0028】
重合工程後には、重合触媒除去工程を行うことが好ましい。
重合触媒の除去法としては、例えば、溶液重合した場合には、活性アルミナなどの吸着剤を重合反応溶液に添加して加温状態で攪拌し、該吸着剤に重合触媒を吸着させて濾過により除去する方法;イソプロピルアルコールなどを重合反応溶液に少量添加して重合触媒を沈殿させて濾過により除去する方法;などが挙げられる。
触媒除去後の重合反応溶液中の触媒残留量は、重合反応溶液中の重合体に対し、(触媒)金属元素の重量で、10ppm以下であると好ましく、1ppm以下であるとより好ましい。
【0029】
重合体は、例えば、溶液重合した場合には、重合反応溶液から、例えばスチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法によって溶媒を除去して得ることができる。
なお、重合工程により得られる重合体が、側鎖の環に炭素−炭素不飽和結合(非共役不飽和結合および/または芳香族性不飽和結合など。以下同じ)を有するときは、後述する水素化工程を行うことが好ましいが、重合反応において、水素化反応に不活性な溶媒を用いた場合には、重合反応溶液そのままを水素化反応工程にも使用することができるので、重合反応溶液から溶媒を除去しないことが好ましい。
【0030】
(水素化工程)
本発明では、前記重合工程により得られる重合体が、側鎖の環に炭素−炭素不飽和結合を有する場合には、その不飽和基の一部または全部を水素化することが好ましい。不飽和基を水素化することで重合体の耐熱性や透明性を改善できる。
【0031】
水素化反応は、水素化触媒の存在下に重合体を水素と接触させることにより行うことができる。
水素化触媒としては、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウムおよびレニウムから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが挙げられる。これらの中もで、ニッケルを含有する触媒は、水素化反応により得られる重合体の分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量比(Mw/Mn))が狭いので好ましい。
【0032】
また、水素化触媒は不均一系触媒又は均一系触媒を用いることができる。
不均一系触媒としては、金属;金属化合物;担体に担持させてたもの;が挙げられる。担体としては、活性炭、けいそう土、マグネシア、シリカ、アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、けいそう土−ジルコニア、アルミナ−ジルコニアなどが挙げられる。担体上の上記金属の担持量は、通常0.01〜80重量%である。
【0033】
均一系触媒としては、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄などの金属化合物と、有機アルミニウムや有機リチウムのような有機金属化合物とを組み合わせた触媒;ロジウム、パラジウム、ルテニウム、レニウムなどの有機金属錯体;などが挙げられる。
【0034】
金属化合物としては、前記金属のアセチルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物などが挙げられる。
また、有機アルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリドなどのハロゲン化アルキルアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの水素化アルキルアルミニウム;などが挙げられる。
有機金属錢体としては、前記金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリッド−クロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体などが挙げられる。
【0035】
これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。水素化触媒の使用量は、重合体100重量部当たり、0.03〜50重量部であると好ましく、0.16〜33重量部であるとより好ましい。
【0036】
水素化工程に用いられる有機溶媒としては、前述の溶液重合に用いた溶媒の他に、アルコール類も挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。有機溶媒の使用量は、水素化反応溶液中の重合体濃度が、1〜50重量%となる範囲であると好ましく、3〜40重量%となる範囲であるとより好ましい。
【0037】
水素化反応の反応温度は、100C〜250℃の範囲であると好ましく、50℃〜200℃の範囲であるとより好ましく、80℃〜180℃の範囲であるとより好ましい。水素化反応の反応温度がこの範囲であると、水素化率を高くでき、且つ、重合体鎖切断反応を防ぐことができるので好ましい。
また水素化反応の水素圧力は、ゲージ圧で、0MPa〜30MPaの範囲であると好ましく、1MPa〜20MPaの範囲であるとより好ましく、2MPa〜10MPaの範囲であると特に好ましい。水素化反応の水素圧力がこの範囲にあると、水素化率を高くでき、且つ、重合体鎖切断反応を小さくでき、また、操作性が容易であるので好ましい。
【0038】
このようにして得られた、脂環構造含有重合体の水素化率は、1H−NMRによる測定において、主鎖及び側鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環やシクロアルケン環の炭素−炭素不飽和結合のいずれも、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。水素化率がこの範囲にあると、得られる共重合体は低複屈折性、熱安定性に優れる。
【0039】
