導波器およびアンテナ
【課題】複数の導波器(導波素子)を備えたアンテナにおいて、利得の低下を抑制しつつ、アンテナの小型化および低コスト化を可能にする。
【解決手段】導波器2は、導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とを備える。導波素子11および導波素子12は第1の方向(Y方向)に延在するように形成され、かつ第2の方向(Z方向)に沿って並べられる。接続部13は第2の方向に延在するとともに導波素子11,12を接続する。導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とは、板状の導電体により一体的に形成される。
【解決手段】導波器2は、導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とを備える。導波素子11および導波素子12は第1の方向(Y方向)に延在するように形成され、かつ第2の方向(Z方向)に沿って並べられる。接続部13は第2の方向に延在するとともに導波素子11,12を接続する。導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とは、板状の導電体により一体的に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導波器およびアンテナに関し、特に、導波器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
放射器の前後に導波器および反射器を配置した構成を有する八木・宇田アンテナは、高利得および鋭い指向性という特徴を有するため、テレビ電波の受信用アンテナとして広く用いられている。実用的な八木・宇田アンテナは、一般に複数の導波器を備えている。
【0003】
複数の導波器を備える八木・宇田アンテナは、たとえば特開2008−47988号公報(特許文献1)に開示されている。この文献では、導波器として直線状(棒状)の導体が示されている。
【0004】
一方、4つの直線状の導体をX字状に組み合わせた構成を有する導波器も知られている。このような構成の導波器は、パラスタック導波器とも呼ばれている。また、パラスタック導波器を備えた八木・宇田アンテナは、パラスタックアンテナとも呼ばれている。パラスタックアンテナの場合にも、導波器の数を増やすことにより、アンテナの指向性が鋭くなるとともに利得が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−47988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図22は、従来の八木・宇田アンテナに用いられる導波器の例を説明するための図である。図22(A)は、従来の導波器の第1の例を示している。図22(B)は、従来の導波器の第2の例を示している。
【0007】
図22を参照して、第1の例は、パラスタック導波器であり、4本の導波素子102Aが樹脂パーツ110によってX字状に配置された状態で固定される。このパラスタック導波器をアンテナのブームに設置するためには、さらにブーム固定台が必要となる。したがって、1つのパラスタック導波器を構成するためには6つの部品が必要となる。
【0008】
従来のパラスタック導波器では多くの部品を要するため、部品全体のコストが高くなるだけでなく、導波器を組み立てるためのコストも高くなる。さらに、実用的な八木・宇田アンテナは一般に複数の導波器を備えているので、各々の導波器のコストの上昇がアンテナ全体のコストに大きく影響する。
【0009】
さらに従来のパラスタック導波器では、4本の直線状の導体がX字状に組みあわさるので導波器のサイズが大きくなるという課題も生じる。
【0010】
一方、第2の例では、1本の金属製の棒(あるいは管)が1つの導波器として用いられる。図22(B)に示されるように、導波器102Bとしての金属棒は、ブーム103にかしめて固定され、あるいはブーム固定台に固定される。
【0011】
図22(B)に示した構成によれば、1本の金属棒そのものが導波器であるので、導波器の構成部品の数を少なくすることができる。しかしながら、パラスタック導波器を用いた場合に比べて利得が低下する。導波器の数を増やすことによって利得を高めることは可能である。しかし、ブームの軸線方向のアンテナの全長が長くなる。
【0012】
このように、複数の導波器(導波素子)を備えた従来のアンテナ(代表的には八木・宇田アンテナ)の構成では、利得の低下を抑制しつつ、アンテナの小型化および低コスト化を図ることは困難であった。
【0013】
本発明は、上述の課題を解決するためのものであり、その目的は、複数の導波器(導波素子)を備えたアンテナにおいて、利得の低下を抑制しつつ、アンテナの小型化および低コスト化を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある局面に係る導波器は、アンテナに用いられる導波器であって、第1および第2の導波素子と、第1および第2の導波素子を接続するための接続部とを備える。第1および第2の導波素子は、互いに直交する第1および第2の方向のうちの第1の方向に沿って並べられ、かつ第2の方向に沿って延在するように各々形成される。第1および第2の導波素子ならびに接続部は、導電板によって一体的に形成される。
【0015】
好ましくは、導波器は、第1の取付部と、第2の取付部とをさらに備える。第1の取付部は、第1の導波素子から、第1および第2の方向の両方に垂直な第3の方向に突出するように形成される。第2の取付部は、第2の導波素子から、第3の方向に突出し、かつ第1の取付部と対向するように形成される。
【0016】
好ましくは、第1および第2の方向の各々は、導電板の主表面に平行な方向である。接続部から第2の方向に突出するように形成された、接続部に対する第1の導波素子の両側の部分および、接続部に対する第2の導波素子の両側の部分は、少なくとも、互いに逆向きに折り曲げられる。
【0017】
好ましくは、第1および第2の導波素子ならびに接続部は、同一平面上に配置される。
本発明の他の局面に係るアンテナは、上記のいずれかに記載された、少なくとも1つの導波器と、その少なくとも1つの導波器と並べて配置された放射器とを備える。
【0018】
好ましくは、アンテナは、放射器に対して導波器と反対側に配置された反射器をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の導波器(導波素子)を備えるアンテナにおいて、利得の低下を抑制しつつ、アンテナの小型化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1によるアンテナの上面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるアンテナの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1による導波器の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1による導波器の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1による導波器の下面図である。
【図6】本発明の実施の形態1による導波器を複数備えたアンテナ、およびその比較例の特性を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態2によるアンテナの上面図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるアンテナの側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2による導波器の上面図である。
【図10】本発明の実施の形態2による導波器の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態2による導波器の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態3によるアンテナの上面図である。
【図13】本発明の実施の形態3によるアンテナの側面図である。
【図14】本発明の実施の形態3による導波器の上面図である。
【図15】本発明の実施の形態3による導波器の側面図である。
【図16】本発明の実施の形態3によるアンテナの他の構成を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態1から実施の形態3の各々によるアンテナの利得、および、その比較例の利得を示した図である。
【図18】本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの上面図である。
