説明

導電性固体複合材料、及び同材料を得る方法

本発明は、−電気絶縁材料の固体マトリクス、及び−導電性材料の充填物を含む導電性の固体複合材料に関するものであり、前記充填物がいわゆる糸状ナノ粒子(1)を含んでおり、この糸状ナノ粒子が、主伸長方向に沿って延びる長さと;互いに横断且つ直交し且つ前記主伸長方向に直交する2方向に沿って延びる2つのいわゆる直交寸法であって、前記長さより小さく且つ500nm未満である直交寸法と;前記長さと、2つの直交寸法の各々とのいわゆる形状係数比であって、50を上回る形状係数比とを有しており、且つ、固体マトリクスの体積中において、体積比で、10%未満、特に5%未満で分布していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性固体複合材料、及びそういった材料を得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の適用で、一方で機械的特性の面で(特に同等の剛性又は強度に対してより軽いこと)金属に比べて複合材料の利点を有するが、他方で導電性である固体複合材料、つまり1S.m−1を上回る導電率、典型的には10S.m−1のオーダー(程度)の導電率を有する固体複合材料を得ることが望ましい。これは、支持又は構造部品(台枠、プレート等)の実現、又は構造部品を組み立てるため、又は車両、より特定すると航空機及び自動車の部品をコーティング(ペインティング)するための材料(接着剤、ジョイント)の実現において特にそうである。
【0003】
他の適用では、熱伝導性でもある、つまり10−4W/mKを上回る熱伝導率を有するそういった固体複合材料を得ることが望ましい。これは、特に除氷するためにジュール硬化によって加熱されやすい部品の実現において特にそうである。
【0004】
本発明はまた、そういった熱伝導性及び/又はそういった導電性を有しつつ、注入可能なまま留まっている粘性の高い圧縮複合材料、特に接着剤にまで及ぶ。
【0005】
導電性材料のマイクロメートル又はナノメートル粒子、特にカーボンナノチューブの充填物が複合材料に組み込まれるべきことは既に提案されている(国際公報WO01/87193参照)。しかしながら、複合材料の機械的特性を低下させずに十分な伝導性を得ることに問題が生じている。実際には、得られる最大伝導率は、機械的特性の有意な低下なしで、非常に低い充填率(約1体積%)のカーボンナノチューブで10−1S.m−1のオーダーである。一方、最大伝導率は、体積で25%を超える量、典型的には50%のオーダーの量を用いて得られるが、これは得られる複合材料の機械的特性が著しく改変する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公報WO01/87193
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明の目的は、絶縁複合材料のものと同程度の機械的特性を有すると同時に、1S.m−1を上回る導電率を有する固体複合材料を提案することである。
【0008】
本発明の目的はまた、絶縁複合材料に対して機械的特性を維持するだけでなく、絶縁複合材料に対して特に20000倍増加した熱伝導率を有する、そういった複合材料を提案することである。
【0009】
より特定すると、本発明の目的は、電気絶縁材料の固体マトリクス(均質又は複合)、及び1S.m−1を上回る導電率を有する固体複合材料を提案することであり、本発明による固体複合材料の最終機械特性は、固体マトリクスのものの少なくとも90%である。
【0010】
本発明の目的はまた、1S.m−1を上回る導電率を有するが、該複合材料の導電性構成要素に関連する過剰質量負荷が30%を超えない複合材料を提案することである。
【0011】
本発明の目的はまた、簡単且つ安価で、素早く実施でき且つ環境に配慮した、変化することのできる材料組成で任意の形状の部品を実現することを可能とする、本発明によるそういった材料を得る方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は:
− 電気絶縁材料の固体マトリクス、
− 導電性材料の充填物、
を含む導電性固体複合材料に関し、
前記充填物は、
・ 主伸長方向に沿って延びる長さ、
・ 互いに横断且つ直交し且つ前記主伸長方向に直交する2方向に沿って延びる2つの寸法(次元)、いわゆる直交寸法(直交する2次元)であって、前記長さより小さく且つ500nm未満である直交寸法、及び
・ 前記長さと2つの直交寸法の各々との2つの比、いわゆる形状係数であって、50を上回る形状係数
を有するナノ粒子、いわゆる糸状ナノ粒子、を含み、
前記糸状ナノ粒子は、体積で10%未満、特に5%未満の量で固体マトリクスの体積中に分散している。
【0013】
具体的には、本発明による材料は、有利には、以下の特徴の少なくとも1つを有する:
− 糸状ナノ粒子の2つの直交寸法が、50nm〜300nm、特に200nmのオーダーである、
− 糸状ナノ粒子が、1μmを超える長さ、特に30μm〜300μm、特に50μmのオーダーの長さを有する、
