説明

導電シート及びタッチパネル

【課題】高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができるタッチパネル用の導電シート及びタッチパネルを提供する。
【解決手段】積層導電シート54は、多数の第1感知部68Aにて構成された第1導電パターン64Aを有する第1導電シート10Aと、多数の第2感知部68Bにて構成された第1導電パターン64Aを有する第2導電シート10Bとが積層されて構成されている。前記第1感知部68Aは、前記一方向と略直交する方向に延びる帯状部70と、前記帯状部70の両側から前記一方向に張り出す張り出し部72と、を有し、前記第2感知部68Bは、前記帯状部70と前記張り出し部72とで区画される領域を略満たすように形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電シート及びタッチパネルに関し、例えば投影型静電容量方式のタッチパネルに用いて好適なタッチパネル用の導電シート及びタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
金属細線を用いた透明導電膜については、例えば、特許文献1及び2で開示されているように、研究が継続されている。
近時、タッチパネルが注目されている。タッチパネルは、PDA(携帯情報端末)や携帯電話等の小サイズへの適用が主となっているが、パソコン用ディスプレイ等への適用による大サイズ化が進むと考えられる。
このような将来の動向において、従来の電極は、ITO(酸化インジウムスズ)を用いていることから、抵抗が大きく、適用サイズが大きくなるにつれて、電極間の電流の伝達速度が遅くなり、応答速度(指先を接触してからその位置を検出するまでの時間)が遅くなるという問題がある。
そこで、金属製の細線(金属細線)にて構成した格子を多数並べて電極を構成することで表面抵抗を低下させることが考えられる。金属細線を電極に用いたタッチパネルとしては、例えば、特許文献3〜10が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0229028号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/001461号パンフレット
【特許文献3】特開平5−224818号公報
【特許文献4】米国特許第5113041号明細書
【特許文献5】国際公開第1995/27334号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0239650号明細書
【特許文献7】米国特許第7202859号明細書
【特許文献8】国際公開第1997/18508号パンフレット
【特許文献9】特開2003−099185号公報
【特許文献10】国際公開第2005/121940号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献3〜10のように、タッチパネルの電極として、金属細線を用いる場合、金属細線が不透明な材料で作製されることから透明性や視認性が問題となる。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができるタッチパネル用の導電シート及びタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] 第1の本発明に係る導電シートは、第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向して配置され、前記第1導電部は、一方向に配列された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、前記一方向と略直交する方向に配列された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターンは、金属細線による2以上の第1感知部が接続されて構成され、前記第2導電パターンは、金属細線による2以上の第2感知部が接続されて構成され、前記第1感知部及び第2感知部は、複数の小格子が配列されて構成され、前記第1感知部は、前記一方向と略直交する方向に延びる帯状部と、前記帯状部の両側から前記一方向に張り出す張り出し部と、を有し、前記第2感知部は、前記帯状部と前記張り出し部とで区画される領域を略満たすように形成され、上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記小格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。
[2] 第1の本発明に係る導電シートにおいて、前記帯状部の幅は、前記帯状部の長さよりも小さいことを特徴とする。
[3] 第1の本発明に係る導電シートにおいて、前記張り出し部の長さは、前記帯状部の幅の1/2以上であることを特徴とする。
[4] 第1の本発明に係る導電シートにおいて、前記張り出し部の幅は、前記張り出し部の長さの1/2以下であることを特徴とする。
[5] 第1の本発明に係る導電シートにおいて、前記第2感知部の前記一方向の長さは、前記第2感知部の前記一方向と略直交する方向の長さの0.5倍以上2倍以下であることを特徴とする。
[6] 第1の本発明に係る導電シートにおいて、前記張り出し部は、隣接する前記第1感知部の張り出し部と互いに対向することを特徴とする。
[7] 第1の本発明において、前記小格子の一辺の長さが30〜500μmであり、前記金属細線の線幅が15μm以下であることを特徴とする。
[8] 第1の本発明において、前記基体の厚みが50μm〜350μmであることを特徴とする。
[9] 第2の本発明に係るタッチパネルは、表示パネル上に設置される導電シートを備えるタッチパネルであって、前記導電シートは、第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向して配置され、前記第1導電部は、一方向に配列された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、前記第2導電部は、前記一方向と略直交する方向に配列された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、前記第1導電パターンは、金属細線による2以上の第1感知部が接続されて構成され、前記第2導電パターンは、金属細線による2以上の第2感知部が接続されて構成され、前記第1感知部及び第2感知部は、複数の小格子が配列されて構成され、前記第1感知部は、前記一方向と略直交する方向に延びる帯状部と、前記帯状部の両側から前記一方向に張り出す張り出し部と、を有し、前記第2感知部は、前記帯状部と前記張り出し部とで区画される領域を略満たすように形成され、上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記小格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする。
[10] 第2の本発明に係るタッチパネルにおいて、前記帯状部の幅は、前記帯状部の長さよりも小さいことを特徴とする。
[11] 第2の本発明に係るタッチパネルにおいて、前記張り出し部の長さは、前記帯状部の幅の1/2以上であることを特徴とする。
[12] 第2の本発明に係るタッチパネルにおいて、前記張り出し部の幅は、前記張り出し部の長さの1/2以下であることを特徴とする。
[13] 第2の本発明に係るタッチパネルにおいて、前記第2感知部の前記一方向の長さは、前記第2感知部の前記一方向と略直交する方向の長さの0.5倍以上2倍以下であることを特徴とする。
[14] 第2の本発明に係るタッチパネルにおいて、前記張り出し部は、隣接する前記第1感知部の張り出し部と互いに対向することを特徴とする。
[15] 第2の本発明において、前記小格子の一辺の長さが30〜500μmであり、前記金属細線の線幅が15μm以下であることを特徴とする。
[16] 第2の本発明において、前記基体の厚みが50μm〜350μmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る導電シート及びタッチパネルによれば、タッチパネルにおいて、金属細線のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができると共に視認性の向上を図ることができ、しかも、検出感度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態に係る導電性シートによる積層導電性シートを有するタッチパネルの構成を示す分解斜視図である。
【図2】積層導電性シートを一部省略して示す分解斜視図である。
【図3】図3Aは積層導電性シートの一例を一部省略して示す断面図であり、図3Bは積層導電性シートの他の例を一部省略して示す断面図である。
【図4】積層導電性シートにおける第1導電性シートに形成される第1導電部のパターン例を示す平面図である。
【図5】第1大格子と第1単位パターンの大きさ(縦横比)を説明するための図である。
【図6】積層導電性シートの第2導電性シートに形成される第2導電部のパターン例を示す平面図である。
【図7】第2大格子と第2単位パターンの大きさ(縦横比)を説明するための図である。
【図8】第1導電性シートと第2導電性シートを組み合わせて積層導電性シートとした例を一部省略して示す平面図である。
【図9】第1補助線と第2補助線によって1つのラインが形成された状態を示す説明図である。
【図10】導電性シートの両面露光による製造方法を示すフローチャートである。
【図11】図11Aは作製された感光材料を一部省略して示す断面図であり、図11Bは感光材料に対する両面同時露光を示す説明図である。
【図12】第1感光層に照射された光が第2感光層に到達せず、第2感光層に照射された光が第1感光層に到達しないようにして第1露光処理及び第2露光処理を行っている状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る導電シート及び導電シートを用いたタッチパネルの実施の形態例を図1〜図12を参照しながら説明する。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
【0009】
先ず、本実施の形態に係る導電シートが使用されるタッチパネル50について、図1を参照しながら説明する。
タッチパネル50は、センサ本体52と図示しない制御回路(IC回路等で構成)とを有する。センサ本体52は、本実施の形態に係るタッチパネル用の導電シート(以下、積層導電シート54と記す)と、その上に積層された保護層56とを有する。積層導電シート54及び保護層56は、積層導電シート54及び保護層56は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置30における表示パネル58上に配置されるようになっている。センサ本体52は、上面から見たときに、表示パネル58の表示画面58aに対応した領域に配されたセンサ部60と、表示パネル58の外周部分に対応する領域に配された端子配線部62A、62B(いわゆる額縁)とを有する。