【図19】本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの側面図である。
【図20】本発明の実施の形態の変形例による導波器の上面図である。
【図21】本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの他の構成を説明するための図である。
【図22】従来の八木・宇田アンテナに用いられる導波器の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1によるアンテナの上面図である。図2は、本発明の実施の形態1によるアンテナの側面図である。
【0023】
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態1によるアンテナ1は、いわゆる八木・宇田アンテナとして構成され、複数の導波器2と、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。複数の導波器2と、放射器4と、反射器5とは、ブーム3の軸線上に配置された状態でブーム3に取付けられる。複数の導波器2は、互いに適切な間隔を隔ててブーム3の軸線上に配置される。放射器4は、複数の導波器2と並べて配置される。反射器5は、放射器4に対して複数の導波器2と反対側に配置される。
【0024】
ブーム3はたとえば中空のパイプであり、その素材、断面形状等は特に限定されるものではない。なお、以後の説明では、ブーム3の断面形状は円形とする。
【0025】
本発明の実施の形態1によるアンテナ1は、たとえばUHF(Ultra High Frequency)帯のテレビ電波を受信するためのアンテナとして構成される。アンテナ1は、たとえば建造物の上に樹立させたマストの上方に装着される。
【0026】
図1および図2に示すアンテナ1の構成では、アンテナ1は8個の導波器2を備えている。ただし、導波器2は少なくとも1つあればよく、その個数は特に限定されるものではない。
【0027】
なお、図1および図2では、ブーム3の軸線方向をX方向と示す。また、図1に示したY方向および図2に示したZ方向は、ともにX方向に垂直な方向である。なおY方向およびZ方向は互いに垂直な方向である。X方向は、アンテナ1が受信すべき電波の到来方向となる。なお、以後に説明する図に示されるX方向、Y方向およびZ方向についても上記の通りであるので、X方向、Y方向およびZ方向の定義に関する説明は、これ以後繰返さないものとする。
【0028】
次に、本発明の実施の形態1による導波器についてより詳しく説明する。図3は、本発明の実施の形態1による導波器の正面図である。図4は、本発明の実施の形態1による導波器の側面図である。図5は、本発明の実施の形態1による導波器の下面図である。
【0029】
図3〜図5を参照して、導波器2は、導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とを備える。導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とは、導電板により一体的に形成される。導波器2は、たとえば板金をプレス加工することによって形成される。
【0030】
導波素子11および導波素子12は第1の方向に沿って並べられる。導波素子11および導波素子12は、その第1の方向に垂直な第2の方向に延在するように形成される。具体的には、導波器2がブーム3に取付けられた状態において、導波素子11および導波素子12はZ方向に沿って並べられ、かつY方向に延在する。接続部13は、導波素子11,12を接続する。
【0031】
取付部14,15は、ブーム3を挟むことによって導波器2をブーム3に取付ける。図4に示すように、取付部14はX方向に沿って導波素子11から突出するように形成されるとともに、取付部15はX方向に沿って導波素子12から突出し、かつ取付部14と対向するように形成される。
【0032】
取付部14のうちの導波素子11から突出した部分に貫通孔が形成されるとともに、取付部15のうちの導波素子12から突出した部分に貫通孔が形成される。さらにブーム3の管壁にも、取付部14の貫通孔および取付部15の貫通孔に対応して、その管壁を貫通する貫通孔が形成される。ボルト21を取付部14の貫通孔、ブーム3の貫通孔および取付部15の貫通孔を通し、かつ、ナット22をボルト21に締結することで、導波器2がブーム3に固定される。
【0033】
この実施の形態では、導波器2はボルト21およびナット22によってブーム3に固定される。しかしながら、ボルトおよびナット以外の手段によって導波器2をブーム3に固定してもよい。たとえば取付部14,15の間隔を適切に定めることにより、取付部14,15がブーム3を挟むだけで導波器2がブーム3に固定されてもよい。
【0034】
本発明の実施の形態1によれば、上記の構成によって、図22(A)に示したパラスタック導波器よりも小型化された導波器を実現できる。これにより複数の導波器を備えるアンテナの小型化および軽量化を図ることができる。
【0035】
さらに、本発明の実施の形態1によれば、複数の導波素子を有する導波器を1枚の金属板によって形成できるので、導波器の部品点数を少なくすることができる。従来のパラスタック導波器の場合には4本の導波素子と、それら4本の導波素子を固定するための樹脂パーツおよび、その樹脂パーツをブームに固定するための固定台の合計6つの部品が必要である。これに対して本発明の実施の形態1では、導波器2は、2つの導波素子11,12を有しているが、1枚の金属板によって形成されるため、部品点数が1となる。したがって本発明の実施の形態1によれば、複数の導波素子を備える導波器のコストを低減でき、その結果、アンテナのコストを低減できる。
【0036】
さらに本発明の実施の形態1によれば、導波器の個数が同じであれば、直線状の導波器(図22(B)参照)を備えた従来の八木・宇田アンテナよりも高い利得を達成することができる。
【0037】
図6は、本発明の実施の形態1による導波器を複数備えたアンテナ、およびその比較例の特性を示した図である。図6を参照して、グラフ上の線A1は、本発明の実施の形態1による導波器2を7つ備える9素子アンテナの利得を示す。グラフ上の線A2は、本発明の実施の形態1の第1の比較例によるアンテナの利得であり、パラスタック導波器を7つ備える9素子アンテナの利得を示す。グラフ上の線A3は、本発明の実施の形態1の第2の比較例によるアンテナの利得であり、棒状の導波器を8つ備える10素子アンテナの利得を示す。アンテナの性能としては利得が高いほど好ましい。
【0038】
グラフ上の線B1は、本発明の実施の形態1による上記9素子アンテナのVSWR(Voltage standing wave ratio)を示す。グラフ上の線B2は、上記の第1の比較例によるアンテナのVSWRを示す。グラフ上の線B2は、上記の第2の比較例によるアンテナのVSWRを示す。アンテナの性能としてはVSWRが低いほど好ましい。
【0039】
上記の本発明の実施の形態1によるアンテナ、その第1の比較例および第2の比較例は、いずれもUHFアンテナである。図6に示した周波数範囲は、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯(470〜770MHz)を含むものであり、特に日本における地上デジタル放送の周波数帯(470〜710MHz)を含んでいる。
【0040】
線A1,A3を比較すると、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯では、本発明の実施の形態1によるアンテナの利得が、第2の比較例のアンテナよりも総じて高い。また線A1,A2を比較すると、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯では、本発明の実施の形態1によるアンテナの利得は、第1の比較例のアンテナの利得よりも0.5dBの差しかなく、ほぼ同等の利得を得られることが分かる。
【0041】
線A1,A3の比較から分かるように、本発明の実施の形態1によれば、直線状の導波素子を複数備える従来の八木・宇田アンテナよりも素子数を少なくしつつ高利得を得ることができる。また、線A1,A2の比較から分かるように、本発明の実施の形態1によれば、パラスタックアンテナよりも小型でありながらほぼ同等の利得を得ることができる。
【0042】
