説明

導波路型光デバイス

【課題】本発明は、小型で低損失な導波路型光デバイスを提供する。
【解決手段】本発明によると、基板(1)上に光導波路(2)が形成されていて、前記光導波路(2)が機能光導波路(2c−1、2c−2)を具備し、前記基板の長手方向側の端である基板端面(1a、1b)に光導波路の光入力用端面(2f)及び光出力用端面 (2g)の少なくとも一方が設けられている導波路型光デバイスにおいて、前記光入力用端面(2f)と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)を結ぶ入力光導波路(2a)または前記光出力用端面(2g)と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)を結ぶ出力光導波路(2e)の少なくとも一方が、前記光入力用端面(2f)及び光出力用端面(2g)の少なくとも一方側において、前記機能光導波路(2c−1、2c−2)と零でない角度をなし、かつそれぞれの側の前記基板端面(1a、1b)に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする導波路型光デバイスが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導波路型光デバイスに係り、特に、小型で低損失な導波路型光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、光変調器において、リチウムナイオベート(LiNbO)のように電界を印加することにより屈折率が変化する、いわゆる電気光学効果を有する基板(以下、リチウムナイオベート基板をLN基板と略す)に光導波路と進行波電極を形成した進行波電極型リチウムナイオベート光変調器(以下、LN光変調器と略す)は、その優れたチャーピング特性から2.5Gbit/s、10Gbit/sの大容量光伝送システムに適用されている。
【0003】
このようなLN光変調器は、最近ではさらに40Gbit/sの超大容量光伝送システムにも適用が検討されており、大容量光伝送システムにおけるキーデバイスとして期待されている。
【0004】
図7は、従来技術によるLN光変調器の構成を示す上面図である。図中、参照符号1は平行四辺形状であるz−cutLN基板であり、参照符号1a、1bが基板の長手方向の端である基板端面、参照符号1c、1dが基板の短手方向の端である基板側面である。
【0005】
また、図中、参照符号2はTiを熱拡散して形成したマッハツェンダ型の光導波路であり、参照符号2aは入力光導波路、参照符号2bはY分岐型の分岐光導波路、参照符号2c−1と参照符号2c−2は機能光導波路、参照符号2dはY分岐型の合波光導波路、参照符号2eは出力光導波路である。
【0006】
また、図中、参照符号2fは入力光導波路2aの光入力用端面、参照符号2gは出力光導波路2eの光出力用端面、参照符号3は電気信号源、参照符号4は進行波電極の中心電極、参照符号5aと5bは接地電極、参照符号6はガラスキャピラリー、参照符号7は信号光用単一モード光ファイバである。
【0007】
また、図中、参照符号11の仮想線はパッケージ筐体を示しており、参照符号11a、11bはそれぞれの側の側面を示している。
【0008】
なお、図7には示していないが、実際のLN光変調器では入力光導波路2aに光を入力するために入力光導波路2a側の光入力用端面2fにもガラスキャピラリーと単一モード光ファイバが固定される。
【0009】
この従来技術によるLN光変調器では、機能光導波路2c−1、2c−2を導波する光が電気信号源3から印加した電気信号と相互作用する。つまり、電気信号源3から印加した電気信号が進行波電極の中心導体4と設置電極5a、5bを介して、機能光導波路2c−1、2c−2を導波する光の位相が互いに逆符号となるように位相変調される結果、機能光導波路2c−1、2c−2の部位において、光は互いに符号が逆の位相変調を受けることになる。
【0010】
図8は、図7の信号光用単一モード光ファイバ7をガラスキャピラリー6に固定した状態を示した図であり、図8の(a)と(b)はその正面図と上面図である。
【0011】
図9は,図7の信号光用単一モード光ファイバ7を固定したガラスキャピラリー6をz−カットLN基板1の端面1bに固定した実装状態を示している。ここで、図中、参照符号8は紫外光を照射することにより硬化するUVキュア接着剤である。なお、このUVキュア接着剤8はz−カットLN基板1の端面1bとガラスキャピラリー6および信号光用単一モード光ファイバ7の端面にも染み込んでいる。
【0012】
図8および図9から分かるように、z−カットLN基板1の端面1bやガラスキャピラリー6や信号光用単一モード光ファイバ7の端面については、出力光導波路2eからの光がこの基板端面1b(正確には、基板端面1bに形成された光出力用端面2g)において反射され、この反射された光が再度出力光導波路2eに結合することを避けるために、つまり反射戻り光を除去するために基板端面1bを斜めにカットされている。
【0013】
以下では、説明を分かりやすくするために、図9に示すように、出力光導波路2eはz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a、11b)に平行とする。
【0014】
図10は、図7のz−カットLN基板1の基板端面1b(正確には、基板端面1bに形成された光出力用端面2gであるが、簡単のため以下においては基板端面1bと略す)において光が屈折される様子を示している。
【0015】
出力光導波路2eは基板側面1c,1d(あるいはパッケージ筐体側面11a、11b)に平行としたので、z−カットLN基板1の端面1bはz−カットLN基板1の側面1c,1dへの垂線(あるいはパッケージ筺体側面11a、11bへの垂線)に対してθだけ傾いている。
【0016】
