説明

導電性撥水材料および撥水型ガス拡散電極

【課題】 導電性に優れた撥水材料と、撥水性に優れたガス拡散電極とを提供する。
【解決手段】 ガス拡散撥水層24は、シリカ粒子30と、導電性を有する炭素微粒子28と、樹脂とを含むことから、シリカ粒子30による撥水性と炭素微粒子28による導電性とが共に得られる。すなわち、導電性に優れた撥水材料が得られる。本実施例のガス拡散撥水層24を構成する導電性撥水材料はシリカ粒子30によって撥水性が与えられていることから、従来のように炭素微粒子28を弗素樹脂系撥水剤等で被覆する必要がない。そのため、弗素樹脂系撥水剤等で被覆することに伴う導電性の低下が生じないので、高い撥水性と高い導電性とを共に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性を有する撥水材料と、これを利用した固体高分子形燃料電池用のガス拡散電極に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、燃料として水素、メタノール、化石燃料からの改質水素等の還元剤を用い、空気や酸素を酸化剤として、電池内で燃料を電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換して取り出すものである。そのため、内燃機関に比較して効率が高く、静粛性に優れると共に、大気汚染の原因となるNOx、SOx、粒子状物質(PM)等の排出量が少ないことから、近年、クリーンな電気エネルギー供給源として注目されている。例えば、自動車用エンジンの代替、住宅用等の分散型電源や熱電供給システムとしての利用が期待されている。
【0003】
このような燃料電池は、用いる電解質の種類によって、アルカリ形、リン酸形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形、固体高分子形等に分類される。これらのうちプロトン伝導性の電解質を用いるリン酸形および固体高分子形は、熱力学におけるカルノーサイクルの制限を受けることなく高い効率で運転できるものであり、その理論効率は、25(℃)において83(%)にも達する。特に、固体高分子形燃料電池は、近年電解質膜や触媒技術の発展により性能の向上が著しくなり、低公害自動車用電源や高効率発電方法として注目を集めている。
【0004】
ところで、固体高分子形燃料電池は、一般に、薄い高分子電解質層の両面を一対のガス拡散電極で挟んだ構造を備えるものであり、通常は、このような膜−電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEA)をセパレータを介して積層したスタック構造で用いられる。ガス拡散電極は貴金属系触媒を担持したカーボン粉末等を主成分とする触媒層およびガス拡散電極基材から構成されており、MEAはその触媒層が内側になるように積層される。これら触媒層およびガス拡散電極基材は、一体化或いは複層化されたものもある。
【0005】
上記ガス拡散電極は、触媒層および電解質層表面に燃料ガスや空気を導くと共に、発生した電流を取り出すために、高いガス拡散性能と高い導電性とが共に要求される。また、加湿燃料中の水蒸気や反応により発生した水によるガス流路の閉塞を抑制するために優れた撥水性能を有することも要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−202970号公報
【特許文献2】特開2002−289200号公報
【特許文献3】特開2003−208904号公報
【特許文献4】特開2005−310660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から、ガス拡散電極は、市販のカーボンペーパーに弗素樹脂等で撥水処理を施したものが用いられてきた。また、触媒、電解質材料、および弗素樹脂等から成る撥水剤を溶媒中に分散して電解質膜に塗布するかカーボンペーパー等のシート状基材に塗布してガス拡散電極を形成するものもある(例えば前記特許文献1を参照。)。また、触媒層とガス拡散層とから成るガス拡散電極を製造するに際して、触媒層またはガス拡散層の構成材料に金属酸化物を混合して電極の調湿性能を最適化するものがある(例えば前記特許文献2を参照。)。上記ガス拡散電極は、炭素粉末を弗素樹脂溶液に分散した分散液をカーボンペーパーに含浸して製造される。また、弗素樹脂、珪素樹脂、シランカップリング剤、或いはワックスで撥水処理を施したカーボンブラックをガス拡散層に用いることも提案されている(例えば前記特許文献3を参照。)。しかしながら、これらの技術では炭素粒子等の導電性材料の表面に撥水被膜が形成されることから、導電材料相互の接触が撥水被膜で妨げられるので、ガス拡散電極の導電性が著しく低下し延いては発電性能が著しく低下する問題がある。
