説明

導電性ポリマー樹脂とその製造方法

ポリマー樹脂シートを含み、良好な伝導性を有するポリマー樹脂およびその製造方法が開示される。ポリマー樹脂は、柔軟性を示し、その表面ならびにその厚みに沿って導電性を示し、したがって衝撃および振動吸収特性および導電性を有する電磁波遮蔽材として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ポリマー樹脂およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、可撓性を有し、その表面上ならびにその厚み方向に導電性を示し、したがって衝撃および振動吸収特性ならびに導電性を有する電磁波遮蔽シートとして使用することができる接着性ポリマーシートに関する。本発明は、上記の接着性ポリマーシートの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の回路中で生成されたさまざまな有害な電子波および電磁波は、周辺電子部品またはデバイスの機能を攪乱し、性能を劣化させ、ノイズを生成し、画像を劣化させ、その耐用年数を低下させることがあり、そのため粗悪な製品を製造する結果となる。敏感な電子機器をこのような電子波および電磁波から保護するため、さまざまな電子波および電磁波遮蔽材が開発されてきた。例えば、さまざまな金属製プレート、金属コーティングされた布地、導電性塗料、導電性テープ、または導電性が付与されたポリマーエラストマーが提案されてきた。
【0003】
一般に、ポリマーエラストマー樹脂に導電性を付与するため次の方法が使用されてきた。
【0004】
例えば、ポリマーエラストマー樹脂の製造中に、通常のカーボンブラック、グラファイト、銀、銅、ニッケルまたはアルミニウムのような超微粒子状導電性パウダーまたは充填剤が、樹脂中に均一に分散される。ポリマーエラストマー樹脂に導電性を付与するためには、ポリマー樹脂中に相互に連結する充填粒子の経路を形成することが必要である。換言すれば、金属粒子またはカーボンブラック粒子は、導電性粒子が電子の通過を可能にするように近接状態にあるべきである。
【0005】
例えば、一部の用途において導電性を付与すためにカーボンブラック粒子がウレタン樹脂と混合されているときは、樹脂の重量の15〜30質重量%のカーボンブラック粒子が使用される。しかし、改善された導電性を得るためには、40質重量%以上のカーボンブラック粒子が望ましい場合もある。そのような大量のカーボンブラック粒子の導入は、粒子が均一に分散することを困難にして、樹脂の溶融粘弾性を低下させて、結果として充填粒子が凝集し、粘度が相当増大することになる。金属パウダーが使用されるときは、その金属パウダーは、導電性を得るためにカーボンブラックの対応する量の重量の2〜3倍の量の樹脂と混合される。この場合、分散性が悪化し比重が増大する。
【0006】
要するに、導電性充填剤をポリマー樹脂へ導入する上記の方法によれば、満足できる導電性ならびに衝撃および振動保護特性を示すポリマー樹脂を得ることが困難であった。
別の従来の方法によれば、電子波および電磁波遮蔽材は、さまざまな布地、不織布ウェブ、紙、または他のプラスチックフィルムを、導電性物質を含むコーティング剤でコーティングすることによって得られる。このような材料には、金属メッキされた布地および導電性テープが含まれる。しかしながら上記の材料は体積導電率に欠けているので、その材料は、表面導電率が必要な用途においてのみ使用される。
【0007】
さらに、別の従来の方法によれば、シリコーンシートに導電性を付与するため、シリコーンシートに(70重量重量%以上の)過剰量の充填剤が使用される。しかしながらこの方法は、上記の大量の充填剤に対して必要な費用が高くつくために費用上効率的ではない。
【0008】
ポリマー樹脂またはエラストマーに導電性を付与する方法の特定の例には、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5が挙げられる。
【特許文献1】特開平9−000816号公報
【特許文献2】特開2000−077891号公報
【特許文献3】米国特許第6,768,524号公報公報
【特許文献4】米国特許第6,784,363号公報公報
【特許文献5】米国特許第4,548,862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記の従来技術による方法には、接着剤処理の別個の工程が必要であるか、または両面接着テープ等の接着剤を使用しなければならないという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の代表的な実施形態によれば、その表面およびその厚み方向に導電性を有するポリマー樹脂が提供される。
【0011】
より詳細には、一実施形態において、本発明は、ポリマー構成要素、およびポリマー構成要素に分布される導電性充填剤を含むポリマー樹脂を提供する。ポリマー樹脂はシート状樹脂であってよく、シートは、導電性充填剤がシートの厚み方向に配列された部分と導電性充填剤がシートの水平方向に配列された別の部分とを含み、そのために厚み方向および水平方向に沿った上記の配列は、シートに存在する充填剤がシートの一方の表面からシートの他方の表面に相互に連結されることを可能にする。