− 糸状ナノ粒子の2つの直交寸法が、糸状ナノ粒子の直線横断面の直径である、
− 糸状ナノ粒子が、50を上回る形状係数、特に250のオーダーの2つの形状係数を有する、
− 糸状ナノ粒子が、非酸化状態にある金、銀、ニッケル、コバルト、銅、及びそれらの合金からなる群から選択される材料からなる、
− 糸状ナノ粒子が、非酸化金属材料からなる、
− 該材料が、0.5体積%〜5体積%の糸状ナノ粒子の量を含む、
− 固体マトリクスが、ポリマー材料からなる、
− 固体マトリクスが、特に熱可塑性材料、架橋性材料、特に熱硬化性材料から選択される少なくとも1つの固体ポリマー材料を含む。
【0014】
明細書を通じて:
− 本発明の意味での「糸状ナノ粒子」は特にナノロッド又はナノワイヤである。特に、糸状ナノ粒子の2つの直交寸法は、その直線横断面の直径である。糸状ナノ粒子はまたリボンであってよく、その場合、本発明による糸状ナノ粒子の2つの直交寸法は、その幅(第1直交寸法)及びその厚さ(第2直交寸法)である。
− 用語「形状係数」は、糸状ナノ粒子の長さと、前記糸状ナノ粒子の2つの直交寸法の1つとの比である。例えば、回転柱の全体形状での糸状ナノ粒子についての200に等しい形状係数は、その長さがその平均径の200倍に略等しいことを意味する。如何なる場合でも、糸状ナノ粒子は全体として細長い形状であり、その場合、2つの直交寸法の各々に対するその最大寸法(その長さ)の比は50より大きい。
【0015】
特に、糸状ナノ粒子を形成する金属は、非酸化金属、及び糸状ナノ粒子の表面上に延び且つ下層にある非酸化固体金属を酸化から保護するのに適した酸化金属の安定化層を酸化によって形成する傾向にある金属からなる群から選択される。よって、下層金属を酸化から保護しながら限られた厚さの表面層を酸化によって形成する傾向にある金属が、酸化表面層の除去後に高導電率の複合材料の形成に適している。そういった金属は、特に、表面酸化が、酸化から保護する表面層、いわゆるパッシベーション層の形成をもたらす金属である。
【0016】
有利には及び本発明によると、材料は、1S.m−1を上回る導電率、特に10S.m−1のオーダーの導電率を有する。特に、本発明によるそういった材料は、5体積%のオーダーの糸状ナノ粒子の量、及び10S.m−1のオーダーの導電率を含む。より特定すると及び本発明によると、そういった材料は、5体積%のオーダーの糸状ナノ粒子の量、10S.m−1のオーダーの導電率、及び固体マトリクスに対して略維持される(特に90%を超えるまで)最終機械的特性を含む。
【0017】
本発明は、本発明による材料を得る方法に及ぶ。本発明はよって、伝導性固体複合材料を得る方法に関するもので、主伸長方向に沿って延びる長さと、互いに横断且つ直交し且つ前記主伸長方向に直交する2方向に沿って延びる2つの寸法、いわゆる直交寸法であって、前記長さより小さく且つ500nm未満である直交寸法と、前記長さと2つの直交寸法の各々との2つの比、いわゆる形状係数であって、50より大きい形状係数とを有する導電性材料の糸状ナノ粒子を、複合材料中に体積比で10%未満、特に5%未満の量の糸状ナノ粒子を得ることができるように、電気絶縁材料の固体マトリクスの前駆物質である液体組成物中に分散させる。
【0018】
有利には及び本発明によると、2つの形状係数が50より大きく、特に50〜5000、具体的には100〜1000、特に及び有利には250のオーダーである糸状ナノ粒子が使用される。
【0019】
有利には及び本発明によると、糸状ナノ粒子は液体溶媒中に分散され、当該分散は前駆液体組成物中に混合され、そして液体溶媒が除去される。前記液体溶媒は好適には、糸状ナノ粒子の酸化傾向が低いか又はそれらを部分的に且つ限られた方式でのみ酸化する傾向にある溶媒から選択される。
【0020】
更に、有利には及び本発明によると、固体マトリクスが少なくとも1つのポリマー材料を含んでおり、前駆液体組成物は、糸状ナノ粒子の分散の溶媒、及び糸状ナノ粒子の分散の溶媒と混合されうる溶媒から選択される液体溶媒中の前記ポリマー材料の溶液である。糸状ナノ粒子の分散は有利には、固体マトリクスの製造過程で前記前駆液体組成物中に組み込まれうる。
【0021】
有利には及び本発明によると、固体マトリクスが少なくとも1つの熱可塑性材料を含んでおり、前駆液体組成物は、溶融状態にある固体マトリクスから形成される。変形として、有利には及び本発明によると、固体マトリクスが少なくとも1つの熱硬化性材料を含んでおり、前駆液体組成物は、熱硬化性材料の組成物に入る少なくとも1つの液体組成物から形成される。
【0022】
有利には及び本発明によると、固体マトリクスが少なくとも1つの架橋、特に熱架橋材料を含んでおり、前駆液体組成物は、架橋性、特に熱架橋性材料の組成物に入る少なくとも1つの液体組成物から形成される。
【0023】
更に、有利には及び本発明によると、前駆液体組成物中の糸状ナノ粒子の分散は超音波に曝される。
【0024】