【0008】
また、ガス拡散電極基材自体に撥水処理を施すことに代えて、ガス拡散電極基材と触媒層との間にカーボン粉末と弗素系弾性共重合体を含む結着剤とから成る撥水層を設けることが提案されている(例えば前記特許文献4を参照。)。しかしながら、弗素樹脂を撥水剤として用いる場合には、350(℃)程度の高温処理工程を経てこれを溶着することが必要であるため、溶着した弗素樹脂によってガス透過性が低下すると共に製造コストが高く、更に、電解質層は耐熱性が低いことからMEAの連続製造が不可能になる問題がある。
【0009】
また、上記特許文献1〜4では、何れも撥水材料として弗素樹脂が用いられいる。なお、特許文献3では珪素樹脂等も挙げられているが、弗素樹脂が撥水効果が高く特に好ましいとされている。しかしながら、近年、弗素および一部の弗素化合物は環境配慮の観点から規制対象となっている問題がある。例えば、環境基本法第16条に基づく環境省告示「水質汚濁に係る環境基準」では、1999年2月の改訂において「人の健康の保護に関する環境基準」別表1の項目に弗素、硼素、硝酸性窒素および亜硝酸窒素が追加された。その後、水質汚濁防止法においても、2001年7月の改正で排水基準に弗素およびその化合物、硼素およびその化合物、アンモニア、アンモニア化合物、亜硝酸化合物および硝酸化合物が追加され、排出規制の対象物質になっている(水質汚濁防止法第2条第2項第1号、同法第3条第1項、水質汚濁防止法施行令第2条、排水基準を定める省令第1項)。
【0010】
また、大気汚染防止法では、煤煙、揮発性有機化合物、粉塵、有害大気汚染物質、自動車排出ガスの5種類を規制しているが、これらのうち煤煙は、「物の燃焼、合成、分解その他の処理に伴い発生する物質のうち、カドミウム及びその化合物、塩素及び塩化水素、弗素、弗化水素及び弗化珪素、鉛及びその化合物、窒素酸化物」等と定められている(大気汚染防止法第2条第1項第3号、大気汚染防止法施行令第1条)。すなわち、弗素および弗素化合物は排出規制の対象物質である。これら水質および大気に係る規制は、全ての弗素樹脂に当てはまるものではないが、製造、使用、廃棄の過程において弗素或いは有害な弗素化合物が生成する可能性を考慮して使用を避けるべきとの要求がある。
【0011】
また、今後の燃料電池の普及のためには初期費用をどれだけ下げられるかが重要な問題である。そのため、全ての材料や製造工程に低コスト化が求められているが、弗素樹脂は燃料電池材料の中では高価な材料であるから、これに代わる安価な撥水材料が望まれている。
【0012】
また、弗素樹脂で撥水膜を構成した燃料電池では、使用中に酸化性の強い弗素ガスが発生し、燃料電池システムを構成する周辺材料や周辺機器がその弗素ガスで腐食させられる懸念がある。そのため、弗素を含む物質の使用を避けたいとの要望が非常に強い。
【0013】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、導電性に優れた撥水材料と、撥水性に優れたガス拡散電極とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
斯かる目的を達成するため、第1発明の導電性撥水材料の要旨とするところは、シリカ粒子と、導電性炭素微粒子と、樹脂とを含むことにある。
【0015】
また、第2発明の要旨とするところは、固体高分子形燃料電池を構成するために固体高分子電解質上に気体を導き得る状態で設けられる多孔質の撥水型ガス拡散電極であって、前記第1発明の導電性撥水材料が導電性を有する多孔質基材の内部および表面の少なくとも一方に設けられたことにある。
【発明の効果】
【0016】
前記第1発明によれば、導電性撥水材料は、シリカ粒子と、導電性炭素微粒子と、樹脂とを含むことから、シリカ粒子による撥水性と導電性炭素微粒子による導電性とが共に得られるので、導電性に優れた撥水材料が得られる。そのため、対象物の表面にこれを設け、或いは、その対象物の製造過程においてこれを混合すると、シリカ粒子によってその対象物に撥水性が与えられると共に、導電性炭素微粒子によってその対象物の導電性が保たれ或いは導電性が付与される。このとき、導電性撥水材料はシリカ粒子によって撥水性が与えられていることから、導電性炭素微粒子を被覆してその導電性を低下させると共に製造コスト面でも不利な弗素樹脂系撥水剤を用いる必要がない。シリカ粒子を含む撥水膜は、そのシリカ粒子によって表面に形成される微細な凹凸により撥水性を有するため、弗素樹脂系撥水剤などを用いることなく高い撥水性が得られるものと考えられる。なお、本願において、上記導電性撥水材料は、溶剤を含むペースト或いはスラリーと、これらを含まない固形分のみの何れをも意味する。