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、導波器2は、導波素子11,12と、導波素子を接続するための接続部13とを備える。導波素子11,12は、互いに直交する第1および第2の方向のうちの第1の方向(Z方向)に沿って並べられ、かつ第2の方向(Y方向)に沿って延在するように各々形成される。導波素子11,12および接続部13は、導電板によって一体化される。本発明の実施の形態1によれば、このような構成によって、導波器の小型化、軽量化およびコスト低減を図ることができるので、複数の導波器(導波素子)素子を備えるアンテナの小型化、軽量化および低コスト化を図ることができる。さらに、図6に示されるように、本発明の実施の形態1によるアンテナは、パラスタックアンテナと同等の利得を達成できるので、小型化しても利得の低下を抑制できる。
【0043】
なお、図22(B)に示した構成の場合、アンテナを軽くするために金属製の管(たとえばアルミパイプ)が導波器に用いられることが多い。強い風が吹いた場合には、アルミパイプの内部で空気が振動することによって、アルミパイプが笛のように鳴ることが起こる。このときに発生する音がユーザにとって耳障りとなる可能性がある。本発明の実施の形態1では、導波器2が導電板によって形成されるため、強い風が吹いたときに、笛の鳴る音に似た音が発生することを防止するという効果も得られる。
【0044】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2によるアンテナの上面図である。図8は、本発明の実施の形態2によるアンテナの側面図である。
【0045】
図7および図8を参照して、本発明の実施の形態2によるアンテナ1Aは、導波器2Aと、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。実施の形態1と実施の形態2とでは導波器の形状が異なる。この点においてアンテナ1Aは、本発明の実施の形態1によるアンテナ1と異なる。アンテナ1Aの他の部分の構成は、アンテナ1の対応する部分の構成と同様である。
【0046】
次に図9〜図11を参照して、本発明の実施の形態2による導波器についてより詳しく説明する。図9は、本発明の実施の形態2による導波器の上面図である。図10は、本発明の実施の形態2による導波器の側面図である。図11は、本発明の実施の形態2による導波器の正面図である。
【0047】
図9〜図11に示されるように、導波器2Aは、導波素子31〜34と、接続部35A,35B,35Cとを含む。実施の形態1と同様に、導波素子31〜34と、接続部35A,35B,35Cとは1枚の導体板によって一体的に形成される。
【0048】
ブーム3に導波器2Aを取付けた状態では、導波素子31〜34はX方向に沿って並べられ、かつ、Y方向に延在する。実施の形態2においては、X方向およびY方向の各々は、導波器2Aとして形成された導電板の主表面に平行な方向である。
【0049】
接続部35Aは導波素子31,32を接続する。接続部35Bは導波素子32,33を接続する。接続部35Cは導波素子33,34を接続する。
【0050】
導波器2A(導体板)の2箇所に、導体板の厚み方向に導体板を貫通する貫通孔が形成される。その2箇所のうちの一方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト37が通され、ボルト37がナット38と締結される。同様に、上記導波器2A(導体板)の他方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト39が通され、ボルト39がナット40と締結される。
【0051】
図9〜図11に示されるように、導波素子31は、接続部35Aから+Y方向に突出するように形成された部分と、接続部35Aから−Y方向に突出するように形成された部分とを有している。導波素子31において接続部35Aから+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子31の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。導波素子31において接続部35Aから−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子31の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0052】
導波素子32は、接続部35A(35B)から+Y方向に突出するように形成された部分と、接続部35A(35B)から−Y方向に突出するように形成された部分とを有している。導波素子32において接続部35A(35B)から+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子32の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。導波素子32において接続部35A(35B)から−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子32の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0053】
導波素子33についても導波素子31と同様に、接続部35B(35C)から+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子33の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。一方、導波素子33において接続部35B(35C)から−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子33の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0054】
また、導波素子34についても導波素子32と同様に、接続部35Cから+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子34の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。導波素子34において接続部35Cから−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子34の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0055】
+Z方向および−Z方向は、互いに逆向きであり、かつ図8に示したZ方向と平行な方向である。より具体的には、+Z方向および−Z方向は、導波器2Aとして形成された導電板の主表面に垂直な方向である。+Y方向および−Y方向は、互いに逆向きであり、かつ図7に示したY方向と平行な方向であり、かつX方向に直交する方向である。すなわち、本発明の実施の形態2では、接続部からY方向に突出するように形成された、接続部に対する第1の導波素子の両側の部分および、接続部に対する第2の導波素子の両側の部分は、少なくとも、互いに逆向きに折り曲げられる。
【0056】
本発明の実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、複数の導波素子およびそれらを接続する接続部が一体的に形成される。したがって実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
さらに本発明の実施の形態2によれば、X方向に隣り合う2つの導波素子が互いに逆向き(+Z方向および−Z方向)に折り曲げられる。したがって、隣り合う2つの導波素子の間隔(特にZ方向の間隔)を広げることができる。これにより、隣り合う2つの導波素子の一方の動作が他方の動作に影響を及ぼすことを抑制しつつ、それら2つの導波素子を近づけて配置することができる。したがって本発明の実施の形態2によれば、複数の導波素子を備える導波器を一層小型化できる。
【0058】
なお、図7〜11に示した導波器2Aは4つの導波素子を備えているが、導波素子の数は複数であれば特に限定されるものではない。また、X方向に隣り合う2つの導波素子が互いに逆向きに折り曲げられていればよいので、各導波素子の両側の部分は少なくとも1回折り曲げられていればよく、2回折り曲げることが必要と限定されるものではない。
【0059】
[実施の形態3]
図12は、本発明の実施の形態3によるアンテナの上面図である。図13は、本発明の実施の形態3によるアンテナの側面図である。
【0060】
図12および図13を参照して、本発明の実施の形態3によるアンテナ1Bは、導波器2Bと、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。実施の形態2と実施の形態3とでは導波器の形状が異なる。この点においてアンテナ1Bは、本発明の実施の形態2によるアンテナ1Aと異なる。アンテナ1Bの他の部分の構成は、アンテナ1Aの対応する部分の構成と同様である。
【0061】
