説明

導電性インキ、および導電パターン付き積層体とその製造方法

【課題】 本発明の課題は、低温処理型の導電性インキであって、高速のスクリーン印刷によって、水平方向おいて高精細な、且つ厚さ方向において平坦な、屈曲性に優れ、反りが少なく、耐久性に優れる導電性パターンを連続して形成することが可能な、抵抗値安定性に優れた導電性インキ提供することである。
【解決手段】 タップ密度の異なる2種類の導電性粒子を特定の割合で含有し、バインダー樹脂として特定のビスフェノール型エポキシ樹脂と特定のアクリル系エラストマーとを特定の割合で併用し、さらに特定量の金属キレート及び硬化剤を含有する導電性インキ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性インキ、およびその導電性インキを用いて得られる導電パターン付き積層体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品、電磁波シールド用の薄膜形成手段あるいは導電回路の形成手段として、一般的に、エッチング法および印刷法が知られている。エッチング法とは、金属の表面や形状を、化学あるいは電気化学的に溶解除去し、その表面処理を含めた広義の加工技術の意である。エッチングは、化学加工の一種であり、主に金属膜に希望のパターン形状を得るために行われるが、一般的に工程が煩雑であり、また後工程で廃液処理が必要であるため、費用もかかり問題が多い。また、エッチング法によって形成された導電回路は、アルミニウムや銅など金属材料等で形成されたものであるため、折り曲げ等の物理的衝撃に対して弱いという問題がある。
【0003】
そこで、これらの問題を解決してより安価に導電回路を形成するために、導電性インキが注目を集めている。導電性インキを印刷することにより、容易に導電回路を形成できる。さらに電子部品の小型軽量化、生産性の向上、低コスト化の実現が期待できるので、導電性インキについての研究開発が精力的になされ、多くの提案がなされている(例えば、特許文献1〜16)。
【0004】
特許文献1には、溶剤吸収層を形成し、その上層に導電ペーストをスクリーン印刷する熱圧着接続部材の製造方法が記載されている。
特許文献2には、表面を粗面化した基材に対して、特定の平均粒径と最大粒径を持つ球状または粒状の金属粒子を含む導電インキを用い、印刷することにより高精細導電回路を形成する技術が開示されている。
特許文献3には、高精細なカラーフィルター等を形成するために、TI値(チキソインデックス、チキソ指数)を制御するスクリーン印刷用インキが開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、タップ密度が2.5〜6g/cm3の範囲内であり、かつ、平均粒径が0.02〜1μmの範囲である導電性粉体を60〜90重量%の範囲で含有し、有機成分を10〜40重量%の範囲で含有する平版オフセット印刷用途の導体インキが開示されている。
特許文献5には、平均粒径が20μm以下の銅粉又は銀めっきした銅粉、熱可塑性樹脂、添加剤及び密着性向上剤としてシラン系カップリング剤を導電性塗料の固形分に対し0.001〜5.0重量%の範囲で含む有機溶媒中に分散させた導電性塗料が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献6には、ポリイミド基板に対して高い密着性を有し、耐折り曲げ性、耐溶剤性の良好な導電性ペーストを提供するために、アルミニウム化合物及びシランカップリング剤を1種又は2種以上含むバインダー樹脂を用いる導電性ペーストが開示されている。
【0007】
特許文献7には、導電性、耐マイグレーション性及び高温多湿下で長時間電界を印加した後の導体の抵抗変化率に優れ、かつ銀色又は銀白色を呈し、基材がPETフィルムである場合にも基材の収縮・変形を惹起させない導電ペーストを提供するために、OH基を含む熱可塑性樹脂、鱗片状の複合導電粉、鱗片状の銀粉及び溶剤を含有する導電ペーストが開示されている。
【0008】
また、特許文献8には、良好な導電性を付与できる導電ペーストを提供するために、扁平状導電紛、不定形状導電紛、熱可塑性合成樹脂及び溶剤を含む導電ペーストが開示されている。熱可塑性合成樹脂の例として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等を使用することができることが開示されている。
さらに、特許文献9には、沸点が200〜250℃ の溶剤に、エポキシ当量が500を超えるとともに、分子量が10000を超えるエポキシ樹脂を溶解するとともに、導電性フィラーを分散した導電ペーストが開示されている。
【0009】
特許文献10には、導電粉、ポリエステル樹脂及びイソシアネート化合物から成る、耐熱衝撃性や耐屈曲性を付与した導電性ペーストが開示されている。
また、特許文献11には、導電性金属粉末、ウレタン変性ポリエステル樹脂、及びブロックイソシアネートを含有する、耐屈曲性に優れた導電性ペーストが開示されている。
【0010】
特許文献12には、銀粉末と銀コート銅粉末を主成分とする導電性フィラーと、バインダー樹脂とを必須成分とし、銀コート銅粉末の含有量を導電性フィラー全体の1重量%〜40重量%とする組成が提案されている。
特許文献13には、導電フィラーと、エポキシ変性ポリエステル樹脂とフェノール樹脂との複合樹脂からなるバインダーと、溶剤とから構成されるものが開示されている。
特許文献14には、銅粉末と、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂およびアクリル系樹脂から選ばれた少なくもと1種の樹脂と、銅キレート化剤と、グリセリンとを特定の割合で含有する導電性ペーストが開示されている。
特許文献15には、銅粉末又は銅合金粉の表面が部分的に銀で被覆された金属粉と、エポキシ樹脂とイミダゾールとを特定の割合で含有する導電性接着ペーストが開示されている。
特許文献16には、X線回折法により特定される導電性フィラーと、バインダー樹脂とを含有する導電性ペーストが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平06−68924号公報
【特許文献2】国際公開第2003/103352号
【特許文献3】特開2003−238876号公報
【特許文献4】特開2001−234106号公報
【特許文献5】特開2005−29639号公報
【特許文献6】特開2006−310022号公報
【特許文献7】特開2003−68139号公報
【特許文献8】特開2003−331648号公報
【特許文献9】特開2005−183301号公報
【特許文献10】特開2006−100081号公報
【特許文献11】特開2010−118280号公報
【特許文献12】特開2007−227156号公報
【特許文献13】特開2003−68141号公報
【特許文献14】特開昭62−160603号公報
【特許文献15】特開2009−245938号公報
【特許文献16】特開2005−293851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、導電性インキに求められる特性、性能は厳しく、より優れた導電性インキが求められている。
【0013】
導電性インキは、上記特許文献4のような高温焼成型と、低温処理型に分類することができる。高温焼成型は、導電パターンを形成する際に基材や電子部品に高温を加えるので、電子部品にダメージを与えたり、熱収縮などによる問題が生じたりしやすい。このため、近年においては、低温処理型の需要が急速に高まっている。
また、製品の歩留まり向上、製造コスト低減の観点から、製造工程の簡便化が求められている。このため、上記特許文献1のように溶剤吸収層を設ける工程や、上記特許文献2のように基材の粗面化工程を行う工程を経ずに印刷できる導電性インキが求められている。
【0014】
また、近年においては、導電性インキの印刷の高精細化も求められている。例えば、導電回路パターンの高精細化に対応すべく、100μm以下の幅のライン/スペース(100μm以下/100μm以下)(以下、「L/S」と略記する)の形成が可能なパターン性能が求められている。また、携帯電話、ゲーム機等の携帯端末の小型化、タッチスクリーンパネルの導入等により、導電回路パターンの高精細化は更に進んでおり、より微細な60μm以下の幅のL/S(60μm以下/60μm以下)の形成が可能なパターン性能も求められている。
【0015】
導電性インキの印刷方式には、特許文献4のような平版オフセット印刷法や、スクリーン印刷法などが知られている。このうち、スクリーン印刷法によれば、数μm以上の厚みの印刷パターンを確保することが可能である。一方、平版オフセット印刷法などの他の方法によれば、1〜2μm程度の厚みの印刷パターンを形成するのが限界となる。このため、スクリーン印刷法は、導電性回路等の導電パターンの低抵抗化を実現するために好適である。
【0016】
しかしながら、スクリーン印刷法は、特許文献4にも記載されているように、本来、高精細な印刷精度が求められる用途・分野には不向きではあるという問題がある。これは、スクリーン印刷法は、スクリーン刷版上にスクリーン印刷インキを盛り、スキージ等で押圧しながら、スクリーン刷版の開口部の網目を通して印刷インキを印刷する方法であることによる。つまり、スクリーン印刷法は、スキージ等で押圧することでスクリーン刷版を撓ませ、印刷する方法であることによる。このため、スクリーン印刷法によって、例えば、100μm以下のL/Sの配線パターンを形成しようとしても、目標とする線幅よりも印刷物の線幅が大きくなるのが実情である。その結果、隣り合う配線同士が接近したり、接触したりするという問題や、配線のエッジ部が滲んで境界線が不明瞭になる等の問題が生じてしまう。
【0017】
このような問題が生じる理由は、一般的な印刷インキに比して導電性インキに含有される導電性粒子の比重が大きく、かつその含有量が極めて多いためである。導電性インキをスクリーン版の開口部から通過させ、基材に転移後、乾燥・固化するまでの間に、導電性粒子自身の重量等によって、印刷領域よりも外側にはみ出すように流れて広がり易い。かかる問題は、L/Sの配線パターンが100μm以下に相当する高精細なパターンにおいて特に顕著となる。
【0018】
また、高精細な導電パターン(回路パターン)を印刷するためには、微細なスクリーンメッシュを使用する必要がある。微細なスクリーンメッシュを使用するためには、できるだけ粒径の小さい導電性粒子を使用することが好ましい。しかし、粒径の小さい導電性粒子は、粒径の大きいものに比して、印刷後の乾燥・固化中の導電性インキに含まれる溶剤やバインダー樹脂の動きに乗って流動しやすい。このため、印刷領域より外側にはみ出す、線幅の「太り」現象がより生じ易くなる。
【0019】
また、近年において携帯電話、ゲーム機等の携帯端末、パーソナルコンピュター等に多く使用されているタッチスクリーンパネルに使用される導電回路パターンに要求される項目としては、前述の水平方向における高精細性のみならず、厚さ方向での平坦性も挙げられる。タッチスクリーンパネルの方式には各種あり、光学方式、超音波方式、抵抗膜方式、静電容量方式、圧電方式等が挙げられる。これらのうち、構造の単純さ等から抵抗膜方式が最も多く用いられている。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電膜が形成された二枚の透明導電基板がおよそ10〜150μmの間隔を開けて対向配置されている。指、ペン等でタッチした部分において、両透明電極基板が接触してスイッチとして作動し、ディスプレイ画面上のメニューの選択、手書き文字の入力等を行うことが出来る。
【0020】
抵抗膜方式のタッチスクリーンパネルの構造を更に詳細に説明する。
例えば、透明なプラスチックフィルム上に錫をドープした酸化インジウム(以下、ITOという)によりプラスチックフィルムが部分的に露出するように透明導電膜が設けられ、このプラスチックフィルム及び透明導電膜の上に導電性インキを用いて導電性回路(導電パターンともいう)が形成される。そして、導電性回路の上に絶縁層が形成され、透明導電性基板となる。次いで、透明導電膜同士が直に接触ないような間隔を開け、向かい合うような状態で、2枚の透明導電性基板が、両面粘着剤で貼り合わされる。
【0021】
