説明

導電性部材及びその製造方法

【課題】環境変動可逆性、ロット内抵抗ばらつきの制御に優れた導電性部材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材において、該導電性部材が置かれる環境を、N/N環境(温度23℃、相対湿度55%、ここでの抵抗値をR1とする)、次いでH/H環境(温度32℃、相対湿度80%)、次いでL/L環境(温度15℃、相対湿度10%)、次いで再びN/N環境(ここでの抵抗値をR2とする)に変えたときに、該抵抗値R1、R2が0.95≦R2/R1≦1.05の関係にあることを特徴とする導電性部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ及び複写機等の電子写真方式を採用した画像形成装置における導電性部材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成装置の帯電装置としてはコロナ帯電器が使用されてきたが、近年、これに代って接触帯電装置が実用化されてきている。
【0003】
これは、低オゾン、低電力を目的としており、中でも特に導電性部材として導電性ローラを用いたローラ帯電方式が、帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。
【0004】
ローラ帯電方式では、導電性の弾性ローラを被帯電体に加圧当接させ、これに電圧を印加することによって放電により被帯電体への帯電を行う。
【0005】
具体的には、放電開始電圧(OPC感光体に対して帯電ローラを加圧当接させた場合には、約550V)に、必要とされる感光体表面電位Vdを足したDC電圧を印加することで帯電を行うDC帯電方式、あるいは、環境・耐久変動等による電位の変動を改善する目的として、必要とされる感光体表面電位Vdに相当するDC電圧に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触導電性部材に印加する事で帯電を行うAC帯電方式がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
これは、AC電圧による電位の均し効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央である電位Vdに収束し、環境等の外乱には影響されることはなく、接触帯電方式として優れた方法である。
【0007】
しかしながら、AC帯電方式では直流電圧印加時における放電開始電圧(VTH)の2倍以上のピーク間電圧である高圧の交流電圧を重畳させるため、直流電源とは別に交流電源が必要となり、装置自体のコストアップを招く。更には、交流電流を多量に消費することにより、帯電ローラ及び感光体の耐久性が低下し易いという問題点があった。
【0008】
これらの問題点は、帯電ローラに直流電圧のみを印加して帯電を行うDC帯電方式により解消されるものの、帯電ローラに直流電圧のみを印加すると、導電性部材被覆層の膜厚ムラや塗工ムラがAC帯電方式に比べ、画像不良として現れやすい傾向にある。
【0009】
一般的な帯電ローラの被覆層の形成方法としては、均一な被覆層を形成するのに優れているディップコート法が主に用いられ、数μm〜数十μmの膜が形成されることが多い。この被覆層により、帯電ムラを防止する効果があるが、塗工液を用いて被覆層を形成するため、塗工液の濃度や温度及び基材の表面温度、更には塗工工程の環境温度を十分に管理することが、膜厚ムラや塗工ムラを防止し、物性値の安定した帯電ローラを生産していく上で重要な項目となる。更に、近年の高画質化の要求に伴い、帯電ローラの更なる物性値の安定、制御方法が求められており、環境変動可逆性の向上やロット内の抵抗ばらつきの抑制等、高いレベルでの制御方法が求められている。これらの課題を解決するために、例えば導電性部材の製造後に通電処理を行う等の方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、環境変動可逆性の向上、ロット内抵抗ばらつきの制御などの課題がすべて解決したとは言い難い。
【特許文献1】特開平10−177290号公報
【特許文献2】特開平11−282229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記問題点を解決するために環境変動可逆性、ロット内抵抗ばらつきの制御に優れた導電性部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材において、該導電性部材が置かれる環境を、N/N環境(温度23℃、相対湿度55%、ここでの抵抗値をR1とする)、次いでH/H環境(温度32℃、相対湿度80%)、次いでL/L環境(温度15℃、相対湿度10%)、次いで再びN/N環境(ここでの抵抗値をR2とする)に変えたときに、該抵抗値R1、R2が0.95≦R2/R1≦1.05の関係にあることを特徴とする導電性部材である。
【0012】
また、本発明は、前記導電性部材がローラ形状である上記導電性部材である。
【0013】
また、本発明は、前記被覆層が熱硬化反応により形成されたものである上記導電性部材である。
【0014】
また、本発明は、前記導電性部材が直流電圧を印加される上記導電性部材である。
【0015】