水素化反応後は、水素化反応液から、水素化触媒を除去することが好ましい。
また、水素化反応溶液に濾過助剤を添加して、水素化触媒および濾過助剤を濾別することがより好ましい。
濾過助剤としては、けいそう土、シリカ、合成ゼオライト、パーライト、ラジオライトなどの不活性で溶剤に溶けない粉状物などが挙げられる。濾過助剤を用いた水素化触媒の除去方法としては、濾過する懸濁液に予め添加するボディフィード法、濾材に濾過助剤のベッドを形成しておいてから濾過するプリコート法などが挙げられるが、中でもボディフィード法が好ましい。濾過助剤の使用量は、水素化触媒と同程度とすることが好ましい。
【0040】
(脂環構造含有重合体)
脂環構造含有重合体は、重合反応後、必要により前述の水素化反応を行ったのち、溶媒を直接乾燥により除去する方法;反応溶液を、脂環構造含有重合体にとっての貧溶媒中に注ぎ、凝固させる方法;などによって得られる。
【0041】
本発明に用いられる脂環構造含有重合体は、ガラス転移温度(Tg)が95℃〜115℃の範囲にあり、かつ、重量平均分子量(Mw)が50,000〜120,000の範囲にある。中でも、Tgが97℃〜110℃の範囲にあると好ましく、99℃〜105℃の範囲にあるとより好ましい。また、量平均分子量(Mw)が6,000〜110,000の範囲にあると好ましく、70,000〜100,000の範囲にあるとより好ましい。脂環構造含有重合体のTg及びMwがこの範囲にあると、得られる導光板は、微細パターンの転写性及び振動下での耐傷つき性のバランスに優れる。
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC)により測定した値である。また、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。
【0042】
脂環構造含有重合体のガラス転移温度(Tg)及び重量平均分子量(Mw)を上記範囲にする方法は特に限定されないが、前述の芳香族ビニル化合物、環状飽和炭化水素環を有するビニル化合物、不飽和炭化水素環を有するビニル化合物、及びこれらと共重合可能な単量体、重合触媒、水素化触媒を適宜選択することによってガラス転移温度(Tg)及び重量平均分子量(Mw)を調整することができる。
例えば、脂環構造含有重合体がスチレンとイソプレンのランダム共重合体の水素化物である場合には、スチレン94〜91重量%とイソプレン6〜9重量%からなる単量体組成物を、重合触媒としてn−ブチルリチウムを用い、ルイス塩基としてジブチルエーテルを用いて、ランダム共重合し、次いで、水素化することによって得ることができる。
【0043】
本発明に用いられる脂環構造含有重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、1〜5の範囲にあると好ましく、1〜4の範囲にあるとより好ましく、1〜3の範囲にあると特に好ましく、1〜1.5の範囲にあると最も好ましい。分子量分布がこの範囲にあると、得られる導光板は機械強度や耐熱性に優れる。
本発明において、分子量分布とは、GPCにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)である。
【0044】
(成形材料)
本発明の脂環構造含有重合体は、必要に応じて各種配合剤を配合し、成形材料とすることができる。配合剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【0045】
本発明においては、脂環構造含有重合体に、上記配合剤の中でも、酸化防止剤、及び耐光安定剤を配合するのが好ましい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成形時の酸化劣化等による導光板の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、脂環構造含有重合体100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部である。
【0046】
耐光安定剤としては、ベンゾフェノン系耐光安定剤、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤などが挙げられるが、本発明においては、導光板の透明性、耐着色性等の観点から、ヒンダードアミン系耐光安定剤を用いるのが好ましい。ヒンダードアミン系耐光安定剤(以降HALSと略記)の中でも、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いたゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した数平均分子量(Mn)が1000〜10000であるものが好ましく、2000〜5000であるものがより好ましく、2800〜3800であるものが最も好ましい。Mnが小さすぎると、該HALSを脂環構造含有重合体に加熱溶融混練により配合する際に、揮発して所定の量配合できなかったり、射出成形等の加熱溶融成形時の発泡やシルバーストリーク等の原因となって加工安定性が低下する。また、導光板を、ランプを点灯させた状態で長時間使用する場合に、導光板から揮発性成分がガスとなって発生する。逆にMnが大き過ぎると、脂環構造含有重合体への分散性が低下して、導光板の透明性が低下し、耐光性改良の効果が低減する。したがって、本発明においては、HALSのMnを上記範囲とすることにより加工安定性、低ガス発生性、透明性に優れた導光板が得られる。
【0047】