【0010】
積層導電シート54は、図1に示すように、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bとが積層されて構成されている。
第1導電シート10Aは、図2、図3A及び図4に示すように、第1透明基体12A(図3A参照)の一主面上に形成された第1導電部14Aを有する。この第1導電部14Aは、それぞれ水平方向(m方向)に延在し、且つ、水平方向と直交する垂直方向(n方向)に配列され、多数の格子(感知部)にて構成された金属細線16による2以上の第1導電パターン64A(メッシュパターン)と、各第1導電パターン64Aの周辺に配列された金属細線16による第1補助パターン66Aとを有する。なお、水平方向(m方向)は、例えば後述する投影型静電容量方式のタッチパネル50の水平方向(又は垂直方向)あるいはタッチパネル50を設置した表示パネル58の水平方向(又は垂直方向)を示す。小格子74は、ここでは一番小さいひし形とされている。小格子74の頂角、すなわち第1傾斜方向(x方向)と第2傾斜方向(y方向)のなす角の角度は60°〜120°から適宜選択することができる。小格子74の一辺の長さは30〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは100〜350μmである。
【0011】
金属細線16は例えば金(Au)、銀(Ag)又は銅(Cu)で構成されている。金属細線16の線幅は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネル50に使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると金属細線16に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネル50に使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、金属細線16による導電パターンのモアレが改善され、視認性が特によくなる。また、少なくとも第1透明基体12Aの厚みは50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは75μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下となっている。
【0012】
各第1導電パターン64Aは、2以上の第1大格子68A(第1感知部)が水平方向(m方向)に直列に接続されて構成され、各第1大格子68Aは、それぞれ2以上の小格子74が組み合わされて構成されている。また、第1大格子68Aの辺の周囲に、第1大格子68Aと非接続とされた上述の第1補助パターン66Aが形成されている。
【0013】
第1大格子68Aは、水平方向を長手方向とする帯状部70と、その長手の中間部70aから隣接する第1大格子68Aに向かって張り出す張り出し部72とを有する。帯状部70は、小格子74の垂直方向の対角線の長さの整数倍の幅(短手方向)を有している。図4の例では、帯状部70の両端部70bで最も幅が広く4倍となり、次に中間部70aが3倍、両端部70bと中間部70aの間が最も狭く1倍となっている。このように帯状部70の幅は、所定の範囲を有しているが、その最大値と最小値の比(最大値/最小値)は、1以上5以下、好ましくは1以上4以下とすることができる。
【0014】
帯状部70の長さ、すなわち両端部70b間の長さWaは、前記帯状部70の幅、すなわち中間部70aの幅Haよりも大きく、好ましくは、1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2倍以上である。帯状部70の導電性が良好となり、張り出し部72に蓄積された信号電荷を高速に伝達させることができる。これは、検出感度の向上につながる。
【0015】
帯状部70の両端と中間部70aの間の位置には、小格子74の一辺が第1又は第2傾斜方向に向けて延在する突出辺部71が設けられている。
【0016】
張り出し部72は、垂直方向に延び、その長さLaは、上記した帯状部70の中間部70aの幅Haの1/2以上である。好ましくは、1/2以上10倍以下、より好ましくは1以上5倍以下である。また、張り出し部72の水平方向の幅Lbは、張り出し部72の長さLaの1/2以下である。好ましくは、1/10以上1/2以下、より好ましくは1/10以上1/3以下である。この場合、張り出し部72が電極として機能することから、指(あるいは入力ペン)のタッチ位置に応じた信号電荷を蓄積させることができる。なお、張り出し部72の形状は、図5に示されたものに限定されず、張り出し部72からさらに複数の張り出し部を有するものや末端が二股に分かれたような幾何学形状でもよい。この張り出し部72の形状に応じて、後述する第2大格子68B(第2感知部)の外形も変わってもよい。
【0017】
図4に示すように、水平方向に隣接する第1大格子68A間には、これら第1大格子68Aを接続する金属細線16による第1接続部80Aが形成されている。第1接続部80Aは、n個(nは1より大きい整数)の小格子74が第2傾斜方向に配列された大きさの第1中格子82Aと、小格子74が第1傾斜方向にp個(pは1より大きい整数)、第2傾斜方向にq個(qは1より大きい整数)の小格子74がp×qで配列第された大きさの第1中格子84Aによって構成されている。図4の例では、第1中格子82Aは、nが7であり、7個分の小格子74が第2傾斜方向に配列された大きさを有し、第1中格子84Aは、第1傾斜方向のpが3、第2傾斜方向のqが5であり、合計15個分の小格子74が配列された大きさを有する。
【0018】
さらに、水平方向に隣接する第1導電パターン64A間は、それぞれの第1大格子68Aを互いに非接続とする第1非接続部86Aが配されている。第1非接続部86Aは、隣接する第1導電パターン64Aの張り出し部72の先端の間に位置する。すなわち、隣接する第1導電パターン64Aの張り出し部72は、第1非接続部86Aを挟んで対向している。
【0019】
第1導電部14Aには、第1大格子68Aの周囲に、第1大格子68Aと非接続とされた上述の第1補助パターン66Aが形成されている。ここで、第1補助パターン66Aは、第1傾斜方向又は第2傾斜方向を軸線とする2以上の第1補助線88AがL字状に組み合わされた第1L字状パターン90Aを有する。
【0020】
第1補助線88Aは、小格子74の一辺よりも長さが小さい。図4の例では、第1補助線88Aの長さは、小格子74の一辺の長さの略半分である。
【0021】
図4に示すように、第1L字状パターン90Aには、帯状部70に沿って形成されたものと、張り出し部72に沿って形成されたものとがある。帯状部70に沿って形成された第1L字状パターン90Aは、水平方向に沿って並び、張り出し部72に沿って形成されたものは、垂直方向に沿って並ぶ。張り出し部72の先端近傍の第1L字状パターン90Aは、第1非接続部86Aを挟んで水平方向に対向する。
【0022】
このように、第1導電部14Aは、第1大格子68Aが第1接続部80Aを介して水平方向に接続されて延在し、垂直方向に配列される第1導電パターン64Aと、第1導電パターン64Aを構成する第1大格子68Aに沿って配列された第1補助パターン66Aとを有する。これらは、規則的に配列されていることから、第1導電部14Aは、第1単位パターン92Aが連続した構成となっている。ここで、図5を用いて、この第1単位パターン92Aについて説明する。第1単位パターン92Aは、一つの第1大格子68Aと、該第1大格子68Aの帯状部70の一方の端部70bに接続された第1接続部80Aと、第1大格子68Aの周囲に配置された第1補助パターン66Aとからなる。この第1単位パターン92Aの大きさは、第1大格子68Aの帯状部70の他方の端部70bから、第1接続部80Aにおいて隣接する第1大格子68Aと接続される端部までの水平方向の距離Lvaと、垂直方向の一方の張り出し部72の先端から、他方の張り出し部72と隣接する他の第1大格子68Aの張り出し部72の先端までの距離Lhaとによって表すことができる。
【0023】
この場合に、第1単位パターン92Aの大きさ、すなわち、第1単位パターン92Aの縦横比(Lva/Lha)は、
0.57<Lva/Lha<1.74
を満足するように設定される。
水平方向(m方向)がタッチパネル50が設置される表示装置30(図1参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の第1大格子68Aの縦横比(Lva/Lha)は、0.57<Lva/Lha<1.00あるいは1.00<Lva/Lha<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lva/Lha<0.81あるいは1.23<Lva/Lha<1.61に設定される。
【0024】
第1単位パターン92Aの水平方向の距離Lvaと、垂直方向の距離Lhaのそれぞれの下限値は、2mm以上、3mm以上、もしくは4mm以上であることが好ましく、上限値は、16mm以下、12mm以下、もしくは8mm以下であることが好ましい。それぞれの距離が、上記下限値未満であると、第1導電シート10Aをタッチパネルに利用した場合に、検出時の単位パターンを構成する第1大格子68Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。
【0025】
同様の観点から、第1大格子68Aを構成する小格子74の一辺の長さは、上述したように、30〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは100〜350μmであり、最も好ましくは150〜300μm以下である。小格子74が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置30の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0026】
上述のように構成された第1導電シート10Aは、図2に示すように、各第1導電パターン64Aの一方の端部側に存在する第1大格子68Aの開放端は、第1接続部80Aが存在しない形状となっている。各第1導電パターン64Aの他方の端部側に存在する第1大格子68Aの端部は、第1結線部94aを介して金属細線16による第1端子配線パターン96aに接続されている。
すなわち、タッチパネル50に適用した第1導電シート10Aは、図1及び図2に示すように、センサ部60に対応した部分に、上述した多数の第1導電パターン64Aが配列され、端子配線部62Aには各第1結線部94aから導出された複数の第1端子配線パターン96aが配列されている。