更に、本発明は、導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材の製造方法において、該弾性層の外周面に塗工液を塗布して未硬化被覆層を形成する塗布工程、次いで該未硬化被覆層を、該未硬化被覆層の硬化反応温度以上の温度で加熱する加熱硬化工程、次いで該未硬化被覆層の硬化反応温度よりも50℃乃至70℃低い温度範囲内の一定温度に保ち、且つ1時間以上の時間でエージングする工程を有することを特徴とする導電性部材の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被覆層の硬化反応終了後、冷却する際に所定の条件でエージングすることにより、N/N環境からH/H環境、続いてL/L環境、そして再びN/N環境にローラを戻したときに、環境を変化させる前後のN/N環境における抵抗値の変化が5%以内である導電性部材を得ることができ、抵抗値の環境変動可逆性、ロット内抵抗ばらつきの制御に優れた導電性部材が得られ、生産性の向上にも大きく貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
本発明は、導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材において、該導電性部材が置かれる環境を、N/N環境(温度23℃、相対湿度55%、ここでの抵抗値をR1とする)、次いでH/H環境(温度32℃、相対湿度80%)、次いでL/L環境(温度15℃、相対湿度10%)、次いで再びN/N環境(ここでの抵抗値をR2とする)に変えたときに、該抵抗値R1、R2が0.95≦R2/R1≦1.05の関係にあることを特徴とする導電性部材である。更には、本発明は、導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材の製造方法において、該弾性層の外周面に塗工液を塗布して未硬化被覆層を形成する塗布工程、次いで該未硬化被覆層を、該未硬化被覆層の硬化反応温度以上の温度で加熱する加熱硬化工程、次いで該未硬化被覆層の硬化反応温度よりも50℃乃至70℃低い温度範囲内の一定温度に保ち、且つ1時間以上の時間でエージングする工程を有することを特徴とする導電性部材の製造方法である。
【0019】
(1)導電性部材
導電性部材は、例えば図1に示すようにローラ形状であり、導電性支持体1aと、その外周に一体に形成された弾性層1bから構成されている。
【0020】
本発明の導電性部材の構成を図2に示す。図2に示すように導電性部材は、弾性層1bと被覆層としての表面層1cからなる2層であってもよいし、弾性層1b及び抵抗層1dと表面層1cからなる3層、及び、抵抗層1dと表面層1cの間に第2の抵抗層1eを設けた、4層以上を導電性支持体1aの上に形成した構成としてもよい。
【0021】
本発明に用いられる導電性支持体1aは、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒を用いることができる。更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施してもさしつかえないが、導電性を損なわないことが必要である。
【0022】
帯電ローラにおいて、弾性層1bは被帯電体としての電子写真感光体に対する給電や、電子写真感光体に対する良好な均一密着性を確保するために適当な導電性と弾性を持たせてある。また、帯電ローラと電子写真感光体の均一密着性を確保するために弾性層1bを研磨によって中央部を一番太く、両端部に行くほど細くなる形状、いわゆるクラウン形状に形成することが好ましい。一般に使用されている帯電ローラは、支持体1aの両端部に所定の押圧力を与えて電子写真感光体と当接されているので、中央部の押圧力が小さく、両端部ほど大きくなっているために、帯電ローラの真直度が十分であれば問題ないが、十分でない場合には中央部と両端部に対応する画像に濃度ムラが生じてしまう場合がある。クラウン形状は、これを防止するために形成する。
【0023】
弾性層1bの導電性は、ゴム等の弾性材料中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等の電子伝導機構を有する導電剤、及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加することにより1010Ωcm未満に調整されるのがよい。弾性層1bの具体的弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコンーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等も挙げられる。
【0024】
表面層1cは、弾性層に接した位置に形成されるため弾性層中に含有される軟化油や可塑剤等の導電性部材表面へのブリードアウトを防止する目的で設けたり、導電性部材全体の電気抵抗を調整する目的で設ける。また、表面層1cは、導電性部材の表面を構成し、被帯電体である感光体と接触するため感光体を汚染してしまう材料構成であってはならない。
【0025】
本発明に用いる抵抗層1d(e)は、導電性もしくは半導電性を有している必要がある。
【0026】
本発明においては導電性、半導電性の発現のための導電材として、各種電子伝導機構を有する導電剤(導電性カーボン、グラファイト、導電性金属酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉等)を使用することができる。本発明の抵抗層1d(e)には、表面処理された無機微粒子及び導電剤を含有することが特に好ましく、表面層が抵抗層を兼ねる場合には、表面処理された無機微粒子及び導電剤であることが好ましい。