【0012】
本明細書で使用する時、「ポリマー構成要素」とは、ポリマー樹脂中の充填剤または添加物以外の部分であって、モノマーの重合によって形成されたポリマーを言う。
【0013】
ポリマー樹脂を形成するポリマー構成要素は、光重合可能なポリマーであり得る。1つの代表的な実施形態において、ポリマー構成要素は、アクリルポリマーであり、光重合によって生成されることが可能である光重合可能なアクリルポリマーであり得る。別の代表的な実施形態において、本発明によるポリマー樹脂は、その接着力により接着剤として使用されることができる。
【0014】
ポリマー樹脂は、シートまたは接着シートの形態を取ることができる。所望の場合は、ポリマー樹脂は、接着テープの形態を取ることができる。本発明の代表的な実施形態によれば、ポリマー樹脂は、導電性を有するポリマーシートであり、また導電性を有する接着性ポリマーシートであることができる。
【0015】
本発明によるポリマー樹脂は、導電性充填剤を含む。図2a〜2cに示す代表的な実施形態において、導電性充填剤は、ポリマー樹脂の水平方向および垂直方向に配列されて、網状構造体を形成して、前記網状構造体を通じて電流は通過することができる。
【0016】
本発明のポリマー樹脂の代表的な実施形態において、ポリマー構成要素および充填剤は、ポリマー樹脂の全重量の、それぞれ10〜95重量重量%および5〜90重量重量%の量で存在する。別の代表的な実施形態において、ポリマー構成要素および充填剤は、ポリマー樹脂の全重量の、それぞれ40〜80重量重量%および20〜60重量重量%の量で存在する。
【0017】
本発明の代表的な実施形態によると、導電性充填剤は、ポリマー樹脂の垂直方向および水平方向に沿って配列される。これを行うために、充填剤の移動特性が重合プロセスの中に利用される。特に導電性充填剤は、モノマーが完全には硬化していないシロップ様状態のポリマー構成要素(以下「ポリマーシロップ」とも呼ばれる)に加えられて、その後得られたポリマーシロップは光照射によって光重合を受ける。さらに詳細には、ポリマーシロップが光重合を目的に照射されるときは、照射がポリマーシロップの表面に対して選択的に制御される場合、光重合はその表面上に選択的に開始されることができ、したがって充填剤は所望のパターンに配列されることができる。
【0018】
このように選択的に光重合を開始するために、所望のパターンを有する剥離ライナーのようなマスクが使用されてもよい。剥離ライナーは光透過材で作製されて、光透過が十分に減少するかまたは光透過が可能ではない所定の部分を有し、そのため光重合は、直接この部分の下において十分に減少するまたは開始されることができない。
【0019】
このように、本発明の別の局面によると、その表面方向ならびにその厚み方向に沿って導電性を有するポリマー樹脂を製造する方法が提供される。さらに詳細には、ポリマー樹脂を製造する方法において、ポリマーを生成するためのモノマーは導電性充填剤と混合され、その後光重合を行うために、この混合物は光で照射され、混合物の表面の選択された部分のみが光で照射される。
【0020】
上記の方法において、ポリマー樹脂を製造するための組成物中に導電性充填剤を均一に分散させるために、ポリマーを生成するためのモノマーは、導電性ポリマーを加える前に部分的に重合されてもよい。
【0021】
したがって、本発明は、1つの代表的な実施形態においてポリマー樹脂を製造する方法を提供し、
【0022】
ポリマーを生成するためのモノマーの部分的な重合によりポリマーシロップを形成する工程と、
【0023】
ポリマーシロップに導電性充填剤を加えて、これらを実質的に均一に混合する工程と、
【0024】
それに添加される導電性充填剤を含有するシロップの表面に所望のパターンを有する剥離ライナーを付与する工程と、
【0025】
剥離ライナーを介してシロップを光で照射して、光重合を行う工程と
を含む。
【0026】
さらに本発明は、光重合プロセスにより調製されたポリマー樹脂に充填剤を配列する方法を提供し、ポリマー樹脂を生成するためのモノマーと充填剤とを含有する混合物を光で照射して、光重合を行う工程を含み、その混合物の一部のみが光で照射されて、そのためにポリマー樹脂中で所望のパターンに充填剤を配列することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に、本発明をより詳細に説明する。
【0028】
図2は、本発明の代表的な実施形態によるポリマー樹脂100の模式図である。ポリマー樹脂は、z軸方向に厚みtを有するシートの形態であってよい。本発明のポリマー樹脂シートは、ポリマー構成要素110およびポリマー構成要素中に分布された導電性充填剤120から構成されている。ポリマー樹脂シートは、導電性充填剤がシートの厚み方向に配列された部分130、および導電性充填剤がシートの水平方向に配列された別の部分140を含み、そのため厚み方向および水平方向に沿った上記の配列は、シートに存在する充填剤がシートの一方の表面からシートの他方の表面に、またシートの長さおよび幅に沿って相互に連結されることを可能にする。導電性充填剤がポリマー樹脂の内部でこのように水平方向および垂直方向に配列されるときは、網状組織が形成され、前記網状組織を通じて電流は通過することができる。このような導電性網状組織は、樹脂シートを介する導電性ならびにその長さおよび幅に沿った導電性を提供する。