【0017】
また、前記第2発明によれば、ガス拡散電極は、前記第1発明の導電性撥水材料が導電性を有する多孔質基材の内部や表面に設けられることで撥水性が与えられることから、高い導電性と高い撥水性とを共に有するガス拡散電極を低コストで得ることができる。しかも、シリカは固体高分子形燃料電池用途に十分な耐熱性を有する利点もある。なお、第2発明において、「内部」とはガス拡散電極の層内に撥水材料が含浸等により設けられる態様を意味し、「表面」とはガス拡散電極の表面に撥水材料から成る撥水層が設けられる態様を意味する。
【0018】
因みに、撥水処理が施された無機微粒子を導電性を有する多孔質基材の表面に点在させれば、フラクタル構造と称される極微細な凹凸面が形成されるので、弗素系樹脂等を用いることなく導電性および撥水性を有するガス拡散電極を得ることができる。しかしながら、無機微粒子が多孔質基材に付着しているだけで、何らこれを固着するものが無ければ、撥水膜の膜強度が不足し、容易に剥離し或いは破損する問題がある。また、このような無機微粒子を点在させる撥水処理は多孔質基材の導電性を損なうことにもなる。しかも、このような撥水膜はラジカル耐性が低いので、燃料電池の運転時に材料の撥水性が損なわれ易い問題もある。
【0019】
なお、前記シリカ粒子は、特に限定されず種々のものを用い得るが、例えば、10〜100(nm)の範囲内の粒径を有するものが好適である。また、前記炭素微粒子は、特に限定されず種々のものを用い得るが、例えば、20〜50(nm)程度の粒径を有するものが好適である。また、前記樹脂は、特に限定されず、熱硬化性および熱可塑性の何れのものも用い得るが、例えば固体高分子形燃料電池用途では、その使用温度(例えば200(℃)程度)以上の耐熱性を有することが必要で、例えば、熱可塑性樹脂の場合には、分解温度がその使用温度よりも十分に高いことが必要である。
【0020】
ここで、前記第1発明において、好適には、前記導電性撥水材料は、前記シリカ粒子を固形分全体に対して4〜10(wt%)の範囲内の割合で含むものである。このようにすれば、ガス拡散電極等の用途に一層好適な導電性撥水材料が得られる。シリカ粒子を4(wt%)以上含むものとすれば一層高い撥水性が得られ、また、シリカ粒子を10(wt%)以下に留めれば一層高いガス透過性が得られる。しかも、シリカ粒子が10(wt%)以下であれば、非導電性成分が十分に少ないので、一層高い導電性が得られる利点もある。
【0021】
また、好適には、前記導電性撥水材料は、前記導電性炭素微粒子を固形分全体に対して4〜10(wt%)の範囲内の割合で含むものである。このようにすれば、ガス拡散電極等の用途に一層好適な導電性撥水材料が得られる。導電性炭素微粒子を4(wt%)以上含むものとすれば一層高い導電性が得られると共に、導電性炭素微粒子も撥水性を有することから、一層高い撥水性が得られる。また、導電性炭素微粒子を10(wt%)以下に留めれば一層高いガス透過性が得られる。しかも、導電性炭素微粒子が10(wt%)以下であれば、樹脂量も十分に多くできるので、撥水膜の剥離等の問題も生じ難い。
【0022】
また、好適には、前記樹脂は、導電性撥水材料の固形分全体の70(wt%)以上の割合で含まれる。このようにすれば、炭素微粒子およびシリカ粒子を結着すると共に撥水膜を被膜形成面に固着するための樹脂量が十分に多いことから、膜強度の十分に高い導電性撥水膜が得られる。
【0023】
また、好適には、前記シリカ粒子は撥水処理が施されたものである。このようにすれば、シリカ粒子自体が有する撥水性が一層高められるので、一層撥水性に優れた導電性撥水材料が得られる。
【0024】
また、好適には、上記撥水処理は前記シリカ粒子をシランカップリング剤で疎水化するものである。シリカ粒子に施される撥水処理は、従来から一般に用いられている弗素樹脂等で行うこともできるが、前述したような環境上の配慮等から弗素化合物を用いないことが望ましく、本発明によれば、前記の通り、弗素を用いなくとも撥水性および導電性の高い撥水材料が得られ、延いては撥水性、導電性、ガス拡散性の高いガス拡散電極を得ることができる。弗素を含まない撥水剤としては、ロウやシリコーン等も挙げられるが、前者は耐熱性が低く、後者は撥水性が低いので、シランカップリング剤が特に好適である。しかも、シランカップリング剤を用いれば、シリカ粒子および撥水被膜が共に珪素化合物であるので、それらの親和性が高く撥水処理が容易である。シランカップリング剤は、官能基および加水分解性基の異なる種々のものが知られているが、特に限定されず様々なものを用い得る。例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランが挙げられる。