しかしながら、水平方向における高精細性が良好でも、厚さ方向で導電性回路に凹凸があると、導電性回路の上に設けられる絶縁層から導電性回路の凸部が突出するおそれがある。厚さ方向で導電性回路の凸部が絶縁層から突出すると、突出部分回路が酸化するなど、製品性能が著しく劣化しやすくなり、製品の歩留まりの低下、製造コスト高に直結する。導電性回路の絶縁層からの突出を回避するためには、絶縁層を十分厚くする方法があるが、「薄型化」という時代の要請に逆行する。従って、導電性回路には厚さ方向の平坦性(平滑性)が求められる。
しかも、生産性向上の観点から、水平方向での高精細性及び厚さ方向の平坦性に優れる導電性回路を、高速印刷で生産することが求められている。
【0022】
さらにプラスチックフィルムという基材の特性を活かし、長尺(web)状の中間製品や製品の巻き取り、巻き出し等の製造工程がタッチスクリーンパネルの製造に導入されることがある、従って、導電性回路には屈曲性(柔軟性)も求められる。
【0023】
また、タッチスクリーンパネルには、高温環境下、高温高湿環境下、ヒートサイクル試験等、種々の条件での耐久性が求められる。
例えば、カーナビ等に用いられる車載用のタッチパネルは、寒冷地で使用されることも酷暑の中で使用されることもある。また、携帯電話に使用されるタッチパネルは、浴室等の高温高湿環境下で使用されることがある。
従って、導電性回路には、種々の条件での耐久性、具体的には種々の条件での抵抗値安定性、密着性維持等が求められる。特許文献10、11に開示されるようなポリエステル樹脂をバインダー樹脂とする場合、ポリエステル樹脂が加水分解されやすく、各種耐久性試験により導電性回路の抵抗値が低下したり、密着性が悪化したりする。
また、導電性回路を設けることによってプラスチックフィルムが反ると、積層印刷時の位置精度や、組み立て時の後工程における作業性の低下につながり、また、回路自信も密着性を損ない易く、抵抗値も不安定になり易いので、導電性回路を設けてもプラスチックフィルムができるだけ反らないことも望まれる。
【0024】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、いわゆる高温焼成型ではなく、低温処理型の導電性インキであって、かつ、高速のスクリーン印刷によって、水平方向おいて高精細な、且つ厚さ方向において平坦な、屈曲性に優れ、反りが少なく、耐久性に優れる導電性パターンを連続して形成することが可能であり、さらに、特殊な製造工程を必須とせず、かつ、抵抗値安定性に優れた導電性インキと、それを用いた導電パターン付き積層体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明は、タップ密度の異なる2種類の導電性粒子を特定の割合で含有すると共に、いわゆるバインダー樹脂として特定のビスフェノール型エポキシ樹脂とアクリル系エラストマーを特定の割合で併用し、さらに特定量の金属キレート及び硬化剤を含有することにより、上記目的を達成した。
即ち、本発明は、タップ密度が4.5〜7(g/cm3)であり、D50粒子径が0.1〜3μmの導電性粒子(A1)と、タップ密度が0.5〜3.5(g/cm3)であり、D50粒子径が0.1〜3μmの導電性粒子(A2)とを、0.25≦[(A1)/(A2)]≦4(重量比)の割合で含有し、
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000であり、水酸基価2〜300(mgKOH/g)のビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)と、ガラス転移温度が−50〜25℃、ムーニー粘度が10〜90のアクリル系エラストマー(B2)とを、9≧[(B1)/(B2)]≧0.1(重量比)の割合で含有し、
前記エポキシ樹脂(B1)と前記アクリル系エラストマー(B2)との合計100重量部に対して、金属キレート(C)を0.2〜20重量部含有し、
前記エポキシ樹脂(B1)と前記アクリル系エラストマー(B2)との合計100重量部に対して、前記エポキシ樹脂の有する水酸基又はエポキシ基の少なくともいずれか一方と反応し得る官能基を有する硬化剤(D)を1〜40重量部含有し、
有機溶剤を除く成分の合計100重量%中、(A1)及び(A2)の合計量が55〜97.5重量%である、導電性インキに関する。
【0026】
前記発明において、前記導電性粒子(A1)及び(A2)は、銀ないし銀メッキ粉であることが好ましい。
前記発明において、前記金属キレート(C)は、アルミニウムキレート、チタンキレート及びジルコニウムキレートからなる群より選ばれる一種以上であることが好ましく、アルミニウムキレートであることがより好ましい。アルミニウムキレート(C)は、アセチルアセトネート基、メチルアセトアセテート基およびエチルアセトアセテート基からなる群より選ばれる基を有することが好ましい。
前記発明において、前記硬化剤(D)は、イソシアネート化合物、アミン化合物、酸無水物化合物、メルカプト化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド化合物及び有機酸ヒドラジド化合物からなる群より選ばれる一種以上であることが好ましい。
【0027】
また、前記発明の導電性インキは、スクリーン印刷用であることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明は、
基材と、前記基材上に形成された導電パターンと、を具備し、
前記導電パターンが、前記発明のいずれかに記載の導電性インキにより形成されている導電パターン付き積層体に関する。
【0029】
前記発明の導電パターン付き積層体は、さらに前記導電パターンを被覆するように積層された絶縁層をさらに具備することが好ましい。
【0030】
さらに、本発明は、基材上に所望のパターン形状の導電パターンをスクリーン印刷により形成する工程を備え、
前記導電パターンが、前記発明のいずれかに記載の導電性インキを用いる導電パターン付き積層体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0031】
本発明の導電性インキにより、高速のスクリーン印刷によって、水平方向おいて高精細な、且つ厚さ方向において平坦な、屈曲性に優れ、反りが少なく、耐久性に優れる導電性パターンを連続して形成することができた。
【発明を実施するための形態】
【0032】
導電性粒子(A1)及び(A2)
本発明の導電性インキは、前記したようにタップ密度の相違する導電性粒子(A1)と(A2)とを特定の割合で含有する。
【0033】
導電性粒子(A1)
導電性粒子(A1)は、タップ密度が4.5〜7(g/cm3)であり、好ましくは5〜6.5(g/cm3)である。
導電性粒子(A1)のタップ密度が4.5(g/cm3)より小さい場合、得られるインキの導電性が低下しやすくなり、導電性と微細印刷性との両立が困難になる。一方、導電性粒子(A1)のタップ密度が7(g/cm3)より大きい場合、後述する導電性粒子(A2)との密度差が大きすぎて、後述するエポキシ樹脂(A1)及びアクリル系エラストマー(A2)に均一に分散されにくくなり、結果的に得られるインキ中に導電性粒子由来の粗大粒子が残存し、粘弾性挙動や印刷適性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0034】
また、導電性粒子(A1)は、D50粒子径が0.1〜3μmであり、好ましくは0.2〜2μmである。
導電性粒子(A1)のD50粒子径が0.1μm未満の場合、粒子同士の接点の数が増え、粒子間で発生する接触抵抗の影響が大きくなるために、得られるインキの導電性が低下しやすくなる。一方、3μmより大きい場合、所望の微細印刷性が得られ難い。
【0035】
導電性粒子(A1)は、BET比表面積が0.1〜3(m2/g)であることが好ましく、0.5〜2(m2/g)であることがより好ましく、0.7〜1.5(m2/g)であることがさらに好ましい。
導電性粒子(A1)のBET比表面積が0.1(m2/g)未満の場合、所望の微細印刷性が得られ難く、3(m2/g)より大きい場合、所望の導電性が得られ難い。
【0036】
さらに、導電性粒子(A1)は、アスペクト比が1〜4であることが好ましく、1〜3.5であることがより好ましい。
導電性インキにおける導電性粒子のアスペクト比は、その値が大きいほど粒子が平面方向に配列しやすいため、形成された膜の導電性が向上する傾向にある。しかし、その値が大きすぎる場合は、スクリーン版に目詰まりが発生したり、スクリーン印刷できたとしても、導電性回路の形状が著しく乱れたりする。つまり、導電性粒子(A1)のアスペクト比が4.0より大きい場合、微細印刷性が著しく劣化し、本願のスクリーン印刷による微細配線形成に用いるには困難である。
【0037】
導電性粒子(A2)
導電性粒子(A2)は、タップ密度が0.5〜3.5(g/cm3)であり、好ましくは1〜3(g/cm3)である。
導電性粒子(A2)のタップ密度が0.5(g/cm3)より小さい場合、前述の導電性粒子(A1)との密度差が大きすぎて、後述するエポキシ樹脂(A1)及びアクリル系エラストマー(A2)に均一に分散されにくくなり、結果的に得られるインキ中に導電性粒子由来の粗大粒子が残存し、粘弾性挙動や印刷適性に悪影響を及ぼすおそれがある。一方、導電性粒子(A2)のタップ密度が3.5(g/cm3)より大きい場合、得られるインキの微細印刷性が低下し、導電性と微細印刷性との両立が困難になる。
【0038】
また、導電性粒子(A2)のD50粒子径は、導電性粒子(A1)の場合と同様の理由により、0.1〜3μmであり、好ましくは0.2〜2μmである。
【0039】
導電性粒子(A2)は、BET比表面積が0.5〜3.5(m2/g)であることが好ましく、0.8〜3.5(m2/g)であることがより好ましく、1.5〜3(m2/g)であることがさらに好ましい。
導電性粒子(A1)のBET比表面積が0.5(m2/g)未満の場合、所望の微細印刷性が得られ難く、3.5(m2/g)より大きい場合、所望の導電性が得られ難い。
【0040】
さらに、導電性粒子(A2)のアスペクト比は、導電性粒子(A1)の場合と同様の理由により、1〜4であることが好ましく、1〜3.5であることがより好ましい。
【0041】
前記の導電性粒子(A1)、(A2)としては、例えば、金、銀、銅、銀メッキ銅粉、銀−銅複合粉、銀−銅合金、アモルファス銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モルブテン、白金等の金属粉、これらの金属で被覆した無機物粉体、酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム等の金属酸化物の粉末、これらの金属酸化物で被覆した無機物粉末、おとびカーボンブラック、グラファイト等を用いることができる。これらの導電性粒子(A1)、(A2)は、それぞれ1種または2種以上組み合わせて用いても良い。これらの導電性粒子のなかでも、導電性や安定性、酸化による抵抗率の上昇が少ない等の理由で、銀または銀メッキ粉を用いることが好ましい。
【0042】
これら導電性粒子(A1)、(A2)の形状は、上記特性を満たしていれば特に限定されず、不定形、凝集状、鱗片状、微結晶状、球状、フレーク状等を適宜用いることができる。高精細パターンの印刷性の観点や導体パターンの基材への密着性の観点から、粒径の小さな球状のものや、凝集状のものであっても、凝集体として比較的小さいものが好ましい。
【0043】
タップ密度の相違する導電性粒子(A1)と(A2)とを特定の割合で併用することは、高速印刷時の高精細性と平坦性、高導電性の確保にとって重要である。
即ち、本発明において、導電性粒子(A1)と導電性粒子(B1)の配合比[(A1)/(A2)]は、0.25≦[(A1)/(A2)]≦4であり、好ましくは0.33≦[(A1)/(A2)]≦3である。
[(A1)/(A2)]が0.25より小さかったり、導電性粒子(A2)のみを用いたりすると、導電性回路の導電性及び平坦性が劣る。一方、[(A1)/(A2)]が4より大きかったり、導電性粒子(A1)のみを用いたりすると、導電性回路の高精細さが劣り、ヒートサイクル試験によって密着性が著しく悪化したりする。
【0044】
さらに、本発明の導電性インキは、導電性粒子(A1)、(A2)の含有量が重要である。
本発明の導電性インキは、有機溶剤を除く成分の合計100重量%中、(A1)及び(A2)の合計量が55〜97.5重量%であり、60〜95重量%であることが好ましく、80〜93重量%であることがより好ましい。導電性粒子が55重量%未満では導電性が十分ではなく、97.5重量%を越えると、導電性粒子にとって結着成分として機能するバインダー樹脂が少なくなり、導電性インキの基材への密着性、塗膜の機械強度が低下する恐れがあり、好ましくない。