【0029】
シートの厚みを介して延びる導電性部分130を、所望のパターン(すなわち格子、図1参照)に形成することができる。図1は、ポリマー樹脂シートを介して垂直に延びる格子状の導電性部分130、および実質的に導電性粒子を含まないポリマーの領域150を示す。領域150は、実質的に導電性粒子を含まないために、ポリマー構成要素の特性(例えば、接着、振動吸収、衝撃特性等)が支配的である。高充填の感圧性接着剤は、充填剤を有しない同一の感圧性接着剤よりも低い接着性を有することが知られているので、ポリマー構成要素が感圧性接着剤である場合は、このことは特に有用である。したがって、実質的に粒子を含まない領域150を有することにより、本発明の樹脂シートの接着特性は維持される。
【0030】
本発明の代表的な実施形態に従ったポリマー樹脂では、ポリマー構成要素は、光重合可能なモノマーの重合によって生成されることができるポリマーである。別の実施形態においては、光重合可能なアクリルポリマーが使用されてもよい。
【0031】
ポリマー樹脂を作製する1つの代表的な実施形態は、光重合可能なモノマーを極性を有し共重合可能なモノマーと混合する工程と、得られた混合物の予備重合を行って約500cps(0.5Pa.s)〜20,000cps(20Pa.s)の粘度を有する光重合可能なポリマーシロップを形成する工程と、ポリマーシロップに導電性充填剤を添加する工程と、所望のパターンを有する剥離ライナーを使用することによってポリマーシロップの選択的重合を行う工程とを含む。上記の方法に従うと、導電性充填剤の網状組織を有するポリマー樹脂を得ることができる。代替の実施形態において、モノマー混合物は、シロップを形成するためにシリカのような揺変性材を使用して十分に濃化されてよい。
【0032】
本発明によるポリマー樹脂内で使用されることのある光重合可能なモノマーは、そのアルキル基が1〜14の炭素原子を有するアルキルアクリレートモノマー(アルキルメタアクリレートモノマーを含む)を含む。
【0033】
アルキルアクリレートモノマーの限定されない例としては、ブチル(メタ)、アクリレートヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。さらに、アルキルアクリレートモノマーとして、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート等が使用されてもよい。別の実施形態において、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレートまたはブチルアクリレートが使用されてもよい。
【0034】
このようなアルキルアクリレートモノマーは、その部分的な重合により光重合可能なポリマーシロップを形成することができる。あるいは、極性を有し共重合可能なモノマーとアルキルアクリレートモノマーとの共重合より、光重合可能なポリマーシロップを形成することができる。極性を有し共重合可能なモノマー対アルキルアクリレートモノマーの混合比に特に限定はないが、一実施形態において、これらは、99〜50:1〜50の重量比で使用される。
【0035】
使用されることのある極性を有し共重合可能なモノマーは、高極性モノマーおよび中極性モノマーを含む。アルキルアクリレートモノマーが高極性モノマーと共重合される場合、アルキルアクリレートモノマーは一実施形態において、光重合可能なポリマーシロップの重量の75重量重量%以上の量で使用される。別の実施形態において、アルキルアクリレートは、光重合可能なポリマーシロップの重量の50重量重量%以上の量で使用される。
【0036】
高極性モノマーの限定されない例としては、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、シアノアルキルアクリレート、アクリルアミドまたは置換アクリルアミドが挙げられる。一方、中極性モノマーの限定されない例としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、塩化ビニル、またはフタル酸ジアリルが挙げられる。
【0037】
高極性を有し共重合可能なモノマーは、光重合可能なポリマーシロップの重量の25重量重量%以下の量で使用され、一実施形態においては、15重量重量%以下の量で使用される。中極性を有し共重合可能なモノマーは、光重合可能なポリマーシロップの重量の50重量重量%以下の量で使用され、一実施形態においては、5〜30重量重量%の量で使用される。このような極性を有し共重合可能なモノマーは、本発明によるポリマー樹脂に接着特性と凝集力を付与し、接着力を改善することに用いられる。
【0038】