このようなHALSの具体例としては、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、1,6−ヘキサンジアミン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)とモルフォリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重縮合物、ポリ〔(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)〔(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕−ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕などの、ピペリジン環がトリアジン骨格を介して複数結合した高分子量HALS;コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールと3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物などの、ピペリジン環がエステル結合を介して結合した高分子量HALSなどが挙げられる。
【0048】
これらの中でも、ジブチルアミンと1,3,5−トリアジンとN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ〔{(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物などのMnが2,000〜5,000のものが好ましい。
【0049】
上記HALSの、脂環構造含有重合体に対する配合量は、重合体100重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.02〜15重量部、より好ましくは0.05〜10重量部である。HALSの添加量が少なすぎると耐光性の改良効果が十分に得られず、導光板をランプを点灯させた状態で長時間使用する場合に着色が生じ、HALSの配合量が多すぎると、その一部がガスとなって発生したり、脂環構造含有重合体への分散性が低下して、導光板の透明性が低下する。
【0050】
また本発明においては、脂環構造含有重合体に、軟質重合体などを配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
【0051】
軟質重合体の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)などのオレフィン系軟質重合体;ポリイソブチレン、イソブチレン・イソプレンゴム、イソブチレン・スチレン共重合体などのイソブチレン系軟質重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレンランダム共重合体、イソプレン・スチレンランダム共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体などのジエン系軟質重合体;
【0052】
ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル系軟質重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル・スチレン共重合体などのビニル系軟質重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質軟質重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴム、などのフッ素系軟質重合体;天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体;などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
【0053】
上記軟質重合体の中でもジエン系軟質重合体が好ましく、特に該軟質重合体の炭素−炭素不飽和結合を水素化した水素化物が、ゴム弾性、機械強度、柔軟性、分散性の点で優れる。軟質重合体の配合量は、化合物の種類に応じて異なるが、一般に、配合量が多すぎれば、脂環構造含有重合体のガラス転移温度や透明性が大きく低下し、導光板として使用することができない。また配合量が少なすぎれば、高温高湿下において成形物の白濁を生じる場合がある。配合量は、脂環構造含有重合体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部、特に好ましくは0.05〜2重量部である。
【0054】
脂環構造含有重合体に上記配合剤を配合する方法は、例えばミキサー、二軸混錬機、ロール、ブラベンダー、押出機などで脂環構造含有重合体を溶融状態にして配合剤と混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させ凝固する方法などが挙げられる。二軸混練機を用いる場合、混錬後に通常は溶融状態でストランド状に押し出し、ペレタイザーにてペレット状にカットして脂環構造含有重合体を含有してなる成形材料のペレットを得ることができる。
【0055】
(導光板)
本発明の導光板は、前記の、ガラス転移温度が95〜115℃の範囲にありかつ重量平均分子量が50,000〜120,000の範囲にある脂環構造含有重合体を含有してなる成形材料を成形して得られる。
【0056】
導光板の成形方法は特に限定されないが、機械強度、寸法精度等に優れた導光板を得るためには、溶融成形法が好ましい。溶融成形法としては、射出成形法、押し出し成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられるが、機械強度、寸法安定性などの観点から、射出成形法が好ましい。成形条件は、成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形法による場合は、脂環構造含有重合体の溶融温度は、150〜400℃の範囲であると好ましく、200〜350℃の範囲であるとより好ましく、230〜330℃の範囲であると特に好ましい。樹脂温度が過度に低いと流動性が悪化し、導光板にヒケやひずみを生じ、樹脂温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、導光板が黄変するなどの成形不良が発生するおそれがある。