なお、θは換言するとz−カットLN基板1の端面1bへの垂線10と出力光導波路2eを伝搬する光のなす角度とも言える。ここで、nLNは出力光導波路2eの等価屈折率である。なお、UVキュア接着剤8の屈折率と信号光用単一モード光ファイバ7の等価屈折率は等しいと考えてnとして表している。
【0017】
出力光導波路2eを伝搬してきた光はz−カットLN基板1の端面1b(前述のように、正確には基板端面1bに形成された光出力用端面2gであるが、簡単のため以下においては基板端面1bと略す)においてスネルの法則により屈折する。
【0018】
ここで、z−カットLN基板1の端面において屈折して伝搬する光が垂線10となす角度をΘとする。図中、Δθ(=Θ−θ)は基板端面1bにおいて屈折した光とz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a、11b)に平行な線とがなす角度である。
【0019】
図10から分かるように、一般に、出力光導波路2eはz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a、11b)に平行となるように設計されているので、z−カットLN基板1の側面1c、1dへの垂線やパッケージ筺体11の側面11a、11bへの垂線に対して、θの角度で傾いた基板端面1bにおいてスネルの法則に基づいて屈折した光のΔθは零とはならない。
【0020】
つまり、基板端面1bにおいて屈折した光はz−カットLN基板1の側面1c,1d (あるいはパッケージ筺体側面11a、11b)に平行な線に対しΔθの角度を持って伝搬する。
【0021】
よく知られているように、波長λでスポットサイズwのガウシアンビームが角度Δθの角度ずれをもって結合する場合の結合効率ηは次の式により与えられる(非特許文献1参照)。
【0022】
η=exp(−(π・w・Δθ/λ)) …(1)
つまり、信号光用単一モード光ファイバ7をz−カットLN基板1の側面1c,1d (あるいはパッケージ筺体側面11a、11b)に平行に設置する場合には、基板端面1bにおいて屈折した光と信号光用単一モード光ファイバ7の光軸にはΔθだけ傾きのずれが生じ、その結果、屈折した光が信号光用単一モード光ファイバ7に結合する際に(1)式で表される結合損失が発生することになる。
【0023】
従って、この角度ずれによる光の損失の増加を抑えるには、図9に示すように、信号光用単一モード光ファイバ7をパッケージ筐体側面11a,11bに対して斜めに固定する必要がある。
【0024】
図11は、図7の信号光用単一モード光ファイバ7とガラスキャピラリー6をパッケージ筺体11内に実装した状態の上面図を示している。図中、参照符号11はパッケージ筺体、参照符号12はファイバ被覆材、参照符号13は気密封止用の半田材、参照符号14はパッケージ筺体11の筒部、参照符号15は信号光用単一モード光ファイバ7のファイバ被覆材12をパッケージ筺体11の筒部14に固定している接着剤である。
【0025】
前述したように、信号光用単一モード光ファイバ7はz−カットLN基板1の端面1bに大きな角度で斜めに固定されているので、パッケージ筺体11の筒部14の中において、信号光用単一モード光ファイバ7とファイバ被覆材12とは大きな角度で斜めになっている。
【非特許文献1】河野 健治著,「光デバイスのための光結合系の基礎と応用」,第2版,現代工学社,1998年6月,p.45,p.168
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
さて、信号光用単一モード光ファイバ7とガラスキャピラリ6をz−カットLN基板1の端面1bに固定する際には出力光導波路2eと信号光用単一モード光ファイバ7の光軸を一致させるために、信号光用単一モード光ファイバ7を光軸と直交する方向及び光軸方向に位置調整する必要がある。
【0027】
ところが、前述したように、図11に示した従来技術では、信号光用単一モード光ファイバ7とそのファイバ被覆材12がパッケージ筺体11の筒部14の中でも斜めになっている。
【0028】
そして、信号光用単一モード光ファイバ7を実装する際には、z−カットLN基板1の側面1c,1dやパッケージ筺体11の側面11a、11bが実装の基準線となるので、そもそも信号光用単一モード光ファイバ7をこれらの基準線に対し大きな角度で斜めに位置させて調整および実装することは技術的に困難である。
【0029】
また、信号光用単一モード光ファイバ7の傾きが大きいので、充分な位置調整のマージンを確保するためには、信号光用単一モード光ファイバ7が通る穴の直径Dも2mm程度と大きくなり、また筒部14の内径Dも5mm程度と大きくなってしまう。
【0030】
従って、気密封止のための半田材13も多量に使う必要があり、これらを溶かすために筒部14を数10秒の間200℃以上の高い温度に保つので、高熱に弱いファイバ被覆材が変質してしまうという問題がある。
【0031】
以上のように、従来技術では、LN基板端面から出力される光はLN基板の側面(あるいはパッケージ筺体の側面)の方向に対して斜めに出力されていたため、信号光用単一モード光ファイバもパッケージ筺体に大きな角度で斜めに固定されている。
【0032】
その結果、以上のような従来技術では、信号光用単一モード光ファイバの位置調整が困難であり、あるいは位置調整を充分には行うことができず、さらには、位置調整を充分に行おうとすると、パッケージ筺体の筒部の内径が大きくなり、そしてファイバ被覆材を損傷せずに気密封止をすることが困難であるという問題がある。
【0033】
このため、単一モード光ファイバの斜めの角度を小さくすることを含め、信号光用単一モード光ファイバの位置調整作業と固定作業を含む実装を容易に行うことのできる構造の開発が望まれている。
【0034】
そこで、本発明は、以上のような従来技術による問題点を解消して、小型で低損失な導波路型光デバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0035】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1によれば、