図1の例では、第1導電シート10Aの外形は、上面から見て長方形状を有し、センサ部60の外形も長方形状を有する。端子配線部62Aのうち、第1導電シート10Aの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第1端子98aが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部60の一方の長辺(第1導電シート10Aの一方の長辺に最も近い長辺:n方向)に沿って複数の第1結線部94aが直線状に配列されている。各第1結線部94aから導出された第1端子配線パターン96aは、第1導電シート10Aの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第1端子98aに接続されている。
【0027】
一方、第2導電シート10Bは、図2、図3A及び図6に示すように、第2透明基体12B(図3A参照)の一主面上に形成された第2導電部14Bを有する。この第2導電部14Bは、それぞれ垂直方向(n方向)に延在し、且つ、水平方向(m方向)に配列され、多数の格子(感知部)にて構成された金属細線16による2以上の第2導電パターン64Bと、各第2導電パターン64Bの周辺に配列された金属細線16による第2補助パターン66Bとを有する。
【0028】
各第2導電パターン64Bは、2以上の第2大格子68B(第2感知部)が垂直方向(n方向)に直列に接続されて構成され、各第2大格子68Bは、それぞれ2以上の小格子74が組み合わされて構成されている。また、第2大格子68Bの辺の周囲に、第2大格子68Bと非接続とされた上述の第2補助パターン66Bが形成されている。
【0029】
第2大格子68Bは、2本の水平辺76と、2本の垂直辺77とから構成される略矩形状を有する。水平辺76の長さWb、すなわち第2大格子68Bの幅Wbは、垂直辺77の長さHb、すなわち第2大格子68Bの高さHbの0.5以上2以下、より好ましくは、0.6以上1.8以下、さらに好ましくは、0.7以上1.5以下である。図6の例では、垂直辺77は、小格子74の一部を切り欠いた切欠部79を有している。
【0030】
図6に示すように、垂直方向に隣接する第2大格子68B間には、これら第2大格子68Bを接続する金属細線16による第2接続部80Bが形成されている。第2接続部80Bは、n個(nは1より大きい整数)の小格子74が第1傾斜方向(x方向)に配列された大きさの第2中格子82Bと、小格子74が第2傾斜方向にp個(pは1より大きい整数)、第1傾斜方向にq個(qは1より大きい整数)の小格子74がp×qで配列された大きさの第2中格子84Bによって構成されている。図6の例では、第2中格子82Bは、nが7であり、7個分の小格子74が第1傾斜方向に配列された大きさを有し、第2中格子84Bは、第2傾斜方向のpが5、第1傾斜方向のqが3であり、合計15個分の小格子74が配列された大きさを有する。
【0031】
さらに、水平方向に隣接する第2導電パターン64B間は、それぞれの第2大格子68Bを互いに非接続とする第2非接続部86Bが配されている。
【0032】
第2導電部14Bには、第2大格子68Bの周囲に、第2大格子68Bと非接続とされた上述の第2補助パターン66Bが形成されている。ここで、第2補助パターン66Bは、第1傾斜方向又は第2傾斜方向を軸線とする第2補助線88Bと、第2非接続部86Bに設けられ、垂直辺77に沿って配置される鎖状パターン97とを有する。
【0033】
第2補助線88Bは、小格子74の一辺よりも長さが小さい。図6の例では、第2補助線88Bの長さは、小格子74の一辺の長さの略半分である。
【0034】
十字状パターン93は、略矩形状の第2大格子68Bの4つの角部近傍にそれぞれ位置する。また、鎖状パターン97は、第2大格子68Bの垂直辺77に沿って延伸し、その中間部には、十字状部97aが設けられている。この十字状部97aと、隣接する第2大格子68Bの切欠部79に対向する別の鎖状パターン97の十字状部97aとが接続されて、1以上の小格子74が形成される。図6の例では、2つの十字状部97aによって、小格子74が1個形成されている。
【0035】
このように、第2導電部14Bは、第2大格子68Bが第2接続部80Bを介して垂直方向に接続されて延在し、水平方向に配列される第2導電パターン64Bと、第2導電パターン64Bを構成する第2大格子68Bの略矩形状に沿って配列された第2補助パターン66Bとを有する。これらは、規則的に配列されていることから、第2導電部14Bは、第2単位パターン92Bが連続した構成となっている。ここで、図7を用いて、この第2単位パターン92Bについて説明する。第2単位パターン92Bは、一つの第2大格子68Bと、該第2大格子68Bの一方の水平辺76に接続された第2接続部80Bと、第2大格子68Bの周囲に配置された第2補助パターン66Bとからなる。この第2単位パターン92Bの大きさは、第2大格子68Bの他方の水平辺76から、第2接続部80Bの隣接する第2大格子68Bと接続される端部までの垂直方向の距離Lvbと、一方の垂直辺77に対向して位置する十字状部97aの端部と、他方の垂直辺77に対向して位置する十字状部97aの端部との間の距離Lhbとによって表すことができる。
【0036】
この場合に、第2単位パターン92Bの大きさ、すなわち、第2単位パターン92Bの縦横比(Lvb/Lhb)は、
0.57<Lvb/Lhb<1.74
を満足するように設定される。
垂直方向(m方向)がタッチパネル50が設置される表示装置30(図1参照)の画素の配列方向と同じであれば、上述の第2大格子68Bの縦横比(Lvb/Lhb)は、0.57<Lvb/Lhb<1.00あるいは1.00<Lvb/Lhb<1.74に設定され、より好ましくは0.62<Lvb/Lhb<0.81あるいは1.23<Lvb/Lhb<1.61に設定される。
【0037】
第2単位パターン92Bの垂直方向の距離Lvbと、水平方向の距離Lhbのそれぞれの下限値は、2mm以上、3mm以上、もしくは4mm以上であることが好ましく、上限値は、16mm以下、12mm以下、もしくは8mm以下であることが好ましい。それぞれの距離が、上記下限値未満であると、第2導電シート10Bをタッチパネル50に利用した場合に、検出時の単位パターンを構成する第1大格子68Aの静電容量が減るため、検出不良になる可能性が高くなる。他方、上記上限値を超えると、位置検出精度が低下する虞がある。
【0038】
同様の観点から、第2大格子68Bを構成する小格子74の一辺の長さは、上述したように、50μm以上であることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましく、最も好ましくは210〜250μm以下である。小格子74が上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置30の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
【0039】
上述のように構成された第2導電シート10Bは、図1及び図2に示すように、1つ置き(例えば奇数番目)の第2導電パターン64Bの一方の端部側に存在する第2大格子68Bの開放端、並びに偶数番目の第2導電パターン64Bの他方の端部側に存在する第2大格子68Bの開放端には、それぞれ第2接続部80Bが存在しない形状となっている。一方、奇数番目の各第2導電パターン64Bの他方の端部側に存在する第2大格子68Bの端部、並びに偶数番目の各第2導電パターン64Bの一方の端部側に存在する第2大格子68Bの端部は、それぞれ第2結線部94bを介して金属細線16による第2端子配線パターン96bに接続されている。
すなわち、タッチパネル50に適用した第2導電シート10Bは、図2に示すように、センサ部60に対応した部分に、多数の第2導電パターン64Bが配列され、端子配線部62Bには各第2結線部94bから導出された複数の第2端子配線パターン96bが配列されている。
【0040】
図1に示すように、端子配線部62Bのうち、第2導電シート10Bの一方の長辺側の周縁部には、その長さ方向中央部分に、複数の第2端子98bが前記一方の長辺の長さ方向に配列形成されている。また、センサ部60の一方の短辺(第2導電シート10Bの一方の短辺に最も近い短辺:m方向)に沿って複数の第2結線部94b(例えば奇数番目の第2結線部94b)が直線状に配列され、センサ部60の他方の短辺(第2導電シート10Bの他方の短辺に最も近い短辺:m方向)に沿って複数の第2結線部94b(例えば偶数番目の第2結線部94b)が直線状に配列されている。
複数の第2導電パターン64Bのうち、例えば奇数番目の第2導電パターン64Bが、それぞれ対応する奇数番目の第2結線部94bに接続され、偶数番目の第2導電パターン64Bが、それぞれ対応する偶数番目の第2結線部94bに接続されている。奇数番目の第2結線部94bから導出された第2端子配線パターン96b並びに偶数番目の第2結線部94bから導出された第2端子配線パターン96bは、第2導電シート10Bの一方の長辺におけるほぼ中央部に向かって引き回され、それぞれ対応する第2端子98bに接続されている。
なお、第1端子配線パターン96aの導出形態を上述した第2端子配線パターン96bと同様にし、第2端子配線パターン96bの導出形態を上述した第1端子配線パターン96aと同様にしてもよい。
【0041】
第1補助パターン66A(第1補助線88A)及び第2補助パターン66B(第2補助線88B)の線幅はそれぞれ30μm以下、より好ましくは15μm以下である。この場合、第1導電パターン64Aの線幅や第2導電パターン64Bの線幅と同じでもよく、異なっていてもよい。ただ、第1導電パターン64A、第2導電パターン64B、第1補助パターン66A及び第2補助パターン66Bの各線幅を同じにすることが好ましい。
【0042】
そして、例えば第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層して積層導電シート54としたとき、図8に示すように、第1導電パターン64Aと第2導電パターン64Bとが交差して配置された形態とされ、具体的には、第1導電パターン64Aの第1接続部80Aと第2導電パターン64Bの第2接続部80Bとが第1透明基体12A(図3A参照)を間に挟んで対向し、第1導電部14Aの第1非接続部86Aと第2導電部14Bの第2非接続部86Bとが第1透明基体12Aを間に挟んで対向した形態となる。
【0043】
積層導電シート54を上面から見たとき、図8に示すように、第1導電シート10Aに形成された第1大格子68Aの隙間を埋めるように、第2導電シート10Bの第2大格子68Bが配列された形態となる。
【0044】
また、この場合、第1接続部80Aと第2接続部80Bとが対向すること、すなわち、第1中格子82Aと第2中格子82Bとが対向し、第1中格子84Aと第2中格子84Bとが対向することにより、略長方形状の組合せパターン100が形成される。この組合せパターン100において、第1中格子82Aと第2中格子82Bとは対角線上に配置される。図5と図7で示す第1接続部80Aと第2接続部80Bとによって形成される組合せパターン100は、対角線上に小格子74が7個、4辺に小格子74が4個ずつ並んだ合計25個の小格子74から構成される。