なお、「有機溶剤を除く成分」とは、おおまかには導電性粒子(A1)、(A2)、後述するビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)、アクリル系エラストマー(B2)、金属キレート(C)及び硬化剤(D)ということができる。
【0045】
以下、タップ密度、D50粒子径、BET比表面積、アスペクト比について説明する。
<タップ密度>
タップ密度とは、一定容器中に一定量の粉体を上下に加振しながら入れた後の体積当たりの重量をいう。一般的には、この値が大きいほど粒子の充填密度が大きく、導電性粒子の場合、粒子同士の接触点が増えるため、良好な導電性を得ることができる。反面、タップ密度が大きすぎると、粒子同士の接触過多により、接触抵抗の影響が大きくなって導電性が低下したり、導電性インキとしての流動性が阻害されたり、形成した導電性回路の耐折り曲げ性が悪化したり、形成した導電性回路にクラックが発生したりし易くなる。
なお、本発明のタップ密度は、JIS Z 2512:2006法に基づいて測定した。
具体的には、目盛り付きガラス容器(容量100ml)に、導電性粒子(粉体量100g)を採取し、所定のタッチング装置にてタップストローク3mm、タップ回数100回/分の条件にてタップした。
【0046】
<D50粒子径>
本発明において、導電性粒子のD50粒子径は、島津製作所社製レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」を用いて測定した体積粒度分布の累積粒度50%の値を「D50粒子径」とした。
【0047】
<BET比表面積>
BET比表面積とは、不活性気体の低温低湿物理吸着を利用し、粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求めた値である。
本発明において、BET比表面積は、島津製作所製流動式比表面積測定装置「フローソーブII」を用いて測定した表面積より、以下の計算式により算出した値を比表面積と定義
し、記載した。
比表面積(m2/g)= 表面積(m2) / 粉末質量(g)
【0048】
<アスペクト比>
任意のバインダー樹脂に導電性粒子を分散してなる導電性インキをガラス板の上に適量を印刷し、乾燥ないし硬化反応が終了するのに必要な熱量を加え、導電性インキの固化した物ないし硬化物を得、その硬化物等の断面をSEM観察し、30個以上無作為に選択した粒子の長軸方向の長さと短軸方向の長さとを測定した。各粒子の長軸方向の長さを短軸方向の長さで除した値の、30個以上の平均値を求め、アスペクト比とした。
【0049】
バインダー樹脂
本発明の導電性インキは、いわゆるバインダー樹脂として特定のビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)とアクリル系エラストマー(B2)とを特定の割合で併用する。
ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)とアクリル系エラストマー(B2)と特定量の範囲で併用することで、転移後の導電パターンのダレ・太りと、ポリエステルフィルムなどの柔軟なフィルム基材への密着性と、良好な版離れという、それぞれ相反する性質を制御し、スクリーン版のパターンに対し微細線及び比較的大きな面積部分の正確な印刷性を確保し、厚さ方向の平坦性も確保できる。また、ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等の他樹脂を用いて作成した導電性インキに比べ、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)とアクリル系エラストマー(B2)と特定量の範囲で併用することで、より抵抗値が低い導電性回路を形成できる。
【0050】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)
本発明でいうエポキシ樹脂とは、分子内に2つのフェノール性水酸基を有するビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを所定の分子量まで縮合させてなるジグリシジルエーテルや、前記ビスフェノール類と前記ジグリシジルエーテルとを所定の分子量まで縮合させたりしてなるエポキシ樹脂を示す。
【0051】
分子内に2つのフェノール性水酸基を有するビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD、ビフェノール、ビスフェノールAP、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビスフェノールB、ビスフェノールIBTD、ビスフェノールCP、ビスフェノールBA、ビスフェノールIOTD、ビスフェノールDED、ビスフェノールPRD、ビスフェノールIPTD、ビスフェノールDEK、ビスフェノールMZ、ビスフェノールOT、ビスフェノールNO、ビスフェノールDE、ビスフェノールIPZ、ビスフェノールDE、ビスフェノールFL、ビスフェノールLAD、ビスフェノールPED、ビスフェノールDP、ビスフェノールnBZ、ビスフェノールFBA、ビスフェノールMPK、ビスフェノールTCD、ビスフェノール3MZ、ビスフェノールZ4Sが挙げられる。
【0052】
ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)としては、フェノキシ樹脂として市販されるものを使用することもでき、常法、例えば特開平07−109331号公報、特開平10−77329号公報、特開平11−147930号公報、特開2006−36801号公報等に記載されるように、アルカリ触媒の種類と量、用いる有機溶剤の種類と量、反応温度と時間等を適宜調整してなるものを用いることもできる。
本発明において用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)としては、例えば三菱化学株式会社製「jERシリーズ」、新日鐵化学株式会社製「エポトートシリーズ」、「フェノトートシリーズ」、ナガセケムテックス株式会社製「デナコールシリーズ」、などを用いることができ、これらは単独で使用、あるいは複数を併用してもよい。
【0053】
本発明に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)は、エポキシ基及び水酸基を有し、ポリスチレン換算の重量均分子量(Mw)が、5,000〜100,000であることが重要であり、好ましくは10,000〜80,000であり、より好ましくは30,000〜70,000である。エポキシ樹脂の重量平均分子量が5,000より小さい場合、後述するような金属キレートを適量用いても、スクリーン印刷による微細配線形成のための十分な貯蔵弾性率G’が得られず、一方、100,000より大きい場合、溶剤への溶解性が極端に悪化したり、貯蔵弾性率G’が高くなりすぎたりして、スクリーン印刷が不可能となる。
なお、本発明における重量平均分子量とは、THF(テトラヒドロフラン)に溶解した樹脂を、ゲルカラムとして昭和電工株式会社製「LF−604」(迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続した、東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー:溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィー)「HPLC−8020」を用い、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で測定したデータを、ポリスチレン換算で算出した値をいう。
【0054】
本発明に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)は、水酸基価2〜350(mgKOH/g)であることが重要であり、好ましくは水酸基価50〜300(mgKOH/g)であり、より好ましくは80〜250(mgKOH/g)である。
ここで、水酸基は、後述するように金属キレート(C)のアルコキシ基とアルコール交換反応し、スクリーン印刷法における高精細パターンの印刷性に貯蔵弾性率G’等の必要なレオロジー特性を付与させるための官能基として必要である。また、水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤(D)を用いる場合、金属キレートのアルコキシド基との反応に使用した後のビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)の余剰の水酸基は、前記硬化剤(D)と反応することとなる。
本発明において、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)の水酸基価が2(mgKOH/g)より小さい場合、金属キレート(C)を用いてもスクリーン印刷法による微細描画形成に必要な貯蔵弾性率G’が得られず、一方、水酸基価が350(mgKOH/g)より大きい場合、貯蔵弾性率G’が高くなりすぎて、スクリーン印刷が不可能となったり、硬化物のTgが上昇し、硬化後の塗膜に反りが発生するなどの問題が生じやすい。
【0055】
本発明に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)は、エポキシ当量(以下、EPWともいう)が3,000〜100,000(g/eq)であることが好ましく、4,000〜50,000(g/eq)であることがより好ましい。
本発明において、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)中のエポキシ基は、熱により重合し、あるいは、後述の硬化剤(D)や硬化促進剤と、直接的又は間接的に反応することで、得られる導電性インキの硬化塗膜の機械的強度、密着性等の物性向上に寄与する。
本発明において、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量が100,000(g/eq)より大きい場合、エポキシ基の量が少なすぎて、物性向上の影響が見られない。
一方、エポキシ当量が3,000(g/eq)より小さい場合、反応点が増え過ぎて、反応による硬化収縮や、弾性率、Tgの上昇が激しくなり、硬化後の塗膜に反りやクラックが発生するなどの問題が生じやすい。
【0056】
また、本発明に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)は、ガラス転移温度(以下、Tgという)が40〜150℃であることが好ましく、50〜120℃であることがより好ましい。
Tgが40℃より低い場合は、導電性インキの硬化被膜の耐熱性が悪化するおそれがあり、Tgが150℃より高い場合は、硬化被膜の柔軟性が著しく損なわれるおそれがある。
なお、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)のTgは、乾燥状態の樹脂(粉末または液滴または切片)を、示差熱量測定装置(DSC)を用い、昇温速度5℃/分にて−50℃〜300℃の条件で測定し、熱量カーブの変曲点により確定した。
【0057】
また、本発明に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)は、40%MEK溶液とした場合に、ガードナーホルト法にて25℃で測定した粘度が、T〜Z10であることが好ましく、V〜Z5であることがより好ましい。
40%MEK溶液粘度が、Tより低いということは、ビスフェノール型エポキシ樹脂の分子量が小さく、そのようなビスフェノール型エポキシ樹脂を用いても導電性インキに充分な貯蔵弾性率G’を付与することができず、導電性回路が太り易い。一方、40%MEK溶液粘度が、Z10より高いということは、ビスフェノール型エポキシ樹脂の分子量が大きく、貯蔵弾性率G’が高くなりすぎ、導電性回路にカスレが生じ易い。
【0058】
アクリル系エラストマー(B2)
