説明

導電性組成物

【課題】チキソトロピー付与剤を用いずに、高精度の導電性パターンを設計通りに忠実に形成することができる導電性組成物の提供。
【解決手段】エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)、導電性フィラー(B)及び有機溶剤(C)を含有する導電性組成物であって、バインダー樹脂(A)が0.1〜5.0重量%、有機溶剤(C)が、エチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)とエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)からなり、この(C)が2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレートから選ばれた溶剤を含有する、導電性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な導電性、基材との接着性、耐熱性、硬度を有する導電性パターンを形成できる導電性組成物に関するものであって、精細な導電性パターンの形成に特に適した導電性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロニクス分野において、基板サイズの小型化、高精度化に伴って、数十ミクロンレベルの精細な導電性パターンを確実かつ効率的に形成することへの要望が強くなっている。導電性ペーストを用い印刷により導電性パターンを形成する際には、その印刷幅が設計時の印刷幅よりも広がるという所謂「太り」が生じることがあって、精度の高い導電性パターンを得ることが難しいことがあった。隣接する配線との絶縁性を確保するために、この太りの発生を見込んで導電性パターンを形成することは高集積化基板を得るうえで有利とは言えない。
【0003】
そこで、太りの少ない精度の高い回路を形成することが可能な導電性ペーストが開発されている(特開2002−42551号公報)。
また、導電性パターンを形成する際の印刷性を向上させるために、チキソトロピー付与剤の使用によって導電性ペーストの流動性をコントロールする例がある(特開2003−151351号公報)。
【特許文献1】特開2002− 42551号公報
【特許文献2】特開2003−151351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、導電性組成物のチキソトロピー付与剤としてはマイクロシリカや高分子添加剤があるが、マイクロシリカは添加量によっては電気抵抗を増大させる場合があり、また、高分子添加剤は焼成後の導電性パターン中に残渣として残る場合があって、その導電性や強度、耐久性等に影響を与える場合がある。
【0005】
本発明は、主としてバインダー樹脂の含有量の調整および特定の有機溶剤を用いることによって、チキソトロピー付与剤を用いることなく、印刷に適した流動性を有しており、高精細な導電性パターンを形成することができる導電性組成物を提供するものである。
【0006】
したがって、本発明による導電性組成物は、少なくとも、エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)、導電性フィラー(B)および有機溶剤(C)を含有する導電性組成物であって、前記のエチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)の含有量が0.1重量%以上5.0重量%以下であり、かつ、前記の有機溶剤(C)が、エチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)とエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)とからなるものであって、このエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)が、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレートから選ばれた少なくとも一種の溶剤を含有すること、を特徴とするものである。
【0007】
このような本発明による導電性組成物は、好ましくは、前記の有機溶剤(C)が、前記のエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)を50重量%以上90重量%以下含有するもの、を包含する。
【0008】
このような本発明による導電性組成物は、好ましくは、前記のエチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)が、沸点が150〜300℃の一価アルコールもしくは二塩基酸エステルであるもの、を包含する。
【0009】
このような本発明による導電性組成物は、好ましくは、前記の導電性フィラー(B)が、平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の球状のものであり、この導電性フィラー(B)を導電性組成物中に70重量%以上90重量%以下含有するもの、を包含する。
【0010】
このような本発明による導電性組成物は、好ましくは、導電性組成物の粘度が、シアレート4.0sec−1のときに300Pa・s以上600Pa・s以下であり、かつシアレート0.4sec−1のときとシアレート4.0sec−1のときの粘度比が3.0以上8.0以下であるもの、を包含する。
【発明の効果】
【0011】
本発明による導電性組成物は、良好な導電性硬化物を形成可能なものであって、例えばスクリーン印刷法、メタルマスク印刷法などの公知の印刷法によって基板上に印刷可能なものである。従って、本発明による導電性組成物は、従来同様に広範な分野において利用可能なものである。
【0012】
そして、本発明による導電性組成物は、印刷に応じた適度の流動性を有するものであることから、極めて正確に導電性パターンを形成することができる。そして、形成された導電性パターン幅が不規則的に広がるという所謂「太り」の発生が抑制されているので、高精度の導電性パターンを設計通りに忠実に形成することが容易である。
【0013】
そして、チキソトロピー付与剤を用いていないことから、チキソトロピー付与剤に基づく導電性、硬度、強度および耐久性等の特性の劣化が生じない。
