説明

導電性材料の処理方法及び処理装置

【課題】導電性と保存安定性が高く、更に線幅を均一に保つことができる導電性材料の処理方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体とを露光、現像処理し、銀画像を形成した導電性材料処理方法であって、還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化物のいずれかの化合物を少なくとも1種類以上含有する処理液で処理する際、該導電性材料の銀画像を有する面を非接触で搬送し、処理することを特徴とする導電性材料の処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路、アンテナ回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の用途に用いることができる導電性材料の処理方法及び処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報化社会が急速に発達するに伴って、情報関連機器に関する技術が急速に進歩し普及してきた。この中で、ディスプレイ装置は、テレビジョン用、パーソナルコンピューター用、駅や空港などの案内表示用、その他各種情報提供用に用いられている。特に、近年プラズマディスプレイが注目されている。
【0003】
このような情報化社会の中にあって、これらのディスプレイ装置から放射される電磁波の影響が心配されている。例えば、周辺の電子機器への影響や人体への影響が考えられている。特に、人体の健康に及ぼす影響は無視することができないものになっており、人体に照射される電磁界の強度の低減が求められ、このような要求に対して様々の透明導電性材料が開発されている。例えば、特開平9−53030号、特開平11−126024号、特開2000−294980号、特開2000−357414号、特開2000−329934号、特開2001−38843号、特開2001−47549号、特開2001−51610号、特開2001−57110号、特開2001−60416号公報等に開示されている。
【0004】
これらの導電性材料の製造方法としては、銀、銅、ニッケル、インジウム等の導電性金属をスパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法によって透明樹脂フィルム上に金属薄膜を形成させる方法が一般的に用いられている。これら従来方法では工法が極めて複雑になるため、高コストで生産性が悪いという問題が発生していた。
【0005】
また、透明導電性材料に求められる別の性能として導電性と光透過率がある。導電性を高くするにはある程度の幅と厚みを持った金属薄膜微細パターンを作る必要があるが、同時に光を遮断する金属からなるパターンの線幅を太くすると透過率が低下する。しかしながら、この両者を満足させるには十分な導電性を持った微細な金属パターン、特に必要最小限の幅で均一なパターンを製造する必要があるが、従来の方法ではこれは満足できなかった。
【0006】
均一なパターンを作ると言う観点において、近年導電性材料前駆体としてハロゲン化銀乳剤層を含有する銀塩写真感光材料を使用する方法が提案されている。例えば国際公開特許01/51276号パンフレット(特許文献1)、特開2004−221564号公報(特許文献2)では銀塩写真感光材料を像露光、現像処理した後、金属めっき処理を施すことで透明導電性材料を製造する方法の提案がなされている。同じく銀塩感光材料を使う方法として銀錯塩拡散転写法を用いる方法も提案されており、例えば特開2003−77350号公報(特許文献3)などがある。
【0007】
導電性材料前駆体としてこれら各種銀塩写真感光材料を使用した導電性材料で、更に高い導電性が必要な場合には金属めっき処理が施される。しかし、特に微細な金属パターンに電解金属めっきを施そうとすると、微細なパターンではパターンの抵抗が電解めっきを施すには高くなり過ぎ、給電部だけめっきされてしまう場合があった。従って電解金属めっき処理が均一にされるよう、微細な金属パターンであっても高い導電性が得られる銀塩写真感光材料を使用した導電性材料及びその製造方法が求められていた。
【0008】
更に導電性材料前駆体として各種銀塩写真感光材料を使用した導電性材料は保存中に導電性が変動するという場合があった。これが問題になる例として1/4λ型電波吸収体がある。1/4λ型電波吸収体では電波反射体から吸収する電波の波長λの1/4分だけ離れた位置に自由空間の特性インピーダンスである377Ωに等しい透明な抵抗膜を設置する構造になっている。銀塩写真感光材料を導電性材料前駆体として使用した導電性材料では高い透明度を有した抵抗体を作れるものの、先ほどの導電性の変動という問題のために抵抗がずれ電波吸収体の性能が保存中に劣化してくる。この例から判るように、十分に高い導電性を有するだけではなく、同時に保存安定性も高い導電性材料及びその製造方法が求められていた。
【0009】
上記課題を解決する手段として特願2006−176037号に、支持体上に少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体を露光、現像処理し、支持体上に銀画像を形成した後に、還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物及び水溶性ハロゲン化物のいずれかの化合物を少なくとも一種類以上含有する処理液で処理する導電性材料の処理方法を提案している。
【0010】
ところで得られた導電性材料が有する微細な金属パターンである金属銀に無電解めっき及び/または電解めっきを施す場合、生産性の観点からロールtoロールで製造できれば非常に好ましい。ここで、ロールtoロールで処理するとは、ロール状に巻かれた導電性材料(以降、導電性材料ロールという)を無電解めっき及び/または電解めっき等の処理をして、再度ロール状に巻き取る方式である。従って前述の特許文献1〜3に記載される、支持体上に少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体はロール状の導電性材料が得られる観点から好適であり、そのような処理方法または処理装置として特開2006−190535号公報(特許文献4)、特開2006−286410号公報(特許文献5)が知られている。
【0011】
しかしながら、支持体上に微細な金属パターンである金属銀を有する導電性材料のロール体を用いて、上記還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物及び水溶性ハロゲン化物のいずれかの化合物を少なくとも一種類以上含有する処理液で処理し、その後ロール体に巻き取るといった方法で、効率的に生産しようとした場合、その後に無電解めっき及び/または電解めっきを施した際、得られた金属パターンの線幅を均一に保つことが困難であり十分満足できるものではなかった。
【特許文献1】国際公開特許01/51276号パンフレット
【特許文献2】特開2004−221564号公報
【特許文献3】特開2003−77350号公報
【特許文献4】特開2006−190535号公報
【特許文献5】特開2006−286410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、導電性と保存安定性が高く、更に線幅を均一に保つことができる導電性材料の処理方法及び処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、以下の処理方法及び処理装置によって達成された。
1)支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体を露光、現像処理し、銀画像を形成した導電性材料の処理方法であって、下記(I)〜(III)のいずれかに記載の化合物を少なくとも1種類以上含有する処理液で処理する際、該導電性材料の銀画像を有する面を非接触で搬送し、処理することを特徴とする導電性材料の処理方法。
(I) 還元性物質
(II) 水溶性リンオキソ酸化合物
(III) 水溶性ハロゲン化物
2)上記1)記載の導電性材料の処理方法に用いられる処理装置であって、ロール状の該導電性材料を保持する巻出し部と、該導電性材料を該処理液で処理する処理部と、乾燥部と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部とを少なくとも有し、前記導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点から水洗部水洗槽に浸入するまでの間は、前記導電性材料の銀画像を有する面を非接触で搬送し、処理することを特徴とする導電性材料の処理装置。
3)上記1)記載の導電性材料の処理方法に用いられる処理装置であって、ロール状の該導電性材料前駆体を保持する巻出し部と、該導電性材料前駆体を現像液で現像処理する現像部と、該導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を除去するための水洗部と、乾燥部と、該導電性材料を該処理液で処理する処理部と、乾燥部と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部とを少なくとも有し、前記導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点から水洗部水洗槽に浸入するまでの間は、前記導電性材料の銀画像を有する面を非接触で搬送し、処理することを特徴とする導電性材料の処理装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、導電性と保存安定性が高く、更に線幅を均一に保つことができる導電性材料の処理方法及び処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
銀塩感光材料由来の金属銀画像を例えば水溶性ハロゲン化物などを含有する処理液による処理を施すことで、導電性と保存安定性が共に高い金属銀画像が得られる。以降、この処理を後処理、処理液を後処理液という。
【0016】
本発明において支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体を露光後に現像処理する方法としては、(1)銀塩拡散転写法に従う現像処理、(2)直接現像後に定着する現像処理、(3)硬化現像法に従う現像処理、の3つに代表される現像処理方法が挙げられる。(1)の方法は例えば特公昭42−23745号公報に記載される方法であり、(2)の方法は例えば 米国特許第6706165号明細書に記載の方法であり、(3)の方法は例えばJ.Photo.Sci.誌11号 p 1、A.G.Tull著(1963)或いは「The Theory of the photographic Process(4th edition,p326−327)」、T.H.James著等に記載されている。
【0017】
(1)の方法では銀塩拡散転写現像による現像処理により画像を析出させ、次に不要になったハロゲン化銀乳剤層を水洗除去工程で除去し、その後乾燥工程で導電性材料を乾燥させる。以上基本的には3つの工程から導電性材料の現像処理工程が構成されている。(2)の方法においては直接現像処理、定着処理、水洗処理、乾燥処理が基本的な現像処理工程の構成である。(3)の方法においては、硬化現像処理、水洗除去、乾燥処理工程が基本的な現像処理工程の構成要素である。
【0018】
本発明の後処理は画像形成後に施すものである。次に本発明の後処理工程をどの工程の前後で行うかを説明する。図6は、本発明の後処理工程の工程順を示す概念図である。図6はロールtoロールで処理される露光済みのロール状の導電性材料前駆体を巻出から一連の処理工程を経て、巻取までの工程順を記している。ここで、図6中の現像とは(1)の銀塩拡散転写による現像処理、(2)の直接現像処理、(3)の硬化現像処理の3つの処理方法を現像として示した。(イ)は、上記(1)、(2)、(3)のいずれの方法における現像工程の後に後処理を行う方法である。後処理工程の後に定着或いは水洗除去、水洗、乾燥処理の工程順で処理を行う。図6(ロ)は、現像、定着或いは水洗除去工程の後に後処理を行う方法である。後処理工程の後は、後処理液の成分が導電性材料表面に析出してこないように水洗し、その後乾燥処理することが好ましい。図6(ハ)は、現像、定着或いは水洗除去、水洗工程の後に後処理を行う方法である。(ハ)の方法においても前記(ロ)の方法同様後処理工程の後には水洗、乾燥処理することが好ましい。図6(ニ)は、現像、定着或いは水洗除去、水洗、乾燥の後に後処理を行う方法である。(ニ)の方法においても前記(イ)、(ロ)、(ハ)の方法同様後処理工程の後には水洗、乾燥処理することが好ましい。
【0019】
ところで、大量生産を実現するためロールtoロールで処理するためには、上記の(イ)、(ロ)、(ハ)ような処理を連続的に行うと、搬送されている導電性材料はウエット状態で、後処理工程に入ることになり、後処理液の希釈による後処理液濃度管理負荷の増加、更には、後処理品質への悪影響を与える場合があり、上記(ニ)の方法が好適である。以降上記(ニ)の処理装置について、詳細に説明する。
【0020】
本発明の導電性材料の後処理方法の特徴は、導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点から水洗部水洗槽に浸入するまでの間は、現像処理で画像形成された銀画像面を非接触の状態で搬送し、処理する。ここで、銀画像面が非接触の状態で搬送するとは、ロール等の固定物に接触しないことを意味する。一般的に連続走行する支持体を搬送する場合、支持体表裏をロール等で接触して搬送する方が、装置的にも簡便であり、採用される傾向にある。しかし、接触式搬送ではメッシュパターンの線幅均一性が得られない。本発明において、銀画像面を非接触搬送することによって、導電性、保存安定性が高く、更に線幅を均一に保つことができる導電性材料が得られる。
【0021】