【0045】
さらに、第1大格子68Aと第2大格子68Bとの間に、第1補助パターン66Aと第2補助パターン66Bとが対向することによる組合せパターン102が形成される。組合せパターン102は、図9に示すように、第1補助線88Aの第1軸線104Aと第2補助線88Bの第2軸線104Bとが一致し、且つ、第1補助線88Aと第2補助線88Bとが重ならず、且つ、第1補助線88Aの一端と第2補助線88Bの一端とが一致し、これにより、小格子74(メッシュ形状)の1つの辺を構成することとなる。例えば、図5と図7で示す第1補助パターン66Aと第2補助パターン66Bとによって形成される組合せパターン102は、第1補助パターン66Aのうち、帯状部70に沿って形成された第1L字状パターン90Aは、第2補助パターン66Bの十字状パターン93とそれぞれ一端が一致するように対向する。また、第1補助パターン66Aのうち、張り出し部72に沿って形成された第1L字状パターン90Aは、第2大格子68Bの垂直辺77の切欠部79を補うように対向する。
【0046】
つまり、組合せパターン100と、102とは、2以上の小格子74(メッシュ形状)が組み合わされた形態となる。その結果、積層導電シート54を上面から見たとき、図8に示すように、多数の小格子74(メッシュ形状)が敷き詰められた形態となる。
【0047】
この積層導電シート54をタッチパネル50として使用する場合は、第1導電シート10A上に保護層56を形成し、第1導電シート10Aの多数の第1導電パターン64Aから導出された第1端子配線パターン96aと、第2導電シート10Bの多数の第2導電パターン64Bから導出された第2端子配線パターン96bとを、例えばスキャンをコントロールする制御回路に接続する。
【0048】
タッチ位置の検出方式としては、自己容量方式や相互容量方式を好ましく採用することができる。すなわち、自己容量方式であれば、第1導電パターン64Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン64Bに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給する。指先が保護層56の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン64A及び第2導電パターン64BとGND(グランド)間の容量が増加することから、当該第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形が他の導電パターンからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bから供給された伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。一方、相互容量方式の場合は、例えば第1導電パターン64Aに対して順番にタッチ位置検出のための電圧信号を供給し、第2導電パターン64Bに対して順番にセンシング(伝達信号の検出)を行う。指先が保護層56の上面に接触又は近接させることで、タッチ位置に対向する第1導電パターン64Aと第2導電パターン64B間の寄生容量に対して並列に指の浮遊容量が加わることから、当該第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形が他の第2導電パターン64Bからの伝達信号の波形と異なった波形となる。従って、制御回路では、電圧信号を供給している第1導電パターン64Aの順番と、供給された第2導電パターン64Bからの伝達信号に基づいてタッチ位置を演算する。このような自己容量方式又は相互容量方式のタッチ位置の検出方法を採用することで、保護層56の上面に同時に2つの指先を接触又は近接させても、各タッチ位置を検出することが可能となる。なお、投影型静電容量方式の検出回路に関する先行技術文献として、米国特許第4,582,955号明細書、米国特許第4,686,332号明細書、米国特許第4,733,222号明細書、米国特許第5,374,787号明細書、米国特許第5,543,588号明細書、米国特許第7,030,860号明細書、米国公開特許2004/0155871号明細書等がある。
【0049】
上述の積層導電シート54では、図2及び図3Aに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第2透明基体12Bの一主面に第2導電部14Bを形成するようにしたが、その他、図3Bに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体12Bが存在せず、第2導電部14B上に、第1透明基体12Aが積層され、第1透明基体12A上に第1導電部14Aが積層された形態となる。また、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電パターン64Aと第2導電パターン64Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0050】
なお、第1大格子68Aは、比較的細長い形状の帯状部70と張り出し部72とから構成され、一方、第2大格子68Bは、比較的幅広の略矩形状であることから、第2大格子68Bにおける金属細線16の占有面積が、第1大格子68Aにおける金属細線16の占有面積よりも大きくなる。すなわち、表示装置30側に配置される第2導電パターン64Bにおける金属細線16の占有面積が、第1導電パターン64Aにおける金属細線16の占有面積よりも大きくなる。
【0051】
通常、表示装置30側の第2導電パターン64Bは、電磁波によるノイズの影響を抑制することができる。すなわち、電磁波の電界成分を打ち消す方向に表皮電流が流れ、電磁波の磁界成分を打ち消す方向に渦電流が流れることで、電磁波によるノイズの影響を抑制することができる。この積層導電シート54においては、表示装置30側の第2導電パターン64Bにおける金属細線16の占有面積を第1導電パターン64Aにおける金属細線16の占有面積よりも大きくしたので、第2導電パターン64Bの表面抵抗を70オーム/sq.以下に低くすることができ、例えば表示装置30等からの電磁波によるノイズの影響を抑制する上で有利になる。
【0052】
上述のように、第2大格子68Bにおける金属細線16の占有面積を第1大格子68Aにおける金属細線16の占有面積よりも大きく設定している。そのため、例えば、指のタッチ位置の検出方式として、自己容量方式を採用した場合に、指のタッチ位置から距離的に遠い第2導電パターン64Bであっても、相対的に大面積であることから、第1導電パターン64Aと同等程度の信号電荷を蓄積させることができ、第1導電パターン64Aでの検出感度と第2導電パターン64Bでの検出感度をほぼ同等にすることができ、信号処理の負担を低減することができると共に、検出精度の向上も図ることができる。また、指のタッチ位置の検出方式として、例えば相互容量方式を採用した場合においても、占有面積の広い第2導電パターン64Bを駆動電極、第1導電パターン64Aを受信電極として使用することで、第1導電パターン64Aでの受信感度を高めることが可能となる。また、第1導電パターン64Aと第2導電パターン64Bとが一部において対向して、寄生容量が形成されたとしても、第1透明基体12Aの厚みを75μm以上350μm以下としたので、寄生容量を低く抑えることができ、検出感度の低下を抑制することができる。
【0053】
このように、タッチパネル用の導電シート10においては、金属細線16のパターンで電極を構成した場合においても、高い透明性を確保することができ、しかも、検出信号のS/N比の向上、検出感度の向上、検出精度の向上を図ることができる。
ここで、第1導電パターン64Aにおける金属細線16の占有面積をA1、第2導電パターン64Bにおける金属細線16の占有面積をA2としたとき、1<A2/A1≦20であることが好ましい。さらに好ましくは、1<A2/A1≦10であり、特に好ましくは2≦A2/A1≦10である。
また、第1大格子68Aにおける金属細線16の占有面積をa1、第2大格子68Bにおける金属細線16の占有面積をa2としたとき、1<a2/a1≦20であることが好ましい。さらに好ましくは、1<a2/a1≦10であり、特に好ましくは、2≦a2/a1≦10である。
【0054】
なお、第1大格子68A及び第2大格子68Bの大きさは、特に限定されることはなく、人間の指によるタッチ位置あるいはペン入力タイプのペン先のタッチ位置を感知するのに十分な大きさがあればよい。
また、小格子74の形状をひし形としたが、その他、三角形や多角形状としてもよい。三角形にする場合は、例えばひし形の小格子74の各対角線に沿って直線状の金属細線16を橋渡すことで容易に作製することができる。また、小格子74の一辺の形状を直線状のほか、湾曲形状でもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば対向する二辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する二辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
また、小格子74のサイズ(1辺の長さや対角線の長さ等)や、第1大格子68Aを構成する小格子74の個数、第2大格子68Bを構成する小格子74の個数も、適用されるタッチパネル50のサイズや分解能(配線数)に応じて適宜設定することができる。
【0055】
なお、図1に示すように、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bの例えば各コーナー部に、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bの貼り合わせの際に使用する位置決め用の第1アライメントマーク106a及び第2アライメントマーク106bを形成することが好ましい。この第1アライメントマーク106a及び第2アライメントマーク106bは、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bを貼り合わせて積層導電シート54とした場合に、新たな複合アライメントマークとなり、この複合アライメントマークは、該積層導電シート54を表示パネル58に設置する際に使用する位置決め用のアライメントマークとしても機能することになる。
上述の例では、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bを投影型静電容量方式のタッチパネル50に適用した例を示したが、その他、表面型静電容量方式のタッチパネルや、抵抗膜式のタッチパネルにも適用することができる。