更に、有利には、本発明の方法では、少なくとも1つの上述した特徴による糸状ナノ粒子が用いられる。有利には及び本発明によると、0.5体積%〜5.0体積%の糸状ナノ粒子の量が用いられる。約0.5体積%〜5.0体積%の金属糸状ナノ粒子の量が用いられ、前記量は、一方で特に1S.m−1を上回る高い導電率ともう一方で開始ポリマー材料の機械的特性とを維持しつつ、複合材料の質量の増加を避けるのに適している。
【0025】
本発明によって、初めて、少なくとも大よそは(均質又は複合)絶縁固体マトリクスのものに相当する機械的特性と、1S.m−1を上回る導電率、典型定期には10S.m−1のオーダーの導電率とを有した固体複合材料を得ることが可能となる。本発明による材料は、よって有利には、特に車両、特に航空機、又は更には建物の支持及び/又は構造部品の建造のための従来使用されてきた金属材料に取って代わることができる。
【0026】
本発明による複合材料はまた、接着アセンブリの材料を実現するために接着剤又はジョイントとしても用いられうる。特に、本発明の複合材料は、伝導性複合接着剤の実現を可能にするのに適している。
【0027】
本発明による複合材料はまた、単位体積当たりの導電率の高い、特に1S.m−1より大きく、典型的には10S.m−1のオーダーの、且つ10000Ω/平方未満の表面抵抗率の(規格ASTM D257.99及びESDSTM 11.11.2001に従った標準単位で)、複合塗料を実現するための複合コーティングとして用いられうる。
【0028】
有利には、本発明による複合材料は、特にジュール硬化による加熱部品の実現を可能にするために適しており、該適用の非限定的な一例として表面除氷が挙げられる。
【0029】
本発明のその他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照する以下の説明及び非限定的な例を読むことで明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、金属糸状ナノ粒子の製造方法を説明するブロック図である。
【図2】図2は、金属糸状ナノ粒子の製造方法で用いられる装置の透視図である。
【図3】図3は、本発明による電気めっき装置の詳細の断面図である。
【図4】図4は、本発明による方法の概要フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示された本発明による金属糸状ナノ粒子1の製造方法では、固体薄膜2が用いられ、前記薄膜は、前記薄膜2の2つの主要面を横断し且つ該面上に開く平行なチャネル3を有する。例えば、薄膜2は、アルミニウム基板の陽極酸化によって得られる多孔質層であり、該層は例えば約50μmのオーダーの厚さであり、及び該多孔質層の主要面に対して平行な直線部分の平均径が例えば200nmである孔を有する。薄膜2は、例えばアルミナのろ過膜(陽極酸化ポーラスアルミナ、ワットマン、参照番号6809−5022及び6809−5002)である。本発明による方法で、薄膜2の厚さ及びその平均空孔率は、500nm未満の寸法及び特に50を上回る高い形状係数を有する金属糸状ナノ粒子1の製造を可能にするのに適している。
【0032】
前記薄膜2の主要面の1つに金属銀の層14を付着するステップ21が実行され、前記層14は、薄膜2の陰極面上でチャネル3を閉じ、及び電気めっき装置の陰極を形成する例えば銅又は銀の伝導性金属プレート6と薄膜2との間に導電性接点を形成するのに適している。当該適用は、全ての適切な手段によって、特に薄膜2の陰極面上での銀基板の陰極スパッタリングによって実行される。
【0033】
電気的伝導性接続は、電気めっき装置の陰極を形成するプレート6と薄膜2の陰極面との間に、薄膜2の銀層14による陰極を形成するプレート6との接触によって形成される。当該電気的伝導性接続は、機械的及び/又は接着手段、特に銀ラッカーによって薄膜2とプレート6をシールすることによって実現される。
【0034】
陽極7は、陰極の反対に薄膜2の面と対向して配される。陽極7、陰極6及び薄膜2は、電解槽4に浸される。陽極7は、固体金属ワイヤ、特に電気めっきされる固体金属からなるワイヤの形態であり、その直径は1mmのオーダーである。しかしながら、本発明による方法を実施するための装置で、陽極7はリボン、グリッド又はプレートの形態であってもよい。陽極7は、電気めっき槽の陽イオンを形成する金属と同一の化学組成を有する。陽極7は、薄膜2のアクセス可能な表面と平行に、且つ固体薄膜2の該アクセス可能な表面から1cmのオーダーの距離を置いて配置される。
【0035】
図2に示された当該装置で、陽極7は直流発電機の正極に接続され、そして陰極6は当該発電機の負極に接続される。
【0036】
当該構成で、図2に示されたこのように形成された電気めっき装置は、電気めっき中に安定電流を確立すること、及び薄膜2のチャネル3で高伝導性及び高形状係数の糸状ナノ粒子1を形成することを可能にするのに適している。
【0037】