次に図14および図15を参照して、本発明の実施の形態3による導波器についてより詳しく説明する。図14は、本発明の実施の形態3による導波器の上面図である。図15は、本発明の実施の形態3による導波器の側面図である。
【0062】
導波器2Bは、導波素子31A〜34Aと、接続部35A1,35B1,35C1とを含む。導波素子31A〜34Aと、接続部35A1,35B1,35C1とは1枚の導体板によって一体的に形成される。
【0063】
導波器2Bと導波器2Aとを比較すると、導波器2Bは、導波素子31A〜34Aが+Z方向あるいは−Z方向に折り曲げられていない点において導波器2Aと異なる。すなわち導波素子31A〜34Aと、接続部35A1,35B1,35C1とは同一平面上に配置される。
【0064】
導波器2Bのその他の部分の構成は導波器2Aの対応する部分の構成と同様である。すなわちブーム3に導波器2Bを取付けた状態では、導波素子31A〜34AはX方向に沿って並べられ、かつ、Y方向に延在する。接続部35A1は導波素子31A,32Aを接続する。接続部35B1は導波素子32A,33Aを接続する。接続部35C1は導波素子33A,34Aを接続する。
【0065】
図16に示すように、アンテナ1Bは、導波器2Bだけでなく、導波器2Bと同じ構成を有する導波器2B1を備えることもできる。導波器2B,2B1は、ブーム3を挟んで対向するように配置される。導波器2B,2B1は、ともにボルト37,39およびナット38,40によってブーム3に固定される。
【0066】
図17は、本発明の実施の形態1から実施の形態3の各々によるアンテナの利得、および、その比較例の利得を示した図である。図17を参照して、グラフ上の線C1は、実施の形態1によるアンテナ1において、導波器2の個数を4個とした構成での利得を示す。なお、この構成では、導波器全体のX方向の長さは約140mmであった。
【0067】
グラフ上の線C2は、実施の形態2によるアンテナ1Aにおいて、導波器2AのX方向の長さを約40mmとした構成での利得を示す。
【0068】
グラフ上の線C3は、実施の形態3によるアンテナ1Bにおいて、導波器2BのX方向の長さを約115mmとした構成での利得を示す。
【0069】
グラフ上の線C4は、直線状の導波素子の個数を1とした従来構成の八木・宇田アンテナでの利得を示す。なお、上記4つのアンテナの各々は、いずれもUHFアンテナとして構成されたものである。
【0070】
線C1〜C4に示されるように、本発明の実施の形態1から3のいずれのアンテナも従来の八木・宇田アンテナより高利得を達成できる。たとえば470〜710(MHz)の周波数帯域で線C1とC4とを比較すると、実施の形態3によるアンテナの構成において導波器2BのX方向の長さを約100mmとすることにより、従来の八木・宇田アンテナの利得よりも約1(dB)高い利得を得ることができる。
【0071】
従来の八木・宇田アンテナの構成では、アンテナの利得を1(dB)高めるためには、導波器の数を増やさなければならない。導波器の数を増やすことによってブームの軸線方向にアンテナが長くなるため、アンテナ全体のサイズが大きくなる。
【0072】
これに対して、本発明の実施の形態3によれば、アンテナのサイズの増加を抑制しつつ利得を高めることができる。すなわち本発明の実施の形態3によれば、アンテナを小型化しても利得の低下を抑制することができる。
【0073】
さらに本発明の実施の形態3によれば、たとえば板金をプレス加工によって所望の形状に加工するだけで導波器を製造できる。したがって本発明の実施の形態3によれば、実施の形態1および実施の形態2に比較して、製造コストを低減することが可能となる。
【0074】
[変形例]
図18は、本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの上面図である。図19は、本発明の実施の変形例によるアンテナの側面図である。
【0075】
図18および図19を参照して、本発明の実施の形態の変形例によるアンテナ1Cは、導波器2Cと、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。実施の形態1〜3とこの変形例とでは導波器の形状が異なる。この点においてアンテナ1Cは本発明の実施の形態1によるアンテナ1と異なる。アンテナ1Cの他の部分の構成は、アンテナ1の対応する部分の構成と同様である。
【0076】
図20は、本発明の実施の形態の変形例による導波器の上面図である。図20を参照して、導波器2Cは、一枚の導電板によって形成される。
【0077】
導波器2C(導体板)の2箇所に、導体板の厚み方向に導体板を貫通する貫通孔が形成される。その2箇所のうちの一方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト47が通され、ボルト47がナット(図示せず)と締結される。同様に、上記導波器2C(導体板)の他方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト49が通され、ボルト49がナット(図示せず)と締結される。
【0078】
本発明の実施の形態3による導波器2Bでは、2つの導波素子が接続部によって接続されているものの、これら2つの導波素子の間には隙間が存在する。これに対して本発明の実施の形態の変形例によれば、1枚の導電板を所望の形状に加工することによって導波器2Cが形成される。
【0079】
また、図21に示すように、アンテナ1Cは、導波器2Cだけでなく、導波器2Cと同じ構成を有する導波器2C1を備えることもできる。導波器2C,2C1は、ブーム3を挟んで対向するように配置される。導波器2C,2C1は、ともにボルト47とナット48およびボルト49とナット50とによってブーム3に固定される。
【0080】
本発明の実施の形態2または実施の形態3によるアンテナでは、2つの導波素子が接続部によって接続されているものの、これら2つの導波素子の間には隙間が存在する。このような構成の場合、水滴(雨あるいは雪など)が導波器に付着することによってアンテナの共振周波数が変動する可能性が考えられる。この変形例によれば、1枚の導電板を所望の形状に加工することによって導波器2Cが形成される。すなわち導波器2Cは板状である。
【0081】
これにより本発明の実施の形態の変形例によれば、実施の形態1による効果に加えて、水滴(雨あるいは雪など)が導波器に付着してもアンテナの性能の変動(アンテナの共振周波数の変動)を抑制することができるという効果も得ることができる。
【0082】
なお、上記の各実施の形態では、アンテナの周波数帯域をUHF帯として説明したが、本発明のアンテナの使用周波数帯はUHF帯に限定されるものではない。たとえば本発明のアンテナの使用周波数帯はVHF(Very High Frequency)帯でもよい。
【0083】
また、上記の各実施の形態では、本発明のアンテナの一実施形態として受信アンテナを例示したが、本発明によるアンテナは受信アンテナにのみ適用されるものと限定されず、送信アンテナにも適用可能である。
【0084】
また、上記の各実施の形態では、アンテナは反射器を備えるよう構成される。ただし、本発明によるアンテナは、反射器を含まず、導波器および放射器によって構成されていてもよい。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1,1A〜1C アンテナ、2,2A〜2C,2B1,2C1,102B 導波器、3,103 ブーム、4 放射器、5 反射器、11,12,31〜34,31A〜34A,102A 導波素子、13,35A〜35C,35A1,35B1,35C1 接続部、14,15 取付部、21,37,39,47,49 ボルト、22,38,40,48,50 ナット、110 樹脂パーツ。
【技術分野】
【0001】
本発明は導波器およびアンテナに関し、特に、導波器の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
放射器の前後に導波器および反射器を配置した構成を有する八木・宇田アンテナは、高利得および鋭い指向性という特徴を有するため、テレビ電波の受信用アンテナとして広く用いられている。実用的な八木・宇田アンテナは、一般に複数の導波器を備えている。
【0003】
複数の導波器を備える八木・宇田アンテナは、たとえば特開2008−47988号公報(特許文献1)に開示されている。この文献では、導波器として直線状(棒状)の導体が示されている。
【0004】