上述の積層導電シート54では、図3Aに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第2透明基体12Bの一主面に第2導電部14Bを形成して、積層するようにしたが、その他、図3Bに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。この場合、第2透明基体12Bが存在せず、第2導電部14B上に、第1透明基体12Aが積層され、第1透明基体12A上に第1導電部14Aが積層された形態となる。また、第1導電シート10Aと第2導電シート10Bとはその間に他の層が存在してもよく、第1導電部14Aと第2導電部14Bとが絶縁状態であれば、それらが対向して配置されてもよい。
【0056】
次に、第1導電部14Aや第2導電部14Bを形成する方法としては、例えば第1透明基体12A上及び第2透明基体12B上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、露光部及び未露光部にそれぞれ金属銀部及び光透過性部を形成して第1導電部14A及び第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。なお、さらに金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施すことによって金属銀部に導電性金属を担持させるようにしてもよい。
【0057】
一方、図3Bに示すように、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電部14Bを形成する場合、通常の製法に則って、最初に一主面を露光し、その後に、他主面を露光する方法を採用すると、所望のパターンを有する第1導電部14A及び第2導電部14Bを得ることができない場合がある。特に、図4及び図6等に示すように、第1導電パターン64A間に形成された第1補助パターン66A、第2導電パターン64B間に形成された第2補助パターン66B等を均一に形成することは困難性が伴う。
そこで、以下に示す製造方法を好ましく採用することができる。
すなわち、第1透明基体12Aの両面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層に対して一括露光を行って、第1透明基体12Aの一主面に第1導電部14Aを形成し、第1透明基体12Aの他主面に第2導電部14Bを形成する。
【0058】
この製造方法の具体例を、図10〜図12を参照しながら説明する。
先ず、図10のステップS1において、長尺の感光材料140を作製する。感光材料140は、図11Aに示すように、第1透明基体12Aと、該第1透明基体12Aの一方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第1感光層142aという)と、第1透明基体12Aの他方の主面に形成された感光性ハロゲン化銀乳剤層(以下、第2感光層142bという)とを有する。
【0059】
図10のステップS2において、感光材料140を露光する。この露光処理では、第1感光層142aに対し、第1透明基体12Aに向かって光を照射して第1感光層142aを第1露光パターンに沿って露光する第1露光処理と、第2感光層142bに対し、第1透明基体12Aに向かって光を照射して第2感光層142bを第2露光パターンに沿って露光する第2露光処理とが行われる(両面同時露光)。図11Bの例では、長尺の感光材料140を一方向に搬送しながら、第1感光層142aに第1光144a(平行光)を第1フォトマスク146aを介して照射すると共に、第2感光層142bに第2光144b(平行光)を第2フォトマスク146bを介して照射する。第1光144aは、第1光源148aから出射された光を途中の第1コリメータレンズ150aにて平行光に変換されることにより得られ、第2光144bは、第2光源148bから出射された光を途中の第2コリメータレンズ150bにて平行光に変換されることにより得られる。図11Bの例では、2つの光源(第1光源148a及び第2光源148b)を使用した場合を示しているが、1つの光源から出射した光を光学系を介して分割して、第1光144a及び第2光144bとして第1感光層142a及び第2感光層142bに照射してもよい。
【0060】
そして、図10のステップS3において、露光後の感光材料140を現像処理することで、例えば図3Bに示すように、タッチパネル用の積層導電シート54が作製される。タッチパネル用の導電シート10は、第1透明基体12Aと、該第1透明基体12Aの一方の主面に形成された第1露光パターンに沿った第1導電部14Aと、第1透明基体12Aの他方の主面に形成された第2露光パターンに沿った第2導電部14Bとを有する。なお、第1感光層142a及び第2感光層142bの露光時間及び現像時間は、第1光源148a及び第2光源148bの種類や現像液の種類等で様々に変化するため、好ましい数値範囲は一概に決定することができないが、現像率が100%となる露光時間及び現像時間に調整されている。
【0061】
そして、本実施の形態に係る製造方法のうち、第1露光処理は、図12に示すように、第1感光層142a上に第1フォトマスク146aを例えば密着配置し、該第1フォトマスク146aに対向して配置された第1光源148aから第1フォトマスク146aに向かって第1光144aを照射することで、第1感光層142aを露光する。第1フォトマスク146aは、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第1露光パターン152a)とで構成されている。従って、この第1露光処理によって、第1感光層142aのうち、第1フォトマスク146aに形成された第1露光パターン152aに沿った部分が露光される。第1感光層142aと第1フォトマスク146aとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0062】
同様に、第2露光処理は、第2感光層142b上に第2フォトマスク146bを例えば密着配置し、該第2フォトマスク146bに対向して配置された第2光源148bから第2フォトマスク146bに向かって第2光144bを照射することで、第2感光層142bを露光する。第2フォトマスク146bは、第1フォトマスク146aと同様に、透明なソーダガラスで形成されたガラス基板と、該ガラス基板上に形成されたマスクパターン(第2露光パターン152b)とで構成されている。従って、この第2露光処理によって、第2感光層142bのうち、第2フォトマスク146bに形成された第2露光パターン152bに沿った部分が露光される。この場合、第2感光層142bと第2フォトマスク146bとの間に2〜10μm程度の隙間を設けてもよい。
【0063】
第1露光処理及び第2露光処理は、第1光源148aからの第1光144aの出射タイミングと、第2光源148bからの第2光144bの出射タイミングを同時にしてもよいし、異ならせてもよい。同時であれば、1度の露光処理で、第1感光層142a及び第2感光層142bを同時に露光することができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0064】
ところで、第1感光層142a及び第2感光層142bが共に分光増感されていない場合、感光材料140に対して両側から露光すると、片側からの露光がもう片側(裏側)の画像形成に影響を及ぼすこととなる。
すなわち、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第1感光層142a中のハロゲン化銀粒子にて散乱し、散乱光として第1透明基体12Aを透過し、その一部が第2感光層142bにまで達する。そうすると、第2感光層142bと第1透明基体12Aとの境界部分が広い範囲にわたって露光され、潜像が形成される。そのため、第2感光層142bでは、第2光源148bからの第2光144bによる露光と第1光源148aからの第1光144aによる露光が行われてしまい、その後の現像処理にてタッチパネル用の導電シート10とした場合に、第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部14B)に加えて、該導電パターン間に第1光源148aからの第1光144aによる薄い導電層が形成されてしまい、所望のパターン(第2露光パターン152bに沿ったパターン)を得ることができない。これは、第1感光層142aにおいても同様である。
【0065】
これを回避するため、鋭意検討した結果、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを特定の範囲に設定したり、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を規定することで、ハロゲン化銀自身が光を吸収し、裏面へ光透過を制限できることが判明した。本実施の形態では、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚みを1μm以上、4μm以下に設定することができる。上限値は好ましくは2.5μmである。また、第1感光層142a及び第2感光層142bの塗布銀量を5〜20g/mに規定した。
【0066】
上述した両面密着の露光方式では、シート表面に付着した塵埃等で露光阻害による画像欠陥が問題となる。塵埃付着防止として、シートに導電性物質を塗布することが知られているが、金属酸化物等は処理後も残存し、最終製品の透明性を損ない、また、導電性高分子は保存性等に問題がある。そこで、鋭意検討した結果、バインダーを減量したハロゲン化銀により帯電防止に必要な導電性が得られることがわかり、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダーの体積比を規定した。すなわち、第1感光層142a及び第2感光層142bの銀/バインダー体積比は1/1以上であり、好ましくは、2/1以上である。
【0067】
上述のように、第1感光層142a及び第2感光層142bの厚み、塗布銀量、銀/バインダーの体積比を設定、規定することで、図12に示すように、第1感光層142aに到達した第1光源148aからの第1光144aは、第2感光層142bまで達しなくなり、同様に、第2感光層142bに到達した第2光源148bからの第2光144bは、第1感光層142aまで達しなくなり、その結果、その後の現像処理にてタッチパネル用の導電シート10とした場合に、図3Bに示すように、第1透明基体12Aの一方の主面には第1露光パターン152aによる導電パターン(第1導電部14Aを構成するパターン)のみが形成され、第1透明基体12Aの他方の主面には第2露光パターン152bによる導電パターン(第2導電部14Bを構成するパターン)のみが形成されることとなり、所望のパターンを得ることができる。
【0068】