以下本発明の導電性材料の後処理装置の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の後処理装置の一例を示す概略断面図であり、導電性材料前駆体の処理装置に、本発明の後処理装置を適用した一例である。尚、図1は前述の(1)、(3)の現像処理方法に対応する導電性材料の処理装置である。図1の説明において、現像部100側を上流、乾燥部6側を下流とする。
【0023】
図1において、本発明の導電性材料の後処理装置は、ロール状の該導電性材料前駆体Eの巻出し部16と、該導電性材料前駆体Eを現像液110で現像処理する現像部100と、該導電性材料前駆体Eのハロゲン化銀乳剤層を除去するための水洗部101と、乾燥部102と、該導電性材料を浸漬して後処理する後処理部4と、該導電性材料を水洗処理するための水洗部5と、乾燥部6と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部18とを有する。
【0024】
図1の後処理装置において、予め露光された導電性材料前駆体ロール20は、巻出し軸2から巻出されて搬送されつつ、現像部100で所定時間の現像処理が行われ、水洗部101で不要なハロゲン化銀乳剤層等が除去され、乾燥部102で水分を乾燥し、後処理部4で還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物及び水溶性ハロゲン化物のいずれかの化合物を少なくとも一種類以上含有する処理液14で所定時間の後処理が行われ、水洗部5で水洗され、乾燥部6で水分を乾燥して、巻取り軸9に巻き取られる。その結果、支持体上に導電性、保存安定性が高く、更にその後に無電解めっき及び/または電解めっきを施した際に、線幅を均一に保つことができる導電性パターンが得られる。支持体として、プラスチック樹脂フィルムのような透明支持体を用いると透明導電性フィルムが得られる。また、必要に応じて乾燥後に保護フィルム等を貼り合わせる工程の貼り合わせ部が設けられる。
【0025】
図1において、ロール状の導電性材料前駆体ロール20は巻出し軸2に装着され、矢印の方向に連続的に巻出されて搬送される。ロール状の導電性材料前駆体ロール20はハロゲン化銀乳剤層を有する面が内巻に巻かれている。巻出し軸2には張力制御手段3、例えばパウダーブレーキが接続されていて、現像処理部100、水洗部101、乾燥部102における導電性材料前駆体Eに加えられる張力を制御している。張力制御手段3は、現像処理部100、水洗部101、乾燥部102における導電性材料前駆体Eの蛇行、シワ、たるみを抑制するために、導電性材料前駆体Eに40〜150N/mの範囲の張力を与えて、導電性材料前駆体Eの搬送速度、張力を制御して搬送している。
【0026】
ロール状の導電性材料前駆体ロール20から巻出された導電性材料前駆体Eが搬送されて現像槽109に入る前に、導電性材料前駆体Eは反転ローラー107で搬送方向が反転される。この反転ローラー107と後述の反転ローラー108によって、現像槽109中でハロゲン化銀乳剤層を有する面が非接触状態で搬送される。現像槽109は図1に示すように縦長で薄型の槽が好ましく、槽内下部に設けられている反転ローラー108で導電性材料前駆体Eの裏面を支持しながら搬送方向を反転させることによって、小さい設置スペースで現像時間(現像液に浸漬している時間)を得ることができる。
【0027】
現像槽109の容量は、導電性材料前駆体Eの幅寸法によっても異なるが、30〜130リットル程度が適当である。より好ましくは、50〜100リットルである。現像槽109には現像液110が所定の液面まで貯留されていて、現像処理によって消費された現像液は、図示しない補充装置により定期的に補充されている。現像槽109は、図示しない恒温装置で所定の温度範囲に調節されている。
【0028】
現像槽109から排出された導電性材料前駆体Eは、空中現像部111で引き続き現像され、水洗部101へ搬送される。水洗部101は、第1水洗槽103、第2水洗槽104、第3水洗槽105、リンス槽106を有する。水洗槽103、104、105、リンス槽106は、後述する各シャワーノズル114、117、120、123で連続搬送される導電性材料前駆体Eの表裏を洗浄するため、処理装置室内の湿度上昇、シャワー水滴飛散、また水滴付着による導電性材料前駆体Eの品質異常を防止するため、各槽内毎に図示しないカバーで覆われている。
【0029】
第1水洗槽103の入口には、エアナイフ112が設置されていて、シャワーノズル114から噴出する温水が、連続走行している導電性材料前駆体E上を伝って、空中現像部111に流れ込まないようにしている。尚、エアナイフと導電性材料前駆体Eとの距離を安定化させてエアナイフの効果を安定させるため、エアナイフ112の下にはローラー137を配置している。また、導電性材料前駆体Eの搬送レベルを安定させるため、水洗槽内にローラー138、139を配置している。ローラー137、138、139は導電性材料前駆体Eが搬送時にスリップせず、傷を付け難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0030】
第1水洗槽103中の導電性材料前駆体Eは、シャワーノズル114から噴出する温水により、第1水洗槽114内の導電性材料前駆体Eの全面に均一に散布するものであり、不要となったハロゲン化銀乳剤層及び必要に応じて設けられる中間層や保護層等が水洗除去されて、物理現像核に析出した金属銀が露出する。または硬化現像により得られた金属銀が露出する。第1水洗槽103の出口にも、エアナイフ113が設置され、シャワーノズル114から噴出する温水が第2水洗槽104に流れ込まないようにしている。導電性材料前駆体Eの裏面にもシャワーノズル114が設置されていて、裏塗層を水洗除去している。図中、第1水洗槽103に搬送される導電性材料前駆体Eの表裏に噴射するシャワーノズル114を各3本ずつ設置しているが、シャワー圧は図示しないバルブで各々調整可能となっている。
【0031】
次に、第2水洗槽104、第3水洗槽105も同様に入口と出口にエアナイフ115、116、118、119が各々設置されていて、隣の槽との水洗液の混合を防止して下流ほど水洗液の清浄度をあげる構造となっている。続いて、リンス槽106も入口にエアナイフ121が設置され、シャワーノズル123から噴出する新鮮なイオン交換処理された温水(以降、温純水という)が第3水洗槽105に流れ込まないようにしている。リンス槽106のシャワーノズル123から噴出する温純水により、第3水洗槽105までで除去しきれなかった不要部分を完全に除去し、導電性材料前駆体Eの表裏の清浄度を更に向上させている。リンス槽106の出口にはスポンジ状の柔らかいロール122が設置されていて、導電性材料前駆体に付着した水分が乾燥部102に持ち込まれないようにしている。以上のように、各水洗槽間の入口、出口にエアナイフを設けたことにより、各水洗槽毎で洗浄に使われた洗浄水を下流の清浄度の高い水洗槽に持ち込まないため、下流の水洗槽ほど洗浄効率の高い水洗が行われ、スラッジの付着が確実に防止され、商品価値の高い導電性材料が得られる。
【0032】
第1水洗槽103のシャワーノズル114から噴出した温水は、図示しない配管で第1水洗貯留槽124に貯留されて、循環ポンプ129によって、シャワーノズル114に循環供給される。第1水洗貯留槽124の容量は、20〜50リットル程度が適当である。温水の配管経路にはフィルター130が設置され、温水中に浮遊する銀スラッジ、ゴミ等の浮遊物を除去している。第1水洗貯留槽124には図示しないヒータが設置され、35〜45℃程度に温調されている。同様に第2水洗貯留槽125、第3水洗貯留槽126にも、循環ポンプ131、133、フィルター132、134が設置されていて、貯留槽の容量も同等の20〜50リットルで図示しないヒータも設置されていて、35〜45℃程度に温調されている。
【0033】
リンス槽106のシャワーノズル123から噴出した温純水は、図示しない配管でリンス貯留槽127に貯留されて、循環ポンプ135によって、シャワーノズル123に循環供給される。リンス貯留槽127の容量は、20〜50リットル程度が適当である。リンス貯留槽127には、循環ポンプ135、フィルター136、及び図示しないヒータが設置されていて、30〜40℃程度に温調されている。リンス貯留槽127には、図示しない温純水タンクからの補充供給口128が付設されていて、温純水が、1〜15リットル/分程度補充される。好ましくは、2〜5リットル/分である。
【0034】
リンス貯留槽127にはオーバーフロー液供給手段となるオーバーフロー液供給口93が付設されていて、温純水が所定量以上貯留されるとオーバーフローして、第3水洗貯留槽126に補充される。第3水洗貯留槽126にもオーバーフロー液供給口92が付設されていて、オーバーフローした温水は第2水洗貯留槽125に補充される。第2水洗貯留槽125にもオーバーフロー液供給口91が付設されていて、オーバーフローした温水は第1水洗貯留槽124に補充される。第1水洗貯留槽124にもオーバーフロー口90が付設されていて、オーバーフローした温水DWは廃液される。リンス貯留槽127にのみ新鮮な温純水による補充を行い、下流側ほど清浄度の高いオーバーフロー水を順次、下流側から上流側の各水洗槽に補充することにより、補充液の省液化を実現し、また各水洗槽間に設置したエアナイフで槽間混合していないことで、各水洗槽毎で洗浄に使われた洗浄水を下流の清浄度の高い水洗槽に持ち込まないため、下流の水洗槽ほど洗浄効率の高い水洗が行われ、スラッジの付着が確実に防止され、商品価値の高い導電性材料が得られる。
【0035】
上記水洗部101で導電性材料前駆体Eの表裏両面に十分な量の温水及び温純水を散布して、不要成分が完全に水洗除去された導電性材料Fは、乾燥部102で乾燥される。乾燥部6には吹き出しノズル152が上下に設置されていて、導電性材料Fの表裏に当たる温風により導電性材料Fを乾燥させる。乾燥温度は30℃以上であれば良いが、生産性の観点から40〜65℃が適当である。好ましくは、50〜60℃が適当である。導電性材料Fは、乾燥部102の後、ニップロール対153を経て、後処理部4に搬送される。このニップロール対153の前後で、現像部100、水洗部101、乾燥部102とその後工程となる後処理部4、水洗部5、乾燥部6との張力を分けて制御を行っている。
【0036】
ニップロール対153から搬送された導電性材料Fは、後処理槽13に入る前に、反転ローラー11で搬送方向が反転される。この反転ローラー11と後述の反転ローラー12によって、後処理槽中で銀画像面が非接触状態で搬送される。後処理槽13は図1に示すように縦長で薄型の槽が好ましく、槽内下部に設けられている反転ローラー12で導電性材料Fの裏面を支持しながら搬送方向を反転させることによって、小さい設置スペースで後処理時間(後処理液に浸漬している時間)を十分に得ることができる。
【0037】
後処理槽13の容量は、導電性材料Fの幅寸法によっても異なるが、30〜130リットル程度が適当である。より好ましくは、50〜100リットルである。後処理槽13には後処理液14が所定の液面まで貯留されていて、後処理によって消費された後処理液は、図示しない補充装置により定期的に補充されている。後処理槽13は、図示しない恒温装置で所定の温度範囲に調節されている。本発明において、導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点とは、図1においては後処理槽13の後処理液14に導電性材料Fが浸入した時点Aであり、導電性材料Fの銀画像面に反転ローラー11が後処理開始前に接触する最後のローラーである。また水洗部水洗槽に浸入するまでとは、導電性材料Fの銀画像面が処理部処理槽に浸入した時点Bであり、非接触で搬送されてから初めて銀画像面と接触するローラーは第1水洗槽21のローラー32である。
【0038】
本発明の導電性材料の後処理装置の特徴は、導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点から水洗部水洗槽に浸入するまでの間は、現像処理で画像形成された銀画像面は非接触の状態で搬送し、処理する。また、銀画像面が非接触の状態で搬送するとは、ロール等の固定物に接触しないことを意味する。銀画像面を非接触搬送することによって、導電性、保存安定性が高く、更にその後に無電解めっき及び/または電解めっきを施した際に、線幅を均一に保つことができる導電性材料が得られる。
【0039】
後処理槽13から上方に排出された導電性材料Fは、ローラー15から水平乃至略下向きに搬送されて、水洗部5へ送られる。水洗部5は、第1水洗槽21、第2水洗槽22を有する。水洗槽21、22は、水洗水27、28が貯留されていて、連続搬送される導電性材料Fの表裏に水洗水による浸漬処理にて洗浄される。各槽内水洗水27、28は図1に示すように、シャワーノズル23、24、25、26で循環されていることが好ましい。また、処理装置室内の湿度上昇、シャワー水滴飛散、また水滴付着による導電性材料Fの品質異常を防止するため、各槽内毎に図示しないカバーで覆われている。
【0040】
尚、ローラー15下部には、ローラー15表面の後処理液14による固着汚れ防止のため、ローラー洗浄タブ17が設置されていて、第2水洗槽22の水洗水28が一定量ずつ定期的に供給ポンプ46により供給され、図示しないオーバーフロー口より過剰水を排水している。
【0041】
第1水洗槽21の入口には、ローラー31がローラー15より低く設置されている。これはローラー15以後に搬送される導電性材料F上の後処理液14を滞留させず、例えば後処理液14が流れ落ちても後処理槽13へ向けさせるものである。尚、ローラー31下部は、ローラー表面の固着防止のため水洗槽液面より低く設置している。ローラー32、33は第1水洗槽に貯留した水洗水の中に設置されていて、導電性材料Fの銀画像面を接触して浸漬搬送させる。導電性材料Fの表裏に各々シャワーノズル23、24から噴出する第1水洗槽の循環する洗浄水が向けられている。第1水洗槽21のローラー31、32、33、34は、搬送時にスリップせず、傷を付難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0042】