本発明によるポリマー樹脂は、導電性を付与するための導電性充填剤を含む。導電性充填剤の種類には特に限定はないが、使用されることのある導電性充填剤としては、貴金属、非貴金属、貴金属メッキされた貴金属および非貴金属、非貴金属メッキされた貴金属および非貴金属、貴金属および非貴金属でメッキされた非金属、導電性非金属、ならびにそれらの混合物が挙げられる。より詳細には、導電性充填剤としては、金、銀、およびプラチナのような貴金属、ニッケル、銅、スズ、およびアルミニウムのような非貴金属、銀メッキされた銅、ニッケル、アルミニウム、スズ、および金のような貴金属メッキされた貴金属および非貴金属、ニッケルメッキされた銅および銀のような非貴金属メッキされた貴金属および非貴金属、銀またはニッケルでメッキされたグラファイト、硝子、セラミクス、プラスチック、エラストマー、およびマイカのような貴金属および非貴金属でメッキされた非金属、カーボンブラックおよびカーボンファイバのような導電性非金属、ならびにこれらの混合物を挙げることができる、または含むことができる。
【0039】
充填剤は「微粒子」形態で大雑把に分類されることもあり、そのような形態の特定の形状は、本発明に重要ではないと考えられるが、例えば、本明細書に記載のタイプの導電性材の製造または形成に通常含まれるいずれかの形状を含んでもよい。そのような形状として例えば、中空または中実の微小球、エラストマーのバルーン、フレーク、微小板、繊維、棒、不規則形状粒子、またはこれらの混合が挙げられる。同様に、充填材の粒径も重要でないと考えられ、狭いまたは広い分布範囲であってもよい。本発明の1つの代表的な実施形態において、粒径は、約0.250〜250μmであってもよく、別の実施形態においては約1〜100μmであってもよい。
【0040】
ポリマー構成要素および充填剤は、本発明による導電性ポリマー樹脂内に、ポリマー樹脂の全重量の10〜95重量重量%および5〜90重量重量%の量でそれぞれ存在する。別の実施形態において、ポリマー構成要素および充填剤は、本発明の導電性ポリマー樹脂内にポリマー樹脂の全重量の40〜80重量重量%および20〜60重量重量%の量でそれぞれ存在する。
【0041】
さらに、ポリマー樹脂が適用される特定の製品に要求される物理的特性を提供するために、本発明によるポリマー樹脂は、上記の導電性充填剤以外の少なくとも1つの追加の充填剤をさらに含んでもよい。その種の追加の充填剤には、ポリマー樹脂の特性と効用に悪影響を与えない限り特に限定はない。しかし、追加の充填剤の限定されない例として、熱伝導性充填剤、難燃性充填剤、帯電防止剤、発泡剤、ポリマー中空微小球等が挙げられる。
【0042】
本発明によれば、追加の充填剤は、ポリマー構成要素の100重量部を基準として100重量部未満の量で使用されてよい。
【0043】
さらに、本発明によるポリマー樹脂は、重合開始剤、架橋剤、光開始剤、色素、酸化防止剤、UV安定剤、分散剤、消泡剤、増粘剤、可塑剤、粘着性樹脂、シランカップリング剤、光沢剤等を含む他の充填剤をさらに含んでもよい。
【0044】
以下、本発明による導電性ポリマーの製造方法をより詳細に記載する。
【0045】
本発明によるポリマー樹脂は、上記のモノマーの重合により製造される。特に、ポリマー樹脂を形成するモノマーは導電性を付与するための導電性充填剤と混合されて、所望の場合、追加の充填剤および他の添加剤が得られた混合物に加えられる。その後、最終的に形成された混合物は重合を受ける。重合開始剤、架橋剤等が、その製造中のポリマー樹脂にさらに加えられてもよいのは当然のことである。
【0046】
一実施形態において、導電性充填剤の分散と選択的な光重合の開始とを促進するために、ポリマー樹脂を形成するためのモノマーは予備重合されて光重合可能なポリマーシロップが提供され、導電性充填剤および他の所望の添加剤がそのポリマーシロップに添加されて、その結果得られた混合物はそれが均質になるまで攪拌されて、その後に重合および架橋が行われる。
【0047】
本発明のポリマー樹脂において、物理的特性、特にポリマー樹脂の接着特性を、架橋剤の量により制御することができる。1つの代表的な実施形態において、架橋剤は、ポリマー構成要素の100重量部を基準として約0.05〜2重量部の量で使用される。使用されることのある架橋剤の特定の例としては、多官能アクリレート(例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、および1,12−ドデカンジオールアクリレートのようなモノマータイプの架橋剤)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
さらに、本発明によるポリマー樹脂の製造中に、光開始剤を使用して、光開始剤の量によってポリマー樹脂の重合度を制御することができる。一実施形態において、光開始剤はポリマー樹脂の100重量部を基準として約0.01〜2重量部の量で使用される。使用されることのある光開始剤の特定の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、α,α−メトキシ−α−ヒドロキシアセトフェノン、2−ベンゾイル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォニルフェニル)−1−ブタノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0049】
本発明によるポリマー樹脂を製造するためには、光開始剤を使用して光重合法を適用することが好ましい。