一方、4つの直線状の導体をX字状に組み合わせた構成を有する導波器も知られている。このような構成の導波器は、パラスタック導波器とも呼ばれている。また、パラスタック導波器を備えた八木・宇田アンテナは、パラスタックアンテナとも呼ばれている。パラスタックアンテナの場合にも、導波器の数を増やすことにより、アンテナの指向性が鋭くなるとともに利得が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−47988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図22は、従来の八木・宇田アンテナに用いられる導波器の例を説明するための図である。図22(A)は、従来の導波器の第1の例を示している。図22(B)は、従来の導波器の第2の例を示している。
【0007】
図22を参照して、第1の例は、パラスタック導波器であり、4本の導波素子102Aが樹脂パーツ110によってX字状に配置された状態で固定される。このパラスタック導波器をアンテナのブームに設置するためには、さらにブーム固定台が必要となる。したがって、1つのパラスタック導波器を構成するためには6つの部品が必要となる。
【0008】
従来のパラスタック導波器では多くの部品を要するため、部品全体のコストが高くなるだけでなく、導波器を組み立てるためのコストも高くなる。さらに、実用的な八木・宇田アンテナは一般に複数の導波器を備えているので、各々の導波器のコストの上昇がアンテナ全体のコストに大きく影響する。
【0009】
さらに従来のパラスタック導波器では、4本の直線状の導体がX字状に組みあわさるので導波器のサイズが大きくなるという課題も生じる。
【0010】
一方、第2の例では、1本の金属製の棒(あるいは管)が1つの導波器として用いられる。図22(B)に示されるように、導波器102Bとしての金属棒は、ブーム103にかしめて固定され、あるいはブーム固定台に固定される。
【0011】
図22(B)に示した構成によれば、1本の金属棒そのものが導波器であるので、導波器の構成部品の数を少なくすることができる。しかしながら、パラスタック導波器を用いた場合に比べて利得が低下する。導波器の数を増やすことによって利得を高めることは可能である。しかし、ブームの軸線方向のアンテナの全長が長くなる。
【0012】
このように、複数の導波器(導波素子)を備えた従来のアンテナ(代表的には八木・宇田アンテナ)の構成では、利得の低下を抑制しつつ、アンテナの小型化および低コスト化を図ることは困難であった。
【0013】
本発明は、上述の課題を解決するためのものであり、その目的は、複数の導波器(導波素子)を備えたアンテナにおいて、利得の低下を抑制しつつ、アンテナの小型化および低コスト化を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある局面に係る導波器は、アンテナに用いられる導波器であって、第1および第2の導波素子と、第1および第2の導波素子を接続するための接続部とを備える。第1および第2の導波素子は、互いに直交する第1および第2の方向のうちの第1の方向に沿って並べられ、かつ第2の方向に沿って延在するように各々形成される。第1および第2の導波素子ならびに接続部は、導電板によって一体的に形成される。
【0015】
好ましくは、導波器は、第1の取付部と、第2の取付部とをさらに備える。第1の取付部は、第1の導波素子から、第1および第2の方向の両方に垂直な第3の方向に突出するように形成される。第2の取付部は、第2の導波素子から、第3の方向に突出し、かつ第1の取付部と対向するように形成される。
【0016】
好ましくは、第1および第2の方向の各々は、導電板の主表面に平行な方向である。接続部から第2の方向に突出するように形成された、接続部に対する第1の導波素子の両側の部分および、接続部に対する第2の導波素子の両側の部分は、少なくとも、互いに逆向きに折り曲げられる。
【0017】
好ましくは、第1および第2の導波素子ならびに接続部は、同一平面上に配置される。
本発明の他の局面に係るアンテナは、上記のいずれかに記載された、少なくとも1つの導波器と、その少なくとも1つの導波器と並べて配置された放射器とを備える。
【0018】
好ましくは、アンテナは、放射器に対して導波器と反対側に配置された反射器をさらに備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、複数の導波器(導波素子)を備えるアンテナにおいて、利得の低下を抑制しつつ、アンテナの小型化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1によるアンテナの上面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるアンテナの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態1による導波器の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態1による導波器の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1による導波器の下面図である。
【図6】本発明の実施の形態1による導波器を複数備えたアンテナ、およびその比較例の特性を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態2によるアンテナの上面図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるアンテナの側面図である。
【図9】本発明の実施の形態2による導波器の上面図である。
【図10】本発明の実施の形態2による導波器の側面図である。
【図11】本発明の実施の形態2による導波器の正面図である。
【図12】本発明の実施の形態3によるアンテナの上面図である。
【図13】本発明の実施の形態3によるアンテナの側面図である。
【図14】本発明の実施の形態3による導波器の上面図である。
【図15】本発明の実施の形態3による導波器の側面図である。
【図16】本発明の実施の形態3によるアンテナの他の構成を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態1から実施の形態3の各々によるアンテナの利得、および、その比較例の利得を示した図である。
【図18】本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの上面図である。
【図19】本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの側面図である。
【図20】本発明の実施の形態の変形例による導波器の上面図である。
【図21】本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの他の構成を説明するための図である。
【図22】従来の八木・宇田アンテナに用いられる導波器の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1によるアンテナの上面図である。図2は、本発明の実施の形態1によるアンテナの側面図である。
【0023】
図1および図2を参照して、本発明の実施の形態1によるアンテナ1は、いわゆる八木・宇田アンテナとして構成され、複数の導波器2と、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。複数の導波器2と、放射器4と、反射器5とは、ブーム3の軸線上に配置された状態でブーム3に取付けられる。複数の導波器2は、互いに適切な間隔を隔ててブーム3の軸線上に配置される。放射器4は、複数の導波器2と並べて配置される。反射器5は、放射器4に対して複数の導波器2と反対側に配置される。
【0024】
ブーム3はたとえば中空のパイプであり、その素材、断面形状等は特に限定されるものではない。なお、以後の説明では、ブーム3の断面形状は円形とする。
【0025】
本発明の実施の形態1によるアンテナ1は、たとえばUHF(Ultra High Frequency)帯のテレビ電波を受信するためのアンテナとして構成される。アンテナ1は、たとえば建造物の上に樹立させたマストの上方に装着される。
【0026】
図1および図2に示すアンテナ1の構成では、アンテナ1は8個の導波器2を備えている。ただし、導波器2は少なくとも1つあればよく、その個数は特に限定されるものではない。
【0027】
なお、図1および図2では、ブーム3の軸線方向をX方向と示す。また、図1に示したY方向および図2に示したZ方向は、ともにX方向に垂直な方向である。なおY方向およびZ方向は互いに垂直な方向である。X方向は、アンテナ1が受信すべき電波の到来方向となる。なお、以後に説明する図に示されるX方向、Y方向およびZ方向についても上記の通りであるので、X方向、Y方向およびZ方向の定義に関する説明は、これ以後繰返さないものとする。
【0028】