基板(1)上に光導波路(2)が形成されていて、前記光導波路(2)が機能光導波路(2c−1、2c−2)を具備し、前記基板の長手方向側の端である基板端面(1a、1b)に光導波路の光入力用端面(2f)及び光出力用端面(2g)の少なくとも一方が設けられている導波路型光デバイスにおいて、
前記光入力用端面(2f)と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)を結ぶ入力光導波路(2a)または前記光出力用端面(2g)と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)を結ぶ出力光導波路(2e)の少なくとも一方が、
前記機能光導波路(2c−1、2c−2)と零でない角度をなし、かつそれぞれの側の前記基板端面(2f、2g)に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする導波路型光デバイスが提供される。
【0036】
また、本発明の請求項2によれば、
前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光の少なくとも一方と前記基板(1)の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度が所望の角度となるように、
前記光入力用端面(2f)を構成する入力光導波路(2a)または前記光出力用端面 (2g)を構成する出力光導波路(2e)の少なくとも一方と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度を零とは異ならしめるとともに、かつそれぞれの側の前記基板端面(2f、2g)に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【0037】
また、本発明の請求項3によれば、
前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光の少なくとも一方と前記基板(1)の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度の絶対値が、
前記入力光導波路(2a)または出力光導波路(2e)の少なくとも一方が前記機能光導波路(2c−1、2c−2)と平行な場合に、前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光が前記基板の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板(1)が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)となす角度の絶対値よりも小さくなるように、
前記入力光導波路(2a)または前記出力光導波路(2e)の少なくとも一方が前記機能光導波路(2c−1、2c−2)となす角度を零とは異ならしめるとともに、かつそれぞれの側の前記基板端面(2f、2g)に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【0038】
また、本発明の請求項4によれば、
前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光が前記基板(1)の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)と平行な方向に入力あるいは出力されるように、
前記光入力光導波路(2a)または前記出力光導波路(2e)の少なくとも一方と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度を零とは異ならしめるとともに、それぞれの側の前記基板端面に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【0039】
また、本発明の請求項5によれば、
前記光入力用端面の近傍または前記光出力用端面の近傍に単一モード光ファイバ(7)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【0040】
また、本発明の請求項5によれば、
前記光入力用端面の近傍または前記光出力用端面の近傍に単一モード光ファイバ(7)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【0041】
また、本発明の請求項6によれば、
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)の等価屈折率、もしくは前記基板の屈折率をnとし、
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)が接する媒質の屈折率、もしくは等価屈折率をnとし、
前記光入力用端面(2f)又は前記光出力用端面(2g)が前記基板側面への垂線となす角度をθ0Aとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記基板側面となす角度をθ1Aとし、
前記入力光導波路(2a)に入射する光、もしくは前記出力光導波路(2e)から出射される光と機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度をΔθとし、
前記ΔθがΔθ=(θ0A−θ1A)n/n−θ0Aで与えられる場合に、
前記入力光導波路(2a)へ入射する光と前記短手方向側の前記パッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度もしくは前記出力光導波路(2e)から出力する光と前記短手方向側の前記パッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度が所望の角度となるように、