【0050】
本発明によるポリマー樹脂の製造方法の1つの代表的実施形態において、ポリマー構成要素を形成するモノマーは実質的に酸素を含まない雰囲気中で部分的に重合されて、約500cps(0.5Pa.s)〜20,000cps(20Pa.s)の粘度のシロップが提供される。(実施例では、シロップの粘度は、300cP(0.3Pa.s)である。)その後、導電性充填剤、他の添加物(所望の場合)、架橋剤、および光開始剤が、それに添加され、その結果得られたシロップは、紫外線で照射されて、実質的に酸素を含まない雰囲気中でシロップの重合と架橋がなされる。
【0051】
本発明によるポリマー樹脂は、シートの形状に形成されることもある。より詳細には、上記の方法において、部分的に重合されたシロップがまず形成されて、所望の場合は、架橋剤および光開始剤がそのシロップに添加されて、その後攪拌される。次に、得られた混合物は剥離ライナー上にシートの形態で塗布され、光で照射されてシロップの重合および架橋が行われ、それによりポリマー樹脂が形成される。十分に酸素を含まない雰囲気は、シロップを照射する前にコーティングされた組成物上に第二のライナーを配置することにより得ることができる。
【0052】
充填剤を含むモノマーまたは部分的に重合されたモノマーを含むシロップが光照射されて表面から重合を開始するときは、重合が開始される部分に元々存在する導電性充填剤は重合がまだ開始されていない別の部分に移動されようとするか、または押されようとする。導電性ポリマーシートを製作する従来のプロセス(図4a)において、均一に分散された導電性充填剤をともなうポリマー樹脂(図示せず)は、2つの光透過性剥離ライナー410の間に含まれている。ポリマー樹脂は、両側から光450に露光される。ポリマー構成要素110の重合は、ポリマー樹脂と剥離ライナー410との間の界面420で開始する。導電性充填剤は、重合が開始された部分(すなわち、界面420)から重合がまだ開始されていない他の部分(樹脂の中央)に押される。その結果、ポリマー樹脂シート内部の狭い帯域内に導電性粒子が集中する。
【0053】
網状組織構造を形成するために水平方向と垂直方向の両方に配列された導電性充填剤を有する本発明によるポリマー樹脂を製造するためには、パターン付けされた剥離ライナー300が、上記の方法で使用される。剥離ライナー300は、光透過材で作製されて、その表面に形成された所望のマスキングパターン310を有する(図3参照)。剥離ライナーは、好ましくはシート状ポリマーシロップの両面に配置される。マスキングパターン310は、パターンを介して光透過率を実質的に減少させるか、またはパターンを介して透過を妨げることができる。
【0054】
光透過性剥離ライナー300はその表面に形成されたマスキングパターン310を有しているので、パターンが形成されている部分を通じて、光が透過できないか、または透過率が著しく減少して、光重合はその同じ部分において開始できないか、または減少若しくは減速することがある(図3および4b参照)。しかしながら、重合は、パターンを有する部分以外の残りの開放部分320で開始するラジカル重合の伝搬反応によりパターンの下で生じことができる。ポリマー樹脂またはシロップの表面が光450で照射されるときは、開放部分320の表面から光重合が開始する。このようなマスキングパターン310を有する剥離ライナーが使用される場合、表面の光重合は、剥離ライナー300の開放部分320で選択的に開始される。導電性充填剤は、重合が開始された部分(すなわち、開放部分420の界面420)から重合がまだ開始されていない別の部分(樹脂の中央および剥離ライナー300上のマスキングパターン310の下の領域)に押される。このようにして、導電性充填剤を光重合の開始が抑制されている部分で厚み方向に配列することができ、厚み方向に沿った導電性をシート状ポリマー樹脂にもたらす。
【0055】
パターンを有する剥離ライナーがモノマーまたは部分的に重合されたシロップの片面または両面に配置されるときは、その後得られる構造体が光重合を受けると、重合反応はパターンを有していない部分で開始され、その部分に元々存在している導電性充填剤は重合がまだ開始されていない構造体の内部へと移動する。一方、重合は所定のパターンを有する部分の下では開始されないので、導電性充填剤は内側に移動することができない(図4b参照)。したがって、図2に示すように、導電性充填剤は、(厚み方向から見たとき)パターンを有していない部分ではシートの中央部分に集中しており、所定のパターンを有する部分では全体の厚みに渡って分散しており、それにより全体で網状組織が形成されて、そしてシートの上面と下面は導電性充填剤を通じて互いに連結される。換言すると、導電性充填剤は、所定のパターンを有する部分では厚み方向(z軸方向)に配置され、一方で所定のパターン以外の部分では、ポリマー樹脂の中央部分で水平方向(x−y平面方向)に沿って配置される。このようにして導電性充填剤は、平面方向(x−y方向)ならびに厚み方向(z軸方向)に沿って全体で網状組織を形成することができる。その結果、本発明によるポリマー樹脂は、厚み方向に導電性を有することにもなり、したがって接着剤中に無作為に分散された導電性充填剤を含む接着性樹脂と比較して、優れた導電性を提供する。