次に、本発明の実施の形態1による導波器についてより詳しく説明する。図3は、本発明の実施の形態1による導波器の正面図である。図4は、本発明の実施の形態1による導波器の側面図である。図5は、本発明の実施の形態1による導波器の下面図である。
【0029】
図3〜図5を参照して、導波器2は、導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とを備える。導波素子11,12と、接続部13と、取付部14,15とは、導電板により一体的に形成される。導波器2は、たとえば板金をプレス加工することによって形成される。
【0030】
導波素子11および導波素子12は第1の方向に沿って並べられる。導波素子11および導波素子12は、その第1の方向に垂直な第2の方向に延在するように形成される。具体的には、導波器2がブーム3に取付けられた状態において、導波素子11および導波素子12はZ方向に沿って並べられ、かつY方向に延在する。接続部13は、導波素子11,12を接続する。
【0031】
取付部14,15は、ブーム3を挟むことによって導波器2をブーム3に取付ける。図4に示すように、取付部14はX方向に沿って導波素子11から突出するように形成されるとともに、取付部15はX方向に沿って導波素子12から突出し、かつ取付部14と対向するように形成される。
【0032】
取付部14のうちの導波素子11から突出した部分に貫通孔が形成されるとともに、取付部15のうちの導波素子12から突出した部分に貫通孔が形成される。さらにブーム3の管壁にも、取付部14の貫通孔および取付部15の貫通孔に対応して、その管壁を貫通する貫通孔が形成される。ボルト21を取付部14の貫通孔、ブーム3の貫通孔および取付部15の貫通孔を通し、かつ、ナット22をボルト21に締結することで、導波器2がブーム3に固定される。
【0033】
この実施の形態では、導波器2はボルト21およびナット22によってブーム3に固定される。しかしながら、ボルトおよびナット以外の手段によって導波器2をブーム3に固定してもよい。たとえば取付部14,15の間隔を適切に定めることにより、取付部14,15がブーム3を挟むだけで導波器2がブーム3に固定されてもよい。
【0034】
本発明の実施の形態1によれば、上記の構成によって、図22(A)に示したパラスタック導波器よりも小型化された導波器を実現できる。これにより複数の導波器を備えるアンテナの小型化および軽量化を図ることができる。
【0035】
さらに、本発明の実施の形態1によれば、複数の導波素子を有する導波器を1枚の金属板によって形成できるので、導波器の部品点数を少なくすることができる。従来のパラスタック導波器の場合には4本の導波素子と、それら4本の導波素子を固定するための樹脂パーツおよび、その樹脂パーツをブームに固定するための固定台の合計6つの部品が必要である。これに対して本発明の実施の形態1では、導波器2は、2つの導波素子11,12を有しているが、1枚の金属板によって形成されるため、部品点数が1となる。したがって本発明の実施の形態1によれば、複数の導波素子を備える導波器のコストを低減でき、その結果、アンテナのコストを低減できる。
【0036】
さらに本発明の実施の形態1によれば、導波器の個数が同じであれば、直線状の導波器(図22(B)参照)を備えた従来の八木・宇田アンテナよりも高い利得を達成することができる。
【0037】
図6は、本発明の実施の形態1による導波器を複数備えたアンテナ、およびその比較例の特性を示した図である。図6を参照して、グラフ上の線A1は、本発明の実施の形態1による導波器2を7つ備える9素子アンテナの利得を示す。グラフ上の線A2は、本発明の実施の形態1の第1の比較例によるアンテナの利得であり、パラスタック導波器を7つ備える9素子アンテナの利得を示す。グラフ上の線A3は、本発明の実施の形態1の第2の比較例によるアンテナの利得であり、棒状の導波器を8つ備える10素子アンテナの利得を示す。アンテナの性能としては利得が高いほど好ましい。
【0038】
グラフ上の線B1は、本発明の実施の形態1による上記9素子アンテナのVSWR(Voltage standing wave ratio)を示す。グラフ上の線B2は、上記の第1の比較例によるアンテナのVSWRを示す。グラフ上の線B2は、上記の第2の比較例によるアンテナのVSWRを示す。アンテナの性能としてはVSWRが低いほど好ましい。
【0039】
上記の本発明の実施の形態1によるアンテナ、その第1の比較例および第2の比較例は、いずれもUHFアンテナである。図6に示した周波数範囲は、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯(470〜770MHz)を含むものであり、特に日本における地上デジタル放送の周波数帯(470〜710MHz)を含んでいる。
【0040】
線A1,A3を比較すると、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯では、本発明の実施の形態1によるアンテナの利得が、第2の比較例のアンテナよりも総じて高い。また線A1,A2を比較すると、日本におけるUHFテレビ放送の周波数帯では、本発明の実施の形態1によるアンテナの利得は、第1の比較例のアンテナの利得よりも0.5dBの差しかなく、ほぼ同等の利得を得られることが分かる。
【0041】
線A1,A3の比較から分かるように、本発明の実施の形態1によれば、直線状の導波素子を複数備える従来の八木・宇田アンテナよりも素子数を少なくしつつ高利得を得ることができる。また、線A1,A2の比較から分かるように、本発明の実施の形態1によれば、パラスタックアンテナよりも小型でありながらほぼ同等の利得を得ることができる。
【0042】
以上のように、本発明の実施の形態1によれば、導波器2は、導波素子11,12と、導波素子を接続するための接続部13とを備える。導波素子11,12は、互いに直交する第1および第2の方向のうちの第1の方向(Z方向)に沿って並べられ、かつ第2の方向(Y方向)に沿って延在するように各々形成される。導波素子11,12および接続部13は、導電板によって一体化される。本発明の実施の形態1によれば、このような構成によって、導波器の小型化、軽量化およびコスト低減を図ることができるので、複数の導波器(導波素子)素子を備えるアンテナの小型化、軽量化および低コスト化を図ることができる。さらに、図6に示されるように、本発明の実施の形態1によるアンテナは、パラスタックアンテナと同等の利得を達成できるので、小型化しても利得の低下を抑制できる。
【0043】
なお、図22(B)に示した構成の場合、アンテナを軽くするために金属製の管(たとえばアルミパイプ)が導波器に用いられることが多い。強い風が吹いた場合には、アルミパイプの内部で空気が振動することによって、アルミパイプが笛のように鳴ることが起こる。このときに発生する音がユーザにとって耳障りとなる可能性がある。本発明の実施の形態1では、導波器2が導電板によって形成されるため、強い風が吹いたときに、笛の鳴る音に似た音が発生することを防止するという効果も得られる。
【0044】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2によるアンテナの上面図である。図8は、本発明の実施の形態2によるアンテナの側面図である。
【0045】
図7および図8を参照して、本発明の実施の形態2によるアンテナ1Aは、導波器2Aと、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。実施の形態1と実施の形態2とでは導波器の形状が異なる。この点においてアンテナ1Aは、本発明の実施の形態1によるアンテナ1と異なる。アンテナ1Aの他の部分の構成は、アンテナ1の対応する部分の構成と同様である。
【0046】
次に図9〜図11を参照して、本発明の実施の形態2による導波器についてより詳しく説明する。図9は、本発明の実施の形態2による導波器の上面図である。図10は、本発明の実施の形態2による導波器の側面図である。図11は、本発明の実施の形態2による導波器の正面図である。
【0047】
図9〜図11に示されるように、導波器2Aは、導波素子31〜34と、接続部35A,35B,35Cとを含む。実施の形態1と同様に、導波素子31〜34と、接続部35A,35B,35Cとは1枚の導体板によって一体的に形成される。
【0048】
ブーム3に導波器2Aを取付けた状態では、導波素子31〜34はX方向に沿って並べられ、かつ、Y方向に延在する。実施の形態2においては、X方向およびY方向の各々は、導波器2Aとして形成された導電板の主表面に平行な方向である。
【0049】
接続部35Aは導波素子31,32を接続する。接続部35Bは導波素子32,33を接続する。接続部35Cは導波素子33,34を接続する。