前記θ1Aと前記(θ0A−θ1A)を零とは異ならしめていることを特徴とする請求項2に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【0042】
また、本発明の請求項7によれば、
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)の等価屈折率、もしくは前記基板(1)の屈折率をnとし、
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)が接する媒質の屈折率、もしくは等価屈折率をnとし、
前記光入力用端面(2f)又は前記光出力用端面(2g)が前記基板側面への垂線となす角度をθ0Aとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記基板側面となす角度をθ1Aとし、
前記入力光導波路(2a)に入射する光、もしくは前記出力光導波路(2e)から出射する光と機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度をΔθとし、
前記ΔθがΔθ=(θ0A−θ1A)n/n−θ0Aで与えられる場合に、
前記Δθの絶対値が、前記θ1Aの値を零とした場合の前記Δθの絶対値よりも小さくなるように、
前記θ1Aを零とは異ならしめていることを特徴とする請求項3に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【0043】
また、本発明の請求項8によれば、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路の等価屈折率、もしくは前記基板の屈折率をnとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が接する媒質の屈折率、もしくは等価屈折率をnとし、
前記光入力用端面又は前記光出力用端面が前記基板側面への垂線となす角度をθ0Aとし、
前記光入力用端面又は前記光出力用端面が前記パッケージ筐体側面への垂線となす角度をθ0Bとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記基板側面となす角度をθ1Aとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記パッケージ筐体側面となす角度をθ1Bとした場合に、
前記n、前記n、前記θ0A、前記θ1Aがθ0A=nθ1A/(n−n)の関係を満たす、あるいは前記n、前記n、前記θ0B、前記θ1Bがθ0B=nθ1B/(n−n)の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の導波路型光デバイスが提供される。
【発明の効果】
【0044】
本発明による導波路型光デバイスの代表的な実施形態によれば、光は導波路型光デバイスの基板の端面から、基板の側面(あるいはパッケージ筺体の側面)に平行な方向に光が出力あるいは入力されるので、光出力用や光入力用の単一モード光ファイバとの結合損失を小さくすることができる。
【0045】
また、本発明による導波路型光デバイスの代表的な実施形態によれば、光を出力もしくは入力するための単一モード光ファイバを、導波路型光デバイスの基板の側面(あるいはパッケージ筺体の側面)に平行に取り付けることができ、さらにはパッケージ筺体の側面に平行な光を基板の端面に出力や入力できるので、光の挿入損失を増加することなく、容易に光ファイバの実装を行うことが可能であるとともに、パッケージ筐体を小型化できるという優れた利点も有している。
【0046】
また、本発明のその他の実施形態を用いることにより、導波路型光デバイスの基板の端面から、所望の角度あるいは比較的浅い角度を持って光が出力あるいは入力されるので、光出力用や光入力用の単一モード光ファイバとの結合損失を小さくすることができる。
【0047】
また、本発明のその他の実施形態によれば、光を出力もしくは入力するための単一モード光ファイバを、導波路型光デバイスの基板の側面(あるいはパッケージ筺体の側面)に対して所望の角度、あるいは比較的浅い角度を持って取り付けることができるので、光の挿入損失を増加することなく、容易に光ファイバの実装を行うことが可能であるとともに、パッケージ筐体を小型化できるという優れた利点も有る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の実施形態について説明するが、図7乃至図11に示した従来技術と同じ番号は同じ部位に対応しているため、ここでは同じ番号を持つ部位の説明を省略する。
【0049】
[第1実施形態]
図1は、本発明による導波路型光デバイスの第1実施形態の構成を示す上面図である。図2は、後述するように、図1の要部の構成を示す上面図である。図3は、図1の導波路型光デバイスのその原理図を示している。
【0050】
図2は、信号光用単一モード光ファイバ7を固定したガラスキャピラリー6をz−cutLN基板1の端面1bに固定した実装状態を示している。図中、参照符号8は紫外光を照射することにより硬化するUVキュア接着剤であり、z−カットLN基板1の端面1bとガラスキャピラリー6および信号光用単一モード光ファイバ7の端面の間にも染み込んでいる。
【0051】
なお、入力光導波路2aに光を入力する場合も出力光導波路2eにおける構造と同じであるので、これについては省略することとし、以降においては、出力光導波路から光を出力する場合について説明をするものとする。
【0052】
図2及び図3に示すように、出力光導波路2eを伝搬してきた光はz−カットLN基板1の端面1bにおいてスネルの法則により屈折する。
【0053】
本発明の第1実施形態では、図3に示すように、出力光導波路2eの光軸をz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a、11b)に対してθだけ傾けており、その結果、出力光導波路を伝搬する光の光軸もθの傾きを持っている。z−カットLN基板1の端面1bはz−カットLN基板1の側面への垂線(あるいはパッケージ筺体側面11a,11bへの垂線)に対してθだけ傾いている。