【0027】
本発明の特性を発揮させるための表面層1cの結着樹脂材料としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。表面層の抵抗値は、104〜1015Ωcmであることが好ましい。また、厚さは1〜500μmであることが好ましく、特には1〜50μmであることが好ましい。
【0028】
(2)エージング
通常、導電性部材の製造工程において、特に抵抗値の経時変化が存在するためにエージングの工程は必須となっている。しかしながら、エージングの条件については、製品の最終検査を行う環境(通常は温度20℃〜25℃、相対湿度43〜63%)に単に放置する方法を採るのが通常である。また、弾性層及び被覆層を有する構成の導電性部材の場合、リーク対策等の理由により、被覆層をより高抵抗とする抵抗構成とするのが通常である。このような構成の場合、導電性部材の抵抗は被覆層の抵抗が支配的になる。よって、被覆層の抵抗を安定させることが帯電部材としての抵抗安定化のためには非常に効果的である。
【0029】
我々は、エージングの条件について検討を重ねた結果、導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材の製造方法において、該弾性層の外周面に塗工液を塗布して未硬化被覆層を形成する塗布工程、次いで該未硬化被覆層を、該未硬化被覆層の硬化反応温度以上の温度で加熱する加熱硬化工程、次いで該未硬化被覆層の硬化反応温度よりも50℃乃至70℃低い温度範囲内の一定温度に保ち、且つ1時間以上の時間でエージングする工程を有することを特徴とする導電性部材の製造方法により、環境変動可逆性、ロット内抵抗ばらつきの制御に優れた導電性部材が得られることを見出した。この詳細なメカニズムは明らかにはなっていないが、被覆層の加熱硬化反応終了後、室温に放置した場合は、被覆層が急冷された状態になり、バインダー樹脂の構造安定化が達成できていないため、環境変動の不可逆性やロット内抵抗ばらつきなどの問題が起こるのだと考えられる。本発明においては、被覆層の急冷を緩和した、バインダー樹脂構造の安定化までの時間に余裕を持たせるエージング方法を採用しているため、冷却炉の位置ばらつき等による抵抗値のロット内ばらつきを抑え、更には抵抗値の環境変動の不可逆性をなくすことも可能となる。被覆層の加熱硬化反応工程及びエージング工程は、1つの乾燥機において温度設定を切り替えて行う方法、また2種類の温度に設定された2つの乾燥機を用いる方法などがある。1つの乾燥機を用いる場合、乾燥機内に導電性部材を静置するバッチ式、導電性部材をこれらの乾燥機中に通過させる連続式などを採用することができるが、1つの乾燥機を用いる場合には温度環境が即時に変化する連続式がより好ましい。
【実施例】
【0030】
以下に、具体的な実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は質量部を示す。
【0031】
[実施例1]
下記の要領で本発明の導電性部材としての帯電ローラを作成した。
【0032】
(弾性層)
エピクロルヒドリンゴム 100部
四級アンモニウム塩 2部
炭酸カルシウム 30部
酸化亜鉛 5部
脂肪酸 5部
【0033】
以上の材料を60℃に調節した密閉型ミキサーにより10分間混練した後、エピクロルヒドリンゴム100部に対してエーテルエステル系可塑剤15部を加え、20℃に冷却した密閉型ミキサーで更に20分間混練し、原料コンパウンドを調整した。このコンパウンドに原料ゴムのエピクロルヒドリンゴム100部に対し加硫剤としての硫黄1部、加硫促進剤としてのノクセラーDM 1部及びノクセラーTS 0.5部を加え、20℃に冷却した2本ロール機により10分間混練した。得られたコンパウンドをφ6mmステンレス製支持体の周囲にローラ状になるように押出成型機により成型し、加熱加硫成型した後、外径φ12mmになるように研磨処理して弾性層を形成した。
【0034】
(表面層)
上記弾性層の外周に以下に示すような表面層を被覆形成した。表面層2cの材料として、
アクリルポリオール溶液(有効成分70質量%、希釈溶剤としてキシレン30質量%を含有) 100部
イソシアネートA(IPDI)(有効成分60質量%、希釈溶剤としてn−酢酸ブチルを15質量%、キシレン25質量%を含有) 40部
イソシアネートB(HDI)(有効成分80質量%、希釈剤として酢酸エチル20質量%含有) 30部
導電性粒子 (戸田工業社製 CS−Bk100Y) 30部
ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂粒子 50部
メチルイソブチルケトン 400部
をミキサーを用いて撹拌し混合溶液を作成した。ついで、その混合溶液を循環式のビーズミル分散機を用いて分散処理(処理速度500ml/min)を行った。
【0035】
次に、ステンレス製支持体を前記塗工液の表面に対して垂直状態に保持して、塗工液中に浸漬し、弾性層の外周に被覆層を形成した。この際、下方のステンレス製支持体1aにポリアセタール製のマスキング用キャップを被せた。その後、バッチ式の熱風乾燥機により160℃(上記バインダー樹脂の硬化温度は130℃)で1時間硬化反応させ、表面層を被覆形成したローラ形状の導電性部材(帯電ローラ)を得た。帯電ローラの作製本数は50本とした。