電気めっき装置はまた、電気めっき槽4を撹拌及び均質化する手段を含む。これら撹拌及び均質化手段は、例えばそれが固体薄膜2又は陽極7を形成する金属ワイヤの何れかと接触しないように電気めっき槽内に配置されている磁気的撹拌要素24を含む。更に、電気めっき槽4は、陰極を形成するプレート6の下に配されている加熱要素25による電気めっき槽4の加熱によって、80℃未満、特に40℃〜60℃の、特に金の電気めっきのためには50℃のオーダーの所定の温度に維持される。
【0038】
準備電気めっきステップ16で、陽イオン性のニッケルを含む溶液、特にワット液と呼ばれるNi2+陽イオンを含む溶液からなる電気めっき槽での電気めっきを実行することによって、成長開始層18が形成される。当該金属の開始電気めっきは、薄膜2のチャネル3の底で、それらを囲む銀層14から行われる。当該電気めっきは、得られる成長開始層18の厚さが例えば3μmのオーダーとなるように行われる。こういったニッケル層は、80mAのオーダーの平均電流値の場合はおよそ5分のオーダーの電気めっき時間の準備電気めっきステップ16の終わりに得られる。
【0039】
金属糸状ナノ粒子1を電気めっきする次のステップ17で、先の電解槽が、作成されるべき金属タイプの金属糸状ナノ粒子1を含む槽に取り替えられ、当該金属の電気めっきが、特に電気めっき装置の陰極6と陽極7の間の電圧で、例えば金の電気めっきの場合は1V未満の値、特に0.7Vのオーダーの電圧で行われる。これらの条件で、電気めっき装置の電流の開始アンペア数は、およそ3.5mAのオーダーである。金属糸状ナノ粒子1の金属が堆積されるとき、電流のアンペア数は0.9mAのオーダーの値に達するまで低下する。こうして、その孔が金属糸状ナノ粒子1の鋳型を形成するアルミナの層の形態の複合材料が形成される。形成された糸状ナノ粒子1は、固体金属の構造に近く、且つ固体金属の伝導特性を有する金属構造を有する。こうして得られた金属糸状ナノ粒子1は、高形状係数を有する。こうして得られた金属糸状ナノ粒子1は、チャネルの長さに相当する、例えば40μmより大きな長さ、特に50μmのオーダーの長さを有する。
【0040】
図1に示された本発明による方法で、薄膜2及び電気めっき装置の陰極を形成するプレート6は次いで、銀層14を有する前記薄膜2の主要面を自由にするために分離される。
【0041】
続く溶解処理9の間、こうして露出された銀層14の、及びニッケルの形態の成長開始層18の酸腐食ステップ15が行われる。当該酸腐食ステップ15は、質量濃度68%で硝酸の溶液を含浸させた綿で薄膜2の表面を塞ぐことによって行われる。当該酸腐食ステップ15はまた、固体薄膜2のアルミナを著しく溶解することなく銀及びニッケルを溶解することを可能とするのに適した任意の適切な方法に従って実行されてもよい。こうして、金属糸状ナノ粒子1を前記酸腐食15から保護しながら、銀層14及びニッケル層18の厚さの少なくとも一部が除去される。
【0042】
その後、金属糸状ナノ粒子1を含む薄膜2のアルカリエッチング及び溶解のステップ10が、金属糸状ナノ粒子1の金属を保護しながら溶解アルカリ浴での固体薄膜2のアルミナのアルカリエッチング及び可溶化を可能とするのに適した条件で実行される。
【0043】
例えば、金属糸状ナノ粒子1を含む薄膜2は、大気温度、特に20℃〜25℃の温度で、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムのアルカリ水溶液からなる槽に浸される。溶液中0.1g/Lのアルカリ塩の濃度から溶液の飽和濃度までの濃度、特に約48g/Lのオーダーの濃度が選択される。48g/Lでの水酸化ナトリウムの溶液における15分の処理時間で、薄膜2のアルミナは、水酸化ナトリウムの水溶液中に完全に可溶化され、そして固体金属糸状ナノ粒子1は、水酸化ナトリウムの前記水溶液中に懸濁して放出される。
【0044】
本発明による方法で、一方で過剰の水酸化ナトリウム及び可溶化アルミナを含むアルカリ水溶液と、もう一方で金属糸状ナノ粒子1とに分離して、その後の金属糸状ナノ粒子1の利用を可能にすることが、本発明による方法では有利である。当該分離19は、0.2μmのオーダーの平均空孔率を有するポリアミドの薄膜を用いて金属糸状ナノ粒子1及びアルカリ水溶液をろ過することによって行われる。ワットマンのナイロン薄膜(参照番号7402−004)が用いられ、そこに金属糸状ナノ粒子1が確保される。ろ過による当該分離ステップ19は、全ての適切な手段、例えば真空又は大気圧でのろ過手段によって実施される。次に、ポリアミド薄膜上で、アルカリ水溶液及び可溶化アルミナの除去を可能にするために適量の蒸留水で金属糸状ナノ粒子1を洗浄するステップが行われる。金属糸状ナノ粒子1の酸化リスクを最小限に抑えるために金属糸状ナノ粒子1を空気中の酸素と直接接触させないことがもちろん好ましい。
【0045】
本発明による製造方法で作出された金属糸状ナノ粒子1の質量を計るために、金属糸状ナノ粒子1は揮発性溶媒、特にアセトン及びエタノールから選択される溶媒で洗い流される。得られた金属糸状ナノ粒子1は次いで、揮発性溶媒の沸点を上回る温度、特にアセトンの場合は60℃で加熱することによって乾燥される。
【0046】