【0054】
以下に説明するように、本発明の各実施形態では出力光導波路2eの光軸の傾きθと基板端面1bの傾きθが重要な働きをする。
【0055】
ここで、nLNは出力光導波路2eの等価屈折率である。UVキュア接着剤8は出力光導波路2eと信号光用単一モード光ファイバ7の接合部に染み込んでいると仮定したので、UVキュア接着剤8の屈折率と信号光用単一モード光ファイバ7の等価屈折率は等しいとし、nとして表している。
【0056】
図10に示した従来技術と同様に、z−カットLN基板1の端面1bにおいて屈折して伝搬する光がz−カットLN基板1の端面1bへの垂線10となす角度をΘとする。
【0057】
図中、Δθ(=Θ−θ)は基板端面1bにおいて屈折した光とz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に平行な線とがなす角度である。
【0058】
スネルの法則から図3において、次式が成立する。
【0059】
LN(θ−θ)=nΘ …(2)
ここで、Θ=θ+Δθであることを考えると、
LN(θ−θ)=n(θ+Δθ) …(3)
が成り立つ。よって、θとΔθの間には関係式
θ=(nLNθ+nΔθ)/(nLN−n) …(4)
あるいは
Δθ=(θ−θ)nLN/n−θ …(4−1)
が成り立つ。
【0060】
さらに、Δθ=0の場合には
θ=(nLNθ)/(nLN−n) …(5)
が成立する。
【0061】
例えば、z−カットN基板1に形成した出力光導波路2eの等価屈折率nLNと、信号光用単一モード光ファイバ7及びこれを固定するためのUVキュア接着剤の屈折率nを各々nLN=2.14、n=1.45とすると、以下の式を得る。
【0062】
θ=(2.14θ+1.45Δθ)/(2.14−1.45)
=3.10θ+2.10Δθ …(6)
Δθ=0の場合には
θ=3.10θ+2.10Δθ …(7)
となる。
【0063】
一例として、z−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に対する出力光導波路の傾きθが3°の場合を考える。基板端面1bから出力された光がz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に対して平行、つまり(7)式から、Δθ=0とするためにはz−カットLN基板1の側面1c,1dへの垂線(あるいはパッケージ筺体側面11a,11bへの垂線)に対する基板端面1bの角度θを9.3度とすれば良いことになる。
【0064】
なお、出力光導波路2eの等価屈折率nLNがz−カットLN基板1の屈折率にほぼ等しい場合には、(2)式から(5)式の中における出力光導波路の等価屈折率nLNをz−カットLN基板1の屈折率により置き換えることができる。
【0065】
この第1の実施形態おいては、出力光導波路2eの傾きθと基板端面1bの傾きθを最適な角度に傾けることにより、(4)式においてΔθ=0となり、(5)式が成り立つ。つまり、信号光用単一モード光ファイバ7の光軸をz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に対して平行にすることが可能となる。
【0066】
図4は、図1の導波路型光デバイスにおいて、信号光用単一モード光ファイバ7とガラスキャピラリー6を実装した状態の上面図を示す。図中、参照符号11はパッケージ筺体、12はファイバ被覆材、13は気密封止用の半田材であり、部分的にメタライズした信号光用単一モード光ファイバ7とパッケージ筺体を半田材9により接合することにより、気密を保っている。
【0067】
また、図中、参照符号15は信号光用単一モード光ファイバ7のファイバ被覆材12をパッケージ筺体11の筒部14に固定している接着剤である。
【0068】
本発明の第1実施形態では、出力光導波路2eの傾きθに対して出力光導波路2eの等価屈折率nLNとUVキュア接着剤の屈折率nを考慮して基板端面1bの傾きθを適切に設定することにより、Δθ=0、つまり(5)式が成り立ち、信号光用単一モード光ファイバ7をz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に平行に固定することが可能となる。
【0069】
なお、図4において、パッケージ筐体側面11a、11bはパッケージ筐体11の内壁を指しているが、内壁と外壁がほぼ平行な場合には外壁を指しても良いことは言うまでもない。
【0070】
さて、図11に示した従来技術において説明したように、信号光用単一モード光ファイバ7とガラスキャピラリ6をz−カットLN基板1の端面1bに固定する際、結合損失の増加を抑えるためには出力光導波路2eと信号光用単一モード光ファイバ7の光軸を一致させることが不可欠となり、そのため信号光用単一モード光ファイバ7を大きな角度のまま光軸と直交する方向と光軸方向に位置的に調整する必要がある。
【0071】
一方、前述のように、本発明の第1の実施形態では、信号光用単一モード光ファイバ7をz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に対して平行に固定することができる。信号光用単一モード光ファイバ7を位置調整・固定する際に前述のようにz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)を基準線として使用できるため、これらの作業を容易とすることができる。
【0072】
さらに、信号光用単一モード光ファイバ7が通る穴の直径Dも1mm程度と小さくて良く、また筒部14の直径Dも2mm程度と小さくて済むため、気密封止のための半田材13も少量で良く、またこれを溶かすためには筒部14を瞬間的に高温に上げれば良いので、高熱に弱いファイバ被覆材12が変質するという問題も解決することができる。