第1水洗槽21中の導電性材料Fは、貯留した水洗水により、浸漬搬送して、洗浄される。これは第1水洗槽21内の導電性材料Fの表裏が後処理液の成分で結晶化されるのを防ぐものである。図中、第1水洗槽21に搬送される導電性材料Fの表裏に噴射するシャワーノズル23、24を各1本ずつ設置しているが、その数は特に限定されるものでなく、シャワー圧は図示しないバルブで各々調整可能となっている。
【0043】
第1水洗槽21の出口には、ローラー34が設置されている。ローラー34上部は水洗液の液切りのため、水洗槽液面より高く設置している。しかも、ローラー34下部はローラー表面の固着防止のため水洗槽液面に浸っている。ローラー34をローラー対で水洗水27を絞らないのは、ローラー対固着、ゴミ巻き込みによる導電性材料F表面の傷付き防止のためである。
【0044】
次に、第2水洗槽22の入口には、ローラー35が設置されている。ローラー35は、前のローラー34より、若干高く設置することが好ましい。これは第2水洗槽22の水洗水28が第1水洗槽21の水洗水27より清浄度を低下させないようにするためである。ローラー36、37は第2水洗槽22に貯留した水洗水28の中に設置されていて、導電性材料Fの銀画像面を接触して浸漬搬送させる。導電性材料Fの表裏に各々シャワーノズル25、26から噴出する第2水洗槽の循環する水洗水28が向けられている。第2水洗槽22のローラー35、36、37、38も、搬送時にスリップせず、傷を付難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0045】
第2水洗槽22のシャワーノズル29は、新鮮なイオン交換処理された水(以降、純水という)を導電性材料表面に直接噴出することにより、導電性材料Fの表面の清浄度を更に向上させながら、第2水洗槽22の水洗水28として補充される。純水は図示しないタンクから補充供給口29が付設されていて、純水を0.1〜10リットル/分程度補充する。好ましくは、0.15〜5リットル/分である。第2水洗槽22の出口にはスポンジ状の柔らかいローラー39が設置されていて、導電性材料Fに付着した水分が乾燥部6に持ち込まれないようにしている。
【0046】
第1水洗槽21のシャワーノズル23、24から噴出した水洗水27は、配管40と循環ポンプ42によって、シャワーノズル23、24に循環供給される。第1水洗槽21の容量は、10〜50リットル程度が適当である。水洗水の配管経路にはフィルター43が設置され、水洗水中に浮遊するゴミ等の浮遊物を除去している。第1水洗槽21の水洗水27は温度調整していない純水を使用する。同様に第2水洗槽22にも循環ポンプ44、フィルター45が設置されていて、第2水洗槽の容量は、20〜60リットル程度が適当で、温度調整していない純水を使用する。
【0047】
第2水洗槽22にはオーバーフロー口51が付設されていて、水洗水28が所定量以上貯留されるとオーバーフローして、第1水洗槽21に補充される。第1水洗槽21にもオーバーフロー口50が付設されていて、オーバーフローした水洗水Dは廃液される。第2水洗槽22にのみ新鮮な純水による補充を行い、清浄度の高いオーバーフロー水を下流から上流の第1水洗槽に補充することにより、補充液の省液化を実現し、各水洗槽間で洗浄に使われた洗浄水を下流の清浄度の高い水洗槽に持ち込み難くしたため、下流の水洗槽ほど洗浄効率の高い水洗が行われ、商品価値の高い導電性材料が得られる。
【0048】
上記水洗部5で導電性材料Fの表裏両面に付着した後処理液を十分に洗浄、水洗処理を行った後、導電性材料Fの表裏は乾燥部6で乾燥され、巻取り軸9でロール状に巻き取られる。乾燥部6には吹き出しノズル19が上下に設置されていて、導電性材料Fの表裏に当たる温風により導電性材料Fを乾燥させる。乾燥温度は30℃以上であれば良いが、生産性の観点から40〜65℃が適当である。好ましくは、50〜60℃が適当である。巻取り軸9には該軸を駆動回転できる張力制御手段10、例えばトルクモータが取り付けてある。張力は40〜150N/mの範囲が適当である。
【0049】
図2は本発明の別の実施態様であり、前述図6(ニ)における現像、定着或いは水洗除去、水洗、乾燥処理を一連の工程で実施した後、別工程としてロール状導電性材料を後処理する本発明の後処理装置の一例を示す概略断面図である。尚、本発明の図の説明において、後処理部4側を上流、乾燥部6側を下流とする。
【0050】
図2の本発明の導電性材料の処理装置は、ロール状の該導電性材料の巻出し部16と、該導電性材料を浸漬して後処理する後処理部4と、該導電性材料を水洗処理するための水洗部5と、乾燥部6と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部18とを有する。
【0051】
図2の後処理装置において、予め露光・現像処理された導電性材料ロール1は、巻出し軸2から巻出されて搬送されつつ、後処理部4で還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物及び水溶性ハロゲン化物のいずれかの化合物を少なくとも一種類以上含有する処理液14で所定時間の後処理が行われ、水洗部5で水洗され、乾燥部6で水分を乾燥して巻取り軸9に巻き取られる。その結果、支持体上に導電性と保存安定性が高く、更にその後に無電解めっき及び/または電解めっきを施した際に、線幅を均一に保つことができる導電性パターンが得られる。支持体として、プラスチック樹脂フィルムのような透明支持体を用いると透明導電性フィルムが得られる。また、必要に応じて乾燥後に保護フィルム等を貼り合わせる工程の貼り合わせ部が設けられる。
【0052】
図2において、ロール状の導電性材料ロール1は巻出し軸2に装着され、矢印の方向に連続的に巻出されて搬送される。ロール状の導電性材料ロール1は銀画像面が内巻に巻かれている。巻出し軸2には張力制御手段3、例えばパウダーブレーキが接続されていて、後処理部4、水洗部5、乾燥部6における導電性材料Fに加えられる張力を制御している。張力制御手段3は、後処理部4、水洗部5、乾燥部6における導電性材料Fの蛇行、シワ、たるみを抑制するために、導電性材料Fに40〜150N/mの範囲の張力を与えて、導電性材料Fの搬送速度、張力を制御して搬送している。
【0053】
ロール状の導電性材料ロール1から巻出された導電性材料Fが搬送されて後処理槽13に入る前に、導電性材料Fは反転ローラー11で搬送方向が反転される。この反転ローラー11と後述の反転ローラー12によって、後処理槽中で銀画像面が非接触状態で搬送される。後処理槽13は図2に示すように縦長で薄型の槽が好ましく、槽内下部に設けられている反転ローラー12で導電性材料Fの裏面を支持しながら搬送方向を反転させることによって、小さい設置スペースで後処理時間(後処理液に浸漬している時間)を十分に得ることができる。
【0054】
後処理槽13の容量は、導電性材料Fの幅寸法によっても異なるが、30〜130リットル程度が適当である。より好ましくは、50〜100リットルである。後処理槽13には後処理液14が所定の液面まで貯留されていて、後処理によって消費された後処理液は、図示しない補充装置により定期的に補充されている。後処理槽13は、図示しない恒温装置で所定の温度範囲に調節されている。本発明において前述の図1の導電性材料の処理装置と同様、導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点とは、図2における後処理槽13の後処理液14に導電性材料Fが浸入した時点Aであり、導電性材料Fの銀画像面に反転ローラー11が後処理開始前に接触する最後のローラーである。また水洗部水洗槽に浸入するまでとは、導電性材料Fの銀画像面が処理部処理槽に浸入した時点Bであり、非接触で搬送されてから初めて銀画像面と接触するローラーは第1水洗槽21のローラー32である。
【0055】
本発明の導電性材料の後処理装置の特徴は、導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点から水洗部水洗槽に浸入するまでの間は、現像処理で画像形成された銀画像面は非接触の状態で搬送し、処理する。また、銀画像面が非接触の状態で搬送するとは、ロール等の固定物に接触しないことを意味する。銀画像面を非接触搬送することによって、導電性、保存安定性が高く、更にその後に無電解めっき及び/または電解めっきを施した際に、線幅を均一に保つことができる導電性材料が得られる。
【0056】
後処理槽13から上方に排出された導電性材料Fは、ローラー15から水平乃至略下向きに搬送されて、水洗部5へ送られる。水洗部5は、第1水洗槽21、第2水洗槽22を有する。水洗槽21、22は、水洗水27、28が貯留されていて、連続搬送される導電性材料Fの表裏に水洗水による浸漬処理にて洗浄される。各槽内水洗水27、28は図2に示すように、シャワーノズル23、24、25、26で循環されていることが好ましい。また、処理装置室内の湿度上昇、シャワー水滴飛散、また水滴付着による導電性材料Fの品質異常を防止するため、各槽内毎に図示しないカバーで覆われている。
【0057】
尚、ローラー15下部には、ローラー15表面の後処理液14による固着汚れ防止のため、ローラー洗浄タブ17が設置されていて、第2水洗槽22の水洗水28が一定量ずつ定期的に供給ポンプ46により供給され、図示しないオーバーフロー口より過剰水を排水している。
【0058】
第1水洗槽21の入口には、ローラー31がローラー15より低く設置されている。これはローラー15以後に搬送される導電性材料F上の後処理液14を滞留させず、例えば後処理液14が流れ落ちても後処理槽13へ向けさせるものである。尚、ローラー31下部は、ローラー表面の固着防止のため水洗槽液面より低く設置している。ローラー32、33は第1水洗槽に貯留した水洗水の中に設置されていて、導電性材料Fの銀画像面を接触して浸漬搬送させる。導電性材料Fの表裏に各々シャワーノズル23、24から噴出する第1水洗槽の循環する洗浄水が向けられている。第1水洗槽21のローラー31、32、33、34は、搬送時にスリップせず、傷を付難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0059】
第1水洗槽21中の導電性材料Fは、貯留した水洗水により、浸漬搬送して、洗浄される。これは第1水洗槽21内の導電性材料Fの表裏が後処理液の成分で結晶化されるのを防ぐものである。図中、第1水洗槽21に搬送される導電性材料Fの表裏に噴射するシャワーノズル23、24を各1本ずつ設置しているが、その数は特に限定されるものでなく、シャワー圧は図示しないバルブで各々調整可能となっている。
【0060】
第1水洗槽21の出口には、ローラー34が設置されている。ローラー34上部は水洗液の液切りのため、水洗槽液面より高く設置している。しかも、ローラー34下部はローラー表面の固着防止のため水洗槽液面に浸っている。ローラー34をローラー対で水洗水27を絞らないのは、ローラー対固着、ゴミ巻き込みによる導電性材料F表面の傷付き防止のためである。
【0061】
次に、第2水洗槽22の入口には、ローラー35が設置されている。ローラー35は、前のローラー34より、若干高く設置することが好ましい。これは第2水洗槽22の水洗水28が第1水洗槽21の水洗水27より清浄度を低下させないようにするためである。ローラー36、37は第2水洗槽22に貯留した水洗水28の中に設置されていて、導電性材料Fの銀画像面を接触して浸漬搬送させる。導電性材料Fの表裏に各々シャワーノズル25、26から噴出する第2水洗槽の循環する水洗水28が向けられている。第2水洗槽22のローラー35、36、37、38も、搬送時にスリップせず、傷を付難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0062】
第2水洗槽22のシャワーノズル29は、純水を導電性材料表面に直接噴出することにより、導電性材料Fの表面の清浄度を更に向上させながら、第2水洗槽22の水洗水28として補充される。純水は図示しないタンクから補充供給口29が付設されていて、純水を0.1〜10リットル/分程度補充する。好ましくは、0.15〜5リットル/分である。第2水洗槽22の出口にはスポンジ状の柔らかいローラー39が設置されていて、導電性材料Fに付着した水分が乾燥部6に持ち込まれないようにしている。
【0063】
第1水洗槽21のシャワーノズル23、24から噴出した水洗水27は、配管40と循環ポンプ42によって、シャワーノズル23、24に循環供給される。第1水洗槽21の容量は、10〜50リットル程度が適当である。水洗水の配管経路にはフィルター43が設置され、水洗水中に浮遊するゴミ等の浮遊物を除去している。第1水洗槽21の水洗水27は温度調整していない純水を使用する。同様に第2水洗槽22にも循環ポンプ44、フィルター45が設置されていて、第2水洗槽の容量は、20〜60リットル程度が適当で、温度調整していない純水を使用する。
【0064】
第2水洗槽22にはオーバーフロー口51が付設されていて、水洗水28が所定量以上貯留されるとオーバーフローして、第1水洗槽21に補充される。第1水洗槽21にもオーバーフロー口50が付設されていて、オーバーフローした水洗水Dは廃液される。第2水洗槽22にのみ新鮮な純水による補充を行い、清浄度の高いオーバーフロー水を下流から上流の第1水洗槽に補充することにより、補充液の省液化を実現し、各水洗槽間で洗浄に使われた洗浄水を下流の清浄度の高い水洗槽に持ち込み難くしたため、下流の水洗槽ほど洗浄効率の高い水洗が行われ、商品価値の高い導電性材料が得られる。
【0065】
上記水洗部5で導電性材料Fの表裏両面に付着した後処理液を十分に洗浄、水洗処理を行った後、導電性材料Fの表裏は乾燥部6で乾燥され、巻取り軸9でロール状に巻き取られる。乾燥部6には吹き出しノズル19が上下に設置されていて、導電性材料Fの表裏に当たる温風により導電性材料Fを乾燥させる。乾燥温度は30℃以上であれば良いが、生産性の観点から40〜65℃が適当である。好ましくは、50〜60℃が適当である。巻取り軸9には該軸を駆動回転できる張力制御手段10、例えばトルクモータが取り付けてある。張力は40〜150N/mの範囲が適当である。
【0066】