【0057】
本発明の導光板は、光入射面、光反射面及び光出射面を有する成形体であれば、形状は特に限定されないが、光出射面に、凸部又は凹部を有するものであると好ましい。
図1は、本発明の導光板の一態様の模式的斜視図である。本態様の導光板は、一側面が光入射面1であり、下面が光反射面2であり、上面が光出射面3である。光入射面と対向する側面は、光入射面よりも厚さが小さく、他の二つの側面4は台形となり、導光板はくさび形の形状をなしている。本態様の導光板は、光反射面が単位プリズムが密接して並んだプリズム面5であり、光出射面に、多数の半球状の凸部6を有する。
本発明において、光出射面の凸部の平均底面積又は凹部の平均開口部面積は、0.8〜78μm2の範囲にあると好ましく、15〜70μm2の範囲にあるとより好ましく、15〜30μm2の範囲にあると特に好ましい。凸部の平均底面積又は凹部の平均開口部面積がこの範囲にあると、凸部又は凹部にもとづくドット見えの防止及び高輝度の点で好ましい。
本発明において、光出射面の凸部の平均高さ又は凹部の平均深さは、0.5μm以上、5μm未満の範囲にあると好ましく、1.5〜4.7μmの範囲にあるとより好ましく、1.5〜3.5μmの範囲にあると特に好ましい。凸部の平均高さ又は凹部の平均深さがこの範囲にあると、凸部又は凹部にもとづくドット見えの防止及び高輝度の点で好ましい。
【0058】
本発明の導光板において、光出射面の凸部の底面積の合計又は凹部の開口部面積の合計が、光出射面の全面積の5〜50%であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましい。凸部の底面積の合計又は凹部の開口部面積の合計が光出射面の全面積の5%未満であっても、50%を超えても、十分に高い輝度が得られないおそれがある。
本発明の導光板においては、光反射面が、表面の算術平均粗さRaが0.1μm以下の平面又はプリズム面であることが好ましく、表面の算術平均粗さRaが0.05μm以下の平面又はプリズム面であることがより好ましい。光反射面の表面の算術平均粗さRaが0.1μmを超えると、十分に高い輝度が得られないおそれがある。
プリズム面の形状に特に制限はないが、底面の幅1〜100μm、頂角30〜100度の単位プリズムを密接して並べた形状であると好ましい。また、単位プリズムの方向にも特に制限はなく、例えば、光入射面と略垂直な方向とすることができ、あるいは、光入射面と平行な方向とすることもできる。
【0059】
本発明の導光板は、その表面の鉛筆硬度は特に限定されないが、2H〜4Hの範囲にあると好ましく、鉛筆硬度が3H〜4Hであるとより好ましい。
本発明において鉛筆硬度は、導光板の光射出面をJIS K 5400に基づいて測定した値である。
【0060】
本発明の導光板は、微細パターンの転写性に優れ、かつ振動下での耐傷つき性に優れている。また、成型時の割れが少ないため生産性に優れ、耐熱性にも優れている。従って、本発明の導光板は、たとえばラップトップ型、ノート型、ブック型、パームトップ型などのパーソナルコンピューター、ワードプロセッサーなどのOA機器、液晶テレビなどの家電製品、携帯電話、電飾看板、ライトテーブル、ビュワーその他の表示装置にバックライトとして使用される面状光源装置に好適に用いられる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の例では、特に断りのない限り、部および%は重量基準、圧力はゲージ圧力である。
【0062】
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
テトラヒドロフラン(THF)を溶剤として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に基づいてDSCにて測定し、高温側の変位点から求められる値を、脂環構造含有重合体のTgとした。
(4)水素添加率
脂環構造含有重合体の、主鎖及び芳香環の水素添加率は、1H−NMRを測定し算出した。
【0063】
(5)振動下での耐傷つき性試験
クラス1000の環境下で、導光板の上下にビニールシートを重ね、次いで振とう器(ヤマト科学社製、MK200D、振とう幅:円運動−30mm往復運動−30mm)を用いて、振とう数100rpm、5時間の条件で、振動させた。次いで、ビニールシートを導光板からはずし、導光板に光を当てた時の輝点の振動試験前後での増加数を目視で確認した。
(6)鉛筆硬度
導光板の光出射面をJIS K 5400に基づいて測定した。
(7)耐熱性試験
導光板の光反射面に反射シート[東レ(株)、E60L]を積層し、光出射面に下向きプリズムシート[三菱レイヨン(株)、D117TF]と拡散シート[(株)ツジデン、D117TF]を積層し、光入射面に冷陰極蛍光ランプ[ハリソン東芝ライティング(株)、MBVM16J]を取り付け、冷陰極蛍光ランプを内面が白色の反射板で覆ってバックライトを作製した。
導光板の最も広い面の片面に光反射シートを設置し、厚み2.5mm側の端面を入光面として、該面側に高輝度型の冷陰極管及びランプリフレクタを設置し、その後前記冷陰極蛍光ランプを2,000時間連続点灯させ、入光面の変形等を目視観察した。
(6)微細パターンの転写性試験
フォームタリサーフ(テーラーホブソン社製)を用い、導光板に形成された光出射面(又は入射面)に形成された半球状の凸部の転写性を測定した。金型の半球溝の半径を基準(H)とし、任意の凸部10個の導光板の半球状の凸部の底辺からの高さを測定し平均高さを(D)とし、(D/H)×100を微細パターンの転写率(%)とした。
微細パターンの転写率が、85%以上の場合を「○」、85%未満65%以上を「△」、65%未満を「×」として評価した。通常、微細パターンの転写率が65%未満の導光板を用いたバックライトは、輝度が著しく低下するため製品としての価値を有さない。