【0050】
導波器2A(導体板)の2箇所に、導体板の厚み方向に導体板を貫通する貫通孔が形成される。その2箇所のうちの一方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト37が通され、ボルト37がナット38と締結される。同様に、上記導波器2A(導体板)の他方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト39が通され、ボルト39がナット40と締結される。
【0051】
図9〜図11に示されるように、導波素子31は、接続部35Aから+Y方向に突出するように形成された部分と、接続部35Aから−Y方向に突出するように形成された部分とを有している。導波素子31において接続部35Aから+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子31の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。導波素子31において接続部35Aから−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子31の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0052】
導波素子32は、接続部35A(35B)から+Y方向に突出するように形成された部分と、接続部35A(35B)から−Y方向に突出するように形成された部分とを有している。導波素子32において接続部35A(35B)から+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子32の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。導波素子32において接続部35A(35B)から−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子32の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0053】
導波素子33についても導波素子31と同様に、接続部35B(35C)から+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子33の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。一方、導波素子33において接続部35B(35C)から−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子33の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、+Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0054】
また、導波素子34についても導波素子32と同様に、接続部35Cから+Y方向に突出するように形成された部分は、+Y方向に沿って導波素子34の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち+Y方向)に延在するように折り曲げられる。導波素子34において接続部35Cから−Y方向に突出するように形成された部分は、−Y方向に沿って導波素子34の中央部(ブーム3上に位置する部分)から先端部に向かうに従い、−Z方向に折り曲げられ、さらに水平方向(すなわち−Y方向)に延在するように折り曲げられる。
【0055】
+Z方向および−Z方向は、互いに逆向きであり、かつ図8に示したZ方向と平行な方向である。より具体的には、+Z方向および−Z方向は、導波器2Aとして形成された導電板の主表面に垂直な方向である。+Y方向および−Y方向は、互いに逆向きであり、かつ図7に示したY方向と平行な方向であり、かつX方向に直交する方向である。すなわち、本発明の実施の形態2では、接続部からY方向に突出するように形成された、接続部に対する第1の導波素子の両側の部分および、接続部に対する第2の導波素子の両側の部分は、少なくとも、互いに逆向きに折り曲げられる。
【0056】
本発明の実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、複数の導波素子およびそれらを接続する接続部が一体的に形成される。したがって実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0057】
さらに本発明の実施の形態2によれば、X方向に隣り合う2つの導波素子が互いに逆向き(+Z方向および−Z方向)に折り曲げられる。したがって、隣り合う2つの導波素子の間隔(特にZ方向の間隔)を広げることができる。これにより、隣り合う2つの導波素子の一方の動作が他方の動作に影響を及ぼすことを抑制しつつ、それら2つの導波素子を近づけて配置することができる。したがって本発明の実施の形態2によれば、複数の導波素子を備える導波器を一層小型化できる。
【0058】
なお、図7〜11に示した導波器2Aは4つの導波素子を備えているが、導波素子の数は複数であれば特に限定されるものではない。また、X方向に隣り合う2つの導波素子が互いに逆向きに折り曲げられていればよいので、各導波素子の両側の部分は少なくとも1回折り曲げられていればよく、2回折り曲げることが必要と限定されるものではない。
【0059】
[実施の形態3]
図12は、本発明の実施の形態3によるアンテナの上面図である。図13は、本発明の実施の形態3によるアンテナの側面図である。
【0060】
図12および図13を参照して、本発明の実施の形態3によるアンテナ1Bは、導波器2Bと、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。実施の形態2と実施の形態3とでは導波器の形状が異なる。この点においてアンテナ1Bは、本発明の実施の形態2によるアンテナ1Aと異なる。アンテナ1Bの他の部分の構成は、アンテナ1Aの対応する部分の構成と同様である。
【0061】
次に図14および図15を参照して、本発明の実施の形態3による導波器についてより詳しく説明する。図14は、本発明の実施の形態3による導波器の上面図である。図15は、本発明の実施の形態3による導波器の側面図である。
【0062】
導波器2Bは、導波素子31A〜34Aと、接続部35A1,35B1,35C1とを含む。導波素子31A〜34Aと、接続部35A1,35B1,35C1とは1枚の導体板によって一体的に形成される。
【0063】
導波器2Bと導波器2Aとを比較すると、導波器2Bは、導波素子31A〜34Aが+Z方向あるいは−Z方向に折り曲げられていない点において導波器2Aと異なる。すなわち導波素子31A〜34Aと、接続部35A1,35B1,35C1とは同一平面上に配置される。
【0064】
導波器2Bのその他の部分の構成は導波器2Aの対応する部分の構成と同様である。すなわちブーム3に導波器2Bを取付けた状態では、導波素子31A〜34AはX方向に沿って並べられ、かつ、Y方向に延在する。接続部35A1は導波素子31A,32Aを接続する。接続部35B1は導波素子32A,33Aを接続する。接続部35C1は導波素子33A,34Aを接続する。
【0065】
図16に示すように、アンテナ1Bは、導波器2Bだけでなく、導波器2Bと同じ構成を有する導波器2B1を備えることもできる。導波器2B,2B1は、ブーム3を挟んで対向するように配置される。導波器2B,2B1は、ともにボルト37,39およびナット38,40によってブーム3に固定される。
【0066】
図17は、本発明の実施の形態1から実施の形態3の各々によるアンテナの利得、および、その比較例の利得を示した図である。図17を参照して、グラフ上の線C1は、実施の形態1によるアンテナ1において、導波器2の個数を4個とした構成での利得を示す。なお、この構成では、導波器全体のX方向の長さは約140mmであった。
【0067】
グラフ上の線C2は、実施の形態2によるアンテナ1Aにおいて、導波器2AのX方向の長さを約40mmとした構成での利得を示す。
【0068】
グラフ上の線C3は、実施の形態3によるアンテナ1Bにおいて、導波器2BのX方向の長さを約115mmとした構成での利得を示す。
【0069】
グラフ上の線C4は、直線状の導波素子の個数を1とした従来構成の八木・宇田アンテナでの利得を示す。なお、上記4つのアンテナの各々は、いずれもUHFアンテナとして構成されたものである。
【0070】
線C1〜C4に示されるように、本発明の実施の形態1から3のいずれのアンテナも従来の八木・宇田アンテナより高利得を達成できる。たとえば470〜710(MHz)の周波数帯域で線C1とC4とを比較すると、実施の形態3によるアンテナの構成において導波器2BのX方向の長さを約100mmとすることにより、従来の八木・宇田アンテナの利得よりも約1(dB)高い利得を得ることができる。
