説明

導電性偏光フィルム、その製造方法、およびそれを含む表示または入力装置

【課題】すなわち、本発明は、透過視認性および耐熱性に優れ、かつ抵抗率が低い導電性偏光フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】支持フィルム、有機色素膜、窒化ケイ素層、および透明導電膜をこの順に有することを特徴とする、導電性偏光フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性偏光フィルム、その製造方法、およびそれを含む表示または入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ等の表示装置と、入力装置であるタッチパネルとを組み合わせた表示および入力装置が実用化され、例えば、携帯電話機、携帯音楽プレーヤー、およびプリンター等の操作パネルに用いられている。このような表示および入力装置は、ユーザーが画面上の表示を押すことで直感的に機器を操作することを可能にする。
しかし、このような表示および入力装置を使用する場合、必然的に、ユーザーは、入力装置を通して表示装置の表示を視覚することになるので、入力装置の存在によって、表示の視認性が低下してしまう問題がある。
この問題を解決するためには、例えば、入力装置と表示装置を一体化すればよい。特許文献1には、これを可能にするため、偏光板の片側表面上に、透明導電膜であるインジウムスズ酸化物(lTO)層を形成した導電性偏光フィルムが開示されている(実施例1)。この導電性偏光フィルムを用いた表示および入力装置は、光透過性が高く、表示装置の表示の視認性に優れるという特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−86328号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通常使用されている偏光板は、ヨウ素で染色したポリビニルアルコールフィルムをトリアセチルセルロースフィルムで挟持したものであるので、耐熱性に劣る。具体的には、例えば、80℃未満で使用する必要がある。
従って、特許文献1の導電性偏光フィルムの製造においては、高い成膜温度でITO層を形成させることができない。実際に、特許文献1の導電性偏光フィルムの製造においては、低温スパッタリングによってITO層を形成している。
しかし、ITO層等の透明導電膜の成膜温度は、形成される透明導電膜の抵抗率と密接な関係がある。このため、特許文献1の導電性偏光フィルムにおけるITO層は、抵抗率が高いという問題がある。
また、製造後の導電性偏光フィルムの耐熱性も劣るので、使用温度が制限される。
これらの問題に鑑み、本発明は、透過視認性および耐熱性に優れ、かつ抵抗率が低い導電性偏光フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、この目的を達成するため、まず、前記のような通常用いられる偏光板に代えて、耐熱性に優れる(具体的には、例えば、100℃以上で使用できる。)有機色素膜を用いて、当該有機色素膜上に透明導電膜の形成を試みた。
表示の視認性に優れる表示および入力装置を得るためには、これに用いられる導電性偏光フィルムの透過視認性が高いことが要求されるが、前記の試行で形成された透明導電膜は不均一であり、透過視認性に優れる導電性偏光フィルムは得られなかった。
そこで本発明者らは、更なる研究の結果、有機色素膜の表面上に窒化ケイ素層を形成し、次いで、当該窒化ケイ素層の表面上に、スパッタリング処理により透明導電膜を形成することにより、均一な透明導電膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明の導電性偏光フィルムは、
支持フィルム、有機色素膜、窒化ケイ素層、および透明導電膜をこの順に有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の導電性偏光フィルムの製造方法は、
支持フィルムの表面上に有機色素を含むコーティング液を塗布して有機色素膜を形成する工程A、
工程Aで形成された有機色素膜の表面上に窒化ケイ素層を形成する工程B、および
工程Bで形成された窒化ケイ素層の表面上に、成膜温度が100℃以上のスパッタリング処理により透明導電膜を形成する工程C
を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の表示または入力装置は、本発明の導電性偏光フィルムを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、透過視認性および耐熱性に優れ、かつ抵抗率が低い導電性偏光フィルムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の導電性偏光フィルムの一態様の構造の概要を示す図
【図2】導電性偏光フィルムの表面の偏光顕微鏡写真(実施例1)
【図3】導電性偏光フィルムの表面の偏光顕微鏡写真(比較例1)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の導電性偏光フィルムを詳細に説明する。
前記の通り、本発明の導電性偏光フィルムは、支持フィルム、有機色素膜、窒化ケイ素層、および透明導電膜をこの順に有する。