次に、本発明の別の実施態様である導電性材料の後処理装置について、図面を用いて詳細に説明する。図3は本発明の後処理装置の概略断面図である。尚、本発明の図の説明において、後処理部側を上流、乾燥部側を下流とする。
【0067】
図3は本発明の導電性材料の後処理装置で、ロール状の該導電性材料の巻出し部16と、該導電性材料をシャワーノズルで後処理する後処理部4と、該導電性材料を水洗処理するための水洗部5と、乾燥部6と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部18とを有する。
【0068】
図3の後処理装置において、予め露光・現像処理された導電性材料ロール1は、巻出し軸2から巻出されて搬送されつつ、後処理部4で所定時間の後処理が行われ、水洗部5で水洗され、乾燥部6で水分を乾燥して巻取り軸9に巻き取られる。その結果、支持体上に導電性、保存安定性が高く、更にその後に無電解めっき及び/または電解めっきを施した際に、線幅を均一に保つことができる導電性パターンが得られる。支持体として、プラスチック樹脂フィルムのような透明支持体を用いると透明導電性フィルムが得られる。また、必要に応じて乾燥後に保護フィルム等を貼り合わせる工程の貼り合わせ部が設けられる。
【0069】
図3において、ロール状の導電性材料ロール1は巻出し軸2に装着され、矢印の方向に連続的に巻出されて搬送される。ロール状の導電性材料ロール1は銀画像面が内巻に巻かれている。巻出し軸2には張力制御手段3、例えばパウダーブレーキが接続されていて、後処理部4、水洗部5、乾燥部6における導電性材料Fに加えられる張力を制御している。張力制御手段3は、後処理部4、水洗部5、乾燥部6における導電性材料Fの蛇行、シワ、たるみを抑制するために、導電性材料Fに40〜150N/mの範囲の張力を与えて、導電性材料Fの搬送速度、張力を制御して搬送している。
【0070】
ロール状の導電性材料ロール1から巻出された導電性材料Fが搬送されて、ローラー15により水平搬送され、後処理槽20に入る。後処理槽20は、後述するシャワーノズル61から噴出する後処理液14により、連続搬送される導電性材料Fの表面を後処理する。処理装置室内の湿度上昇、シャワー水滴飛散、また水滴付着による導電性材料Fの品質異常を防止するため、後処理槽20は図示しないカバーで覆われている。
【0071】
後処理槽20の入口には、エアナイフ63が設置されていて、シャワーノズル61から噴出する後処理液14が、連続走行している導電性材料F上を伝って、ローラー15付近に流れ込まないようにしている。尚、エアナイフと導電性材料Fとの距離を安定化させてエアナイフの効果を安定させるため、エアナイフ63の下にはローラー64を配置している。また、導電性材料Fの搬送レベルを安定させるため、後処理槽20内にローラー65、66、67、68、69、70を配置している。ローラー64、65、66、67、68、69、70は導電性材料Fが搬送時にスリップせず、傷を付難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0072】
後処理槽20中の導電性材料Fは、シャワーノズル61から噴出する後処理液14により、後処理槽20内の導電性材料Fの全面に均一に散布するものである。後処理槽20の出口にも、エアナイフ71が設置され、シャワーノズル61から噴出する後処理液14が次工程の水洗部5に流れ込まないようにしている。図中、後処理槽20に搬送される導電性材料Fの表面に噴射するシャワーノズル61を6本設置しているが、その数は特に限定されるものでなく、シャワー圧は図示しないバルブで各々調整可能となっている。
【0073】
後処理槽20のシャワーノズル61から噴出した後処理液14は、図示しない配管で後処理液貯留槽72に貯留されて、循環ポンプ73によって、シャワーノズル61に循環供給される。後処理液貯留槽72の容量は、導電性材料Fの幅寸法によっても異なるが、20〜130リットル程度が適当である。後処理液の配管経路にはフィルター74が設置され、後処理液中に浮遊するゴミ等の浮遊物を除去している。後処理液貯留槽72には図示しないヒータが設置され、所定の温度に調節されていて、図示しない液面センサーにより液面制御を行い、液面が低下すると配管75より後処理液14が補充され、液面がレベルを越えるとオーバーフロー口76を通じて廃液Wされる。
【0074】
図3において、導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点とは、後処理槽20の後処理液14に導電性材料Fが浸入した時点Aであり、導電性材料Fの銀画像面に反転ローラー11が後処理開始前に接触する最後のローラーである。また水洗部水洗槽に浸入するまでとは、導電性材料Fの銀画像面が処理部処理槽に浸入した時点Bであり、非接触で搬送されてから初めて銀画像面と接触するローラーは第1水洗槽21のローラー32である。
【0075】
本発明の導電性材料の後処理装置の特徴は、少なくとも後処理の間は、現像処理で画像形成された銀画像面は非接触の状態で搬送し、処理する。また、銀画像面が非接触の状態で搬送するとは、ロール等の固定物に接触しないことを意味する。銀画像面を非接触搬送することによって、導電性共、保存安定性が高く、更にその後に無電解めっき及び/または電解めっきを施した際に、線幅を均一に保つことができる導電性材料が得られる。
【0076】
後処理槽20から排出された導電性材料Fは、水洗部5へ送られる。水洗部5は、第1水洗槽21、第2水洗槽22を有する。水洗槽21、22は、水洗水27、28が貯留されていて、連続搬送される導電性材料Fの表裏に水洗水による浸漬処理にて洗浄される。各槽内水洗水27、28はシャワーノズル23、24、25、26で循環されている。また、処理装置室内の湿度上昇、シャワー水滴飛散、また水滴付着による導電性材料Fの品質異常を防止するため、各槽内毎に図示しないカバーで覆われている。
【0077】
第1水洗槽21の入口には、ローラー31がローラー70と水平に設置されている。尚、ローラー31下部はローラー表面の固着防止のため水洗槽液面より低く設置している。ローラー32、33は第1水洗槽に貯留した水洗水の中に設置されていて、導電性材料Fの銀画像面を接触して浸漬搬送させる。導電性材料Fの表裏に各々シャワーノズル23、24から噴出する第1水洗槽の循環する洗浄水が向けられている。第1水洗槽21のローラー31、32、33、34は、搬送時にスリップせず、傷を付難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0078】
第1水洗槽21中の導電性材料Fは、貯留した水洗水により、浸漬搬送して、洗浄され、第1水洗槽21内の導電性材料Fの表裏が後処理液の成分で結晶化されるのを防ぐものである。図中、第1水洗槽21に搬送される導電性材料Fの表裏に噴射するシャワーノズル23、24を各1本ずつ設置しているが、その数は特に限定されるものではなく、シャワー圧は図示しないバルブで各々調整可能となっている。
【0079】
第1水洗槽21の出口には、ローラー34が設置されている。ローラー34上部は水洗液の液切りのため、水洗槽液面より高く設置している。尚、ローラー34下部はローラー表面の固着防止のため水洗槽液面に浸っている。ローラー34をローラー対で水洗水27を絞らないのは、ローラー対固着、ゴミ巻き込みによる導電性材料F表面の傷付き防止のためである。
【0080】
次に、第2水洗槽22の入口には、ローラー35が設置されている。ローラー35は、前のローラー34より、若干高く設置することが好ましい。これは第2水洗槽22の水洗水28が第1水洗槽21の水洗水27より清浄度を低下させないようにするためである。ローラー36、37は第2水洗槽22に貯留した水洗水28の中に設置されていて、導電性材料Fの銀画像面を接触して浸漬搬送させる。導電性材料Fの表裏に各々シャワーノズル25、26から噴出する第2水洗槽の循環する水洗水28が向けられている。第2水洗槽22のローラー35、36、37、38も、搬送時にスリップせず、傷を付難いゴムローラーが好ましい。ゴムの材質としては、ニトリルゴム(NBR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が用いられる。
【0081】
第2水洗槽22のシャワーノズル29は、純水を導電性材料表面に直接噴出することにより、導電性材料Fの表面の清浄度を更に向上させながら、第2水洗槽22の水洗水28として補充される。純水は図示しないタンクから補充供給口29が付設されていて、純水を0.1〜10リットル/分程度補充する。好ましくは、0.15〜5リットル/分である。第2水洗槽22の出口にはスポンジ状の柔らかいローラー39が設置されていて、導電性材料Fに付着した水分が乾燥部6に持ち込まれないようにしている。
【0082】
第1水洗槽21のシャワーノズル23、24から噴出した水洗水27は、配管40で循環ポンプ42によって、シャワーノズル23、24に循環供給される。第1水洗槽21の容量は、10〜50リットル程度が適当である。水洗水の配管経路にはフィルター43が設置され、水洗水中に浮遊するゴミ等の浮遊物を除去している。第1水洗槽21の水洗水27は温度調整していない純水を使用する。同様に第2水洗槽22にも循環ポンプ44、フィルター45が設置されていて、第2水洗槽の容量は、20〜60リットル程度が適当で、温度調整していない純水を使用する。
【0083】
第2水洗槽22にはオーバーフロー口51が付設されていて、水洗水28が所定量以上貯留されるとオーバーフローして、第1水洗槽21に補充される。第1水洗槽21にもオーバーフロー口50が付設されていて、オーバーフローした水洗水Dは廃液される。第2水洗槽22にのみ新鮮な純水による補充を行い、清浄度の高いオーバーフロー水を下流側から上流側の第1水洗槽に補充することにより、補充液の省液化を実現し、各水洗槽間で洗浄に使われた洗浄水を下流側の清浄度の高い水洗槽に持ち込み難くしたため、下流側の水洗槽ほど洗浄効率の高い水洗が行われ、商品価値の高い導電性材料が得られる。
【0084】
上記水洗部5で導電性材料Fの表裏両面に付着した後処理液を十分に洗浄、水洗処理を行った後、導電性材料Fの表裏は乾燥部6で乾燥され、巻取り軸9でロール状に巻き取られる。乾燥部6には吹き出しノズル19が上下に設置されていて、導電性材料Fの表裏に当たる温風により導電性材料Fを乾燥させる。乾燥温度は30℃以上であれば良いが、生産性の観点から40〜65℃が適当である。好ましくは、50〜60℃が適当である。巻取り軸9には該軸を駆動回転できる張力制御手段10、例えばトルクモータが取り付けてある。張力は40〜150N/mの範囲が適当である。
【0085】
本発明の後処理液は(I)還元性物質、(II)水溶性リンオキソ酸化合物、(III)水溶性ハロゲン化物のいずれかを含有する。本発明の後処理液に用いる還元性物質としては、写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。これらはResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)308119(1989年12月)に記載、或いは引用された文献に記載されている。具体的には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノスルホン酸カリウム、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン等のアミノフェノール類、パラフェニレンジアミン等のポリアミノベンゼン類、ヒドロキシルアミン類等が挙げられる。これらの中でも水溶性が高く、有害性の少ないアスコルビン酸が好ましい。これら還元性物質は少なくとも1質量%以上、好ましくは5〜30質量%の水溶液として用いることが好ましい。
【0086】
本発明において水溶性リンオキソ酸化合物としてはリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ヘキサメタリン酸などのリンオキソ酸、及びその塩類があり、またそれらリンオキソ酸のエステル化合物がある。水溶性リンオキソ酸化合物とは25℃における水に対する溶解度は少なくとも0.1質量%以上であれば何でも使用できる。これら水溶性リンオキソ酸化合物の具体例としてはリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二ナトリウム等のリン酸塩、次亜リン酸ナトリウムなどの次亜リン酸塩、ピロリン酸二水素二ナトリウムなどのピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩など各種公知の水溶性リンオキソ酸化合物やポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、アルキルリン酸塩等、各種リン酸エステル類などの水溶性リンオキソ酸化合物のエステルを用いることができる。この中では無機の水溶性リンオキソ酸化合物、リン酸塩類が好ましい。これら水溶性リンオキソ酸化合物は少なくとも5質量%以上、好ましくは10〜30質量%の水溶液として用いることが好ましい。
【0087】
本発明において水溶性ハロゲン化物として用いるハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれでも良く、25℃における水に対する溶解度が少なくとも0.1質量%以上ある化合物であって、水溶液中でハロゲン化物イオンを放出しうる化合物であればいずれでも使用できる。本発明の後処理液に用いる水溶性ハロゲン化物としては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸などの水素酸や、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化ルビジウムなどの塩化物、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウムなどの臭化物、ヨウ化ナトリウムなどのヨウ化物、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムなどのフッ化物等の各種無機ハロゲン化物や、ジメチルアミン塩酸塩やトリメチルアミン臭酸塩などのアミン塩類、塩化ベンザルコニウム、アルキルピリジニウム塩酸塩、イミダゾリニウム塩酸塩、ポリアリルアミン塩酸塩やジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物などが挙げられる。この中で好ましいのは水溶液中で塩化物イオンを放出しうる化合物で、中でも塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの水溶性無機塩化物が好ましい。これら水溶性ハロゲン化物は少なくとも1質量%以上、好ましくは5〜30質量%の水溶液として用いることが好ましい。