一般的な溶媒、例えば水、アセトン、トルエンからなる群から選択されるもの、で金属糸状ナノ粒子1を空気から保護することが好ましい。金属糸状ナノ粒子1は、金属糸状ナノ粒子1の凝集体の形成を防ぐために溶媒中に分散される。有利には、金属糸状ナノ粒子1は、500Wの出力の場合はおよそ20kHzのオーダーの周波数の超音波洗浄機で液体培地に糸状ナノ粒子1を懸濁する工程23によって溶媒中に分散される。
【0047】
図4に示された本発明による導電性固体複合材料33の製造方法で、500nm未満の寸法及び高い形状係数、特に50を上回る形状係数を有する非酸化状態の金属糸状ナノ粒子1が、固体マトリクスの前駆物質である液体組成物30中に分散している。液体組成物30は、熱可塑性電気絶縁ポリマー及び熱硬化性電気絶縁ポリマーからなる群から選択される。例えば、ポリアミド及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びトリフルオロエチレン(TRFE)のコポリマーにより形成された群から熱可塑性電気絶縁体が選択される。PVDF−TRFEコポリマーは有利には、10−12S.m−1のオーダーの真正導電率を有する。当該分散は、一方で非酸化状態の金属糸状ナノ粒子1の懸濁液を溶媒により形成された液体培地に、そしてもう一方で電気絶縁ポリマーを可溶化することで得られた液体組成物を同一の溶媒に混合すること31によって達成される。例えば、ある量のPVDF−TRFEコポリマーがある量のアセトン中に溶解され、そしてある量のアセトン中の糸状ナノ粒子1の懸濁液がそこに加えられる。当該混合は、金属糸状ナノ粒子1及びコポリマーの体積比率が10%未満、特に5%に近くなるように行われる。糸状ナノ粒子1とアセトン中のPVDF−TRFEの組成物30との混合は均質化される。懸濁液を超音波で処理することによって液体混合中の固体糸状ナノ粒子1の分散を改善することができる。
【0048】
続いて、溶媒を除去するステップ32が行われる。当該溶媒除去ステップは、全ての適切な手段によって、特に、特に加熱によって、大気圧で溶媒を蒸発させることによって、又は減圧下での蒸発によって行われる。PVDF−TRFEの固体マトリクス中の糸状ナノ粒子1の分散からなる複合材料が得られる。
【0049】
本発明による複合固体材料を成形するステップ33が次いで行われる。当該成形は、全ての適切な手段、及び特にホットプレス及び/ホットモールドによって行われる。
【0050】
本発明による方法では、図1に示された製造方法によって得られやすい金属糸状ナノ粒子1が用いられる。ナノワイヤとも呼ばれる、50を上回る形状係数のこういった金属糸状ナノ粒子1は、実施例1から5に記載されるように、固体多孔質薄膜のチャネルで銀を電気めっきする方法によって作成される。
【実施例1】
【0051】
実施例1:金ナノワイヤの作成
アルミナのろ過膜を、銀による陰極スパッタリング(陽極酸化ポーラスアルミナ、ワットマン、参照番号6809−5022及び6809−5002)で処理して、該ろ過膜の表面を覆う銀のフィルムを堆積する。銀でコーティングされた固体薄膜の面(伝導性陰極表面)を電気めっき装置の陰極を形成しているプレートに適用し、陰極を形成しているプレートとろ過膜の銀めっきされた表面との間に導電性接点を形成する。その後、準備電気めっきステップで、Ni2+イオンを含む電解ワット液から第1成長開始層が堆積される。陽極と陰極の間に確立された電流のアンペア数は、当該値が大気温度で5分間80mAに維持されるように制御する。こうして、固体薄膜の開いた孔の底に、約3μmのオーダーの厚さの金属ニッケルの堆積が得られる。固体薄膜のチャネルを、該チャネルから準備電気めっきステップの電気めっき槽の金属陽イオンを抽出するために洗い流す。
【0052】
金ナノワイヤを電気めっきするステップの場合、電気めっき装置のニッケル陽極を金陽極に置き換え、そしてワット液をシアン化物のないチ硫酸−チオ亜硫酸陰イオン(thisulfate-thiosulfite anions)を有する複合金溶液に置き換える。磁気的撹拌しながら、電解液を50℃に近い温度に保ちつつ0.7Vで電気めっきを行う。これらの条件で、電流の開始アンペア数は、およそ3.5mAのオーダーであり、そして堆積中に0.9mAのオーダーの値まで低下する。固体薄膜の陰極面を、該固体薄膜を680g/Lの質量濃度で硝酸の水溶液に浸して処理する。次いで、金属ナノ粒子を含む固体薄膜を、48g/Lの濃度でソーダ水溶液に浸す。15分の処理の終わりに、金ナノワイヤがソーダ溶液中に放出される。その後、放出された金ナノワイヤ及びアルカリ溶液をろ過によって分離する。金ナノワイヤをアセトンで洗浄する。こうして作出された金ナノワイヤは同一の溶媒に保存することが好ましい。固体薄膜のcm当たり、25mgの金ナノワイヤが得られる。これらの金ナノワイヤは、およそ250に近い形状係数の場合、200nmのオーダーの平均径及び50μmのオーダーの長さを有する。
【実施例2】
【0053】
実施例2:ニッケルナノワイヤの作成
実施例1で述べたようにして、アルミナのろ過膜、その陰極面に銀フィルム及びニッケル成長開始層を有するもの、を作成する。
【0054】