本発明で言う、アクリル系エラストマー(B2)とは、アクリル酸エステルの重合又はそれを主体とする共重合により得られるゴム状弾性体であり、主成分としてエチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、などが用いられ、必要に応じてビニル基、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、ニトリル基等を有する反応性モノマーや、一分子内に2つ以上の重合性基を有する多官能モノマーが少量共重合されるものを言う。主に乳化重合で作られるため、分子量が大きく、通常の溶剤重合や塊状重合で得られる一般的なアクリル樹脂とは異なり、Tgを超えた温度領域にて高い貯蔵弾性率を示すものである。
【0059】
本発明で用いられるアクリル系エラストマー(B2)は、Tgが−50〜25℃のものが好ましく、より好ましくは−40〜15℃である。
Tgが−50℃より低いアクリル系エラストマーを用いると、形成される導電パターンの耐熱性が著しく悪化し、Tgが25℃より高いものを用いると、得られる導電性パターンの折り曲げ性や、熱処理後の反りが著しく悪化する。
なお、アクリル系エラストマー(B2)のTgは、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)と同様にして求めた。
【0060】
本発明で用いられるアクリル系エラストマー(B2)のムーニー粘度は、10〜90(ML(1+4)100℃)であり、好ましくは20〜60(ML(1+4)100℃)である。ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠したムーニー粘度計を用い、100℃にて予備加熱1分、2rpmで回転し4分経過後の粘度である。
【0061】
ムーニー粘度が10(ML(1+4)100℃)より低いアクリル系エラストマーを用いた場合、得られる導電性インキの微細印刷性、印刷物の平坦性が悪化しやすくなり、90(ML(1+4)100℃)より高い場合、得られる導電性インキから形成される導電性回路の密着性、折り曲げ性が悪化しやすくなる。
アクリル系エラストマーのムーニー粘度は、高分子同士の絡み合いや架橋、層分離構造形成等により、それぞれ分子量、架橋度、層分離状態を制御することで変化させることができ、例えば、エマルジョン法による超高分子量ポリマーの合成、二官能以上のモノマーの共重合、ホモポリマーのTgが著しく異なるモノマー同士の重合など、合成条件により制御することができる。
【0062】
本発明におけるアクリル系エラストマー(B2)としては、例えば日本ゼオン株式会社製「Nipol ARシリーズ」、JSR株式会社製「AREXシリーズ」、株式会社クラレ製「クラリティーシリーズ」、デュポンパフォーマンスエラストマー社製「ベイマックシリーズ」、Polimeri Europa社製「EUROPRENEシリーズ」などを用いることができ、これらは単独で使用、あるいは複数を併用してもよい。
【0063】
本発明において、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)とアクリル系エラストマー(B2)とを併用するに当たり、両者の重量比[(B1)/(B2)]は、9≧[(B1)/(B2)]≧0.1であることが重要であり、好ましくは4≧[(B1)/(B2)]≧0.4である。
[(B1)/(B2)]が9より大きい場合、即ち、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)が大過量の場合、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)と金属キレート(C)との組合せによる導電性インキの貯蔵弾性率G’の大きさが顕著となり、導電性回路の屈曲性が悪くなり、反りも著しく大きくなる。導電性インキの貯蔵弾性率G’が大きくなると、乾燥・硬化前の導電性インキがプラスチックフィルム等の被印刷基材に強固に密着する(食いつく)。そのため、印刷時にスクリーン版がプラスチックフィルム等の被印刷基材に強く引き寄せられ、導電性インキの滑らかな転移が妨げられる、いわゆる版離れが悪いという現象が生じる。版離れが悪いと、厚さ方向の平坦性が損なわれると共に、比較的大きな面積の印刷部のエッジ部が荒れる。
一方、[(B1)/(B2)]が0.1より小さい場合、即ち、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)の極めて少量だと、抵抗値が大きくなるばかりでなく、高精細印刷性が確保できない。
【0064】
金属キレート(C)
本発明において、金属キレート(C)は、導電性インキに使用されるビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)中の水酸基と反応し、スクリーン印刷法における微細印刷性に必要なレオロジー特性を付与できる。前記反応は、エポキシ樹脂(B1)中の水酸基とのアルコール交換反応と考えられる。
かかる金属キレート(C)としては、金属アルコシドとβ−ジケトンやケトエステル(アセト酢酸エチル等)等のキレート化剤と反応したキレート化合物であり、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、チタンキレート等が挙げられ、コスト、入手のし易さ等からアルミニウムキレートが好適に用いられる。
【0065】
金属キレート(C)のうち本発明に用いられるアルミニウムキレートとしては、分子量が420以下のものであることが好ましく、アルミニウムのアセチルアセトネート錯体が好ましい。アセチルアセトネート錯体は、アセチルアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO(CH3)や、メチルアセトアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO−O−CH3や、エチルアセトアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO−O−C25等を有する。本発明に用いられるアルミニウムキレートとしては、これらの基を1分子中に1〜3個有するものが好ましく、アセチルアセトネート基を1〜3個有するか、エチルアセトアセテート基を1〜3個有するアルミニウムキレートがより好ましい。
分子量が420より大きいアルミニウムキレートや、1分子中にアセチルアセトネート基を4個以上有するアルミニウムキレートや、エチルアセトアセテート基を4個以上有するアルミニウムキレートや、更に長鎖のアルキル基を有するアルミニウムキレートは導電性粒子との濡れが阻害されてしまい、抵抗率が上昇する恐れがある。
アルミニウムキレートの代表的なものとしては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピオネート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテテート)、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジ−sec−ブトキシドモノメチルアセトアセテート等が挙げられる。
【0066】
金属キレート(C)のうち本発明に用いられるジルコニウムキレートとしては分子量が350以上1,000以下のものが好ましい。更に、ジルコニウムキレートとしては、アセチルアセトネート錯体で、その1分子中にアセチルアセトネート基を1〜4個含み、エチルアセトアセテート基を0〜2個を含むジルコニウムキレートがより好ましい。分子量が350未満のジルコニウムキレートは導電性インキの分散状態が不安定になり、抵抗率が上昇する恐れがある。
ジルコニウムキレートの代表的なものとしては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0067】
金属キレート(C)のうち本発明に用いられるチタンキレートとしては分子量が250以上1,500以下のものが好ましい。更に、(HOR1O)2Ti(OR2)2あるいは(H2NR1O)2Ti(OR2)2で表すことができるようなチタンキレートおよびアルコキシチタンである。ここで、R1およびR2は炭化水素基である。例えば、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−プトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート、チタニウムステアレート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート等が挙げられる。分子量が250未満のジルコニウムキレートは導電インキの分散状態が不安定になり、抵抗率が上昇する恐れがある。
【0068】
本発明に用いられる金属キレート(C)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)とアクリル系エラストマー(B2)との合計100重量部に対して、0.2〜20重量部含有することが好ましく、3〜15重量部含有することがより好ましい。
金属キレート(C)が0.2重量部未満では、スクリーン印刷法における微細印刷性に必要な弾性的性質の付与効果が小さく、20重量部を越えると、導電性インキの弾性的性質の付与が大きくなりすぎ、スクリーン印刷が出来なくなるとともに、インキの導電性が悪化する恐れがある。
【0069】
これまで、スクリーン印刷法における印刷精度は、粘度とチキソトロピー性を制御することによって向上できるとする考え方が一般的であり、チキソトロピー性はTI値(チキソインデックス、TI値)によって評価していた。
しかし、流動(粘性流動)と弾性的な性質(弾性変形)とを併せ持つ性質(粘弾性)を有する印刷インキの印刷時の挙動を、粘度とTI値で把握、評価することは不十分であった。
そこで、本発明では、ビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)とアクリル系エラストマー(B2)に対し、特定量の金属キレート(C)を用いることによって、粘性的性質(粘度)に大きな影響を与えずに、弾性的性質(貯蔵弾性率G’)を制御し、高精細な印刷を可能とした。
【0070】
本発明の導電性インキは、弾性的性質において、25℃、周波数1(Hz)、振動応力50(Pa)にて、貯蔵弾性率G’が1,000〜5万(Pa)であること、及び損失弾性率G’’を貯蔵弾性率G’で除した値、tanδが1以下であることが、高精細パターンの印刷性を付与するために好適である。
25℃、周波数1(Hz)、振動応力50(Pa)における貯蔵弾性率G’が1,000Pa未満では弾性が弱く、スクリーンの開口部をインキが通過し、基材に転移した後、所定のパターンの形状を維持することが難しくなり、パターン太りや蛇行が発生し、高精細なパターンの印刷性に劣る。
一方、導電性インキの貯蔵弾性率G’が5万Paを超えると弾性が強くなりすぎ、スクリーン刷版上にてインキがローリングできず、またスクリーンに設けられた所定のパターンに充填しづらくなるために、パターンのカスレやカケが発生し、スクリーン印刷ができない。
貯蔵弾性率G’は、1,000〜25,000であることが好ましく、6,000〜10,000であることがより好ましい。
また、導電性インキのtanδが1を超えると、弾性的性質が少なくなりパターン太りや蛇行が発生しやすくなり、高精細なパターン印刷性に劣る傾向がある。
導電性インキの粘弾性挙動評価は各方法があるが、正弦振動の周波数を固定し、振動応力を変化させた測定方法が、導電性インキ等の分散系の動的粘弾性を測定する場合には好ましい。
【0071】
硬化剤(D)
本発明の導電性インキは硬化剤(D)を含有することにより、硬化後の被膜の耐熱性や、高温高湿環境下での抵抗値、密着性の劣化を、更に抑制することができる。
かかる硬化剤(D)としては、エポキシ基や水酸基と反応し得るものが用いられ、エポキシ基と反応するものが好ましい。硬化剤としては、イソシアネート化合物、アミン化合物、酸無水物化合物、メルカプト化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド化合物、有機酸ヒドラジド化合物等が挙げられる。
例えば、エポキシ樹脂の水酸基と反応させる場合は、硬化剤としてイソシアネート化合物を用いることができる。
エポキシ樹脂のエポキシ基と反応させる場合は、アミン化合物、酸無水物化合物、メルカプト化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド化合物、有機酸ヒドラジド化合物を硬化剤として用いることができる。
【0072】
硬化剤(D)として用い得るイソシアネート化合物としては、非ブロック化イソシアネート、ブロック化イソシアネート等を挙げることができる。
イソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、従来公知の芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、またはこれらのブロック体であるブロック化イソシアネートを使用でき、これらは単種および2種以上を使用してもよい。芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマーなどが挙げられる。
脂肪族ポリイシシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、トリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートからなるコポリマーのイソシアヌレート体が挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体が挙げられる。ブロック化イソシアネートとしては、ポリイソシアネートがε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、フェノール、活性メチレン化合物等でブロックされた従来公知のものを使用することができる。
【0073】
本発明の導電インキに用いられる硬化剤(D)のうちアミン化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族アミン、N−アミノエチルピペラジン、メンゼンジアミン、イソホロンジアミン、水素添加m−キシレンジアミン等の脂環族アミン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルソルフォン等の芳香族アミン等が挙げられる。また、これらアミンを変性した、アミンアダクト類、ケチミン類や、ダイマー酸とポリアミンの縮合により生成する、分子中に反応性の一級アミンと二級アミンを有するポリアミド樹脂等も挙げられる。
【0074】
本発明の導電インキに用いられる硬化剤(D)のうち酸無水物化合物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、無水メチルナジック酸等が挙げられる。
【0075】
本発明の導電インキに用いられる硬化剤(D)のうちメルカプト化合物としては、液状ポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂等が挙げられる。
【0076】
本発明の導電インキに用いられる硬化剤(D)のうちイミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物、およびこれらイミダゾール化合物とエポキシ樹脂を反応させて溶剤に不溶化したタイプ、またはイミダゾール化合物をマイクロカプセルに封入したタイプ等の保存安定性を改良した潜在性硬化剤が挙げられる。
【0077】
本発明の導電インキに用いられる硬化剤(D)のうちジシアンジアミド化合物としては、ジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。
【0078】
本発明において、使用する硬化剤(D)としては、反応性および硬化後の塗膜の耐性の観点から、イミダゾール化合物やジシアンジアミド化合物がより好ましい。また、これら硬化剤は、単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。
【0079】
本発明の導電性インキは、前記エポキシ樹脂(B1)と前記アクリル系エラストマー(B2)との合計100重量部に対して、硬化剤(D)を1.0〜40重量部含有することが好ましく、10〜30重量部がより好ましい。
硬化剤(D)が1.0重量部より少ない場合、印刷物に十分な密着性、耐熱性等を付与することができず、40重量部を超えると、未反応の硬化剤が導電性インキに残りやすくなり、同様に十分な密着性、耐熱性等を付与することが難しい。
【0080】
本発明の導電性インキには、硬化剤の熱硬化を促進する硬化促進剤等を含有させることができる。
係る硬化促進剤としては、エポキシ樹脂の水酸基とイソシアネート化合物との反応においては、有機錫化合物、アミン化合物等を用いることができる。有機錫化合物としては、例えばスタナスオクタエート(SO)、ジブチルチンジラウレート(DBTDL)等が挙げられる。アミン化合物としては、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、N−エチルモルフォリン(NEM)、トリエチルアミン(TEA)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチルトリアミン(PMDETA)等が挙げられる。
【0081】
また、エポキシ樹脂のエポキシ基と前述した硬化剤との反応においての硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、3級アミン化合物、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、カルボン酸ヒドラジド、脂肪族または芳香族ジメチルウレアなどのジアルキルウレア類等が挙げられる。3級アミン化合物としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5等を挙げることができる。ホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等を挙げることができる。ミダゾール化合物としては、前述の硬化剤で挙げられたイミダゾール化合物を挙げることができる。例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物、およびこれらイミダゾール化合物とエポキシ樹脂を反応させて溶剤に不溶化したタイプ、またはイミダゾール化合物をマイクロカプセルに封入したタイプ等の保存安定性を改良した潜在性硬化促進剤を挙げることができる。カルボン酸ヒドラジドとしては、コハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド等を挙げることができる。
【0082】
本発明の導電性インキは、各種溶剤で溶解、希釈する事ができ、固形分として50〜90重量%となる範囲で使用することが好ましい。
固形分が50%より低い場合、スクリーン印刷法による微細配線描画に必要な貯蔵弾性率が得られ難くなり、一方、固形分が90%より高い場合、印刷時のカスレや断線等の描画不良の原因となる。
希釈用の溶剤は、使用する樹脂の溶解性や印刷方法等の種類に応じて、選択する事ができる。
例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、脂環族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、水等の1種または2種以上を混合して用いる事ができるが、これらに限定されるものではない。
例えば、エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、炭酸ジメチル等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンベンゼン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサンノン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等、これらモノエーテル類の酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等、これらモノエーテル類の酢酸エステル等が挙げられる。
脂肪族系溶剤としては、n−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレン、テトラリン等が挙げられる。
【0083】
また、本発明の導電性インキは、必要に応じて分散剤、耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、保湿剤等を添加することができる。
【0084】
本発明の導電性インキは、導電性粒子、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アクリル系エラストマー、金属キレート、硬化剤及び溶剤等を、所望の割合で配合してディスパー等にて混合後、必要に応じて3本ロール等にて混合分散させることにより得ることができる。全成分を配合した後に混合したり混合分散したりして導電性インキを得ることもできるし、いくつかの成分を混合したり混合分散したりした後、各成分が所望の割合となるように混合して、導電性インキを得ることもできる。
例えば、2種類の導電性粒子、ビスフェノール型エポキシ樹脂、アクリル系エラストマー、金属キレート及び溶剤等を混合したり混合分散したりした後、硬化剤を加え、導電性インキを得ることができる。
あるいは、ビスフェノール型エポキシ樹脂又はアクリル系エラストマーの少なくとも何れか一方と溶剤を含有する樹脂溶液を得た後、2種類の導電性粒子をそれぞれ別々に前記の樹脂溶液に分散し、次いで2種類の導電性粒子分散体を混合することもできる。2種類の導電性粒子を別々に分散する場合、金属キレートや硬化剤は、それぞれの分散時に配合しておくこともできるし、一方の分散時に配合しておくこともできるし、2種類の導電性粒子分散体を混合する際に配合することもできるし、2種類の導電性粒子分散体を混合した後に配合することもできる。
本発明の導電性インキは、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びアクリル系エラストマー、硬化剤、溶剤を含有する樹脂溶液を得た後、2種類の導電性粒子をそれぞれ別々に前記の樹脂溶液に分散し、次いで金属キレートを混合したものを分散し、次いで2種類の導電性粒子分散体を混合して得ることが好ましい。2種類の導電性粒子をそれぞれ別々に分散する方法で得られた導電性インキは、他の方法、例えば全成分を一度に配合し分散して得られた導電性インキよりもさらに高精細で厚み高低差もさらに小さい導電パターン、即ちシャープで細く平坦な導電パターンを形成することができる。
【0085】
本発明の導電性インキは、従来公知の種々の印刷法に適用することができ、特にスクリーン印刷に適用することが好ましい。
スクリーン印刷法においては、前述したように導電回路パターンの高精細化に対応すべく微細なメッシュ、特に好ましくは400〜840メッシュ程度の微細なメッシュのスクリーンを用いることが好ましい。この時のスクリーンの開放面積は約20〜70%が好ましい。スクリーン線径は約5〜70μmが好ましい。
スクリーン版の種類としては、ポリエステルスクリーン、ステンレスメッシュスクリーン、コンビネーションスクリーン、メタルスクリーン、ナイロンスクリーン等が挙げられる。また、高粘度なペースト状態のものを印刷する場合は、高張力ステンレススクリーンまたは、高張力コンビネーションスクリーンを使用することができる。
スクリーン印刷のスキージは丸形、長方形、正方形いずれの形状であっても良く、またアタック角度を(印刷時の版とスキージの角度)小さくするために研磨スキージも使用することができる。その他の印刷条件等は従来公知の条件でよいが、スクリーンやスキージの特性に応じて最適な条件を設定することが好ましい。
【0086】
本発明の導電性インキを用い、各種印刷法により基材上に印刷することにより、高精細な導電性回路パターンを形成することができる。
また、基材フィルムとしては特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリパラフェニレンテレフタルアミドフィルム、ポリエーテルニトリルフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルム、等が挙げられる。
また、ITOなどの導電材料をスパッタリング、ウェットコート等によりポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのポリエステルフィルム、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、アクリル樹脂等の高分子フィルム上に形成したいわゆる導電フィルム、ガラス上に形成した導電ガラス等が挙げられる。また、セラミック、ガラス基材等も用いることができる。特にタッチスクリーンパネルにおいては、ポリエスエルフィルム上に導電層を形成したITOフィルムなどの導電性フィルム、ガラス上に導電層を形成したITOガラスなどの導電性ガラスが多く用いられる。