【0025】
また、好適には、前記第1発明の導電性撥水材料は、シリカ粒子と、導電性炭素微粒子と、樹脂とを水に分散させてスラリーを調製して用いられる。このようにすれば、対象物の内部または表面に導電性撥水材料を設けるに際して、スラリー中にその対象物を浸漬し、或いはスラリーをその対象物表面に塗布することで容易に設け得る。好適には、上記シリカ粒子はゾル(すなわちコロイド溶液)中の分散粒子である。すなわち、シリカゾル(コロイダルシリカともいう)を用いることができる。このようにすれば、粉体のままでは取扱いが困難な程度まで微細な粒径が1(μm)以下、例えば10〜100(nm)程度のシリカ粒子を用いて容易に導電性撥水材料を調製し、また、これを用いて撥水型ガス拡散電極を得ることができる。上記ゾルが用いられる場合には、前記撥水処理は例えばゾルに撥水剤を混合することで行うことができ、これにより、同時に撥水処理が施されたシリカ粒子の分散液が得られる。
【0026】
また、好適には、前記シリカ粒子の分散液は、前記シリカゾルと、撥水剤と、溶媒とを混合し、適当な温度で加温しつつ撹拌することで調製することができる。攪拌時の温度は撥水剤や溶媒の種類に応じて適宜定められるが、例えば、撥水剤にシランカップリング剤、溶媒に水および2−プロパノールを用いる場合には、80(℃)程度が好ましい。
【0027】
また、前記シリカ粒子の分散液は、上記構成成分を適宜の割合で混合することで調製されるが、好ましい混合割合の一例としては、例えば、ゾルをシリカ粒子の固形分換算で0.5〜10(重量%)の範囲内、例えば5(重量%)、撥水剤を0.5〜20(重量%)の範囲内、例えば5〜10(重量%)の範囲内、精製水を1〜10(重量%)の範囲内、例えば5(重量%)、有機溶媒(ゾルの分散媒を含む)を60〜98(重量%)の範囲内、例えば80〜85(重量%)の範囲内の割合としたものが挙げられる。
【0028】
また、好適には、前記多孔質基材は、前記表面の算術平均粗さRaが2〜50(μm)の範囲内である。このようにすれば、ガス拡散電極に積層される電解質膜の性能に影響を与えない範囲で多孔質基材の表面が十分に粗いため、水が容易に転がる程度の高い撥水性が与えられ、高い排水性能を有するガス拡散電極が得られる。表面粗さが2(μm)以上であれば、多孔質基材の表面で水が転がる程度の撥水性が現れる。また、表面粗さが50(μm)以下であれば、電解質膜が破損し延いてはその性能が低下させられることがない。因みに、固体高分子形燃料電池を構成する電解質膜の厚さ寸法は、一般に20〜100(μm)程度の範囲内である。プロトンの移動抵抗を低くするためには電解質膜は薄い方がよいが、薄くなるほど膜に欠陥が生じ易くなるので、上記厚さ寸法の範囲が好ましい。多孔質基材の表面粗さは、電解質膜の膜厚の半分以下が好ましく、上記の通り通常用いられる膜厚が100(μm)程度以下であるから、表面粗さは50(μm)以下が好ましい。
【0029】
また、前記導電性を有する多孔質基材は、特に限定されず、固体高分子形燃料電池のガス拡散電極に一般に用いられている適宜のものを用い得るが、例えば、市販のカーボンペーパー、炭素繊維織物、或いは炭素繊維を樹脂炭化物で結着したもの等、炭素材料から成るものが好ましい。多孔質基材がこのような炭素繊維により構成される場合には、前記表面粗さは、その炭素繊維によって基材表面に形成される凹凸に基づくものである。
【0030】
また、上記の他、炭素繊維を炭素微粒子が相互間に介在させられた状態で樹脂で相互に結合したもの等も多孔質基材に好適である。例えば、多孔質基材の膜厚に対する繊維長の比(=繊維長/膜厚)が0.1〜1の範囲内の多数の炭素繊維と、粒径がそれら炭素繊維の繊維径よりも小さい多数の炭素微粒子と、それら多数の炭素繊維を相互間にそれら多数の炭素微粒子が介在させられた状態で相互に接合する樹脂とを含むものが挙げられる。このような多孔質基材は、高いガス透過性を有すると共に、樹脂を炭化することなく高い導電性を有するため、本発明を適用してそのガス透過性および導電性を保ちながら撥水性を高めることにより、発電特性の優れたMEAを構成することができる。また、上記のように構成されることによって炭素繊維相互の絡み合いが生じ、前記のような好適な表面粗さが得られる。前記「炭素材料から成る」多孔質基材には、このような炭素繊維や炭素微粒子を接合するための樹脂が炭化されないまま残存するものも含まれ、主として炭素から成るものであれば足りる。
【0031】