【0073】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態も、上記第1実施形態で示したように、(4)式においてΔθ=0、つまり(5)式が成り立つθとθとの関係を満たす構成である。この第2実施形態では、第1実施形態のようにガラスキャピラリー6を介して信号光用単一モード光ファイバ7をz−カットLN基板1の端面1bに固定する方法のみでなく、基板端面1bから出力される光が空間を伝搬する構造、つまりレンズを用いる光学系にも適用することが可能である。
【0074】
図5は、本発明の第2の実施形態において、信号光用単一モード光ファイバ7を実装した状態を説明するための上面図である。図中、参照符号16はレンズ、参照符号17はレンズホルダ、参照符号18はフェルール、参照符号19はフェルールガイドである。
【0075】
本発明の第2実施形が態本発明の第1の実施形態と異なる点は、z−カットLN基板1の端面1bに信号光用単一モード光ファイバ7が直接結合していない点である。つまり、出力用光導波路2eを伝搬した光は基板端面1bから空気中に出力され伝搬し、レンズ16を介して信号光用単一モード光ファイバ7に結合している。
【0076】
この場合には、上記第1実施形態で示した(5)式においてn=1と置くことにより、本発明を実現するために必要な出力光導波路2eの傾きθと基板端面1bの傾きθを求めることができる。
【0077】
この第2の実施形態の場合には、z−カットLN基板1の端面1bから光がz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に平行に出力される。そのため、この光を信号光用単一モード光ファイバ7に結合する際に、レンズ16を基板端面1bから空気中に出た光の光軸上に置くことが可能となるので、レンズ16の球面収差による結合効率の劣化が少なくてすみ、また、基板端面1bから、光がパッケージ筺体11の側面11a,11bに平行にまっすぐ出力されるので、光はパッケージ筺体11の中を斜めには伝搬せず、パッケージ筺体11を小さくすることができる。
【0078】
さらに、本発明の第2の実施形態では、z−かっとLN基板1をその側面がパッケージ筺体11の側面11a,11bと平行になるように設置できるので、この点からみても、パッケージ筺体11を小型化できるという優れた利点がある。
【0079】
以上の説明は、LN光変調器の出力用光導波路から信号光用単一モード光ファイバ7に向かって光が出射される場合についてである。一方、LN光変調器のもう片方の基板端面1aにおいては入力用光導波路2aに光が入る。これまでの説明では、この入力用光導波路2aの側の基板端面1aについても成り立ち、同じ考え方でLN基板の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に平行な光を入力用光導波路に入力することが可能である。
【0080】
なお、入力用光導波路もしくは出力用光導波路の片方のみを有する導波路型光デバイスの場合でも、本発明を適用できることは言うまでもない。
【0081】
また、z−カットLN基板1の側面1c,1dはパッケージ筺体11の側面11a,11bに平行であるとしたが、本発明ではz−カットLN基板1の端面1a、1bに向かう光導波路の傾き角度と基板端面1a、1bの傾き角度の関係が重要なのであり、z−カットLN基板1の側面1c,1dはパッケージ筺体11の側面11a,11bと平行でなくても良い。
【0082】
なお、このz−カットLN基板1の側面1c,1dとパッケージ筺体11の側面11a,11bとの両者が平行関係ではない場合には、パッケージ筺体側面11a、11bに平行な光の構成とすると、実装上において都合が良く、また便利である。
【0083】
なお、説明中の「LN基板の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に平行」の平行度についてであるが、厳密な平行を必要としているわけではなく、ほぼ平行であれば、本発明を実施する上で問題はない。
【0084】
また、入力光導波路2aと出力光導波路2eが基板端面1a、1bに届く前に、途切れているいわゆる窓構造においても本発明を適用することができるのは言うまでもない。
【0085】
なお、第2の実施形態において、信号光用単一モード光ファイバ7の端面を戻り光防止の目的で斜めにカットしている場合には、信号光用単一モード光ファイバ7に入力する光をその光軸に合うように傾ける必要があるが、z−カットLN基板1の側面1c,1dをパッケージ筺体11の側面11a,11bに平行に設置しても、出力用光導波路2eの傾きの角度を設定することにより、これを実現することができる。
【0086】
なお、以上の説明においては、パッケージ筐体側面11a,11bの形状を図1乃至5に示したように均一平面と想定して説明してきたが、これに限定されるものではない。例えば、側面の一部のみに平面、あるいは基準となる部位があればよく、その部位に対し上述した基板上の光導波路の角度を設定すれば良い。
【0087】
なお、本発明の全ての実施形態において、信号光用単一モード光ファイバ7をz−カットLN基板1の側面1c,1d(あるいはパッケージ筺体側面11a,11b)に平行には固定しない場合(つまり、図3において、Δθ=0としない場合)には、入力光導波路2aもしくは出力光導波路2eの傾きθと基板端面1bの傾きθのうち、特に入力光導波路2aもしくは出力光導波路2eの傾きθを適切な角度に設定することにより、入力光導波路2aもしくは出力光導波路2eの傾きθが零の場合と比較して、Δθの絶対値を小さく抑えることができるので、結果としてモジュールの製作性を著しく改善することができる。
【0088】
また、入射光もしくは出射光を所望の角度に傾ける必要がある場合にも、特に入力光導波路2aもしくは出力光導波路2eの傾きθを適切な値に設定することによりそれが可能となる。