加えて、本発明による導電性組成物は、適当なチキソトロピー性を有しかつ印刷版上での乾燥が有効に抑制されているので、同一版にて印刷パターンの形成を繰り返し行っても、高精細なパターン形成を行うことができる。
よって、本発明による導電性組成物によれば、細かい配線パターンを極めて正確、精密に、かつ設計通りに再現性よく形成することが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<導電性組成物>
本発明による導電性組成物は、少なくとも、エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)、導電性フィラー(B)および有機溶剤(C)を含有する導電性組成物であって、前記のエチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)の含有量が0.1重量%以上5.0重量%以下であり、前記の有機溶剤(C)が、前記のエチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)と、前記のエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)とからなるものであって、この溶解が不良な溶剤(C)として、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレートから選ばれた少なくとも一種の溶剤を含有するものである。ここで、「エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)、導電性フィラー(B)および有機溶剤(C)を含有する」とは、上記の必須成分(即ち、エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂、導電性フィラーおよび有機溶剤)以外の他の成分が共存する導電性組成物を排除しない。すなわち、本発明による導電性組成物は、上記必須成分のみからなる導電性組成物、および、上記必須成分とこれらの必須成分以外の他の成分を含んでなる導電性組成物の両者を包含する。また、上記において「導電性」とは、体積抵抗値が少なくとも1×10−4Ω・cm以下であることを意味する。
【0015】
本発明による導電性組成物は、粘度が、シアレート4.0sec−1のときに300Pa・s以上600Pa・s以下であり、かつシアレート0.4sec−1のときとシアレート4.0sec−1のときの粘度比が3.0以上8.0以下であるものが好ましい。特に、シアレート4.0sec−1のときに300Pa・s未満であると、印刷形状が保持できず太りを生じ、一方、600Pa・s超過では、印刷時にかすれや版抜け不良を起こし、断線を引き起こすので好ましくない。シアレート0.4sec−1のときとシアレート4.0sec−1のときの粘度比が3.0未満であると、印刷形状が保持できす太りを生じ、一方、8.0超過では印刷時にかすれや版抜け不良を起こし、断線を引き起こすので好ましくない。ここで、上記の粘度特性は、ブルックフィールド社製の粘度計によって定められたものである。
【0016】
<エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)>
本発明による導電性組成物は、必須成分として、エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)を含有する。ここで、「主成分とする」とは、このバインダー樹脂(A)において、エチルセルロース樹脂が80重量%以上存在することを意味する。エチルセルロース樹脂の存在量は、好ましくは85重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、である。エチルセルロース樹脂が80重量%未満のときは、溶剤の溶解度の効果が得にくく好ましくない。
【0017】
主成分であるエチルセルロース樹脂は、エトキシル基含有率が45〜55重量%、特に45〜50重量%であるものが好ましい。エトキシル基含有率が45重量%未満のものは溶剤への溶解性が悪化し、一方、55重量%超過では、塗膜の強度の点で好ましくない。ここで、エトキシル基含有率は、ASTM D914によって求められたものである。
【0018】
本発明におけるバインダー樹脂(A)において、エチルセルロース以外の成分としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂を挙げることができる。これらの中では、ポリビニルブチラール樹脂およびアクリル樹脂がとりわけ好ましい。
【0019】
<導電性フィラー(B)>
本発明で使用される導電性フィラー(B)は、各種の導電性微粉体、例えば銀粉、金粉、銅粉、ニッケル粉、白金粉、パラジウム粉、はんだ粉、前記金属の合金粉体等の金属粉体等を使用することができる。これらの導電性粉体は二種以上併用することもできる。また、金属以外の導電性粉体、例えばカーボン粉体、を使用することもできる。本発明では、特に銀粉が好ましい。なお、導電性フィラーは、表面処理されたものであってもよい。
【0020】
導電性フィラー(B)の形状は、球状形状が好ましく、特に平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の球状のものが好ましい。ここで、ここで、平均粒径は、日機装社製 「マイクロトラック UPA」で測定したときのd50で求められるものである。また、球状形状とは、具体的には球または球に近い形状で実質的に角部を有しないことを意味する。本発明では、真球が特に好ましい。導電性フィラー(B)の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上0.7μm以下であり、特に好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。上記の平均粒径および形状の導電性粉体(B)を用いることによって、微細パターン印刷時の版詰り防止および塗膜の均一性向上という効果が顕著になる。
【0021】
<有機溶剤(C)>