なお、上記の多孔質基材等において、前記炭素繊維は特に限定されず、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等の適宜のものを用い得る。ポリアクリロニトリル系炭素繊維を用いた場合には、炭素繊維の強度が高いため機械的強度の特に高いガス拡散電極が得られる。また、ピッチ系炭素繊維を用いた場合には、電気伝導性の特に高いガス拡散電極が得られる。
【0032】
また、固体高分子形燃料電池には、燃料極側および空気極側のそれぞれにガス拡散電極が備えられるが、本発明は、それら燃料極側および空気極側の何れの電極にも適用され得る。但し、両極で同一構成の電極が設けられることが必須ではなく、所望する特性や製造上の都合等に応じて、適宜の電極構成を採用することができ、本発明が両極のうちの一方のみに適用されてもよい。
【0033】
また、本発明は、種々の固体高分子電解質が用いられた固体高分子形燃料電池に適用され、固体高分子電解質の材質は特に限定されない。例えば、イオン交換基(-SO3H基等)を有するモノマーの単独重合体または共重合体、イオン交換基を有するモノマーとそのモノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、加水分解等の後処理によりイオン交換基に転換し得る官能基(すなわちイオン交換基の前駆的官能基)を有するモノマーの単独重合体、または共重合体(プロトン伝導性高分子前駆体)に同様な後処理を施したもの等が挙げられる。
【0034】
上記高分子電解質の具体例としては、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂等のパーフルオロ型のプロトン伝導性高分子、パーフルオロカーボンカルボン酸樹脂膜、スルホン酸型ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)共重合体膜、スルホン酸型ポリ(トリフルオロスチレン)−グラフト−ETFE共重合体膜、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)スルホン酸膜、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(ATBS)膜、炭化水素系膜等が例示される。
【0035】
また、前記第2発明の撥水型ガス拡散電極を用いれば、固体高分子電解質層の一面および他面に触媒層を介してこれが設けられることによってMEAが構成されることから、導電性およびガス透過性が共に高く且つ弗素を用いなくとも撥水性の高いガス拡散電極を備えたMEAが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施例の撥水型ガス拡散電極を備えた平板型のMEAの断面構造を模式的に示す図である。
【図2】(a)は図1のガス拡散電極の断面を模式的に示す図であり、(b)は(a)のb部拡大図である。
【図3】図1のガス拡散電極の製造方法を説明する工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0038】
図1は、本発明の一実施例の撥水型ガス拡散電極10,12を備えた平板型のMEA14の断面構造を示す図である。図1において、MEA14は、薄い平板層状の電解質膜16と、その両面に備えられた触媒層18,20と、触媒層18,20の各々の表面に設けられた前記ガス拡散電極10,12とから構成されている。
【0039】
上記の電解質膜16は、例えばNafion(デュポン社の登録商標) DE520等のプロトン導電性電解質から成るもので、例えば20〜100(μm)の範囲内、例えば50(μm)程度の厚さ寸法を備えている。
【0040】
また、上記の触媒層18,20は、例えば球状の炭素粉末に白金等の触媒を担持させたPt担持カーボンブラックから成るものである。これは、例えば田中貴金属工業(株)から市販されているもの(例えばTEC10E70TPM等)を用い得る。触媒層18,20の厚さ寸法は、例えば50(μm)程度である。
【0041】
また、上記のガス拡散電極10,12は、高い導電性を有し且つその表面と裏面(すなわち触媒層18,20側の一面)との間で容易に気体が流通し得るように構成された多孔質層で、例えばそれぞれ100〜400(μm)程度の範囲内、例えば280(μm)程度の厚さ寸法を備えている。図2(a)に断面構造を模式的に示すように、ガス拡散電極12は、多孔質基材22と、その表層部すなわち触媒層20とは反対側に設けられたガス拡散撥水層24とから構成される。多孔質基材22は、例えば市販のカーボンペーパー(例えば東レ製TGP-H-060)から成るもので、多数の炭素繊維26が絡み合った構造を有している。また、ガス拡散撥水層24は、多数の炭素微粒子28から成る多孔質組織中にシリカ粒子30が点在したもので、一部が多孔質基材22内に入り込んだ状態でその多孔質基材22に固着されている。