【0087】
基板上に印刷した導電回路パターンは、加熱して乾燥、固化させ、また、導電性インキに硬化剤を添加している場合はこれを硬化させる。加熱温度は80〜230℃、加熱時間としては10〜120分が好ましい。
【0088】
必要に応じ、高精細パターン配線の印刷性をさらに向上させる目的で、基材にアンカーコート層を設け、更にアンカーコート層に導電性インキを印刷することもできる。
かかるアンカーコート層は、基材との密着性、更には導電性インキの密着性が良好であれば、特に限定させず、また樹脂ビーズ等の有機フィラーや金属酸化物等の無機フィラーも必要に応じ添加することができる。これらアンカーコート層を設ける方法も特に限定されず、従来公知の塗工方法にて塗布、乾燥、硬化して得ることができる。
【実施例】
【0089】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中、「部」、「%」は、それぞれ「重量部」、「重量%」を、水酸基価はKOHmg/g、エポキシ当量はg/eqを、それぞれ意味する。
【0090】
[銀粉1]
DOWAエレクトロニクス社製球状銀粉(タップ密度5.2 g/cm3、D50粒子径0.9μm、アスペクト比1.2、比表面積0.94m2/g)を銀粉Aとした。
【0091】
[銀粉2]
福田金属社製社製球状銀粉(タップ密度5.1g/cm3、D50粒子径1.4μm、 アスペクト比1.1、比表面積1.50m2/g)を銀粉Bとした。
【0092】
[銀粉3]
福田金属社製社製球状銀粉(タップ密度4.2g/cm3、D50粒子径1.3μm、 アスペクト比1.3、比表面積0.93m2/g)を銀粉Cとした。
【0093】
[銀粉4]
METALOR社製フレーク銀粉(タップ密度5.3g/cm3、D50粒子径6.8μm、アスペクト比2.5、比表面積0.29m2/g)を銀粉Dとした。
【0094】
[銀粉5]
SINO−PLATINUM社製フレーク銀粉(タップ密度3.7g/cm3、D50 粒子径4.9μm、アスペクト比3.5、比表面積4.50m2/g)を銀粉Bとした 。
【0095】
[銀粉6]
METALOR社製フレーク銀粉(タップ密度2.8g/cm3、D50粒子径1.2 μm、アスペクト比1.2、比表面積1.50m2/g)を銀粉Fとした。
【0096】
[銀粉7]
Johnson Matthey社製球状銀粉(タップ密度3.2g/cm3、D50 粒子径0.9μm、アスペクト比1.3、比表面積3.00m2/g)を銀粉Gとした。
【0097】
[銀粉8]
DOWAエレクトロニクス社製球状銀粉(タップ密度3.7g/cm3、D50粒子径0.9μm、アスペクト比1.2、比表面積1.33m2/g)を銀粉Hとした。
【0098】
[銀粉9]
三井金属社製球状銀粉(タップ密度0.9g/cm3、D50粒子径5.1μm、アス ペクト比1.4、比表面積1.91m2/g)を銀粉Iとした。
【0099】
[銀粉10]
DOWAエレクトロニクス社製箔状銀粉(タップ密度1.1g/cm3、D50粒子径8.9μm、アスペクト比22.0、比表面積2.14m2/g)を銀粉Jとした。
【0100】
[銀粉11]
SINO−PLATINUM社製フレーク銀粉(タップ密度2.9g/cm3、D50 粒子径5.2μm、アスペクト比2.8、比表面積5.60m2/g)を銀粉Kとした 。
【0101】
<銀粉のタップ密度、D50粒子径、アスペクト比およびBET比表面積の測定>
1)タップ密度
JIS Z 2512:2006法に基づいて測定した。
2)D50粒子径
島津製作所社製レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」を用いて測定した体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した。
3)アスペクト比
後述するバインダー樹脂(1)に各導電性粒子及び硬化剤(1)を加えたアスペクト比測定用の導電性インキを得、前記導電性インキの硬化物のサンプルを作成後、公知の装置でサンプルを切断し、断面を露出させた。その断面をSEM観察し、30個以上無作為に選択した粒子の、長軸方向の長さと短軸方向の長さを測定した。各粒子の長軸方向の長さを短軸方向の長さで除した値の、30個以上の平均値を求め、アスペクト比とした。
4)BET比表面積
島津製作所製流動式比表面積測定装置「フローソーブII」を用いて測定した表面積の値より、以下の計算式に基づき比表面積を求めた。
比表面積(m2/g)=表面積(m2)/粉末質量(g)
【0102】
(バインダー1)
三菱化学社製、jER1256(ビスフェノールA骨格から成るフェノキシ樹脂、重量平均分子量51,000、エポキシ当量7,800、水酸基価200、Tg95℃)40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(1)溶液を得た。
【0103】
(バインダー2)
三菱化学社製、jER4250(ビスフェノールAおよびビスフェノールF骨格から成るフェノキシ樹脂、重量平均分子量59,000、エポキシ当量8,200、水酸基価210、Tg70℃)40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(2)溶液を得た。
【0104】
(バインダー3)
三菱化学社製、jER1009(重量平均分子量4,000、エポキシ当量2,800、水酸基価196、Tg144℃)40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(3)溶液を得た。
【0105】
(バインダー4)
攪拌機、温度計、精留管、窒素ガス導入管、減圧装置を備えた反応装置に、jER4250(ビスフェノールAおよびビスフェノールF骨格から成るフェノキシ樹脂、重量平均分子量59,000、エポキシ当量8,200、水酸基価210、Tg70℃)40部、フェニルイソシアネート17.8部、ラウリン酸ジブチル錫0.06部、γ−ブチロラクトン43.4部、エチルカルビトールアセテート43.4部を仕込み、120℃まで徐々に加熱し、ウレタン化反応を行った。IRにてイソシアネートの吸収ピークが消失したことを確認し、冷却。不揮発分が40%と成るように、γ−ブチロラクトン/エチルカルビトールアセテート=50/50の混合溶剤にて調整することで、バインダー(4)溶液を得た。
得られた溶液中の樹脂は、重量平均分子量65,000、エポキシ当量9,000、水酸基価1、Tg60℃であった。
【0106】
(バインダー5)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビスフェノールAを、ジシクロペンタジエンジエポキシド中のエポキシ基1モルに対して、ビスフェノールAのフェノール性水酸基が0.96モルとなるように仕込み、触媒としてトリフェニルホスフィンを1%、不揮発分が40%と成るように、γ−ブチロラクトン/エチルカルビトールアセテート=50/50の混合溶剤を投入し、150℃まで徐々に昇温しながら、高Tgエポキシ樹脂の合成を行なった。
IRにてエポキシ基の吸収ピーク強度が収束したことを確認し、冷却。不揮発分が40%と成るように、γ−ブチロラクトン/エチルカルビトールアセテート=50/50の混合溶剤にて調整することで、バインダー(5)溶液を得た。
得られた溶液中の樹脂は、重量平均分子量15,000、エポキシ当量12,000、水酸基価175、Tg160℃であった。
【0107】
(バインダー6)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、1,6−ヘキサンジエポキシド、ビスフェノールAを、1,6−ヘキサンジエポキシド中のエポキシ基1モルに対して、ビスフェノールAのフェノール性水酸基が0.96モルとなるように仕込み、触媒としてトリフェニルホスフィンを1%、不揮発分が40%と成るように、γ−ブチロラクトン/エチルカルビトールアセテート=50/50の混合溶剤を投入し、150℃まで徐々に昇温しながら、高Tgエポキシ樹脂の合成を行なった。
IRにてエポキシ基の吸収ピーク強度が収束したことを確認し、冷却。不揮発分が40%と成るように、γ−ブチロラクトン/エチルカルビトールアセテート=50/50の混合溶剤にて調整することで、バインダー(6)溶液を得た。
得られた溶液中の樹脂は、重量平均分子量18,000、エポキシ当量6,500、水酸基価230、Tg30℃であった。
【0108】
(バインダー7)ポリエステル樹脂の合成
攪拌機、温度計、精留管、窒素ガス導入管、減圧装置を備えた反応装置にテレフタル酸ジメチル20.3部、イソフタル酸ジメチル20.3部、エチレングリコール12.9部、ネオペンチルグリコール18.2部、及びテトラブチルチタネート0.03部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら180℃まで徐々に加熱し、180℃で3時間エステル交換反応を行なった。ついで、セバシン酸28.3部を仕込み180〜240℃まで徐々に加熱し、エステル化反応を行なった。240℃で2時間反応し、酸価を測定し、15以下になったら反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧し、所定の粘度に達した時、反応を停止し取り出し、重量平均分子量が52,900、数平均分子量が23,000、水酸基価が5、酸価が1のポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂40部をイソホロン60部に溶解し、不揮発分40%のバインダー(7)溶液を得た。
【0109】
(バインダー8)ポリウレタン樹脂の合成
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イソフタル酸と3−メチル−1,5ペンタンジオールとから得られるポリエステルポリオール((株)クラレ製「クラレポリオールP−2030」、Mn=2033)127.4部、ジメチロールブタン酸4.2部、イソホロンジイソシアネート19.2部、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート32.5部を仕込み、窒素気流下にて90℃で3時間反応させ、ついでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート115部を加えて、重量平均分子量が48,600、数平均分子量が18,000、水酸基価が4、酸価が10のポリウレタン樹脂の溶液を得た。ポリウレタン樹脂の溶液100部にイソホロン26部を加え、不揮発分40%のバインダー(8)溶液を得た。
【0110】
(バインダー9)
日本ゼオン株式会社製、Nipol AR51(Tg−14℃、ムーニー粘度55)40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(7)溶液を得た。
【0111】
(バインダー10)
日本ゼオン株式会社製、Nipol AR53L(Tg−32℃、ムーニー粘度34)40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(8)溶液を得た。
【0112】
(バインダー11)
日本ゼオン株式会社製、Nipol AR12(Tg−28℃、ムーニー粘度33)40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(9)溶液を得た。
【0113】
(バインダー12)
ブチルメタクリレート(BMA)85部、メチルメタクリレート(MMA)15部、アンモニア中和型アニオン性界面活性剤として、第一工業製薬株式会社製「アクアロンKH−10」2部をイオン交換水32部に溶解したものを加えて攪拌し、得られた乳化物を滴下槽に仕込んだ。
攪拌機、温度計、精留管、窒素ガス導入管、減圧装置、滴下槽を備えた反応装置に、イオン交換水を75部、日本乳化剤株式会社製「RA−9607」を0.2部仕込み、反応槽内部を窒素ガスで置換し、攪拌しながら液温を80℃まで昇温し、3%加硫酸カリウム水溶液を固形分として0.1部添加した。
5分後、上記滴下槽から乳化物の滴下を開始し、これと並行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.35部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。