図1に本発明の導電性偏光フィルムの一態様の構造の概要を示す。図1中において、符号1は透明導電膜を、符号2は窒化ケイ素層を、符号3は有機色素膜を、符号4は支持フィルムを示す。
【0012】
本発明の導電性偏光フィルムは、透過視認性および耐熱性に優れ、かつ抵抗率が低いという特徴を有する。
【0013】
透過視認性に関し、本発明の導電性偏光フィルムの可視光領域(380nm〜780nm)での全光線透過率は、好ましくは、80%以上、より好ましくは、85%以上である。全光線透過率は、JIS K 7105に記載の測定法Aに準じて測定される。
また、本発明の導電性偏光フィルムのヘーズは、好ましくは、10%以下、より好ましくは、5%以下である。ヘーズは、JIS K 7136に記載の方法に準じて測定される。
【0014】
耐熱性に関し、具体的には、本発明の導電性偏光フィルムは、例えば100℃で連続的に使用した場合でも、変形や物性(例、偏光度)の低下が生じにくい。
【0015】
本発明の導電性偏光フィルムにおける透明導電膜の抵抗率は、好ましくは5×10-4Ω・cm以下である。本発明の導電性偏光フィルムにおける透明導電膜の抵抗率は、小さいことが好ましく、その下限に制限は無いが、通常、2×10-4Ω・cm以上である。
【0016】
本発明の導電性偏光フィルムの全体の厚さは、好ましくは、15μm〜130μmである。
【0017】
1.支持フィルム
本発明の導電性偏光フィルムにおける支持フィルムは、その表面に積層される有機色素膜、窒化ケイ素層、および透明導電膜を支持するものである。
【0018】
前記支持フィルムは、透明性に優れるものが好ましい。
前記支持フィルムの可視光領域(380nm〜780nm)での全光線透過率は、好ましくは、80%以上、より好ましくは、85%以上である。全光線透過率は、JIS K 7105に記載の測定法Aに準じて測定される。
また、前記支持フィルムのヘーズは、好ましくは、10%以下、より好ましくは、5%以下である。ヘーズは、JIS K 7136に記載の方法に準じて測定される。
【0019】
前記支持フィルムは、耐熱性に優れるものが好ましい。
支持フィルムの耐熱性は、当該支持フィルムを形成する材料の荷重たわみ温度によって表される。前記支持フィルムを形成する材料の荷重たわみ温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。荷重たわみ温度は、JIS 7191に記載の方法に準じて測定される。
前記支持フィルムを形成する材料としては、例えば、シクロオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
【0020】
前記支持フィルムは、配向処理や、易接着処理などの処理が施されていてもよい。前記配向処理としては、ラビング処理のような機械的配向処理、光配向処理のような化学的配向処理等が挙げられる。前記易接着処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等が挙げられる。
【0021】
前記支持フィルムの厚さは、通常、15μm〜120μmである。
【0022】
2.有機色素膜
有機色素膜は、前記支持フィルムの一方の表面上に配置される。
本発明の導電性偏光フィルムにおける有機色素膜は、有機色素を主成分とするものであり、波長400nm〜780nmの範囲内のいずれかの波長で吸収二色性を示す。前記有機色素膜における有機色素の含有率は、当該有機色素膜の総重量に対して、好ましくは80重量%以上である。
前記有機色素としては、例えば、アゾ系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、キノフタロン系色素、ナフトキノン系色素、メタロシアニン系色素が挙げられる。前記有機色素のうち、溶液(例えば、水溶液)中で液晶相を呈するもの(すなわち、リオトロピック液晶性を示すもの)が、支持フィルム上に塗布した際、高い二色比を示すため好ましい。リオトロピツク液晶性を示す有機色素は、公知の方法、例えば、特開2009−173849号に記載の方法、または特開20O9−115866号に記載の方法に準じて合成することができる。
前記有機色素膜の厚さは、好ましくは100nm〜10,000nmであり、より好ましくは100nm〜1,000nmである。
【0023】
3.窒化ケイ素層
窒化ケイ素層は、前記有機色素膜の、前記支持フィルムとは反対側の表面上に配置される。
窒化ケイ素は一般式SiNx(例、Si34)で表される化合物であり、これから形成される層は、優れた耐熱性と機械的強度を示す。また、窒化ケイ素は耐酸性を示すので、前記有機色素として酸性色素を使用した場合でも、当該酸性色素に起因する劣化が生じにくい。
前記窒化ケイ素層は、後記で詳細に説明する透明導電膜の形成時における温度変化による前記有機色素膜の膨張および収縮を抑制し、それによって均一な透明導電膜の形成を可能にしていると推測されるが、本発明はこれに限定されるものではない。
前記窒化ケイ素層における窒化ケイ素の含有率は、当該窒化ケイ素層の総重量に対して、好ましくは90重量%以上である。
前記窒化ケイ素層の厚さは、好ましくは10nm〜1,000nmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
当該厚さが小さすぎる場合は、後記で詳細に説明する透明導電膜が不均一になる場合がある。
窒化ケイ素層は、通常、高い透明性を有するが、前記窒化ケイ素層の厚さが大きすぎる場合は、導電性偏光フィルムの光透過性を損なう場合がある。