ニッケルナノワイヤを電気めっきするステップの場合、電気めっき装置のニッケル陽極及びワット液を維持する。電解液を撹拌せずに、電解液を大気温度に近い温度に維持しながら3Vから4Vの間、特に3Vのオーダーの電圧で電気めっきを行う。これらの条件で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が180mAのオーダーでは40分で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が98mAのオーダーでは60分で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が65mAのオーダーでは90分で、およそ50μmのオーダーの長さのニッケルナノワイヤが得られる。
【0055】
実施例1と同様に、固体薄膜の表面ニッケル及び銀が除去され、そしてニッケルナノワイヤがアルカリ処理によって放出される。固体薄膜のcm当たり、12mgのニッケルナノワイヤが得られる。これらのニッケルナノワイヤは、およそ250に近い形状係数の場合、200nmのオーダーの平均径及び50μmのオーダーの長さを有する。
【実施例3】
【0056】
実施例3:コバルトナノワイヤの作成
実施例1で述べたようにして、アルミナのろ過膜、その陰極面に銀フィルム及びニッケル成長開始層を有するもの、を作成する。
【0057】
コバルトナノワイヤを電気めっきするステップの場合、コバルト陽極及びコバルト表面の水溶液が用いられる(CO2+)。コバルトの電気化学対はニッケルのそれと近いため、電解液を撹拌せずに、電解液を大気温度に近い温度に維持しながら3V〜4Vの電圧で電気めっきを行う。これらの条件で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が180mAのオーダーでは40分で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が98mAのオーダーでは60分で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が65mAのオーダーでは90分で、およそ50μmのオーダーの長さのコバルトナノワイヤが得られる。
【0058】
実施例1と同様に、固体薄膜の表面ニッケル及び銀が除去され、そしてコバルトナノワイヤがアルカリ処理によって放出される。
【実施例4】
【0059】
実施例4:銀ナノワイヤの作成
実施例1で述べたようにして、アルミナのろ過膜、その陰極面に銀フィルム及びニッケル成長開始層を有するもの、を作成する。
【0060】
銀ナノワイヤを電気めっきするステップの場合、銀陽極及び亜硫酸銀の水溶液が用いられる。電解液を撹拌しながら、電解液を30℃に近い温度に保ちつつ0.25Vに近い電圧で電気めっきを行う。これらの条件で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が9mAのオーダーで180分で、およそ50μmのオーダーの長さの銀ナノワイヤが得られる。
【0061】
実施例1と同様に、固体薄膜の表面ニッケル及び銀が除去され、そして銀ナノワイヤがアルカリ処理によって放出される。
【実施例5】
【0062】
実施例5:銅ナノワイヤの作成
実施例1で述べたようにして、アルミナのろ過膜、その陰極面に銀フィルム及びニッケル成長開始層を有するもの、を作成する。
【0063】
銅ナノワイヤを電気めっきするステップの場合、銅陽極及び硫酸銅の水溶液が用いられる(Cu2+)。電解液を撹拌せずに、電解液を大気温度に近い温度に維持しながら0.5Vに近い、特に0.6Vの電圧で電気めっきを行う。これらの条件で、陽極と陰極の間の電流の開始アンペア数が100mAのオーダーで30分で、およそ50μmのオーダーの長さの銅ナノ粒子が得られる。
【0064】
実施例1と同様に、固体薄膜の表面ニッケル及び銀が除去され、そして銅ナノワイヤがアルカリ処理によって放出される。
【実施例6】
【0065】
実施例6:熱可塑性マトリクス(PVDF−TRFE)をベースとした伝導性複合材料の作成
250mgの金ナノ粒子(実施例1に従って得られた金ナノワイヤ)を15mLのアセトン中に分散し、そして得られた懸濁液に、500Wのオーダーの分散電源の場合、約20kHzのオーダーの周波数の超音波槽で超音波処理を施す。また、443mgのPVDF−TRFEを10mLのアセトン中に可溶化し、そして金ナノワイヤの懸濁液を該PVDF−TRFE溶液に加える。当該混合は、ナノワイヤの構造を維持するために、500Wのオーダーの分散電源の場合、20kHzのオーダーの周波数の超音波処理によって均質化される。回転蒸発器で減圧下でアセトンを蒸発することによって、アセトンを混合から除去し、そして得られた複合材料を押圧して150μmの厚さのポリマーフィルムを得る。こうして得られた複合材料中の金ナノワイヤの充填率は5体積%に近い。こうした複合材料中の金ナノワイヤの5体積%の充填物は、複合材料の質量の30%の増加に相当する。複合材料の伝導率は10S.m−1である。加えて、及び特に有利には、それより下では該材料がその伝導性を失う、そういった複合材料の浸透閾値は、2%(体積比)のオーダーである。