【0088】
本発明に用いる後処理液の成分としての還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化物は単独で用いても良いし、或いは例えば還元性物質と別の還元性物質のように同種の成分の複数を混合させて使用しても良く、或いは還元性物質と水溶性ハロゲン化物など別の種類の成分を混合させて用いても良い。この中でも後処理液の効率が高く、また後処理液の保存安定性や処理安定性の高い水溶性ハロゲン化物を用いることが最も好ましい。後処理の温度としては高い方が好ましいが、導電性材料の支持体として用いる物質のTg(ガラス転移温度)以下で用いないと処理中に導電性材料が伸びたり切れたりするのでTg以下の温度で処理する。好ましい処理温度としては水溶性ハロゲン化物を用いる場合には30℃以上、他の物質を用いる場合でも40℃以上、いずれの物質でも更に好ましくは50〜70℃、更に好ましくは60〜70℃で処理する。処理時間は後処理の成分にもよるが、10秒以上、好ましくは30秒〜3分処理する。
【0089】
本発明の後処理液のpHは10以下、好ましくは4〜9である。特に還元性物質を後処理液の成分として用いる場合にはpHが高いと後処理液中の還元性物質が酸化しやすくなり、後処理液の保存安定性が悪くなるので還元性物質を含有する後処理液ではpHは8以下であることが好ましい。好ましいpHに調整するため後処理液には公知のpH緩衝剤を用いることができる。本発明に用いる後処理液にはそれら以外にも公知の界面活性剤、消泡剤、防腐剤などを含有させることもできる。
【0090】
次に本発明の導電性材料について説明する。前述の通り本発明の導電性材料前駆体を現像処理する方法としては(1)銀塩拡散転写法に従う現像処理、(2)直接現像後に定着する現像処理(3)硬化現像法に従う現像処理の3つの方法を用いることができる。以下、本発明における(1)の現像処理方法を用いる導電性材料をタイプ1、(2)の現像処理方法を用いる導電性材料をタイプ2、(3)の現像処理方法を用いる導電性材料をタイプ3と略して、順に説明する。
【0091】
<タイプ1>
ハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体を露光し、次に未露光部である画像部のハロゲン化銀粒子を可溶性銀錯塩形成剤で溶解して可溶性銀錯塩として溶解させ、物理現像核上まで拡散してきた可溶性銀錯塩をハイドロキノン等の還元剤(現像主薬)で還元して金属銀を析出させて画像を形成する。その後水洗除去して、ハロゲン化銀乳剤層などを洗い流し、基板上に像様に銀画像の付いたパターンを形成する。
【0092】
導電性材料前駆体は支持体上に少なくとも物理現像核層、ハロゲン化銀乳剤層を支持体に近い方からこの順で有する。更に、非感光性層を支持体から最も遠い最外層及びまたは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との間に中間層を有しても良い。これらの非感光性層は、水溶性高分子を主たるバインダーとする層である。ここでいう水溶性高分子とは、現像液で容易に膨潤し、下層のハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層まで現像液を容易に浸透させるものであれば任意のものが選択できる。
【0093】
具体的には、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール、等を用いることができる。特に好ましい水溶性高分子は、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。本発明の効果を十分に得るためには、この非感光性層のバインダー量としては、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量に対して20質量%〜100質量%の範囲が好ましく、特に30質量%〜80質量%が好ましい。
【0094】
これら非感光性層には、必要に応じてResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような公知の写真用添加剤を含有させることができる。また、処理後のハロゲン化銀乳剤層の剥離を妨げない限りにおいて、架橋剤により硬膜させることも可能である。
【0095】
タイプ1の導電性材料前駆体における物理現像核層の物理現像核としては、重金属或いはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属硫化物等が挙げられるが、銀コロイド及び硫化パラジウム核が好ましい。これらの物理現像核の微粒子層は、真空蒸着法、カソードスパッタリング法、コーティング法によってプラスチック樹脂フィルム上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で0.1〜10mg/m2程度が適当である。
【0096】
物理現像核層には、親水性バインダーを含有しても良い。親水性バインダー量は物理現像核に対して10〜500質量%程度が好ましい。親水性バインダーとしては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種澱粉、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。好ましい親水性バインダーは、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。
【0097】
物理現像核層には、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々タンパク質の架橋剤(硬膜剤)の一種若しくは二種以上を含有することは好ましい。これらの架橋剤の中でも、好ましくは、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤は、グルタルアルデヒドである。架橋剤は、下記ベース層及び物理現像核層に含まれる合計のタンパク質に対して0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましく、特に1〜20質量%が好ましい。
【0098】
タイプ1の導電性材料前駆体においては、物理現像核層と透明支持体の間にタンパク質とラテックスからなるベース層を有することが好ましい。透明支持体とベース層の間には、更に塩化ビニリデンやポリウレタン等の易接着層を有することは好ましい。ベース層に用いられるタンパク質としては、ゼラチン、アルブミン、カゼイン或いはこれらの混合物が好ましく用いられる。ベース層におけるタンパク質の含有量は10〜300mg/m2が好ましい。またベース層に用いられるラテックスの含有量は0.2〜1.3g/m2が好ましい。
【0099】
物理現像核層やベース層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。
【0100】
タイプ1の導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が設けられる。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、そのまま用いることもできる。
【0101】
ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)で記載されていような公知の手法を用いることができる。なかでも同時混合法の一種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化物であることが特に好ましい。
【0102】
ハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成或いは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、或いはロジウム塩若しくはその錯塩、イリジウム塩若しくはその錯塩などVIII族金属元素の塩若しくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、或いは組み合わせて用いることができる。また本発明においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる。
【0103】
また、ハロゲン化銀乳剤層は水溶性高分子をバインダーとする層であり、ここでいう水溶性高分子とは前述の非感光性層の水溶性高分子と同義であり、好ましくはゼラチンである。ハロゲン化銀乳剤層に含有するハロゲン化銀量とゼラチン量の比率は、ハロゲン化銀(銀換算)とゼラチンとの質量比(銀/ゼラチン)が1.2以上、より好ましくは1.5以上である。
【0104】
ハロゲン化銀乳剤層には、更に種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、或いは引用された文献に記載されている。
【0105】
タイプ1の導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料または顔料を、画質向上のためのハレーション、或いはイラジエーション防止剤として用いることは好ましい。ハレーション防止剤としては、好ましくは上記したベース層或いは物理現像核層、或いは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に必要に応じて設けられる中間層、または支持体を挟んで設けられる裏塗層に含有させることができる。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に含有させるのが良い。添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、例えばハレーション防止剤として裏塗層に含有させる場合、約20mg/m2〜約1g/m2の範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における光学濃度として、0.5g/m2以上である。
【0106】
タイプ1の導電性材料前駆体に用いられる透明支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、ガラス板などが挙げられる。
【0107】
上記タイプ1の導電性材料前駆体を用い、透明導電性フィルムを作製するための方法は、例えば網目状パターンの銀薄膜の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は網目状パターンに露光されるが、露光方法として、網目状パターンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、或いは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。上記したレーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードともいう)を用いることができる。
【0108】
網目状パターンのような任意の形状パターンの透過原稿と上記前駆体を密着して露光、或いは、任意の形状パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記前駆体に走査露光した後、銀塩拡散転写現像液で処理することにより物理現像が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して形状パターンの銀薄膜を得ることができる。一方、露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、不要になったハロゲン化銀乳剤層及び中間層、保護層は水洗除去されて、形状パターンの銀薄膜が表面に露出する。
【0109】
現像処理後のハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去或いは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、剥離紙等で転写剥離する方法は、ハロゲン化銀乳剤層上の余分なアルカリ液(銀錯塩拡散転写用現像液)を予めローラー等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、或いは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
【0110】
次に、銀塩拡散転写現像の現像液について説明する。現像液は、可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤を含有するアルカリ液である。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物である。
【0111】
現像液に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、USP5,200,294号明細書に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
【0112】
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中でも特に、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンを含有した処理液で現像を行った透明導電性フィルムの表面抵抗は比較的低い値が得られる。
【0113】