【0089】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態において、信号光用単一モード光ファイバ7を実装した状態を説明するための上面図である。本実施形態では、パッケージ筺体11の筒部14が斜めになっている場合に、基板端面1bから斜めに光を出射することにより、筒部14と同様に斜めになっている信号光用単一モード光ファイバ7にz−カットLN基板1の端面1bから出射される光を効率的に結合させている。
【0090】
すなわち、本発明の第3の実施形態では、基板端面1bはz−カットLN基板1の側面1c、1dに対してはほぼ垂直であるが、出力用光導波路2aが基板端面1bに対して斜めの角度を形成しているので、光は基板端面1bから斜めに出射される。
【0091】
以上の説明において、光は出射側を例にとったが、入射側についても本発明を適用できることは自明である。また、LN基板としてz−カットLN基板について説明したが、x−カット基板あるいはy−カットLN基板など各種基板を用いても良い。
【0092】
さらに、基板としてLN基板を想定したがリチウムタンタレートなどその他の誘電体基板、さらには半導体基板でも良いし、光変調器にとどまらず、アレー導波路格子(AWG)フィルタなどの平面光回路(PLC)など、その他の光導波路デバイスにも使えることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は、本発明による導波路型光デバイスの第1実施形態の構成を説明するために示す上面図である。
【図2】図2は、図1の要部の構成を示す上面図である。
【図3】図3は、図1の導波路型光デバイスの原理を説明するために示す図である。
【図4】図4は、図1の導波路型光デバイスにおいて、信号光用単一モード光ファイバ7とガラスキャピラリー6を実際に実装した状態を示す上面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態において、信号光用単一モード光ファイバ7を実装した状態を説明するための上面図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態において、信号光用単一モード光ファイバ7を実装した状態を説明するための上面図である。
【図7】図7は、従来技術によるLN光変調器の構成を示す上面図である。
【図8】図8は、図7の信号光用単一モード光ファイバ7をガラスキャピラリー6に固定した状態を示す図である。
【図9】図9は,図7の信号光用単一モード光ファイバ7を固定したガラスキャピラリー6をz−カットLN基板1の端面1bに固定した実装状態を示す図である。
【図10】図10は、図7のz−カットLN基板1の基板端面1bにおいて光が屈折される様子を示す図である。
【図11】図11は、図7の信号光用単一モード光ファイバ7とガラスキャピラリー6をパッケージ筺体11内に実装した状態を示す上面図である。
【符号の説明】
【0094】
1:z−cutLN基板、
1a,1b:基板端面、
1c,1d:基板側面、
12:マッハツェンダ型の光導波路、
2a:入力光導波路、
2b:Y分岐型の分岐光導波路、
2c−1,2c−2:機能光導波路、
2d:Y分岐型の合波光導波路、
2e:出力光導波路、
2f:光入力用端面、
2g:2eの光出力用端面、
3:電気信号源、
4:進行波電極の中心電極、
5a,5b:接地電極、
6:ガラスキャピラリー、
7:信号光用単一モード光ファイバ、
8:UVキュア接着剤、
10:基板端面1bへの法線、
11:パッケージ筺体、
11a,11b:パッケージ筐体側面、
12:ファイバ被覆材、
13:気密封止用の半田材、
14:パッケージ筺体11の筒部、
15:接着剤、
16:レンズ、
17:レンズホルダ、
18:フェルール、
19:フェルールガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(1)上に光導波路(2)が形成されていて、前記光導波路(2)が機能光導波路(2c−1、2c−2)を具備し、前記基板の長手方向側の端である基板端面(1a、1b)に光導波路の光入力用端面(2f)及び光出力用端面(2g)の少なくとも一方が設けられている導波路型光デバイスにおいて、
前記光入力用端面(2f)と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)を結ぶ入力光導波路(2a)または前記光出力用端面(2g)と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)を結ぶ出力光導波路(2e)の少なくとも一方が、前記光入力用端面(2f)及び光出力用端面(2g)の少なくとも一方側で、
前記機能光導波路(2c−1、2c−2)と零でない角度をなし、かつそれぞれの側の前記基板端面(1a、1b)に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする導波路型光デバイス。
【請求項2】
前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光の少なくとも一方と前記基板(1)の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度が所望の角度となるように、
前記光入力用端面(2f)を構成する入力光導波路(2a)または前記光出力用端面 (2g)を構成する出力光導波路(2e)の少なくとも一方と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度を零とは異ならしめるとともに、かつそれぞれの側の前記基板端面(2f、2g)に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の導波路型光デバイス。
【請求項3】
前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光の少なくとも一方と前記基板(1)の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度の絶対値が、