【0066】
比較のために、PVDF−TRFEコポリマー中50未満の形状係数のマイクロメータ粒子の組成物でそういった10S.m−1の伝導率を達成するためには、充填率は体積比で少なくとも28%でなくてはならず、複合材料の質量の増加は70%のオーダーとなり、最終組成物の機械的特性に有意に影響することになろう。
【実施例7】
【0067】
実施例7:熱硬化性マトリクス(エポキシ樹脂)をベースとした伝導性複合材料の作成
250mgの銀ナノ粒子(銀ナノワイヤ)を15mLのアセトン中に分散し、そして得られた懸濁液に、500Wのオーダーの分散電源の場合、約20kHzのオーダーの周波数の超音波槽で超音波処理を施す。また、アミンの形態の硬化剤と共に515mgのDGEBAタイプ(ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル)のエポキシ樹脂を10mLのアセトン中に可溶化し、そして銀ナノワイヤの懸濁液を該エポキシ樹脂溶液に加える。当該混合は、ナノワイヤの構造を維持するために、機械的撹拌によって、次いで、500Wのオーダーの分散電源の場合、20kHzのオーダーの周波数の超音波処理によって均質化される。回転蒸発器で減圧下でアセトンを蒸発することによって、アセトンを混合から除去する。エポキシマトリクス中の銀ナノワイヤの均質な懸濁液を次いで、大気圧未満の圧力で脱ガスし、そして樹脂及び硬化剤を大気温度で重合する。
【0068】
こうして得られた複合材料中の銀ナノワイヤの充填率は5体積%に近い。こうした複合材料中の銀ナノワイヤの5体積%の充填物は、複合材料の質量の33%の増加に相当する。複合材料の伝導率は10S.m−1である。加えて、及び特に有利には、それより下では該材料は導電性でなくなる、そういった複合材料の浸透閾値は、2%(体積当たり)のオーダーである。
【0069】
比較のために、DGEBAタイプのエポキシ樹脂中50未満の形状係数のマイクロメータ粒子の組成物でそういった10S.m−1の伝導率を達成するためには、充填率は体積比で少なくとも20%でなくてはならず、複合材料の質量の増加は70%のオーダーとなろう。
【実施例8】
【0070】
実施例8:熱可塑性マトリクス(PEEK−ポリエーテルエーテルケトン)をベースとした伝導性複合フィルムの作成
実施例4にその製造について述べた1gの銀ナノ粒子(銀ナノワイヤ)、及び2.35gのPEEK粉末を、400℃に達した2軸スクリュー押出機の供給ホッパ内に配置する。押し出された複合物は、150μmの厚さのフィルムを形成するように400℃でプレス機で成形され、次いで大気温度で冷却される。こうして得られた複合フィルム中の銀ナノワイヤの充填率は、5体積%に近く、及び30質量%のオーダーである。該複合フィルムの導電率は10S.m−1である。
【実施例9】
【0071】
実施例9:ポリウレタンをベースとした伝導性複合コーティングの作成
実施例4にその製造について述べた250gの銀ナノ粒子(銀ナノワイヤ)を、ポリオールの組成物中に分散し、得られた懸濁液に、500Wのオーダーの分散電源の場合、約20kHzのオーダーの周波数の超音波槽で超音波処理を施す。次に、イソシネート(isocynate)タイプの硬化剤を懸濁液に加える。ポリオールの質量及び硬化剤の合計質量は488mgである。複合コーティングの使用は、銀ナノワイヤを含まないポリウレタンコーティングの使用と同一である。複合コーティングの前駆懸濁液は、ブラシ又はスプレーによって塗料のように塗布されうる。
【0072】
こうして得られた複合コーティング中の銀ナノワイヤの充填率は、5体積%に近く、及び34質量%のオーダーである。該複合コーティングの伝導率は10S.m−1であり、そしてその表面抵抗率は10Ω/平方未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 電気絶縁材料の固体マトリクスと、
− 導電性材料の充填物と
を含む導電性固体複合材料であって、
前記充填物が、糸状ナノ粒子(1)と呼ばれるナノ粒子を含んでおり、このナノ粒子が、
・ 主伸長方向に沿って延びる長さと、
・ 互いに横断且つ直交し且つ前記主伸長方向に直交する2方向に沿って延びる、直交寸法と呼ばれる2つの寸法であって、前記長さより小さく且つ500nm未満である直交寸法と、
・ 形状係数と呼ばれる、前記長さと、前記2つの直交寸法の各々との2つの比であって、50を上回る形状係数と
を有しており、
前記糸状ナノ粒子(1)が、体積比で10%未満、特に5%未満の量で、固体マトリクスの体積中に分布している、材料。
【請求項2】
糸状ナノ粒子(1)の2つの直交寸法が、50nm〜300nm、特に200nmのオーダーである、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
糸状ナノ粒子(1)の形状係数が、50を上回り、特に250のオーダーである、請求項1又は2に記載の材料。
【請求項4】