このように、上述の両面一括露光を用いた製造方法においては、導電性と両面露光の適性を両立させた第1感光層142a及び第2感光層142bを得ることができ、また、1つの第1透明基体12Aへの露光処理によって、第1透明基体12Aの両面に同一パターンや異なったパターンを任意に形成することができ、これにより、タッチパネル50の電極を容易に形成することができると共に、タッチパネル50の薄型化(低背化)を図ることができる。
【0069】
上述の例は、感光性ハロゲン化銀乳剤層を用いて第1導電部14A及び第2導電部14Bを形成する製造方法であるが、その他の製造方法としては、以下のような製造方法がある。
すなわち、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に形成された銅箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する銅箔をエッチングすることによって、第1導電部14A及び第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に金属微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行うことによって、第1導電部14A及び第2導電部14Bを形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に、第1導電部14A及び第2導電部14Bをスクリーン印刷版又はグラビア印刷版によって印刷形成するようにしてもよい。
あるいは、第1透明基体12A及び第2透明基体12B上に、第1導電部14A及び第2導電部14Bをインクジェットにより形成するようにしてもよい。
【0070】
次に、本実施の形態に係る導電シート10において、特に好ましい態様であるハロゲン化銀写真感光材料を用いる方法を中心にして述べる。
本実施の形態に係る導電シート10の製造方法は、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
【0071】
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである点で後続するめっき又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
【0072】
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社、1955年刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Processes, 4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。本件は液処理に係る発明であるが、その他の現像方式として熱現像方式を適用する技術も参考にすることができる。例えば、特開2004−184693号、同2004−334077号、同2005−010752号の各公報、特願2004−244080号、同2004−085655号の各明細書に記載された技術を適用することができる。
【0073】
ここで、本実施の形態に係る導電シート10の各層の構成について、以下に詳細に説明する。
[透明基体12]
透明基体12としては、プラスチックシート、プラスチック板、ガラス板等を挙げることができる。
上記プラスチックシート及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
透明基体12としては、融点が約290℃以下であるプラスチックシート、又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。
【0074】
[銀塩乳剤層]
導電シート10の金属細線16となる銀塩乳剤層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有する。
本実施の形態に用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
銀塩乳剤層の塗布銀量(銀塩の塗布量)は、銀に換算して1〜30g/mが好ましく、1〜25g/mがより好ましく、5〜20g/mがさらに好ましい。この塗布銀量を上記範囲とすることで、導電シート10とした場合に所望の表面抵抗を得ることができる。
【0075】
本実施の形態に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
本実施の形態の銀塩乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩乳剤層中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比で1/4以上が好ましく、1/2以上がより好ましい。銀/バインダー体積比は、100/1以下が好ましく、50/1以下がより好ましい。また、銀/バインダー体積比は1/1〜4/1であることがさらに好ましい。1/1〜3/1であることが最も好ましい。銀塩乳剤層中の銀/バインダー体積比をこの範囲にすることで、塗布銀量を調整した場合でも抵抗値のばらつきを抑制し、均一な表面抵抗を有する導電シート10を得ることができる。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
【0076】
<溶媒>
銀塩乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
<その他の添加剤>
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。
[その他の層構成]
銀塩乳剤層の上に図示しない保護層を設けてもよい。また、銀塩乳剤層よりも下に、例えば下塗り層を設けることもできる。
【0077】
次に、導電シート10の作製方法の各工程について説明する。
[露光]
本実施の形態では、導電部14を印刷方式によって施す場合を含むが、印刷方式以外は、導電部14を露光と現像等によって形成する。すなわち、透明基体12上に設けられた銀塩含有層を有する感光材料又はフォトリソグラフィ用フォトポリマーを塗工した感光材料への露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0078】
[現像処理]
本実施の形態では、乳剤層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真シートや印画紙、印刷製版用シート、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真シートや印画紙、印刷製版用シート、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像、定着処理を施した感光材料は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀部の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
【0079】
以上の工程を経て導電シート10は得られる。得られた導電シート10の表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましい。下限値は、1オーム/sq.以上、3オーム/sq.以上、5オーム/sq.以上、10オーム/sq.以上であることが好ましい。上限値は、90オーム/sq.以下、70オーム/sq.以下、50オーム/sq.以下であることが好ましい。このような範囲に表面抵抗を調整することで、面積が10cm×10cm以上の大型のタッチパネルでも位置検出を行うことができる。また、現像処理後の第1導電シート10A及び第2導電シート10Bに対しては、さらにカレンダー処理を行ってもよく、カレンダー処理により所望の表面抵抗に調整することができる。
【0080】
[物理現像及びめっき処理]
本実施の形態では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部の導電性を向上させる目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像又はめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させてもよい。なお、金属銀部に物理現像及び/又はめっき処理を施したものを含めて「導電性金属部」と称する。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wシート、インスタントスライドシートや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
【0081】
[酸化処理]
本実施の形態では、現像処理後の金属銀部、並びに、物理現像及び/又はめっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
[導電性金属部]
本実施の形態の導電性金属部(金属細線16)の線幅は、上述したように、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましい。線幅が上記下限値未満の場合には、導電性が不十分となるためタッチパネル50に使用した場合に、検出感度が不十分となる。他方、上記上限値を越えると導電性金属部に起因するモアレが顕著になったり、タッチパネル50に使用した際に視認性が悪くなったりする。なお、上記範囲にあることで、導電性金属部のモアレが改善され、視認性が特によくなる。小格子74の一辺の長さは30μm以上500μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは50μm以上400μm以下、最も好ましくは100μm以上350μm以下である。また、導電性金属部は、アース接続等の目的においては、線幅は200μmより広い部分を有していてもよい。
本実施の形態における導電性金属部は、可視光透過率の点から開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、金属細線16を除いた透光性部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅6μm、一辺の長さが240μmのひし形状の開口率は、95%である。
【0082】
[光透過性部]
本実施の形態における「光透過性部」とは、導電シート10のうち導電性金属部以外の透光性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、透明基体12の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
露光方法に関しては、ガラスマスクを介した方法やレーザー描画によるパターン露光方式が好ましい。
【0083】
[導電シート10]