アルカノールアミンとしては、例えばN−アミノエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0114】
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
【0115】
現像液に用いられる還元剤は、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
【0116】
可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1リットル当たり、0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は現像液1リットル当たり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。
【0117】
現像液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤、リン酸、炭酸などの緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、本発明の現像液には、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
【0118】
<タイプ2>
直接現像処理を行う方法である。例えばネガ乳剤を用いる場合、像様に光センサーのハロゲン化銀粒子を露光することで潜像を形成し、潜像を触媒として現像液中のハイドロキノンなどの還元剤でハロゲン化銀を還元、金属銀を形成する。その後定着処理により未感光部のハロゲン化銀を除去し、基板上に像様のバインダーに保持された銀粒子からなるパターンを形成する。
【0119】
タイプ2の導電性材料前駆体に用いられる透明支持体としては、タイプ1の導電性材料前駆体で説明したような素材、性能のものを用いることができる。
【0120】
タイプ2の導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が支持体上に設けられるが、ハロゲン化銀乳剤層のハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであっても良く、これらを組み合わせても良い。ハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の方法が用いられる。なかでもコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。
【0121】
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(六角平板状、三角形平板状、四角形平板状など)、八面体状、十四面体状など様々な形状であることができる。
【0122】
ハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成或いは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、或いはロジウム塩若しくはその錯塩、イリジウム塩若しくはその錯塩などVIII族金属元素の塩若しくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、或いは組み合わせて用いることができる。また本発明においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる。
【0123】
ハロゲン化銀乳剤層はバインダーを含有する。バインダーとして非水溶性高分子及び水溶性高分子のいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性高分子を用いることが好ましい。好ましい水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。
【0124】
ハロゲン化銀乳剤層には上記水溶性高分子の他に非水溶性高分子としての高分子ラテックスを用いることもできる。高分子ラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・p−メトキシスチレン共重合体、スチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン共重合体、メチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルアクリレート・ブタジエン共重合体、メチルアクリレート・スチレン共重合体、メチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸・ブチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート・塩化ビニル共重合体、ブチルアクリレート・スチレン共重合体等がある。ハロゲン化銀乳剤層に用いられる高分子ラテックスの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。
【0125】
高分子ラテックスはその使用量が多過ぎると塗布性に悪影響を及ぼすため、水溶性高分子との質量比(高分子ラテックス/水溶性高分子)が1.0以下で用いることが好ましい。また、ハロゲン化銀乳剤層に含有する高分子ラテックスと水溶性高分子の総量、すなわち総バインダー量については、バインダー量が少ないと塗布性に悪影響を及ぼし、また安定したハロゲン化銀粒子も得られなくなる、一方、多過ぎると多量にめっきをしないと導電性が得られなくなり、生産性を落としてしまうなど、品質に大きな影響を与える。好ましいハロゲン化銀(銀換算)と総バインダーとの質量比(銀/総バインダー)は1.2以上、より好ましくは1.5〜3.5である。
【0126】
タイプ2に用いる導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層は硬膜剤により、硬膜されることが好ましい。硬膜剤としては例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルマリン、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等やその他にもResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)及び18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような物質を用いることができる。また硬膜剤は一種若しくは二種以上混合させて用いることもできる。硬膜剤は、ハロゲン化銀乳剤層に含有されるバインダーに対して0.1〜10質量%を含有させるのが好ましく、特に0.5〜8質量%が好ましい。
【0127】
ハロゲン化銀乳剤層には、更に種々の目的のために、タイプ1同様の公知の写真用添加剤を用いることができる。
【0128】
タイプ2の導電性材料前駆体には必要に応じて支持体のハロゲン化銀乳剤層と反対面に裏塗層やハロゲン化銀乳剤層の上にオーバー層などを設けることができる。またタイプ2の導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料または顔料を、タイプ1の導電性材前駆体で説明したものと同様の目的、方法で含有することができる。
【0129】
上記タイプ2の導電性材料前駆体を用い、透明導電性材料を作製するための方法は、例えば網目状パターンの銀薄膜の形成が挙げられるが、これは、タイプ1の銀塩拡散転写現像で説明した方法で露光することができる。
【0130】
本発明におけるタイプ2の導電性材料の製造に用いる現像液は、基本組成として現像主薬、保恒剤、アルカリ剤、カブリ防止剤からなる。現像主薬としては具体的にハイドロキノン、アスコルビン酸、パラアミノフェノール、パラフェニレンジアミン、フェニドン等が挙げられる。これらの一部は導電性材料前駆体に含有させても良い。保恒剤としては、亜硫酸イオンなどがある。アルカリ剤は、現像主薬の還元性を発揮するために必要であり、現像液のpHを9以上、好ましくは10以上になるように添加される。また安定に塩基性を保つための、炭酸塩やリン酸塩のような緩衝剤も用いられる。更に現像核を持たないハロゲン化銀粒子が還元されないように加えられるカブリ防止剤としては、臭化物イオン、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールなどが挙げられる。
【0131】
更に本発明におけるタイプ2の導電性材料の製造に用いる現像液として可溶性銀錯塩形成剤を含有させることが高い導電性を得る上で好ましい。可溶性銀錯塩形成剤としては。具体的にはチオ硫酸アンモニウムやチオ硫酸ナトリウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、1,10−ジチア−18−クラウン−6、2,2’−チオジエタノールなどのチオエーテル類、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
【0132】
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中で特にアルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしては、例えばジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0133】
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。また可溶性銀錯塩形成剤の使用量としては0.1〜40g/リットル、好ましくは1〜20g/リットルである。現像処理温度は通常15〜45℃の間で選ばれるが、より好ましくは25〜40℃である。
【0134】
定着処理は未現像部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる。定着処理には公知の銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができ、「写真の化学」(笹井著、写真工業出版社(株))p321記載の定着液などが挙げられる。
【0135】
その中でも、チオ硫酸塩以外の脱銀剤が含まれる定着液が好ましい。その場合の脱銀剤としてはチオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、1,10−ジチア−18−クラウン−6、2,2´−チオジエタノールなどのチオエーテル類、オキサドリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
【0136】
これらの脱銀剤の中でも特に、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンとしては、拡散転写現像液で述べた可溶性銀錯塩形成剤と同義である。また、チオシアン酸塩については脱銀能力は高いのだが、人体に対する安全性の観点から使用することは好ましくない。
【0137】
これらの脱銀剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。また脱銀剤の使用量としては脱銀剤の合計で定着液1リットル当たり、0.01〜5モルが好ましく、より好ましくは0.1〜3モルの範囲である。
【0138】
定着液としては脱銀剤の他にも保恒剤として亜硫酸塩、重亜硫酸塩、pH緩衝剤として酢酸、硼酸アミン、リン酸塩などを含むことができる。また、硬膜剤として水溶性アルミニウム(例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、カリ明ばん等)、アルミニウムの沈殿防止剤として二塩基酸(例えば、酒石酸、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸リチウム、クエン酸カリウム等)も含有させることができる。定着液の好ましいpHは脱銀剤の種類により異なり、特にアミンを使用する場合は8以上、好ましくは9以上である。定着処理温度は通常10℃から45℃の間で選ばれるが、より好ましくは18℃〜30℃である。
【0139】
<タイプ3>
硬化現像処理法を用いる方法である。この方法においては光センサーのハロゲン化銀粒子を像様に露光し潜像を形成し、これを触媒としてハロゲン化銀を還元する時に、ハイドロキノン等のその酸化体がゼラチンの硬化作用を持つ還元剤を用い、金属銀を形成すると同時に金属銀周囲のゼラチンを硬化させ、画像を形成させた後、水洗除去して非硬化部を洗い流す。タイプ2と同様銀粒子はバインダーに保持されているが、非画像部には支持体のみが残ることとなる。
【0140】
タイプ3に用いる導電性材料前駆体に用いられる透明支持体としては、タイプ1、タイプ2の導電性材料前駆体に用いる透明支持体と同様のものを使用することができる。
【0141】
本発明に用いるタイプ3の導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が支持体上に設けられる。
【0142】
本発明におけるハロゲン化銀としてはタイプ2の導電性材料前駆体に用いるのと同様のハロゲン化銀を用いることができる。
【0143】
本発明においてハロゲン化銀乳剤層はバインダーを含有する。本発明においては非水溶性高分子及び水溶性高分子のいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性高分子を用いることが好ましい。本発明における好ましいバインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質類、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これら水溶性高分子の中でもゼラチンなどのタンパク質が好ましい。
【0144】