液温を80℃に保ったまま、乳化物滴下終了後60分後に1%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液、1%ロンガリット水溶液を固形分として0.02部を三回にわけて30分おきに添加し、さらに攪拌しながら80℃にて60分間熟成したのち冷却し、BMA/MMAの共重合体エマルジョンを得た。
このエマルジョンからエタノールと水で界面活性剤などの残存添加物を洗浄後、水分を蒸発乾固することで、固形分100%のアクリル樹脂乾固物を得た。
得られたアクリル樹脂乾固物は、Tg30℃、ムーニー粘度85であった。
このアクリル樹脂乾固物40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(10)溶液を得た。
【0114】
(バインダー13)
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)100部、アンモニア中和型アニオン性界面活性剤として、第一工業製薬株式会社製「アクアロンKH−10」2部をイオン交換水32部に溶解したものを加えて攪拌し、得られた乳化物を滴下槽に仕込んだ。
攪拌機、温度計、精留管、窒素ガス導入管、減圧装置、滴下槽を備えた反応装置に、イオン交換水を75部、日本乳化剤株式会社製「RA−9607」を0.2部仕込み、反応槽内部を窒素ガスで置換し、攪拌しながら液温を80℃まで昇温し、3%加硫酸カリウム水溶液を固形分として0.1部添加した。
5分後、上記滴下槽から乳化物の滴下を開始し、これと平行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.35部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。
液温を80℃に保ったまま、乳化物滴下終了後60分後に1%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液、1%ロンガリット水溶液を固形分として0.02部を三回にわけて30分おきに添加し、さらに攪拌しながら80℃にて60分間熟成したのち冷却し、BMA/MMAの共重合体エマルジョンを得た。
このエマルジョンからエタノールと水で界面活性剤などの残存添加物を洗浄後、水分を蒸発乾固することで、固形分100%のアクリル樹脂乾固物を得た。
得られたアクリル樹脂乾固物は、Tg−55℃、ムーニー粘度19であった。
このアクリル樹脂乾固物40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(11)溶液を得た
【0115】
(バインダー14)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管、滴下槽を備えた反応装置に、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部を仕込み、攪拌機を備えた滴下槽に、ブチルアクリレート4部、エチルアクリレート36部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.8部を仕込み、反応装置内に窒素を導入しながら100℃に昇温し、滴下槽の攪拌を開始した。
滴下槽が均一に溶解し、反応槽が100℃に達してから、滴下槽の溶液を2時間かけて徐々に滴下し、滴下終了後、AIBN 0.2部を、30分毎に4回にわけて反応槽に投入した。投入終了後、100℃のまま1.5時間攪拌し、冷却することで、不揮発分40%のバインダー(12)溶液を得た。
得られた溶液中の樹脂は、重量平均分子量25,000、Tg−23℃、ムーニー粘度3であった。
【0116】
(バインダー15)
ブチルアクリレート(BA)10部、エチルアクリレート(EA)90部、1,6−ヘキサンジアクリレート2部、アンモニア中和型アニオン性界面活性剤として、第一工業製薬株式会社製「アクアロンKH−10」2部をイオン交換水32部に溶解したものを加えて攪拌し、得られた乳化物を滴下槽に仕込んだ。
攪拌機、温度計、精留管、窒素ガス導入管、減圧装置、滴下槽を備えた反応装置に、イオン交換水を75部、日本乳化剤株式会社製「RA−9607」を0.2部仕込み、反応槽内部を窒素ガスで置換し、攪拌しながら液温を80℃まで昇温し、3%加硫酸カリウム水溶液を固形分として0.1部添加した。
5分後、上記滴下槽から乳化物の滴下を開始し、これと平行して3%過硫酸カリウム水溶液を固形分として0.35部を別の滴下口から3時間かけて滴下した。
液温を80℃に保ったまま、乳化物滴下終了後60分後に1%t−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液、1%ロンガリット水溶液を固形分として0.02部を三回にわけて30分おきに添加し、さらに攪拌しながら80℃にて60分間熟成したのち冷却し、BMA/MMAの共重合体エマルジョンを得た。
このエマルジョンからエタノールと水で界面活性剤などの残存添加物を洗浄後、水分を蒸発乾固することで、固形分100%のアクリル樹脂乾固物を得た。
得られたアクリル樹脂乾固物は、Tg−18℃、ムーニー粘度100であった。
このアクリル樹脂乾固物40部を、γ−ブチロラクトン30部とエチルカルビトールアセテート30部との混合溶媒に溶解し、不揮発分40%のバインダー(13)溶液を得た
【0117】
<各バインダーのMw、Tg、水酸基価、エポキシ当量、ムーニー粘度>
1)Mw
カラムとして「LF−604」(昭和電工株式会社製:迅速分析用GPCカラム:6mmID×150mmサイズ)を直列に2本接続した東ソー株式会社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「HPC−8020」を用い、溶媒(THF;テトラヒドロフラン)、流量0.6ml/min、カラム温度40℃の条件で測定しポリスチレン換算にて、重量平均分子量(Mw)の決定を行った。
2)Tg
SIIナノテクノロジー株式会社製「DSC220C」を用い、昇温速度5℃/分にて−50℃〜300℃の条件で測定し、熱量カーブの変曲点により確定した。
3)水酸基価
JIS K 0070に準じて測定した。
4)エポキシ当量
JIS K 7236に準じて測定した。
5)ムーニー粘度
JIS K6300に準拠した島津株式会社製ムーニー粘度計「SMV−300」を用い、100℃にて予備加熱1分、2rpmで回転し4分経過後の粘度を測定した。
【0118】
[金属キレートA1]
アルミキレートとして、川研ファインケミカル株式会社製ALCH(一般式(1)、固形分90%)を、ブチルカルビトールアセテートを用いて固形分が45%となるように調整し、金属キレートA1の溶液とした。
【0119】
一般式(1)
【化1】

【0120】
[金属キレートA2]
チタンキレートとして、マツモトファインケミカル株式会社製オルガチックスTC−100(チタンアセチルアセトナート、固形分75%)を、ブチルカルビトールアセテートを用いて固形分が45%となるように調整し、金属キレートA2の溶液とした。
【0121】
[金属キレートA3]
ジルコニウムキレートとして、マツモトファインケミカル株式会社製オルガチックスZC−540(ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、固形分45%)を金属キレートA3の溶液とした。
【0122】
[硬化剤1]
イミダゾール型硬化剤、アデカハードナーEH−4346S(株式会社アデカ製、固形分100%)を硬化剤(1)とした。
[硬化剤2]
ブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤、デュラネートMF−K60X(旭化成ケミカルズ社製、固形分60%)を硬化剤(2)の溶液とした。
[硬化剤3]
ジシアンジアミド(固形100%)を硬化剤(3)とした。
【0123】
実施例1<導電性インキの調製>
導電性粒子(A1)として銀粉1:39.1重量部と、
導電性粒子(A2)として銀粉6:39.1重量部と、
4.32重量部のエポキシ樹脂を含むバインダー(1)溶液:10.8重量部と、
2.2重量部のアクリル系エラストマーを含むバインダー(7)溶液:5.5重量部と、
0.54重量部のアルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピオネートを含む金属キレートC1の溶液:1.2重量部と、
硬化剤(1):1.7重量部と、
γ−ブチロラクトンとエチルカルビトールアセテートの1/1(重量比)の混合溶剤:2.3重量部と、
ブチルカルビトールアセテート:0.4重量部とを
ディスパーにて混合後、3本ロールにより分散し、導電性インキを調製した。
得られた導電性インキは、固形分(有機溶剤を除く成分)が約87重量%である。固形分約87重量部中の銀粉1と銀粉6の合計量は約78.2重量部であり、固形分100重量%中、約90重量%に当たる。導電性粒子(A1)と導電性粒子(A2)との重量比は、[(A1)/(A2)]=約1である。エポキシ樹脂(B1)とアクリル系エラストマー(B2)との重量比は、[(B1)/(B2)]=約2である。
そして、ティー・エイ・インスツルメント社製レーオメーター「AR−G2」を使用して、25℃の温度下で、周波数1Hzに固定し、振動応力1.0〜10,0000Paの範囲で貯蔵弾性率G’等の動的粘弾性特性を測定したところ、実施例1の導電性インキの振動応力50Paにおける貯蔵弾性率G’は5,400、tanδは0.73であった。
また、東機産業株式会社製E型粘度計「Viscometer TVH−22」を用い、25度、5rpmの条件で測定した粘度は、210(mPa・s)であり、TI値(2rpm/20rpm)は9.5であった。
得られた導電性インキについて、後述する種々の評価をした。結果を表1に示す。
【0124】
実施例2〜23、比較例1〜27<導電性インキの調製>
表1〜6に示す配合比率にて銀粉、バインダー樹脂溶液、金属キレート、硬化剤、溶剤をディスパーにて混合後、3本ロールにより分散し、実施例1と同様にして導電性インキを調製し、同様に評価した。結果を表1〜6に示す。
【0125】
実施例24〜26<導電性インキの調製>
表3に示すように実施例1、7、4とそれぞれ同じ配合比率にてバインダー樹脂溶液、硬化剤、溶剤をディスパーにて混合し樹脂溶液を得て、得られた樹脂溶液を半量ずつにわけ、それぞれの樹脂溶液に表3に示す配合比率にて導電性粒子(A1)及び導電性粒子(A2)をディスパーにて混合後、それぞれの混合物を別々に3本ロールにより分散後、それぞれの分散体に表3に示す配合比率の半量の金属キレートをディスパーで混合後、3本ロールにて分散した後、それぞれの分散体をディスパーにて混合して導電性インキを調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表3に示す。
【0126】
[導電性(体積抵抗率)及び密着性の評価]
高精度スクリーン印刷装置(東海精機株式会社製SERIA)によって、厚さ75μmのコロナ処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)のコロナ処理面に、各実施例、各比較例の導電インキを15mm×30mmのパターン形状にスクリーン印刷し、150℃オーブンにて30分乾燥させ、厚みが8〜10μmの導電性印刷物を複数得た。
得られた印刷物について、初期状態(常態)の膜厚、表面抵抗値を測定し、体積抵抗率を求め、さらに密着性を評価した。
次いで、各印刷物を、130℃の環境下に1000時間曝したり(高温保存試験)、60℃、90%RHの環境下に1000時間曝したり(耐湿熱性試験)、−50℃の環境下に30分間、次いで150℃の環境下に30分間曝すという工程を1サイクルとして1000サイクル繰り返したり(熱衝撃耐性(ヒートサイクル)試験)した後、体積抵抗率及び密着性を初期と同様に評価した。
評価方法および評価基準は下記の通りである。
【0127】
<膜厚の測定>
上記印刷物の膜厚は、仙台ニコン社製MH−15M型測定器を用いて測定した。
<表面抵抗値の測定>
上記印刷物の表面抵抗値は、25℃、湿度50%環境下にて三菱化学社製ロレスタAPMCP−T400測定器を用い、測定した。
【0128】
<体積抵抗率の評価>
上記方法で測定された表面抵抗値、および膜厚より、体積抵抗率を算出した。
体積抵抗率が8.0×10-5Ω・cm以下であれば、導電材料として、実用的に広く使用可能であるために好ましく、5.0×10-5Ω・cm以下であれば、より広い用途で使用可能であるため、より好ましい。一方、8.0×10-5より高い場合は、その利用範囲が限定されるため、好ましくない。