本実施の形態に係る導電シート10における透明基体12の厚みは50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは75μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下である。50〜350μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、且つ、取り扱いも容易である。
透明基体12上に設けられる金属銀部の厚みは、透明基体12上に塗布される銀塩含有層用塗料の塗布厚みに応じて適宜決定することができる。金属銀部の厚みは、0.001mm〜0.2mmから選択可能であるが、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。また、金属銀部はパターン状であることが好ましい。金属銀部は1層でもよく、2層以上の重層構成であってもよい。金属銀部がパターン状であり、且つ、2層以上の重層構成である場合、異なる波長に感光できるように、異なる感色性を付与することができる。これにより、露光波長を変えて露光すると、各層において異なるパターンを形成することができる。
【0084】
金属細線16の厚みは、タッチパネル50の用途としては、薄いほど表示パネル58の視野角が広がるため好ましく、視認性の向上の点でも薄膜化が要求される。このような観点から、金属細線16の厚みは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
本実施の形態では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚みの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はめっき処理により金属細線16の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する導電シートであっても容易に形成することができる。
なお、本実施の形態に係る導電シート10の製造方法では、めっき等の工程は必ずしも行う必要はない。本実施の形態に係る導電シート10の製造方法では銀塩乳剤層の塗布銀量、銀/バインダー体積比を調整することで所望の表面抵抗を得ることができるからである。なお、必要に応じてカレンダー処理等を行ってもよい。
【0085】
(現像処理後の硬膜処理)
銀塩乳剤層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号に記載のものを挙げることができる。
本実施の形態に係る導電シート10には、反射防止層やハードコート層などの機能層を付与してもよい。
【0086】
[カレンダー処理]
現像処理済みの金属銀部にカレンダー処理を施して平滑化するようにしてもよい。これによって金属銀部の導電性が顕著に増大する。カレンダー処理は、カレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm、面圧に換算すると699.4kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
【0087】
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【実施例】
【0090】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[第1実施例]
第1実施例は、実施例1〜9に係るタッチパネル用の導電シート10について、小格子74の一辺の長さ、金属細線16の線幅、代表的に第1導電パターン64Aの表面抵抗を測定し、モアレ及び視認性を評価した。実施例1〜9の内訳並びに評価結果を表3に示す。
<実施例1〜9>
(ハロゲン化銀感光材料)
水媒体中のAg150gに対してゼラチン10.0gを含む、球相当径平均0.1μmの沃臭塩化銀粒子(I=0.2モル%、Br=40モル%)を含有する乳剤を調製した。
また、この乳剤中にはKRhBr及びKIrClを濃度が10−7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNaPdClを添加し、さらに塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が10g/mとなるように、厚みが150μmの第1透明基体12A及び第2透明基体12B(ここでは、共にポリエチレンテレフタレート(PET))上に塗布した。この際、Ag/ゼラチン体積比は2/1とした。
幅30cmのPET支持体に25cmの幅で20m分塗布を行ない、塗布の中央部24cmを残すように両端を3cmずつ切り落としてロール状のハロゲン化銀感光材料を得た。
(露光)
露光のパターンは、第1導電シート10Aについては図4及び図5に示すパターンで、第2導電シート10Bについては図6及び図7に示すパターンで、A4サイズ(210mm×297mm)の第1透明基体12A及び第2透明基体12Bに行った。露光は上記パターンのフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
【0091】
(現像処理)
・現像液1L処方
ハイドロキノン 20 g
亜硫酸ナトリウム 50 g
炭酸カリウム 40 g
エチレンジアミン・四酢酸 2 g
臭化カリウム 3 g
ポリエチレングリコール2000 1 g
水酸化カリウム 4 g
pH 10.3に調整
・定着液1L処方
チオ硫酸アンモニウム液(75%) 300 ml
亜硫酸アンモニウム・1水塩 25 g
1,3−ジアミノプロパン・四酢酸 8 g
酢酸 5 g
アンモニア水(27%) 1 g
pH 6.2に調整
上記処理剤を用いて露光済み感材を、富士フイルム社製自動現像機 FG−710PTSを用いて処理条件:現像35℃ 30秒、定着34℃ 23秒、水洗 流水(5L/分)の20秒処理で行った。
(実施例1)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部(第1導電パターン64A、第2導電パターン64B)における小格子74の一辺の長さを30μmとし、金属細線16の線幅を1μmとした。
(実施例2)
小格子74の一辺の長さを40μm、金属細線16の線幅を3μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例3)
小格子74の一辺の長さを50μm、金属細線16の線幅を4μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例4)
小格子74の一辺の長さを80μm、金属細線16の線幅を5μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例5)
小格子74の一辺の長さを100μm、金属細線16の線幅を8μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例6)
小格子74の一辺の長さを250μm、金属細線16の線幅を9μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例6に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例7)
小格子74の一辺の長さを350μm、金属細線16の線幅を10μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例7に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例8)
小格子74の一辺の長さを400μm、金属細線16の線幅を15μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例8に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例9)
小格子74の一辺の長さを500μm、金属細線16の線幅を15μmとした点以外は、実施例1と同様にして、実施例9に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(表面抵抗測定)
検出精度の良否を確認するために、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの表面抵抗率をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値である。
(透過率の測定)
第1透明基体12Aの透明性の良否を確認するために、第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの透光部の透過率を分光光度計を用いて測定した。
(モアレの評価)
実施例1〜9について、第2導電シート10B上に第1導電シート10Aを積層してタッチパネル用の積層導電シート54を作製し、その後、表示装置30(液晶ディスプレイ)の表示画面にタッチパネル用の積層導電シート54を貼り付けてタッチパネル50を構成した。その後、タッチパネル50を回転盤に設置し、表示装置30を駆動して白色を表示させる。その状態で、回転盤をバイアス角−45°〜+45°の間で回転し、モアレの目視観察・評価を行った。
モアレの評価は、表示装置30の表示画面58aから観察距離1.5mで行い、モアレが顕在化しなかった場合を○、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られた場合を△、モアレが顕在化した場合を×とした。
(視認性の評価)
上述のモアレの評価に先立って、タッチパネル50を回転盤に設置し、表示装置30を駆動して白色を表示させた際に、線太りや黒い斑点がないかどうか、また、タッチパネルの第1導電パターン64A及び第2導電パターン64Bの境界が目立つかどうかを肉眼で確認した。
【0092】
【表3】

【0093】
実施例1〜9のうち、実施例1〜8は、導電性、透過率、モアレ、視認性共に良好であった。実施例9はモアレの評価及び視認性の評価が実施例1〜8よりも劣っているが、モアレが問題のないレベルでほんの少し見られる程度であり、表示装置30の表示画像が見え難くなるということはなかった。
このことから、小格子74の一辺の長さは30〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは100〜350μmである。また、金属細線16の線幅は、下限は1μm以上、3μm以上、4μm以上、もしくは5μm以上が好ましく、上限は15μm以下、10μm以下、9μm以下、8μm以下が好ましいことがわかる。
[第2実施例]
第2実施例は、実施例11〜17並びに参考例11及び12に係るタッチパネル用の第1導電シート10Aについて、第1透明基体12Aの厚みを変えた場合の検出感度及び視認性を評価した。実施例11〜17、参考例11及び12の内訳並びに評価結果を表4に示す。
(実施例11)
作製した第1導電シート10A及び第2導電シート10Bの導電部14(第1導電パターン64A、第2導電パターン64B)における小格子74の一辺の長さを80μmとし、金属細線16の線幅を5μmとし、第1透明基体12Aの厚みを50μmとした点以外は、上述した実施例1と同様にして、実施例11に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例12)