糸状ナノ粒子(1)が、1μmを超える長さ、特に30μm〜300μmの長さ、特に50μmのオーダーの長さを有する、請求項1ないし3の何れか一項に記載の材料。
【請求項5】
糸状ナノ粒子(1)が、非酸化状態にある金、銀、ニッケル、コバルト、銅、及びそれらの合金からなる群から選択された金属から形成されている、請求項1ないし4の何れか一項に記載の材料。
【請求項6】
0.5体積%〜5体積%の糸状ナノ粒子(1)の量を含む、請求項1ないし5の何れか一項に記載の材料。
【請求項7】
固体マトリクス(30)が少なくとも1つのポリマー材料を含む、請求項1ないし6の何れか一項に記載の材料。
【請求項8】
1S.m−1を上回る導電率、特に10S.m−1のオーダーの導電率を有する、請求項1ないし7の何れか一項に記載の材料。
【請求項9】
固体の複合導電材料を得る方法であって、
・ 主伸長方向に沿って延びる長さと、
・ 互いに横断且つ直交し且つ前記主伸長方向に直交する2方向に沿って延びる、直交寸法と呼ばれる2つの寸法であって、前記長さより小さく且つ500nm未満である直交寸法と、
・ 形状係数と呼ばれる、前記長さと、前記2つの直交寸法の各々との2つの比であって、50を上回る形状係数と
を有する導電性材料の糸状ナノ粒子(1)を、複合材料中に体積比で10%未満の糸状ナノ粒子(1)の量が得られるように、電気絶縁材料の固体マトリクスの前駆物質である液体組成物(30)中で分散させる、固体複合材料を得る方法。
【請求項10】
− 糸状ナノ粒子(1)を液体溶媒中に分散させ、
− この分散物を前駆液体組成物(30)中に混合し、
− 液体溶媒を除去する、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
固体マトリクスが少なくとも1つのポリマー材料を含んでおり、前駆液体組成物(30)が、糸状ナノ粒子(1)の分散物の溶媒、及び糸状ナノ粒子(1)の分散物の溶媒と混合されうる溶媒から選択される液体溶媒中の前記ポリマー材料の溶液である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
固体マトリクスが少なくとも1つの熱可塑性材料を含んでおり、前駆液体組成物(30)を溶融状態にある固体マトリクスから形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
固体マトリクスが少なくとも1つの熱硬化性材料を含んでおり、前駆液体組成物(30)を、熱硬化性材料の組成物に入る少なくとも1つの液体組成物から形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
固体マトリクスが少なくとも1つの架橋材料を含んでおり、前駆液体組成物(30)を、架橋性材料の組成物に入る少なくとも1つの液体組成物から形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前駆液体組成物(30)中の糸状ナノ粒子(1)の分散物を超音波に曝す、請求項9ないし14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記2つの直交寸法が50nm〜300nm、特に200nmのオーダーである糸状ナノ粒子(1)を使用する、請求項9ないし15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
2つの形状係数が50を上回り、特に250のオーダーである糸状ナノ粒子(1)を使用する、請求項9ないし16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
糸状ナノ粒子(1)が、主伸長方向に沿って、1μmを超える長さ、特に30μm〜300μm、特に50μmのオーダーの長さに亘って延びる、請求項9ないし17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
非酸化状態にある金、銀、ニッケル、コバルト、銅、及びそれらの合金からなる群から選択される材料から形成された糸状ナノ粒子(1)を使用する、請求項9ないし18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
0.5体積%〜5体積%の量の糸状ナノ粒子(1)を使用する、請求項9ないし19の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−529617(P2011−529617A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520562(P2011−520562)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051442
【国際公開番号】WO2010/012935
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(510139564)ユニヴェルシテ ポール サバティエ トゥールーズ トロワ (5)
【Fターム(参考)】