【0042】
図2(b)に図2(a)のb部を拡大して例示するように、上記のガス拡散撥水層24は炭素微粒子28およびシリカ粒子30が熱硬化性樹脂等の樹脂34で相互に結着されたものである。また、このように構成されたガス拡散撥水層24と前記多孔質基材22とも、上記樹脂34で結着されている。ガス拡散撥水層24における樹脂量は構成材料全体すなわち粒子28,30および樹脂34の合計量に対して70〜92(wt%)程度である。この結果、粒子28,30相互間には十分に大きな隙間が残されており、ガス拡散撥水層24は十分に高い通気性を有している。なお、図示は省略するが、ガス拡散電極10も上記ガス拡散電極12と同様に構成されている。
【0043】
また、上記の炭素微粒子28は、例えば20〜50(nm)程度の平均粒径を備えた導電性の微粉末で、多数個が凝集してクラスター構造を成している。また、上記のシリカ粒子30は、例えば10〜100(nm)の範囲内の粒径を有するもので、それぞれシランカップリング剤由来の撥水被膜32で被覆したものである。シランカップリング剤は親水基がシリカ粒子30に結合することから、その疎水基が表面側に位置するので、撥水被膜32は高い撥水性を有する。シリカ粒子30は、それ自身が高い撥水性を有しているが、撥水被膜32が設けられることによって撥水性が一層高められている。ガス拡散撥水層24は、このように導電性の炭素微粒子28と撥水性のシリカ粒子30とから構成されていることから、高い導電性と高い撥水性とを兼ね備えている。
【0044】
そのため、上記のようなガス拡散撥水層24を備えたガス拡散電極10,12は、優れた撥水性を有するので、加湿燃料中の水蒸気や使用中に生成された水がガス拡散電極10,12を経由して容易に排出される。
【0045】
上記ガス拡散電極10,12は、例えば図3に示す工程に従って製造される。図3において、まず、撹拌工程P1において、シリカゾルにシランカップリング剤、精製水、およびプロパノール等の溶剤を加えて、ホットスターラーで加熱しつつ撹拌処理を施す。撹拌条件は、例えば、温度が80(℃)、回転数が300(rpm)、撹拌時間が30分である。これにより、シリカゾル中のシリカ微粒子30がシランカップリング剤によって撥水処理されたシリカ撥水剤が得られる。このシリカ撥水剤は、例えばシリカ微粒子30が1(wt%)程度の濃度で含まれるように調合割合が定められる。
【0046】
なお、上記のシリカゾルは、所望する撥水性能に応じて適宜のものを用い得るが、例えば日産化学工業製シリカゾルIPA-ST-ZLまたはIPA-ST等である。IPA-ST-ZLは、粒子径が70〜100(nm)の範囲内のシリカ微粒子を30(重量%)の割合で含むイソプロピルアルコール分散シリカゾルである。また、IPA-STは粒子径が10〜20(nm)の範囲内のシリカ微粒子を含む他はこれと同様に構成されたものである。また、シランカップリング剤は、東レダウコーニング製シランカップリング剤AY43-048(化合物名:イソブチルトリメトキシシラン)等である。
【0047】
次いで、分散工程P2では、上記シリカ撥水剤、炭素微粒子、およびアクリル系樹脂等の樹脂を精製水に加えてスターラー等で攪拌することにより、シリカ撥水剤および炭素微粒子の分散液を得る。攪拌条件は回転数が300(rpm)で攪拌時間が30分程度である。
【0048】
次いで、含浸工程P3では、カーボンペーパーに上記の分散液を含浸させる。この含浸処理は、例えばカーボンペーパーを分散液に浸すことで行うことができ、固形分(すなわち炭素微粒子、シリカ撥水剤、樹脂)の担持量は例えば2(mg/cm2)程度である。そして、熱処理工程P4において、これを例えば150(℃)で2時間加熱することにより、分散液中の溶剤および水分を除去する。これにより、分散液中の固形分がその一部がカーボンペーパー内に入り込んだ状態でその表面に固着され、前記ガス拡散電極10,12が得られる。
【0049】
前記のMEA14は、このようにして製造したガス拡散電極10,12を電解質膜16の両面に触媒層18,20を介して固着することで製造される。
【0050】