本発明においてハロゲン化銀乳剤層には上記水溶性高分子の他に非水溶性高分子としての高分子ラテックスを用いることもできる。高分子ラテックスとしては単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる。単独重合体としては酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレンなどがあり、共重合体としてはエチレン・ブタジエン、スチレン・ブタジエン、スチレン・p−メトキシスチレン、スチレン・酢酸ビニル、酢酸ビニル・塩化ビニル、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル、メチルメタクリレート・アクリロニトリル、メチルメタクリレート・ブタジエン、メチルメタクリレート・スチレン、メチルメタクリレート・酢酸ビニル、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン、メチルアクリレート・アクリロニトリル、メチルアクリレート・ブタジエン、メチルアクリレート・スチレン、メチルアクリレート・酢酸ビニル、アクリル酸・ブチルアクリレート、メチルアクリレート・塩化ビニル、ブチルアクリレート・スチレン等がある。本発明で用いる高分子ラテックスの平均粒径は0.01〜1.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.8μmである。
【0145】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤層に含有する水溶性高分子と高分子ラテックスの総量、すなわち総バインダー量については、バインダー量が少ないと塗布性に悪影響を及ぼし、また安定したハロゲン化銀粒子も得られなくなる、一方、多過ぎると導電性が得られ難くなり、生産性を落としてしまうなど、品質に大きな影響を与える。好ましいハロゲン化銀(銀換算)と総バインダーとの質量比(銀/総バインダー)は0.5以上、より好ましくは1.5〜3.5である。また、好ましい総バインダー量は0.05〜3g/m2以上、更に好ましくは0.1〜1g/m2である。
【0146】
ハロゲン化銀乳剤層にはタイプ2の導電性材料前駆体同様、種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。
【0147】
タイプ3の導電性材料前駆体には必要に応じて支持体のハロゲン化銀乳剤層と反対面に裏塗層やハロゲン化銀乳剤層の上にオーバー層、ハロゲン化銀乳剤層の下に下引き層などを設けることができる。またタイプ1、タイプ2の導電性材料前駆体同様ハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料または顔料を含有することができる。
【0148】
タイプ3の導電性材料前駆体のオーバー層、下引き層についてはハロゲン化銀乳剤層と同様のバインダーを用いることができる。それぞれの層の使用目的に応じて好ましいバインダー量は異なるが、特に硬化現像処理を利用して画像状にそれらの層を硬化させ、必要な部分のみ残したい場合、例えばオーバー層に無電解めっきの触媒核を含有させる場合などでは、ハロゲン化銀乳剤層中で起きる硬化反応を利用するので、できるだけ薄い方が好ましく、好ましい使用量は0.1g/m2以下、更に好ましくは0.05〜0.001g/m2である。更にオーバー層、下引き層には公知の界面活性剤、現像抑制剤、イラジエーション防止色素、顔料、マット剤、滑剤などを含有することができる。
【0149】
タイプ3の導電性材料前駆体には硬化現像薬を含有することが特に好ましい。硬化現像薬としては、ポリヒドロキシベンゼン、例えばハイドロキノン、カテコール、クロロハイドロキノン、ピロガロール、ブロモハイドロキノン、イソプロピルハイドロキノン、トルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,3−ジクロロハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジブロモハイドロキノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、4−フェニルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−s−ブチルピロガロール、4,5−ジブロモカテコール、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,5−シリベンゾイルアミノハイドロキノン、等がある。また、アミノフェノール化合物、例えばN−メチル−パラアミノフェノール、パラアミノフェノール−2,4−ジアミノフェノール、パラベンジルアミノフェノール、2−メチル−パラアミノフェノール、2−ヒドロキシメチル−パラアミノフェノールなど、また、その他にも例えば特開2001−215711号公報、特開2001−215732号公報、特開2001−312031号公報、特開2002−62664号公報記載の公知の硬化現像薬を用いることができるが、特にベンゼン核の少なくとも1,2位または1,4位にヒドロキシル基が置換したベンゼンが好ましい。また、これらの硬化現像薬を併用して用いることも可能である。更に、3−ピラゾリドン類、例えば1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−p−トリル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、及び1−パラクロロフェニル−3−ピラゾリドンなどの公知の写真現像液に用いる還元剤を上記硬化現像薬に併せて用いることも可能である。
【0150】
これら硬化現像薬は導電材料前駆体のどの層に含有されても良いが、ハロゲン化銀乳剤層若しくは下引き層に含有されることが好ましく、特にハロゲン化銀乳剤層に含有されていることが好ましい。含有する好ましい量はハロゲン化銀乳剤層の水溶性バインダーを耐水化できるだけの量であるため、使用する水溶性バインダーの量に応じて変化する。好ましい硬化現像薬の量は0.01〜0.5mモル/水溶性バインダー1g、更に好ましくは0.1〜0.4mモル/水溶性バインダー1gである。これら硬化現像薬は塗液に溶解させても各層に含有させても良いし、オイル分散液に溶解させて各層中に含有させることも可能である。
【0151】
タイプ3の導電性材料前駆体には膨潤抑制剤を含有することが好ましい。本発明における膨潤抑制剤とは導電性材料前駆体を硬化現像液で処理する際に水溶性バインダーが膨潤するのを妨ぎ、画像のぼけを防いで透過性を上げ、また導電性を上げるために用いる。膨潤抑制剤として作用するかどうかはpH3.5の5%ゼラチン水溶液に膨潤抑制剤0.35モル/リットルになるよう加えてゼラチンの沈殿が発生するかどうかで調べられ、この試験でゼラチンの沈殿が発生するような薬品は全て膨潤抑制剤として作用する。膨潤抑制剤の具体例としては、例えば硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸亜鉛、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化マンガン、リン酸マグネシウムなどの無機塩類、或いは例えばベンゼンスルホン酸、ジフェニルスルホン酸、5−スルホサリチル酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールジスルホン酸、α−ナフタレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレンスルホン酸、1−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジスルホン酸、ジナフチルメタンスルホン酸などのスルホン酸類、例えばポリビニルベンゼンスルホン酸、無水マレイン酸とビニルスルホン酸の共重合物、ポリビニルアクリルアミドなどの高分子沈殿剤として用いられる化合物などが挙げられる。これら膨潤抑制剤は単独でも組み合わせて用いても良いが、無機塩類、特に硫酸塩類を使用することが好ましい。これら膨潤抑制剤は導電性材料前駆体のどの層に含有されていても良いが、特にハロゲン化銀乳剤層に含有されていることが好ましい。これら膨潤抑制剤の好ましい含有量は0.01〜10g/m2、更に好ましくは0.1〜2g/m2である。
【0152】
上記タイプ3の導電性材料前駆体を用い、透明導電性材料を作製するための方法は、例えば網目状パターンの銀薄膜の形成が挙げられるが、これは前述のタイプ1、タイプ2で説明した方法で露光することができる。
【0153】
タイプ3では導電性材料前駆体を露光した後に硬化現像を行う。硬化現像液にはアルカリ性物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、第3リン酸ナトリウム、或いはアミン化合物、粘稠剤、例えばカルボキシメチルセルロース、現像助薬、例えば3−ピラゾリジノン類、カブリ防止剤、例えば臭化カリウム、現像変性剤、例えばポリオキシアルキレン化合物、ハロゲン化銀溶剤、例えばチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、環状イミド、チオサリチル酸、メソイオン性化合物等等の添加剤等を含ませることができる。現像液のpHは通常10〜14である。通常の銀塩写真現像液に用いる保恒剤、例えば亜硫酸ナトリウムなどは硬化現像による硬化反応を停める作用があるので、本発明における硬化現像液では保恒剤は少なくとも20g/リットル以下の使用量、好ましくは10g/リットル以下の使用量が好ましい。
【0154】
タイプ3の硬化現像液には導電性材料前駆体に硬化現像薬を含有させない場合は硬化現像薬を含有する。硬化現像薬としては導電性材料前駆体に含有させるのと同様の硬化現像薬を用いることができる。好ましい硬化現像薬の含有量は1〜50g/リットルである。硬化現像薬を現像液中に含有させる場合、保恒性が悪く、直ぐに空気酸化してしまうので、使用の直前にアルカリ性水溶液に溶解することが好ましい。
【0155】
タイプ3の硬化現像液には膨潤抑制剤を含有することが好ましい。膨潤抑制剤としては導電性材料前駆体に含有させるのと同様の膨潤抑制剤を用いることができる。好ましい膨潤抑制剤の含有量は50〜300g/リットル、好ましくは100〜250g/リットルである。
【0156】
タイプ3の硬化現像処理を行う方法としては、浸漬方式であっても塗布方式であっても良い。浸漬方式は、例えば、タンクに大量に貯留された処理液中に、導電性材料前駆体を浸漬しながら搬送するものであり、塗布方式は、例えば導電性材料前駆体上に処理液を40〜120ml/m2程度塗布するものである。特に硬化現像薬含有硬化現像液を用いる場合には塗布方式にし、硬化現像を繰り返し用いないようにする方が好ましい。
【0157】
タイプ3の硬化現像処理条件については、以下の通りである。現像温度は2〜30℃であり、10〜25℃がより好ましい。現像時間は5秒〜30秒であり、好ましくは5〜10秒である。
【0158】
タイプ3の導電性材料を製造する工程には、光透過部のハロゲン化銀乳剤層を除去し、支持体面を露出させる工程が含まれる。本工程はハロゲン化銀乳剤の除去を主目的としているので、本工程で用いられる処理液は水を主成分とする。処理液は緩衝成分を含有しても良い。また、除去したゼラチンの腐敗を防止する目的で、防腐剤を含有することができる。ハロゲン化銀乳剤を除去する方法としては、スポンジ等で擦り取る方法、ローラーを膜面に当ててスリップさせることによってはがしとる方法、ローラーを膜面に接触させてローラーに巻き付ける方法等がある。処理液流をハロゲン化銀乳剤面に当てる方法としては、シャワー方式、スリット方式等を単独、或いは組み合わせて使用できる。また、シャワーやスリットを複数個設けて、除去の効率を高めることもできる。
【0159】
タイプ3において非画像部ハロゲン化銀乳剤層を除去して銀画像を作製した後に、当業者で周知の硬膜剤を含有した液で処理することでより強固な銀画像を作製することができる。硬膜剤としては、クロムミョウバン、ホルマリン等のアルデヒド類、ジアセチル等のケトン類、ムコクロル酸類等、種々のものを用いることができる。またタイプ3において硬化現像処理後にハロゲン化銀溶剤を含む物理現像液で導電性材料前駆体を処理し、硬化現像で硬化された金属銀中にある銀を増大させ、導電性を得ることもできる。
【0160】
本発明においてタイプ1,タイプ2,タイプ3いずれかの方法で作製した導電性材料では更に高い導電性を得るためや、或いは銀画像の色調を変えるためなどの種々の目的でめっき処理を行う。本発明におけるめっき処理としては、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、または無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。めっき処理によりどの程度導電性を付与するかは用いる用途に応じて異なるが、例えばPDP用に用いる電磁波シールド材として用いるためには表面抵抗値2.5Ω/□以下、好ましくは1.5Ω/□以下が要求される。
【0161】
本発明において無電解めっき処理を施す場合、無電解めっきを促進させる目的でパラジウムを含有する溶液で活性化処理することもできる。パラジウムとしては2価のパラジウム塩或いはその錯体塩の形でも良いし,また金属パラジウムであっても良い。しかし、液の安定性、処理の安定性から好ましくはパラジウム塩或いはその錯塩を用いることが良い。
【0162】
本発明における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術、例えば無電解ニッケルめっき、無電解コバルトめっき、無電解金めっき、銀めっきなどを用いることができるが、上記の必要な導電性と透明性を得るためには無電解銅めっきを行うことが好ましい。
【0163】