【0056】
剥離ライナーのパターン付け形状には特に限定はない。1つの代表的な実施形態において、パターンによって形成された光遮蔽部分は、剥離ライナーの全領域の約1〜70%を包含している。光遮蔽部分が1%未満の比率で存在するときは、導電性充填剤を効率的に配列するには十分でないこともあり得る。光遮蔽部分が、70%を超える比率で存在する場合は、有効に光重合を行うことは困難であり得る。
【0057】
剥離ライナーは、光透過材(例えば、剥離剤で処理されたか、または低い表面エネルギーを有する透明プラスチック)で形成されてもよい。好ましくは、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムのようなプラスチックが使用されてもよい。
【0058】
剥離ライナーの厚みに特に限定はないが、1つの代表的な実施形態において、剥離ライナーは5μm〜2mmの厚みを有する。厚みが5μm未満の場合は、剥離ライナーは薄すぎて容易にパターンを形成しえないこともある。さらに、そのような薄い剥離ライナーにポリマーシロップを適用することは困難である。さらに、厚すぎる剥離ライナーを提供することは望ましくなく、すなわち2mmを超える厚みでは光重合がさらに困難となり得る。
【0059】
さらに、本発明によるシート状ポリマー樹脂の厚みには特に限定はない。1つの代表的な実施形態において、シート状ポリマー樹脂は、光重合の伝搬と導電性充填剤の移動性を考慮して、25μm〜3mmの厚みを有する。ポリマー樹脂シートの厚みが25μm未満の場合、このような小さな厚みでは作業が困難となることもある。ポリマー樹脂シートの厚みが3mmを超える場合は、光重合を行うことがさらに困難になることもある。
【0060】
あるいは、コーティングされたシロップは、実質的に酸素を含まない、すなわち約1000ppm(部/百万部)未満の酸素のチャンバ内で開放した格子を通じて照射されることができる。一部の実施の形態において、チャンバが約500ppm未満の酸素を有する場合もある。
【0061】
本発明により光重合を実施する光度は、一般的に光重合プロセスで通常使用されるものでよい。1つの代表的な実施形態において、紫外線にほぼ対応する光度を使用することが好ましい。一方、光度によって照射時間を決定することも可能である。
【0062】
本発明の一実施形態によるポリマー樹脂において、ポリマー構成要素は、好ましくはアクリルポリマーである。一般に、アクリルポリマーは、接着力を有するため接着剤として使用されることがある。したがって、ポリマー樹脂が電子機器等に適用されるときは、そのポリマー樹脂は、ポリマー自体に接着力があるためになんら別の部材を使用することなく接着力と導電性とを提供することができる。さらに、ポリマー樹脂は、ロール形状に成形されることができ、厚み方向ならびに平面方向に沿った良好な導電性のために優れた電気波遮蔽効果を示す。アクリル樹脂の接着力を、重合と架橋の程度を調節することで制御することができる。
【0063】
したがって、本発明によるシート状ポリマー樹脂(「ポリマーシート」とも言う)は、衝撃吸収特性および振動吸収特性を有するポリマーエラストマーガスケットとして使用されることができ、小型および中/大型の電子機器または電気機器に有用である。この場合、ポリマーシートは、その導電性のため優れた電子波遮蔽効果をもたらす。換言すれば、本発明によるポリマーシートは、電気機器または電子機器をなんらかの衝撃または振動から保護しつつ、同時に、機器の内部/外部で生じたさまざまな電気波および電磁波を遮蔽することができ、電子機器または電気機器の性能および機能を最大化することとなる。
【実施例】
【0064】
次に本発明の以下の実施例、比較例および実験例について詳細に言及する。本発明は、次の例に限定されないことを理解するべきである。
【0065】
以下記載の用語「部」は、モノマーの重合により形成されたポリマー構成要素の100重量部を基準とした重量部を意味する。
【0066】
(実施例1)
アクリルモノマーとして95部の2−エチルヘキシルアクリレート、5部のアクリル酸、および光開始剤として0.04部のIrgacure−651(ニューヨーク州タリタウン(Tarrytown)、チバ・スペシャルティ・ケミカルから入手可能なα,α−メトキシ−α−ヒドロキシアセトフェノン)が、1Lガラス反応器に導入された。その後、混合物が光照射により部分的に重合され、300cps(0.3Pa.s)の粘度を有するシロップを得た。得られたシロップの100部に、光開始剤として0.1部のIrgacure−819(ニューヨーク州タリタウン(Tarrytown)、チバ・スペシャルティ・ケミカルから入手可能な((ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−ホスフィンオキシド)、および架橋剤として0.65部の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)が加えられ、混合物は完全に攪拌された。次に、約44μmの粒子径を有する30部の銀コーティングされた中空ガラス球体(ペンシルバニア州バレーフォージャー(Valley Forger)、ポッターズインダストリーズ社、SH230S33)が混合物と混合され、その後完全に攪拌されて均一な混合物を得る。