ここで、上記の製造方法に従って製造したガス拡散電極10,12の特性を評価した結果を説明する。この特性評価は、前記分散液を調製する際の炭素微粒子およびシリカ撥水剤の量をそれぞれ分散液中の固形分量で2〜24(wt%)の範囲内で変化させた他は、全て同一の条件で行った。また、評価項目は、断面加圧抵抗、ガス透過性、および接触角である。断面加圧抵抗は、小型熱プレス機(例えば、アズワン製AH-2003)を用いて、電極面積を25(mm)×35(mm)、温度を25(℃)として、Cu板で挟んで2(MPa)で加圧した状態で電圧を印加し、電流値が50(mA)になるときの電圧値から算出した。また、ガス透過性は、25(mm)×25(mm)の試験片を切り出して試料厚みを実測した上で、パームポロメータ(例えば、PMI社製Capillary Flow Porometer 1200 AEL)を用いて厚み方向の差圧を30(kPa)に設定して測定した。また、接触角は、接触角計(例えば協和界面科学(株)製FACE接触角計CA-DT)を用いて、水の静的接触角を測定した。測定結果を表1〜3に示す。各測定値はガス拡散電極10,12の無作為に選んだ3点の平均値であるが、それら3点の測定値に特に大きなばらつきはなく、略同様な値が得られた。
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
上記の表1〜表3において、炭素微粒子28が14(wt%)を超えると、撥水層24が基材22から剥離する傾向が認められた。炭素微粒子28が14(wt%)以下で、樹脂以外の固形分すなわち炭素微粒子28およびシリカ粒子30の合計量が28(wt%)以下の範囲までは剥離は認められなかったが、合計量が38(wt%)では剥離した。この結果から、炭素微粒子28の量は14(wt%)以下が好ましく、また、樹脂量が70(wt%)以上であれば膜を形成できるものと考えられる。これよりも樹脂量が少なくなると、樹脂以外の固形分量が過剰になるので、これらを保持し或いは多孔質基材22表面に固着することが困難になるものと考えられる。なお、炭素微粒子28が18(wt%)でシリカ粒子30が10(wt%)の構成では、各特性値の測定は可能であったもののガス透過性の測定後に撥水層24にひび割れが認められた。この条件では、作成直後には撥水層24の剥離が生じなかったものの、炭素微粒子28が18(wt%)以上或いはシリカ粒子30との合計量が28(wt%)超の他の条件のものと同様に膜強度が不足するものと考えられる。
【0055】
上記の表1は、断面加圧抵抗の測定結果である。断面加圧抵抗は、炭素微粒子28が多くなるほど或いはシリカ粒子30が少なくなるほど低下する傾向にある。断面加圧抵抗は、炭素微粒子28が2(wt%)でシリカ粒子30では420(mΩ・cm)、炭素微粒子28が4(wt%)でシリカ粒子30が24(wt%)では550(mΩ・cm)であるが、炭素微粒子28が10(wt%)でシリカ粒子30が2(wt%)では230(mΩ・cm)、炭素微粒子28が14(wt%)でシリカ粒子30が4(wt%)では240(mΩ・cm)まで低下する。弗素系樹脂で撥水処理を施した従来のガス拡散電極の断面加圧抵抗は420(mΩ・cm)であるから、断面加圧抵抗はこれよりも小さい400(mΩ・cm)以下であることが好ましいが、十分に低い断面加圧抵抗が得られるのは、炭素微粒子28が4〜14(wt%)の範囲、シリカ粒子30が2〜14(wt%)の範囲である。
【0056】
また、表2は、ガス透過性の測定結果である。ガス透過性は、炭素微粒子28およびシリカ粒子30が少なくなるほど増大する傾向にある。ガス透過性は、炭素微粒子28が14(wt%)でシリカ粒子30が14(wt%)では3300(ml・mm/cm2/min)、炭素微粒子28が10(wt%)でシリカ粒子30が18(wt%)では4800(ml・mm/cm2/min)であるが、炭素微粒子28が4(wt%)でシリカ粒子30が4(wt%)では19000(ml・mm/cm2/min)、炭素微粒子28が2(wt%)でシリカ粒子30が2(wt%)では21000(ml・mm/cm2/min)まで増大する。弗素系樹脂で撥水処理を施した従来のガス拡散電極のガス透過性は8000(ml・mm/cm2/min)程度であることから、ガス透過性は8000(ml・mm/cm2/min)以上であることが好ましいが、十分に大きいガス透過性が得られるのは、炭素微粒子28が10(wt%)以下の範囲、シリカ粒子30が10(wt%)以下の範囲である。
【0057】
なお、炭素微粒子28およびシリカ粒子30の分散状態によって多孔質基材22の気孔の塞がり方が相違するので、分散状態が異なるとガス透過性に例えば数(%)のばらつきが生じ得る。シリカ粒子30が8(wt%)のときのガス透過性が炭素微粒子28が4(wt%)および8(wt%)の場合で同一の測定値になっているのは、このような事情が影響している可能性があるが、上述した測定値全体の傾向は明確であるから、全体としては炭素微粒子28およびシリカ粒子30の含有量の影響が大きく、上記ばらつきの影響は大きな問題ではない。