【0064】
[製造例1](脂環構造含有重合体1の製造)
十分に乾燥し、窒素置換した、電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、脱水シクロヘキサン300部を入れ、さらにジブチルエーテル0.1部を入れ、次いでn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)を0.71部添加した。その後、オートクレーブ内の混合溶液を撹拌しながら60℃まで加温し、組成が重量比で(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマー100部を、3時間かけて連続的に添加し重合を行った。混合モノマー添加終了後(この時点での転化率は95%であった)、同条件下で30分間加温、攪拌を行った後、イソプロピルアルコール0.1部を添加して反応を停止させスチレン−イソプレン共重合体1を得た。
次いで、上記重合体のシクロヘキサン溶液400部に安定化ニッケル水素化触媒E22U(日揮化学工業社製;60%ニッケル担持シリカ−アルミナ担体)6部を添加し、水素化反応温度を調節するための電熱加熱装置と電磁撹拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに入れた。次いで、オートクレーブ内部を水素ガスで置換し、撹拌しながら160℃で、オートクレーブ内部の圧力が4.5MPaを保つように水素を供給しながら6時間水素化反応を行った。反応終了後、ろ過により水素化触媒を除去し、シクロヘキサン600部を加えた後、イソプロパノール2,000部中に注ぎ脂環構造含有重合体1を析出させた。脂環構造含有重合体1をろ過により分離後、減圧乾燥器により乾燥させた。得られた脂環構造含有重合体1の物性を測定し、表1に示した。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.79%であった。
【0065】
[製造例2](脂環構造含有重合体2の製造)
n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.37部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体2を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.89%であった。
[製造例3](脂環構造含有重合体3の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(94.5/5.5)である混合モノマーに変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体3を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.99%であった。
[製造例4](脂環構造含有重合体4の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(94.5/5.5)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.37部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体4を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.90%であった。
[製造例5](脂環構造含有重合体5の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(93.0/7.0)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.57部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体5を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.79%であった。
[製造例6](脂環構造含有重合体6の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(93.0/7.0)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.47部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体6を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.89%であった。
[製造例7](脂環構造含有重合体7の製造)
n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.53部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体7を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.90%であった。
【0066】
[製造例8](脂環構造含有重合体8の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(89.0/11.0)である混合モノマーに変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体8を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.99%であった。
[製造例9](脂環構造含有重合体9の製造)