有機溶剤(C)は、前記のエチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)と前記のエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)とからなるものである。本発明では、このようにエチルセルロースの溶解特性が異なる二種の溶剤を用いることが肝要である。ここで、エチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤とは、成分(A)中のエチルセルロースの溶解度が50℃の温度条件において25g以上である溶剤をいう。
【0022】
エチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)としては、例えば、沸点が150〜300℃の一価アルコール、好ましくは沸点170〜250℃の一価アルコール、例えばジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テルピネオール、二塩基酸エステル、例えばコハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルなどを挙げることができる。これらの中では、特にジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびグルタル酸ジメチルが好ましい。これらの各溶剤は、二種以上混合して用いることができる。
【0023】
エチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)としては、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレートから選ばれた少なくとも一種を用いる。勿論、上記の二種の溶剤を併用することも可能である。
【0024】
有機溶剤(C)におけるエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)の含有量は、50重量%以上90重量%以下、好ましくは70重量%以上90重量%以下、である。エチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)の含有量が50重量%未満の場合には、微細な印刷の十分な効果が得られず、一方、90重量%超過の場合には、樹脂溶解性が極端に悪化し分離等を起こすため好ましくない。
【0025】
<上記以外の成分(任意成分)>
本発明による導電性組成物は、必要に応じて各種の成分を含むことができる。
そのような必要に応じて含むことが可能な成分の具体例としては、次のような顔料や、消泡剤、分散剤、防錆剤、還元剤、および、前記バインダー樹脂と混和可能な他の樹脂成分(例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂)等を挙げることができる。
【0026】
本発明による導電性組成物は、必要に応じて各種の有機または無機の顔料を含有することができ、そのような顔料によって導電性組成物の塗膜補強、機能付加、作業性改良、着色および増量等を図ることが可能になる。本発明では特にガラスフリットやカーボン、体質顔料、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等を単独またはこれらに混合物を用いることができる。
【0027】
<配合割合>
本発明による導電性組成物における各成分の配合比率は、下記の通りである。
エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)の配合量は、導電性組成物の0.1重量%以上5重量%以下、好ましくは0.5重量%以上5重量%以下、特に好ましくは1重量%以上4重量%以下、である。配合量が0.1重量%未満では、樹脂が少ないため、均質な塗膜を得にくく、印刷時の基材への密着性も悪く、一方、5重量%超過では、粘度が高くなり流動性が低下する。
【0028】
導電性フィラー(B)の配合量は、導電性組成物の70重量%以上90重量%以下、好ましくは75重量%以上90重量%以下、特に好ましくは75重量%以上85重量%以下、である。配合量が70重量%未満では、低抵抗が得られず、一方、90重量%超過では、フィラーが多いために均質な塗膜を得るのが難しくなる。
【0029】
有機溶剤(C)の配合量は、導電性組成物の10重量%以上30重量%以下、好ましくは15重量%以上25重量%以下、特に好ましくは15重量%以上20重量%以下、である。配合量が10重量%未満では、溶剤による効果が得られにくく、一方、30重量%超過では十分な粘度が得られにくくなる。
【0030】
<導電性組成物の利用>
本発明による導電性組成物は、良好な導電性を有するものであり、例えばスクリーン印刷法、メタルマスク印刷法などの公知の印刷法によって基板上に印刷可能なものである。従って、本発明による導電性組成物は、従来同様に広範な分野において利用可能なものである。
【0031】
そして、本発明による導電性組成物は、印刷適性が極めて良好なものである。このことから、孔径が小さいスクリーン版、例えば50μmライン幅のスクリーン版であっても目詰まりすることなく、極めて正確にスクリーン印刷パターンを形成することができる。よって、本発明による導電性組成物によれば、所望のパターンあるいは所望の形状ないし高さの導電性組成物の硬化物を効率的に形成することができる。
【0032】
そして、本発明による導電性組成物は、導電性粉体の含有量が比較的多い場合であっても良好な印刷適性を有している。このことから、十分な印刷適性を保持しながら導電性粉体の含有量を多くすることができるので、電気的特性が良好な導電性層を形成することができる。
【0033】
そして、本発明による導電性組成物は、印刷によって配線パターンを形成する際に、希望の印刷幅より広がる所謂「太り」の発生が抑制されているので、高精度パターンを設計通りに忠実に形成することが容易である。そして、チキソトロピー付与剤を用いていないことから、チキソトロピー付与剤に基づく導電性、硬度、強度および耐久性等の特性の劣化が生じない。
【0034】
さて、上記のエチルセルロースの溶解が不良な溶剤(C)のみからなる溶剤とエチルセルロース樹脂とを混合すると両者の分散系が形成されるが、この分散系を静置すると、直後ないし一定時間経過後からその分散状態が変化して分散系のゲル化ないし分離が観察されることがある。この分散系の経時的な状態変化は、この分散系ならびにこの分散系を含んでなる導電性組成物の粘度特性やチキソトロピー特性に影響を及ぼし、これら各特性の経時的変化または不安定化の要因となることが考えられる。これに対して、本発明による導電性組成物は、導電性組成物調製時からの経時的な粘度およびチキソトロピー性等の諸特性の経時的変化が抑制されたものであって、導電性パターンを形成させる際においても好ましい粘度およびチキソトロピー性等を有している。