【0067】
一方、図3に示すように、75μmの厚みを有する透明なポリプロピレンフィルムが、黒インクを使用して700μmの幅で1.5mmの間隔を有する格子形状にパターン付けされて、剥離ライナーが提供された。
【0068】
シロップ混合物は、ロールコーターを使用して剥離ライナー上に0.5mmの厚みにコーティングされた。コーティングの際、剥離ライナーは、酸素を遮断するため混合物の両側に配置された。その後、得られた構造がメタルハライドUVランプを使用して両側から5.16mW/cmの強度で520秒間紫外線照射されて、シート状ポリマー樹脂(ポリマーシート)が提供された。
【0069】
得られたポリマーシートは、接着力を有した接着剤シートであった。
ポリマーシート中の充填剤の分布を見るために、ポリマーシートの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して調べ、そこから得られた画像を図2bおよび2cに示した。図2a−2cに示すように、充填剤130がシートのパターン付けされた部分に厚み方向(z−軸方向)に沿って配列され、一方、パターン付けされていない部分においては樹脂シートの中ほどで水平方向(x−y平面方向)に沿って配列され、それにより、平面方向(x−y方向)ならびに厚み方向(z軸方向)に沿って全体で充填剤の網状組織を形成している。
【0070】
図1は、この実施例によるシートの外観を示し、図5aは、剥離ライナーが取り除かれつつある同シートの画像を示す。
【0071】
(実施例2)
スイス、ヴィンタートゥール(Winterthur)のスルザーメテコ社(Sulzer Metco Inc.)から入手可能な60重量部のニッケルコーティングされたグラファイトファイバーが導電性充填剤として使用された点を除いて、実施例1を繰り返して、ポリマーシートが提供された。
【0072】
比較例1および2
剥離ライナーがいずれの場合でもパターン付けされなかった点を除いて、実施例1および2を繰り返して、比較例1および2のポリマー樹脂シートが提供された。
【0073】
実験例1−抵抗の測定
実施例1および2ならびに比較例1および2から得られたそれぞれのポリマー樹脂シートの体積抵抗が、MIL−G−83528B(規格)による表面プローブモードに基づいて、ケースレー580マイクロオームメータを使用して測定された。結果を次の表1に示す。
【0074】
実験例2−接着テスト
上記の実施例および比較例から各接着剤シートが得られた。接着剤のストリップはカットされた。第一の剥離ライナーが除去されて、接着剤がアルミホイルのストリップに積層された。第二の剥離ライナーが除去されて、一片の鋼に積層された。鋼へ積層の後、各シートは、25℃および100℃で少なくとも30分間放置された。鋼への90°−剥離接着力について接着力が測定された。結果を次の表1に示す。

【0075】
表1から理解できるように、本発明による実施例1および2のポリマーシートは、導電性を提供することができ、比較例1および2によるシートと同等かまたは類似の接着力を示している。特に、比較例1および2によるポリマーシートは、測定レンジを超えるような極端に大きな抵抗をもたらす。それに対して、実施例1および2によるポリマーシートは、かなり減少した抵抗をもたらす。
【0076】
前述の記載からわかるように、本発明によるポリマーシートは、厚み方向ならびに水平方向に沿って導電性充填剤を含み、したがって厚み方向に沿って導電性を示す。したがって、本発明によるポリマーシートは、電磁波遮蔽効果ならびに衝撃および振動吸収特性を有し、したがって電子機器のパッキングにガスケットとして使用される場合、電子機器内部の電子デバイスを保護することができる。
【0077】
本発明は、上記の代表的な実施形態に関して記載してきたが、本発明は、開示の実施形態および図面に限定されないことが理解されるべきである。反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨と範囲内でさまざまな修正および変形を包含することが意図される。
本発明の先述のおよび他の、目的、特徴ならびに長所は、添付の図面と関連づけられる次の詳細な説明から、さらに明らかにになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の代表的な実施形態によるポリアクリル酸樹脂シートの外観を示す画像。
【図2a】本発明によるポリマー樹脂内の充填剤の配列を示す概略図。
【図2b】本発明の代表的な実施形態によるシート状ポリマー樹脂の断面を示すSEM(走査型電子顕微鏡)画像。
【図2c】本発明の代表的な実施形態によるシート状ポリマー樹脂の表面を示すSEM(走査型電子顕微鏡)画像。
【図3】本発明による剥離ライナーの一例を示す概略図。
【図4a】パターン付けされていない剥離ライナーを使用することでの、光照射下での充填剤の配列の変化の仕方を示す概略図。
【図4b】パターン付けされた剥離ライナーを使用することでの、光照射下での充填剤の配列の変化の仕方を示す概略図。
【図5a】剥離ライナーが除去されつつある、本発明によるシート状ポリマー樹脂を示す画像。