前記有機色素膜の厚さ(dA)と前記窒化ケイ素層の厚さ(dB)との厚さの比率(dA/dB)は、好ましくは1よりも大きく、かつ100以下であり、より好ましくは1よりも大きく、かつ10以下である。この比率(dA/dB)が、小さすぎる場合は、有機色素膜にクラックが生じる場合があり、一方、大きすぎる場合は、窒化ケイ素層の表面が不均一になる場合がある。
【0024】
4.透明導電膜
透明導電膜は、前記窒化ケイ素層の、前記有機色素膜とは反対側の表面上に配置される。
前記透明導電膜は、可視光領域(380nm〜780nm)で光透過性が高く、ヘーズ(HAZE、曇度)が低いことが好ましい。
光透過性は、可視光領域(380nm〜780nm)での全光線透過率で表される。
前記透明導電膜の可視光領域(380nm〜780nm)での全光線透過率は、好ましくは、80%以上、より好ましくは、85%以上である。全光線透過率は、JIS K 7105に記載の測定法Aに準じて測定される。
また、前記透明導電膜のヘーズは、好ましくは、10%以下、より好ましくは、5%以下である。ヘーズは、JIS K 7136に記載の方法に準じて測定される。ヘーズは、透明導電膜の均一性に関連する。
前記全光線透過率およびヘーズは、通常、それぞれ、支持フィルムに支持された状態で測定され、別途測定した支持フィルム等の全光線透過率およびヘーズ値を算入して、得られる。
【0025】
上述のように、前記透明導電膜は、抵抗率が低いことが好ましい。
前記透明導電膜の抵抗率は、透明導電の材料を選定することや、後記で詳細に説明する成膜温度を調整することによって、低くすることができる。
【0026】
前記透明導電膜は、代表的には例えば、インジウムスズ酸化物(lTO)層、酸化インジウム−酸化亜鉛(IZO)層などである。なかでも、IZO層が好ましい。
【0027】
前記透明導電膜の厚さは、好ましくは10nm〜1,000nmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
【0028】
5.製造方法
また、本発明の導電性偏光フィルムの製造方法は、
支持フィルムの表面上に有機色素を含むコーティング液を塗布して有機色素膜を形成する工程A、
工程Aで形成された有機色素膜の表面上に窒化ケイ素層を形成する工程B、および
工程Bで形成された窒化ケイ素層の表面上に、成膜温度が100℃以上のスパッタリング処理により透明導電膜を形成する工程C
を有することを特徴とする。
【0029】
a)工程A
工程Aは、支持フィルムの表面上に有機色素を含むコーティング液を塗布して有機色素膜を形成する工程である。
前記コーティング液は、有機色素を水系溶媒(例、水)又は有機溶媒に溶解して調製される。前記コーティング液の塗布方法としては、例えば、スライド式コータ、スロットダイコータ、バーコータを用いる方法が挙げられる。
【0030】
前記工程Aの後、工程Bの前に、有機色素膜の溶媒量を調整する目的で乾燥工程を実施してもよい。この際、乾燥を促進するため、加温してもよい。
【0031】
b)工程B
工程Bでは、工程Aで形成された有機色素膜の表面上に窒化ケイ素層を形成する工程である。
前記窒化ケイ素層の形成は、例えば、化学気相成長(CVD=chemical vapor deposition)法によって行うことができる。
【0032】
c)工程C
工程Cでは、工程Bで形成された窒化ケイ素層の表面上に、成膜温度が100℃以上のスパッタリング処理により透明導電膜を形成する工程である。
前記スパッタリング処理とは、低圧気体中で放電によりプラズマを発生させ、そのプラズマ中の陽イオンが負電極のターゲットに加速されてその表面に衝突し、その衝撃によって飛び出した物質をコーティング対象(本発明では、窒化ケイ素層)上に堆積させる処理である。前記スパッタリング処理において、成膜温度は好ましくは100℃以上であり、より好ましくは120℃〜200℃である。成膜温度が100℃以上であることにより、透明導電膜の抵抗率が十分に低くすることができる。一方、成膜温度が高すぎると、支持フィルムが融解する場合がある。
【0033】
本発明の導電性偏光フィルムは、好ましくはタッチパネル等の入力装置;液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置;および機能性ガラス等の構成部品として好適に用いられるが、本発明の導電性偏光フィルムの用途は、これらに限定されるものではない。
本発明の導電性偏光フィルムは、通常の偏光フィルムと同様に使用することができるが、言わば、透明導電膜と偏光板とが一体化されたものであるので、上述のような装置の製造工程を簡略化できる。また、表示装置と入力装置とが一体化された表示および入力装置等に好適に使用できる。
【0034】
本発明の表示または入力装置は、導電性偏光フィルムを含む。
本発明の表示または入力装置は、表示装置と入力装置とが一体化された表示および入力装置であってもよい。
【実施例】
【0035】
以下、実施例、及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらは単に本発明の具体例を説明することを目的とするものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
実施例、および比較例での測定は以下の方法で行った。
(1)液晶相の観察