【実施例】
【0035】
<実施例1〜5および比較例1>
下記の各成分を、表1に示される割合で配合し、3本ロールで充分に混錬して、導電性組成物(実施例1〜5および比較例1)を調製した。各導電性組成物の粘度および粘度比を下記測定方法にて求めた。
得られた各導電性組成物を、スクリーン版を用い、ガラス板上に印刷した。その後、550℃×15分間の焼成条件に付して、導電性パターンを形成した。
【0036】
結果は、表1に示される通りである。
【0037】
(1)成分
・バインダー樹脂:エトキシル基含有率49.5重量%のエチルセルロース3重量%からなる。
・導電性フィラー:三井金属鉱業社製銀粉「FHD」、平均粒径0.3μmの球状粒子
・有機溶剤1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル30重量%および2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールモノイソブチレート70重量%からなる。
・有機溶剤2:ジエチレングリコールモノブチルエーテル30重量%および2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレートト70重量%からなる。
・有機溶剤3:ジエチレングリコールモノブチルエーテル100重量%からなる。
・有機溶剤4:ジエチレングリコールモノブチルエーテル50重量%および2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレートト50重量%からなる。
・有機溶剤5:テルピネオール30重量%および2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレート70重量%からなる。
・有機溶剤6:コハク酸ジメチル6重量%、グルタル酸ジメチル18重量%、アジピン酸ジメチル6重量%および2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレート70重量%からなる。
【0038】
(2)粘度の測定方法
ブルックフィールド社 粘度計 HB−DVII+,25℃で測定
#14スピンドル/少量サンプルアダプター使用
【0039】
(3)評価方法
・印刷形状:幅50μm、間隔150μmのストライプ状のスクリーン印刷版を設計した。上記で得られた各導電性組成物を、このスクリーン版を用いスキージ速度100mm/secでガラス板上に印刷した。これらを上記所定の焼成条件に付して導電性パターンを形成した。線幅がパターンの設計時の120%未満を良とし、120%以上を不良とした。
【0040】
(4)電気抵抗値の測定方法
ガラス板にアプリケーターで組成物を塗布し、上記所定の焼成条件に付した。塗膜の膜厚を測定した後、(株)ダイヤインスツルメンツ製の抵抗率計ロレスタEP(直列四探針プローブ使用)で体積抵抗値の測定を行った。焼成後の抵抗値が1.0×10−5Ω・cm以下を良と判定した。
【表1】

【0041】
実施例1〜5では、印刷パターンの太りが小さく、ピンホール等も見られなかった。
【0042】
比較例1では、電気抵抗値は実施例と同等であるものの、印刷パターンの太りが大きく、印刷形状も悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、エチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)、導電性フィラー(B)および有機溶剤(C)を含有する導電性組成物であって、
前記のエチルセルロース樹脂を主成分とするバインダー樹脂(A)の含有量が0.1重量%以上5.0重量%以下であり、かつ、前記の有機溶剤(C)が、前記エチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)と前記エチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)とからなるものであって、このエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)が、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4‐トリメチル‐1,3‐ペンタンジオールジイソブチレートから選ばれた少なくとも一種の溶剤を含有することを特徴とする、導電性組成物。
【請求項2】
前記の有機溶剤(C)が、前記のエチルセルロース樹脂の溶解が不良な溶剤(C)を50重量%以上90重量%以下含有するものである、請求項1に記載の導電性組成物。
【請求項3】
前記のエチルセルロース樹脂の溶解が良好な溶剤(C)が、沸点が150〜300℃の一価アルコールもしくは二塩基酸エステルである、請求項1または2に記載の導電性組成物。
【請求項4】
前記の導電性フィラー(B)が、平均粒径0.1μm以上1.0μm以下の球状のものであり、この導電性フィラー(B)を導電性組成物中に70重量%以上90重量%以下含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性組成物。
【請求項5】
導電性組成物の粘度が、シアレート4.0sec−1のときに300Pa・s以上600Pa・s以下であり、かつシアレート0.4sec−1のときとシアレート4.0sec−1のときの粘度比が3.0以上8.0以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性組成物。

【公開番号】特開2009−283362(P2009−283362A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−135767(P2008−135767)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(000183923)ザ・インクテック株式会社 (268)
【Fターム(参考)】