【0058】
また、表3は、接触角の測定結果である。炭素微粒子28の量が一定であればシリカ粒子30が多くなるほど接触角が大きくなる。また、シリカ粒子30が2〜6(wt%)の範囲の比較的量が少ない領域では、炭素微粒子28が多くなるほど接触角が大きくなる傾向がある。シリカ粒子30が8(wt%)以上では、反対に炭素微粒子28が多くなるほど接触角が小さくなる。炭素微粒子28も撥水性を有することから、シリカ粒子30が少ない場合には炭素微粒子28も撥水層24の撥水性に寄与するが、シリカ粒子30が十分に多くなると、炭素微粒子28はそれよりも撥水性が劣ることから、却ってシリカ粒子30による撥水性を低下する方向に作用するものと考えられる。弗素系樹脂で撥水処理を施した従来のガス拡散電極の接触角は142°程度であるが、接触角が135°以上であれば、若干劣るものの十分に高い撥水性を有するものと言える。すなわち、炭素微粒子28が4〜10(wt%)の範囲、シリカ粒子30が4(wt%)以上の範囲が好ましい。
【0059】
上記の評価結果によれば、炭素微粒子28およびシリカ粒子30を併用することによって導電性が高く且つ撥水性の高いガス拡散撥水層24が得られる。導電性撥水材料としては、炭素微粒子28およびシリカ粒子30の含有量は特に限定されず、用途に応じて適宜のものを選択できるが、特に、炭素微粒子28およびシリカ粒子30をそれぞれ4〜14(wt%)の範囲とすれば、断面加圧抵抗が低く、ガス透過性が高く、しかも撥水性の高いガス拡散撥水層24が得られる。
【0060】
要するに、本実施例によれば、ガス拡散撥水層24は、シリカ粒子30と、導電性を有する炭素微粒子28と、樹脂とを含むことから、シリカ粒子30による撥水性と炭素微粒子28による導電性とが共に得られる。すなわち、導電性に優れた撥水材料が得られる。本実施例のガス拡散撥水層24を構成する導電性撥水材料はシリカ粒子30によって撥水性が与えられていることから、従来のように炭素微粒子28を弗素樹脂系撥水剤等で被覆する必要がない。そのため、弗素樹脂系撥水剤等で被覆することに伴う導電性の低下が生じないので、高い撥水性と高い導電性とを共に得ることができるのである。また、高価な弗素樹脂系撥水剤が無用であるため、製造コストも低くできる利点がある。
【0061】
また、本実施例によれば、ガス拡散撥水層24に撥水性を与えるために撥水処理が施されたシリカ粒子30が用いられることから、シリカ粒子30自体が有する撥水性が一層高められるので、一層撥水性に優れた導電性撥水材料が得られ、延いては撥水性および導電性の一層優れたガス拡散撥水層24が得られる。
【0062】
以上、本発明を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施でき、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【符号の説明】
【0063】
10,12:撥水型ガス拡散電極、14:MEA、16:電解質膜、18,20:触媒層、22:多孔質基材、24:ガス拡散撥水層、26:炭素繊維、28:炭素微粒子、30:シリカ粒子、32:撥水被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ粒子と、導電性炭素微粒子と、樹脂とを含むことを特徴とする導電性撥水材料。
【請求項2】
前記シリカ粒子を固形分全体に対して4〜10(wt%)の範囲内の割合で含むものである請求項1の導電性撥水材料。
【請求項3】
前記導電性炭素微粒子を固形分全体に対して4〜10(wt%)の範囲内の割合で含むものである請求項1または請求項2の導電性撥水材料。
【請求項4】
固体高分子形燃料電池を構成するために固体高分子電解質上に気体を導き得る状態で設けられる多孔質の撥水型ガス拡散電極であって、
前記請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の導電性撥水材料が導電性を有する多孔質基材の内部および表面の少なくとも一方に設けられたことを特徴とする撥水型ガス拡散電極。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−38032(P2011−38032A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188524(P2009−188524)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【Fターム(参考)】