前記入力光導波路(2a)または出力光導波路(2e)の少なくとも一方が前記機能光導波路(2c−1、2c−2)と平行な場合に、前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光が前記基板の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板(1)が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)となす角度の絶対値よりも小さくなるように、
前記入力光導波路(2a)または前記出力光導波路(2e)の少なくとも一方が前記機能光導波路(2c−1、2c−2)となす角度を零とは異ならしめるとともに、かつそれぞれの側の前記基板端面(2f、2g)に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導波路型光デバイス。
【請求項4】
前記光入力用端面(2f)へ入力される光または前記光出力用端面(2g)から出力される光が前記基板(1)の短手方向側の端である基板側面(1c、1d)あるいは前記基板が収納されるべきパッケージ筺体(11)の短手方向側のパッケージ筺体側面(11a、11b)と平行な方向に入力あるいは出力されるように、
前記光入力光導波路(2a)または前記出力光導波路(2e)の少なくとも一方と前記機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度を零とは異ならしめて形成されているとともに、それぞれの側の前記基板端面に対してなす角度を90度とは異ならしめて形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の導波路型光デバイス。
【請求項5】
前記光入力用端面の近傍または前記光出力用端面の近傍に単一モード光ファイバ(7)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の導波路型光デバイス。
【請求項6】
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)の等価屈折率、もしくは前記基板の屈折率をnとし、
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)が接する媒質の屈折率、もしくは等価屈折率をnとし、
前記光入力用端面(2f)又は前記光出力用端面(2g)が前記基板側面への垂線となす角度をθ0Aとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記基板側面となす角度をθ1Aとし、
前記入力光導波路(2a)に入射する光、もしくは前記出力光導波路(2e)から出射される光と機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度をΔθとし、
前記ΔθがΔθ=(θ0A−θ1A)n/n−θ0Aで与えられる場合に、
前記入力光導波路(2a)へ入射する光と前記短手方向側の前記パッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度もしくは前記出力光導波路(2e)から出力する光と前記短手方向側の前記パッケージ筺体側面(11a、11b)とのなす角度が所望の角度となるように、
前記θ1Aと前記(θ0A−θ1A)を零とは異ならしめていることを特徴とする請求項2に記載の導波路型光デバイス。
【請求項7】
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)の等価屈折率、もしくは前記基板(1)の屈折率をnとし、
前記入力光導波路(2a)又は前記出力光導波路(2e)が接する媒質の屈折率、もしくは等価屈折率をnとし、
前記光入力用端面(2f)又は前記光出力用端面(2g)が前記基板側面への垂線となす角度をθ0Aとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記基板側面となす角度をθ1Aとし、
前記入力光導波路(2a)に入射する光、もしくは前記出力光導波路(2e)から出射する光と機能光導波路(2c−1、2c−2)とのなす角度をΔθとし、
前記ΔθがΔθ=(θ0A−θ1A)n/n−θ0Aで与えられる場合に、
前記Δθの絶対値が、前記θ1Aの値を零とした場合の前記Δθの絶対値よりも小さくなるように、
前記θ1Aを零とは異ならしめていることを特徴とする請求項3に記載の導波路型光デバイス。
【請求項8】
前記入力光導波路又は前記出力光導波路の等価屈折率、もしくは前記基板の屈折率をnとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が接する媒質の屈折率、もしくは等価屈折率をnとし、
前記光入力用端面又は前記光出力用端面が前記基板側面への垂線となす角度をθ0Aとし、
前記光入力用端面又は前記光出力用端面が前記パッケージ筐体側面への垂線となす角度をθ0Bとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記基板側面となす角度をθ1Aとし、
前記入力光導波路又は前記出力光導波路が前記パッケージ筐体側面となす角度をθ1Bとした場合に、
前記n、前記n、前記θ0A、前記θ1Aがθ0A=nθ1A/(n−n)の関係を満たす、あるいは前記n、前記n、前記θ0B、前記θ1Bがθ0B=nθ1B/(n−n)の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の導波路型光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−47956(P2006−47956A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378265(P2004−378265)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】