第1透明基体12Aの厚みを80μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例12に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例13)
第1透明基体12Aの厚みを100μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例13に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例14)
第1透明基体12Aの厚みを150μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例14に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例15)
第1透明基体12Aの厚みを200μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例15に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例16)
第1透明基体12Aの厚みを250μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例16に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(実施例17)
第1透明基体12Aの厚みを350μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、実施例17に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(参考例11)
第1透明基体12Aの厚みを30μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、参考例11に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(参考例12)
第1透明基体12Aの厚みを400μmとした点以外は、上述した実施例11と同様にして、参考例12に係る第1導電シート10A及び第2導電シート10Bを作製した。
(検出感度の評価)
タッチパネル50に対して指を一定方向に移動させることで、検出波形を取得し、取得した検出波形に基づいて検出感度を求めた。検出感度が予め設定したしきい値の110%を超えていれば「◎」、しきい値の90%以上、110%以下であれば「○」、しきい値の90%未満であれば「△」とした。
実施例11〜17、参考例11及び12の結果を表4に示す。
【0094】
【表4】

【0095】
表4から、参考例11は視認性については良好であったが、検出感度が悪かった。これは、第1透明基体12Aの厚みが30μmと薄いため、第1導電パターン64Aと第2導電パターン64Bとの間の寄生容量が大きく、この寄生容量の存在により、検出感度が悪化したものと考えられる。参考例2は検出感度及び視認性共に評価が悪かった。これは、第1透明基体12Aの厚みが400μmと非常に厚いため、自己容量方式の場合においては、第2導電パターン64Bにおいて指のタッチ位置が認識し難くなり、相互容量方式の場合においては、第2導電パターン64B(駆動電極)からの発信信号が第1導電パターン64A(受信電極)にて受信し難くなったものと考えられる。また、視認性の評価が悪くなった原因は、第1透明基体12Aの厚みが400μmと非常に厚いため、透光部での透過率が80%と低く、透明性が低下したことによる。
これに対して、実施例11〜17は共に検出感度及び視認性が良好であった。特に、実施例13〜15は検出感度が非常に良好であった。
このことから、第1導電部14Aと第2導電部14B間に介在する透明基体(ここでは第1透明基体12A)の厚みは、50μm以上350μm以下が好ましく、さらに好ましくは80μm以上250μmであり、特に好ましくは100μm以上200μm以下であることがわかる。
【0096】
本発明に係るタッチパネル用導電シート及びタッチパネルは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0097】
10…導電シート 10A…第1導電シート
10B…第2導電シート 12…透明基体
12A…第1透明基体 12B…第2透明基体
14…導電部 14A…第1導電部
14B…第2導電部 16…金属細線
30…表示装置 50…タッチパネル
52…センサ本体 54…積層導電シート
56…保護層 58…表示パネル
60…センサ部 64A…第1導電パターン
64B…第2導電パターン 68A…第1大格子
68B…第2大格子 70…帯状部
72…張り出し部 74…小格子
76…水平辺 77…垂直辺
80A…第1接続部 80B…第2接続部
86A…第1非接続部 86B…第2非接続部
88A…第1補助線 88B…第2補助線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向して配置され、
前記第1導電部は、一方向に配列された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、前記一方向と略直交する方向に配列された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターンは、金属細線による2以上の第1感知部が接続されて構成され、
前記第2導電パターンは、金属細線による2以上の第2感知部が接続されて構成され、
前記第1感知部及び第2感知部は、複数の小格子が配列されて構成され、
前記第1感知部は、前記一方向と略直交する方向に延びる帯状部と、
前記帯状部の両側から前記一方向に張り出す張り出し部と、
を有し、
前記第2感知部は、前記帯状部と前記張り出し部とで区画される領域を略満たすように形成され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記小格子が組み合わされた形態を有することを特徴とする導電シート。
【請求項2】
請求項1記載の導電シートにおいて、
前記帯状部の幅は、前記帯状部の長さよりも小さいことを特徴とする導電シート。
【請求項3】
請求項1又は2記載の導電シートにおいて、
前記張り出し部の長さは、前記帯状部の幅の1/2以上であることを特徴とする導電シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記張り出し部の幅は、前記張り出し部の長さの1/2以下であることを特徴とする導電シート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記第2感知部の前記一方向の長さは、
前記第2感知部の前記一方向と略直交する方向の長さの0.5倍以上2倍以下であることを特徴とする導電シート。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記張り出し部は、隣接する前記第1感知部の張り出し部と互いに対向することを特徴とする導電シート。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記小格子の一辺の長さが30〜500μmであり、
前記金属細線の線幅が15μm以下であることを特徴とする導電シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電シートにおいて、
前記基体の厚みが50μm〜350μmであることを特徴とする導電シート。
【請求項9】
表示パネル上に設置される導電シートを備えるタッチパネルであって、
前記導電シートは、
第1導電部と第2導電部とが基体を介して対向して配置され、
前記第1導電部は、一方向に配列された金属細線による2以上の第1導電パターンを有し、
前記第2導電部は、前記一方向と略直交する方向に配列された金属細線による2以上の第2導電パターンを有し、
前記第1導電パターンは、金属細線による2以上の第1感知部が接続されて構成され、
前記第2導電パターンは、金属細線による2以上の第2感知部が接続されて構成され、
前記第1感知部及び第2感知部は、複数の小格子が配列されて構成され、
前記第1感知部は、前記一方向と略直交する方向に延びる帯状部と、
前記帯状部の両側から前記一方向に張り出す張り出し部と、
を有し、
前記第2感知部は、
前記帯状部と前記張り出し部とで区画される領域を略満たすように形成され、
上面から見たとき、前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとが対向する部分は、複数の前記小格子が組み合わされた形態を有することを特徴とするタッチパネル。
【請求項10】
請求項9記載のタッチパネルにおいて、
前記帯状部の幅は、前記帯状部の長さよりも小さいことを特徴とするタッチパネル。
【請求項11】
請求項9又は10記載のタッチパネルにおいて、
前記張り出し部の長さは、前記帯状部の幅の1/2以上であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記張り出し部の幅は、前記張り出し部の長さの1/2以下であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記第2感知部の前記一方向の長さは、
前記第2感知部の前記一方向と略直交する方向の長さの0.5倍以上2倍以下であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項14】
請求項9〜13のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記張り出し部は、隣接する前記第1感知部の張り出し部と互いに対向することを特徴とするタッチパネル。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記小格子の一辺の長さが30〜500μmであり、
前記金属細線の線幅が15μm以下であることを特徴とするタッチパネル。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか1項に記載のタッチパネルにおいて、
前記基体の厚みが50μm〜350μmであることを特徴とするタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−238278(P2012−238278A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108418(P2011−108418)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】