【図5b】剥離ライナーを除去した後の、本発明によるシート状ポリマー樹脂を示す画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー構成要素および前記ポリマー構成要素に分布された導電性充填剤を含むポリマー樹脂であって、前記ポリマー構成要素が、前記ポリマー樹脂の厚み方向に前記導電性充填剤が配列された少なくとも1つの部分と、前記ポリマー樹脂の水平方向に前記導電性充填剤が配列された少なくとも1つの別の部分とを含んでおり、
前記充填剤が、厚み方向に沿う配列および水平方向に沿う配列により、ポリマー樹脂中で前記ポリマー樹脂のシートの一方の表面から別の表面へと結合されることを特徴とするポリマー樹脂。
【請求項2】
前記ポリマー構成要素が、前記ポリマー樹脂の全重量の10〜95重量%の量で存在し、前記充填剤が、5〜90重量%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載のポリマー樹脂。
【請求項3】
前記導電性充填剤が、0.250μm〜300μmの平均粒径を有することを特徴とする請求項1または2に記載のポリマー樹脂。
【請求項4】
前記導電性充填剤が、貴金属、非貴金属、貴金属メッキされた貴金属および非貴金属、非貴金属メッキされた貴金属および非貴金属、貴金属および非貴金属メッキされた非金属、導電性非金属、ならびにこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1、2、または3に記載のポリマー樹脂。
【請求項5】
熱伝導性充填剤、難燃性充填剤、静電気防止剤、発泡剤、およびポリマー微小球から成る群から選択される、少なくとも1つの追加の充填剤をさらに含むことを特徴とする請求項1、2、3、または4に記載のポリマー樹脂。
【請求項6】
導電性ポリマーを製造する方法であって、
(a)混合物を供給するために、ポリマーを生成するためのモノマーを導電性充填剤と混合する工程と、
(b)前記得られた混合物に光を照射し、光重合を行う工程と
を含み、
前記混合物が、その表面の一部に選択的に光で照射される方法。
【請求項7】
前記混合工程が、前記ポリマーを生成するために前記モノマーの部分的な重合を行う工程と、前記導電性充填剤を前記部分的に重合した生成物に加える工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー樹脂を製造する方法であって、
(a)前記ポリマーを生成するために、モノマーの部分的な重合によりポリマーシロップを形成する工程と、
(b)前記ポリマーシロップに導電性充填剤を加えて、これらを混合する工程と、
(c)それに添加される前記導電性充填剤を含有するシロップの表面に、所望のパターンを有する剥離ライナーを付与する工程と、
(d)前記剥離ライナーに光を照射し、光重合を行う工程と
を含む方法。
【請求項9】
前記ポリマーシロップが、500cps(0.5Pa.s)〜20,000cps(20Pa.s)の粘度を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記剥離ライナー上に形成されたパターンが、光透過を防ぐためのパターンであり、前記剥離ライナーの全領域の1〜70パーセントに対応する光遮蔽領域を提供することを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーまたはポリマー構成要素が、アクリルポリマーを含むか、またはアクリルポリマーを含むように作られることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の樹脂または方法。
【請求項12】
前記アクリルポリマーが、極性を有し共重合可能なモノマーと、そのアルキル基が1〜14の炭素原子を有するアルキルアクリレートモノマーとのコポリマーであることを特徴とする請求項11に記載の樹脂または方法。
【請求項13】
前記アルキルアクリレートモノマーが、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、n−ブチルアクリレートおよびヘキシルアクリレートから成る群から選択され、前記極性を有し共重合可能なモノマーが、アクリル酸、イタコン酸、ヒドロキシアルキルアクリレート、シアノアルキルアクリレート、アクリルアミド、置換アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、塩化ビニルおよびジアリルフタレートから成る群から選択されることを特徴とする請求項12に記載の樹脂または方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2008−540778(P2008−540778A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511437(P2008−511437)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/018584
【国際公開番号】WO2006/124694
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】