n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.34部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体9を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.88%であった。
[製造例10](脂環構造含有重合体10の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(95.5/4.5)である混合モノマーを用いた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体10を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.90%であった。
[製造例11](脂環構造含有重合体11の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(95.5/4.5)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.37部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体11を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.78%であった。
[製造例12](脂環構造含有重合体12の製造)
n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から1.08部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体12を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.68%であった。
[製造例13](脂環構造含有重合体13の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(89.0/11.0)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.37部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体13を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.95%であった。
[製造例14](脂環構造含有重合体14の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(93.2/6.8)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から1.08部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体14を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.90%であった。
[製造例15](脂環構造含有重合体15の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(93.2/6.8)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.34部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体15を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.89%であった。
【0067】
[製造例16](脂環構造含有重合体16の製造)
(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(92.5/8.5)である混合モノマーの代わりに、(スチレン(St)/イソプレン(IP))=(90.0/10.0)である混合モノマーを用い、n−ブチルリチウム溶液の添加量を0.71部から0.225部に変えた以外は製造例1と同様にして脂環構造含有重合体16を得た。なお、重合転化率は99.99%、水素転化率は99.76%であり、特許文献2(特開2001−48924号公報)の製造例2に記載の重合体と同様の物性値であった。
[製造例17](脂環構造含有重合体17の製造)
十分に乾燥し窒素置換した、攪拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン320部、スチレンモノマー60部、及びジブチルエーテル0.38部を仕込み、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.36部を添加して重合反応を開始した。1時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレンモノマー8部とイソプレンモノマー12部とからなる混合モノマー20部を添加し、さらに1時間重合反応を行った後、反応溶液にイソプロピルアルコール0.2部を添加して反応を停止させた。得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=102,100、Mw/Mn=1.11であった。
次いで、製造例1と同様にして水素化反応を行い、脂環構造含有重合体17を得た。得られた脂環構造含有重合体のMwは85100、Mw/Mnは1.17、主鎖及び芳香環の水素化率は99.9%、Tgは126.5℃であり、特許文献1(特開2002−71964号公報)の製造例1に記載の脂環構造含有重合体と同様の物性値であった。
【0068】
[実施例1]
製造例1で得られた、脂環構造含有重合体1を、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、押し出し、ペレット化した。