2枚のスライドガラスに、コーティング液を少量挟み込み、顕微鏡用大型試料加熱冷却ステージ(ジャパンハイテック社製 製品名「10013L」)を備える、偏光顕微鏡(オリンパス社製 製品名「OPTlPHOT−POL」)を用いて観察した。
(2)有機色素膜の偏光度の測定
グラントムソン偏光子を備える分光光度計(日本分光社製 製品名「V−7100」)を用いて、波畏380nm〜780nmの範囲の偏光透過スペクトルを測定した。このスペクトルから、視感度補正を行った、最大透過率方向の直線偏光の透過率Y1、及び最大透過率方向に直交する方向の直線偏光の透過率Y2を求め、次式により、偏光度を算出した。
<式>
偏光度=(Y1−Y2)/(Y1+Y2
(3)導電性偏光フィルムの表面の観察
偏光顕微鏡(オリンパス社製 製品名「OPTlPHOT−POL」)を用いて観察した。
【0037】
(実施例1)
(有機色素の合成)
4−ニトロアニリンと8−アミノ−2−ナフタレンスルホン酸とを、常法(細田豊著「理論製造 染料化学(5版)」昭和43年7月15日、技報堂発行 135項−152項)に従って、ジアゾ化およびカップリング反応させて、モノアゾ化合物を得た。このモノアゾ化合物を、同様に常法によりジアゾ化し、さらに1−アミノ−8−ナフトール−2,4−ジスルホン酸リチウム塩とカップリング反応させて、後記化学構造式(1)の芳香族ジスアゾ化合物(以下、化合物(1)と記す)を含む粗生成物を得、これを塩化リチウムで塩析することにより、精製された化合物(1)を得た。
この化合物(1)をイオン交換水に溶解させ、20重量%の水溶液を調製した。この水溶液をポリスポイトで採取し、2枚のスライドガラスの間に挟み込んで、室温(23℃)にて、偏光顕微鏡で観察したところ、ネマチック液晶相が観察された。
【0038】
<化学構造式(1)>
【化1】

【0039】
(有機色素膜の形成)
化合物(1)をイオン交換水に溶解し、濃度8重量%の前処理液を調製した。この前処理液を、攪拌しながら液温が90℃になるまで加熱し、30分間保持した後に23℃の恒温室で放冷させた。この放冷した液(コーティング液)を1時間以内に、ラビング処理およびコロナ処理が施されたシクロオレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製 商品名「ゼオノア」)上に、バーコータ(BUSHMAN社製 製品名「Mayer rot HS5」)を用いて塗布し、23℃の恒温室内で自然乾燥させて有機色素膜(厚さ400nm)を作製した。この有機色素膜は、可視光領域で吸収二色性を示し、偏光度は99%であった。
【0040】
(窒化ケイ素層の形成)
前記で得られた有機色素膜の表面に、プラズマCVD法により、SiNx膜(厚さ100nm)を形成した。形成条件は以下の通りである。
真空度:2.25×10-3Torr
SiH4ガス流量:50sccm
窒素ガス流量:50sccm
周波数:13.56MHz
電力:700W
【0041】
(透明導電膜の形成)
前記窒化ケイ素層の表面に、スパッタリング処理により、酸化インジウム−酸化亜鉛膜(厚さ100nm)を形成した。形成条件は以下の通りである。
真空度:3×10-3Torr
スパッタ電流:5A
スパッタ電圧:300V
成膜温度:130℃
【0042】
(比較例1)
比較例1として、窒化ケイ素層を形成せずに、有機色素膜の表面上に酸化インジウム−酸化亜鉛膜を形成したこと以外は、実施例1の導電性偏光フィルムと同様にして、導電性偏光フィルムを作成した。
【0043】
(評価)
前記のように作製した実施例1の導電性偏光フィルムは、表面が均一であった。その顕微鏡写真を図1に示す。また、比較例1の導電性偏光フィルムは、表面が不均一であった。その顕微鏡写真を図2に示す。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の導電性偏光フィルムは、例えば、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、機能性ガラス等に好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持フィルム、有機色素膜、窒化ケイ素層、および透明導電膜をこの順に有することを特徴とする、導電性偏光フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載の導電性偏光フィルムの製造方法であって、
支持フィルムの表面上に有機色素を含むコーティング液を塗布して有機色素膜を形成する工程A、
工程Aで形成された有機色素膜の表面上に窒化ケイ素層を形成する工程B、および
工程Bで形成された窒化ケイ素層の表面上に、成膜温度が100℃以上のスパッタリング処理により透明導電膜を形成する工程C
を有することを特徴とする、導電性偏光フィルムの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の導電性偏光フィルムを含む表示または入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−32516(P2012−32516A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170734(P2010−170734)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】