【0071】
従来の八木・宇田アンテナの構成では、アンテナの利得を1(dB)高めるためには、導波器の数を増やさなければならない。導波器の数を増やすことによってブームの軸線方向にアンテナが長くなるため、アンテナ全体のサイズが大きくなる。
【0072】
これに対して、本発明の実施の形態3によれば、アンテナのサイズの増加を抑制しつつ利得を高めることができる。すなわち本発明の実施の形態3によれば、アンテナを小型化しても利得の低下を抑制することができる。
【0073】
さらに本発明の実施の形態3によれば、たとえば板金をプレス加工によって所望の形状に加工するだけで導波器を製造できる。したがって本発明の実施の形態3によれば、実施の形態1および実施の形態2に比較して、製造コストを低減することが可能となる。
【0074】
[変形例]
図18は、本発明の実施の形態の変形例によるアンテナの上面図である。図19は、本発明の実施の変形例によるアンテナの側面図である。
【0075】
図18および図19を参照して、本発明の実施の形態の変形例によるアンテナ1Cは、導波器2Cと、放射器4と、反射器5と、ブーム3とを備える。実施の形態1〜3とこの変形例とでは導波器の形状が異なる。この点においてアンテナ1Cは本発明の実施の形態1によるアンテナ1と異なる。アンテナ1Cの他の部分の構成は、アンテナ1の対応する部分の構成と同様である。
【0076】
図20は、本発明の実施の形態の変形例による導波器の上面図である。図20を参照して、導波器2Cは、一枚の導電板によって形成される。
【0077】
導波器2C(導体板)の2箇所に、導体板の厚み方向に導体板を貫通する貫通孔が形成される。その2箇所のうちの一方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト47が通され、ボルト47がナット(図示せず)と締結される。同様に、上記導波器2C(導体板)の他方の箇所の貫通孔および、ブーム3の対応する位置に形成された貫通孔にはボルト49が通され、ボルト49がナット(図示せず)と締結される。
【0078】
本発明の実施の形態3による導波器2Bでは、2つの導波素子が接続部によって接続されているものの、これら2つの導波素子の間には隙間が存在する。これに対して本発明の実施の形態の変形例によれば、1枚の導電板を所望の形状に加工することによって導波器2Cが形成される。
【0079】
また、図21に示すように、アンテナ1Cは、導波器2Cだけでなく、導波器2Cと同じ構成を有する導波器2C1を備えることもできる。導波器2C,2C1は、ブーム3を挟んで対向するように配置される。導波器2C,2C1は、ともにボルト47とナット48およびボルト49とナット50とによってブーム3に固定される。
【0080】
本発明の実施の形態2または実施の形態3によるアンテナでは、2つの導波素子が接続部によって接続されているものの、これら2つの導波素子の間には隙間が存在する。このような構成の場合、水滴(雨あるいは雪など)が導波器に付着することによってアンテナの共振周波数が変動する可能性が考えられる。この変形例によれば、1枚の導電板を所望の形状に加工することによって導波器2Cが形成される。すなわち導波器2Cは板状である。
【0081】
これにより本発明の実施の形態の変形例によれば、実施の形態1による効果に加えて、水滴(雨あるいは雪など)が導波器に付着してもアンテナの性能の変動(アンテナの共振周波数の変動)を抑制することができるという効果も得ることができる。
【0082】
なお、上記の各実施の形態では、アンテナの周波数帯域をUHF帯として説明したが、本発明のアンテナの使用周波数帯はUHF帯に限定されるものではない。たとえば本発明のアンテナの使用周波数帯はVHF(Very High Frequency)帯でもよい。
【0083】
また、上記の各実施の形態では、本発明のアンテナの一実施形態として受信アンテナを例示したが、本発明によるアンテナは受信アンテナにのみ適用されるものと限定されず、送信アンテナにも適用可能である。
【0084】
また、上記の各実施の形態では、アンテナは反射器を備えるよう構成される。ただし、本発明によるアンテナは、反射器を含まず、導波器および放射器によって構成されていてもよい。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
1,1A〜1C アンテナ、2,2A〜2C,2B1,2C1,102B 導波器、3,103 ブーム、4 放射器、5 反射器、11,12,31〜34,31A〜34A,102A 導波素子、13,35A〜35C,35A1,35B1,35C1 接続部、14,15 取付部、21,37,39,47,49 ボルト、22,38,40,48,50 ナット、110 樹脂パーツ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナに用いられる導波器であって、
互いに直交する第1および第2の方向のうちの前記第1の方向に沿って並べられ、かつ前記第2の方向に沿って延在するように各々形成された第1および第2の導波素子と、
前記第1および第2の導波素子を接続するための接続部とを備え、
前記第1および第2の導波素子ならびに前記接続部が、導電板によって一体的に形成された、導波器。
【請求項2】
前記導波器は、
前記第1の導波素子から、前記第1および第2の方向の両方に垂直な第3の方向に突出するように形成された第1の取付部と、
前記第2の導波素子から、前記第3の方向に突出し、かつ前記第1の取付部と対向するように形成された第2の取付部とをさらに備える、請求項1に記載の導波器。
【請求項3】
前記第1および第2の方向の各々は、前記導電板の主表面に平行な方向であり、
前記接続部から前記第2の方向に突出するように形成された、前記接続部に対する前記第1の導波素子の両側の部分および、前記接続部に対する前記第2の導波素子の両側の部分は、少なくとも、互いに逆向きに折り曲げられる、請求項2に記載の導波器。
【請求項4】
前記第1および第2の導波素子ならびに前記接続部は、同一平面上に配置される、請求項2に記載の導波器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の、少なくとも1つの導波器と、
前記少なくとも1つの導波器と並べて配置された放射器とを備える、アンテナ。
【請求項6】
前記放射器に対して前記導波器と反対側に配置された反射器をさらに備える、請求項5に記載のアンテナ。
【請求項1】
アンテナに用いられる導波器であって、
互いに直交する第1および第2の方向のうちの前記第1の方向に沿って並べられ、かつ前記第2の方向に沿って延在するように各々形成された第1および第2の導波素子と、
前記第1および第2の導波素子を接続するための接続部とを備え、
前記第1および第2の導波素子ならびに前記接続部が、導電板によって一体的に形成された、導波器。
【請求項2】
前記導波器は、
前記第1の導波素子から、前記第1および第2の方向の両方に垂直な第3の方向に突出するように形成された第1の取付部と、
前記第2の導波素子から、前記第3の方向に突出し、かつ前記第1の取付部と対向するように形成された第2の取付部とをさらに備える、請求項1に記載の導波器。
【請求項3】
前記第1および第2の方向の各々は、前記導電板の主表面に平行な方向であり、
前記接続部から前記第2の方向に突出するように形成された、前記接続部に対する前記第1の導波素子の両側の部分および、前記接続部に対する前記第2の導波素子の両側の部分は、少なくとも、互いに逆向きに折り曲げられる、請求項2に記載の導波器。
【請求項4】
前記第1および第2の導波素子ならびに前記接続部は、同一平面上に配置される、請求項2に記載の導波器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の、少なくとも1つの導波器と、
前記少なくとも1つの導波器と並べて配置された放射器とを備える、アンテナ。
【請求項6】
前記放射器に対して前記導波器と反対側に配置された反射器をさらに備える、請求項5に記載のアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−139326(P2011−139326A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298408(P2009−298408)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】
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