得られたペレットを用いて、射出成形機[(株)日本製鋼所、J350EL|||460HA、型締力3,440kN]により、溶融樹脂温度275℃、金型温度80℃、射出1秒、射出後50MPaの保圧を7秒加え、その後冷却27秒、取り出し5秒、合計40秒の成形サイクルで、15インチ型導光板を射出成形した。
導光板の寸法は、縦230mm、横306mmであって、横306mm側の光入射面となる側面の厚さ2.0mm、光入射面と対向する側面の厚さ0.6mmであり、他の2側面は台形である。金型は、光入射面側にファンゲートを設け、光反射面は、光入射面と略垂直方向に、底面の幅30μm、高さ15μm、頂角90度の単位プリズムが密接して存在するプリズム面とし、その表面の算術平均粗さRaは0.01μmとした。光出射面には、直径5μm、高さ2.5μm、底面積19.6μm2の半球状の凸部を、底面積の合計が10,560mm2、すなわち光出射面の全表面積の15%になるように分散配置した。
得られた導光板を用いて、成形後の割れ試験、微細パターンの転写率、2,000時間照射による変形試験、搬送傷つき試験を行った。結果を表1に示す。
【0069】
[実施例2〜7]
脂環構造含有重合体1の代わりに、脂環構造含有重合体2〜7を用いる以外は実施例1と同様にして導光板2〜7を得た。得られた導光板を用いて、成形後の割れ試験、微細パターンの転写率、2,000時間照射による変形試験、搬送傷つき試験を行った。結果を表1に示す。
【0070】
[比較例1〜10]
脂環構造含有重合体1の代わりに、脂環構造含有重合体8〜17を用いる以外は実施例1と同様にして導光板8〜17を得た。得られた導光板を用いて、成形後の割れ試験、微細パターンの転写率、2,000時間照射による変形試験、搬送傷つき試験を行った。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1より以下の事がわかる。式(1)の構造を含む繰り返し単位が50重量%以上であり、ガラス転移温度が95〜115℃の範囲にありかつ重量平均分子量が50,000〜120,000の範囲にある脂環構造含有重合体からなる導光板は、成形後の割れがなく、微細パターン転写性、耐熱性、振動下での耐傷つき性に優れている(実施例1〜7)。それに対して、ガラス転移温度が95℃より低い脂環構造含有重合体からなる導光板は、耐熱性に劣る(比較例1、6)。ガラス転移温度が115℃より高い脂環構造含有重合体からなる導光板は、微細パターン転写性に劣る(比較例3、4、10(特許文献1の製造例1の重合体))。また、重量平均分子量が50,000より小さい脂環構造含有重合体からなる導光板は、微細パターン転写性に優れるものの、振動下での耐傷つき性が劣る(比較例5、7)。重量平均分子量が120,000より大きい脂環構造含有重合体からなる導光板は、微細パターン転写性に劣る(比較例2、8、9(特許文献2の製造例2の重合体))。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の導光板の一態様の模式的斜視図である。
【符号の説明】
【0074】
1:光入射面 2:光反射面 3:光出射面
4:側面 5:プリズム面 6:半球状の凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される構造を含む繰り返し単位を50重量%以上含有し、ガラス転移温度が95〜115℃の範囲にあり、かつ重量平均分子量が50,000〜120,000の範囲にある、脂環構造含有重合体からなる導光板。
【化1】

〔式(1)中、RからRは、それぞれ独立に、水素原子、鎖状炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基、アミド基、シリル基、および極性基で置換された鎖状炭化水素基を表し、nは1〜4の整数である。〕
【請求項2】
鉛筆硬度が2H〜4Hの範囲にある請求項1記載の導光板。
【請求項3】
前記脂環構造含有重合体が、
飽和炭化水素環を有するビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体及びそれを水素化した重合体、又は、
不飽和炭化水素環を有するビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体を水素化した重合体、
芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体を水素化した重合体、のいずれかであって、該脂環構造含有重合体の全単量体単位中、共役ジエン化合物由来の単量体単位の割合が、5〜9重量%である請求項1又は2記載の導光板。
【請求項4】
前記脂環構造含有重合体が、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との付加共重合体を水素化した重合体であって、芳香族ビニル化合物がスチレンであり、かつ共役ジエン化合物がイソプレンである請求項3記載の導光板。
【請求項5】
前記脂環構造含有重合体が、ランダム共重合体である請求項1乃至4のいずれかに記載の導光板。
【請求項6】
光入射面、光反射面及び光出射面を有し、光出射面に、平均底面積0.8〜78μm、平均高さ0.5μm以上、5μm未満の凸部又は平均開口部面積0.8〜78μm、平均深さ0.5μm以上、5μm未満の凹部を有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の導光板。

【図1】
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【公開番号】特開2006−189523(P2006−189523A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382974(P2004−382974)
【出願日】平成16年12月30日(2004.12.30)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】