○:5.0×10-5Ω・cm以下
△:5.0×10-5Ω・cmより高く、8.0×10-5Ω・cm以下
×:8.0×10-5より高い
【0129】
<密着性の評価>
JIS K5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。
印刷面に、幅1m間隔に10マス×10マスの計100マス目をカッターで入れ、ニチバン製セロハンテープ(25mm幅)を印刷面に貼り付け、急激に剥離し、残ったマス目の状態にて評価を行った。
○:剥離無し(密着性良好)
△:マスの端がわずかに欠ける(密着性やや不良だが、実用上使用可能)
×:1マス以上の剥離が観察される(密着性不良)
【0130】
[他の基材に対する密着性の評価]
上記コロナ処理PETフィルムの代わりに、ITO積層フィルム(日東電工社製、V270L−TEMP、75μm厚)、およびこのITO積層フィルムの全面を塩酸でエッチングしてITO層を除去して基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を露出させたものを用いた以外はPETフィルムの場合と同様にして、各実施例、各比較例の導電インキを用い、印刷物を得、同様にして常態(初期)の密着性を評価した。
【0131】
[屈曲性の評価]
上記厚コロナ処理PETフィルムのコロナ処理面に、各実施例、各比較例の導電インキを用い、線幅300μm、線間の幅2mm(L/S=300μm/2000μm)、長さ50mmの配線パターンを10本、スクリーン印刷し、150℃オーブンにて30分乾燥させ、厚みが8〜10μmの屈曲性評価用の導電性印刷物を得た。
10本の配線パターンを中心にして、印刷領域の5mm外側を一周切り、60mm×31mmの試験片を切り出した。50mm長の10本のパターン線端間の抵抗値を測定し、その平均値を初期の抵抗値とした。
次いで、前記試験片の長軸方向の印刷パターン中央部を山折に180度に折り曲げ、折り曲げ部分に2.0kgの荷重を5秒間乗せ、その後、試験片をフラットに戻して折り曲げ部分に2.0kgの荷重を5秒間乗せるという作業を20回くり返した後、初期と同様に50mm長の10本のパターン線端間の抵抗値を測定し、平均値を求め、折り曲げ後の抵抗値とした。折り曲げ前後の抵抗値の上昇度合いを次の式で算出し、評価した。
抵抗値上昇度(倍)= 20回折り曲げ後の抵抗値/折り曲げ前の抵抗値
○:1.5倍以下。折り曲げによる抵抗値変動幅が小さく、良好。
△:1.5倍より大きく2.5倍以下。折り曲げによる抵抗値変動はあるものの、回路としての実用性は保持されており、使用可能。
×:2.5倍より大きい。折り曲げによる抵抗値変動が大きく、配線としての使用範囲が著しく制限されるため、好ましくない。
【0132】
[反りの評価]
上記コロナ処理PETフィルムのコロナ処理面に、各実施例、各比較例の導電インキを用い、50mm×50mmのベタ部をスクリーン印刷し、150℃オーブンにて30分乾燥させ、厚みが8〜10μmの反り評価用の導電性印刷物を得た。
次いで、上記ベタ部の5mm外側を一周切り、55mm×55mmの反り評価用の試験片を切り出した。前記試験片を180℃、1時間加熱し、25℃に戻した後、試験片を平坦な台に乗せ、台から浮き上がっている四隅の高さを測定し、その平均値を求め、以下の基準にて評価した。
○:反り高さ10mm以下。熱による反りの影響が小さく、良好。
△:反り高さ10mmより大きく、20mm以下。熱による反りの影響はあるものの、回路としての実用性は保持されており、使用可能。
×:反り高さ20mmより大きい。熱による反りの影響が大きく、配線としての使用範囲が著しく制限されるため、好ましくない。
【0133】
[耐溶剤性の評価]
抵抗値測定及び密着性評価の場合と同様にしてコロナ処理PETフィルム上に設けた15mm×30mmのパターン部分を、メチルエチルケトンを含浸させた綿棒で、20回擦り、綿棒に付着した汚れ(銀ペースト成分)を目視で観察することで、耐溶剤性を評価した。
○:綿棒の汚れがほとんど無く、耐溶剤性は良好。
△:綿棒の汚れが若干観察されるが、回路としての実用性は保持されており、使用可能。
×:綿棒の汚れが著しく、配線が無くなる場合もあり、使用範囲が著しく制限されるため、好ましくない。
【0134】
[高速連続印刷時における、高精細印刷性及び平坦性の評価]
高精度スクリーン印刷装置(東海精機株式会社製SERIA)を用い、下記の条件にて、厚さ75μmのコロナ処理PETフィルムのコロナ処理面の200mm×200mmの領域に、各実施例、各比較例の導電インキを、以下に示す3つのパターンを、20枚連続印刷した後、150℃で30分間、乾燥させ、厚みが8〜10μmの導電性印刷物を得、5枚目と20枚目の印刷物について、印刷状態を評価した。
【0135】
パターン1:線幅40μm、線間の幅60μm(L/S=40μm/60μm)の微細配線パターン100本
パターン2:線幅300μm、線間の幅2mm(L/S=300μm/2000μm)、線長50mmの微細配線パターン10本
パターン3:15mm×30mmのベタ部を2面
【0136】
(スクリーン印刷条件)
・スクリーン:ステンレス版650メッシュ
・乳剤厚:15μm
・スクリーン枠:650×550mm
・スキージ研磨角度:90°(平スキージ)
・スキージアタック角度:70°
・スキージ硬度:80°
・スキージ速度:100mm/秒
・スキージ印圧:10kg
・クリアランス:3.5mm
【0137】
<パターン1の微細配線の太り度合い>
パターン1の微細配線部を、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス社製VHX−900)を用いて拡大写真(倍率500倍)を撮影した。撮影した拡大写真をニレコ社製小型汎用画像解析装置「LUZEX AP」を用いて印刷後の細線幅を読み取った。
具体的には、5枚目、20枚目の印刷物について、それぞれ任意の細線8本を選択し、1本につき460箇所、8本合計で3680箇所の線幅を測定し、平均線幅、および、細線の太りの度合い「(平均線幅−40μm)/40μm(%)」を求めた。
◎:10%未満。線幅の太りが認められず、細線印刷性は非常に良好。
○:10%以上〜20%未満。線幅の太りがほとんど認められず、細線印刷性は良好
△:20%以上〜40%未満。線幅の太りがやや認められるが、細線印刷性は実用上差し支えの無いレベル
×:40%以上。線幅の太りが認められ、細線印刷性は不良
【0138】
<パターン1の微細配線の形状>
さらに、パターン1の微細配線部分の形状を下記の基準で評価した
○:微細配線部分は、蛇行による太さのばらつき、にじみ、掠れを生じておらず、微細配線部分の境界線が明瞭で良好であった。
△:微細配線部分は、蛇行による太さのばらつきが多少見られたが、にじみ、掠れを生じておらず、実用上差し支えの無いレベルであった。
×:微細配線部分は、蛇行による太さのばらつきが見られ、にじみ、掠れがあり、境界線が不明瞭であった。
【0139】
<パターン3(ベタ部)の印刷状態>
パターン3のベタ部についても微細配線部同様、拡大写真(倍率500倍)を撮影し、下記の基準で評価した。
○:全面で掠れを生じておらず、パタンエッジ部分の直線性が良好であって、その境界線が明瞭であった。
△:全面で掠れは生じていないが、パタンエッジ部分が蛇行または欠けが発生しているなど直線性にかけていた。実用上差し支えの無いレベルではあった。
×:全面で掠れが激しく、パタンエッジ部分の蛇行または欠けが発生し、実用上使用不可能であった。
【0140】
<パターン2を用いた表面の平坦性(厚み高低差(凹凸))の評価>
パターン2について、Zygo株式会社製 非接触三次元表面形状・粗さ測定機「New View 5032」を用い、印刷パターン表面のフィルム基材表面からの高さを、50mm長の印刷パターン1本につき10箇所、10本合計で100箇所ランダムに測定し、最高値と最低値との差(厚み高低差)求めた。
◎:高低差7μm以下。
厚み方向の平坦性に非常に優れており、積層する絶縁層の厚みをより薄くでき、幅広い用途に容易に適用可能なレベルであった。
○:高低差7μmより大きく、10μm以下。
厚み方向の平坦性に優れており、絶縁層の積層など、幅広い用途に適用可能なレベルであった。
△:高低差10μmより大きく、20μm以下。
絶縁層など他の被膜を積層する場合、絶縁層をある程度厚くすれば、実用的に使用可能なレベルであった。
×:高低差20μmより大きい。
絶縁層など他の被膜を積層する場合、実用可能な厚さの絶縁層等では、導電性印刷パターンの一部が絶縁層等から突き抜けてしまうので、実用的に使用不可能なレベルであった。
【0141】
【表1】

【0142】
【表2】

【0143】
【表3】

【0144】
【表4】

【0145】
【表5】

【0146】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ密度が4.5〜7(g/cm3)であり、D50粒子径が0.1〜3μmの導電性粒子(A1)と、タップ密度が0.5〜3.5(g/cm3)であり、D50粒子径が0.1〜3μmの導電性粒子(A2)とを、0.25≦[(A1)/(A2)]≦4(重量比)の割合で含有し、
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000であり、水酸基価2〜300(mgKOH/g)のビスフェノール型エポキシ樹脂(B1)と、ガラス転移温度が−50〜25℃、ムーニー粘度が10〜90のアクリル系エラストマー(B2)とを、9≧[(B1)/(B2)]≧0.1(重量比)の割合で含有し、
前記エポキシ樹脂(B1)と前記アクリル系エラストマー(B2)との合計100重量部に対して、金属キレート(C)を0.2〜20重量部含有し、
前記エポキシ樹脂(B1)と前記アクリル系エラストマー(B2)との合計100重量部に対して、前記エポキシ樹脂の有する水酸基又はエポキシ基の少なくともいずれか一方と反応し得る官能基を有する硬化剤(D)を1〜40重量部含有し、
有機溶剤を除く成分の合計100重量%中、(A1)及び(A2)の合計量が55〜97.5重量%である、導電性インキ。
【請求項2】
前記導電性粒子(A1)及び(A2)が、銀ないし銀メッキ粉であることを特徴とする、請求項1記載の導電性インキ。
【請求項3】
前記金属キレート(C)が、アルミニウムキレート、チタンキレート及びジルコニウムキレートからなる群より選ばれる一種以上である、請求項1又は2記載の導電性インキ。
【請求項4】
前記硬化剤(D)が、イソシアネート化合物、アミン化合物、酸無水物化合物、メルカプト化合物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド化合物及び有機酸ヒドラジド化合物からなる群より選ばれる一種以上である、請求項1〜3いずれか1項に記載の導電性インキ。
【請求項5】
前記金属キレート(C)が、アルミニウムキレートであることを特徴とする、請求項3又は4記載の導電性インキ。
【請求項6】
前記アルミニウムキレート(C)が、アセチルアセトネート基、メチルアセトアセテート基およびエチルアセトアセテート基からなる群より選ばれる基を有することを特徴とする、請求項5記載の導電性インキ。
【請求項7】
スクリーン印刷用であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の導電性インキ。
【請求項8】
基材と、
前記基材上に形成された導電パターンと、を具備し、
前記導電パターンが、請求項1〜7いずれか1項に記載の導電性インキにより形成されている導電パターン付き積層体。
【請求項9】
前記導電パターンを被覆するように積層された絶縁層をさらに具備する、請求項8記載の導電パターン付き積層体。
【請求項10】
基材上に所望のパターン形状の導電パターンをスクリーン印刷により形成する工程を備え、
前記導電パターンは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性インキを用いる導電パターン付き積層体の製造方法。

【公開番号】特開2012−246433(P2012−246433A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120602(P2011−120602)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】