本発明における無電解銅めっき液には硫酸銅や塩化銅など銅の供給源、ホルマリンやグリオキシル酸、テトラヒドロホウ酸カリウム、ジメチルアミンボランなど還元剤、EDTAやジエチレントリアミン5酢酸、ロシェル塩、グリセロール、メソーエリトリトール、アドニール、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、イミノ2酢酸、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸、1,3−ジアミノプロパンー2−オール、グリコールエーテルジアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の銅の錯化剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのpH調整剤などが含有される。更にその他に浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジル、o−フェナントロリン、ネオクプロイン、チオ尿素、シアン化物などを含有させることもできる。めっき液は安定性を増すためエアレーションを行うことが好ましい。
【0164】
無電解銅めっきでは前述の通り種々の錯化剤を用いることができるが、錯化剤の種類により酸化銅が共析し、導電性に大きく影響したり、或いはトリエタノールアミンなど銅イオンとの錯安定定数の低い錯化剤は銅が沈析しやすいため、安定しためっき液やめっき補充液が作り難いなどということが知られている。従って工業的に通常用いられる錯化剤は限られており、本発明においても同様の理由でめっき液の組成として特に錯化剤の選択は重要である。特に好ましい錯化剤としては銅錯体の安定定数の大きいEDTAやジエチレントリアミン5酢酸などが挙げられ、このような好ましい錯化剤を用いためっき液としては例えばプリント基板の作製に使用される高温タイプの無電解銅めっきがある。高温タイプの無電解銅めっきの手法については「無電解めっき 基礎と応用」(電気鍍金研究会編)p105などに詳しく記載されている。高温タイプのめっきでは通常60〜70℃で処理し、処理時間は無電解めっき後に電解めっきを施すかどうかで変わってくるが、通常1〜30分、好ましくは3〜20分無電解めっき処理を行うことで本発明の目的を達することができる。
【0165】
本発明において銅以外の無電解めっき処理を行う場合は例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)p406〜432記載の方法などを用いることができる。
【0166】
本発明においては電解めっきを施すこともできる。電解めっき法としては銅めっき、ニッケルめっき、亜鉛めっき、スズめっき等の公知のめっき方法を用いることができ、その方法として例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)記載の方法を用いることができる。どのめっき法を用いるかは製造する導電性材料の用途によって異なるが、導電性を更に高めるためにめっきする場合、銅めっきやニッケルめっきが好ましい。銅めっきのめっき法として好ましい方法としては硫酸銅浴めっき法やピロリン酸銅浴めっき法、ニッケルめっき法としてはワット浴めっき法、黒色めっき法などが好ましい。
【実施例1】
【0167】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、無論この記述により本発明が制限されるものではない。尚記載中、特に断りのない限り、%は質量%を表す。
【0168】
銀塩拡散転写法を利用する導電性材料前駆体を以下のように作製した。透明支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。物理現像核層を塗布する前に、このフィルムに、塩化ビニリデンからなる下引き層を塗布し、その上にゼラチン50mg/m2、ラテックス(大日本インキ化学工業社製WLS210)35質量%分散液1g/m2を含有するベース層を塗布し乾燥した。次に、硫化パラジウムからなる物理現像核層を固形分で0.4mg/m2になるように塗布し、乾燥した。続いて、ハロゲン化銀乳剤層を上記物理現像核層の上に銀換算で3.0g/m2となるように塗布、乾燥して、導電性材料前駆体をロール状に巻き取った。尚、硫化パラジウムからなる物理現像核及びハロゲン化銀乳剤層は、前述の特開2004−172041号公報の実施例1に従い作製した。
【0169】
このようにして得た前駆体ロール500mを水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介し、細線幅20μmで格子間隔250μmの網目パターンを有する50cm四方の透過原稿による密着露光を500m処理した。尚、露光パターンは後に行うめっき処理工程が可能なように、パターン間を20mm幅、長さ50mmの銀画像を2箇所設けて繋いでいる。その後下記現像液中に20℃で90秒間浸漬した後、続いて40℃の温水で水洗し、乾燥処理した。このようにして網目パターン状に銀薄膜が形成された500mのロール状の導電性材料ロールを得た。
【0170】
<現像液>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
水を加えて全量を1000mlとし、pH=12.2に調整する。
【0171】
図2の後処理装置において、上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された500m巻の各導電性材料ロール1は、巻出し軸2から巻出されて搬送されつつ、後処理部4で表1に示す後処理液に60℃90秒浸漬する後処理を行い、水洗部5で20℃の純水で水洗され、乾燥部6で60℃の温風により水分を乾燥して巻取り軸9に巻き取られる。後処理液毎に導電性材料ロール500m巻をそれぞれ処理し、導電性材料A1〜A3を得た。
【0172】
比較例として図4に示す、後処理槽による浸漬処理の間、銀画像面がロールに接触した状態で搬送させて後処理を行う後処理装置を用いること以外は導電性材料A1〜A3と同様として、導電性材料A4〜A6を作製した。
【0173】
【表1】

【0174】
上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された導電性材料の表面抵抗率は、(株)ダイアインスツルメンツ製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて、JIS K 7194に従い測定した。得られた結果を表2にまとめた。尚、測定に用いたサンプルは、前記A1〜A6各々500mロールの最初の網目パターンである。
【0175】
更に網目パターン状銀薄膜が形成された導電性材料を60℃の加温庫に1週間入れ、その後の表面抵抗値を測定した。得られた結果は加温前の表面抵抗値を100%として元の何%まで落ちたかという値で同じく表2に示す。尚、測定に用いたサンプルは、前記A1〜A6各々500mロールの最初の網目パターンである。
【0176】
上記導電性材料A1〜A6を下記ニッケルめっき液を使って温度45℃、電流密度4A/dm2にてニッケルめっきを行った。得られた導電性材料の網目パターン細線幅をデジタルマイクロスコープ((株)ハイロックス製KH−3000)で撮影し、細線の幅を測定した。測定は500m巻の各導電性材料の最初の網目パターンと最後の網目パターンである。50cm四方のサンプルについて、各々10点測定してその線幅振れの範囲をめっき後線幅として表2に併せて示す。
【0177】
<ニッケルめっき液処方>
硫酸ニッケル 240g/リットル
塩化ニッケル 45g/リットル
硼酸 30g/リットル
pH=4.5
【0178】
【表2】

【0179】
表2の結果から、還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化物を含有する後処理液で処理する際、導電性材料の銀画像面を非接触の状態で搬送し、処理することで、導電性と保存安定性が高く、更にめっき後の網目パターン細線幅が安定した導電性材料が得られた。
【実施例2】
【0180】
図3の後処理装置を用いて、次のような処理を行った。図3の後処理装置は、ロールtoロールで処理されるようにロール状の該導電性材料の巻出し部16と、該導電性材料をシャワーノズルで後処理する後処理部4と、該導電性材料を水洗処理するための水洗部5と、乾燥部6と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部18とを有する。
【0181】
直接現像後に定着処理する導電性材料前駆体を以下のように作製した。透明支持体として、厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。このフィルムに、塩化ビニリデンからなる下引き層を塗布し、その上にゼラチン50mg/m2を含有するベース層を塗布し乾燥した。次に、前述のハロゲン化銀乳剤にゼラチン1g、硬膜剤(グリオキサール40%水溶液)50mgを添加し、銀換算で3.0g/m2となるように塗布、乾燥して、導電性材料前駆体をロール状に巻き取った。
【0182】
このようにして得た前駆体ロール500mを水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介し、細線幅20μmで格子間隔250μmの網目パターンを有する50cm四方の透過原稿による密着露光を500m処理した。尚、露光パターンは後に行うめっき処理工程が可能なように、パターン間を20mm幅、長さ50mmの銀画像を2箇所設けて繋いでいる。その後、特開2004−221564号公報の実施例1に記載の現像液及び定着液を用いて、現像処理して、網目パターン状に銀薄膜が形成された500mの導電性材料ロールを得た。
【0183】
図3の後処理装置において、上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された500m巻の各導電性材料ロール1は、巻出し軸2から巻出されて搬送されつつ、後処理槽20で表1に示す後処理液が60℃60秒シャワーノズルより噴出されて後処理が行われ、水洗部5で20℃の純水で水洗され、乾燥部6で60℃の温風により水分を乾燥して巻取り軸9に巻き取られる。後処理液毎に導電性材料ロール500m巻を各1本ずつ処理して導電性材料B1〜B3を作製した。これを評価し、表3のような結果を得た。
【0184】
比較として図5に示す、後処理槽20によるシャワーノズル処理の間、銀画像面が入口、出口ロールにて接触した状態で搬送させて後処理を行う後処理装置により、導電性材料B4〜B6を作製した。これを実施例1と同様に評価し、その結果表3のような結果を得た。
【0185】
【表3】

【0186】
表3の結果から、還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化物を含有する後処理液で処理する際、導電性材料の銀画像面を非接触の状態で搬送し、処理することで、導電性と保存安定性が高く、更にめっき後の網目パターン細線幅が安定した導電性材料が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明の処理方法及び処理装置によって得られる導電性パターンは、電磁波シールドフィルムやタッチパネル等の用途に用いられる導電性材料等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0188】
【図1】本発明の後処理装置の一例を示す概略断面図
【図2】本発明の後処理装置の一例を示す概略断面図
【図3】本発明の後処理装置の一例を示す概略断面図
【図4】従来の後処理装置の一例を示す概略断面図
【図5】従来の後処理装置の一例を示す概略断面図
【図6】本発明の後処理工程を処理する工程順を示す概念図
【符号の説明】
【0189】
1 導電性材料ロール
2 巻出し軸
3 張力制御手段
4 後処理部
5 水洗部
6 乾燥部
8 巻取りロール
9 巻取り軸
11 反転ローラー
13 後処理槽
14 後処理液
15 ローラー
16 巻出し部
17 ローラー洗浄タブ
18 巻取り部
19 吹き出しノズル
21 第1水洗槽
22 第2水洗槽
23 シャワーノズル
27 水洗水
31 ローラー
39 ローラー対
42 循環ポンプ
43 フィルター
50 オーバーフロー口
61 シャワーノズル
63 エアナイフ
F 導電性材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤層を有する導電性材料前駆体を露光、現像処理し、銀画像を形成した導電性材料の処理方法であって、下記(I)〜(III)のいずれかに記載の化合物を少なくとも1種類以上含有する処理液で処理する際、該導電性材料の銀画像を有する面を非接触で搬送し、処理することを特徴とする導電性材料の処理方法。
(I) 還元性物質
(II) 水溶性リンオキソ酸化合物
(III) 水溶性ハロゲン化物
【請求項2】
請求項1記載の導電性材料の処理方法に用いられる処理装置であって、ロール状の該導電性材料を保持する巻出し部と、該導電性材料を該処理液で処理する処理部と、乾燥部と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部とを少なくとも有し、前記導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点から水洗部水洗槽に浸入するまでの間は、前記導電性材料の銀画像を有する面を非接触で搬送し、処理することを特徴とする導電性材料の処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の導電性材料の処理方法に用いられる処理装置であって、ロール状の該導電性材料前駆体を保持する巻出し部と、該導電性材料前駆体を現像液で現像処理する現像部と、該導電性材料前駆体のハロゲン化銀乳剤層を除去するための水洗部と、乾燥部と、該導電性材料を該処理液で処理する処理部と、乾燥部と、乾燥された導電性材料をロール状に巻き取るための巻取り部とを少なくとも有し、前記導電性材料が処理部処理槽に浸入した時点から水洗部水洗槽に浸入するまでの間は、前記導電性材料の銀画像を有する面を非接触で搬送し、処理することを特徴とする導電性材料の処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−251275(P2008−251275A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89219(P2007−89219)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】