【0036】
次に、熱風乾燥機により、60℃で1時間のエージング工程を経た後に、N/N環境(温度23℃、相対湿度55%)に70時間放置した。抵抗値は、ローラをφ30の金属ドラムに荷重9.8Nで当接させ、金属ドラムを0.5s-1で回転させながらステンレス製支持体に直流電圧200Vを印加したときの電流値で評価し、そのばらつき(3σ)で抵抗値の安定性を評価した。また、環境変動可逆性は、N/N環境からH/H環境(温度32℃、相対湿度80%)に70時間放置し、続いてL/L環境(温度15℃、相対湿度10%)に70時間放置し、そして再びN/N環境にローラを戻し、70時間放置後、環境を変化させる前後のN/N環境における電流値の比で評価した。また、環境を変化させる前後のN/N環境それぞれにおいて直流電圧のみを印加した画像評価(ハーフトーン)を行った。表中のAは濃度ムラやスジ状帯電ムラの全くないレベルとし、Bは濃度ムラやスジ状帯電ムラが僅かに認められるもの、Cは濃度ムラやスジ状帯電ムラが目立つレベルにあるものとした。これらの評価結果を表1に示した。
【0037】
[実施例2]
エージング工程を60℃、15時間とした以外は実施例1と同様にしてローラ形状の導電性部材を作製した。この導電性部材について実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示した。
【0038】
[実施例3]
エージング工程を80℃、1時間とした以外は実施例1と同様にしてローラ形状の導電性部材を作製した。この導電性部材について実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示した。
【0039】
[実施例4]
エージング工程を80℃、16時間とした以外は実施例1と同様にしてローラ形状の導電性部材を作製した。この導電性部材について実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示した。
【0040】
[比較例1]
エージング工程を設けず、硬化反応後、直接N/N環境に放置した以外は実施例1と同様にしてローラ形状の導電性部材を作製した。この導電性部材について実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示した。
【0041】
[比較例2]
エージング工程を90℃、1時間とした以外は実施例1と同様にしてローラ形状の導電性部材を作製した。この導電性部材について実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示した。
【0042】
[比較例3]
エージング工程を50℃、1時間とした以外は実施例1と同様にしてローラ形状の導電性部材を作製した。この導電性部材について実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示した。
【0043】
[比較例4]
エージング工程を90℃、13時間とした以外は実施例1と同様にしてローラ形状の導電性部材を作製した。この導電性部材について実施例1と同様にして評価を行い、その結果を表1に示した。
【0044】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】帯電ローラの概略図である。
【図2】本発明の帯電ローラの例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1a 導電性支持体
1b 弾性層
1c 被覆層(表面層)
1d 抵抗層
1e 第2の抵抗層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材において、該導電性部材が置かれる環境を、N/N環境(温度23℃、相対湿度55%、ここでの抵抗値をR1とする)、次いでH/H環境(温度32℃、相対湿度80%)、次いでL/L環境(温度15℃、相対湿度10%)、次いで再びN/N環境(ここでの抵抗値をR2とする)に変えたときに、該抵抗値R1、R2が0.95≦R2/R1≦1.05の関係にあることを特徴とする導電性部材。
【請求項2】
前記導電性部材がローラ形状である請求項1に記載の導電性部材。
【請求項3】
前記被覆層が熱硬化反応により形成されたものである請求項1または2に記載の導電性部材。
【請求項4】
前記導電性部材が直流電圧を印加される請求項1乃至3のいずれかに記載の導電性部材。
【請求項5】
導電性支持体と、その外周に形成された弾性層及び被覆層を有する導電性部材の製造方法において、該弾性層の外周面に塗工液を塗布して未硬化被覆層を形成する塗布工程、次いで該未硬化被覆層を、該未硬化被覆層の硬化反応温度以上の温度で加熱する加熱硬化工程、次いで該未硬化被覆層の硬化反応温度よりも50℃乃至70℃低い温度範囲内の一定温度に保ち、且つ1時間以上の時間でエージングする工程を有することを特徴とする導電性部材の製造方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−235197(P2006−235197A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49002(P2005−49002)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】